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平成二〇年度東洋大学中国扶貧「移民新村」政策研究班「中国内陸部における貧困対策に関する研究―「移民新村」政策を中心にして(3)―」 利用統計を見る

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平成二〇年度東洋大学中国扶貧「移民新村」政策研

究班「中国内陸部における貧困対策に関する研究―

「移民新村」政策を中心にして(3)―」

雑誌名

アジア文化研究所研究年報

43

ページ

316(1)-237(80)

発行年

2008

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00011393/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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平成

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年度研究調在報告

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中国際シンポジュウム開催報告

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年中国・延安市) テーマ 「中国における扶貧開発政策と農村経済発展」 (中国扶紡升友与衣村友展) 開催趣旨(日本)研究代表 阿 部 照 男 シンポジュウム進行概要 日 程 第

IB 2

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9月118

セッション

I・II

2B 2

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0

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9月128

セッション

III・N

・移民新村視察 第

3

B

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月1

3

日 延安市内視察 主催者挨拶 「中国扶貧開発と農村発展」 延 安 市 副 秘 書 長 李 志春 代表講演

I

「中国西部大開発と扶貧開発一我々の研究調在活動の経過」 東洋大学アジア文化研究所 中国経済研究プロジェクト代表阿部照男 シンポジュウム進行概要 発表論文(シンポジュウム発表者中より)(邦訳) (1)中国山西移民の歴史、現状と課題(甘粛省社会科学院社会学所長包 暁霞)

(

2

)

中国国家の扶貧政策と「三農」問題(中国人民大学 関 権 ・ 王 漢 儒 ) (3)農村末端行政組織の公共サービスの能力に関する分析(西北大学 王 峰虎) 収集資料編(邦訳) (1)延安市における扶貧政策の取り組みと将来(延安市扶貧弁 祁 潤平)

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2

)

延川県扶貧開発工作状況(延川県) (3)移民新村の現状と問題点(宜川県) (4)移民新村の現状と問題点(子長県)

2

部 平 成

20

年度調査報告 (1)平成

2

0

年度現地調査概要 (2)調壺点描 (3)調壺

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程表 六

3

部 平 成

20

年度研究活動

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

1

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中国際シンポジュウム(開催報告)

テーマ 主 催 「中国における扶貧開発政策と農村経済発展」 (中国扶称升友与衣村友展) 東洋大学 (8本)・亜北大学(中国)・延安市人民政府(中国) 中国・映酉省延安市(延安賓館) 2008年 9月11日ー9月13日 開催趣旨

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本文部科学省科学研究費補助金「基盤研究 (B)」 研究代表 阿 部 照 男 プログラム 2008年9月11B (木)

セッション

I

A M9:00 12:00 司会(西北大学) 主催者挨拶(延安市) 代表講演 1 中国における西部大開発と扶貧開発 ( 日 本 ) 東 洋 大 学 研 究 代 表 阿 部 中国における扶貧開発の成果と展望 (中国)国務院発展研究中心発展戦略和区域経済研究部長 恢匝省における扶貧政策の実施状況 ( 中 国 ) 省 扶 貧 弁 移 民 処 長 謝 浩 民 照男 2 3 張 軍 拡

セッション

II P M2:00 6:00 テーマ 貧困の現状と将来 司会(延安市政府副秘書長) 招待講演 (1)中国における貧困、失業と所得格差(名古屋大学膵 進軍) (2)中国山西移民の歴史、現状と課題(甘粛省社会科学院社会所所長 (3)退耕還林と後続産業(東洋大学飯塚勝重)(通訳付き) (4)農村末端行政組織の公共サービスの能力に関する分析(西北大学

峰虎) (5)延安市における扶貧政策の取り組みと将来(延安市扶貧弁 祁 潤 平 ) 包 、 暁霞). ︱ ︱ ︱ ︱ 五

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2008年 9月128(金) セッション

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A M9:00 12:00 移民新村の視察・見学(延安市宝塔区移民新村) セッション N P M2:00 6:00 テーマ 移民新村政策の効果と課題 司 会 ( 西 北 大 学 菓 道 猛 ) (基調報告30分、補足質疑10分) (1)中国国家の扶貧政策と「三農」問題(中国人民大学関権・ 王 (2) 移 民 新 村 政 策 の 効 果 と 課 題 ( 東 洋 大 学 都 仁 平 ) (3) 移転後農家所得状況の変化とその原因(東京経済大学 (4)移民新村の現状と問題点(延川県) (5)移民新村の現状と問題点(子長県) 羅 漠儒) 歓鎮) 閉会の辞 散酉省委研究室 鄭 ち、苗 炉,R 2008年 9月138(土) 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 延安市内視察・見学 解散 シンポジュウム総括 AM9:0012:00 東洋大学 郁 仁平 ︱ ︱ ︱ ︱ 四

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平 成 ︱ 1 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

1

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中国際シンポジュウム開催報告

テーマ

開催趣旨

「中国における扶貧開発政策と農村経済発展」

(中国扶紡升友与衣村友展) 文部科学省科学研究費補助金 基盤研究 (B) 18402024 研 究 代 表 者 阿 部 照 男 改革開放の進む中国において、民衆の生活格差解消は現段階における中国の主要な社会的・経済 的課題の一つである。とりわけ1990年代中半から、東部沿岸部都市住民層と中・西部内陸部農民層 との差違が甚だしく、其の進行の方向は中国の政治的課題として根本的な解決が緊急となってきた。 其の結果、中国政府は21枇紀初頭から、西部大開発を中心に大型のインフラ整備、生態環境整備な どの積極的なプロジェクトを推進してきた。 しかしながら、其の間にも内陸部農民の貧困問題は深化し、其の結果、いわゆる三農(農村、農 業、農民)問題の克服無しには根本的解決は見られないとして様々な農村・農民優遇政策が打ち出 されてきた。いわゆる扶貧対策である。中国歴史上初めての農業税撤廃もその一つであり、現代の 徳政令と言われる退耕還林政策もその一つである。こうした諸政策の内、広大な中国に散在する気 候等自然条件劣悪な山間僻地、砂漠化辺裔地帯に住む農民を救済し、脱出させる扶貧移民事菓も一 大プロジェクトとして現在進行中である。 この間、中国の経済と社会の関わりを中心に積極的な研究を進めてきたわれわれは、東洋大学ア ジア文化研究所において、先行して「西部大開発」研究グループを立ち上げ、其の研究の中から、 如何にして中国が農民の貧困間題を解決しようとしているか、具体的なテーマとして「中国内陸部

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平 成 ︱ 1 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ における貧困対策に関する研究一「移民新村」政策を中心にして」を掲げ、上記科学研究費補助金を 受け、 2006年 4月から現地調壺を中心とする活動を維続してきた。 この調査活動には貴重な資料として、各地移民新村戸口調在も実施されたが、この間の調企活動 を通じて、中国西北大学映西発展研究センターおよび陳西省政府、映北諸県政府、とりわけ延安市 政府関係者等との間に緊密な研究交流が図られて来た。この度、関係者間における慎重な検討を経 て、相互の研究を深め、具体的に問題点を摘出・解決策を探るため、日本および中国各地の専門家 参集のもとに、延安市において国際シンポジュウムを開催することとした。開催に当っては、特別 に西北大学および延安市政府の全面的協力を得てここまで進行してきたことを特記したい。

シンポジュウム進行概要

第18 2008年9月118 セッションI A M9:00 12:00 司会(西北大学) 主催者挨拶(延安市) 『中国扶貧開発と農村発展』国際学術シンポジウムにおける挨拶 (2008年9月11日) 延 安 市 副 秘 書 長 李 志 春 尊敬する鄭主任、中日両国の学者、専門家の皆様、代表の皆様、 こんにちは。 まず、私は延安市人民政府を代表し、『中国扶貧開発と農村発展』国際学術シンポジウムの開催 を心よりお祝い申し上げます。今回の大会に参加される中

