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新刊紹介 横山文樹著『子育て楽しんでますか?―あなたの「子育て」がもっと楽しくなる本―』

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Academic year: 2021

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横山文樹著

『子育て楽しんでますか?あなたの「子育て」

がもっと楽しくなる本』

石井 正子

現在,横山氏は昭和女子大学大学院人間教育学専攻 並びに人間社会学部初等教育学科の教授として教員養 成,保育者養成に携わる傍ら,子育て講座や幼児教育 関係の研修会講師として引っ張りだこである。「はじ めに」で述べられているように,本書は数々の講座や 講演会で横山氏が話してきた内容のダイジェストでも あり,この本を 1冊読むことで氏の子ども観,教育観 の中核に触れることが出来る。 しかし本書は,抽象的な子育て論ではない。書いて あることはすべて具体的,実用的で,母親の「困った!」 に応えてくれるお助け帳である。氏の言葉は,幼稚園 教諭として,おそらく何百人(何千人?)という子ど もたちを保育し,保護者を支援してきた経験と,父親 としての自らの子育て体験から語られる。子育てに戸 惑う保護者を前に子どもの気持ちを代弁し「我が子を 信じて,支えて,見守って」と訴える。そして読後は 誰しもが「肩の力を抜いて,まずは子どもと一緒の時 間を楽しもう!」と思えるようになるはずである。 本編 10章と 9つのコラムからなるこの本の第 1章 から第 8章までは,保護者が抱える子どもの悩みに一 つ一つ丁寧に答えてくれる。例えばまずは第 2章で 「お子さんが,内気で,消極的で困っていませんか?」, 第 3章で「子どもが反抗する,口答えをするというこ とで困っていませんか?」と問いかける。子どもが消 極的だと言って悩み,反抗的だと言って困惑する親に 対して,「焦らないで,無理に圧力をかけないで」,あ るいは「親への反抗は自己主張ととらえて」とアドバ イスし,ありのままの子どもの姿をあくまでも肯定的 に受けとめることを勧める。実は,この姿勢は横山氏 がおそらくは幼稚園児から大学生まで,自分が関わる 教え子すべてにとり続けている態度でもある。内気な 学生を前にしてその敏感な感性と謙虚さを評価し,自 己主張の強い学生にはその自発性と行動力を存分に発 揮させた上で,それぞれの持ち味を生かして誰かの役 に立つことの喜びに目覚めさせる。本書の回答は,ど んなときにも一貫して「ありのままの子どもの(学生 の)姿を受け止め,認め,長所を引き出す」という横 山氏の指導姿勢をよく表している。 そして,第 9章では自分の子どもしか目に入らない 身勝手な保護者の実例が次々に語られる。両親にとっ て,常に世界の中心にあるのは我が子であり,我が子 可愛さで周りが見えなくなる「親バカ」は困ったもの だがどこかほほえましい。しかし,ここで語られる困 った保護者の多くは,「自分の都合」,「自分の欲求」 で子どもを支配し,幼稚園に無理難題を押し付けよう とする「バカ親」である。読みながら「こんな親あり えない!」と思いつつ,振り返れば,自分も,子ども を心配するあまり根掘り葉掘り子どもから話を聞きだ そうとしたり,自分がわからない園での生活に疑心暗 鬼になっていたりしたこともあったなあと反省する。 さらに,本書の中で,最も読み応えがあるのは 9編 のコラムである。コラム①「子どもと遊べないお父さ ん」,コラム②「問題児をつくるこつ」,コラム③「意 地っ張りな子ども」と続き,読みながらそれぞれのエ ピソードに「ある,ある」とついうなずいてしまう。 日常よく目にする親子の姿,親子関係の具体例を取り 上げながら,何が原因でそうなるのか,だとすればど のように対応することが適切なのかをわかりやすく解 説する。 最後に,横山氏は子育てをより良いものにしていく ために,自分の子どもへのかかわりを「振り返り」, 「意識すること」が重要だという。子どもを追いつめ ず,ありのままを肯定し,長所を認め,笑顔を忘れな いこと。この本のタイトルにあるように,お母さんが 心から子育てを「楽しい!」と感じられたなら,子ど もも間違いなく毎日を楽しみ,生きていることの喜び を実感できるに違いない。少子化の中で育った子ども たちが親になり,初めて胸に抱く子どもが我が子だと いう事態が珍しくない昨今,子育てに戸惑う保護者に ぜひ手に取ってほしい一冊である。 (いしい まさこ 初等教育学科) ― 72― 2014年 12月 15日発行 大学図書出版 四六判 76頁 定価 1000円(本体) 学苑初等教育学科紀要 No.908 72(20166)

新 刊 紹 介

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