• 検索結果がありません。

(1)  平成20年度現地調査概要

平成20年度現地調壺は、日程の前半を延安シンポジュウムに充てたため、日的とした山西地方中・

北部の農村訪問は短時日に限られた。また、本年報での報告は紙数が限られているため、通過地の 概略を記すにとどめざるを得なかった。そうした中でも、かつての革命聖地の一つ、大秦を訪れ、

新たな市街の風貌と一軒の農家楽をつぶさに見学出来たこと、大同において日本人NPO法人GEN

(緑の地球ネットワーク)の代表高見邦雄氏と有意義な会談を行なったこと、その間、太行山脈の 過酷な環境の中で生育を保護する緑化事業のあり方を観察出来たことなど収穫は大きかった。われ われの調査は山西の省都太原から始まり、東端大秦への訪間を往復したほかは、専ら北上して大同市 まで山塊迫る山中を通り抜けたことになる。以下に調企・視察地の現状や印象を略記しておきたい。

太行山脈での樹木生育には一本ずつ根本を小石垣で囲い少しでも 土壌流失を防ぐ工夫が欠かせない(GEN事務局長高見邦雄氏写)

(2)  調査点描 大塞・農家楽

狭西省大秦は1960年代、陳永貴が「自力更生」を唱え、毛沢東が「農業は大塞に学べ」と号令し、

中国全土が揺れ動いた象徴的な村である。その当時の歴史的経過はすでに多くの研究書や紹介があ り今更解説する必要も無かろう。但し、大塞は第一次英雄村から20年を経て、経済開発により億元 村と呼ばれ、再び、世間から驚愕の目を以で注目され、引き続き聖地巡りの観光客を迎え入れるこ

とになった。

9月中旬、訪れた大塞はこじんまりとして、山合いに静かな竹まいを見せていた。全村人口75村

‑ 75 ‑

平成二0年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ニ四二

平成二0年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

35,000人、面積1.88平方キロメートル。 2005年現在で大泰村住民の平均年収は5,000元を超えている。

1960年代から1990年代初頭までは800ムーの土地にしがみつく単一農業生産に頼る一方であった。

1992年以来、一転して経済開発を中心に村の生産機構は一変した。羊毛のシャツ・洋服工場、コン クリート、酒造、クルミジュースなどの生産工場を建設、農民は管理者、技術員、エ人に変化した。

そうした中で旧革命的拠点と新たに変貌を遂げた新村見学を兼ねた観光客からの収入は30%を越え るという。その間観光地の一つは虎頭山公園であり、村の一角にまとめられた旧村落を残したお土 産店街が活気を呈していた。われわれは村に20軒有るという農家楽の内の一軒趙晋国さん (35オ) の店を訪ねた。

農家楽と言っても宿泊はなく、食事を提供するが、同時に年第的に分けた部屋に飾ってある記念 の写真、道具などを見て農家の一時を楽しんで貰うのだという。 2002年からはじめ、 1年の収入は 2 3万元、経営税は9 %、農地は1.8ムー(玉葱は集団で耕作し、とうもろこし、栗は自分で耕 作、収穫する種代は補助金でまかなう)。ほかに退耕還林地2.4ムー。 5分の3は生態林で柳、柏を 植え、 5分の2は経済林で桃、クルミ、山椒、棗、杏などを植える。補助金は年350元、林権は集 体が管理し、管理人は年寄り、女性が多く、エ賃を得ている。

この村は民間企業もあり、出稼ぎ人はなく、子供の教育費は全て無料である。養老金は60オから、

年齢が上がると額も増加する。合作医療保険は年間20元。企業の利益が多ければ村民に配当する

(現在は趙氏は投資に充てており、 2007年の配当は1,000元を得たという)。

観光商店街の人り口

ニ四

虎頭山から生態林の続く谷間を見る

農家楽入り口 若い経営者

― ‑

76 

接客に便利な食器パッケージ

太原・山西財経大学

大泰から再び太原に戻り、山西財経大学に同経済学院院長斬共元教授を訪ね山西省の経済情勢に ついての座談会を開く機会を得た。同大学は1997年10月27日に山西経済管理学院と山西財経学院が 合併したもので広大な敷地に20,000名の学生数を要している。山西省経済の大きな要素である石炭 産業の将来についてまた特に最近頻々と起こる老朽炭鉱の落盤事故をめぐる政府の処理なども話題

となった。

山西財経大学正門

特産のクルミジュース

山西財経大学キャンパス

大同市・ GEN事務局長との会見記

今回の調壺記は紙面の都合でおおくを別の機会にせざるを得ず、末尾に通過コースのみ記すが、

大圃において日本の認定特定非営利活動法人GEN(緑の地球ネットワーク)の事務局長高見邦雄 氏と会談が出来、山西省の生態環境保持への努力、植生の情況などを聞き取ることができた。また、

中日合作緑色環境林センターを訪問し、趙立祥経理、技術員楊元勝氏らから同センターの植林、種 植情況を伺った。同センターは1994年から始り、 2005年50ムー、 2006年160ムー、現在は323ムーで、

新たにアオダモの植生効果が大であることが分ってきたという。但し、最近中国における人件費が 高騰気味で、 1日50元(同センターの最低は1日15元のエ人もいるという)かかるようになり、現 地GENの活動に影響を与え始めているという。 ( 文 責 飯 塚 勝 重 )

‑ 77 ‑

平成二0年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂ニ四〇

平成

︱ 10

年度﹁中国内陸部における貧困対策に関する研究﹂

関連したドキュメント