<研究ノート>高等教育における障害学生支援のため
の基礎的研究
著者
井上 恵梨子
雑誌名
関西学院大学先端社会研究所紀要 = Annual review
of the institute for advanced social research
号
6
ページ
125-133
発行年
2011-10-31
■
要 旨■
本論は、高等教育に在籍する障害をもつ学生の学生生活上の支援ニー ズを明らかにすることを目的としている。「大学全入時代」とも言われる現在、半数以上の 高等教育機関に障害学生は在籍している。各大学内の支援担当部署や、それを支える日本 学生支援機構の障害学生修学支援ネットワークによって障害学生への支援は質的・量的な 支援の底上げがなされている。しかし、障害学生の修学上の支援は講義の情報保障に限定 されたものであることは見逃してはならない課題である。本論では視覚障害、聴覚障害の 学生への聞き取りによって、講義の情報保障のみに限定されない支援のニーズを描き出す ことを試みた。その結果、第一に合理的配慮の根拠となる法制度がないために、入学試験 の段階から支援に関する個別の交渉を重ねなければならないこと。第二に、支援を受ける 際に障害学生の側にも葛藤が存在しているため、アセスメントにより柔軟な対応が必要に なること、が明らかになった。■
キーワード■
障害学生支援 高等教育 情報保障 合理的配慮1.問題の所在と背景
1.1 他者問題としての高等教育における障害学生 かつて大学は20歳前後の若者が勉強するところというのが一般的なイメージだった。しかし、文 部科学省の平成22年度学校基本調査速報によれば大学・短大への入学者(過年度高卒者を含む)は 69万1千人、進学率は56.8%で、8年連続で過去最高を更新したことなどから「大学全入時代」と言 われている。それに伴い、大学は留学生や社会人学生、そして障害を持つ学生(以下、障害学生) など多様な学生の対応に迫られている。こうした高等教育を取り巻く状況を「突如として《他者》 が出現し、それを受け入れなければならない」という「他者問題」(竹中2009:36)としてとらえた 時、大学生活において特殊なサービスや支援を必要とする障害学生の存在は、高等教育における「他 者問題」であると考えられる。■
研究ノート■
高等教育における障害学生支援のための基礎的研究
井 上 恵梨子
(関西学院大学大学院人間福祉研究科博士前期課程)Annual Review of the Institute for Advanced Social Research vol.6
関西学院大学 先端社会研究所紀要 第6 号 現在、日本学生支援機構1)の平成22年度の調査によれば、高等教育機関に在籍する障害学生の数 は8810人で、その数は年々増加している。障害学生の在籍する学校数も2006年には670校(全体の 57.4%)であったが、2010年の調査では742校(60.3%)と増加している。(表1参照)そして、障害 学生は大学生活を送る際に講義やゼミ、実習、校内の移動などさまざまな場面において支援が必要 となるが、こうした支援をうけて学ぶ障害学生数は5.253人で、在籍する障害学生の59.6%にあたる。 教室内座席や実技・実習での配慮や、ノートテイクや試験の時間延長・別室受験などの支援が行わ れている。 このように、多くの障害学生が支援や配慮を必要とする理由について、大学等での授業は大多数 を占める障害のない学生を基準にして構成されているために、同じ教授法や同じ形式の試験では、 障害学生の修学に困難が生じると鳥山(2009)は指摘する。また、大学では高校までとは違い、講 義の形態や教授法が大きく変わる。そして生活スタイルも自己判断の幅が広がり多様化することに 伴って、これまで一般高校に適応していた障害学生でも大学生活を送る上では様々な支援の必要性 が生じるのである。 1.2 障害学生への支援とは これまでの支援の多くは障害学生の所属学部ごとに対応がなされてきたため、ひとつの大学内で も支援のノウハウが共有されないという問題があった(大橋1988)。また、予算面での不足から、支 援が学生によるボランティアに依存しやすい構図がある(青木2007)。こうした状況に対して1990年 代後半から大学内に支援を担う担当者や部署が設置されるようになった。また、2006年10月より日 本学生支援機構によって全国的なネットワーク事業が開始された。これは、全国を8つの地域ブロッ クに区分し、各地域ブロックで先進的な取り組みを行なっている大学を「拠点校」としてブロック 内の大学をネットワーク化し、障害学生支援に関する相談や研修を共同で行う事業である。 1)独立行政法人 日本学生支援機構 表1 高等教育における障害学生の在籍校数 (日本学生支援機構実態調査2010より 筆者作成) は 670 校(全体の 57.4%)であったが、最新の調査では 742 校(60.3%)と増加している。そ して、障害学生は大学生活を送る際に講義やゼミ、実習、校内の移動などさまざまな場面 において支援が必要となるが、こうした支援をうけて学ぶ障害学生数は 5.253 人で、在籍 する障害学生の 59.6%にあたる。