自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究 : 指さし行動の形成の指導を通して
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(2) 18. 山上奈々子・高山佳子. 中で最初のく指示〉 (reference)があらわれると報告している。更に,従来,自閉的傾向. 児の指ざしの発生過程は通常の発達と異なると考えられてきたが,質的吟味を加えると, 自閉的傾向児の場合もまた,基本的には共通の発達法則に位置づく,と考えられたと述べ ている。. 自発的なpointingが自閉症児の予後と関連性をもつならば,幼児期あるいは学童期に積 極的に援助しその出現を促すことの意義は大きい。 本研究では,指さしのめばえが認められた自閉症児に対し,指さしの形と要求の指さ し行動及び応答の指さし行動を形成する目的で指導を行い,指導の結果と併せて指さし 行動の出現過程におけるコミュニケーション行動の変容を分析した。 ⅠⅠ.対象児 Y.. N。男児。昭和60年6月1日生。 平成4年6月(7歳0ヶ月時)田中ピネ-知能検査,精神年齢2歳6カ月。不合格だ. った8題のうち5題は,指さしで答えるものであった。 平成4年10月(7歳4ヶ月時) CARS,合計得点36点。軽・中度自閉症。 平成4年11月(7歳5ヶ月時) PEP,総合発達得点38点。 2歳レベル。言語発達のレ ベルは1-2歳レベル。. 生育歴:胎生期は特に異常なく臓詞。満期出産。生下体重3200グラム。首のすわり3 ケ月,ひとり歩き1歳。乳児期,ほ乳も離乳も順調。 -歳半-2歳頃に後追いをし, 歳頃になん語がみられたが,人見知り,芸事,まね,指さし,音への関心,ことばかけ. 2. 3歳頃,母親は話しかけても応じないことに異常を感じたが,特 への反応はなかった。 別の働きかけはしなかった。 4歳の時,川崎市立S学園に平成3年1月より4ヶ月間週 3回通園した。. 5歳の時,てんかんの疑いを指摘された。平成3年10月より平成4年3. 月まで川崎市H療育センターに週3回通園したo平成4年2月に自閉症と診断されてい る。平成4年4月川崎市立Mlト学校に入学。特殊学級に在籍し現在に至る。 指導前の状態:入学当初は,多動で落ち着きがなく探索行動が多く見られた。ことば i.こよる指示に従うことができず,課題学習は困難であった.水や臭いのある物に執着し,. 薬や化粧品関係のコマーシャルや社名を繰り返していることが多かった。要求は単語あ るいは二語文レベルで自発するが,質問に対して応答することはなく,語嚢は少なく偏 りがあり,音の置換がみられた。ことばのテスト絵本では,自発発語12/33. (+)。 「見. て+と言う指示に応じない,指さしをしようとしない。模倣がわずかに見られた。 1学期後半は,落ち着いてきて,教材によっては短時間の課題学習に取り組めるよう. になった。教師との視線の交錯を避けるが,をおも見るように促すとみることができ, 担任のことばによるごく簡単な指示に従うことができるようになった。トランポリンや ブランコなどの固定遊具での一人遊びが主で,玩具などで遊ぶことは殆どなく,風船や ポールのやりとりはできなかった。物が欲しいときは,手の届く所にある物は勝手にと り,手の届かない所にある物は,教師の腕を引っ張って行って取らせようとするか,掌.
(3) 19. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. 指しする。指さしはしない。名前のわかる物は「00ちょうだい+と言うこともある。 何処かへ行きたいとき,. 「00行っていいよ+と言って行くか,自分勝手にいく。学習に 「いらない+と言ったり,逃げようとしたり,奇声をあげる。こと. 参加したくないとき,. ばによる正しい応答はできず,おうむ返しのみ。絵カードを提示して質問をすると,質 問に関係なくカードに触って名称を言うのみであった。 ・夏休み後には,自ら教師と手をつなぐ,教師の頭に触るなど人との関わりや,模倣が. 増え,教師の胸を指でつつく指さしのめばえとみられる行動があった。また疎み時間に 校庭で, 「プレイルームいいよ+と言って走りだすところを左手を取って制止させられる と,抵抗しながらプレイルームの方向を瞬間的に指さした。 ⅠⅠⅠ.指さし行動の形成据専の基本手続き 11月17日. 平成4年10月22日-10月30日の間に指さしの形の形成指導を9セッション,. 12月5日-12月22日の -12月21日の間に要求の指さし行動の形成指導を13セッション, 聞に応答の指さし行動の形成の指導を12セッション行った。各セッションの試行回数は. 10回とし。各セッション毎に反応の生起率(反応÷試行数×100)を算出した。コミュニ ケーション行動は,指導時間の前後や指導中に本児と関わる中で観察し,指導後に指導 経過と合わせて記録した。また,要求と応答の指さしの指導場面についてはVTRから も記録した。. 指導には,. 7.5×. 7mの教室を使用し,教室の隅に,. 40×60cmの生徒机を3個あわせた. 場面を設定した。教室にある遊具やテーブル等は,そのままにした。 指導を開始するにあたり,本児の担任に学校生活の中で意識的に指さしを使用するこ とを依頼した。また指導場面で自発の指さしが出始めた頃,母親にも家庭で指さしを促 すことを依頼した。 1.指さしの形の形成指導 机に対面して着席する場面を設定した。本児が多動であることを考慮して,本児の後 ろにホワイトボードをL字型に設置し行動を制限した。 机の上に,品物(粒チョコやラムネ菓子)を提示し,指導者(以下,. Tと略す)の示. す動作モデルを本児が模倣あるいは自発したら品物を手渡す場面を設定した。基本手続 きは以下のようにした。第1期の指導で指さしの目標がほぼ形成された段階で第2期の 指導に移った。 第1期. 模倣の指導. 1.本児が品物を見るのを待って,. Tは机上の品物に触れる動作モデルを示す。. 2.模倣ができたら品物を手渡し,ごほうぴとして食べさせる。 3.できない場合は,本児の手を取って指さしをさせる。 第2期 自発の指導 1.本児が品物を見るのを待って, 声かけをして待つ。. Tは「欲しいですか,指さししてください+等の.
