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第2章 必修教科等の研究 6 美術 美術の基礎的能力と汎用的能力を高める美術科学習の展開―感性・知性を磨き,豊かな情操を養う題材・指導法の開発―

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Academic year: 2021

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(1)

他教科等で

身につけさせる

資質・能力

美術科で

身につけさせる

資質・能力

美術への愛好心 美術の基礎的能力 生活の中の美術 文化理解

総合的な学習で

身につけさせる

資質・能力

問題発見 主体的判断 問題解決・メタ認知 学び方・考え方・生き方 創造的協同的態度

汎用的能力

真善美価値判断力 知性、感性、情意 情操

創造的

思考力

論理的思考力

美術

美術の基礎的能力と汎用的能力を高める美術科学習の展開

―感性・知性を磨き,豊かな情操を養う題材・指導法の開発― 馬淵 哲 本論の要旨 中学校美術科においては,「美術への愛好心,感性,美術の基礎的能力,生活の中の美術文化理解,豊かな 情操」を養うことを柱に生徒の資質・能力を高めるのは当然であるが,その教科目標を達成するだけでは,生 徒に育成すべき資質・能力を十分に身につけさせたとは言えない。それらとも関わりながら,教科・領域等を 横断する,認知的・社会的・情意的な汎用的能力を高めることが,社会において今後益々求められるであろう。 汎用的能力の例としては,問題解決,論理的思考,創造的思考,コミュニケーション,チームワークなどの主 に認知や社会性に関わる能力や,意欲や情動制御などの主に情意に関わる能力,メタ認知(自己調整や内省, 批判的思考等を可能にするもの)などが挙げられるが,その中でも特に,問題解決,創造的思考,コミュニケ ーション,チームワーク,情意に関わる能力,メタ認知については,美術科の学習の中で十二分に高められる 能力である。それらの能力を高めるためには,題材や指導法を計画していく上で,教科で身につけさせる資質・ 能力と汎用的能力のつながりを意識しながらすすめることが大切である。 本研究では,美術科の授業において,協働で課題解決をはかる表現や鑑賞をすすめることで,各教科等を横 断する汎用的能力が高められ,生徒の知性や感性・情意,情操などの資質を身につけさせられるという仮説の もとに授業の題材・指導法を開発し,その有効性・適切性について検証したい。 キーワード 問題発見・問題解決,批判的・論理的思考,創造的思考,メタ認知,情操

