中学生の生活環境と生活意識 : 広島県における地域類型別比較
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(2) 68. 野. 垣. 義. 行. た首都圏,大阪,名古屋といった巨大都市でほ,人口の彪大な流入にあえぎ,都市として の機能を麻捧,喪失しようとしている。他方農山村においてほ,先ず若者が村を去り,そ れを追って老人が村を出ていくというように人口の流出ほ著しく,人口の減少によっても ほや村としての生活が維持できない状態においこまれているところが少くない。 こうした現象ほ,日本の産業構造の変化の反映であり,歴史的必然であると見ることも 可能であろうが,そのもたらす影響ほ非常に大きい。この現象は,単に産業構造の変化が 直接的に関係する経済面に作用するだけでなく,住民の生活のあらゆる側面に影響を与え. ている。教育もその例外でほない。一例をあげると,人口集中地帯においては,児童・生 徒の激増に校舎の増設,教師の増員が追つかないといった現象が,また人口流出地域にお いては,分校の統廃校があいつぎ,正常な授業ができないといった現象がみられる。 広島県ほ瀬戸内海に面し,東を岡山県,北を鳥取・島根県,西を山口県に囲まれた中国 地方最大の人口・面積をもつ県であるが,人口の流入・流出現象の典型的に見られる県で もある。県庁所在地である広島市,新産都市に指定されている福山市は人口流入の著しい 地域であり,県北を東から西へ走る中国山地は人口流出の全国的に見ても特に著しい地域 である1)。また瀬戸内には多くの島が点在し,一方では,そこにほ耕して天に到るという 表現がそのままあてはまるような段々畑,昔ながらの一本釣り漁法にしがみついて生活し ているもの,他方ではみかんの栽培であて,. 7桁農業を営んでいる豊かなものまでバライ. ニチイーに富んでいる。 こうした地域の産業構造の違いは,住民の生活構造に差をもたらし,子どもたちの生活. や意識に何らかの特色を与えていると考えられる。そこで地域を都市,近郊農村,山村, 島に分かち,これらの地域の産業構造,人口構造,それらを反映した生活構造が,子ども たちの生活及び意識にいかなる影響を与え,いかなる問題を生み出しているか,というこ とを明らかにしようとして行なったのが本調査である。その主たる目的ほ,中学生の生活. 環境・生活意識が上にあげた四つの地域類型によってどう異なるか,を明らかにすること にある。. ⅠⅠ調査の方法 1.調査内容. 調査票は全部で49の質問からなっている。質問の大部分ほ多肢選択の形式をとったが, 自由記述の項目も含まれている。調査項目は次のように分類できるo ①基礎的事項. 年令・性別・家族構成・親の学歴・職業など17項目. ②生育環境・生育歴に関するもの11項目 ③現在の生活実態に関するもの11項目. ④生活意識・教育意識・職業意識に関するもの10項目 2.調査方法. 計49項目. 質問紙法. 上記の内容からなる調査票を学級担任を通じて被調査者に配布し,回収した。.
(3) 中学生の生活環競と生活意識. 第. 1表 学校所在地 広島市 〝. 尾道市. 福山市 呉. 高. 陽中学校. 安佐郡高陽町. 大. 野. 〝. 瀬. 野. 〝. 佐伯郡大野町 安芸郡瀬野川町. 安. 部. 〝. 駅. 家. 〝. 吉. 和中学校. 戸河内 八 幡. 〟. 〃. 深安郡神辺町 芦品郡駅家町 佐伯郡吉和村 山県郡戸河内町 芸北町 神石郡三和町 〝. 釆. 見. 〃. 作. 木. 〃. 上. 高. か. 比. 和. 〃. 豊. 浜中学校. 豊田郡豊浜村. 東. 野. 〝. 明. 徳 島. 〝. 東野町 安芸郡音戸町. 内海西. 〝. 鹿. 計. 市. 〝. 双三郡作木村 比婆郡高野町 〝. 比和町. ・. 〝. 倉橋町. 沼隈郡内海町.
(4) 70. 3.調査期日. 野. 垣. 義. 行. 昭和42年3月. 4.調査対象. 都市,近郊農村,山村,島の四地域類型を設定し,対象数が地域によって極端にアンバ ランスにならないように,各地域ごとに5-7の対象校を選んだ。地域類型別調査対象校, 調査対象校所在地は第1表の通りである。 上記対象校に昭和42年3月現在在学中の中学生を調査の対象としたのであるが,地域 別に実数を示したものが第2表である.. ⅠⅠⅠ調査対象の背景 地域類型によって,そこに生活する中学生の生活実態や意識がどう異なるか,を明らか にすることが本調査の目的であることは既にふれたが,そのさい問題になることは,地域 額型を形づくる地域差をどう捉えるか,ということである。いうまでもなく,一口に域地 差といってもその内容は極めて複雑で,地域差を明らかにするためにほ地域の産業構造,. 人口構造の違い,あるいほ歴史的・地理的条件,更にほ文化的条件等々,それらがからみ あい投射された住民の生活構造差などについて,具体的にしかもそのからみあいの力関係 を立体的に捉えることが必要であろう。しかし,現時点においてほ資料の関係から,かか る作業は不可能なので,問題が残ることほ承知の上で,地域差について部分的・皮相的で ほあるが取りあげることにする。. 調査対象の地域的性格については「Ⅰ研究の目的」のところで少しふれたが,ここでは 人口構造,特に人口の増減率と産業構造について,更にほ地域住民の生活実態・意識の反 映であるとともに彼らの教育意識との接点に位置すると考えられる高校進学率について取 りあげてみたい。. 1・人口構造と産琴構造 調査対象校所在地の市町村の昭和40年の人口, 35年の人口,昭和35-40年の人口増 減数・率,昭和30-35年の人口増減率及び昭和40年現在の産業構造を示したものが第 3表である。 県下109市町村(12市97町村)のうち,昭和35-40年にかけて6市23町で人口 が増加しており,残りの80市町村で減少している。人口増加市町村の大部分が呉市,広 島市,大竹市を結ぶ地帯及びその周辺部で,その他でほ府中市,福山市,三原市とそれら の隣接地において増加が見られる。. 調査対象の都市でほ尾道市を除いて他は人口増加地帯であり,特に広島市と福山市で著 しい。広島市ほ中国地方最大の都市で,依然としてかなり高度の増加率を示しているが, 昭和25-30年の増加率が24.3%であったのが次の5年間でほ19.5%,更にほ16.9% と増加の速度をゆるめている。広島市ほ太田川のデルタ地帯に発達した都市であるが,局 囲を山にとりかこまれた地形から見て土地利用は極点に近い。現在周囲の山がけずられ宅.
(5) 中学生の生活環境と生活意識 第. 註. 国勢調査資料から作成. 3. 71. 表. △は減少数・率. 地造成が進行しており,更にほ沿岸の埋立ても盛んで,今日の広島市ほ数年前のそれとか なり様相を異にしているが,平坦地の確保ほ難かしく,人口の増加率は横ばいか漸減の傾 向を示すものと予想される。これに反して後にもふれるが広島市周辺地域の増加率は著し い。一方福山市では日本鋼管の福山工場を中心に工業化が進展しており,人口増加率ほ漸 増の傾向にある。. 産業構造から見ると,広島市でほ第一次産業としては牡嘱の養殖を中心とした沿岸漁業, 野菜の栽培が見られるぐらいで,これに反して第三次産業の占める比率が高く中国地方の 中.亡J地としての商住的性格が濃厚である。呉市と福山市は相対的に第二次産業の占める比 率が高く工業の街として特徴づけられよう。尾道市は古くからの商都であり,観光に見る べきものがあるが,他市の発展にやや取り残された傾向が見られる。. 近郊農村のうち特に広島市周辺の町での人口増加が著しいo高陽町では昭和30-35年 では5.8%の減少であったものが昭和35-40年では増加に転じ,今日急ピッチで増加し ている。上に広島市周辺地域の人口増加が著しいと書いたが,大野町・瀬野川町はこれに 該当する。調査対象地域ではないが人口増加の著しいものを挙げると,東洋工業をひかえ.
