• 検索結果がありません。

重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果 鈴. The. Effects. of. 健. 村. Reinforcing. は. Stimuli. on. Profoundly. Children. Retarded Kenji. 治*. SuztJMURA*. じ. め. に. 重度精神遅滞児(以下重度児と略す)の教育評価は低く,教育の機会を与えても学習効 1960年代からオペラント原理に立 果は上がらず,進歩しないと判断されてきた。しかし, 脚した指導法が適用されるようになり,重度児の学習に関する研究が進むにつれて,重度 児もその特性に応じた指導をすれば学習することが分かってきた。学習効果が上がらなか ったのは知能障害の重さではなく,適切な指導がなされなかったためで,中軽度精神遅滞 児に対する指導方法を重度児に実施して教育効果が上がらないと判断していた誤りが指摘 されたのである。. 重度児の学習効果を上げるために重要なのは行動統制である。重度児の価値観は中軽度 精神遅滞児や,普通児とほ違うことが多く,文化・社会を規範とすることが少ない。価値 ほ個人的であり,外部からの働きかけに対しては拒否的になってしまう。自己刺激的行動 が目立ち,しかも同一発達レベルの状態に長期間留まってしまうこともある。 このような特性を持つ重度児の価値観を変えて行動の方向を転換し,拒否的態度を軽減 させて学習効果を上げるためには,外的刺激を具体的に捜作しなければならない。重度児 に適した強化刺激の選択や統制が行われなければならないが,その前提条件として強化刺 激の性質や効果,強化法の違いから生じる刺激効果の差などが,重度児において明らかに されなければならない.ところが,精神遅滞児に対するオペラント技法の研究ほ,方法上 の問題,タ-ゲット行動の変容状態,被験者内変数などに関する研究が多く,強化刺激に 関する研究ほ少ない。重症児に対してほ1次強化,または1次強化と2次強化の併用が一 般的であるが,利用した強化の選択理由や,その効果についてほ触れていない。強化刺激 選択の基本は個体単位であるから,個体に適していればそれで良いわけであるが,個々の 事例だけでは関連性が低いため,刺激の効果を比較して評価することができなし㌦特定集 団全体に共通する強化の効果もみられるわけで,そのことについて調べることほ,強化の 試行錯誤的選択を避けるためにも役立とう。 ところで,重度児は外的刺激に対する興味や関心が狭いために,強化として利用できる *特殊教育教室(Dept・. of. Special. Education).

(2) 106. 鈴. 村. 健. 治. 刺激は中軽度児に比べて少ないo特に,. 2次強化においてその俸向が目立つ。普通児や, 中軽度精神遅滞児に対して強化値が高いからといって,重度児にも高いとほいえない.む しろ低いことがよくあるo強化として利用できるか香かを知ることは,重度児においては. 特に必要なことである。 以上の趣旨から筆者ほ・重度児に対する強化刺激の強化値について研究を行ってきた。 しかし,これまで研究相互の関連づけがなされなかったため,断片的な実験の羅列になっ. てしま-ているo省こで,これらの実験を強化刺激の質量の問題,及び強化方法の違いか ら生じる刺激効果の差の2つの面からまとめることにした。. 1次強化の効果 適用範囲行動変容をするにあたって基本的な強化ほ1次強化である.. 1次強化ほ重度. 児に対しても非常に有効であることが明らかにされているo. 1次強化は食物が最もよく利 用されているが,食物強化の優れている点は・知能障害の重さに関係なく効果がある点と (e・g・ Fuller. 1949),情緒障害や言語障害など他の障害が重複した重い事例においても利 用できる点にあり・障害の多様性に応じられる点で適用範囲ほ広く,刺激の種類の豊富さ 辛,入手の容易さからも重度児に対しての利用頻度ほ高い。 ところが重度児は・偏好性が強いので個体に合わせた刺激の選択が必要になる。この面. からみると利用できる種類の範囲ほ限定される(Gile. &. Wolf. 1960)。同一刺激において. 刺激効果は,陽性から陰性に至る系列をなしているわけであるが,重度児ほその系列の両 極に集まる傾向がある。重度児は噂好が特殊であったり,偏食が極端であったりするので, 刺激の選択にあたってほ実際に与えることによって調べる必要がある。また,健康などの 面から範囲が狭められることがある。. 飽和偏食の債向が顕著であることほ・新奇性の刺激を受け入れ難いことを意味する。 重度児ほ新しい刺激に慣れるのに困難を示し・同一反応の反復から固執債向が生じ,常時 親近性の刺激ばかりを受容しているから飽和は生じにくいと考えられるが,動作性の課題 によって社会的強化と食物強化の飽和を調べたところ,重度児においても社会的強化に比 べ食物は飽和を生じさせやすいことが明らかにされた(鈴村1974. b)0. 飽和にほ,一時的飽和と比較的長期にわたる永続的飽和があるが,飽和を避けて強化値 を一定にしておくためにほ,与える量をコントロールしなければならない.ところが,重 度児を対象とした時はそれができにくく飽和点に達してしまうo俊に,反応ごとに食べ物 がもらえることを認知して反応が高まったとするo飽和を避けるためにほ間歓強化にすれ ばよいが・間歓酎ヒにすれば反応は低下するoそのために強化スケジュー-を変えること が困難になるoこのように食べ物を与える量を制限することが技術的に不可能なことが起 こる。. しかしながら,重度児は飽和に達することが多い反面・飽和からの回復も速いた捌こ同 一刺激を長期間用いることが可能になるo重度児が特定行動に固執することができるのほ, 飽和に達したとしても,そこからの回復が速いために他ならない.自己刺激的行動に固執.