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両国の学者、専門家の皆様、代表の皆 様に心から歓迎の意を申し上げます。ここで、延安市の経済社会発展に関して、簡単にご紹介いた します。 延安市概要 延安市は映西省黄土高原中ほどに位置し、 1区12県、 166の郷鎮を管轄しており、土地総面積は 3.7万平方キロメートルで、総人口は 213万人。平均標高 1,000メートルぐらい、年平均降雨量は 500 ミリあまりあります。 延安市は、鉱業資源がとても豊富で、エネルギー産業、石油、石炭、化学工業を発展させるのに 確固たる基盤を持っております。すでに分かっている鉱業資源は10種類ほどあり、そのうち、石炭 71億トン、石油 13.8億トン、天然ガス 33億立方メートル、紫砂陶土5,000万トンあまりあります。延 安市は中国石池工業の発祥地であり、石油開発はすでに100年の歴史を持っております。中国大陸 における最初の油井は当市の延長県にあります。石池、石炭を主とするエネルギー産業はすでに延 安市経済発展の重要な支柱産業となっております。 延安市は世界でもりんごの最良成長地域で、良質、高効率の農業を発展させる好条件を持ってお ります。 1人当たり土地面積は 27ムーで、土壊層が深く、日照時間が充足で、昼夜の温度差が激し く、産出するりんご、棗、梨、羊肉、それから雑穀等農産品はいずれも品質が高く、国内をはじめ、 遠く海外まで販売されております。果樹園、牧草畜産、温室栽培といった3大農業主導産業は農民

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収入の主要な源となっております。 延安市の人文観光資源も特色を持っております。観光業を発展させるのにも明るい見通しがあり ます。中華民族の聖地である黄帝陵、中国革命の聖地延安、黄河壷口瀑布、黄土風情文化を主体と した観光資源は国内外にその名がよく知られております。多くの観光スポット、歴史遺跡、民間芸 術など、いずれも独占的、唯一的な存在性があり、中国西部における特に魅力が満ちた観光の名所 でございます。市内には歴史遺跡が5,808ヶ所、革命遺跡が350ヶ所あり、文物を 7万点あまり保存 しており、全国の愛国主義教育と革命伝統及び延安精神教育という 3大教育の基地となっており、 国務院から第1次に指定された中国歴史文化名城となっております。 近年来経済社会発展概要 改革開放、とりわけ西部大開発政策が実施されて以来、延安人民は、中国共産党延安市委員会、 延安市政府の正しい指導の下で、延安精神をもって延安を建設しようとして、団結して前進し、努 力して活動をし、経済社会は歴史上最もよく、発展が最も早い時期に入っております。以下、いく つかの点に分けてご紹介します。 1つ

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は、総合実力は著しく増強してきました。 2007年、全市の GDPは610億元で、昨年同期比で 14.6%増、財政総収入は 175.4億元で、同期比で 18.4%増、そのう ち、地方財政収入は72.7億元で、同期比で20.4%増となっております。 2つ目は、特色産業が絶え ず発展・拡大することでございます。工業の面で、石油、石炭を主体とするエネルギー産業は、す でに延安市の国民経済の支柱産業となっております。 2007年、延安地方で原池を 887.5万トン生産 し、 934.6万トン加工し、そして石炭は 1,034.8万トンを生産しました。 GDPと財政収入に対するエ 業経済の貢献率はいずれも90%以上になっております。農業の面では、 3大産業の局面が初歩的な がら形成してきました。りんごを主体とする果樹園産業は、 りんご生産面積230万ムー、生産量 147.6万トン。牧草畜産は、羊・ヤギ飼育数は 65.8万匹、牛18.6万頭、豚61.2万匹。温室栽培は、野 菜ハウス 8万個、生産量55.2万トン。第 3次産業は、赤色(革命)観光を主とした文化観光業では、 2007年、延安を訪れる観光者は 650万人に達し、観光総合収入は 35億元にのぽっています。 3つ目 は、生態建設成果が著しいことでございます。延安市は黄河流域の上流と中流に位置し、水土流失 でもっとも深刻な地域であります。全市の水土流失面積は2.9万平方キロメートルで、総面積の 78.4 %を占めています。 1999年から、退耕還林プロジェクトを実施して以来、全市で国家の計画内の退 耕還林面積873万ムーを完成し、市の草林の被覆率を 15%向上させ、水土流失総合整理度合いが25 %向上し、生態環境は著しく改善されました。 4つ目は、インフラ条件が明らかに改善。民間航空 の面で、延安=西安間、延安=北京間の往復飛行と、上海までの航路を開通し、延安新空港移転の 工事も進んでおります。鉄道の面では、北京、上海、西安、安康、楡林などへの直通列車があり、 延安駅の新駅舎も竣工して営業をはじめました。延安=西安の鉄道の複線工事も施工中でございま す。道路の面では、包茂(包頭一茂名)高速道路が全市地域を縦断し、青蘭(青島一蘭州)高速道 路散西省内部分の建設も始まりました。郷と郷の間はアスファルト道路、村と村の間は砂道で結ぶ ことを実現させ、今、 60%以上の村間はアスファルト道路で結ばれ、 80%の県は 2級道路による連 結を実現しています。移動式電話と固定式電話の普及率はいずれも国家の平均水準に達しています。 都市化建設が絶えず加速し、公共施設の機能も日増しに完全化し、都市の品質も居住環境も一層向 上しました。 5つ日は、改革開放の深化推進。対外経済技術交流と協力に力を入れ、相前後して、 江蘇省無錫市、上海宝山区、深訓竜岡区、北京石景山区、内蒙古烏蘭察布市、甘粛省張腋市、湖北 省荊門市、江西省賀州市、北海市など、 18の市区と友好協力関係を結んでいます。商業誘致、資金 誘致に力を入れ、 2007年度で 110に及ぶプロジェクトの調印を実現、資金誘致70.6億元、対外輸出 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 入総額は 2,114.7万ドルに達しています。 6つ目は、調和の取れた社会建設に新たな歩みを踏み出し ていること。養老、失業保険、医療、勤務中障害、育児など5方面の保険体制を強固にし、完全化 を実現しつつあります。映西省で率先して農業の「2つの税収」(農業税と特産税 訳者注)を 減免し、農民が農業生産面で零税負担を実現しました。率先して都会と農村の義務教育段階のすべ ての中学生、小学生に対し、「 2免 1補」(学雑費、教材費を免除、宿泊生活費補助 訳者注)の 政策を実施しました。率先して新型農村合作医療制度を推進し、参加農民は 139.8万人に達し、参 加率は 91%になっています。率先して都市と農村の最低生活保障を実施し、全市で都会と農村の最 低生活保障を受ける人口は、それぞれ6.5万人と 13.9万人に逹し、都会と農村で占める割合はそれぞ れ11%と8.7%となっています。黄河沿岸、白子山間部を重点とした、「 2区」扶貧攻略プロジェク トを実施し、この 2つの地域も大きく変貌を遂げています。 2007年、全市で都市部居住民の可支配 収入は 1人当たり 9,801元で、農民の純収入は 2,845元となっております。 扶貧開発活動の現状 延安市の経済建設と社会事業の迅速な発展に伴い、扶貧開発の仕事も大きな成果を挙げています。 近年来、共産党市委員会、市政府が「1体 2翼」という村全体推進の扶貧開発の考えに従い、開発 式扶貧の道を堅持し、重点村建設を村全体推進の主な内容とし、移民引越しを村全体の推進、農民 の安心居住の主な措置とし、黄河沿岸・白子山間部という 2つの最も貧困地域を突破口とし、労働 力輸出を貧困家庭の最も有効な増収方法として、産業開発を貧困家庭の収入増加の主要ルートであ るという措置を通して、 2000年 2007年まで、延安市の市・県の財政投入は延べ2.7億元、交通、 電力、文化教育部門の投入は延べ 3億元強でした。全市の貧困地域で、延べ755の村を移転し、移 民新村を 499ヶ所、新しい学校を 130校、衛生所を 210ヶ所、水道プロジェクトを 207ヶ所建設し、 31.57万人の脱貧を実現しました。扶貧開発活動の中で、延安市はいくらかの成果を挙げてきまし たが、全体的にはまだ貧困地域でございます。まだ28.4万人が貧困から脱出していません。われわ れは、今回のシンポジウムの追い風を受け、国内外のよい経験を学び、学者・専門化の方々の研究 成果を汲み取り、わが市の扶貧開発活動をいっそう立派にする確倍を新たにしております。 延安の発展は国家各部門と大学及び社会各界の方々の強力な支持と切り離せないものであります。 われわれは、指導者の皆様、学者・専門家の皆様、今後とも、延安の各方面の活動をいっそう立派 にし、延安の経済・社会をよりよく、より早く発展させるために、皆様方に、これまでどおりに、 延安の発展に関心と支持を注ぎ、延安の改革と発展と建設により多くの建議とアドバイスをいただ きたく存じます。 最後になりましたが、今回のシンポジウムの円満なるご成功と、学者・専門家、皆様方のご健康 と、お仕事の順調発展を心よりお祈りして、私の挨拶といたします。 ( 訳 続 三 義 ) 三 0 九

