病院図書館2007;27(1):3−6
層特集ヂジタル図書館
OvidaWoltersKluwerbusinessの病院向けパッケージ
I . は じ め に OvidTechnologies(以下Ovid社)は、Ovid Medline/Evidence-BasedMedicineReviews(以 下EBMReviews)など医学系コンテンッをCD‐ ROMNetworkおよびInternet上で提供する データベース・プロバイダであり、出版社の電 子ジャーナルが試験段階であった1997年頃から 自社のOnlinePlatfOrm(OvidWebGateway以 下OvidOnline)上に、さまざまな出版社の著 名タイトルを搭載して提供するAggregatorと しても知られてきました。 近年、親会社であるWoltersKluwerHealth (以下WKHealth)の戦略により、Ovid社は WKHealth傘下の主要出版社Lippincott Williams&Wilkins(以下LWW)、Adislnter‐ national,鹿ct&Comparisonsなどとの結びつ きを強めており、特にLWW発行のジャーナル や書籍については、コンテンッを所有する電子 出版社としての「顔」も持つようになりました。 本稿ではLWW電子ジャーナルを中心に、 WKHealthのTopBrandsのひとつであるOvid 社の提供する「病院向け」の電子コンテンツ& サービスを横断的に紹介します。 Ⅱ.電子コンテンツ&サービスの紹介 1.LWW電子ジャーナル LWWの発行する学術雑誌は、医学・看護学 および関連分野を中心とし、OvidOnline上で 電子的に出版されているタイトル(以下LWW onOvid)は約280を数えます。2003年にプリン したらまりこ:OvidTechnologiesJapanOffice −3−設 楽 真 理 子
ト 機 関 購 読 に 対 す る 電 子 ジ ャ ー ナ ル の 無 償 Bundle(通称:LWWOnline)を中止して以降、 日本医学図書館協会・薬学図書館協議会および 国立大学図書館協会への電子ジャーナル・コン ソーシァ提案“LWWonOvidFixedlOO/Fixed 50',の加入機関は着実に増加し、2007年には60 機関に及んでいます。このうちプリントの購読 を前提としないe-only提案への加入は、この 2年間に7機関と増加しており「プリントから 電子ジャーナルへ」という利用者の意識の変化 を着実に感じます。 LWWonOvidの病院向け提案としては、 2005年より試験的に「プリント購読料プラス 15%」で、電子ジャーナルとプリントの両方を 購読できる“HospitalBundle,,というサービス を行っています。このサービスは、大学付属病 院をのぞく病院で利用できます。プリント版に 固執される利用者の方々から、LWWonOvid 導入への理解と支持を得るために、まずこの HospitalBundleを利用されたケースは少なく ありません。 2007年購読分からは、プリント購読の前提条 件のない"LWWHospitalFixedlO,,パッケージ の提供もはじまりました。病院の必須タイトルを厳選したこのパッケージは、AmericanJour‐
nalofSurgicalPathology,Anesthesiology, AnnalsofSurgery,Circulation,ClinicalOr‐ thopaedics&RelatedResearch,Laryngoscope, Neurology,Obstetrics&Gynecology,Strokeの 10誌を割安にフルテキスト購読できるだけでな く、契約期間終了後の所有権も、契約期間中に 利用可能であったバックファイルを含めて保証病院図書館2007;27(1) さ れ ま す 。 プ レ ミ ア ・ タ イ ト ル に エ ン バ ー ゴ (出荷停止期間)の遅滞なく、プリント版未収 録の記事も含めて、1日24時間・週7日医局か らでも病棟からでもアクセスできるLWWon Ovidは「病院図書館」のデジタル化に欠かせ ないアイテムです(参考URL①)。 病院図書室の専用ホームページをお持ちでな い場合に、利用可能な電子ジャーナルの統合ア クセス・ポイントを提供するポータル・サービ スも、OvidTechnologiesJapanOfficeから提 供されています。電子ジャーナルはアクセス方 法が面倒となると、さっぱり利用してもらえな いのが現状なので、とりあえず「ここにくれば、 利用可能な電子コンテンツはすべてあります」 という入口を用意するお手伝いを、ということ で立ち上げたサービスです。 2.LWWHospitalCollection(電子ブック・ コレクション) LWWの病院向けパッケージには、電子ブック のコレクションもあります。2006年には、病院向 けに厳選された30タイトルの年間購読パッケー ジ“LWWHospitalCollection,,が、リリースされ ました。このパッケージは、Oki,sPediatrics やWashingtonManualMedicalTherapeutics などの著名な教科書や、Griffith,s5‐Minute seriesを始めとする救急医療に役立つハンド ブックなど、病院勤務に必携なタイトルが網羅 されており、Ovid上の電子ブック専用Plat‐ form(以下Books@Ovid)を通して利用します。 