(3) 107. 重度精神遅滞児に対する-強化刺激の効果 するといっても,. 1つの特定の行動が生じているわけではなく,複数の行動を順次使い分. けることによって飽和を避けているのである。自己刺激的行動としてほ固執がみられるが, 反応単位でほ飽和がみられるわけで,固執と飽和の同時共存が可能となる。重度児の固執 ほ,単一行動に対して現れるのではなく,複数の行動のまとまりにおいて現れるものであ り,飽和と飽和からの回復の容易さによって固執が可能となっている。<したがって,重度 児においても飽和現象ほ充分に考慮されるべきことであり,研究が必要である。. 2次強化の効果 社会的強化利用の可能性. 2次強化の強化値は,. 1次強化と結合することによJ,て維持. されていると促定されているから,重度児に対しては両刺激を同時に呈示したり,継時的 に呈示したりすることが試みられている(e.g. ge. &. Ball. 1967,. Colvell. et. Bensberg,. Colwell. &. Cassel. Min・. 1965,. al. 1973)0. 正常児の場合には, 2カ月く小らいから社会的強化に対する反応が生じるが,重度児にお いては精神発達が1歳以上と推定されても社会的強化に反応しないことがある。笑いかけ ると笑い返すとか,声の方向に注意が向くとかの初期の反応が起こらない自閉的懐向が目. 立つため,社会的強化を1次強化と同時に,または継時的に呈示して強化値を高めようと するわけだが,それが無批判的に行われているように思われる。少数ではあるが,. 化と結合しなくても社会的強化に反応する著はいる。鈴村(1974. 1次強. a)は,社会的な刺激に. 反応する重度児20名(DAの平均は26カ月)に簡単な動作性の課題を試行させて言語 強化と食物強化の効果を比較してみた。その結果,いずれもベイスラインとの比較におい て強化としての有効性が示され,両刺激の強化値間の比較では有意差がみられなかった。 対象は限定されているが言語強化の強化値は高く,重度児に対しても利用可能であること が検証されたわけである。 社会的強化の距離的条件. 重度児に対してほ2次強化の中でも言語強化がよく利用され. る。空間的に柔軟であるためどのような事態でも比較的用いることができるために利用度 が高いのであろう。言語強化は距離や位置の制約が少ないた糾こ正面から強化することも, 側面や背後から強化することも可能であるばかりでなく,遠隔的にも可能である。しかし, 社会的強化を与える条件によって強化値が変動することがあるのでその点に留意しなけれ ばならない。 Denny. (1964)やHarter. (1967)は,単純な課題では向かい合いの状態で強化すること. も良いが,難度が高い課題では正面から強化すると被強化老は強化老を意識してしまい課 題に注意を集中させにくくなり反応が低下すると指摘している。ところがHarter. (1971). が施設に入園している中軽度児を対象として接近的強化と遠隔的強化を課題の難易度との. 関係で再実験したところによると,単純な課題であっても遠隔的に強化したほうが有効で あるという結果になったのである. そこで鈴村(1975. c)ほ重度児(DAの平均ほ24カ月)を対象として言語強化の距離 的条件を調べてみた。強化する間隔を0.3m,2m,及び,隣接の観察室からマイクロホン.