(6) 72. 野. 垣. 義. 行. た府中町が70・5%,砥園町が62.6%,安芸町が56.1%,安古市町が48.9%,佐東町が 48・9%,海田町が42.5%,五日市町が35.4%,矢野町が33.5%と,これらはいずれも 広島市に隣接した地域である。これらの地域ほ純農村というよりも広島市のベッドタウン 約性格を次第に強めてきている。これに対して神辺町,駅家町では,わずかながらも人口 の減少が見られるが,中心地である福山市の発展にともなって大きく変貌することが予想 される。. 山村ほいずれも人口減少の著しい地域で,昭和35-40年の減少率ほ前5年間の減少率 を大幅に上回っている。調査対象校である戸河内中学校のある子どもほ次のようにいって よこごう. いる。「わたしたちの村,横川ほ,広島県でいちばん西のほてにあります。ちょうど三段峡 の裏側,恐羅漢の谷あいにある村ですo父の話によると,昭和37年ぐらいまでほ戸数が 60あまりあったといいます.いまほたった6戸だけが,しょんぼり残っていますoわた しの家もいつどこへ出ていくのか,父は毎目頭を痛めていますo」2'またある子は次のよう. に書いて.いる。「父ほ海田のある金属会社-出かせぎに行っている.期間は田んぼ仕事のな い12月から4月ごろまでですo兄がひとりいるが,広島へ出て三菱重工でずっと働いて おり, 『もう小坂(戸河内町小坂)へは帰らん』といっている。母も小坂にいてもしかたな. いので,父のせわをするため広島に出ている。父と母はアパートを借りて暮している。わ たしは学校の寮にずっと寄宿しているから,小坂の家は『空家』になっており,わたしも 休みのときほ広島へ帰るのです。家には田が50アールほどあるのですが, 5月ごろ両親 は小坂へ帰り,田んぼ仕事をしますo」3)これに類した記録は『中国山地』に多く見出すこ. とができる。なお山村でほいうまでもなく第一次産業の占める割合が高い。 島ほいずれも瀬戸内沿岸に位置しており,一目に何回かの定期連絡船が通い,また本土 と橋で結合されていたりして離島といった感じはあまりしない。人口はいずれも減少して いるが山村地域程著しくなく,また島によってかなりの凹凸がある。豊浜村,東野町では 昭和35-40年の減少率は前5年間の減少率よりも大幅に上回っているが,音戸町では逆 の結果を示している.これは昭和36年に呉市と音戸町を結ぶ音戸大橋が完成され,交通 の問題が解決されたことが影響していると考えられる。倉橋町,内海町では横ばい状態で ある。. 豊浜村ほ第一次産業の占める割合が高いが,その中心をなすのは一本釣漁業である。東 野町でほ第一次産業のうち農業の割合が高く,第二次産業としてほ小規模な造船業を有し, また海上一時間足らずで通える竹原市-の通勤者も多い。音戸町では第二次産業の比率が. 高いが,これは造船の街呉市-の依存を示していると見ることができよう。倉橋町,内海町 でほ第一次産業の割合が相対的に高いが,その中心は漁業というよりもむしろ農業である。 2.高校進学率. 調査対象校別の高校(高専を含む)進学率を示したものが第4表である。 広島県の高校進学率は,東京都に次いで第二位で全国平均を大幅に上回っている(第5 表参照)0.
(7) 73. 中学生の生活環境と生活意識. 駅. 野. 〝 〝. 7. ー. 〝. 00781(古5 1543379 7597778. 57797 10489 58746. CO5334 35533 59767. 1200432 2560710 9789789. 9104193 740518(0 6776689. 400666一. 82272. o7209一 21709 46422. l l l. 註. 50677. 村. 7561994. S369釦6763769. 9603486 7406225 4545466. 山. 4(古899 39661 98999. 部 家. 〝. 07796 1776 9(8899. 安. 野. 93242 7錦6375幻. 陽中学校. %一. 15076 36594 CO9889. 〝. 高 大 瀬. 47350. 〝. 42. %.. 00032 9224史U 8889虫U. 〝. %.. 昭. 31460 只)9〈uU89. 〝. 4 1. 74496 311(古5 88CO88. 国泰寺 久 保 城 東 東 畑. %.. 昭. 86771 61108 79898. 音中学校. 昭 35. 41638 73320 58CO78. 観. 4一昭. 調査対象校. 表一40. 第Tl・-・・. 1. 学校基本調査から作成 第. 5. 表. 一般的にいって,高校進学率ほ年ごとに増加の一途をたどっているが,その増加率は山 村において最も著しい。この現象を,教育熱の高まりである,子弟を高校にやるだけの経 済的ゆとりがある,とはたして見てよいだろうか。ある山間部の教師は次のようにいって いる。. 「昭和25年ごろは高校進学率が23%程度だったのが,昭和40年には87%にな. っている。こうした進学ムードの中で-き地の子どもたちほ恵まれない生活と学習を余儀 なくされている。単に進学率が高まったということは,山村にも教育に対する関心が高ま. ったということではない。一口にいって農業破壊とか農村崩壊とかいうことば通り,経済 的危桟が農村にも深刻な打撃を与えている。そしてこのことほ農業に対する若者の希望を 失わせ,せめて高校でも卒業していなければ就職も望まれないところにあせりを示してい.
(8) 74. 野. 垣. 義. 行. る。」4)高校を出ていなければ就職にさしつかえるといったことほ,高校進学者の増大とほ 逆に中卒者が激減し,彼らの売手市場である今日そのままあてはまらないのであるが,将 来を考えた場合,せめて高校を出ていないと何かにつけて不利であるといった意識は今日・ でも根強いものといえよう。 山村において高校進学率が高い理由の一つとして次のような事情が作用している。「公立 高校には希望者のほぼ全員がほいれる○分校と本校の格差という問題ほあるが,比婆郡下 にほ公立高校が4校,交通の不便な町村にほみな分校がある。辺地でありながら高校の設. 置密度は高い。」5) 地域別に見ると,都市・近郊農村においての進学率が高く,山村・島において低いとい えるが,むしろ同一地域内においてかなりの格差が見られる。例えば,広島市という同一. 地域内にあるにもかかわらず,観音中学校の進学率と国泰寺中学校のそれとでほかなりの 開きが認められる。前者は市の南西部に位置し,校区に県下最大のいわゆる部落を有して. いるといった事情が作用していると考えられる。一方後者ほ市の中央部に位置し,地域は 商住的性格を示し,校区に広島-中の後身である国黍寺高校を有している。こうした地区 の経済的・文化的・社会的性格の差といったものが進学率に大きく作用していると考えら れる。. 調査対象者の一部が含まれている昭和42年の高校進学率について見ると,都市・近郊 農村でほそれほどの差は見られないが,山村にあってほ戸河内中学校の55.0%が最も低. く,八幡中学校の卒業生19人中18人進学で94・7%というのが最も高いが,昭和41年, 43年の進学率を見ると,前者にあっては74・1%,. 75・2%,後者にあってほ70.0%, 86.0% といった具合で,昭和42年の進学率はやや特異な現象とも見ることができよう。島でほ. 豊浜中学校の53・8%が最も低いが,これほ既にふれたように豊浜村の後進性を物語るも のであろうo一方東野中学校ほ95・5%と高いが,これほ島内に県立高校をはじめ広島商 船高校6'を有していること,また竹原市に隣接していて商業高校等-の通学に便利である といった事情が作用していると考えられる。. ⅠⅤ. 結果の分析. 1・被調査者の家族的条件 ここでは被調査者の親に焦点を合せて,学歴・職業・収入等について問題にする。 1)父親の年令. 被調査者の父親の年令について見ると(第6表),全体を通じて41-50才の父親が多い ことが知られるoこのことほ被調査者が中学生であるということから当然のことといえる が,地域間にはかなりの差が認められる。. 51才以上について見ると,都市の13.5%に対. して島でほ27・4%とその割合ほ倍以上になっているo. D・K・がかなりの割合を占めてい. るのではっきりしたことほいえないが,島の人口構成のアンバランスを物語るものと見て よいのでほなかろうか。.