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代表講演 ー

中国洒部大開発と扶貧開発一我々の研究調杏活動の経過

東洋大学アジア文化研究所 中国経済研究プロジェクト 代表

阿部

照男

研究代表阿部照男氏がやむを得ない事情によりこのシンポジュウム欠席となったため研究分担者 東洋大学横川伸教授が全文を代読。シンポジュウム主催者の一つである東洋大学の中国「移民新村」 政策研究班が東洋大学アジア文化研究所を基盤に、西部大開発研究を先行させ、次いで、 2006年∼ 2009年間の文部科学省科学研究費(基盤研究 B) を得て、中国社会の格差是正をテーマに、中国農 村の扶貧開発、特に「移民新村」を中心に調査・研究を展開した。特に、中国側の全面的な協力を 得て、農村調査を実施し、これらの分析と、実地調査に基づき、実情把握に努めてきた。阿部報告 は、年月を追って調究・研究を振り返ると共に、研究の視点を明らかにしたものである。全文は以 下の通り。 1 . 一衣帯水の日中経済 「西部大開発」への関心 思えば、日本と中国の文化・経済交流は、遣隋使から数えても、千数百年の歴史がある。この間、 両国の間には、いくつもの不幸な出来事が存在したけれども、両国の緊密なつながりは、決して途 切れることはなかった。特に近年における日中関係は、経済を中心にして運命共同体のような一体 化が進んでいる。 それに先立つ 19世紀末から 20世紀前半にかけての日清戦争、日中戦争という 2つの試練(断絶) は、大きな不幸であった。第2次世界大戦後、日中断絶のまま、共産党政権による新中国建設が着 実に進展し、「文化大革命」中の 1972年ようやく日中国交回復が実現し、再び緊密なつながりが始 まった。 その後の中国は、 1976年の毛沢東の死後、部小平時代を迎え、 1978年、「改革開放」へと大きく 舵を切った。中国は、社会主義政治体制という枠組みの中で、市場経済原理を活用して、経済を発 展させるという、歴史的な試みに踏み切った。 部小平によって指導されたこの経済発展施策は、めざましい成果をあげてきたといってよい。閉 塞していた中国経済は、活性化し、国民の生活は、全体として大幅に改善された。中国経済は、 「枇界の工場」として、国際経済の中で、ますますその重みを増しつつある。 だが、国内に目を転ずると、経済発展による所得格差の増大、沿海地域と内陸部との地域格差の 広がり、内陸農村部における貧困問題の深刻化などの副作用が目立ち始めた。社会不安を醸成し、 政権の足下を揺るがしかねないこの問題に対して、中国政府は、地域格差・ 所得格差の是正策に乗 り出した。 1999年、江沢民主席は、中国国内の東西経済格差の解消のため「西部大開発」を宜言し た。この「西部大開発」政策の成否は、日本経済にも少なからず影臀を与えるであろう。 われわれ東洋大学アジア文化研究所中国経済研究プロジェクトのメンバーは、この歴史的な試み に着目し、「西部大開発」のもとで、何がおこなわれ、何が問題になっているのか、「西部大開発」 の現状と課題を明らかにすべく、 2003年から 2005年まで、『中国「西部大開発」と地域社会の変容』 というプロジェクト研究を実施した。 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

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1 0 八

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ その結果明らかになったのは、「西部大開発」とは、社会主義政治体制の枠組みの中で、市場経 済開発と環境保護とを両立させながら貧困の解消を目指すという壮大な実験なのである。「西部大 開発」は、施策としては、農業・農村振興、地場産業振興、社会インフラ整備、教育整備等、多岐 にわたる総合的社会発展整備政策であるが、そこにおける最大の眼目は、「貧困問題の解決」であ る。 「貧困問題」は、環境問題と並んで、 21惟紀の人類に突きつけられた最大の課題である。しかも この2つの「問題」の根源はただ一つ、「資本主義の暴走」である。「暴走する資本主義」こそが地 球上に貧困問題と環境間題とをはびこらせている張本人なのである。「資本主義」の本性は、飽く なき利潤追求であり、その本性の赴くところ、貧困問題と環境間題が生み出されるのである。だか ら、貧困問題と環境間題を解決するためには、資本主義の暴走を止めること、資本主義を制御する システムが必要になる。そのためには、社会主義政治体制が重要な選択肢の一つである。「西部大 開発」政策の中で、貧困間題の解決が成功すれば、それは21世紀において惟界の貧困間題を解決す るための重要なモデルになりうるであろう。 このような観点から、われわれは2006年以降、新たに、『中国内陸部における貧困対策に関する 研究ー「移民新村」政策を中心にして一』という研究プロジェクトを立ち上げることになった。 以下、 2つのプロジェクトについて、これまでの経過を報告し、今後の展望を試みたい。 2. アジア文化研究所公開講演会の開催 東洋大学2003年10 11月 2003年 4月から開始された「中国西部大開発」研究において、当初、 8月に現地調究を予定して いたが、この年にはSARSの流行があり、現地調壺を翌年3月に延期せざるをえなかった。その ため、日本における勉強会に切り替え、中国から講師を招いて、西部大開発にかかわる講演会を催 した。 ① 広西大学東南アジア研究センター副主任・同大学民族研究所長 広西少数民族の発展」 (2003.10.11) 清華大学公共管理学院21世紀発展研究院研究員 課題」 (2003.11.1) ② 哀少芥「中国西部大開発と 顧林生「中国西部大開発の検証及び今後の 3. 日中国際シンポジウム「中国西部大開発の現状と挑戦」の開催 東洋大学2003年12月9日

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1 0 七 上記 2度にわたる講演会と我々自身の定例研究会における成呆を踏まえて、 2003年12月に東洋大 学において、日中国際シンポジウム「中国西部大開発の現状と挑戦」を開催することとなった。 このシンポジウムでは、梢華大学顧 林生氏による西部大開発の全貌を論じた基調的報告の他 に、日中双方から、以下のような各論的研究成呆が報告され、それらを受けて、活発な討論がおこ なわれた。 ① 精華大学客員研究員 顧林生「中国西部大開発の総合計画と課題」 ② 中国科学院新彊生態・地理研究所教授楊 徳剛「新彊オアシス地域の農業開発の現状と課 題」 中国地理科学・ 資源研究所教授 対策」 中国農学会学術部副主任 韓 忠超「科学教育による村興し計画と西部地域の農村開発」 中国科学院南京地理・湖泊研究所教授 余 之雁羊「長江経済開発地帯と西部大開発」 ③ ④ ⑤ 旦 ノ 紹洪「中国の生態系の地理区分と北方の黄砂気候への