(4) 108. 鈴. 1. 村. 健. 司. によって行う遠隔強化としてみたが,条件間には有意な差がなく,中軽度児とは違った反 応がみられた。重度児にとって言語強化は有効であるから刺激に対応した反応は生起する のだが・強化老が視野内に居ることについてほ特別の反応がみられないので強化者を相互 関係において意識することがないように思われる.. 強化の距離的条件ばかりでほなく,肉声とマイクロホンからの声の質的変化や,音源位 置の違いに対する反応も生じなかった。言語強化によって強化ほされても,強化の質的, 量的差異に注意が向くまでにほ至っていないと解釈される.したがって,重度児に対して ほ,言語強化の距離的条件を考慮する必要はないとみてよかろう。 言語強化に対する反応の分析 て,. 重度児は全体の発達レベルに比べて言語発達は遅れてい 3歳程度の能力を持っていても言語年齢が1歳以下であることは珍しくない。簡単な. 課題であっても言葉だけの説明では理解できないことが多い。そのような状態でも精神発 達が1歳以上になると,言語強化に反応する率は高まる。ただ,言語刺激をどのように受 容して反応が生起するのか分からないことがよくある。盾痕関係成立の有無に関係なく, 特定の言葉に反応することもある。話し言葉が全く無いのに言語強化には反応することも ある。このように理解できない点があるので,言語強化のどのような要素に反応するのか 調べてみた(鈴村1974. c)0. 話し言葉は音と意味から成っているが,重度児はそのいずれに強く反応しているのか調 べたわけである。俊に,音に強く反応するならば,音を媒介として相手の意志や情動を感 じるような感覚レベルの反応形態と解釈できよう。もしそうであるならば有意味語ほ必ず しも必要ではない。無意味語であっても感情が表出されているならば反応が強化されると 考える。 一方,意味を理解することによって強く反応するならば,感情表出が伴わない機械的な 言葉かけでも有意味であるはうが,感情表出を伴う無意味語による強化よりも高い反応が 得られるほずであるo. この点を調べるために3種類の強化刺激を用意した. a)感情が込 められた有意味語による賞賛b)無意味語ではあるが賞賛している感情を込めた言葉かけ c)賞賛の意味は伝達されるが,感情が伴わない抑揚のない言葉かけの3条件である。 とbとの間にほ有意差がなく,. aとcとの間には有意差がみられた。また,. bとcとの. 間にほ差がなかったが,. aとの比較ではcよりもbのはうが強化値が高いことになる。 つまり,感情が表出されているならば無意味語であったとしても重度児においては社会的 強化になりえるわけであるoただし,無意味語においては2種類の反応債向がみられた.. 意味上の不自然さを全く感じない老と,言葉をかけられるたびに実験者の態度を見て試行 した者とがいた。しかし,その割合は低く,多くの者が理解できない言葉に対して特に注 意することなく強化されている。. 社会的強化要素間の比較. 社会的強化といってもその種類は多く,言語強化ほそのうち. の1つにすぎないo一般に利用されている社会的強化は言葉,視線,笑顔,拍手,認容, 身体接触などであると思われる。それらは単独で利用されることもあれば,組み合わされ て利用されることもある。特定の形はない。強化する者,強化される老,状況,課題,也. a.