(9) 75. 中学生の生活環境と生活意識 第. 表. 6. 41 ′}50. 40才以下. D.. 51才以上. K.. 59. 13.5. 288. 65.9. 59. 13.5. 31. 7.1. 437. 100.0. 44. 12.5. 186. 53.0. 81. 23.1. 40. 11.4. 351. 100.0. 46. 16.5. 142. 51.1. 53. 19.1. 37. 13.3. 278. 100.0. 28. 10.2. 102. 37.2. 75. 27.4. 69. 25.2. 274. 100.0. df-9. 検定が-92.06. p<0・001. 第 初等教育 174. 40.8. 表. 7. 中等教育 143. 67. 高等教育. 32.7. 42. 9.6. 74. 16.9. 437. 100.0. 19.1. 19. 5.4. 88. 25.1. 351. 100.0. 3.2. 90. 32.4. 278. 100.0. 2.2. 105. 38.3. 274. 100.. 177. 50.4. 159. 57.2. 20. 7.2. 9. 143. 52.2. 20. 7.3. 6. df-9. 検定が-206.36. 0. p<0・001. 第. 表. 8. 初等教育!中等教育;高等教育 41.4. 181. 175. 162. 46.2. 116. 137. 49.3. 50. 141. 51.5. 検定が-76.38. df-9. 1 37. 40. 0. 9. 2.1. 33.0. 4. 1.1. 18.0. 3. 1.1. 13.5. 3. 1.1. 1. p<0・001. 第. 9. 表. 34. 207 (鞍.αL...4.α..-;. 14 10. 0. ・. 207. .89 10. 2. ・. 一. 検定x2-528176. df-30. p<0・001.
(10) 76. 野. 垣. ′. 義. 行. 2)両親の学歴. 両親の学歴を示したものが第7・8表である.父親・母親とも初等教育だけという老の 割合が高い。また相対的に中等教育修了者は母親に,高等教育修了者は父親に多いといえ る。地域別に見ると父親・母親とも同じ傾向を示し,親の学歴ほ都市で最も高く,次いで. 近郊農村となっており,山村・島では低い。 3)豪の職業,出稼ぎ・内職等の状況 家の職業について見ると(第9表),都市に専門,管理,販売の割合が高く,山村に農林 莱,島に農漁業,運輸・通信の割合が高いというように地域の産業構造を反映して地域間 に有意差が認められる。また近郊農村で農林漁業が18.5%と低く,それに対して事務, 技能・生産工が高い割合を示していることが注目されるが,このことは既にふれたように,. 調査対象として取りあげた近郊農村が,純農村というよ、-り都市のベッドタウンとしての性 格を有していることを物語っているものといえる。 第1図は共稼ぎ・兼農林漁業・出稼ぎ・内職の 状況を示したものである。. 兼務'・,. I---兼農林漁. I-I. -. 先ず共稼ぎについて見ると,都fF,近郊農村で 高くともに約20%. となっている。兼業は近郊農 村で最も高く,次いで島,山村となっている。一 方出稼ぎほ山村で最も高く(19.4%),他地域では 2%足らずである。はじめ山村,島ではU.稼ぎ率. \. がもう少し高いのでほないかと予想したのである. □2r=ロ. I__I""_.. 郊. 市. 吐息 坪村. 出巌k,. /. 山. 村. 第1図. 内職. が,これは当らなかった。もっとも出稼ぎをしてい. ないとはっきりと否定したものほ山村で63.0%, 島で82.1%で他はD.K.であるから,実さいほ この数字をやや上回るとも考えられる。島の出稼 ぎ率がほとんど都市とかわらず低いのほ,温暖な 瀬戸内気候に恵まれて冬でも農業が可能なことが. 作用していると考えられる。内職率であるが,近 郊農村の13・9%ほまずまずとして,都市の5.3%ほいかにも低いように思われる. D.K. がかなりあるので実さいの数値はこれを上回ると考えられるが,調査項目が内職について であるため,真実を語るのがはばかれた結果かもしれない。以上の項目は地域を分析の軸 としていずれも危険率0.1%水準で有意差が認められ,地域の生活構造の差を物語ってい るものと考えられる。 4)豪の収入,主な収入者,世話人. 年収に関してもかなりはっきりとした地域差が認められる(第10表)。現金収入だけが 経済的条件の総てでないこと,またD.K.の占める割合の高いことから,このようにいう ことが許されるかどうか問題ほ残るが,都市が最も経済的に恵まれており,次いで近郊農. 村.山村が一番恵まれていないo.
(11) 77. 中学生の生活環境と生活意識 表. 第10. 10 1. 苧?万日l3 1 40 以. 下. ∼. 12. ∼. 日日 ∼. 120!. 140. 27i. 17. 1. 15 3.4. 141. 161万. ′-. 160 円以上 13. 3.0. 24. 10. 6.8. 2.9 0 0. 24. 8.6. 10 3.6. 17. 6.2. df-30. 検定x2-159・06. p<0・001. 家の主な収入老を示した第11表によると,どの地域においても父親が中心であること が知られるが,島でほ55・9%とその割合が他地域よりもかなり低く,「その他」が35・0% もある。他方家での主な世話人(被調査者が主に世話になっている人)を示した第12表 島でほ母親以外がともに約27%. によると,どの地域でも母親という老が多いが,山札. と高い。これほ一つには祖父母の同居の割合が高いといった家族構成の違いの反映と見る ことができよう。第11表と考え合せて,特に島でほ収入を得る者は父親,子どもの世話 をする老ほ母親といった図式がそのままあてはまらない家族がかなりあることが知られるo. こうした事実ほ両親,特に母親の教育的役割の遂行に関して大きな問題を投げかけている といえよう。 第11表 その他. 父 339. 77.6. 66. 15.1. 近郊農村. 231. 65.8. 65. 18.5. 山. 187. 67.3. 76. 27.3. 153. 55.9. 96. 35.0. 市. 都. 村 島. df-6. 検定が-68.34. 市. 都. 近郊農村 山. 村 島. 検定が-48.37. 327 239 180 172. p<0・001. 74.8. 4 37. i一日. 68. 1. 351. r:0. 0. 0. CO. r:0. 0. 0. 64.7. 27. 62.8. 274. df-6. p<0・001. 00 0. 00 0. 1.
(12) 78. 野. 検定が-198・83. df-12. 垣. 義. 第13. 表. p<0.001. 第14. 表. 行.