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1.研究主題によせて (1)はじめに 最近,頻繁に聞かれるようになったアクティブ・ラ ーニングや21世紀型学力また汎用的能力が声高に語 られるようになったのは,現代社会において,様々な 課題が生まれ,持続可能な社会の創造が求められるよ うになったからであろう。中学校教育現場においても, 問題に対する解や新しい物事のやり方,考え方,まと め方,さらに深い問いなど,「知識」を生み出し,活用 するスキル,そのスキルの重要性は認識され,協調的 な問題解決能力が求められるようになった。 そもそもアクティブ・ラーニングは美術科が長年行 ってきた学習法である。また,21世紀型学力や汎用 的能力も美術科の学習の中で自然に育成してきた力で ある。ただし,その学習が本当にアクティブになって いたのか,汎用的能力が本当に身についていたのかは, その学習効果を検証しないと断言できないのは当然の ことである。しかしながら,これまで幾多の美術科指 導者によってなされた授業実践例を網羅していけば, 美術科の学習には汎用的能力を育てる基盤が充分に備 わり,かつ,その学習方法がアクティブであるという ことは,断言できるのではないだろうか。 現教育課程の中では,美術科と比較的近い学習形態 をもつ総合的な学習の時間は,アクティブな学習法に よって汎用的能力を育成することができると考えられ る。しかし,総合的な学習の時間の現状としては,具 体的な手立てや指導法をもって授業が計画的に実践さ れ,効果的に生徒のスキルを高めているとは言い難い。 美術科についても,総合的な学習の時間と同様の課題 が存在すると考えられる。また,美術科において,現 カリキュラムの中で最も高められると期待される創造 的思考力についても,教員の指導・支援法をもって, 意識的に育成されているとは言い難い。その課題を解 決するためには創造的思考の基盤となる資質・態度を 定義し,具体的な指導・支援法(鑑賞やワークショッ プ型の学習体験)を確立する必要がある。 本研究では,教科で培ったスキルを総合的な学習の 時間で活用し,発展させることをねらいに,総合的な 学習の時間と教科の関連を図りながら指導また支援を 進め,効果的にスキルを高めさせていくための題材・ 指導法を開発し,実践を通してその効果検証を行う。 (2)21世紀型スキル・汎用的能力の定義 ①「平成 26 年度 プロジェクト研究調査研究報告書 資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究 報告書 1~ 使って育てて 21 世紀を生き抜くための 資質・能力 ~」より引用 ■21 世紀に求められる資質・能力の内容(イメージ) 求められる力(イメージ) 構成要素 未 来 を創る (実践力) 生活や社会,環境の中に 問題を見いだし,多様な 他者と関係を築きながら 答えを導き,自分の人生 と社会を切り開いて,健 やかで豊かな未来を創る 力 自律的活動 関係形成 持続可能な社 会づくり 深く考える (思考力) 一人一人が自分の考えを 持って他者と対話し,考 えを比較吟味して統合 し,よりよい答えや知識 を創り出す力,更に次の 問いを見付け,学び続け る力 問題解決・発 見,論理的・批 判的・創造的思 考,メタ認知・ 学び方の学び 道具や身 体 を 使う ( 基礎 力) 言語や数量,情報などの 記号や自らの身体を用い て,世界を理解し,表現 する力 言語 数量 情報(デジタ ル,絵,形,音 等) ■21 世紀型スキル:諸外国の資質・能力目標 「基礎的リテラシー」,思考力や学び方の学びを中心と する「認知スキル」,社会や他者との関係や自律に関わ る「社会スキル」 ②「オーストラリア・ナショナルカリキュラムの体系 的な開発:汎用的能力の設定メルボルン宣言(2008) 21 世紀型スキルとは…」より引用 ■汎用的能力の構成要素 ・リテラシー(読み書く能力) ・ニューメラシー(数量的思考能力) ・ICT技能 ・批判的・創造的思考力 問題解決,論理的思考,メタ認知(自己調整や内省, 批判的思考等を可能にするもの) ・倫理的行動 意欲や情動制御などの主に情意に関わる能力 ・異文化間理解 ・個人的・社会的能力 コミュニケーション,チームワーク (3)研究のねらい 本研究は,生徒が美術の表現・鑑賞活動を通して, 美術の基礎的能力および汎用的能力を高めるためには, どのような学習活動,また教師の指導・支援が必要な のかという点について,授業実践を通して,分析・考 察しながら,美術科の目標を達成する上で適切な題材 の開発・選定,効果的な指導法の確立をねらいとする。 汎用的能力については,問題発見・問題解決,論理 的思考,批判的・創造的思考,メタ認知などの汎用的 能力と情操を育てることをねらいとする。 情意に関わる能力については,生徒の市民としての