(5) 109. 重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果. 理的条件などによって変わる。むしろ,そのような柔軟性があるために利用される頻度が 高いと思われる。. 重度児が言語強化において音の側面に強く反応したことから考えると,より具体的な刺 激である笑顔や,身体接触によって強化される率ほ高いと思われる。そこで,. DAが. 15-23カ月の範囲にあり(平均18.9カ月),しかも社会的強化による強化が可能な26 名を選出し,実験してみた心その結果,笑鼠視線,言語賞賛の3要素からなる刺激が最 も効果があり,以下言語賞賛,拍手,身体接触,笑鼠. 目の接触の順になったoしかし,. 合成刺激と言語賞賛との間にほ有意差がみられず,重度児に対しても言語賞賛は高い強化 値を有していた甘 言語賞賛に比べると他の刺激の強化値ほ低い。言語は社会的強化の主要な国子といえる。 その次ほ拍手であったわけだが,賞賛と同様音刺激から成っている点に注目する必要があ る。重度児にとって音刺激が強化となりやすいのは,音が他の外的刺激を一時的に遮断す るために,刺激自体に注意が向いて具尉郎こ受け止めることができるためと考えられる. 身体接触もベイスラインとの比較においては有意な差があり,強化として有効であったo 問題は,試行の.)ズムを乱すことになりかねないことで・介入することによって遂行を抑. 制してしまうこともありえるo強化中に試行を中止して他の遊びに移行したり遂行速度が 鈍ったりすることがみられたo課題,被強化者の身体接触に対する経験・強化方法などで 強化値が変動しやすいのと,常に一定の距離を保たなければならない点で制約があるo 視線を合わせることと,笑顔とほベイスラインと比較して差がなく,強化としての効果. が無いことが分かった。これらの刺激は相互作用によって意味づけがなされて強化となる ゎけだが,視線を合わせようとしなかったり,意味をとりちがえたりすることが生じてし. まい,強化となりえない状態が多かった。このことから,規線や笑薪は,他の社会的刺激 要素の効果を高める補助的な役害陀果たしているとみることができる(鈴村1977)o 視覚強化. 重度児ほ遊びの種類が少ないばかりではなく,遊具の利用もそのものが持つ. 榛能や目的に応じた利用の仕方をしないことが多いo例えば・積木は構成的な遊びに適し ているが,重度児はそれを自己刺激的遊びに利用してしまう。トランポリソやぶらんこな. どの大型の遊具でほ比較的その磯能や目的に合わせた遊びをするが,小さな遊具や教具額 は利用しきれないことが多い。. この現象から分かるように,物的強化の種類はきわめて少ない。その中で視覚刺激ほ比 較的関心を持たれやすいoしかし,視覚刺激のいずれの属性に反応しているのか明らかに されていないこと,また視覚刺激に対する関心ほあってもそれが強化として利用できるか 不明だったため実験を行った(鈴村1975. a)0. 被扱者ほ103名でDAが3-51カ月(SD-10・92)の範囲にある老としたo強化は光・ 色,物のうちの1次元から3次元までで作製された図判であり,それがガラスのスクリー ン上に手を触れると映し出されるようにした。強化の効果は反応時間の長さで計ったo 103名中反応が生起し,持続した者は全体の44%で,残りの老は全く関心を示さなか. った。反応の生起とDAとほ相関しておりDAがあるレベルに達しないと刺激に対応し.

(6) 110. 鈴. 村. 健. 治. て反応することができないoただし,反応の強さとDAとは相関しておらず,. DAの高さ に比例して反応が高まるということほないo強化の効果とDAとほ特に相関しないこと になる。. 図版の次元数と偏好性とほ特に関係がないo視覚刺激を莫然と受容している未分化な状 態のために偏好性がみられなかったのか,実際に偏好がなかったのかは不明である。また, 強化値ほベースラインと比較してやや高い程度であり,視覚刺激を強化とする時ほ,他の 刺激との併用が考えられる。 聴覚強化重度児の中には・音楽など音に興味を示す者がいる。動作で聞きたいことを 要求したり・音源に接近したり,音に合わせた行動が生じたりすることがある。その反面,. 音刺激に対する反応ほパターン化してしまい行動の発達がみられないことがよくある。つ まり,音刺激ほ強化とほなりえているのだが・その強化が新しく学習する時の強化として 役立たなければ強化としての価値がないoそこで被験老全員にみられない新たな反応の形 成状態・及び精神発達と強化の効果との関係を検討してみた(鈴村1978)0 実験においてほ音刺激を特定の曲に限定したoその結果,音刺激の強化値とDAは相 関していて・. DAが高くなる程音刺激に対する反応も削るo聴覚刺激は強化とほなりえ るが,重度児のうちでも比較的軽い者に適しており,重度児に対してほ利用できない。こ の点視覚強化と共通しており・. 2次強化の制約が,このような物的強化の制限と大いに関. 係していることがわかる。. トクン利用の可能性重度児ほ個人差が大きく,刺激に対する偏好性が極端な形で現 れるので集団において強化しようとする時不都合なことが生じやすい。各児童に合わせて 強化刺激を選択するのほ不可能であるoまた,課題を遂行している時の強化ほ,遂行を妨 げない性質のものであることが望-い○そこで考えられるのが一般化された強化として 利用されている-クンの使用であるが重度児がトークンの意味を解するかが問題になる0 トークンが重度児のうちでも軽度のものに対して利用された例ほある(Abramson W血derlich. 1972・. Gorton. &. Hollis. 1965). oしかしその利用は,他の強化刺激に比べて極. 端に少ないoしたがって・特定の刺激が-クンとしての意味を持つことができるか,で. きたとしたならば,それを利用して行動変容が可能であるか調べなければならない。 中性刺激をトークンに変換するためには1次強化と同時に塁示することが考えられる。. また,中性刺激を陽性化することは精神発達と関係するから,重度児をDAによって2 群に分けて調べてみたo中性刺激はおはじきで,それ自体に興味を持っている者ほ除いた。 まず,中性刺激に意味を付与するために,. 1次強化と同時に10回呈示し,強化刺激と なりえるかみたo発達レベルの高い群(DAの平均月齢34カ月)ほ10名中1名,低い群 (DAの平均月齢14・90カ月)は10名中6名に反応が現れた。しかし,低い群の6名ほト. ークンだけでほ1回またほ2回反応しただけで強化値を帯びたとはいえなかった。その一 因に呈示方法があると考えられたo両刺激を同時に呈示すると1次強化に注意が向きやす く中性刺激に対する注意がセきにくくなったことである。 両刺激を十分に注意させるためにほ,中性刺激を呈示し,その直後に1次刺激を呈示す. &.