(13) 79. 中学生の生活環境と生活意識 2.被調査者の家庭の文化的条件 1)住居の形態,文化的家財の所有状況. 住居の形態を示したものが第13表であるが,予想されるように都市に比べて他地域で 「自家」の割合が圧倒的に高く,はっきりと地域差を示している。島で「借家」というの が9.2%とかなり高いが,これほ島といっても交通条件がかなり恵まれており,既にふれ たようにそこから都市部-の通勤者がかなりいることを反映していると見てよかろう。. 第14表は品名別の文化的家財の所有状況を,第2図ほ数量別所有状況を示したもので ある。. 第14表によるとテレビ,電気・ガス釜,ミシン,ラジオ,電気洗濯機ほどの地域にお いても高い普及率を示している。扇風機,電気冷蔵庫となると山村で低いが,これは夏で もそれほど暑くないといった気候条件が一つの理由をなしていると見てよかろう。他の品. 目の所有率は地域によってかなりの開きを示している。各品目を同じウエイトで取りあつ かうことほ問題であろうが,第2図によると,都市にあっては所有個数の流行値ほ10で 最も高く,近郊農村では8,島でほ7,そして山村では5と都市の半分にすぎない。これ. らの所有状況ほ,その品目に対する必要度,欲求度と不可分の関係にあるので,経済的条 件からだけで云々できないが,山村で最も低いということほ,第10表でみた年収の低さ もおおいに関係していると考えられる。 2)学習条件. 第15表は,きょうだいとの共用をも含めて勉強部屋の所有状況を示したものである。 これほ住居の構造,特に部屋数等との関係が大きいので,その方面からの分析が必要であ. るが,第13表で見たように自家率の最も高い山村で,勉強部屋が「ない」という老が約 41% もいるということほ,家族,特に親の教育に対する関心・配慮の低さを物語ってい ると見てよかろう。. 専用机の有無について見ると(第16表),地域によってかなりの差が見られる。近郊農 村で最も所有率が高く,島で最も低いが,中学生にもなってまだ専用の机を持っていない 者がかなりいるということは問題にされてよかろう。. 第3図ほ学習参考書の所有状況を示したものである。参考書はほとんどの老が持ってお り 4…6冊というのが多い。. 10冊以上というのが近郊農村で最も多く約22%,島ではぐ. となっている。中学生にもなって教科書以外に学習参考書を全然持っ. っと-って約10%. 第15 な. 都. 327. 市. 近郊農村. 74.4. 山. 156. 56.1. 179. 65.3. 村 島. 検定が-. 30・67. df-. 104. 74.8. 261. 3. 85 113. 80 p<0・001. 表 い 23.8. 6. 1. 4. 437. 100.0. 24.2. 5. 1. 4. 351. 100.0. 40.7. 9. 3 2. 278. 100.0. 29.2. 15. 5. 274. 100.0. 5.
(14) 80. 野. あ. 垣. 義. 第16. 表. な. る. 行. い. 405. 92.7. 28. 6.4. 4. 0 9. 437. 100.0. 335. 95.4. 15. 4.3. 1. 0. 3. 351. 100.0. 245. 88.1. 27. 9.7. 6. 2 2. 278. 100.0. 234. 85.4. 31. 11.3. 9. 3 3. 274. 100.0. ∫○. ∂. 第. 3. 第. 図. 4. 図. ていないという者が山村,島にかなりいるが,これほ勉強部屋・専用机のとこで見たよう に,この地域における教育への関Jむの低さを物語るものであろう。. 第4図ほ単行本の所有状況を示したものである。この図を見てまず注目されることほ 「持たない」という老の割合が極めて高いことである。山村で46.1%,島で56.9%. と半. 数あるいはそれ以上にのぼっている。問題を含みながらも,勉強と直接関係のある参考書 については親もある程度の配慮をしていることがうかがえるが,考え方によってほ学習参 考書以上に重要だと考えられる単行本がこのような状況にあるということほ大きな問題だ といわなければならない。もっともこのことほ,親の教育的配慮が十分でないということ だけでなく,中学生個人の考え方の問題でもあり,学校側の指導の問題でもある。冊数に 関しては都市で多く持つ者の割合が高く,近郊農村,山村,島と低くなっている。. なお参考までに,週・月刊誌の購読状況を示すと第5図のごとくである。 3)階級帰属意識 生活程度を5段階に分けて,あなたの家はどれにあてはまるか,と尋ねた結果が第17. 第. 5. 図.
(15) 中学生の生活環境と生活意識 第17. 検定が-29152. df-12. 表. 0・001<p<0・005. 17表である。表にも明らかなように半数以上の者が「中の中」と答えているo日本人の中 流帰属意識が強いことほ各種の調査の示すところであるが,中学生においてもこのことは 妥当する。. 「上」. 「中の上」について見ると都市で高く,他地域との差はかなり大きいoま. た「下」では都市で低くなっている.一般に階層を判断する基準として学歴・職業・収入・ 財産・家柄・社会的名声・居住地域等があげられる。被調査者が何を基準とし,その中で 何を重視したかという点については何ともいえないのであるが,既に眺めてきた親の学 歴7・職業・収入等,あるいは文化的家財の所有状況や学習条件などが都市で最も恵まれて いたことを考えあわせると,彼らの階級帰属意識ほこうした傾向と対応するもので,被調 査者は比較的正しく家の生活程度を評価していると見ることができるo 3.生. 育. 歴. 1)いやな思い出. 「父親の失業や家族の病気などで困ったことがあったか」と尋ねたところ(第18表), 都市,近郊農村に比して山村,島において「あった」とする老の割合が高い。これからだ けだと,困ったことがあったといっても,その程度が生活の破壊を結果するほどのもので あったかどうか不明であるが,・山村・島ほ生活事情において都市・近郊農村よりも恵まれ ていないことがうかがえる。 第18. 検定が-20.58. df-6. 0・001<p<0・005. 表. 81.
(16) 82. 垣. 義. 第19. 表. 野. 検定が-175・02. df-6. 行. p<0.001. 「家族のことではずかしい思いをしたかどうか」を示した第19表によると,都市と他の 三地域とではかなりの差が認められたo.′自己の良心よりも他者がどう見るかによって行動 が規制されるという,. R・F・ベネディクトのいうところの恥の意識が日本人の対人意識の 特徴をなしているといえるが,この表にあらわれた結果によると,この傾向ほ都市で強い といえるo他の三地域でほコミュニティの範囲が狭いため,全面的捺触が展開され,ある. 家族の行動ほコミュニティの成員総ての知るところで,ことさらほずかしいといった意識 を伴わないのに対し,都市ではコミュニティの範囲も広く,接触も部分的となるため,知 られたくないことをかくすことが可能であり,かくしたいと思っている部分があからさま. にされた場合,よりほずかしさを感じるようである。都市的な性格の一つとして競争志向 性をあげることができるが,これはリースマンのいう他人志向的性格と結びついたもので,. 都市でほたえず外部を気にした生活が展開されていることを物語るものであろう。はずか しかった理由にほいろいろのものがあるが,その上位3つをあげると,「父が酒をのんで人 に迷惑をかけた」,. 「父や母の大声」, 「夫婦ゲンカ」で,親の行動に関するものである。. 「住いや持ち物のことでほずかしい思いをしたことがあったか」と尋ねたところ(第20. 秦), 「なかった」とする老がどの地域でも多いが,その中にあって山村で「あった」とす る老の割合が高く,そのはとんどほ「家が古くてきたない」. 「ちらかりすぎている」とい. った住居に関するもので,特に教師の家庭訪問のさいほずかしさを感じるようである。 第19表で見たように,都市でほ人間関係あるいほその行動にはずかしさを感じるのに対 し,山村でほ物的なものにほずかしさを感じておりこの対比は興味深いが,物的な家の古 さがはずかしいといっても,それは教師に対してほずかしいのであり,これは教師という 第. 検定が-18・13. df-6. 0.005<p<0.01. 20. 表.
