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系統農協の農村管理体制への発展(中) : 1970年代の日本の農業問題(3)

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系統農協 の農村管理体制への発展(

中)

―1970年代の日本の農業問題(3)―

目 次 l 序説一 農協の理論的解明の課題-H 農村の変貌 と農協組披 (以上,前号掲載) 川 農村経 済の変化 と農協運営 (1) 肥大 した事業の停滞局面 (2)農協 事業の停滞局面

(

3

)

金 融事業依存の経営構造

(

4

)

農協 の財務不均衡の構造 (5)農協信用事業 と系統金融 (以上,本号掲載)

(

6

)

農協程済事業 と連合会 (7) 系統農協 における資本形成 lV 流通機構 としての系統農協 ∨ 農村 管理体制への発展 以上

農村経済の変化 と農協運営

(1)肥大 した事業の停滞

1

9

7

0

年代 の

1

0

年間に農家のほ とん どすべての階 層 にわた って,農民の賃労老化が進行 し,農村経 済 における農業 の地位 は顕著 に低下 した。全国の 平均値を しめす とみ られ る,『農家経済調査』の平 均一戸当 り農家所得の うち,農外所得 は

1

9

7

0

年 の

6

4

%

か ら

7

9

年 には

7

5

%

に上昇 し,農業所得の比重 は低下 した。農村経済のプロレタ リア化を基調 と して,農村市場 は主 として賃労働を媒介に して, 都市 -資本主義経済の高度成長 の終 えん と低成長 への移行 とい う変化の影響を うけて推移 した。 農村市場 の各分野で高い市場占有率 を保持 して い る農協 の事業 は,都市 -資本主義経済の変調 の 影響を主 として農家世帯員 の賃労働 を介 してこ う

む った

。1

9

7

0

年代の農協事業の推移 の基本的特徴 は,事業量 の肥大化 と,肥大化 した事業の停滞で あ り, また事業量の肥大化に照応 して形成 された 事業経営の変調である。 貯金の肥大 と源泉の変化。全国の農協が吸収 し た貯金 は

,1

9

7

0

年度の

5

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3

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9

億か ら

1

9

8

0

年度に は

2

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4

5

5

億-

,4・5

倍にふ えた。年度間増加 率 は

1

9

72年 に

2

9.

8

0/.増 とピークに達 したのち,低 下傾 向に向い

,

1

9

8

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年度の伸びは

9.

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%

7

0

年代の 最低 となった。同期間中に定期性貯金 の増加がい ち じるしく

(

5.

1

倍),貯金に占め る定期性貯金の 比重 は

,1

9

7

0

年 の

7

0

%

か ら

8

0

年 の

7

8.

6

%

へ上昇 し た。定期性貯金の比重が高 くなったため,貯金の 吸収原価が高 くな り,信用事業経営 は難問をかか えるよ うになった。 貯金 の源泉が変化 した。農林中金お よび農村金 融研究会の調査によると,残高構成に しめる正組 合 員貯 金 の比重 は

7

0

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7

8

%

か ら

81

3

月の

6

4.

5

%

に低 下 し,それ に替 って准組 合 員貯金 が

1

3.

4

%

か ら

1

7.

9

%

に上昇 した。 また, これを所得 源泉別にみ ると,戦後長 らくの間,米代金 を主 と す る農業収入が貯金の主要 な源泉であ ったが

,7

2

年9月には土地売却代金が占め るに至 り,農地 の 農外転用面積の集中 した京浜,中京,京阪神 など の都市近郊農協の信用組合化が進 んだ。土地売却 代金の貯金源泉に しめ る比重 は

,7

1

年 を ピークに 漸減 し,替 って農外収入の比重が上昇 した

。1

9

8

0

年度には農外収入

5

1

%

,農業収入

2

7

%

,土地代金

2

2

%

とい う構成 となった。 農協信用事業 の経済的基盤 は, この

1

0

年間に顕 著に農業か ら農外 に移行 した。農協貯金 の吸収 と 貸付運用の循環が,農業外の賃労働者的家計を基 礎 として成立す る方向に傾斜す るよ うになった。

-1

3

(2)