Books@Ovidでは、複数の電子ブックの同時検 索 が 可 能 で あ り 、 文 章 を そ の ま ま 入 力 で き る NaturalLanguage検索や、適合率順にスコア リングされた検索結果、目次のフレーム表示や ハイライト機能など、電子ブックの特性を最大 限に生かし、利用者の使い勝手を高める工夫が なされています。LWWの電子ブックは、毎年 契約更新する「購読タイプ」に加え、「買い取 りタイプ」の契約形態も提供するようになり、 予 算 状 況 に 合 わ せ た 購 入 が 可 能 に な り ま し た (参考URL②)。 −4− 3.コンテンツとサービスの統合 LWWonOvidの特徴は、LWWコンテンツ
の搭載されているPlatform(OvidOnline)が、
単に電子ジャーナルの閲覧を目的に開発された ものではなく、OvidMedlineをはじめとする データベースのPlatformを兼ねているところ にあります。LWWonOvidを1タイトルでも 購 読 す る と 、 フ ル テ キ ス ト 購 読 契 約 誌 以 外 の 1,200誌以上の砥子ジャーナルの目次p書誌事 項 ・ 抄 録 ま で を 提 供 す る 索 引 デ ー タ ベ ー ス Journals@Ovidも無償提供されます。この Journals@OvidデータベースあるいはOvid Medlineを、医学文献の所在を探す検索エン ジンの中核として据えることにより、利用者は OvidPlatfOrmのLinkingTechnologiesを通し て、CochraneSystematicReviewsをはじめと する有償・無償のフルテキスト情報へ自在にナ ビケートされます(参考URL③)。 Ovid社では、購読電子ジャーナルリストを 自動生成するJournalAtoZ機能の付属した OpenURLリンク・リゾルバ“LinkSolver”も リ リ ー ス し て お り 、 こ れ ら を 活 用 す る こ と に よって、電子コンテンツを同一のPlatfOrmか ら提供するだけではなく、図書館サービスのさ まざまな側面(所蔵管理・ILLサービス・文献 複写依頼など)を電子的に統合することが可能 です。デジタル図書館としての発展を考える際 に は 、 将 来 的 に 検 討 す べ き ポ イ ン ト と な る で しょう(参考URL④)。 4.ClinicalResource@Ovid-病院向けの新し い統合サービスの形. WKHealthは2006年に、臨床上のさまざまな 課 題 に 対 し 、 短 時 間 で 答 え を 見 出 さ な け れ ば な らない臨床医や看護師が、「情報の海」に溺れ ることなく「選ばれた最適なコンテンツ」に、 「Googleのように簡単&迅速に」アクセスでき る“ClinicalResource@Ovid,,(以下CR@Ovid) をリリースしました。CR@Ovidは、Evidence -Basedな診断支援ガイドライン"Clin-eguide,,、 薬剤ハンドブックを主体とする電子ブック..病院図書館2007;27(1) レクションおよびOvidMedlineの基本セット から成り、外部webサイトへのリンクを設定 したり、薬剤相互作用やICD−9CMコードを 使ったりする検索も可能です(参考URL⑤)。 例えば、図1は、SevereAcuteRespiratory Syndrome(SARS:重症急性呼吸器症候群)と いう質問を、CR@Ovidに入力した結果として 表示されるQuickHit画面です。ここでは、 Clin-eguideからは管理や診断方法のガイドラ インが、電子ブックの5‐MinuteConsultData‐ baseなどから、WHOやCDCのクライテリア から疾病の歴史、病理、疫学、診断、予防、治 療方法まで、コンパクトにまとめられた情報が 入手できます。さらに、この疾病の有効な治療 方法に関するCochraneSystematicReveiwsや ACPJoumalClubなど、Evidence-Basedな MedicalArticlesもリストされています。また、 電子ブックのなかでも薬剤ハンドブック(Med‐ FactPatientHandout)からの情報は、Drugln‐ formationの柵に表示され、SARSの治療や診 断に使われる薬剤の詳細情報を提供します。こ のQuickList部分に表示されるのは、CR@Ovid 搭載コンテンツからヒットする何百ものデータ 中、真っ先に参照すべきTopRankingの情報に なります。ここまで到達し、かつ必要な情報を 一 覧 す る の に 要 す る 時 間 は 、 も の の 数 分 で す 。 必要があれば、これらのEvidenceとなった文 献をOvidMedlineのなかに見いだし、最終的 に相当する原著論文や関連文献までクリック& クリックで入手することも可能です。 CR@Ovidは、選び抜かれたコンテンッを統 合するだけではなく、それらから、臨床の現場 で必要とされる最良の情報に最短時間で到達す る手段を提供します。