(17) 83. 中学生の生活環境と生活意識 第 よく思った. 21表 思わなかった. ときどき思った. 市 都 近郊農村. 21. 4.8. 151. 34.5. 256. 58.6. 9. 2.1. 437. 19. 5.4. 107. 30.5. 208. 59.3. 17. 4.8. 351. 100.0. 山. 15. 5.4. 100. 36.0. 156. 56.1. 7. 2.5. 278. 100.0. 13. 4.7. 91. 33.2. 163. 59.5. 7. 2.6. 274. 100.0. 村 島. 検定が-2.08. df-6. 100.0. 0・90<p<0・95. そのヲミュニティにとっては外来者に対するはずかしさと見てよかろうo 「こんな家に生まれなければよかったと思ったことがあったか」という問に対する答え. (第21表)には有意差ほ認められなかったが,子どもはどんな時にそう思うか上位5つを あげてみると,. 「自分が悪くないのに叱られて」,. 「夫婦ゲソカ,きょうだいゲソカといっ. 「何かにつけてうるさくいわれる」,. た家庭の不和」「はしいものが買ってもらえない」,. 分を理解してくれない」という順になる。これらは各地域に共通したものであるが,山村,. 島では「交通の便が悪い」という理由をあげた老がかなりおり地域の性格を反映している といえる。. 2)親子関係. 「両親と話したり遊んだりすることがあったか」という問に対する答えを見ると(第22 義),都市で親子の接触の機会が多く,島で少ないことが知られる。これは第11・12表で みたように,両親がともに生産活動に従事する割合が高く,子どもの相手をしてやるゆと りがないこと,さらには家族に祖父母を含む割合が高く人間関係が複雑で,親子の接触が. どうしても制限されるといったこと,他方でほこれまで何回か指摘したように,一緒に話 したり遊んだりすることの重要性を意識していない,つまり教育的閑Jbの低さを示すもの ではなかろうか。. 「両親にうるさくいわれたかどうか」という問の結果が第23表であるが,都市の親は他 の地域にくらべてうるさかったようである。このことは第22表で見たことからもうかが われるように,接触量が多いためどうしても干渉しがちになるということとともに,一般 に指摘されているように,都市にあってより競争志向的で,わが子に対する期待が高く, 第. 検定が-31.13. df-6. p<0・001. 22. 表. 「自.
(18) 84. 野. 垣. 第. 検定が-26・56. df-6. 義 23. 表. 24. 表. 行. p<0.001. 第. D.. K.. 買-てもらえたL!しif=bL漂綿乏 46. 検定が-17・54. 10.5. 353. 80.8. 】 34. 7 8. 1 437. 100.0. 1. 57. 16. 2. 4 5. 0.9. 351. 100.0. 43. 12.3. 70. 30. 10.8. 75 9. 32. 11. 5. 5. 278. 100.0. 33. 12.0. 70 8. 40. 14. 6. 7. 274. 100.0. 0・005<p<0.01. df-6. それを実現するためにほ子どもの行動に対して何かと注文をつけずにはいられないのであ ろう。なおこの表からはわからないのであるが,性別によって見ると男子に対して両親は よりうるさかったといえる。. 「ほしいものは買ってもらえたかどうか」を示した第24表によると,都市でより多く希 望をかなえられたようである。このことほ第10表で見たように都市が他よりも経済的に 恵まれているということともに,子どもに対する関心の強さを示すものでもあろう。 4.現在の生活. 1)家庭学習. 第25表ほ「家で勉強する時間があるかどうか」を,第6図ほ「一日の勉強時間」を示 したものである。大多数の老が勉強する時間はあるといっているが,島で「ない」という 者が約10%もいるoまた第6図からうかがえるように,島では他の地域にくらべて一日 第 あ. 25. る. な. 都 市 近郊農村. 414. 94.7. 12. 340. 96.9. 山. 267. 96.1. 238. 86.9. 村 島. 検定が-32・93. df-3. p<0.001. 表 い. 2.8. 11. 2.5. 437. 100.0. 7. 2.0. 4. 1.1. 351. 100.0. 7. 2.5. 4. 1.4. 278. 100.0. 27. 9.8. 9. 3.3. 274. 100.0.
(19) 中学生の生活環塙と生活意識 ○. ∫○. 第. ∫○. ○. 第. 図. 6. 85. 図. 7. 平均の学習時間も短かい。このことほ既に見たように島の高校進学率が低いことや,学習 条件に恵まれていないこと,また地域の雰囲気も競争的でないといったことの表明と考え られるが,一方第26表から知られるように「家の手伝い」をする老の割合が高く,時間 的余裕がないこともー困をなしていようo 2)テレビの視聴,豪の手伝い. 第7図はテレビの一日平均の視聴時間を示したものであるが,どの地域の子どももかな り長時間テレビを見ていることが知られる。テレビは受け身の娯楽であり,このように多 くの老が長時間テレビを見ているということほ,子どもの生活において主体的な意味での 遊びがかなり後退していることを物語るものであり,以前の子どもの生活と現在の子ども の生活のあり方のちがいを示している。一目の勉強時間を示した第6図と見くらべて気づ くことほ,勉強時間が比較的短かかった島でテレビを見る時間が長いということである. これだと時間的余裕がないから勉強できないとほいえまい。勉強してそれからテレビを見 るというよりも,まずテレビといった生活態度がうかがえる。これにほ既にふれたように, 学習条件の悪さ,学習の必要をあまり感じていないということとともに,楽しみといえば テレビを見ることく中らい,といった生活の単調さを示すものとも考えられるo 「家の手伝い」を示したものが第26表である。毎日するという老ほ都市,島に多い。 「毎日する」といっても,簡単なものなのか,長時間を要し家族の生活上欠くべからざる 仕事なのか,その-んが不明で何ともいえないが,山村・島の子どもの方がよく手伝い, しかも親は子の手伝いをあてにしているようで奉るo 家の手伝いといえば男の子よりも女の子の方がよくするのでほないかと考えられるが, 第 毎日する 市. 都. 150. 時々する. 34.3. 表 ほとんどしない. 200. 45.8. 67. 15.3. 20. 4.6. 437. 100.0. 216. 61.5. 43. 12.3. 5. 1.4. 351. 100.0. 278. 100.0. 274. 100.0. 近郊農村 山 村. 87 79. 28.4. 177. 63.7. 19. 6.8. 3. 1.1. 島. 96. 35.0. 152. 55.5. 22. 8.0. 4. 1.5. 検定が-. 35.19. 24.8. 26. df-. 6. p<0・001.
(20) 野. 86. 垣. 義. 行. 事実,「毎日する」という老に関してのみであるが, 男女別・地域別に示した第8図によると,男女間に 大きな差のあることがうかがわれる.. 第26表,第8図からは明らかでないが,これを 学年別に見ると,都市でほ学年が進むにつれて手伝 いが-るのであるが山村・島ではむしろ増加してお り対照的である。このことは都市にあってほ親の進. 学にかける期待が大きく,高校受験期が近づくにつ れて手伝いをさしひかえる傾向があるのに対し,山 村・島でほ進学-の期待がそれ程高くなく,また進 山. ・都市. 吐息 如村 第. 学そのものもそれ程難かしくないといった事情が働. #). 村. き,また親の方でも子どもをひとりの働き手として 見ていることを物語るものと考えられ,同じく中学. 図. 8. 生といっても都市と山村・島ではその生活構造にか なりのへだたりがあることが知られる。. 3)学校生活・勉強で困ること 「学校生括は楽しいかどうか」を示したものが第27表である。. 「楽しい」理由としてあ. げたものを見ると,. 「よい友だちがおり一緒に話したり遊んだりできるから」というのが 「好きな学科がある」, 「授業が楽しい」, 圧倒的で,ぐっと下って「クラブ活動ができる」, 「いろいろな先生からいろいろな話をしてもらえる」というのが続いている去「楽しくない」 理由としてほ,. 「友だちとうまくいかない,乱暴する人がいる」というのと「先生の生徒. -の思いやりがない,えこひいきする,教え方が悪い」というのが相半ばしており,理由 を対教師との関係に求めている老が多いことが注目される。次いで「勉強がわからない」 というのが続いており,. 3年になると「入試をひかえて学級の雰囲気が悪い」というのが. 多くなってくる。 と半数以上の老が学校. この表で特徴的なことほ,近郊農村で「楽しくない」が64.4%. 生活に喜びを見出していないことである。何故このような結果になったか,はっきりしな いのであるが,理由の一つは学校自体の予備校化でほないだろうか。近郊農村の場合,高 校進学競争ほ都市と同一レベルで争われるため,教師が競争をあおり,オーバーな表現を 第. 27. 表 l. 某しい 345. 市. 都. 近郊農村 山. 村. 島 検定が-. 47・70. 楽しくない. 79.0. 60. t. D.. 13.7. 32. K.. 7.3. 437. 100.0. 81. 23.1. 226. 64.4. 44. 12.5. 351. 100.0. 142. 51.1. 107. 38.5. 29. 10.4. 278. 100.0. 191. 69.7. 15.7. 40. 14.6. 274. 100.0. df-. 6. 43. p<0.001.