教室内座席や実技・実習での配慮や、ノートテイクや試 験の時間延長・別室受験などの支援が行われている。 このように、多くの障害学生が支援を必要とする理由について鳥山(2009)は「大学等で の授業は大多数を占める障害のない学生を基準にして構成されており、同じ教授法や同じ 形式の試験では、障害学生の修学に困難が生じて」いるからだと指摘する。また、大学で は高校までとは違い、講義の形態や教授法が大きく変わる。そして生活スタイルも自己判 断の幅が広がり多様化することに伴って、障害学生が大学生活を送る上では様々な支援の 必要性が生じるのである。 1.2 障害学生への支援とは これまでの支援の多くは障害学生の所属学部ごとに対応がなされてきたため、ひとつの 大学内でも支援のノウハウが共有されないという問題があった(大橋 1988)。また、予算面 での不足から、支援が学生によるボランティアに依存的になりやすい構図がある(青木 2007)。こうした状況に対して 1990 年代後半から大学内に支援を担う担当者や部署が設置 されるようになった。また、2006 年 10 月より日本学生支援機構によって全国的なネットワ ーク事業が開始された。これは全国を 8 つの地域ブロックに区分し、各地域ブロックに先 進的な取り組みを行なっている大学などを「拠点校」としてブロック内の大学から障害学 生への支援に関する相談や研修を行うネットワークである。 表1 高等教育における障害学生の在籍校数 (日本学生支援機構実態調査 2010 より 筆者作成) こうした取り組みによって、障害学生支援を行っている大学の割合は、2005 年の日本学
こうした取り組みによって、障害学生支援を行っている大学の割合は、2005年の日本学生支援機 構実態調査では障害学生全体の37.3%であったが、2010年には59.6%まで伸びている。 このように、大学内の障害学生支援室が大学内に設置されたり、障害学生支援についての全国的 なネットワークが構築されることによって、支援の質・量はともに底上げされてきている。しかし、 それで支援が充分だといえるのだろうか。自らも聴覚障害を持つ研究者である日下部によれば「総 合大学に在籍する学生は特に障害をもっているからこその教育を受ける機会がなく、一般学生の中 で一人苦労しながらやっていく。そして、大学の支援は進みつつあるけど、授業の分野での情報保 障に限定されている」(2008:40)と指摘する。つまり、現在の大学における支援は講義の情報保障 に限定された狭義の支援にとどまっており、大学生活全般をカヴァーするようなものにはなってい ない。また、障害学生の支援に関して国際比較や支援技術に関する先行研究はおこなわれてきたが、 障害学生の大学生活全般における支援のニーズについての実証的研究はいまだない。 これらの問題意識にもとづいて、本研究では、高等教育における障害学生支援を講義保障のみに 限定せず、障害学生の学生生活全体をとらえていく。そして、講義を中心とする支援では完結され ない障害学生の幅広いニーズを調査し、整理することを目的とする。そして、この調査を基として その解決方法について検討していく。
2.方法
2.1 対象 本研究の対象は「高等教育機関に在籍する障害学生」であり、その操作的定義を「身体障害者手 帳を持ち、大学において修学上の支援を受けている学生又は卒後2・3年までの元学生」とした。ま た、本研究が講義の情報保障のみにとらわれない学生生活上の幅広いニーズを明らかにするという 意図から、標本抽出にあたっては障害種別の構成割合に基づく割当抽出をおこなったが、調査期間 の制約により、実際に聞き取りが実施できたのは視覚障害・聴覚障害学生各1名の合計2名だけであ る。 調査期間は2011年2月から3月までで、面接回数は1回∼2回。所要時間は1回あたり30分から2時間。 内容の補足としてメールで確認をすることがあった。本人の許可を得て面接を録音し、面接にあたっ ては語りたくはないことについては答えなくていいこと、プライバシーを厳守したうえで面接の記 録を研究発表として公開することを事前に説明した。 調査方法は次のような半構造化面接を実施した。話し手に対して、障害の程度や学校歴などの基 本的な項目を尋ねた後、大学までの教育歴(学校歴)と受験、大学生活について時系列にそって語 るように求めた。この時系列の質問項目は学生生活実態調査や障害学生の手記、教職員向け障害学 生支援マニュアルなどを参考にして筆者が独自に設定した。また、障害という私的で語りにくい問 題を丁寧に聞くため、面接の際には聴覚障害の学生の場合には筆談と手話を用いるなどして、話し 手にとって語りやすい環境づくりに努めた。 データ分析では、KJ 法(川喜多1967)を参考に手順をおいながら、ストーリーを再構成した。イ ンタビューの録音データを文字起こしし、質問項目ごとにカードにした。主な内容は進路選択、入関西学院大学 先端社会研究所紀要 第6 号 試における配慮申請、入学時の支援、講義での支援、学生生活、進路選択(就職活動)等だった。 次にKJ 法の基本的な一巡工程の作業としてカードづくり→グループ編成→図解→文章化(川喜多 1967)を行ってエピソード分類した。その際、話し手独特の表現を重視し、ナラティブは「 」で 抜き書きにした。 表2 話し手一覧 氏名 A B 性別 女性 女性 年齢 24 21 小学校 公立小学校 公立小学校 中学校 公立中学校 私立中学校 高校 私立高校 私立高校 手帳・障害種別 2級・弱視 4級・難聴 所属大学 国立X 大学 私立Y 大学 学部 人間科学 人間科学 調査実施時の所属 大学院修士課程 学部3年