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個人的社会的責任についての自覚・郷土愛等の情意を 育てることをねらいとして,地域を題材にした協働プ ロジェクト学習を展開する。 具体的な指導・支援としては,プロジェクトチーム のコミュニケーションの中で,仲間との意見の違いに 気づき,根拠に戻って議論しあいながら,メタ認知や 批判的・創造的思考,問題解決,意思決定のスキルを 高めさせる。また,フィールドワークを通して,地域 の現状を把握し,街の安全機能,景観の与える心理的 影響,パフォーマンスやイベント等,地域環境の中に 様々な工夫・配慮がなされていることを能動的な学習 の中で発見させ,気づかせる。そして,人の気持ちを 活性化させるアートの機能を読解させ,それらフィー ルドワークや学習で得たデータをもとに,福祉・経済・ 政策・環境・イベント等教科横断的な視点や街全体と 部分の色調・形・材質・イメージ・パフォーマンスと いったアートの視点で議論させる。さらに持続可能な スキームによるアート・プロジェクトを構想・表現さ せる。 また,鑑賞活動の中で得た知見をもとに,福祉・経 済・政策等,社会科や技術・家庭科の視点に加えて, 街全体と部分の色調・形・材質・イメージといった美 術的な視点で議論させたり,構想・表現させたりする。 これらの表現や鑑賞活動を通して,教師と生徒,ま た生徒間の交流を活発にし,豊かな交流が展開される 中で豊かな情操が養われるだろう。そして,学習で培 われた知性・感性は,他者や社会との創造的コミュニ ケーションを展開するための意欲を高めるであろう。 (4)創造的思考力効果検証法 仮説 観念を揺さぶって,思考の柔軟性を取り戻させる指 導や支援によって創造的思考力は高められる。 美の観念は体験により形成される。その一方,観念 が固定化することで創造的思考が妨げられることも起 こり得る。俯瞰と焦点化など多角的・多面的な思考を 促す指導・支援法によって,固定観念や観念形態を揺 さぶり,柔軟で創造的思考を促せるであろう。 ①仮説検証法 創造的思考の基盤となる資質・態度 (Ⅰ)を定義し,具体的な指導・支援法(鑑賞やワーク ショップ型の学習体験)(Ⅱ)を確立する。題材や指 導・支援法を開発・実践し,以下の研究資料を分析・ 考察し,その有効性・適切性について検証を行う。 ・生徒の実態 ・教材化に向けての資料,授業用資料 ・指導案 ・授業の実践記録,生徒の観察 ・生徒の成果物および自己評価・授業評価 ②創造的思考力を発揮するために必要な資質・態度 (Ⅰ),指導・支援法(Ⅱ)〕 2.授業実践例 (1)題材名,対象学年,授業時数 「アートの市場価値とは…!? ~社会におけるアート を考察・構想する~」,第2学年,2時間 (2)題材の概要 本題材は,アートの市場価値を読解・考察し,グル ープで意見を交流しながら,目的や条件に応じた適切 なアート・プロジェクトを構想する。そして,ワークシ ョップを通して,アートのコレクションやディレクシ ョン,キュレーションについて理解を深めさせる。こ のアート・プロジェクトの課題を通して,社会に参画 する意識が生まれること,社会や人に役立つといった 社会に生きる提言が行えることなど,豊かな社会性や, 人間性を育むといったよい面があり,生徒の協調性を 育てる一つのよい実践になる。また,生活を美しく豊 かにする美術の働きについての理解や見方を深めるこ とができ,今後の表現において,的確に判断し,適切 に表現するための基礎的能力が身につくと考えられる。 指導としては,レーダーチャート,マトリクス,バ タフライチャートの活用により,作品を分析・評価し たり,論点を焦点化したりして,論理的思考を促す。 そして,課題をとらえ,KJ法によって発想を広げさせ た後,フィッシュボーンで構想を構造化させ,その他 の資料も提示しながら人に分かりやすく提案させる。 また,気づきを与える資料提示や価値観を揺さぶる発 問により,多角的多面的思考やメタ認知,情意に関わ る能力を身につけさせる。 (3)題材の目標 ・社会におけるアート・プロジェクトに興味・関心を 持ち,友達と協力して,積極的に学習に取り組むこと ができる。 ・社会におけるアートの課題を発見・考察し,アート・ プロジェクトについて,豊かに発想し構想を練ること (Ⅰ)創造的思考力を発揮す るために必要な資質・態度 ( Ⅱ)指導・支援法 (学習体験) A アイデアを創造する 技法に関する幅広い知識。 思考ツール,ブレー ン・ストーミング, KJ 法 B 新しい考え方に対し て柔軟で敏感であること。 教師や生徒同士の受 容性 柔軟性などの雰囲気 C 革新的で創造的な考 え方や価値あるアイデア を生み出す。 比較・対話型鑑賞な ど資料提示や問答に よる先入観・固定観 念の揺さぶり。価値 評価・分析。