(7) 重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果. 111. るのがよいと思われる。また,単に継時的に反復呈示するだけでほなく,中性刺激を連続 塁示することによって1次強化を与える間隔を次第に広げることによって,トーク,ンの意 味を具体的に理解させるようにすると,トークン化した中性刺激だけでも強化が可能にな ると思われるが,この種の強化刺激の強化値ほ1次刺激のようにほ高まらず,適している とほいえない。. 強化方法の検討 強化の量的問題. 強化刺激の強化値が高まり続けるとほ限らない。与える強化の量や,. 強化の効果持続時間が問題になる。. (ト量による強化のはうが効果的なこともある。与える 量ほ経験によることが多く,今後の研究に待たねばならないために各個体に合わせてどの 程度与えるのが効果的なのかほ不明である。この点が重度児にとっては重要な意味を持っ てくる。. 中軽度精神遅滞児を食物によって強化する時は,課題の性質によって試行ごとに強化ほ しても,それを食べさせるのではなく,所有量を変化させることによって強化することが できる.. t,たがって,各反応ごとに与える強化の持続効果を特に考慮しなくてもよいわけ. だが,重度児ほ試行中に与えられた食物を課題終了後まで食べずに待っていることができ にくいため,一度に与える食べ物の効果持続時間が反応に影響する. 一方,社会的強化も-次強化のように反応ごとに与えるのが基本である.遂行して終了 した後に与えるのでほ効果が減じる。反応ごとに強化することが,変容過程の初期段階に おいてほ特に必要である.そこで,一度虹与える強化の量や,強化の効果が持続する時間 が反応むと与える影響を明らかにする必要がある.刺激量の増加,または強化の有効時間が 長くなる程反応は抑制されると思われるので検証することにした(鈴村1974. a)0. 一度に与える強化の量が少なく,しかもその有効時間が短い刺激を短持続刺激と呼び, その効果が持続する時間を1砂以内とした。一方,一度に与える量が短持続刺激よりも多 く,その有効時間が3砂以上である刺激を長持続刺激と呼ぶことにした。もしこの2つの. 条件において反応に差が生じたとすれば,刺激の量的な変数が反応に影響したとみること ができる。 刺激は4種類で,. a)短持続1次強化. b)短持続2次強化. d)長. c)長持続1次強化. 持綻2次強化である。強化の量的,時間的な変化は同一刺激を反復して与えることによっ て行った。結果であるが,ベイスラインと比較すると長持続1次刺激は強化値が低く,ベ イスラインと有意な差がなかった。. 1次強化においては有効時間の長さが反応に影響し, 2次 時間が長くなる程強化値は低下する。またこの影響ほ反応が高い程強まる。しかし, 強化においてほ,その効果が持続しても反応ほ低下せず,影響がみられなかった。. 1次強. 化は量や時間が反応に影響を与え,増加するに従い反応が低下する負の相関関係がみられ, 抑制する効果があることが明らかになった。しかし,. 2次強化はそれらの影響がみられな. かった。. 強化法と刺激効果. 中軽度精神遅滞児と違って重度児は関係の認知に劣るから,'その点.