3.結果
3.1 Aさん(視覚障害) A さんは関東地方の a 県に生まれる。小学校4年生の健康診断で心因性視力障害と診断される。中 学校在籍時から一番前の席にしてもらうなどの配慮を受けてはいたが、当時の視力は学業に大きく 支障が出ることはなかった。しかし、高校1年の冬に急激に視力が低下し、小テストなどのわら半紙 に印刷された文字が見えず、学業に支障をきたしはじめる。医師の勧めにより訪ねた盲学校の教育 相談担当の教員から手厚い支援を受けられたため、盲学校に転校することなく母校を卒業する。3つ の大学を推薦、AO 入試で受験し、現在所属する国立 X 大学に入学する。こうした背景を持つ A さ んの大学生活についてインタビューしたデータをコーディングし、3つの大項目、21の中項目に分類 した。 表3 A さん 大項目 中項目 A:高校まで・受験 a 視力低下 b 入試に向けた情報収集 c 特別措置を受けての受験 B:大学 d 大学入学 e 学習補助(資料の拡大) f 絶対的に不利な授業 g 学習補助(TAの配置) h 移動の問題 i ディスカッションの困難 j 友人関係が広がらない k サークル l 自分の障害について語る難しさn 支援と手助けのグレーゾーン o 支援者と友人の使い分けの葛藤 p アルバイト q 指導教授の無理解 r 全盲の先輩からの圧力 s 進路に対する葛藤 C:卒業後・その他 t 障害の重複化による将来への不安 u 自分の病気について 3.2 Bさん(聴覚障害) B さんは大学進学で上京するまで、九州地方の b 県で生まれ育つ。かねてから聞こえにくさは感 じていたものの、小学校2年の時に初めて聴こえていないことを両親に伝える。小学校、中学校と先 生の口の形が見えるように、前のほうで授業を受ける配慮をしてもらう。 また中学の時から東京都の病院に通い、中学校2年のときに手帳6級を取得。高校3年のセンター試 験ではリスニング試験の特別措置をうける。国立1校、私立3校を受験し、第一志望だった国立大学 には落ちたためY 大学に進学する。発音が比較的明瞭であるため、会話の際には音声でコミュニ ケーションをとる。手話は大学で覚えるまでは全く覚えていない。こうした背景を持つS さんの大 学生活についてインタビューしたデータをコーディングし、3つの大項目、21の中項目に分類した。 表4 B さん 大項目 中項目 A:高校まで・受験 a M県での情報不足 b 高校までの教育と配慮 c 教科書と板書のみで学ぶ d 特別措置を知る e 入試に向けて情報収集 f 受験の際の手厚い配慮 B:大学 g 大学進学 h 講義の情報保障(ノートテイク) i ディスカッションの際の支援の工夫 j ゼミ選択 k 支援機器との出会い(聴覚障害者用目覚まし等) l サークルでできた友人関係 m サークルでの困難 n 障害に対する理解の差 o 不特定多数との交流のしんどさ p 聞こえない自分/ 聞こえたふりをする自分 q アイデンティティーの揺らぎ r 自分の障害について語る難しさ(親・友人・恋人) s 資格取得と配慮申請 t 試験の際の配慮 u 聴覚障害に関する情報不足 v アルバイト C:就職・進路 w 就職・進学について
関西学院大学 先端社会研究所紀要 第6 号
4.考察
4.1 入学試験の際の合理的配慮 障害学生の志望校の選択要因として、受験時の配慮や入学後の支援体制があげられる。A さんの 場合には、入学後の支援体制を大学ごとに比較することによって志望校をふるいにかけている。ま たB さんは「それぞれに特別措置をお願いしたけど冷めているところはすごく冷めている」と語る。 障害に対する支援や配慮は、自らの能力に対して正当に評価を受けるためである。しかし、求める 配慮が認められない現状は存在している。このような障害学生の入試における合理的配慮は、国連 の障害者権利条約を背景に,国際的にも常識化しつつある概念である(中邑他2009)。しかし,日本 においては,障害学生が受験において合理的配慮を要求するための根拠となる法律がない。そのた め,個別の障害状況に合わせた配慮/ 調整(accommodation)は提供されておらず,またその義務も ない。 こうした日本の状況に比べ、アメリカでは 1990年に制定された「障害をもつアメリカ人法」(ADA= Americans with Disabilities Act)2)が高等教育機関においても規定される。そのため高等教育機