-貯金が金利選考 に傾斜す るとともに,貸付の伸び 悩み, とくに農業近代化資金 などの営農資金貸付 けの不振 といった結果を招いた。 貸付の不振。1970年代 の10年 間 に, 貯 金 が4. 5倍に肥大 したの と比べて,貸付金の肥大は3.5倍 にとどま り, これが資金運用 における預金,有価 証券取得な どの余裕金運用への傾斜に拍車をかけ た。農協の貸付金 (農林漁業資金 などの転貸 を除 く) は1970年 の3兆0366億か ら,1980年 には10兆 6371倍 に増加 した。1971年-75年 に年間20%の伸 びを しめ したが,78年 に2%増 とい う不振の谷底 を経 て,80年 には9.8%に回復 したが,伸 び率は半 減 して文字通 り伸 び悩みの状態 となった。当然, 貯貸率 (貸付金/貯金) は低下 し,1970年 の51% が1980年の40%弱 となった。 貯貸率の低下につれて,農協の資金運用 は信連 預金を主 とした余裕金運用に傾斜 したが, この こ とが利鞘の縮小による信用事業収益の悪化を結果 した。農協の貯金一貸付の利鞘収益 は,1970年の 4.20%か ら1980年 の2.93%-低下 した。同期間に 貯金∼預金の利鞘収益は,最高の2.00%(1971年) か ら1.63% (1980年)へ低下 した(「農協経営分析 調査」の数値)。貯貸率が低下 し,信連に向けての 預金運用を重点 とす るようになったため,利鞘収 益の低下に拍車がかけられ,1980年度には事業総 利益の減少 とい う事態を招いた。1972年 い らい継 続 して利益の増加をみせた農協が,1980年度の利 益が前年 と比べ て28.7%の減 (「農協経営分析調 査」)となったのは,主 として信用事業利益の減に 由来す るものであ った。 購買事業の伸長 と品 目構成の変化。1970年代に 農協購買事業量 は,1970年 の1兆2398倍か ら1980 年 の4兆7004位へ,3.8倍にふえた。 この期間中, 第

1

次石油危按 による供給価格の高騰があ り,購 買事業量 は1973- 4年 に前年比33.7%,34.5%と 記録的伸びを しめ した。在庫品価格の急騰により, 全単協合計で粗利益は73年2216鼠 74年3041億 と 増加 し, これ までの1000億台の2倍, 3倍の水準 の額 となったo 購買事業の分野別内訳では,同期間中に生産資 材3.5倍,生活資材4.5倍であった。分野括戒をみ ると,1970年 に生産資材73.2%,生活資材26.8% であったが,1980年 には68.1%,31.9%と変化 し, 例 えば1965年 に25.7%と,購 買事業量の4分の1 を しめ るにす ぎなかった生活資材の伸 びがいち じ るしく,1980年 には1兆4979億 と, 1兆円台の事 業量 となった。 生産資材の内訳では上位3品 日とされた飼料, 肥料,農機の比重が低下 し,保温資材(石油),包 装資材(ダンボ-ル箱など), 自動車,建築資材の 比重が上昇 した。水稲の生産調整,水田利用の野 菜作-の転換,畜産経営 の低迷が基調 となって, 上記の生産資材購買の変調が生 じた。生産資材購 買はこの10年間に

,

「狂乱物価」の1973-74年 にそ れぞれ35%の事業量-売上高 の伸 びを記録 したほ かは,1975年 と77年の伸 びが8%弱,78年 に1% 近 い減少 となるなど,不 安定 と伸 び悩み とい う停 滞傾向を しめす ようにな った。 これは農業生産の 停滞 を直接 に反映 してい る。 反面,生活資材購買は「狂乱物価」の両年 に31%, 33%とい う急増 を しめ した ほか は,各年 度 にわ た って12%前後の安定 した伸 びを しめ した。品 目 別 にみて増加のいちじる しか った ものは,莱,そ の他食品,家庭燃料などであ って,農村 における 賃労働者世帯の生活様式 の普及を反映 している。 とくに伝統的に生産資材 を重点 とした事業方式を つづけてきた農協購買事業 が,生活資材購買の分 野で前進 した ことは,生産 資材の伸 び悩みを補 な うべ く新たな開拓を試ろみ た結果で もあるが,負 家世帯員の賃労働老化に よる生活様式の変化を基 調 とす るものである。 販売事業の不振。1970年 代 の10年間の農協事業 の推移 について注 目され る特徴は,信用事業が貯 金量で4.5倍にふ え,購買事業 も事業量が3.8倍に ふえたのにたい して,ひ と り販売事業量が2.6倍 増 に とどまった ことであ る。 なかんず く,米の取 扱高は1.8倍であって,米価 (基本米価,60キ ロ) が1970年 の8,152円か ら80年 の17,536円へ と 2.15倍 に上昇 した ことを考慮す ると,取扱数量 は 減少に転 じたのである。 自明の よ うに, これは米 作の生産調整を反映 した ものであ る。 販売事業量 は1970年の2兆1086億か ら80年 の5 兆5009億にふえた。 しか し,米は1兆0812鮭から - 1 4

(3)