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ができる。 ・感性や想像力を働かせて,アートのよさや美しさ, 創造力の豊かさなどを味わったり,生活における美術 の働きについての理解や見方を深めたりすることがで きる。 (4)題材の評価規準 関①・社会におけるアート・プロジェクトに関心をも ち,造形的な美しさなどを総合的に考えながら,友達と 協力して,積極的に構想を練ろうとしている。 関②・アートを鑑賞し,生活を美しく豊かにする美術 の働きに関心をもち,主体的に見方や理解を深めようと している。 発・感性や想像力を働かせて,アート・プロジェクト のコンセプト,イメージ,人の気持ちなどを基に形や色 彩の効果を生かして造形的な美しさなどを総合的に考 え,表現の構想を練っている。 鑑・感性や想像力を働かせて,アートのよさや美しさ, 作者の意図と創造的な表現の工夫,目的と美しさの調和 などを感じ取り味わい,生活を美しく豊かにする美術の 働きについての理解や見方を深めたりしている。 (5)学習計画 主たる学習活動 評価規準 1.課題の把握と鑑賞・考察 本時1/2 ●様々なアートを鑑賞しながら,アートの市場価 値とその活用について読解・批評する。 ・様々なアートやその活用によって生まれる 効果や価値について批評し合う。 2.表現の発想・構想 ●他者の気持ち,社会への影響などを考えて, アート・プロジェクトを発想し,構想を練る。 ・KJ法を活用し,アート・プロジェクトの方 針について,グループで話し合う。 ・フィッシュボーンを活用し,ねらいを明確にし て,アート・プロジェクトの構想を練る。 関② 鑑 関① 発 3.交流と批評・分析 ●各グループの構想を交流し,アート・プロジェ クトの意義や適切性について批評し合う。 ・バタフライチャートに,グループの作品につい ての説明や批評を記述する。 4.表現の構想 ●構想を深める。 ・構想に改善を加え,構想を練り直す。 関② 鑑 (6)校内研究(論理的思考を促す具体的な方策)およ び(Ⅰ)創造的思考力を発揮するために必要な資質・態度 (Ⅱ)指導・支援法(学習体験)と本時との関連 ①学習課題設定の工夫 学習者に関わるもの(判断)判 ・生徒の価値観を深めさせるために,鑑賞の視点の明 確化を行う。 美術科教材に関わるもの(学習課題) ・設定した課題の理由を説明させる。 指導方法に関わるもの(ゆさぶり)ゆC(Ⅱ)対話(問答) 型 ・生徒の視点の切りかえを促す発問や言葉がけなどを 通して,思考のゆさぶりを行う。 ②思考ツールなどの活用(思考ツール・ICT)ツAⅡ)思 考ツール ○レーダーチャート・マトリクス・バタフライチャー ト・フィッシュボーンを利用する。 ・アートについての賛成または反対意見を理由と根拠 を記述させ,発表させる。 ・提案理由と根拠を構造化する。また,価値意識やプ ロジェクトの方針を明確にして,提案する。 ○実物投影機で,ワークシートをスクリーンに投影す る。 ・教師が,構想の手順や提案の方法の手本を示す。 ・提案を行う際に,動機,理由・根拠を生徒自身に示 させる。 ○コンピュータで,アート作品や構想等をスクリーン に投影する。ゆC(Ⅱ)比較・資料提示による先入観・ 固定観念の揺さぶり。価値評価・分析。 ・課題を全員に確認させて,共有させる。 ○コンピュータで,アート作品や構想等をスクリーンに 投影する。 ・課題を全員に確認させて,共有させる。 (7)第1時の学習過程 学習のねらいと学習活動 ○指導・◆評価・★論理的思 考を伸ばす方策判・ゆ・ツ 導入 1.鑑賞 ●アートの価値について 考察する。 ・アートが社会に及ぼす 影響について,身近な例 をもとに読解・分析する。 ●様々なアートを鑑賞し ながら,アートの市場価 値とその活用法について 読解・批評する。 ○本課題と本時の学習内容 ・目標を提示する。 本課題「アートで街を活性 化しよう!アートで○○的 価値を高めよう!」 発問「日本人は美術鑑賞が 好き?」C(Ⅱ)資料提示や 問答による先入観・固定観 念の揺さぶり。価値評価・ 分析 ・国内美術展の動員数を提 示する。 ○発問「同額の場合,どち らの作品を購入するか?な ぜ?」 ○発問「このアート作品を