(8) 112. 鈷. 村. 健. 治. で問題が生じる。試行と強化との関係が把捉できないために強化値が低下することがある。 強化値の変動を試行と強化との関係においてみると1)強化刺激に対する関心に比例して 試行が高まること2)関心の高さに反比例して試行が低下すること3)関心の低さに比例 して試行が低下すること4)関心の低さに反比例して試行が高まる4つの現象が考えられ. よう。その中で,強化刺激に関心があるために道に試行が低下し,強化値が下がるという 現象が重度児においては生じるところ軒こ中軽度精神遅滞児とは違った特色がみられる(鈴 村1974. a)0. 強化法は手続き上の構造からみて2つに大別できる。強化刺激を行動の延長線上に位置. させるよう操作することによって,強化が行動の目的と関連するように随伴させる方法と, 行動の目的とは関連しない次元から強化する方法が可能であるo筆者は前者を関連強化法, 後者を非関連強化法と呼んでいるが,関連強化事態ほ,強化(報酬)を得ようとする手段 が課題を達成しようとすることと関係するので,行動と強化とが直線的に結ばれている強 化の1次的事態とみることができる.一方非関連強化事態においては,強化(報酬)を得 ることを目的として行動しても強化されない。強化刺激を直捷待ようとしない行動をとる ことが,強化される条件となる。強化は行動を間接的に維持していると解釈できるから, 強化の2次的事態とみることができる。このような強化実施の構造上の違いが影響するの は,強化の種類と障害の程度が主となろう。そこで,食物強化,言語強化,視覚強化,聴 覚強化によって調べてみた。これらの強化ほすべて重度児に対して強化の効果を持ってい て利用できることが明らかにされている(鈴村1975a;. 1975c;. 1978)0. 食物強化でほ,関連強化事態と非関連強化事態での反応が著しく異なっている。関連強 化法では噂好の強さに比例して反応が高まるわけだが,非関連強化法でほ噂好の強さに反 比例して反応は低下する。強化事態における関係の把握ができにく_く,注意が食べ物にば かり向いてしまい,課題に向かわないことがみられた。刺激の性質からみて重度児におい て食べ物ほ直線的な行動を生起させる強化であり,柔軟性に欠けた刺激といえる。 そこで,強化を反復し認知させることによって非関連強化法と関連強化法とに差がなく なるか調べてみた。しかし,繰り返し訓練しても強化の効果ほあがらず,. DAが3歳以下. の精薄児においては関連強化法が1次強化においては適している、。 視覚刺激による強化も1次強化と同じ現象が生じた。視覚刺激ほ半具体物がスクリーン に映し出されることにして,関連強化事態ではスクリーンに直接手を触れると図が現われ, 非関連強化事態は,卓上に置かれている横木に触れると刺激が提示されるようにしたoそ の結果,非関連強化法における強化の効果の低下が生じたわけであるが,この現象ほ課題. の紫易度にほ関係がなく,知的障害の程度と関係していることほ実験によって明らかであ る。. 一方,言語強化は,その効果が強化法によって影響されなかった.刺激に柔軟性があり, 安定性があるため適用範囲ほ広く,利用されやすい強化といえる。ただし,食物強化と違 って強化されない老や,反応が低下してしまう暑が多い。強化の効果が個体内の条件に依 存する率が高いわけである。利用されやすいのだが,個体の条件による制限が生じる点で.