(21) 87. 中学生の生活環境と生活意識 第 あ. 28 な. る. 表 い. 市. 277. 63.4. 142. 32.5. 近郊農村. 195. 55.6. 131. 37.3. 山. 172. 61.9. 88. 131. 47.8. 123. 都. 村. 島 検定が-21.57. 31.6. l ;≡; ;…芸二; ll:::Z 18. 6.5. 278. 100.0. 44.9. 20. 7.3. 274. 100.0. 0.001<p<0.005. df-6. すれば,ひとりひとりが切り離され灰色の受験生括を掛、られるたやでほなかろうか。近 郊農村に比較的多かった理由をあげてみると, 「入試をひかえて学級の雰囲気が悪い」, ない」,. 「勉強がわからない」,. 「先生の教え方が悪い」,. 「勉強が面白くない」, 「クラスがまとまってい. 「勉強中心すぎる」といったもので,学校自体の予備校化を物語っているように思. 考る. 「勉強で困っていることがあるか」と尋ねた結果が第28表であるが,半数以上の者が 「ある」と答えており,学習に閲しで悩みが深いことが知られる。その中味を見ると「き らいな教科がある」というのが圧倒的に多く,その中でも数学と英語がきらいな教科の横. 綱である。特に島でその割合が高い。次いで「勉強の仕方がわからない」という者が多く, これは都市・島で目立つ。「勉強に身が入らない,気が散る」は都市・近郊農村に多く,「家 に教えてくれる人がいない」ほ近郊農村・山村・島に多く,「高校入試」ほ都市・近郊農村 に多く,. 「勉強部屋がない」ほ山村に多く,. 「先生の説明が理解できない」は近郊農村に多. く, 「成績が下った」ほ各地域に共通している。 4)塾・家庭教師,けいこごと. 広島県は全国でも東京都に次いで私立学校の多い県で,しかもその私立学校の社会的評 価は高い。小学校の成績上位者は公立中学校-進学することよりも,高校までエスカレー ター式に行け,しかもその高校の一流大学-の進学率が高い有名私立中学校への進学を望. んでいる。こうした有名中学校ほ市部,特に広島市へ集中しているため,そこでの進学準 備競争ほ極めて激しく,塾教育ほ重要な役割を演じている。大ほ学校以上の規模を有する マンモス塾から小ほ数人の子どもを相手とする零細なものまで含めて,広島市の塾普及率 ほ全国一といわれ,その時期になると「少数精鋭主義」, 「各科専任教師」, 「00校-の合 格率00%」,. 「冷暖房完備」,. 「マイクロバスで送迎」といったチラシを毎朝の新聞に見る. ほどである.高校進学率全国第2位というのもこうした事情を考えあわせると当然のこと かもしれない。 第29表は塾・家庭教師の利用状況を示したものであるが地域差がはっきりと認められ た。利用したくても供給源がなければ利用できないが,都市でほ上に示した事情ともあい. まって30%の老が利用している。この30%という数字は,筆者らが昭和37年12耳 に行なった調査による利用率が30・3%であったことを考えあわせて妥当な数値と見て串 かろう7)。昭和37年の調査によると,学年が進むにつれて,つまり高校進学が近づくに.
(22) 野. $8. 義. 垣. 第. 行. 表. 29. 7. r:0. 0. 1. :0 0. 0. 18. 6 5. 27 8. 10 0. 0. 11. 4. 27 4. 10 0. 0. 7. 検定が-. 3. df-. 120.99. 2. 0. 0 0. p<0・001. つれて利用率が増大したが,この調査でほそのような傾向は認められなかった。他方男女 別に眺めた場合ほ,両調査とも男子の利用率が高い。都市に次いで近郊農村の利用率が高 いが高校進学競争のきびしさを物語るものであろう。山村で利用率ほ最も低くわずか1.8 %であるが,これは供給源の問題であるとともに既にふれたように高校進学がかなり容 易であり,またそれ程競争的でないといった地域の雰囲気を反映したものと見てよかろう。 「けいこごと」について示したのが第30表である。. 5%水準で有意差が認められたもの. の,塾・家庭教師の利用ほどほっきりとした差でない。けいこごとの内容として特徴的な ことは,都市にあってはピアノ・絵画といったものが相対的に多いのに対し,山村・島で. ほそろばん・習字といった実用的なものが多いということである。また性別によると女子 の方にけいこごとをするものが比較的多い。 5)親子関係. 第31表は「両親ほ成績や勉強のことをやかましくいうか」という問に対する結果であ 30. 第. 表 D.. 市 都 近郊農村 山. 14. 村. 島 検定が-8.82. df-. 3. 229. 市. 都. 計. 3.2. 437. 100.0. 11. 3.1. 351. 100.0. 8. 2.9. 278. 100.0. 10. 3.6. 274. 100.0. 0.025<p<0.05. 第 い. 冗.. う 52.4. 1. 31表 いわない. 191. 43.7. 17. 3.9. 437. 4.0. 351. 100.0. 100.0. 近郊農村 山 村. 172. 49.0. 165. 47.0. 14. 101. 36.3. 160. 57.6. 17. 6.1. 278. 100.0. 島. 127. 46.4. 140. 51.1. 7. 2.5. 274. 100.0. 検定が-. 16・83. df-. 3. p<0.001.
(23) 89. 中学生の生活環境と生活意識. る。やかれく「いう」という数値は第23表の「たい-んうるさかった」の数値よりも ずっと高いが,地域間に見られる傾向は一致しており,都市で最も高く,次いで近郊農村, 良,山村という順序になっているo第23表では,これまでの生活における全般的な親の 干渉の度合いを問題にしているが,第31表では「成績や勉強」に限定しているo成績や 勉強のこととなるとどの地域の親も口を出さずにはいられないようであるQその中にあっ て都市で最もやかれいということは,これまで何回もふれてきたように,都市という競 争志向的雰囲気の中にあり'成績や勉強が高校進学に直接結びついているだ桝こ,子への 期待が「成績や勉強のことをやかましくいう」という形で集中的に表明されるのであろうo なお学年別にはそれ程の差ほ見出せなかったが,男女別に見ると(第9図)各地域とも親 は女子に対するよりも男子に対してやか-いといえるoこれほ恐らく男子に対する期待 の方が大きいためであろう。 「将来のことで両親と話し合うことがあるか」という問に対する結果ほ,全体としては 有意差が認められなかったが,「よくある」という老について学年別・男女別に見ると(第 lo因)かなりはっきりとした傾向が認められるQどの地域においても学年が進むにつれて. よく話し合っていることが知られるo高校入試という人生におけるある意味での一つの転 換期,進路決定の時期を迎えるのであるから,どうしても親子間の話し合いが必要となっ てくるo男女別に見ると山村を除いて女子の方がよく話し合っているoこのことほ女子の 方が両親とのコミュニケーショソがうまくいっているということでもあろうが・男子にと. っては高校進学は当然のことで転換期といった大げさな意味を持っていない,つまり態度 決定が女子よりもー段階おくれていることを反映しているものではなかろうかo山村で女 子よりも男子の方が高いということは,どの進路を選ぶかということは,村を出るかどう かということと結びついているため,他地域とほ道の結果になったのではなかろうかo. 第. 9. 図.