(4) 20. 山上奈々子・高山佳子. 2.自発がみられたら品物を手渡す。 3.自発がみられない場合は動作モデルを示す。. 2.要求の指さし行動の形成指導 視線の共有と反応を確認する視線の動きを引き出すために,机に並行して着席する場 面を設定した。生徒机から1.5m前方に提示した品物を置く棚をつけた1. ×0.9mのホワイ. トボードを設置した。また,訓練の様子を記録するためにVTRを1台設置した。棚の上 に2つの品物を提示し,. Tの示す要求の指さしの動作モデルと発声モデルを本児が模倣 あるいは自発したら品物を手渡す場面を設定した。基本手続きは次のようにした。欝1 期の指導で指さし行動の目標がほぼ形成された段階で第2期の指導に移り,同様に第2 期の指導で目標がほぼ形成された段階で第3期の指導に移った。 第1期:模倣の指導 1.本児が品物を見るのを促し,要求の指さしの動作モデルと発声モデル「00をく ださい+を示す。 2.指さしと発声の模倣がみられたら頭をなぜたり,. 「はい,いいです+など言語によ. る賞賛を与え,品物を手渡す。 3.指さしまたは発声の模倣がみられない場合,あるいはどちらの模倣もみられない 場合は,再びモデルを示して模倣を促す。 4.模倣がみられない場合は,本児の手を取って指さしをさせる。 第2期:自発の指導-(1) 1.本児が品物を見るのを促し, ね,要求の指さしと発声を待つ。. 「どちらが欲しいですか,指さししてください+と尋. 2.指さしと発声がみられたら貴賛を与え,品物を手渡す。 3.指さしまたは発声がみられない場合,あるいはどちらもみられない場合は,モデ ルを示す。 4.模倣がみられか-場合は,本児の手を取って指さしをさせる。 第3期:自発の指導-(2) 1.本児が品物を見るのを促し,要莱の指さしと発声を待つ。 2.指さしと発声がみられたら賞賛を与え,品物を手渡す。 3.指さしまたは発声がみられない場合,あるいはどちらもみられない場合は,. 「どち. らが欲しいですか,指さししてください+と尋ねる. 4.それでも,指さしと発声がみられない場合は,モデルを示す。 5.模倣がみられたら賞賛を与え,品物を手渡す。 手渡された品物を介して本児と関わりをもった後,龍に入れさせて,. 1セッションご. とに何をもらったのか一つ一つTと一緒に指さしで押さえながら品物の名瀬確言わせて から指導を終了した。 3.応答の指さし行動の形成指導 机に並行して着席する場面を設定した。また,訓練の様子を記録するためにVTRを1.
(5) 21. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. 台設置したo机の上に,絵カードを10枚提示し,. Tが尋ねているカードを指さしで押さ. える場面を設定した。基本手続きは次のようにした。第1期の指導で指さし行動の目標 がほぼ形成された段階で第2期の指導に移った。 第1期:模倣の指導 1.本児が絵カードを見るのを待って「00は,どれですか。指さ-ししてください+ と尋ね,応答の指さしの動作モデルと発声モデル「これです+を示す。 2.模倣がみられたら「そうです+など言語による賞賛を与える。 3.模倣がみられない場合は,本児の手を取って指さしをさせる。 第2期:自発の指導 1.本児が絵カードを見るのを待って「00は,どれですか。指さししてください+ と尋ねる。 2.指さしと発声がみられたら賞賛を与える。. 3.指さしまたは発声がみられない場合,あるいはどちらもみられない場合は,モデ ルを示して模倣を促す。 4.模倣がみられない場合は,本児の手を取って指さしをさせる。 Tが「00をください+と 1セッションごとに指さししたカードをもう1度提示し, 要求して,本児に手渡しさせてから指導を終了した。 Ⅳ.潅過と績果. 1.指さしの形の形成指導 第1セッションは模倣も自発もわずかであった(図1)。第2セッション以降自発の指. さしは増え始め,第4セッションには生起率は1000/.に達した.第5せッションには減少 したもののその後は上昇し安定傾向を示した。第5セッションで提示した品物はラムネ. 菓子で,第4セッションまでに提示した品物とは異なっていた。 自発の指さしが増えてくると,本児は「博さして+といって,指さしの形を出して品. 物が提示されるのを待つようになり,立ち歩きが減少した。また自発の指さしが安定し 「チョコレ. て出るようになると,おうむ返ししていた「もっと+を自発するよう'になり, ート+ 「チョコレート食べようか+等の自発語が増えた(表1)0 2.要求の指さし行動の形成指導 模倣の指さしは第3セッションで90%に達し,その後は減少し第7セッションで0%と なった(図2)。自発の指さしは第1セッションでは生起しなかった。第2セッションで. は30%生起し,第3セッションでは100/.に減少したものの,第4セッション以降上昇し 第7セッションで100%に達し,その後安定した。 発声は第1セッションではすべて模倣であったが,第4セッションでb%となった(図 3)。自発の発声は第2セッション30%生起し,第3セッションは変化しなかったが,第 4セッションでは100%となりその後安定した。 Tの反応を確かめる視線の動きは第3セッションまでは10%であったが,第4セッシ.