関で学ぶ障害学生は、自身が、特別なニーズや要求がある場合、オフィスにいる専門家(special service coordinator)に知らせ、専門家は学生の要求にできるだけ応えようと助けを貸すことで解決 が図られる(吉田2010)。 しかし米国の大学は、ADA 法のもとで、連邦政府からの多額の補助金を受けているが、日本にお いては、法的整備もなければ政府による補助金制度も整っていない。したがって、米国の教育のユ ニバーサルデザインの実現は、法整備や補助金制度のもとで可能なものであることを理解しなけれ ばならない(吉田2010)。 こうした合理的配慮の根拠となる法制度の欠如によって、「試験を受けられるか」「入学後に学ぶ 環境が整えられているのか」を一校ずつ確認し交渉しなければならず、それは受験を目前に控えた 学生にとって大きな負担となっている。合理的配慮が日本の大学に義務づけられていないことは、 障害学生にとって、入試や入学後の支援について不明瞭な状況を作り出している要因だと考えられ る。 4.2 支援を利用する障害学生の心理的葛藤 支援を利用して学ぶことについて、障害学生自身も葛藤を抱えていることは少なくない。A さん、 B さんの語りから「両隣テイカーだと他の学生と壁ができる」「特別に TA つけてもらうとか嫌だっ た」「同じ年の子に支援をしてもらうのだけど、そこにお金が発生する。∼中略∼その切り替えって いうのは難しかった」などの語りがあった。吉川(2008)は、聴覚障害学生が支援を利用する際の 心理的葛藤を 1)消極的反応段階 2)受動的利用段階 3)主体的活用段階の三段階で説明してい る。 2)1990年に制定された連邦法。障害による差別を禁止する適用範囲の広い公民権法の一つで、差別禁止
1)消極的反応段階とは支援の存在を知らない、ないし支援の存在を知る段階である。特別な支 援をうけずに一般校で学んできた障害学生は、これまでにサポートを受けた経験が乏しく、B さんはセンター試験の際にリスニングの特別措置や試験時の配慮があることを高校三年の秋に 知ったという。 2)受動的利用段階とは、支援依頼にふみきり、支援を実際に体験する段階である。ただ、その 際に「まわりに障害を知られたくない」「隅っこの方で目立たないように」等の葛藤を抱える学 生も多い。支援を受けることで障害があることが周りに伝わってしまう。それゆえの葛藤をA さんも経験しており、高校での拡大読書器導入の際に「何を言われても嬉しくなかった。お願 いだから持って帰ってくれ」という葛藤があったという。 3)主体的活用段階とはこれまで受け身だった支援に対して、自ら要望を出す段階である。支援 の「依頼者」から「利用者」に転換していく段階でもある。この段階では支援者との距離のと り方を身につけていく。「この授業にはこの手段を」と判断したり、まわりの先生や友達に配慮 してほしいことを適切に伝えたり、通訳者にタイミングをつかんで声をかけたりすることがで きるようになっていく。 注意しなければならないのは、こうした3つの段階は必ずしも1から2へ、2から3へと進むものでは ない。講義形態、内容などの場面や状況によって変化する。したがって、障害学生が支援を利用す る際にどの段階の、どのようなことに葛藤を持っているのかをアセスメントをし、それに合わせた 柔軟な支援が必要である(吉川2008)。
5.おわりに
大学全入時代を迎えた日本の高等教育は、多様な学生への対応を迫られている。そのなかで、年々 増加する障害学生への支援は本人の努力や周囲の友人らの協力によって支えられてきた時代から、 大学内の支援担当部署によって支援が担われるようになってきた。また全国的なネットワークも構 築され、質的・量的な支援の底上げがなされている。しかし、障害学生の修学上の支援は講義の情 報保障に限定されたものであることは見逃してはならない課題である。視覚障害、聴覚障害の学生 への聞き取りによって、障害学生への支援は入学試験の段階から必要であり、そのための法的根拠 の欠如が問題であるということを指摘した。また、支援を利用する際の心理的葛藤を考慮して、柔 軟な対応が必要なのである。今回は時間の制約上2名のケースにとどめたが、今後はより多くのケー スを分析し、障害学生の多様なニーズを明らかすることが今後の課題である。 謝辞 本論文は筆者が関西学院大学大学院人間福祉研究科博士前期課程でおこなった1年目の研究の経過 の一部である。同研究科教授の杉野昭博先生には指導教員として本研究の細部にわたりご指導をい ただいた。 また、本研究は関西学院大学先端社会研究所2010年度リサーチコンペの助成を受けて行ったもの である。助成を受けたことでより研究計画を円滑にすすめることができた。さらに、助成研究とし関西学院大学 先端社会研究所紀要 第6 号 て先端社会研究所で発表の機会をいただき、他研究科の諸先生から研究遂行にあたり有益なご助言 をいただいた。ここに深謝したい。 参考文献 青木慎太郎、2010、「大学における視覚障害者支援の概要」『視覚障害学生支援技法 増補改訂版 生 存学研究センター報告12』立命館大学生存学研究センター. 大橋由昌、1988、『キャンパスにおじさんは舞う』彩流社. 