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⑥ ⑦ 東洋大学アジア文化研究所研究員・文学部教授 谷口房男「広西の少数民族と西部大開発」 東洋大学アジア文化研究所客員研究員 飯塚勝重「退耕還林と黄河流域の乾燥について」 4. 北京、重慶、合肥における調査並びに日中国際シンポジウム 2004年3月 SARSにより延期されていた中国現地調企を 2004年3月におこなった。先ず、北京の精華大学公 共管理学院において、院生たちとともに、国務院の西部大開発担当者から講義を受けた。 次に、重慶において、日中国際シンポジウムを開催した。更にその後、璽慶近郊の西部大開発事 業の現場を訪問、調査した。また、璽慶市農業局や規画局も訪問し、聞き取り調査をおこなった。 引き続き、メンバーの一部は、安徽省合肥に移り、調査研究活動をおこなった。 詳細は、下記のとおりである。 ① 国務院西部地区開発領導小組弁公室総合規画組副所長 政策」(精華大学公共管理学院 2004.3.26) 日中国際シンポジウム「中日両国落後地区開発と社会変革研討会」(重慶師範大学2004.3.27) i 東洋大学アジア文化研究所研究員・経済学部教授 阿部照男「日本の高度経済成長と社 会変容」 東洋大学アジア文化研究所客員研究員 飯塚勝重「日本森林保護と環境問題」 精華大学客員研究員 顧 林 生 「

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本北海道開発と西部大開発」 重床師恙大学区域経済研究所教授 祁正埼「漁在南民族地区経済社会友展状況及対策研 究」 重慶師範大学教授趙純勇「重床市退耕述林工程筒介」 重慶師範大学教授羅有賢「西部大開発科学企画、試点引路、積極推進」 重床師池大学地理系教授 栃 半 「三峡岸区移民具可持鉄友展研究以国家重点扶紡具 半都具力例」 ③ 重慶市郊外の生態花苑および農家訪問 (2004.3.28) 重慶郊外の北陪区には、農業振興を目指した「生態花苑

J

つまり園芸村があり、ここには、国 家資源局花木基地や花木示範地区があり生態経済開発に力を入れていた。途中、一軒の農家を訪 問して、生業の状況や生活状況を聞いた。 ④ 重慶市農業局・「農家楽」訪間調在 (2004.3.29) 農業大学 哀光耀教授の案内で、科学技術処所長黄貴川氏、国際合作処所長劉保国氏と会見し、 重慶市における西部大開発と農業施鍛について質疑応答した。 その後、農業と観光開発とを融合させた「農家楽」という新しい農業の業態を視察した。 ⑤ 重慶市規画局訪間調杏 (2004.3.30) 邸建林所長より重慶市の西部大開発に伴う発展計画について詳細に説明を受けた。 ⑥ 中国科学技術大学その他訪問 (2004.3.304.2) メンバーの一部は、安徽省合肥にある中国科学技術大学を訪問し、講演した。また、合肥市林 業局長の案内で、退耕還林の現場を視察した。その後、安徽大学経済学部にて、学部長宋兆梓教 授以下十数人の教員と西部大開発と地域開発問題について座談会をおこなった。 胡 長順「西部大開発 ② 1 1 面. I V V Vl

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Vil 重点区域と 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 0 六 5. 西安・延安および広西壮族自治区における調査 2004年8月

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 2004年度の現地調在は、 2つの班に分かれておこなわれた。以下、 A 壮族自治区調在の順に記述する。 西安・ 延安調査、 B 広西

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西安・延安調在 2004年度の西安市および延安市における現地調壺は、西北大学映西経済発展研究センター教授・ 葉 道猛氏、散西省政府政策研究室主任・鄭 夢熊氏、延安市政府政策研究室主任・郡 世宏氏の 協力を得ておこなわれた。 ① 西安•西北大学経済管理学院での座談会 (2004.8.26) この座談会では、東洋大学側のメンバーの他、西北大学からも参加して、西部大開発について、 さまざまな角度から討論がおこなわれた。 ② 「延安賓館」における延安市幹部との座談会 (2004.8.27) この座談会では、東洋大学側のメンバーの他、延安市政府側からも参加があった。 座談会では、まず、延安市の経済・産業状況について総論的な説明がおこなわれ、続いて、農 業問題、扶貧間題、退耕還林の状況など各論的説明が、それぞれの担当者からおこなわれた。そ の後、質疑応答が活発におこなわれた。 ③ 延安市宝塔区のモデル村訪問 (2004.8.28) この村では、農業部の指導の元に、バイオマスによるガス発生装置を各戸に作って、燃料用ガ スを自給している。宝塔区のこの事業は、全国のさきがけとなっている。 ④ 宜川県での農村調査 (2004.8.28) <宜川県高柏郷高柏村での調査> この村では、谷間のヤオトンに暮らす貧しい農民を訪問した。彼らは移民の対象になっている。 次に、建築中の移民新村である「宜川県高柏郷移民新村」を訪ねた。 <宜川県高柏郷仏庄村での調壺> この村は、すぐ近くの谷にあるヤオトンから移ってきた人たちがすでに生活を始めている移民 新村である。 ⑤ 洛川県の「伊天果汁工場

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訪間 (2004.8.29) この工場では、日本の企業と合弁で、近隣から集められた低質のリンゴからジュースを生産し ている。

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1 0 五 ⑥ 楊凌農業高新技術産業示範区での座談会 (2004.8.31) 楊凌農業高新技術産業開発区は、 1997年7月29日に国務院の許可を得て、設立した中国で唯一 の国家級農業高新技術産業のモデル地区である。現在西安を中心とする農業と西部開発における 農業の開発戦略を実践するモデル地区として、西北農林科技大学を拠点としてプロジェクトが形 成されている。 この座談会では、開発区の現況や課題、黄土台地における農業の特質やそれに対応するための 技術開発の状況などが報告され、討論がおこなわれた。 - 12

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-⑦ 映西省政府研究室副主任との座談会 (2004.9.1) 西安皇城賓館の会議室で、散西省人民政府研究室副主任 兼「中日狭西協力会」秘書長・劉陽 氏から、陳西省全体の西部大開発への取り組み状況の説明を聞いた。 ⑧ 西安高新技術産業開発区における懇談会 (2004.9.1) この座談会では、西安高新技術産業開発区管理委員会発展策刻局長 王農氏および西安市建設 委員会、西安市規刻局のメンバーから、西安市の概況と環境改善・インフラ整備の状況や、高新 技術産業開発区の概況・ 開発について、西安市の都市環境改善について説明を聞き、討論した。 B 広西壮族自治区調壺 (2004.8.1-15) 広西壮族自治区調在班は、広西壮族自治区南寧市と南寧地区隆安県および雲南省南部の文山県に おいて、壮族農業の現状と退耕還林の状況を中心に調査研究活動をおこなった。先ず、広西民族研 究所において日中農民問題の現状について討論し、次いで、南寧地区隆安県を中心に視察・聞き取 り調壺をおこなった。 6. 西安・延安および広西壮族自治区における調査 2005年 8 9月 2005年度の調査は、

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によりおこなわれた。 西安・延安調査が全員により、 B 広西壮族自治区調壺が一部のメンバー

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西安・延安調査 2005年度の西安市および延安市における現地調査は、西北大学狭西経済発展研究センター教授・ 葉 道猛氏、映西省政府政策研究室主任・鄭 夢熊氏、延安市政府政策研究室主任・郡冊宏氏の 協力を得ておこなわれた。 ① 西安市郊外農村調査 (2005.8.23) 西安市中心部から西へ車で25分ほどのところにあるいくつかの農村を調壺した。先ず、雁塔区 魚化泰街道弁事所を訪問し、村々の全般的説明を受けた後、現地に赴いた。 • 西衰頭村は、もう「農村」とは言えないほど企業誘致によって開発されており、農地はほとん ど残っていない。 ・周宋村は果樹栽培で成功して自力で生活している村であるが、農家は兼業化が進んでいる。 ・未央区三橋鎮和平村は、工場団地の開発に成功し、豊かな村になっている。 ② 延安市宝塔区農村調在 (2005.8.24) 西安から延安に移動し、宝塔区の農村を調査した。 ・宝塔区凋庄郷王家溝移民新村は、豊富川の上流にあり、郷政府から 7キロメートル離れた谷間 の村である。退耕還林を実施し、黒豚を飼い、バイオガスの設備も持っている。一戸当たりの 敷地面積は、宜川県のより 2倍くらい広い。 ・宝塔区柳林鎮太春溝は、退耕還林の先進地であり、かつて朱鉾基首相が訪れて、それから退耕 還林が全国に広がったのである。 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

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1 0 四 ③ 延安市安塞県沿河湾鎮方塔村および坊場村調査 (2005.8.24)