(6) 22. 山上奈々子・高山佳子. 表1.指さしの形の形成指導の経過と観察されたコミュニケーション行軌 セッション如. 指導経過とコミュニケ-ショーン行動TぅC. T=)CCpTC→T. ・揖導開始時,Tは始めに指さしの型を見せた後粒チョコにふれ,負. .0. ペてみせた。. ・本児は,粒チ声コを.じっと見ていて,次の捷示後すぐに手をのばし て取ろうとした。. 1. ・本児は介助・模倣・自発のいずれの指さしの後も,すぐに粒チョコ 第. を取ろうとした.. ・本児は指さしの後,粒チョコを手渡されるまでの僅かな時間が待て なかったo 1. ・本児は粒チョコの撞示後,-すぐに手をのばして取ろうとしたo ・本児は粒チョコを口に入れると,すぐに席を立って教室を走り回っ た。. ・そこでTは,粒チョコを提示する前に指さしの形を見せた。本児は,. ○. ・Tは粒チョコを提示して,「指でさせるかな+と声かけしたり,本児. ○. すぐに模倣した。. 2. 期. が粒チョコを口にいれ席を立とうとする時に「もっと?+と尋ねて みた。本児は,「もっと?+と模倣して,自分の指さしの形を見たり, 立ってしまっても指さしの形を出して提示を待っているようになっ た.. ・2日間で本児は,指さしで品物に触れる行動に引き続いて起こる結 果をほぼ了解したとTには感じられた。. ・本児は提示と同時に粒チョコを取ろうとした。. ・Tは「どっちが欲しいの?+「どっちが欲しいですか,指でさしてく. ○. ださい+と声掛けしたり■,本児か痕チョコを食べた復すぐに「もっ と?+と尋ね,次の捷示をほのめかした。本児は,「どらちが欲しい+ 「指でさしてください+「指さして+と模倣して,捷示の前に指の形. 3. をだしていることがあったeまた「もっと-お+と必ず繰り返して, 品物が捷示されるのを見ていた。. 第 4. ・指導が終わると本児は,粒チョコの入っていた袋を覗いていた. ・本児は,Tの声掛けに対して「指でさしてください+「指さして+と 言って,操示の前に指の形を出していることが増えた. ・Tの「もっと+に対して,本児は「もっと⊥お+と必ず言ったoT. は,本児の「もっと-お+.に応じてすぐに次の粒チョコを捷示する. ○ ○. ようにした。. ・Tの「欲しい?+に対して,本児は「欲しい?+と模倣した。 ・本児は,品物の提示と同時に手を出すことがなかったo ・Tの「ラムネ欲しい?+_に対して,本児は「欲しい?+と模倣した. ・Tの「もっと?+に対して,本児は「もっと-お+と必ず言った。. 5 2 6. ○ ○ ○. ・本児は,品物の提示と同時に手を出すことがなかった.. ・Tの「もっと?+に対して,本児は「もっと-お+と必ず言ったo ・本児は粒チョコを食べながら,⊥度だけ「うまい+を自発した。 ・指導の後,Tがしゃぼん玉を操示して「欲しいですか,指さしをし. ○■. ・Tは「もっと?+の他に「欲しい?+と尋ねた。本児は「もっと-. ○. ○. てくだい■+と言うと,本児は指さしで触れることができた。 お+と「欲しい+を必ず繰り返した.. 7. ○ ○. ・本児は,一度だ.け「も.っと-お+を自発したo. 期 8. ・本児は,「たペる?+■「チョjレート+を自発したこ ・本児は,一回目から「もっと+お+を自発していった.また,「チョ. ○. コレート,もっと-お+も自発したo ・Tが捷示を少し遅れらせると,「もっと-お,■もっと-お+「チョコ レート+「チョコレート,もっと-串+としきりに言った。. ○. ・「チョコレートちょうだいよ+「チョコレート+「もっと-お+「チョ. ○. コレート食べて,いいよ,めしあがれ+「チョコレート食べようか,. .9. 食べていいよ+等の自発があった.. ・指さしの自発が増えるにつれて,立ち歩き■は滅少していった。 TーC. 指導者から本児への働きかけのみ. Cこ)T. 本児からの働きかけに揖尊者が反応を示したもの. T言)C. 指導者からの働きかけに本児が反応を示したもの. C→T. 本児から指導者への働きかけのみ.
(7) 23. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究 100. 自発の指さし. ー. 坐 起 率. せ模倣の指さし 50. %. 一か介助の指さし. 2. 3. 5. 4. 6. 7. 8. U. セッション. 図1指さしの型の形成指導による反応型の推移 100. 坐 起 率. +. 自発の指さし. -・1ヨー. 模倣の指さし. 50. %. ヰ ̄介助の指さし. 10. 5 セッション. 図2. 要求の指さし行動の形成指導における指さし行動の推移. loo ー. 坐 起 率. -I-モ卜-. 自発の発声 模倣の発声. 50 %. 10. 5 セッション. 図3. 要求の指さし行動の形成指導における発声行動の推移.
(8) 24. 山上奈々子・高山佳子. 100. 坐 起 率 50 %. 5. 10 セッション. 図4. 要求の指さし行動の形成指導における視線の動きの推移. ヨンでは60%生起した(図4)。第5セッション以降は上昇し,第9セッションで100% に達した。第10セッションでは70%に減少しているが,これは視線の動きがあったよう に受け取れるが,ビデオからははっきり確認できなかったものが20%あり,その値が含 まれていないためである。第11セッションでも同様に視線の動きがはっきり確認できな かったものが10%あった。第12セッションと第13セッションではふたたび100%に達して いる。視線の動きは指さしや発声と比較して出現が遅れたが,生起率が上昇し始めるの は第4セッションで,これは指さしや発声の生起率が上昇する時期と一致する。本児の 視線は,指さしと発声が安定してくるとTへも多く向けられるようになり,時には品物 とTに交互に向けられたり,. Tが要求に応じるまで視線がTに向けられたままのことも. あった。. 指さしの形の形成指導の段階では,本児は品物への関心は示すものの,. Tへの関心は. 殆ど示していないように感じられたが,応答の指さし行動行動の形成指導では, 応を試したり,. Tの反. Tの働きかけに応じる行動がみられるようになり,. Tと積極的に闘わる ようになっていった。本児がTに対してふれあいを期待する行動や,要求行動を起こし,. Tがそれに応じるようになると,生活場面で自発的な再認・叙述・要求の指さし行動が 観察され,初めてやり取りができるようになった。. 13セッションでは,逃げ出すことに よってTと関わろうとする行動を中止して,指さしの勉強を続けてTとの関係を保とう. する心情の変化が観察され,初めて質問の指さしの出現が認められた(表2)。 3.応答の措きし行動の形成指導 模倣の指さしは第1セッションで50%生起し,その後上昇し第4セッションでピーク をむかえた(図5)。第4セッションからは,次第に減少している。自発の指さしは第1 セッションから30%生起し,その後は上昇傾向にある。 発声は第1セッション・第2セッションではすべて模倣であったが,第3セッション で自発が30%となり,その後自発の割合が増加する傾向が見られた(図6)。第6・. 7・.