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・参考アート作品を評 価し,その購入目的や 効果と費用を照らし合 わせてアート作品購入 の適切性について,判 断する。 ・アートの維持費や活 用性・将来性について 分析する。 ・ 様 々 な ア ー ト 作 品 や プ ロ ジ ェ ク ト を 評 価 し,それらによって生 まれる効果や価値につ いて批評する。 購入した人はどんな目的で 購入したのだろう?」 ゆC(Ⅱ)比較・資料提示に よる先入観・固定観念の揺 さぶり。価値評価・分析 ★アートについては,立場 や価値観,条件によってと らえ方が変わり,購入・活 用の際には適切な判断が必 要であることを読み取らせ る。 判 ★論点を明確化する中 で,アート・プロジェクト が,目的や条件に沿って, 適切に構想されていくこと を理解させる。 ツA(Ⅱ)思考ツール ★マトリクス①②を活用し て,費用等の条件やコンセ プトによるアート・プロジ ェクトの効果の違いをとら えさせる。 ◆関②【行動観察,ワーク シート】 ◆鑑【ワークシート,発言 内容】 展開 2.表現の発想・構想 ●他者の気持ち,社会へ の影響などを考えて,ア ート・プロジェクトを発 想し,構想を練る。 ・KJ法を活用し,O市 アート・プロジェクト の方針について,グル ープで話し合う。 ・アイデアをフィッシ ュボーンに整理する。ワ ークシート≔に記入する 。 ・人の気持ちやアートの 性格を意識し,ねらいを 明確にして,アート・プロ ジェクトの構想を練る。 ・構想の適切性について 批評し合う。ワークシート ≕に各意見を記入する。 ツA(Ⅱ)思考ツールB(Ⅱ) 教師や生徒同士の受容性 柔軟性などの雰囲気 ★KJ 法で記述した付箋紙 を種類ごとに分類させる。 それらを元に訴えるイメー ジを柱にしてアート・プロ ジェクトを構想させる。 ツ ★フィッシュボーンを 活用し,アート・プロジェ ク ト の 構想 を 構造 化 さ せ る。 ◆関①【行動観察,ワーク シート】 ◆発【ワークシート,発言 内容】 ○グループの意見をまとめ させ,適切性について判断 させる。 判 C(Ⅱ)問答による先入 観・固定観念の揺さぶり。 価値評価・分析 ★例を提示し,バタフライ チャートを活用しながら, アート・プロジェクトの適 切性について,判断させる。 まとめ 3.本時を振り返り, アートの価値とその活 用法について考察する 。 ・本時の授業で学習し たこと,感想をワーク シート੉ಅ↝ਰ↹ᡉ↹ に記述する。 ・本時を振り返らせ,学習し たこと,感想を整理させる。 本校2年生 アート・プロジェクト構想の様子 本校2年生 アート・プロジェクト構想・交流・批評 本校2年生 アート・プロジェクト鑑賞・考察の様子

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本校2年生 前題材「街のデザイン」事業開発賛否 ワークシート(バタフライチャート) 本校2年生 前題材「街のデザイン」規制賛否 ワークシート(バタフライチャート) 本校2年生 本題材「アート・プロジェクト」 ワークシート(バタフライチャート・表) 本校2年生 本題材「アート・プロジェクト ~美術館構想~」スケッチ① 本校2年生 本題材「アート・プロジェクト ~美術館構想~」スケッチ② 本校2年生 本題材「アート・プロジェクト」 ワークシート(マトリクス・フィッシュボーン)