(24) 90. 野. 垣. 第 い. 都. 島 検定が-10・63. 表 な. D.. K.. 40.8. 152. 115. 54.7. 41.4. 129 47.1. 48.2. df-3. い. 437. 100.0. 143. 54.1. 村. 行. 157 35.9. 190. 近郊農村. 32 い. 263 60.2. 市. 山. る. 義. 351. 100.0 278 100.0. 132. 274. 100.0. 0.01<p<0.02. 第32表は「家庭の中に何でもうちあけられる人がいるかどうか」を示したものである が,都市で「いる」とする者の割合が高く,島で低い。島でうちあける相手が「いない」 ということは第11表で見たように父親以外の人も主な収入老として働いており,また第 22表で両親と話したり遊んだりすることが「なかった」という者が多いことからも知られ るように,両親との接触時間に恵まれていないことを反映していると見てよかろう。中学 生という成長段階の-特色でもあろうが,全地域を通じてうちあけられる人が「いない」 がこのように高いことほ,家族生活のあり方に大きな問題を投げかけており,親子ともど も真撃に考えなおす必要があろうoコミュニケーションにおける日本の家族的特質として, 親子なんだからいちいち口でいわなくてもわかる, l芳チ. 「. 御せ子. いちいちいうのほ水くさい,今ほわからなくても. -芳子細事モr%Jt_するもの. 時期がくればぁかる,といったディスコミュニケ. ---芳子瀬きをriの佃Jとするtの --. ーサチ邦字乞r-%Jとするもの. -▲ー一 サ子鹿きtr,tの化」とするもの. ーションが認められるが,このよさは否定しない までも,必要な時には何でもいえる相手が家族の 中にいるということほ,何にもまして大切なこと でほなかろうか。. 第11図ほうちあける人が「いる」という老に ついて男女別に,さらにはその相手を示したもの である。まず男女別に見ると,どの地域において も「ある」とする者ほ女子の方に多く第10図と 同じ傾向を示している。うちあける相手について. 見ると,男女とも「母親」とする割合が高いが(那 市の男子でほ「その他」の方が多い),女子でその. .野≡. 害 者悪 念 第11図. 鳥. 率がより高く,女子一母親間にほ太いコミュニケ ーションチャネルが通っていることが知られるが, 男子一母親のチャネルほそれほど太いとほいえな.
(25) 91. 中学生の生活環境と生活意識 第 あ. 33 な. る. 表. 110. 25.2. 313. 71.6. 近郊農村. 106. 30.2. 221. 63.0. 山. 村 島. 検定が-17.29. 79. 28.4. 181. 65.1. 49. 17.9. 203. 74. 1. df-6. 2. 850山. 市. 都. 計. い. 437. 100.0. 351. 100.0. 278. 100.0. 274. 100.0. 0・005<p<0・01. い。子どものことは母親に,というのが日本の家庭教育の特色であるが・子どもの教育は 決して母親だけのものでなく,両親がそれぞれの役割を発揮してはじめてより望ましく展 開されるものであるから'父親ももっと積極的に子どもの前に出ることが必要であるo. 6)生活に対する満足度 「現在の生活に不満があるかどうか」を示したのが第33表であるoどの地域においても 「ある」と・いう老近郊農村で高く島で低くなっ 大半の老は不満は「ない」といっているが, ている。いうまでもなく満足・不満は他との比較において生じるものであるが,その比較 の対象はかけ離れたものでなく身近かなものに求められるo客観的にはそれほど恵まれて いるといえない島にあって不満をうったえる者が少ないということほこの事実を物語るも のであろう。. 不満の内容は各方面にわたっているが,指摘の多いものからいくつか倣こあげてみると, まず家庭の貧困をうったえる老が多く,ほしい物が買ってもらえない,勉強部屋や机がな いといったものである。次いで人間関係oこれほ家庭内と外に分けられるが,家族の人間 関係でほ親が自分を理解してくれないというのが非常に多く,その他きょうだいゲソカ・. 夫婦ゲソカといったもの,また出稼ぎなどによる父親の不在をあげているo家庭外の人間 関係でほ友人関係で,真の友人がいないという悩みが多いo人間関係と同程度あげられて いるものが高校入試に伴う悩みで,この理由をあげている老は掛こ近郊農村において目立 っ。先に第27表で学校生活が「楽しくない」とする老が近郊農村に多いことを見たが, このことと無関係でなかろう。 5.生活意識・生活設計 1)進学期待. 「将来どこまで進学したいか」という問に対する結果が第34表であるが,地域差が認め られ,より上級学校を志向している者の割合は都市において最も高く,近郊農村がこれに 続いている。これほ第7・8表で見た親の学歴の反映であるとともに,地域の学歴に対す る見方の反映でもあろうo特に都市で半数以上の老が短大以上を望んでいることほ,今日. 都市にあっては引き継ぐべき家産・家業というものがほとんどなく,学歴が唯一の資本で ぁり,よりよい職業生活を求めようと思えば,少なくとも大学は出ておかなければといっ. た時代的風潮を反映していると見られる。進学期待を男女別に見ると,どの地域において.
(26) 92. 野. 垣. 第. 検定が-166.79. df-9. 義. 34. 行. 表. p<0.001. ゝ男子. 都. 市. ーー--サケ. 並対象村.
(27) 93. 中学生の生活環境と生活意識 35. 第. 検定が-59.22. df-15. 表. p<0・001. も男子の方が高い。 2)賛成する暮し方 ①働いて金持になる, ⑧まじめに勉強して名をあげる・ ③金 や名誉を考えず自分にあった暮しをする, ④その日その日をのん気にくよくよしないで暮 第35表は暮し方として,. す, ⑤世の中の悪をおしのけてどこまでも清く正しく暮す,. ⑥自分のことを考えずに社会. のためにすべてをささげるような暮しをする,の6つをあ帆賛成する暮し方を選ばせた 一--一升この経由. -オーの理由. 郡. I. 234'. 市. 5・. 並卵巣村. 6. JT. 第13. /之. 図. 3. 〃∫占. 7(項g).
(28) 94. 野. 転. 義. 行. 結果である。各地域を通じて③をあげている者が多く,よくいわれているように大きな夢. を追わず小市民的生活で満足するといった傾向を示している。都市にあってほ④を合すと 約67%ものものが小市民的生活を志向している。次いで⑤が多いが,これはこの年ごろ の理想主義的な傾向,正義感のあらわれと見てよかろう。この傾向ほ近郊農村,山村で強 い。立身出世型を示した①②ほ相対的に低いのであるが,その中にあって近郊農村におい. てこの暮し方に賛成する者が多い。なお男女別に見ると,小市民型は共通して見られるが, 立身出世塑ほ男子に,理想主義型は女子に多く見られた。 3)出世できない理由. 第13図は「世の中にほ才能もありまじめに努力しているにもかかわらず出世できない 人があるが何故か」と尋ね,その理由として, ⑧その家の社会的地位が低い, あいが悪い,. ①よい縁故関係がない,. ④学歴がない, ⑤職業の選び方が悪い,. ⑧財産がない, ⑥上の人とのおり. ⑦社会全体の制度が悪い,の7つをあ坑第一の理由,第二の理由を指摘さ. せた結果である。クロス集計をしていないので,第一の理由としてあるものを選んだ老が, 第二の理由として何を選んでいるかということほ不明であるが,全体として見た場合,第. ⑦の社会 制度といった個人の枠を越えたものにその理由を求めている者が多い。次いで⑤の職業の 一の理由と第二の理由は同じような傾向を示している。全体を通して見た場合,. 選択のまずさである。. ⑥の人間関係的理由ほ,第一の理由としてはそれ程重視されていな. いが,第二の理由としてほどの地域においても重視されている。. ①②③④の理由ほどこで も低いのであるが,その中でも山村,島でほ①②⑧の理由を指摘している老が相対的に多 く,伝統的基準がまだいくぶんか残っていることを物語って面白い。. ④の学歴ほどの地域 でも最低に評価されているのであるが,進学期待に明らかなように現実にほ高学歴を求め ており,この矛盾を彼らはどう説明するのであろうか。学歴は就職のための条件であって も出世の条件とならないと思っているのだろうかoこの点これだけでは何ともいえないし, また彼らの印象が現実を正しく反映しているともいえないが,出世の条件としての学歴に 対する彼らの評価ほ興味深い。 4)職業意識 職業につく理由を,. ①一人前になるため,. ②世の中につくすため,. ⑨才能を伸すため,. ④名誉や地位を得るため,. ⑤生活費を得るため, ⑥各人各様(いちがいにはいえない),の うちから,第一の理由,第二の理由の2つを指摘させた結果を示したものが第14図であ. る。第一の理由としてほ各地域を通じて⑤の「生活費を得るた軌という老が圧倒的に多 いo次ほ大きく下って①の「一人前になるため」である○. ④の「名誉や地位を得るため」 という理由を指摘する老ほ非常に少ないのであるが,どうしたことか近郊農村で多い。第. 35表を検討したさいに,立身出世型が近郊農村で相対的に多いといったが,ここでも同 じことがいえる。. 第二の理由となると第一の理由ほど選択数に開きはないが,やほり⑤の理由を指摘する 老が多く,また@の「各人各様1というのが大幅に増加している。なお男女別ではそれ程 の差は見出せなかったo.