(9) 25. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. 表2.要求の指さし行動の形成指導の経過と観察されたコミュニケーション行動 指導経過とコミュニケーション行動. セIyション 期. T→C. Tコ■C. CコT. ○. ・掃さしの勉強をすることを知らせ揖さ ̄しの手の酸を示すと,本児も 指さしの手をだした。. ・2つの品物が捷示きれると,本児は「0.0だ+と名称を亭ったり品 物を交互に見たりしていた.. 1. ・Tは,本児の発語や視線を手がかりにしで「00をも.らおうか・?+ と言い,本児の反応を見て品物を決めてモデルを示した。. ・本児ほ模倣をするとすぐに頂戴の手をして立ち上がることが多かっ た。Tの反応を見る視線の動きは1回あったが,そめ他は視線はす■ ペて品物に注がれていた。 ・本児は提示された品物を交互に措きして見ていることがあった。. ○. ・指さしを模倣しrOOをください+と言った直後に手は,項戴をし ていた。. ○. ・要求の指さしの自発は3由あった..そのうち,2回は「指さしをし てください+と繰り返しでから楯さしをして「00をください+と 第 2. 言っていた。もう1回は品物p(風船)が捷示されたと同時に措きし をしており,「興味・驚き・再認+の持さしをしたところへTが発声 モデルを示したためそのまま「要求+の指さしに変わったと考えら れた。その時の視線は,全て品物に向けられていた。. ○. ・本児は「00をください+と言って,他の品物を槽さしていること や両手で2■っの品物を同時に指さしていることがあった.. ・缶詰の写真を見て「モーターポー■ト+と貰ったので,Tは何処につ. ○. いていのかを尋ねたが,本児は写真を見てし?るだけであった。 ・風船を手渡されて膨らましているので,Tが「ぱ?,放してごらん+ と言って手で表現してみせると,′風船を放した′。. 1. ○. ・緒導の最後に何をもらったか指さす手は,開いたままだった。Tの 示す手本を模倣することは少なく,手を添えられて措きしをするこ とが多かった。. ・Tが掃さしの勉強をすることを発声と据さしの見本を示してて知も せると,本児は両方とも模倣した。. ○. ・指さしの自発が前回より減ってい争。これは,前回の措導の後,学 芸合の練習と学芸会があり学校生活のリズムが変わうて,奇声が始 まる等本児は不安定になっており,この日も本児は-^で体育館へ■ 行っていたところを他の教師に連れてこられ担任に合わないまま 指導を始めたことが原因と考えられるo指導の前半は奇声や高笑い, 立ち歩きをする等落ち着かず,提示された品物をしっかり見られな. 期. かった.. ・Tの「00にしようか+という声かけで楯草しの模倣をした。 ・t持さしの後は項戴の手をしていることがあったo ・ビスケットを手渡した後1枚食べさせると,少し落ち着いて意欲が 3. ○ー O. 出た。. ・■立ち歩く本児を連れ戻すと,噂しそうな表情をするように感じられ. ○. た。. ○. ・掃導の後半はTの顔に唾を吐きかけたり,顔を執ったり-して■Tの反 応を試していたo. ・本児は足を椅子に強くぶつけても「痛い.+と言わず笑っていたoT. ○. が足をきすってやり「痛かったあ+と言うと,本鬼はTの顔に唾を かけてきた.. ・掃導後本児を膝の上に乗せると,手や顔を執ってきた。「痛い,痛い+ と言ってお返しをすると本兄は何も言わずに放り返してきた。Tは. ■○. 「痛い+「よしよし+と言いながら本児と堺り合ってかかわると,本 児の表情がゆるんできた。 ・くすぐ_ると,声を出して笑った。. ○′. C→T.
(10) 26. 山上奈々子・高山佳子. セッション 期. 指導痘過とコ ̄■ミュニケ-ション行動. TコC. ・T-C. C言〉T CぅT ○. ・指導前に本児はビデオカメラを持って,「ビクター,ビクター,ミノ ルタ,ミノルタ+と繰り返していた。Tが・「ミノルタ+と言うと黙 った。 ・第2期からは,要求する目的意哉を強めるために手渡した品物をす. ぐに龍に入れさせないで,品物で遊んだり,食べさせたりして品物 を介して本児との闘わりを多くしたo ○. ・指導の前半は立ち上がる/=とや逃Cヂ出すことが多く,そのたびに連 れ戻すと,本児は樽しそうな顔をした。′ ○. ・本児が好む品物が操示された時は,Tの「何をもらおうかな+の声 掛けだけで,本児は・r指さしをしてください,.00をください+と 言うこともあった.. 4. ・本児が化粧品を顔につけたので,Tは「つるつる+と言って本児の 頼に触ったり,「いい香りかな+と顔を近づけたりしたが.本児は化 粧晶に夢中であった. ・手袋を片方ずつ■はめ手をたたき合い,Tが「痛い,痛たたた+と言. ○. ○. って遊んだり。 ○. ・Tが風船を膨らませてついていると,本児は頑戴の手を差し出して 第. 近寄ってきた.Tが「欲しい?指さしをしてください+と言 ̄ぅと, 本児は「風船をくだ.さい+と言って指さしをしたo風船のやり取り は出来なかった.. ・すべり台の上に逃げた時はTは.「お行儀の悪い人はお尻ぺん+と言 って軽く叩いた。 ○. ・指導前に本児が「来週もクイズダービ⊥は+「来週はクイズダービー は+と繰り返しているので,Tは「来週の+と言う.すると本児は 「来週のクイズダービーは+と言った。再び本児が「来週は回答者+. 「来週はクイズダービー回答者は+と繰り返すめで,Tは「来週の+ と言うo本児は「来週のクイズダービー回答者は+と言う。Tが「う. ん,誰?回答者は+と聞くと,本児は「看護婦さんで-す。+.と言っ てしばらく黙ったo 2 5. ・指さしをする前に本児は「00をください.+と言ったり,指さしを して「00をください,はいあげます+と言ったりした. ・手渡された石鹸を鼻につけて臭いを喚いでいたので,Tが「どう, いい香り?い.い香りだね+と言うと,本児は石鹸をTの鼻に当てたo ・石鹸の常を触って「牛乳石鹸+を繰り返し,「牛+と言ってTを見た。 ・逃げ出してすべーり台の上で「ペリカン便+-と言うので,「宅急便です。ピンポーン,はんこください+と抱いて椅子まで運んだ。本児 は噂しそうな表情そして,Tの首を扱ってきたo +すべり台の上で「お尻ペン+と・叩.くと,初めて「痛い+といったo. ○ ○ ○. ○・ ○. ・カメラを指さした後に項戴の手をして「カメラちょうだい+と言っ てTを見た。. 期. ○. ・指導復職鼻重に入ってきた本児はTを見ると指さしをして「山上尭 隻+と言った。. 0.. ・本児は指導に慣れてきた様子で,「指さしをしてください,00をく ださい+と言って揖さしをした。好きな品物が捷示された時は,T. の「何をもらう?+「00と△△,どっちをもら■ぅの?+の声かけセ, すすんで指さしをした。 ○. ・手渡された石鹸をTに見せたこ ・措きしている品物と違う品物を手渡そうとしても,要求している品 物をさ・し簸けていることがあった。 I. 6. ・突然始まった逃げ出しも,Tの顔を見てから逃げ出すことが多かっ. ○. たムTの反応を試して楽しんでいるように見えたoTが連れ戻しに 行くと「だっこ+と要求し,Tはその度に応じた。 ・自分の手を見て「じゃんけんぽん+と言うので,じゃんけんをした。 ・手袋をもらい手にはめるとTを叩いてくるので,∴手を叩き合わせて. ■○ ○. 関わっ'た。J. ・指導の最後に何をもらったか揖さす手の形が少しし・'かりしてきた... ・指導後にだっこすると,「ば⊥か,おまえよ+と言うので「おまえか, おまえか+と本児の鼻を掃さしたり,本児の手を取りTの鼻■と本嘘 q)鼻を交互にさわらせた.. ○.