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 宝塔区から安塞県に移動し、 i馬毅県書記ら幹部の案内で、 2つの村を訪問調査した。これらの 村では、疏菜のハウス栽培やリンゴ栽培が盛んにおこなわれている。 ④ 延安市安塞県生態農業示範園見学 (2005.8.24) この農業模範園では、本格的なハウス栽培によって、当地の農業に適した野菜の品種を選定し、 農民への新技術・知識の教育指導、企業と連携しての市場開拓、農産品の品質検査などをおこなっ ている。

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⑤ 延安市志丹県農村調査 (2005.8.25) 志丹県は、延安市街から西北西へ約 120キロメートル、車で 2時間のところにあり、移民新村 作り、退耕還林、農地造成など農業・農村の開発と同時に、地場産業の開発にも積極的に取り組 んでいる。 ・双河郷桃庄湾陽湾堂村では、標高 1,350メートルの山地に新しい農地が造成され、牧草の試験 栽培がおこなわれていた。これは、退耕還林による補償がなくなる8年後のために、農民たち が自活するための「基本農田」を造成する事業である。山の頂上を台地のように平らにして、 表土の流失を防ぎながらの農地造成である。 ・城南開発区鵬翔食品有限公司では、アワに似た艇子という穀物から「棄子黄酒」という消酒と 味蔀の中間の味がする酒を商品化して成功している。新しい地場産業として注目される。 ・保安鎖張溝門移民新村は、延安市生態移民事業に基づき、 2002年10月から 1年かけて竣工した 移民新村である。バイオガスが光熱源として自給可能となり、飼育牛数も順調に増え続けるな ど、軌道に乗り始めている。 ・保安鎮世林肉牛養殖場は、李世林氏の個人経営の肉牛養殖場で、退耕還林政策で従来の放牧型 の肉牛飼育ができなくなったため、牧草を栽培して収穫し、それを牧舎の牛に与えて、飼育す るという集約型の牧畜経営のモデル農場となっている。 ・順寧鎮壬坪村は、志丹県西北に位置し、山道を登った高台の道路脇に、「山川秀美共建基地」 の石碑があり、志丹県における退耕還林政策の出発点となった地である。 ・順寧鎮白草台村は、志丹県の中でも、退耕還林政策の最優等生であろう。山地を等高線状に平 らに造成して植樹・草と同時に、農地の作出もおこなっている。これは非常に積極的な退耕還 林政策である。美観的にも、棚田を見るような美しさがある。志丹県がこのように充実した農 業政策を展開できるのは、農業県でありながら、他方で原油の産出による税収が豊かだからで ある。 ⑥ 志丹賓館会議室での志丹県幹部との座談会 (2005.8.25) 農村視察のあと、夕刻に、志丹県共産党委員会常任委員劉衛平氏他、志丹県幹部・政府各部門 責任者が出席して、志丹県の現況の説明がおこなわれ、視察の結果も踏まえて、積極的な討論が おこなわれた。 ⑦ 西北大学経済管理学院での合同研究会 (2005.8.28) 西安に戻り、西北大学側の共同研究者・研究協力者と、今回の調究を踏まえて、合同研究会をお こなった。

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広西壮族自治区調究 (2005.9.1 3)

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本調査は、広酉壮族自治区百色市徳保県において、退耕還林の現場で農民の実情を調在した。 7. 日中国際シンポジウム「中国西部大開発の現状と挑戦 東洋大学2005年12月6日 パート1I」の開催 2003年に発足したプロジェクト『中国「西部大開発」と地域社会の変容』を締めくくるに当たり、 その成呆と今後の課題を明らかにするために、 2005年12月6B、東洋大学において、 H中国際シン ポジウム「中国西部大開発の現状と挑戦 パート

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」を開催した。 このシンポジウムでは、日本側2名、中国側 2名の報告者が、それぞれ、これまでの研究成果と 残された課題について報告し、それを踏まえて、会場の参加者も交えて、終始熱心な意見交換がお こなわれた。 報告者と論題は以下の通りである。 ① 東洋大学経済学部教授 阿部照男「西部大開発の意味するもの一理想と現実の狭間でー」 ② 精華大学客員研究員 顧 林生「中国酉部大開発に関する政策的評価と国の地域政策の行方」 ③ 東 洋 大 学 経 済 学 部 教 授 横 川 伸「西部大開発と農民の貧困からの解放」 ④ 西北大学経済管理学院教授 皐 葦「狭西から見た『山川秀美』工程一再生と持続的発展の メカニズム」 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 8. 「移民新村」研究プロジェクトの発足 2006年 2003 2005年のプロジェクト『中国「西部大開発」と地域社会の変容』の成果と課題を踏まえて、 2006年から4年計画の新たなる研究プロジェクト『中国内陸部における貧困対策に関する研究 ー「移民新村」政策を中心にして一』を発足させた。 このプロジェクトは、中国西部大開発の残された最大の課題は、依然として「貧困問題」である との認識に立ち、貧困対策の諸施策の中でも特に「移民新村」と呼ばれる施策に焦点を当てて、そ の効果と課題を研究しようとするものである。 このプロジェクトの目的を達成するために、われわれは2つの柱を設けて、アプローチしている。 第1は、「調査票」を用いての現地農民からの聞き取り調査であり、これは西北大学映西経済研究 センターに委託して、葉道猛教授の指揮の下、大学院生によっておこなわれている。第2は、われ われ自身による現地調査である。 第1のアンケート調査の分析は現在進行中であり、中間的な分析結果は逐次明らかにされるはず である。 第 2の現地調企については、 2006年と 2007年の夏に、映西省および甘粛省において実施された。 その概要は、以下のとおりである。 9. 延安市延川県・子長県および楡林市靖辺県調査 2006年 8月 2006年度の現地調杏は、西北大学狭西経済発展研究センター教授・菓 道猛氏、映西省政府政策 研究室主任・鄭 夢熊氏、延安市政府政策研究室主任・部 世宏氏の協力を得て、映西省延安市お よび楡林市において実施された。 三 0 1

① 延安市延川県における延川県扶貧開発工作状況についての座談会 (2006.8.22)

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 延川賓館において、映西省政策研究室主任 催した。 鄭 夢熊氏の司会で、延川県幹部との座談会を開 ② 延安市延川県延水関鎖張家河村移民新村調査 (2006.8.23) 建設中のヤオトン型石造集合住宅を視察した。分散居住している村民を集約して移住させるた め、 70戸分の家屋を建設中であった。 ③ 延安市延川県延水関鎮柏樹注村移民新村調査 (2006.8.23) この移民新村は、山西省と陳西省を結ぶ幹線道路(晋恢公路)沿いに建設中であった。店舗兼 用住宅で、 2階建てと 3階建てがある。住宅の裏にはナツメ畑が広がり、「ナツメの村」を目指 して、新村を建設している。 ④ 延安市子長県南溝然移民新村調壺 (2006.8.23) なだらかな山の斜面に作られたヤオトン風集合集宅の新村には、 2004年から2005年にかけて、 llO世帯ほどの貧困農民が移住してきた。現在は「養豚の村」を目指して村作りを進めている。 ⑤ 延安市子長県における扶貧開発工作状況についての座談会 (2006.8.24) 延川県から子長県に移動、 24日午後、子長県瓦穿堡賓館会議室において、映西省政策研究室主 任 鄭 夢熊氏の司会で、県幹部との座談会を開催した。 ⑥ 延安市子長県李家湾鎮護林場小草湾自然村調壺 (2006.8.24) この村は、日常的に地滑りが起こりやすい谷間の斜面にヤオトンを造り生活している。道路な どインフラの条件が悪いこともあり、村民は移民新村への移住を希望している。