(29) 95. 中学生の生活環境と生活意識 一斉-の夕空由. 2. /. 3. jf. 一--一升このj確由. 占. ∫. /. 図. 第14 第. Z. 36. 表. 37. 表. やりがいの. ある仕事だ. 検定が-. 64. 28.6. 42. 23.1. 34. 26.0. 28. 22.2. 34.20. df-. 9. p<0・001. 第. 市. 都. 近郊農村 村. 山. 島 検定が-. 23.40. df-. 6. p<0・001. 3. 41. (占(項目).
(30) 96. 野. 義. 垣. 行. 以下父親の職業について子どもたちほどう受け止めているか,その職業を受けつく中気が あるかどうかといったことを問題にするが,今日なお家を継く..とか父親の仕事を継ぐとい ったことほ,男子に期待されていると見てよいと思うので,ここでほ男子についてのみ問 題にする。. 第36表は「父親の職業についてどう思うか」を示したものであるが,各地域とも大多 数の者は「特にどうとも思わない」といっているが,都市でやや低い。一方「やりがいの ある仕事だ」と父親の職業を高く評価する者は都市でやや高く,道に「つまらない仕事だ」 と否定的見方をする者も都市で高く,二重構造をなしている。 「父親の職業を受け継く小気があるか.どうか」を示した第37表によると,ほとんどの老が 「受け継ぐ気ほない」といっているが,その中にあって山村,次いで都市で「受けつく..気が ある」とする者の割合が高い。. 「受け継ぐ気がある」とする者の割合は,父の職業を「やり. がいがある」と見る老の割合よりも全体的に低いが,その中にあって山村でほかなり一致 している。山村のさびれていくのをまのあたりにし,自分たちの力でより豊かな生活,よ りよい郷土を築きあげようという意気がこめられているような気がするo事実山村のある 中学生ほ次のようにいっている。. 「新しい農民生活を目指してばく進する父母.そういう. 両親を持ち,農民の子として成長できたことをほこりに思っている。. -き地といわれよう. とも,いなかっぺといわれようとも,わたしは何とも思わない。むしろそういう人たちよ りずっと幸福なのだと考える。小坂はさびれるかもしれない。町の発展も大切であると思 うが,もっと農村にも目を向けてほしい。そして農村の生活を今よりももっともっとよく. してほしい。わたしは一生村を愛するだろうoそして少しでも農民の役に立ちたいと思っ ている。」8). 都市,近郊農村,島では父親の職業を「やりあいがある」と見るほどには「受けつごう」 とほ思っていない。都市にあってほ,父親の職業がほとんどサラリーマン的なもので,家. 業と呼べるものが少ないことに対応していると考えてよかろうoでは近郊農村,島ではど うなのか。はっきりしたことほわからないのであるが,近郊農村では第9表で見たように, 農業の占める割合がやや高いぐらいで職業構成ほ都市とほとんどかわらないことや,また 第35表,第14図に見られたように比較的立身出世型が多いこと,島では客観的に見てあま り恵まれていない生活からぬけ出したいといった意識が作用しているのでほないだろうか。 最後に, 「父親の職業を受け継くやことを家族が期待しているか」についてであるが(第38 秦), 「期待している」という老の割合ほ,第37表の「受けつぐ気がある」というのと類 第. 検定が-14・85. df-6. 38. 0・02<p<0.025. 表.
(31) 中学生の生活環境と生活意識. 97. 似している。家族の期待を子どもたちが受けとめたものであるから,実際の家族の期待と の間にズレがあるであろうということほ十分予想されるが,こうした期待を受け止めて第 37表の「受けつぐ気がある」といった結果になったのではなかろうかoもしこのようにい ぇるとすれば,島ではあてはまらないようだが,一般に子どもたちは親が期待する以上に 父親の職業を受けつぐ気持をもっているようである。 Ⅴ. 約. 要. 都市にあっては人口の集中'農山村・離島にあっては人口の過疎現象が大きくク-ズ アップされている。これほ単に産業面における問題に止まらず,教育面においても大きな. 問題を即か仇今日益々注目されているoそこで地域の産業構造,人口構造,それらを 反映した生活構造が子どもたちの生活及び意識にいかなる影響を与え,いかなる問題を生 み出しているか,ということを明らかにしようとして行なったのが本調査であるo. 地域を分析の軸として得られた結果を眺めると,多くの項目で有意差が認められたo地 域差はまず生活環境において認められる。その差は現在の環掛こおいて認められるばかり でなく,当然のことながら生育環境にも妥当する。特に親の学歴・職業・収入,文化財の. 所有状況,学習環境・参考畠・単行本の所有状況,学習・テレビの視聴時間,学習塾・家 庭教師の利用状況,あるいほ成績や学習に対する親の関心話し合いの状況等々において 顕著である。こうした実態は意識に反映され,賛成する暮し方,進学期待,職業に就く理 由,親の職業に対する見方などにおいてもはっきりと有意差が認められたoこうした事実 は教育の問題でもあって,その解決のためには,子どもの生活のあり方まで問題にしなけ ればならないことを物語っているといえよう。 註. Ⅲ調査対象の背景で問題にす 1)調査対象校所在地域における人口流入,流出の実態については, るが,人口流出の結果としての過疎に焦点を合せて全国的レベルで問題とした参考文献として, 今井幸彦編著「日本の過疎地帯」岩波書店1968があるo過疎地帯としての中国山地の特色を 他地域との関連において捉える上で参考になるoまた中国山地の歴史的・政治経済的・文化的 条件等について立体的に捉えようとしたものとして,中国新聞社編「中国山地」上・下未来社 1968がある。. 2)教育を語る父母と教師の会'広島県の教育自書編集委員会広島県の教育自書第二集「この子 p・ 11・ らにかわって訴える」広島教育会館出版部1967 pp.18-19・ 3)同上 1966 p・ 62・ 4)広島県の教育自書第一集「親と子と教師の願い」 p・172・ 5)中国新聞社編「中国山地」上兼来社1968 6)昭和42年6月1日付で専門学校に昇格,広島商船高等専門学校となるo pp・ 239-255 7)近藤・野垣・原田・高旗「進学準備教育の研究」教育社会学研究第18集1963 ちなみにこの調査によると塾・家庭教師の利用率は小学生34・37o,高校生16・7%であったo 1967 p・ 29・ 8)広島県の教育白書第二集「この子らにかわって訴える」.
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