(11) 27. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. セッション期. 指導経過とマミュニケ-ション行動. T→C. TpC. CコT. C→T. ・祖任が休みだったので,Tは本児と半日一緒に過ごした. ・提示する品物を3種類にしてみたら,混乱していた。 ■・指さしをしてもTがなかなか品物を取りに行かなかったらTを押し. ○. た.. 観察. ○. ・すべり台に逃げて,「だっこ+の他に「お尻ペン+「宅急便+と要束 するようになったoTが手を差し伸べても自分から体をあずけるこ とはなかった.. ○. ・「カメラちょうだい+とTの顔を見ながら要求の指さしをして,・そ の後項戴の手をした。-. 第. ・担任が休みだったのでTは本児と半日一緒に過ごした. ・一指尊前ポケットティッシュのパッケージを指さして「ベンザエース カブレット+と言ってTを見たo. ○. ・提示する品物に大きい物と小きい物をいれていったo ・本児は品物が提示されるとすぐに要求の指さしをすることが多かっ た.. 2. ○. ・「ooをください+「はい,あげます+「00どうぞ+と自分で言っ て品物を手渡されるのを待っているようになってきた.. ○. ・りんごを手渡されると「りんご,・りんご+と繰り返し「いちご+と Tの顔をみる。Tが「りんご+と言うと,「りんご+.と言ってりんご を見た。 7. ○. ・ポールを手渡されると「かご,かご+と言って寵を手ざししてTに 龍を取らせ,ポールを中にいれたo 柄. ・本児は奇声をあげすべり台ににげるが,Tが追いかけず大きな風船. ○. を見せると「かして+と言って近寄ってきた。Tが「こっちかな?+ と言うと本児は「はい+と答えた.. ○. ○. ・しゃばん玉をもらうと「遊んでて?+と言ったので,「いいよ+と言 うと遊び頼めた。. ・指導後廊下で「サランラップ+と言ったので,Tが「指さして+と. ○. ○. 言うとポスターの隅の写真を槽さしたo. ○. ・ブイルームへ行くことがわかると完全な形でプレイルームを指さし た.. ・ブイル-ムでパトミントンに似た遊具でやり取りができた。. ○. ○ ○. ・指導前「ミズノ+と美津濃スポーツのカレンダーを指さしてTを見 た。. ・指導の初め,本児は鼻をほじった槽をなめ,「汚い?汚い?+と開く ので,Tは「汚いよ+と答え「始めるよ+と言ったo本児はすべり 台に走って行き,「お尻ペん+「だっこ+「お引っ越し+「クロネコヤ マト+「お引っ越し+と要求した。 第. ・Tが腕を差し出すと飛びついたり,足を上げて抱かれるようになっ. ○. ○. た。. ・「かご-お+と言いながら不完全な指さしをして寵を探していた. 8. 3. ・・品物を提示した後指さしをしないで品物の名称を言うよう■にした。 Tの「何をもらう?+の声かけだけで,本児はどんどん指さしをし. ○′. て「指さしをしてください+「00をください+「あげます+「はいは い+までを自分で言って手渡されるのを待っていることもあった。. 期. ○. ・ポールを手渡された後本児は「プロ野球しよ,プロ野球しよ+■「ポー ル,ポール,トマト,トマ.ト+と言ったムTが「771p-ル,小さいポ -ル+と言うと納得した様子だった。 ・指導場面でも,ボール・風船・りんご・ゴリラのやり取りができる ようになり,この日以降必ずやり取りができるようになったo. ・指導の最後に何をもらったか指さす手の形がかなりしっかりしてき た。. O. ○.
(12) 28. 山上奈々子・高山佳子. セヲション期. 指導経過とコミュニケーション行動. T-C. TコCC言)T. C-→T. ・提示する品物に色の異なる物を入れていったo. ・指導開始直後,本児は指さした品物をもらう前にTの顔を見ながら. ○. 逃げだした... ・Tは本児に座っているように言ってから品物を取りに行ったり,品. ○. 物を介しての関わりを多くしていった。. ・本児はTと関わろうとして唾を吐きかけたり,叩いできたり,席を. ゝ○. 立ったりした。Tはそれに必ず応じた.. ・本児はコマ-シヰルや,テレビ番組や..Tの声かけを真似してしき りにTに話しかけてきた。Tは理解できた言葉には,必ず返事した。 9. ○. ・Tが異なる品物を手渡そうとすると,.本児は欲しい品物を差し続け ていることがあった.. ○. ・本児はポケットからポケットティッシュのパッケージを出して,指. ○. さして「ビオピリン+と言い,ポケットティッシュとT■とを交互に 見た。Tが「ベンザエースカブレット+と答えると「ベンザエース カブレット+「おなか下痢+と繰り返した。 第. ・本児は風船をふくらませて自分の頼に中の空気をかけ,Tの頼にもか けてきた。. ○. ・本児はTの「-ンカチ+の声掛けに,-ンドクリームと勘違いし「ハ ンドクリ--+と言いながら品物を見て,がっかりした様子だった。. ○. ・滑尊前カメラの絵カードを見つけると,指さして「カメラ+と言い. ○. Tを見た。. ・滑年中本児は,指さしをしてから品物とTとを交互に見ていること. ○. があった。 ○. ・本児は逃げ出して,品物を見て戻ってくることがあったり,Tの「今. ○. 度は00だよ+の声掛けでもどってくることがあった。. 3 10. ・逃げ出して「だっこ,だっこ+がたくさん出たので,Tはそのたび. ○. に応じた。 ・本児はだっこをされると落ち着いて指さしをした。. ○. ・すべり台に逃げた本児に「立つぞ,ビューン+と言うと,立ち上が. ○. りTに飛びついてきた。. ・バナナを手渡されてrバナナ食べて+と言うので「どうしようかな+ と言うと皮を剥かないでTの返事を待っていた。. .0. ○. ・品物を指さしてからTと品物を何度も交互に見ていることがあった。. 期. ○. ・指尊前担任が「山上先生と勉強だよ+と知らせると,本児は「山上 先生+と言ってTの手を取り「勉強+と言った。 ・指導弧本児はズボンせ下げてパンツのお尻を触り,パンツとTを 交互に見た.Tが「おしっこ行ってくる?うんこ?何でもない?+.. ll. ○. と開くと,ズボンを上げた。. ・指さしをしながらTと品物を交互にみることが多くなったo ●コアラの指人形で「Y君おはよう+とお辞儀をしてみせると,「おは. ○ ■○. よう+と言うが指人軌ま動かせなかった。. 12. ・Tの言秦かけや誘導だけで着席することが増えた。 ・品物を手渡されてrOOおみやげ+と要求したo. ○■. ・写真撮影のため他の教師が人草していたために本児はま_つたく落ち. 着かず,「いらない+「やらをし-+七言って,席た着けか-。. ○. ・何度も■Tに促されないと措さししようとしなかったo自発の指さし は減った。. ○. ・.逃げ出しても「たっ土+「宅急鹿+なぎの発語はなかった。_Tの†だ つこれおんぶか+に.「お引?越し+_と一度返事した。 ・りんごを指さしてTをずっと見ていることがあったo. ○. .0. ○ ○.