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1 0 1 ⑦ 楡林市靖辺県張家橋畔郷望夏村移民新村調壺 (2006.8.25) 子長県から楡林市靖辺県へ移動。黄土高原から砂漠地帯へ入る。靖辺県は、毛烏素砂漠の南辺 に位置する。ここで、靖辺県張家橋畔郷望夏村移民新村を訪問調査した。 1999年に作られ、 160 冊帯、 800人が暮らすこの新村は、多数の井戸ポンプによる灌漑でトウモロコシなどを栽培して おり、家庭生活はテレビ、冷蔵庫の普及など電化が進んでいる。この地域一帯は、退砂造林や退 耕還草事業の進展もあってかつての砂漠地帯から緑地帯へと変化しつつある。 ⑧ 楡林市靖辺県紅敬界鎮爾徳井社会主義新農村調究 (2006.8.25) 爾徳井新農村は、望夏村からそれほど遠くないところにあり、「社会主義新農村試点建設村」 という看板からも察せられるように、中央政府の目指す農村近代化政策の一翼を担うモデル村で ある。「社会主義新農村建設」という政策は、「移民新村」という貧農解消政策が軌道に乗り始め たのを受けて、農業・農村の更なるステップアップを目指すもので、言うなれば「移民新村」の 後継政策であると考えられる。 爾徳井村は、西欧風の建物群が計画的に配置されていて、「美しい村」、「理想の村」という印 象が強く、移民新村を見てきた目には、現実離れした「おとぎの村」のようにも思われた。 ⑨ 楡林市靖辺県における扶貧開発工作についての座談会 (2006.8.26) 靖辺県党・政府幹部との座談会は、早朝午前 8時から開始された。楊常任委委員による靖辺県

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基本状況の説明と曹主任による扶貧移民の現状説明のあと、活発な質疑応答がおこなわれた。 ⑩ 委託アンケート調査にかかわる合同検討会(西北大学2006.8.28) 西北大学狭西経済研究センター委託のアンケート調杏にかかわる検討会が、責任書の菓道猛教 授、調究員の大学院生達が出席して開かれ、実施結果の評価と今後の方針が話し合われた。 ⑪ 映酉省の扶貧移民対策についての座談会(西安市2006.8.28) 狭西省扶貧開発弁公室主任 謝浩民氏の出席を得て、省としての現状と今後の対策、また移民 新村政策について、座談会を開催した。最初の謝氏から映西省側の報告を受け、それに基づき討 論を行った。報告及び討論は長時間にわたり、実り多い会合となった。 10.公開講演会 (2007.8.2) 中国社会科学院経済研究所研究貝 県のケース」 哀 鋼明「西部地域の新農村建設ー映西省戸県と甘粛省永靖 11.映西省延安・銅川および甘粛省酒泉・蘭州における調査一ー2007年9月 2007年度の現地調査は、西北大学恢西経済発展研究センター教授・葉 道猛氏、映西省政府政策 研究室主任・鄭 夢熊氏、延安市政府政策研究室主任・郡 泄宏氏、および甘粛省社会科学院社会 学研究所所長・包 暁霞氏の協力を得て、狭西省と甘粛省両省にわたって実施された。 ① 延安市宜川県における沿黄扶貧開発状況についての座談会 (2007.9.2) 西安から宜川に移動し、宜川賓館会議室にて、延安市政府政策研究室主任・部世宏氏の司会で、 宜川県政府幹部との座談会を開催した。県政府任喜全副県長から詳細な報告がなされ、それに基 づいて活発な質疑応答がおこなわれた。 ② 延安市宜川県高柏郷曹家庄村・史家庄村移民新村調壺 (2007.9.3) 高柏郷の調査は、 2004年に続いて2度日である。前回建設中だった曹家庄村はすでに入居し生 活が始まっていた。大通り沿いに建つ商店の多くがシャッターを降ろしたままで、開いている店 は数えるほどである。ほとんどが出稼ぎに出ているという。この移民新村は、当初の見込みどお りには機能していないようである。 史家庄村移民新村は、建設が進行中であり、一部入居も始まっているが、まだまだ未完成であ る。大通り沿いの住宅は、農家楽を想定した造りになっており、観光開発による生活基盤の形成 を期待しているようであるが、その成否の予測は難しいところである。 この後、延安市宜川県から銅川市宜君県に移動した。 ③ 銅川市宜君県調究一宜君県の移民開発工作状況についての座談会 (2007.9.4) この日は早朝より急な雨があり、予定した調杏地は山中にあり、道路事情が悪くとても入村で きないという情報がよせられた。やむを得ず、早朝にもかかわらず、県幹部を招集して貰い、ホ テル会議室において、 8時30分から 9時30分まで、座談会を開催し、雨上がりを待って別の村の 調査にはいることとした。 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 三 0 0

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 座談会における宜君県側各部門の担当者による現状の説明の後、県委副書記 して、質疑に移った。 鄭振峰氏が総括 ④ 宜君県

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家溝村調査 (2007.9.4) 宜君県の市街地からそれほど遠くない山腹に丁家溝移民新村はある。この移民新村は、これま で見てきた集合住宅型ではなく、戸建て形式の住宅であり、一見すると移民新村とは思われない。 各戸の間取りは住人が自由に決めることができるという。全体に豊かな村である。しかし、 64戸 261名中、 6 70名が現在出稼ぎしているという。 農家を訪問し、小学校を見学してから、村長の説明を聞いた。 この後、宜君から西安に移動した。 ⑤ 甘粛省酒泉市瓜州県九旬峡プロジェクト白旗堡移民新村調査 (2007.9.7) 西安から敦煽に移動し、そこで今回の甘粛省調在の協力者である甘粛省社会科学院社会学研究 所所長 包暁霞氏と合流して、調査を開始した。 敦煽から「安敦公路」を東へ1.5時間ほどで、瓜州県城に到着。そこから更に、白旗堡移民新 村へ向かう。この辺り一帯は「ゴビ(文壁)」と呼ばれ、文字通りの「不毛の地」である。その ゴビの中に、一条の用水路が建設中であった。これから向かう白旗堡移民新村のための灌漑水路 である。 白旗堡移民新村は、甘粛省東南部を黄河に流れ込む洸河流域の農業総合開発による、九旬峡ダ ム建設に伴う、大規模な開発移民新村である。約2,000戸10,000人が移転予定のこの村では、コン クリート造りの戸建て住宅が沢山建設中であった。 ⑥ 酒泉市瓜朴

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県西湖郷安康村向陽移民新村調在 (2007.9.7) 次に、瓜州県城から車で40分ほどのところにある西湖郷安康村を訪問し、棉花畑、灌漑水路、 小学校などを視察した。灌漑用水によって棉花を栽培しているが、灌漑施設は破損がひどく、漏 水によって失われる水がかなりの醤にのぼると嘆いていた。 ⑦ 安康村向陽移民地開発の現状についての座談会 (2007.9.7) 安康村向陽移民新村の視察の後、県および村幹部との座談会に臨んだ。 ⑧ 七敬同族東郷族郷移民新村座談会 (2007.9.8) 瓜州県城から高速道路で東へ2時間、玉門市との境界近くにある七敬回族東郷族郷を訪問し、 郷幹部、農民代表との座談会に臨んだ。この郷では、 3つの民族(漢族、回族、東郷族)が暮ら している。王党委書記を中心に村の現状が報告され、質疑応答をおこなった。 二九九 ⑨ 瓜州県七敬同族東郷族郷移民新村調査 (2007.9.8) 座談会の後、東郷族と漠族の農家を訪問し、更に小学校と診療所も視察した。 ⑩ 瓜州県腰姑子郷移民新村座談会 (2007.9.8) 瓜州県城への帰途、腰姑子郷を訪問し、郷幹部との座談会に臨んだ。座談会には農民代表も陪 席し、全部で30人以上となった。この席に、甘粛省臨夏回族自治州永靖県から、 10年以上前に、 はるばる千キロ余も超え、瓜州県に扶貧移民した王夫妻の姿があった。実は、当時、苛酷な生活