(9) 重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果. 113. 問題が残る。 強化法による差が聴覚刺激においても生じるか,. DAが10-47カ月(SD-8・74)の範. 囲にある重度児40名を対象として調べてみた○閑適強化法ほ,箱の上部こ軸、れた黒円 を押すと紛5秒間内部から曲が聞こえるようにした。非関連強化法は,同じ黒円を押すと 横に置いてあるカセットテープレコーダーから曲が聞こえてくるようにしたo 刺激の持つ効果と強化法が密接に関係するので音刺激に対する関心の高さで2群にわけ て,関連強化事態と非関連強化事態とにおいて強化してみた。ところが聴覚強化ほ強化法 によって強化の効果が変わることはなく,言語強化と同じ結果となったo相違する点ほ言 語強化よりも強牝可能な人数が増加することであるo 食べ物と囲による強化ほ,視覚によって入力されるし・言語と音による強化ほ聴覚から 入力される。入力する感覚器官の違いによって強化法による影響がみられたり,みられな かったりしている。現象から推察すると,視覚から入力される強化は課題を遂行している 間も常に個体の関心をかっているのに対し,聴覚から入力される強化は,強化が与えられ た時点以外の時は余りそれに注意が向かないために強化法における差が生じなかったので ほないかと思われるが,この点は更に調べる必要がある。 中軽度児は行動を生起させる手がかりとなる弁別刺激(SD) 弁別刺激と強化の関係 の数が多いが,重度児では少ないばかりか,新しいSDの学習が劣るために刺激に対応し た行動が生起しにくい。そこで実際に行動を生起させるためにほ,身体的に促す必要があ る。一度行動が生起すると,特に強化を随伴しなくても反応が持続することもあるo身体 的に行動が生起するように与える手がかりは指示であって,指示ほ命令の意味が含まれて いる。重度児ほ自発的な活動が少ないから指示されることはよく起こる。そのために指示 に従う馨庶が長い経験を通して学習されたために行動が持続すると考えられるoまた,拷 示は一種の命令であるから従わない時は嫌悪刺激が随伴することもあり,それによって行 動が維持されているかもしれないo ここで問題になるのは,行動をコントロールするための主体が指示にあるのか,強化に あるのか,ということであろう。そこで精神発達月齢が4-52カ月の範囲にある重度児 112名を対象として,指示を主体とした事態と強化を主体とした事態を設定してそれらの いずれが優位であるか調べてみた。ただし,指示だけの事態や,強化だけの事態を設定す ることほできない。指示だけであったとしてもその行動が達成されれば自己強化が与えら れる.また,強化だけの事態においても,強化自体がSDの要素を持っているわけであ るから,そのうちのいずれが主要な要素になっているか紅よった. 指示条件の課題ほ, 2m先に立っている棒まで到達することで,強化条件の課題ほ・各 自が好きである物を2m先に置き・それを取らせることにした。いずれの事態にも反応 しなかった者ほ全体の20%,指示と強化のいずれにおいても遂行した者は29%,強化に 反応し,指荊土反応しなかった者51%,指示だ桝こ反応した老は0%で,重度児におい ても行動をコントロールしているのは強化であることが明らかになった。また,指示によ って行動が生起した者ほ発達レベルが高かった。.

(10) 114. 鈴. 村. 治. 健. 行動を生起させるだけではなく,持続させる効果が指示と強化のいずれにあるのか引続 き調べた。この効果は,日常生活において重要な意味を持っているから,日常場面におい てはよくみられる行動を対象とした。強化も同様で,日常生活では1∵次強化は特定の時間 以外は利用されない。社会的強化によることが多いo指示も社会的であり,社会性の刺激 を利用することで一致させた。. ・指示によって行動が持続した者は全体の72%,強化による老は25%で,先行実験とは 進む手指示によって行動が持続する暑が多くなっている。社会的強化と1次強化の効果の差. が反映したものと考えられるが,このことから,重度児においてほ指示が行動に与える琴 響ほ大きいと判断できる。しかしながら,何らかの強化が指示の効果を維持しているわけ で,そ甲点を調べてみると,指示が嫌悪刺激と関係している割合が大きいことが分かった. 指示は回避行動や逃避行動を生起させ,持続させる効果を持っているわけである。 要. 約. 重度児ほ,基本的には普通児や中軽度精神遅滞児と同じように強化に反応するが,重度 児特有の反応を示すこともある。特に,. 2次強化において違いがみられる。社会的強化に. 対しては1次強化と同様に反応することもあるが,その数は少ない。また,重度児は精神 発達が1歳前後にならないと社会的強化に反応しない。普通児よりも遅れる歯向がある。 .社会的強化のうちでも最もよく.利用される言語強化に対してほ,意味的側面よりも音の. 側面軒キより反応しているわけであるが,感覚レベルの反応形式であるとみることができる. 言語強化ほ社会的強化の中でほ強化値が最も高く,重度児にとっても重要な強化となって いる。. 視覚刺激や聴覚刺激ほ,重度児にとって効果が低く,他の強化との併用が必要である。 また,トーク-も重度児では有効な強化とはなりにくい。 このようなことから,重度児にとっては1次強化が最も効果的な強化となっていること が分かるが,強化方法によっては,その効果が社会的強化よりも低くなることがありえる 点で注意すべきことがある。一方,社会的強化ほ強化方法に影響されない特徴を持ってい て,. :帝題や被験者の状態によっては1次強化よりも利用できることがある。この点は更に 研究しなければならない. 以上,本論では,強化刺激の質的,量的問題と反応との関係に絞って検討したわけであ るが,その目的は,重度児に対する強化の効果を明らかにするだけで様なく,重度児がど. のような反応を外的刺激に対して示すのか,また,どのような刺激を受容するのかなども 含まれていた.しかし,研究が充分になされていないため不明な点が多いことも確かであ る。 用. 引 Abramson, ∼. E・. Application. Bensberg,. E・, &. Wunderlich,. A. A.. 文. (1972). TechniqtleS・ of Behavioral G・ J・, Colwell, C・ N・, & Cassel,. 献. Dental. Ment. A. H.. Hygiene. Retard.,. (1965). 10. Training. (3). Teaching. ,. for Retarditei:. An. 6-8. the. Profoundly. Retarded.