川喜多二郎、1967、『発想法』中央公論社. 日下部隆則・吉田仁美、2008、「1.座談会 聴覚障害者を取り巻く現状と展望∼当事者の立場から」 『ICT が拓く多様な学生への支援4:聴覚障害学生』独立行政法人メディア教育開発センター. 佐野(藤田)眞理子・吉原正治、2004、『高等教育にユニバーサルデザイン化――障害のある学生の 自立と共存をめざして』大学教育出版. 竹中克久、2009、「『派遣切り』『派遣村』報道にみる他者」『先端社会研究所紀要』第1号、29-37 鳥山由子、2009、「高等教育における障害学生支援の基本的な考え方」独立行政法人日本学生支援機 構『教職員のための障害学生就学支援ガイド』独立行政法人日本学生支援機構. 中邑賢龍・近藤武夫・平井麻紀・岡 耕平・巖淵 守、2009「障害のある学生への高等教育における 合理的配慮の妥当性に関する研究」独立行政法人日本学生支援機構. 日本学生支援機構、2011、『平成22年度(2010年度)大学・短期大学・高等専門学校における障害学 生の修学支援に関する実態調査報告書』独立行政法人日本学生支援機構. 文部科学省、2010、「平成22年度学校基本調査速報」文部科学省ホームページ(2011年7月30日取得、 http://www.mext.go.jp/b menu/houdou/22/08/1296402.htm). 吉川あゆみ、2008、「聴覚障害学生の心理的葛藤」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク『ト ピック別聴覚障害学生支援ガイド――PEPNet-Japan TipSheet 集』筑波技術大学 障害者高等教 育研究支援センター. 吉田仁美、2010、『高等教育における聴覚障害者の自立支援――ユニバーサル・インクルーシブデザ インの可能性』ミネルヴァ書房.
Abstract
A Preparatory Study for the Research of Assistance for Disabled Students in
Higher Education
INOUE, Eriko Kwansei Gakuin University The aim of this study is to uncover what kinds of support disabled students in higher education need. In Japan, because of the decrease in the number of children and the increase in the number of universities, everybody is supposed to be able matriculate if they want to. More than half of all Japanese universities currently have disabled students enrolled. In addition to support from the universities, disabled students are also supported by the Japan Student Services Organization (JASSO), an independent administrative institution which manages a national support network. Support for students, however, tends to be limited to enabling students to get information in lectures and examinations. There is no support for the students to enjoy their student-lives. This paper tried to uncover what kinds of additional support these students need.
Students with visual or hearing handicaps were interviewed. We were able to reconstruct the individual negotiations between students and universities both after entrance and before taking entrance examinations. Such negotiations take place because universities have no legal obligation to provide reasonable support. Secondly, disabled students themselves reported conflicts concerning support.