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を強いられていた王一家が、どの様にして移民問題に取り組んだか、 1995年 1月、 NHKが取材 して日本全国に放映されていた。王夫妻の現在の満足すべき生活は、この移民が成功であったこ とを物語っていた。 ⑪ 瓜州県腰姑子郷移民新村調査 (2007.9.8) 座談会の後、農家や小学校を訪問した。 ⑫ 甘粛省蘭州市・臨夏回族自治州永靖県農村調在 (2007.9.910) 永靖県から腰姑子郷へと移民した王一家がかつて住んでいた士地を訪ねるべく、劉家峡ダムを 遡上して、柄霊寺まで行ったが、交通の便や時間の制約の関係で断念せざるを得ず、結局、この 地域の農村の状況全般の視察に終わった。 12.これまでの調査の総括と今後の課題 今、中国は大きな岐路にさしかかっている。一つの道は、競争原理の赴くまま、経済成長至上主 義をひた走る道であり、もう一つは、調和のとれた社会を目指し、地域格差、所得格差を無くす道 である。今、中国は、この後者の道を歩み始めたように見える。昨年10月21日、第17回中国共産党 大会が閉幕し、今後5年間にわたる胡錦涛政権第2期目の陣容と政策方向が明確になった。これに よって、部小平から江沢民政権まで続いてきた「経済成長至上主義」の路線が明確に転換されたよ うに見える。それを象徴するキーワードが、新たに打ち出された「科学的発展観」なる言業である。 この言葉が意味するものは、従来から使われてきた「和諧社会」なる言葉と相侯って、中国政府が 貧困と格差の解消・是正を今後の長期的国家戦略として位置づけようとしている、ということであ ろう。 2003年に、われわれが「中国『西部大開発』と地域社会の変容」と題する研究プロジェクトを立 ち上げてから、今年で6年が経過した。その間、われわれの研究の焦点も、単なる地域開発研究か ら、貧困、格差問題へと絞られてきた。まさにこのわれわれの動きと軌を一にして、中国政府の国 家戦略も貧困と格差の解消へと照準を合わせ始めたのである。 これまでの世界史におけるわれわれの経験は、「市場経済」の発展に伴って、国民の生活水準全 般は向上するが、貧富の格差も拡大するということである。つまり、経済発展を追求すれば、格差 は拡大し、格差を是正し平等を追求すれば、経済発展は滞るという「二律背反」の関係にあるので ある。 今、人類は、「グローバリゼーション」の名の下に、経済発展に向かってひた走り、貧富の格差 をどんどん拡大させている。日本でも、アメリカでも、貧富の格差が拡大している。今、世界が必 要としているのは、この「二律背反」を乗り越える道である。つまり、競争原理のプラス面(経済 発展)は活用し、競争原理のマイナス面(貧富拡大)は抑えるという手だては、無いのであろうか。 中国における「移民新村」政策は、その理想と現実の隔たりを残しながらも、「脱貧困」つまり 国民の生活水準の向上という目的は逹成してきたと評価できる。そこで依然として残されている課 題は、「格差の是正」である。今や、中国における問題の焦点は、「貧困問題」から「格差問題」に 移りつつあると言えるだろう。それを象徴するのが、「新農村建設」という言葉である。つまり、 「移民新村」から「新農村」へと歴史の舞台が転換しつつあるのである。今、中国が必要としてい るのは、経済発展に伴う「二律背反」を乗り越える道である。 この世界のどの国も未だ成功していない課題を解決するのに、一番有利な立場にいるのは中国で 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 二九八

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年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究 ﹂ ある。つまり、 「二律背反」を克服するためには、市場経済を上手に管理することが必要であるが、 中国の 「社 会主義市場経済」という 「管理された市場経済」なら、それが可能だからである。 今、 世界で貧富の格差が拡大している中で、「社会主義市場経済」が貧富の格差をどう縮めていくこと ができるのか、問われている。 われわれは、 今後中国が、「社会主義市場経済」という手法によって、経済発展と格差是正の 「二律統一」 のパイオニアとなることを期待しつつ、見守っていきたい。

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公刊文献一覧 ① ② ③ ④ く2004年度東洋大学特別研究助成プロジェクト>「中国 fr!§"部大開発』と地域社会の変容 2004年度研究調査報告」(『束洋大学アジア文化研究所 研究年報』第39号 (2005年2月)所 収)。 く2005年度東洋大学特別研究助成プロジェクト>「中国『西部大開発」と地域社会の変容 2005年度研究調査報告」(「東洋大学アジア文化研究所研究年報」第40号 (2006年2月)所 収)。 く2006年度科研費プロジェクト>「中国内陸部における貧困対策に関する研究ー 「移民新村』 政策を中心にしてー 2006年度中国『移民新村」研究班プロジェクト研究調査報告」(『東洋 大 学 ア ジ ア 文 化 研 究 所 研 究 年 報』第41号 (2007年2月。) く2007年度科研費プロジェクト>「中国内陸部における貧困対策に関する研究ー 『移民新村j 政策を中心にしてー 2007年度中国 『移民新村』研究班プロジェクト研究調査報告」(「東洋 大 学 ア ジ ア 文 化 研 究 所 研 究 年 報

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第42号 (2008年2月)。 二九七 -20

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テーマ 貧困の現状と将来 司会(延安市政府副秘書長) 招待講演 (1)中 国 に お け る 貧 困 、 失 業 と 所 得 格 差 ( 名 古 屋 大 学 辞 進軍) (2)中国山西移民の歴史、現状と課題(甘粛省社会科学院社会所所長 蝕 (3)退 耕 還 林 と 後 続 産 業 ( 東 洋 大 学 飯 塚 勝 重 ) ( 続 三 義 教 授 通 訳 ) (4)農村末端行政組織の公共サービスの能力に関する分析(西北大学 王 峰虎) (5)延安市における扶貧政策の取り組みと将来(延安市扶貧弁 祁 潤 平 ) 暁霞) このセッションで報告された内容は、本編論文・ 資料集として収載したほか、当日配布したレジュ メ集を参照されたい。 2008年9月128(金)

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移民新村の視察・見学(延安市宝塔区移民新村)

延安市宝塔区甘谷駅鎖野狐子溝村後野村民小組移民新村紹介

野狐子溝村は甘谷駅鎮政府所在地から5キロ離れたところにある。 210国道のそばにあり、管下 に前野、後野という 2つの村民グループがあり、そのうち、後野村民グループは52憔帯、 190人で、 耕地面積は570ムー、基本農地面積は208ムー、退耕面積は800ムーあまり。主導産業は養殖で、 2005 年の1人あたりの純収入は900元たらず。 後野村民グループは元々河西拐溝に住んでいた。 210国道から2.5キロぐらい離れ、交通の便が悪 く、村民が分散して住み、生産生活条件が立ち遅れており、生態環境も比較的に悪い。村民グルー プの生活条件を徹底的に改善し、 210国道の便利な交通条件を利用し、第3次産業を発展させ、村 民の生活の質を全面的に向上させるために、 2006年、全村移民引越しの計画にリストアップされた。 多方面にわたる論証の結果、現在の場所の前野村のある国道のそばに引越ししてきた。実際の引越 し建設の中で、第3次産業建設と新農村建設の結合という原則に基づき、統一企画、統一標準、統 一実施をした。工事は2006年4月に始まり、 2008年6月に竣工し、引越しした憔帯数は52世帯、 190人で、新築住宅は160間、 1人あたり居住面積は約27面で、入居率は100%である。建築時に、 セットとして排水施設540m、庭のコンクリート化は40枇帯。建設工事総投資は346万元で、そのう ち、財政扶貧資金は90万元、新農村建設資金46万元、村民自ら集金210万元。 全村移民引越しを通じ、後野村民グループの生産生活条件が大いに改善され、特に、有利な交通 の便を利用し、飲食、修理、農家楽といったサービス業を主とした第3次産業が形成され、産業構 造が調整されたばかりでなく、農民の収入も増加し、新農村と移民引越しの結合という新しい道の 探索にもなっている。(資料翻訳続三義教授) 訪問した村民趙さんのこと(氏は移民新村の村長である) 39歳、四人家族、父親、夫婦、子供、 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 二九四

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 元々谷の中の士の密洞に住んでいた、国道まで2.5キロ、出かけるのに不便で、出稼ぎをした< ても交通不便なため見つからない。今は2階立ての住宅に住んでいる。 建築費は1.35万元X4間 =5.4万元。政府から、「 1