(13) 29. 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. セッション期. T-C-. 指導経過とコミュニケーション行動. TpC. CコT. CぅT. ○. ・指導前,すべり台にいる本児に「おんぶ+と言うと,本児はすぐに 立って応じた.. ○ ○. ・「おんぶ+と言うようになった。 ・Tが寵を用意しておかなかったら「かして,かして+と言う.Tが 気づかなしミでいると「龍かして-+と涙声で言った。Tが気づいて 寵を用意すると本児はすっと落ち着き揖導に乗れた。 ○. ・1回目,「どちらをもらいますか,措さしてください+と言って待っ. 第. ているとTの顔をよく見て,これでいいのかとでも∴言いf=そうに棺 きしをして「00をくださいoあげます+と言った. ○. ・2回目,茶碗を指さした直後に逃げ出したので,Tは椅子た座るこ 13. ○. とや座っていないと茶碗がもらえないことを声掛けするが,戻らを. 3. いのでrお茶碗バイバーイ,'お茶碗もらえない;残念。+■:「いらない の?+等何度も声掛けし,叢碗を片づけた。本児はTの様子を見て いるが戻らない。そこでTは今日の勉強はもうやめることを伝えて, 「バイバイしよう。Y君バイバイ.もう帰ろうo先生かえっちゃうよ。. 期. バイバイ・。Y君は遊んで釆てよろしい。挨拶をし辛しょう占+と言う と,机にもどってきた。Tの「座ってね,着席+で座ると,本児は 「指さしをして+「おちゃわんを+と言った.Tが「やるの?まだ+ と尋ねると,「おちゃわんやる+「おちゃわんやる+と答えた。. ○. ・3回目,Tがチューリップを寵に入れていると,「チューリップ?+ と「質問+の将さしをしてTを見た。. ○. ・その後はどんどん指さしをしていった。. CコT本児からの働きかけに指導者が反応を示したもの. T→C. 掃尊者から本児への働きかけのみ. T;)C. C-T 揖尊者からの鋤きかけに本児が反応を示したもの. 本児から指導者への働きかけのみ. loo ー. 坐 起 率. +. 自発の指さし 模倣の指さし. 50. %. -+介助の指さし. 5 セッション. 図5. 応答の指さし行動の形成指導における指さし行動の推移. 10・11セッションは,他のセッションとは種類の異なる10枚のカードを提示している.. 第10セッションで自発の発声の生起率が減少しているのは,滴回と異なる絵カードが提 示されたことも一因とも考えられるが,本児はアトピー性皮膚炎がひどく,輝くて集中 できなかったことが原因と考えられる。 Tの反応を確かめる視線の動きは,第3セッションで10%生起しその後者しい変化は 見られないがやや上昇の傾向が見られる(図7)。.
(14) 30. 山上奈々子・高山佳子. 100. ー. 坐 起 率. ♯. 自発の発声 模倣の発声. 50. %. 5. 10 セッション. 図6. 応答の指さし行動の形成指導における発声行動の推移. 100. 坐 起 率. 50. %. 5. IO セッション. 図7. 応答の指さし行動の形成指導における視線の動きの推移. 本児は絵カードが提示されると命名したり,. Tの質問を聞かないで,絵カードを一方 的に命名して指さしていくことが多くみられた。その傾向は自発の指きしが増加してく るとやや少なくなったものの,. 12セッションまで競いた。 Tは,質問をよく開いている ように促すことが多く,本児はTの質問の後に必ず「00はどれですか,指さししてく. ださい+とTの質問を繰り返してから「これです+と言って指さしをしていた(表3)。 平成4年12月24日(7歳6カ月時)には,. 7歳0カ月時にできなかった田中ビネ-知 能検査の問題のうち,身体各部の指示と名称による物の指示の2問を合格することがで きた。. ア・考. 察. 指さしの形の形成の指導は,. 9セッションで終了している。次に行った要求の指さし.