-77年 の2兆5176億 に漸増 したが,1978年 にはじま る水田利用再編事業 の結果 として,減少の一途 を た ど り,80年 には冷害の影響 もあ って1兆9766倍 に減少 した。 当然,販売事業量 の うちの米取扱高 の比重 は低下 し,1970年 の51%か ら80年 には36% まで下 った。 それに香 って青果物 と畜産物 の比重 が上 昇 し,1980年 に はそ れぞ れ25%を しめ るに 至 った。

(

2

)

農協事業の停滞局面 変化 す る貯金源泉 と費用増加。1970年代 の10年 間を経過す るなかで,農協事業が一面かつてない 肥大化を とげ,反面では停滞の局面 を迎 えた こと は明 らかであ る。今 日の農協が直面す る問題は, 事業量の肥大化の過程でつ くりだ された経営様式 (経営方法 と経営機構) を,事業の停滞局面に照 応 して調整す ることであ り,その調整が農協の将 来 を左右す るであろ うとい うことである。 信用事業 は27兆円の貯金を吸収 し,農村貯金の 占有率 は1970年 の62%か ら80年 に56%(「農家経済 調査」)に低下 した ことは云 え,信用部門職員の総 数7万2552人 (1980年3月)を ようして,銀行等 (残高の31%)や郵便局(13%)と比べて優位に立っ ている。 しか し,70年代の前半期に年率20%以上 の伸 びを しめ した貯金増加率 は,70年代後半 には 10%を割 るに至 り,明らかに事業の停滞面 を迎 え た。 信用事業 は貯金 吸収量 とい う量的側面 と比べ て, はるかに深刻 な問題 を,その質的側面,つ 享 り吸収 と運用 の事業運営方式 の面 でかか えるに 至 った。それ は端的 に言 って,信用事業部門損益 が悪化 し,農協経営 にたいす る寄与能力が弱まっ た ことであ る。 それは高度成長の破綻 のもとでの,農民経営の 危機,全般的 な賃労 老化 に由来す る。 まず,農協 信用事業の吸収す る貯金 は,農業収入か ら農外収 入 と土地売却代金 に源泉を移行 した。1980年度に 吸収 した貯金 の源泉は,農外収入51%,土地代金 22%であって,計73%が農業生産 に直接の基礎 を 置かない、貯蓄性 の資金であ り, したがって金利 選考性の強い性質の資金である。農協貯金 の基本 的性格が変化 した。 この変化につれて吸収方法 も変 った。農業収入, つ ま り農産物販売代金の貯金 口座-の振込みによ る貯金吸収 は,外務職員の活動による吸収 に変 っ た。 当然,貯金吸収 に本来的 な吸収 コス トが算入 す る事態が生 まれた。そ して この10年間に人件費 支 出 (人数および給与額)が増加 した ことが加わ り,人件費率 と物件費率の合計か らなる経費率 は, 1973年 の1.35%か ら77年 に1.77%に と昇 し,79年 にも1.67% とい う水準で推移 した(「農協経営分析 調査

)

0

反面,運用利回 りおよび利鞘が低下 した。政府 の金利政策 と金融情勢の影響を うけて,農協の運 用利回 りは,1970年 の貸 出金8.56%,預金6.27% か ら79年 に はそれ ぞれ8%,5.75%へ低 下 した (「総合農協統計表」)。その結果,利鞘 も低下 して, 貯貸利鞘 は1970年 の4.20%か ら80年 に2.93%へ 貯預 利鞘 も同期 に1.80%か ら1.63%-低 下 した (「農協経営分析調査」)Qしか も,農協の貯貸率は 1970年 の51.1%か ら80年 に は39.6%- 低 下 し, 60%の資金が信連預金をはじめ とす る余裕金運用 にふ り向け られた。 これは営農資金が財政資金融資に依存 し,農民 経済 の危機 の もとで営 農資金需要 が後退 した こ と, また財政資金融資によって 「長期低利」の債 務が累積 したことなどを反映 して,農協一般資金 の貸付の伸 びが鈍化 したためである。 農協資金は 営農資金融資の責任か ら 「解除」 され,余裕金運 用に急速 に傾斜 した。相対的 に高率運用の貸付か ら,低利回 り,低利鞘の預金運用に向ったのであ る。1980年度末現在で有価証券 (国債,地方債, 金融債,金銭信託 など)取得総額 は1兆9404億に 達 したが,余裕金運用の主 な方法は預金 であって, 15兆3928倍(系統預金15兆1335億,系統外預金2593 億)である。 この ような資金運用方法 は,利鞘 の低下 をもた らし,信用事業利益の伸 び悩み,そ して絶対額が 減少す るとい う事態を生んだ。すでに指摘 した よ うに1970年代 に入 ってのちの信用事業総利益の伸 びは,1970年 に前年比27%であって,1960年の伸 び率傾向がつづいたが,以降77年 まで20%前後の 伸 び率がつづいたのち,78年以降は伸 び悩みにな り,80年 には前年比5.8%減 とい う事態を迎 えた。 これを 「農協経営分析調査」結果 によってみ る と,信用事業損益 (事業収益か ら直接費を差引 き, -1