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2」の補助金を受けるので、全部で1.8万元 の補助を受けた。自分から、 3.6万元を出している。元々貯金があったので、借金はしていない。 しかし、建築費のほか、内装費用(家具などを含む)はさらに1.6万元かかったという。現在は、 水道代、ガスは無料、電気代を払うのみである。 全部で20ムーの土地があり、 4ムーのトウモロコシと 1ムーの野菜栽培、退耕還林地 15ムーがあ り、主としてアカシアを植えている。 2007年の還林補助 1ムー当り 140元、生活費補助20元を受け ており、今後 8年の第 2次補助も認められており、林権証も発行を受けている。 村民沙春虎さん すでに一且后野村民小組の移転計画に参加したが、思うところがあってどうしても現在の住居か ら離れず、村幹部挙げて説得中ということで有った。ここ数年の間、移民新村は訪間できたが、旧 村所在地を見学出来たのは今回が初めてである。新村からやや急な山中に入ること、 1キロメート ル程であろうか、殆どの家が移住し、廃屋が点在するのみであったが、沙さん一家(老夫婦に長男 1人一当日不在)のみ、頑として移転せず、その理由は明らかではなかった。牛 1頭、豚 2頭、鶏 を飼い、 0.5ムーの畑と 4ムーの退耕還林地を保有しているという。沙家は移転に当り畑地 7-8 ムーを政府に提供しているという。 后野村民小組移民新村 二九三 后野村民小組移民新村 移民以前の旧村と村長 移転を拒む住民 -

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24-延安市宝塔区眺店鎖柏林湾村移民新村紹介

柏林湾村は眺店鎮政府所在地の南東11キロ離れたところに位置し、桃麻(眺店鎖 麻洞川郷) 道路が村を横切っている。全村は 95冊帯305人、流域総面積は 10,035ムー、そのうち耕地面積は452 ムー、経済林(果樹園)は 765ムー、 2007年 1人あたりの純収入は2,800元ぐらい。 柏林湾村の交通事情は相対的にいいが、村民はみな分散的に居住しており、生活環境が悪く、生 産生活条件が立ち遅れている。村民の居住環境を改善し、村民の生活の質を全面的に高めるため、 2008年、村は移民引越し、すなわち農村減災安居プロジェクト実施計画にリストアップされ、多方 面にわたる議論の結果、目下住居条件が悪い世帯を村の道路沿線に引っ越しさせることになった。 実際の引越し建設の中で、産業建設と新農村建設の結合という原則に従い、統一企画、統一標準で、 枇帯ごとに実施をした。工事は 2008年 4月に始まり、 2008年11月に全部竣工する予定である。引越 しする世帯数は全部で 18世帯、 63人で、新築住宅は 72間、メタンガス施設41ヶ所、 1人あたり居住 面積は約36m'に達する。同時に、大衆娯楽活動広場を 1ヶ所建設し、その他のインフラも完成する 予定である。建設工事総投資126万元で、そのうち、財政扶貧資金は30.6万元、村民自ら集金95.4万 元。 移民引越しを通じ、柏林湾村の居住環境は大いに改善され、今後、牧畜、メタンガス、果樹園の セット発展の道を歩み、産業構造の調整を全力でリードし、りんご産業を大きく、強くすると同時 に、便利な交通条件を利用し、第3次産業の発展に力を入れ、農民の収入増を図る。未来の柏林湾 村は、村落の様子が消潔で、インフラが完備し、産業の底力が充足していて、生き生きとした繁栄 振りを見せてくれるであろう。 (資料翻訳続三義教授) 訪問した村民韓勇さんのこと 長女 (21)、長男 (19)を持つ四人家族、家は平屋立て、 田を持つ。 訪間した李金光さんのこと 移転のためには7万元かかり、政府の補助は2万元、自己負担は5万元であった。 退耕還林地 6人で各 4ムーずつ計24ムーを保有。アカシアを植えている。 1年に 1ムー160元 (140元 +20元)を補助され、林木活着率は 75% 林権証も有り、 10月から 12月にかけて交付される。 別に経済林(果樹園) 12ムーあり、リンゴの年間収入は 1万元である。 5間。移民1人当り 2ムーの基本口糧 柏林湾移民新村 .. ,., ""'ゃ... 建設が続く柏林湾移民新村 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 二 九 二

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平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

セッション

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PM2:00-6:00

テーマ 移民新村政策の効果と課題 司 会 ( 西 北 大 学 菓 道 猛 ) (基調報告30分、補足質疑10分) (1) 中国国家の扶貧政策と「三農」問題(中国人民大学 (2) 移 民 新 村 政 策 の 効 果 と 課 題 ( 東 洋 大 学 都 仁 平 ) (3) 移転後農家所得状況の変化とその原因(東京経済大学 (4) 移民新村の現状と問題点(宜川県) (5) 移民新村の現状と問題点(子長県) 関 権・王 羅 漠儒) 歓鎮) このセッションで報告された内容は、本編論文・資料集として収載したほか、当日配布したレジュ メ集を参照されたい。 2008年 9月138(士)

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延安市革命旧跡等見学

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会場におけるシンポジュウム総括 東洋大学 祁 仁平 この 2

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間のシンポジウムで、私自身から言えば、このプロジェクト、シンポジウムを主催する 側として、まず、末端組織、第一線で活躍しておられる皆様、遠路はるばる、会場においでくださっ た専門家の皆様に、まず感謝の意を表したい。 このシンポジウムの特徴を言えば、次のいくつかの点にまとめることができるだろう。 まず、 1、経済理論を持って、末端組織で働く皆様と話すことができるシンポジウムは、どこで も見られるものではない。学者は理論の面で考察するが、現場のことは少し知っているだろうが、 現場へ行って、現場の人々の話を聞くことこそ、研究を有意義なものにする。理論は実践から来る ものである。今後もこうした交流を続けて行きたい。このシンポジウムでは、学者は術語、専門用 語を用いていて、ちょっと聞きにくかったかもしれないが、たくさん聞けばそのうちだんだん分かっ てくるだろう。学者たちの発表は皆さんのこれからの仕事にいくらかの参考を与えられれば幸いで ある。 2、このシンポジウムの課題は「扶貧」であるが、その及ぶ範囲が広く、マクロ的な見方もあれ ば、ミクロ的な見解もある。国外国内、その他の省のこともここで発表され、全方位的な発表であ る。見方には相違があるだろうが、目標は一致している。「扶貧」はまだ厳しい問題に直面してい る。中国は発展途上国で、

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本は停滞中の発達国である。互い経験を交流していく必要が有る。 二 九 いくつかの感想 今までは、移民の元の住居には行けなかった。今度行けた。これも進歩ではないか。その「現場」 をもっと公開してもいいのではないか。 5.12の地震で、中国は即時に情報を公開し、世界各国から 評価を受けた。四川地震で、情報を公開することで、経済面での支援を獲得したばかりでなく、中 国という大国のイメージも世界に見せたのである。

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国内の学者を含むが、中国の農村における調壺活動はいろいろな困難にぶつかる。こんど、現場 を見ることができて、延安のイメージ評価も高まるだろう。イメージ公開を通して、冊界からの援 助も受けやすくなるだろう。われわれは、延安のイメージを少しずつ日本の各界に提供している。 扶貧活動は大きな成果が上がっている。しかし、問題も残る。でも、このシンポジウムで発表さ れた数々の論文は、これからの扶貧活動の展開に役立つものとなろう。 われわれは学術研究をしている。中国の扶貧活動に対する判断とか評価は、一定の時間がないと、 それが正しいかどうか、わからない。われわれはこれからも後続調在を続ける。われわれのプロジェ クトは後1年ある。その研究結果は皆様のご参考になれれば、幸いに思う。 このたびのシンポジウムは私にとって、いい勉強の機会となった。進行段階で行き届かないとこ ろも多かったと思うが、ご勘弁願う。次回のご参加も心待ちにしている。 平成二 0 年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ 二九〇

参照

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〔付記〕

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高村 ゆかり 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 寺島 紘士 笹川平和財団 海洋政策研究所長 西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科 准教授 三浦 大介 神奈川大学 法学部長.

海外では、IUCNによるLME(Large Marine Ecosystem/大規模海洋生態系)、UNE PのGIWA(Global International Waters Assessment)、WWFの Marine Ecoregions