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3.成果~生徒観察・生徒の自由記述・アンケート ①生徒観察より分析 発問「日本人は美術鑑賞が好き?」に対しては,「そ れほど好きではない」という予想が多かった。世界的に も上位を占める国内展覧会動員数と何万人という交通 の不便な島のアートイベント動員数データの資料を提 示すると「内訳は海外からの観光客や年配者が中心だ」 という推測をしている生徒もあった。 発問「同額の場合,どちらの作品を購入するか?な ぜ?」に対しては,自分の趣味で選んでいたが,発問「あ なたがもし膳所の美術館学芸員ならどちらを購入する か?なぜ?」に対しては,膳所の街の文脈を読み,そこ からねらいをもって作品を選んでいた。 各作品のオークション落札額の資料提示については, 100億円を超える額に驚きを示していた。 【分析・評価】発問「日本人は美術鑑賞が好き?」に 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 都市景観の鑑賞授業は街のデザインの発想・構想に役 立った。 都市景観の鑑賞授業により,街のデザインの読解力が 高まった。 都市景観の鑑賞授業により,街のデザインについて興 味関心が高まった。 強くそう思う そう思う あまり思わない 思わない 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% これらの授業の中で,革新的で創造的な考え方や 価値あるアイデアを生み出そうとした。 これらの授業により,新しい考え方に対して柔軟 で敏感になった。 これらの授業により,アイデアを創造する技法に関す る幅広い知識を得られた。 グループで考えることで,表現する意欲が高まっ た。 グループで話し合って,発想・構想することは困 難でなかった。 グループで話し合うことで,考えが広がり,新し い発想が生まれた。 アートプロジェクトの鑑賞授業はアートプロジェクトの発想・構 想に役立った。 アートプロジェクトの鑑賞授業により,社会におけるアート の価値や意義についての理解が深まった。 アートプロジェクトの鑑賞授業により,社会におけるアート について興味関心が高まった。 強くそう思う そう思う あまり思わない 思わない 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% よいものを求める気持ちが高まった。 美しいものを求める気持ちが高まった。 美術文化についての理解が深まった。 美術の基礎的な能力(鑑賞,読解,発想・構想, 創意工夫等)が伸びた。 感性が豊かになった。 美術を愛好する心情が育った。 美術の創造活動の喜びを味わえた。 強くそう思う そう思う あまり思わない 思わない 本題材「アート・プロジェクト」鑑賞・構想 中学校2年間の美術の授業を振り返り 前題材「都市景観デザイン」鑑賞・構想 本校2年生アンケート