(15) 31. 自閉症児のコミュニケ-ション行動の変容に関する研究. 表3.応答の指さし行動の形成指導の経過と観察されたコミュニケーション行動 指導経過とコミュニケーション行動. セッション期. T-C. T;)C. CコT. C-T. ○. ・指導開始時本児は,Tの提示するカードをよく見ていて名称を次々 に言っていた.Tは「そうだね+七応じた.. ・1回目,Tの「パンダはどれですか+に本児はパンダのカードに触 れると,続いて「串+「自転車+「うきぎ+■と揖先で勝手に触れて名. ○. 称を言っていたo. 1. ○. ・「りんご食べて,りんご食べる?+「や.バナナだ,バナナだ+とカ †ドにはない名称を言うこともあった.. 罪. ○. ・「いらない,いらないC)お+の後に「お勉強したら,プレイルーム+■ と自分に言い聞かせているようだった.. ・本児は指導の前に逃げるが,Tが「先生用意しているからね+と言 ってカードを出していると,近寄ってきてTe)背中に触った. ・指導中はTの質問を開かないで勝手に指さしてカードの名称を言っ. ○. ○. ていることが多かった.. 2. ・Tが質問を繰り返し,モデルを示すと,本児は「00はどれですか; 1. ○. これです+と言って模倣したo. ○. ・いちごのカードを指さして「いちご+と言ってTを見たo ・指さしたカードが間違っていたこともあった. ・カードが捷示されると,本児は名称を言って勝手に指さしているの. ○. でTはよく開いているように促して質問をするようにした。 ・本児は「00はどれですか,挿さしをしてください,これです+と. 3. 言・?て指さしをするようになった。. 期. ・指導前に本児が唾をかけたので,Tが「汚いことするんじゃない+ と言うと本児は,にこっJt笑ってすべり台に逃げ「お尻ペん+「山上 先生お尻ペン+と言った.Tがお尻を叩くと本児は「だっこ,お引 っ越し+と言い,Tが応じると「引っ越しセンター+と言った。 ・本児は勝手にカー.ドを掃きすことが少なくなった。 ・「ooはどれですれこれです+と言って指さすことが増えキ。 ・Tの「チュー1)ップはどれですか+に「はな?,はな?+と言って. 4. ○. ○. -○. ○. Tを見た。. ・本児はTの質問のあと「00はどれですか,持さししてください, ・これです+「00はどれですか,これです+と言■って指さしをしてい た. ■○. ・本児は「プレー)レーム行こうか+とTを見たがTが返事をしか,と,. 今度はし-ちごのカ-・ドを見て「いちご食べようか+とTを見て,カ. .早. 第. -ドを噛んだo. -をみたので,Tは「そうだよ+「そうだね+とそれに応じた。 ・同じ日の3セッション目で,本児は獲れてカードを払い落とす. ・逃げ出す前にTの腕を触るようになった。. ・本鬼の「山上先生お尻ペン+にTは応じ,次に「立ってください+・ と言うと,.本児はイ立って,いらない+と言った。. 6,. .2. ・0.. ・自動車の指さしをした後,自分で質問して「これです+とカードを 次々に指さし,自動車・パンダ・自転車を指さしたときはT9)反応. ・すべり台に逃げてもずっとTを見ているので,Tは「立って,ぴょ -んとしてみようか+と言う七,本児はTに飛びついてきたo ・頭をなぜてもらって初めて笑った. ・本児はTが捷示したか-ドを棉さして名称を言っていたが,「かさ+. ○■-. ○ ○. C). ○. ○ ○. と言って1度だけTを見た。. ・Tの質問の後や,モテルを示した後に車児は問題を繰り返してから 才旨きしした。. 7. ○. ・アトピーのためにかさかさしている頭を掻いて,その手をTの鼻に 期. うけたり・,ズボンを下げたり,唾をかけたりしてTの反応を期待し ていたB. 8∴. ・・10回目,指さしを自発した後,笑顔をTた近づけたので受けとめた. ・■写真根彰のために他の教師が入室していたため落ち着かず,指さし が不完主な形になりがちだったo ・指導の途中で1本橋こちょこ■ちょで交代しながら遊ぶと,その後か らは少し落ち着いて指さしが正しくできた。. ○. ○. ○.
(16) 32. 山上森々子・高山佳子. セッション 期. 指導経過とコミュニケ-ショ・ン行動 .・本児はよく逃げ出した。Tが「宅急便か,お引っ越しか,お尻ぺん か+と言うと-「お引っ越し+と言ってだかれたり,Tの「だっこ?, おんぶ?ぴょ-んか+に飛びついたり,本児の「だっこ+に対して Tがだこをするからすペり台の所に来るように言うと,それに応じ. 9. T-C. T言)C. C;〕T. ○. ○. C-T. てやって釆た。 第. ○. ・提示されているカードを指さし「赤+と言ってTを見た。Tが霞め ると,本児は「白,自,オレンジ+と次々に滑さした。Tは1つ1. つ正しい色を言ったり,認めたりした。 ○. ・本児が「はみがきけいざいは,ボレグ・・・・・・+と繰り返すが,Tが意 味がわからず対応しないと本児は何度も繰り返していた.. 10. ・体が痔くて何度も播いていた. 2. ・アトピーが輝くてまったく落ち着かず,なかなか指導を始められな かった.. ll 期. ・指導中は,カードを払い落としたり,奇声をあげることが多かったo. ○. ・カードを落とした場合は一緒に拾わせた。. ○ ○. ・本児はTが質問する前に自分で質問して好.きなカードを指さしする ことがあった。. ・本児はこれまで同様Tの質問を繰り返してから「これです+と言っ. ○. ・本児はTの質問を開いてから答える時と,勝手に質問して好きなカ. ○. て,指さすことが多かったo. 12. ○. -ドを指さす時があった.. ・掃導の複本児は「ブランjいいです+と繰り返してTを見た。. ○. 行動の形成の指導の初期には,もらった品物を指さす場面でまだ手の形はしっかりして いなかったが,本児はその後要求と応答の指さし行動の形成の掃導の中でこれを完成さ せている。. 各セッションごとの本児の反応を,秦野(1983)のまとめた対象指示活動の前兆とな る行為の発達の過程と照合してみると,第1, 作・到達行動・動作模倣・. graspi喝・. poking. 2セッションで,見る一つまむの協応動 ・接触型の理解が,すでに本児には出現し. ていることが認められる。. 同様に本児の発語と,秦野(1983)のまとめた子どもの前言語的伝達様式の発達の過 程とを照合してみると,第2, 3セッションのおうむ返しは単純に大人の助けを求める, 要求型の伝達的発声を示しているようにとらえられる。第2セッション以降本児は,指 さしの型で品物に触れることによって引き続き起きてくる事態を了解し,自発の指さし は増えていったと考えられるが,第4セッション以降の本児のおうむ返しは,明らかに Tの反応を期待して行われている。すなわち要求型の伝達発声を示しているのである。 本児は,おうむ返しやテレビのコマーシャルを繰り返すことが多い。多くの場令,千 どもの言動は決して無意味なものではない。本児の場合もこれがコミュニケーションの 手段の1つであり,. 「もっと-お+. 「指さして+等をおうむ返しすることで要求を伝えて. いると理解していくことが,本児と通じあう時のキーポイントであると考えられる。 ことばの発達の面でみてみると,本児は要求言語を持っているものの指導開始時には 使うことができず,第2,. 3セッションでも,ようやく「もっと-お+「指さして+をお うむ返しをするのみであったが,指導終了時には「チョコレートちょうだいよ+と言っ.
