Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№30:CRISPR-nicase 法を用いた機能亢進型GNAS 変異
iPS 細胞の樹立
Author(s)
渡邊, 豪士; 森田, 奈那; 小倉, 弘之; 齋藤, 暁子; 小
野寺, 晶子; 中村, 貴; 山口, 朗; 東, 俊文; 柴原, 孝
彦
Journal
歯科学報, 119(3): 248-248
URL
http://hdl.handle.net/10130/4934
Right
Description
目 的:McCune-Albright 症 候 群(MAS)は,線 維 性異形成(FD),カフェオレ斑,思春期早熟症を主 症状とする常染色体 優 性 の 遺 伝 性 疾 患 で あ り, GNAS の codon 201の 点 変 異(Arg201His ま た は Arg201Cys)により発症する。また,内分泌腺や 消化管など様々な組織において同変異による機能亢 進型 GNAS 変異疾患が知られている。これらの疾 患は体細胞モザイクのため疾患モデル細胞は作成さ れていない。そこで本研究では,CRISPR-nickase システムを用いて機能亢進型 GNAS 変異疾患モデ ル iPS 細胞を作製することとした。 方法:遺伝子編集の方法を以下に示す。①2か所の guideRNA(gRNA)配列を CRISPR design tool を 用 い て 設 計 し た。② ① で 選 択 し た gRNA を pSpCas9n(BB)(PX460)ベクターに挿入した。 ③ターゲティングベクターは薬剤耐性遺伝子を挟む 形で5’側に exon7の相同領域を,3’側には codon 201の Arg を His に置換した exon 8−10を含む相 同領域を設計した。④ ②および③で作製したベク ターをエレクトロポレーション(950V/2ms/2
pulses)により正常 iPS 細胞(Nips-B2)に導入し, 薬剤選択培地(puromycin 含有培地)で培養後, コロニーを単離した。 結果および考察:264クローン中2クローンにおい て GNAS 遺伝子の変異(R201H)の挿入が確認さ れた。RT-PCR,免疫組織化学染色およびテラトー マ形成において変異導入細胞の未分化能および多能 性を認め,GNASR201H/+iPS 細胞を初めて樹立し た。樹立した iPS 細胞が疾患の特徴を有しているか を確認するために細胞内 cAMP 濃度を計測したと ころコントロールと比較して,非刺激時において恒 常的に細胞内 cAMP 濃度は優位に高かった。また PTH および ACTH によるホルモン刺激時において も,ホルモンへの応答性および cAMP の産生量に ついてもコントロールと比べ優位な上昇を認めた。 これらの結果より今回我々は初めて GNAS 変異を 有する iPS 細胞を樹立した。iPS 細胞の多能性を用 いることにより,これらの機能亢進型 GNAS 変異 疾患の病態メカニズムの解明および新たな治療法の 開発に応用できると考えられる。 目的:Gorlin 症候群(基底細胞母斑症候群)はヘッ ジホッグ(Hh)受容体 PTCH1変異に起因する常 染色体優性遺伝疾患である。Hh シグナルの異常な 活性化を示し,二分肋骨などの骨格異常や大脳鎌の 石灰化に加え,髄芽種,基底細胞癌などの腫瘍性病 変を引き起こす。ヘッジホッグ(Hh)伝達経路は 胚発生,癌形成および骨形態形成に寄与しているこ とが知られており,Hh 受容体である Ptch1ヘテロ ノックアウトマウスでは,骨芽細胞分化の亢進と成 体骨量の増加が報告されている。一方,ヒトにおい ては PTCH1変異が骨形成に与える影響の詳細は 不明であった。そこで本研究では,PTCH1変異を 原因とする Gorlin 症候群患者より樹立した iPS 細 胞(MT-iPSC)における骨芽細胞分化能,石灰化 異常を検討した。 方法:本研究は東京歯科大学倫理委員会にて承認さ れた(承認番号533)。骨芽細胞分化後のサンプルは vonkossa 染色,フローサイトメトリ,リアルタイ ム PCR,ウェスタンブロット,RNAseq を用いて 解析を行った。 結果および考察:骨芽細胞分化誘導法(Kanke et al : Stem Cell Reports, 2014)で MT-iPSC を培養し たところ,コントロール iPSC(WT-iPSC)と比べ て,石灰化の亢進が認められた。その際,初期の骨 芽細胞分化マーカーである RUNX2陽性細胞数は WT-iPSC よりも上昇した。Hh シグナル関連分子の 発現を解析すると,WT-iPSC では抑制型 GLI3タ ンパク質のみが検出されたが,MT-iPSC では,抑 制型 GLI3タンパク質と活性型 GLI3タンパク質の 両方が検出された。PTCH1変異による下流シグナ ルの異常を検索するために RNA-seq 解析を行った ところ,MT-iPSC で転写因子 FOXO1,ID4の発 現が WT-iPSC と比べて有意に上昇していた。以上 より,PTCH1の変異は,骨芽細胞分化初期に促進 的に作用し,石灰化を亢進させることが示唆され た。また,これらの異常は,GLI3活性型と抑制型 の発現バランスの変化に加えて,骨形成・石灰化に 関わる他の転写因子群を介して引き起こされる可能 性が示された。
№30:CRISPR-nicase 法を用いた機能亢進型 GNAS 変異 iPS 細胞の樹立
渡邊豪士1),森田奈那2),小倉弘之3),齋藤暁子4),小野寺晶子4),中村 貴4),山口 朗5), 東 俊文4),柴原孝彦1)(東歯大・口腔顎顔面外科)1)(東歯大・オーラルメディシン口外)2) (東歯大・矯正)3)(東歯大・生化)4)(東歯大・口科研)5)