(11) 重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果 Activities. Self-Help Colwell,. C・ N・,. by. Rechards,. Behavior. Shaping. E・, McCarver,. Techniques・. R・ B・, &. Amer・. 115. J・ Ment.. (1973). Defic.,. 69, 674-679.. of Self-Help Profoundly Retarded・ 14-18. the Ment. Retard., ll of (3), Denny, M・ R・ (1964) Researc血in Learning Performance. In H. A. Stevens, & R. Hever and Retardation: A Review・ Research. University Chicago (Eds・) , Mental Press. of of Conditioning Fuller, P・ R・ (1949) Operant fluman Organism. Amer. J. Psy, of a Vegetative Habit. Ellis, N・ R・. Evaluation. Training. chol., 62, 587-590. Giles, I)A K・, & Wolf, M・ Application. W・. (1960). Operant. of. Toilet. Behavior. Training. Modi丘cation. Institutionalized, Tecbniques・. Severe. Retardates:. J・ Ment・. Amer・. An. De丘c・,. 70,. 765-780. Gorton,. C・ F・,. and Barter,. Research. Set Harter,. S・. flollis, J・ H・ for the. (1967) Mental. Performance S・,. retarded Ment.. &. Age,. Retarded・. IQ, and. of Normal and L・, & Zigler, E.. Brown, Children Defic.,. (1965) Redesigning. Severely. as. a. Function. a. Ment.. Motivational Retarded. Cottage Retard., Factors. Children・. (1971). Discrimination. of Task. Di氏(:ulty. Unit 3. for. (3). ,. in the. J・ Exp・ Social. Programming. 16-21. Descrimination. Psychol.,. Learning and. Better. in. 5,. Learning 123-lil.. Retarded. Reinforcement.. Nonand Amer. J.. 76, 275-283.. 鈴村健治(1974a)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化国子価の比較(2). 学会第16回総会発表論文集. (1974 b)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化因子価の比較(1). 第38回大会発表論文集. (1974 c)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化因子価の比較(3). 学会第12回大会発表論文集. (1975 a)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化因子価の比較(4). 第39回大会発表論文集. (1975 b)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化因子価の比較(5). 学会第17回総会発表論文集.. 日本教育心理 日本心理学会 日本特殊教育 日本心理学会 日本教育心理. (1975 c)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化国子価の比較(6). 日本特殊教育 学会第13回大会発表論文集. (1976 a)精神薄弱児に対するオペラント技法における強化国子価の比較(7). 日本心理学会 第40回大会発表論文集. (1976 b)精神薄弱児むこ対するオペラント技法における強化国予価の比較(8). 日本教育心理 学会第18回総会発表論文集. (1976)精神薄弱児に対するオペラント技法における指示の効果.日本特殊教育学会第14回 大会発表論文集. (1977)重度精神薄弱児に対する社会的強化の効果・日本心理学会第41回大会発表論文集. (1978)最重度精神薄弱児に対する聴覚手がかりによる強化について.日本教育心理学会第 20回総会発表論文集..

(12)

参照

関連したドキュメント

文部科学省が毎年おこなっている児童生徒を対象とした体力・運動能力調査!)によると、子ど

はある程度個人差はあっても、その対象l笑いの発生源にはそれ

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

わが国において1999年に制定されたいわゆる児童ポルノ法 1) は、対償を供 与する等して行う児童

名刺の裏面に、個人用携帯電話番号、会社ロゴなどの重要な情

と判示している︒更に︑最後に︑﹁本件が同法の範囲内にないとすれば︑

○ また、 障害者総合支援法の改正により、 平成 30 年度から、 障害のある人の 重度化・高齢化に対応できる共同生活援助

実効性 評価 方法. ○全社員を対象としたアンケート において,下記設問に関する回答