(17) 自閉症児のコミュニケーション行動の変容に関する研究. 33. 5セッションにおける「もっと-お+の繰り返しとTの対応や, ている。これは,第4, 第6, 7セッションにおけるTとの相互のやりとりが第8, 9セッションでの「もっと 「チョコレート食べようか,食べていいよ+等の要 -お+ 「チョコレート,もっと-お+ 求語の自発を促したと考えられる。栗田(1991)が指摘するように,広汎性発達障害の 子どもの言語発達の過程は,発語がない状態から,徐々に反響言語が生じるようになり, その後に要求言語が少しずつ使えるようになっていくが,本児はTとのやり取りを通し て,それを再現している。 要求の指さし行動の形成指導における自発の指さしと自発の発声および反応を確かめ る視線の動きの生起率をみると,初めに自発の発声がピークに達すると,続いてそれに 引きずられるようにして自発の指さしが上昇しているのがわかる。本児は要求言語を持 1989)が指さしの出現を っていたことから,ことばとともに指さしを使うこと(栗田, 容易にしたと考えられる。本児は「指さしをしてください,. 00をください+と言って. 指さしを自発していた。また生活場面でも「00していいです+と言って動き始め,杏 児がことばにより自己行動調整していることはよく観察されたo 指導中や指導の前後にいろいろな才旨さし行動が出現し始め,要求の指さしの自発が100 %に達した第7セッションに,突然やり取りができるようになり,その後本児の指さし 行動が目立ってきた背景を,ビデオによる行動記録から検討してみと,叙述の指さし行 動や初めてのやり取りは,本児とTの相互交渉の増加と深化にともなって起こり,初め ての自発的な質問の指さし行動は,本児がTに馴染み,本来のコミュニケーションが可 能になるとともに出現していることがわかった。秦野(1983)は,自発的指さし行動の 機能分化の過程で,母親が,子どもの指さし機能に対して強化の役割を果たす可能性が 高いと指摘している。すなわち指さし行動の初期には,母親が応答することで,共感的・ 共有的機能が高められていくこと。次に要求の表出として,効果的に指さし行動を利用 し始め,更に,伝達意欲が高まると,叙述的にも利用され,この行為を母親が適切に受 け取めて,誘導していくことで,コミュニケーションが維持されること。この後の質問 の指さしは,積極的に他者とのやりとりを楽しむきっかけを作っていくこと。最後に, 自己の能力を外界の刺激,特に言語的働きかけに応じて調整することのできる,応答の 指さし行動をもって,指さしは完成するという。本児は,指さし行動の指導の過程でT との共感的・共有的関係を作りだしていったという点で出発は異なるが,出現させた指 さし行動はTとの相互交渉が深まり,感情の交流,コミュニケーションの成立に伴って 通常の発達と同様に機能分化している。従って,本児の場合も荒木(1979)の報告同様 指さし行動の発生過程も,機能分化の過程も,基本的には共通の発達法則に位置づくと 考えられた。 応答の指さし行動の形成指導における自発の発声は,自発の措きし行動より遅れて出 Tの質問や応答 現している。本児は質問に対する応答の言語を持っていなかったため, のモデルを模倣しながらそれを獲得しつつあると考えられた。反応を確かめる視線の動 きに著しい変化がみられないのは,本児が提示された絵カードの品物をすでに理解して.
(18) 34. 山上奈々子・高山佳子. おり,. Tの反応を確かめる必要が無かったためと考えられた。応答の指さし行動は,ま だ指導の途中であるが,指さしも発声も生起率はともに上昇してきていることや,平成 4年12月24日(7歳6ヶ月時)には,. 7歳0ヶ月時にできなかった問題のうち2問を合 格することができたことから,指導を続けるこ七により形成が期待できる。 筆者が指さしのめばえと一瞬の指さしを観察してから3カ月半で,本児は一連の指導. を通した関わりの中で療さしの型を覚え,要求の指さし行動を出現させた。また興味・ 驚き・再認の指さし行動,命名的指さし行動も始まった。そればかりでなく質問の指さ しもたった一回ではあるが自発した.. 指さしは,自分と人と物が共在する場面で,子どもが,その物について人と1つの経 験をわかちもとうとするところから出てくると主張されている(岡本,. 1982)。要求の指 さし行動の形成指導の第13セッションで本児の取った行動は,まさしく感情の共有関係. の成立を意味している。指さし行動の形成の指導は,かかわり合い共有し合う関係を作 つていくうえで自閉症児の発達援助において積極的に行われるべきであろう。 Ⅵ.引用文献. 荒木穂積, 1979.自閉的傾向児における指さし(指示行動)の発生について,幼児教育 研究所年報, 1 : 5-22. 岡本夏木, 1982.子どもとことば,岩波新書,岩波書店,. 77-82.. 栗田広,. 1989.発達傷害と乳幼児期の母子援助,乳幼児精神医学への招待,ミネルヴァ 書房, 206-214.. 栗田広・中村敏秀・石田博美,. 1991.幼児期における広汎性発達障害の療法,社食福祉 法人全国心身障害児福祉財団, 50.. 小桧教之, 1978.指示行動の発達とその障害(そのⅠ)一普通児,蒙古症児,自閉的傾向 児の場合-,京都教育大学紀要A,. 53 : 47-71.. 小桧教之, 1979a.指示行動の発達とその障害(そのⅠⅠ卜正常な発達の規準について-, 京都教育大学紀要A, 54 : 31-47. 小於教之, 1979b.指示行動の発達とその障害(そのⅠⅠⅠト野生児と自閉児の記録分析-, 京都教育大学紀要A, 55 : 45-64. 小於教之, 1980.指示行動の発達とその障害(そのⅣト重度精神発達遅滞児の場合-, 京都教育大学紀要A, 56 : 53-68. 小於教之,. 1982. a.指示行動の発達とその障害(そのⅥト自閉的傾向児の追跡的検討(1ト, 京都教育大学紀要A, 60 : 51-69.. 小於教之, 1982b.指示行動の発達とその障害(そのⅦト自閉的傾向児の追跡的検討(2卜, 京都教育大学紀要A, 61 : 33-44. 秦野悦子, 1983.指さし行動の発達的意義.教育心理学研究,. 31(3). : 70-79..
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