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ついては,生徒自身がそれ程,美術に興味がなく,美 術館に行かないことから判断したと推測される。展覧会 動員数に加え,なぐりがきのような現代美術作品が高額 な値段で取引されている事実など,自身の想像にはない アートの市場価値や社会におけるアートという側面を 認知し,それら社会の現実に観念や思考が揺さぶられて いることがうかがえた。生徒はこの資料提示や問答に よる学習体験を通して,C(Ⅱ)先入観・固定観念や価 値評価・分析が揺さぶられていたと考えられる。 ②生徒自由記述・アンケートグラフより分析・評価~ 【生徒記述】伝統的なものにするか現代的なものにす るか,革新的か保守的かを考えるのは構想を練る上で とても大切だと思った。A(Ⅱ) 【分析・評価】発想・構想を共有し議論する上で,フ ィッシュボーンや座標軸などの思考ツールが有効に働 いていることがアンケートの記述から読み取れる。生 徒はこの学習体験を通して,A(Ⅰ)アイデアを創造する 技法に関する幅広い知識を得ていると考えられる。 【生徒記述】“水を使った展示”の具体化を図っていき たいと思った。他の班の視点で,アンティークなど私 たちにはなかったものがあり,違う角度から見ること ができるようになったのが良かった。/他の班のアイ デアを聞いて,色々な工夫がされていて成る程と思っ た意見がたくさんあり,おもしろかった。またこれか ら自分が構想するイメージがふくらんだ。B (Ⅱ) 【分析・評価】構想におけるグループ討議やワークシ ート,鑑賞における分析・批評では各自の見方や感じ 方等,批評を認め合う雰囲気が記述やグラフから読み 取れる。生徒はこの学習活動を通して,B(Ⅰ)新しい考 え方に対して柔軟で敏感であると考えられる。 【生徒記述】今日は美術館について,たくさんのこと を考えた。何気なく見ている,そこらの建物でもたく さんの工夫がなされているのかもと思うと,毎日見て いる景色も変わりそうだ。/この学習を通して,絵画 の価値について考えたり,いろいろな都市の良さや課 題を考えたりしました。今まで学習してきたことや他 の美術館の良さを参考にしてよりよい新たな美術館の 案を考えることができました。他の班の意見も参考に して今後に活かしていきたい。C (Ⅱ) 【分析・評価】焦点化と俯瞰による読解・分析のポイ ントを明確にした比較型鑑賞や生徒の観念を揺さぶる 対話(問答)型鑑賞によって,普段見慣れていない美術 館・作品,情報などに触れ,新たな視点を獲得しなが ら,理解を深めていることが読み取れる。また,社会 の中で経済も含めてダイナミックに生き生きと展開さ れるアートや生活に根ざしたデザインを表現の題材と して改めて取りあげることで,見慣れたものの中にあ るよさや美を生徒が新たに発見していることが記述か ら読み取れる。生徒はこの学習活動を通して,C (Ⅰ) 革新的で創造的な考え方や価値あるアイデアを生み出 すための資質を陶冶されていると考えられる。 4.美術の基礎的能力と汎用的能力(論理的思考・ 批判的・創造的思考)~授業実践例の生徒自由記述・ アンケート・成果物から分析・考察~ 【分析・考察】6W1H等,社会的な視点を与える指 導によって,生徒に多角的多面的な視点をもって,作 品を読解させることが容易になったと考えられる。ま た,バタフライチャートを活用し他者との交流を通し て,多様な視点や価値に気づき,批判的思考力を働か せながら課題について論理的思考を働かせていること が成果物や自由記述から読み取れる。 フィッシュボーンの活用によって,ブレーン・スト ーミングや KJ 法によって拡散したアイデアを構造化 したり,構想を方向付けしたりすることが容易になり, 各グループが円滑にコミュニケーションを進められた。 そして,それらに意義や価値を感じながら発想・構想 を進められたと感じている生徒が多数いた。 5.研究成果と課題 創造的思考力を数値化して効果を検証することは困 難であるが,創造的思考力を発揮するための資質・態 度の定義から,アンケートグラフや自由記述,ワーク シート(思考ツール)など成果物を分析することによ り,意識の面で一定検証することができたと言える。 資料提示や対話(問答)型の鑑賞によって,生徒は 先入観や固定観念が揺さぶられ,多角的多面的思考が 促されたと考えられる。また,思考ツールの活用によ り,思考が可視化されることで,各自の見方や感じ方 等,批評の交流を円滑にする。交流の中で多様な感じ 方や意見に触れ,その学習活動の中で,生徒は考えを 広げたり,深めたりしていること,その考えの広がり や深まりが構想・表現に活用され,その後の探究に導 かれることが確認できた。 以上,授業実践・成果物・評価の分析から,観念を 揺さぶって,思考の柔軟性を取り戻させる指導や支援 法は創造的思考力や批判的思考力などの汎用的能力を 高める上で,適切であり,効果的に働いていると言え る。論理的思考力については本研究で十分に効果検証 がなされず,今後の課題となる。 本研究の一部は,平成27 年度科学研究費補助金(奨 励研究,課題番号15H00132)の助成を受けて行った。

参照

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