この膨大な数の研究情報 とポイント・オブ・ケアの間を「橋渡し」する CR@Ovidの役割は高く評価され、NewYork 市の公立病院コンソーシアムHHCやアイルラ ンドの看護師協会N2Nなどでひろく導入され ています。 今回の検索例に使用したCR@Ovidは、図2 に示されるように、基本セットに各国のガイド ラインやPatientHandoutsなどのコンテンッ を追加しています。EBMReviews(Cochrane SystematicReviewsをはじめとするCochrane Libraryのアウトプットおよび米国内科学会の EBM情報源ACPJoumalClubを含む複合デー タベース)や、より多くの電子ブックなど、既 に購読しているOvid上のコンテンツとの統合 を図ることもできます。今後は、MRIによる 3D解剖画像データベースPrimalPictures3D AnatomyやLW Wをはじめとする臨床系電子 ジャーナルのコレクションなど搭載コンテンッ の 拡 張 が 予 定 さ れ て い ま す 。 Ⅲ 。 結 び ● WKHealthのなかでもOvid社の属するMed‐ 、獣、 図2.CR@Ovidログイン画面 図1.CR@OvidQuickHits画面 輿……‘…,隈…ms4w…c’ ●も■廿廿R1b乃稚mIn堀坤en3o1ugQh℃MogF2t樺陶tjOntHQndqu酋 凸古p台急Re”甘鯛ⅣSynq”IWu8Imm噂hooい“21,〔Hum8則Pu“Fa鐙Pa型ngHandB“ − 5 − qinicaIR“our“③OVid 興幽NKALz叫酬.砂1W《w0卿'9N.,mrcOl“Ⅲ峰'・画脚坤I州"“‘唾韓聴. 毒2f由面E尋凹日華毎W君79具tuTGvbョ、1m。、nmdr@m巳 &…画と止哩且坐辿芝垣垂血&“空耐…'拝#帝、些嫁祝瞬傘坤憧Tv9キロ_E n コ f a 且 “ ユ ア 曾 令 ア . 、 、 1日創鐸rf調圃槌IYE“W“tTndの、9−恥n3EIfm9制嗣W斜誇 含巽“I群蔀司糧可r4山神0月帥楢ユfh・Manb9emQ前Rc,tnl” 念コニ唾尼、g息u3tgJY“き“郡Y、。$OmeOID釦詑巽g“き”鐸 = = ー 一 ■ 』 zwG8m”oにj砥&dwp”p“rDUtEomehllll“、w『0砿1月・80聾P4『由10, $I91EpMRQ・イー・AcPJ0wo1JIcIvb《'”1w4nU』句vTQONO印目短mD dIFUI1TWtlLl動afYHO職n9510vldD鈍り91帳IylEBuJM』《If z,』0術1h.'・'‘'『回riエIJ''1..『,Ho1bCr.雨冨T】七・㎡p『yfqM13『cdljQI“EVeIDnCOmqX砿 PROv1w,J20C6IS減@m”cR醐齢1Cochmne紬way郡OrcUpEDuR・・I OlOvldDocDC1hwYlE0M和pltReⅥ誠11,16m前Re3oulEOSI FQB161I1m“にlnofoOgcwrmgl月G8唾ph誠O8yJyn山Dme1SARS1 PROvlや地2006ISY方t9ma雌R”gvb1Cc&IMane紅叫gR“pl1plOⅣInrO6k’ oIOvldDocDO1縦』YIEB1MITop倉ER翫諦IIhlfmQtR“cu1g蛇I CIinica1Resou応e、Ovid l蝿31唾d諏蓉・草、錘yPo虻h @句…Fa0q姪fnャ##堂砧画bnB璽画U巳寸叩画gnr部画、。。“ '回読詞 ScIcctRcsOurces: 画Clin・eguIdeEvidencG・BasedGuId0IIneg 回Books[?】 回EBMAJticles 回Facts&CompansonsD『ugInIo『ma1ion EiMEDLINE1996−p『esent 画GuidglineB Links: .(吻日薫蚕薬情義センター 今3の診垂 QuIckIntoractionChecker: Dnjf11・ DrUQ2: ICD9・CMCodeLookup:
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病院図書館2007;27(1) icalResearch部門はContentinContext& Consultantsという新しいモットーを提唱して います。これには、従来のOvid社のモットー Content+Tools+Servicesから一歩進んで 「最良のコンテンツ(Contents)を、状況に応じ て最良の形で提供する(inContext)」、つまり 個々の利用者のワーク・フローやニーズの変化 にまで焦点を合わせた製品を開発しよう、とい う意気込みが感じられます。臨床の現場である 病院においては、WKHealthのさまざまな情報 が、オーダ・セットや薬剤アラートに効果的に 組み込まれていくような形での提供を最終目的 としています。電子カルテに代表される病院シ ステムとの統合やそれを可能とする柔軟なAPI の開発など、Ovid社とWKHealthの挑戦は続 きます。 参考文献 角田亮子:病院図書室におけるEBM関連ツー ル③WoltersKluwerHealthの臨床情報源.ほ すぴたるらいぶらりあん.2006;31(3):246-8. 参考URL