(4)

5-事 業 管 理 費 を差引い た徐)は1970年 に 前 年 比 37.2%増であったが

,

77年 には15.4%増に伸 び悩 ち,79年 には0.1%減 に転 じ,1980年 は14.9%の大 幅減収 となった。信用事業損益の悪化 はこの10年 間における事業収益の伸 び悩み,減収 と,貯金費 などの事業直接費の大幅な増加 に起因 し, またお おむね85%の人件費 をふ くむ事業管理 費 の膨張 に起因す る結果である。事業収益 にたいす る事業 直接費の比率は,1970年 の66.2%か ら80年 には 72.5%に上昇 した。 また,事業収益 にたいす る事 業管理費の比率 は11.6%か ら13.4%に上昇 した。 こうした信用事業損益の悪化 は、ある程度 は運営 の技術的事情 (労務管理や余裕金運用方法 など) に由来す るが,その基調 はすでに指摘 したよ うに, 農民経済 の危横,農村経済の全般的 な賃労働化 と い う構造の変化 にある。 購買費用増加 と事業量拡大。農協購買事業 はこ の10年間に事業量が4倍近 く肥大 して,1980年 に は全国合計で8万9113人の従業員をよ うし,年商 4.7兆円の規模 の農村 において最 も有 力 な商業企 業 となった。購買事業量の肥大化 は,全農を頂点 とす る連合会の事業 -売 り込み推進 によるもので あ り,事業量拡大で全農が一定の役割 をはた した ことは否定で きない。 しか し,農協 もけっして受け身ではなか った。 農協の事業量拡大の動向は単純ではない。例 えは, 営農指導の面で職員の技術研修 に よって指導力を 強化 し,販売,指導 と結合 した生産資材の供給体 制 を うち立てた。生活資材の分野では,農村の賃 労働化 とい う新事態の もとで,労働者的生活様式 に由来す る商品需要 に対応す るべ く,Aコープ店 舗をは じめ とす る店舗の改装,近代化 をはか った。 農協購買事業 の拡大 における基本的 な動力は, 人件費をふ くむ事業管理費の増加に対応 した事業 収益の追求にあ った。事業管理費の増加を吸収す るべ く事業収益 を追求 し,事業収益の追求のため に,高め られた賃金 による職員人材の確保 に努め, 事業管理費の増大を回避 しなか った, とい う因果 関係を通 じて,事業規模が拡大 した とみ ることが で きる。 購買事業 は組合員農家の購入, もしくは共同購 入の側面 と,農協の売 り込み,供給の側面 との両 面がある。 この10年間は両面 の うち,農協 の売 り 込み,供給 の面が前面 に出た。 これは農協の事業 拡大 の動力が一面的 に作用 したため ばか りで な く,組合員農家 の側 に生 じた新たな事情 にも由来 した。新たな事情の一つの要素は,農家の全面的 な賃労働老化であって, この ことが共同購入活動 の基礎 を弱め,個人的 な分散的な農協利用,ある いは農協 の売 り込みの受け入れに傾斜 させた。 新たな事情の第2の要素 は,専業農家の個別的 な業種専門化の傾向が強 まった ことであ り, この 傾向の進むにつれて共同購入活動の基礎が弱まっ た。第3の要素 は専業農家,兼業農家に共通 して, 農業従事者が高齢老化 した ことであって,高齢老 化す るにつれて庭先配送を期待す るよ うにな り, この意味で共同購入活動の基礎が弱ま り,共同購 入の実務能力 も弱 まった。 この ような農家の商品購入の新事情が,購買事 業 における農協側の主導性を許 し,購買事業を農 協の売 り込み,供給事業た らしめ,農協の事業拡 大の動力の作用 の場た らしめた。 購買事業 において,組合員農家の共同購入活動 が衰退 し,購買部門に配置 された職員 による売 り 込み,配送業務 に依存す る事態の もとで,事業直 接費や事業管理費の支出がか さみ,購買事業損益 に影響が及ぶ とい う結果が生 じた。例 えは,1965 年 と80年 を比べ ると,事業総利益 (事業収益か ら 事業直接費を差引いた数値)は17.3倍に増加 した。 同 じ期間に事業管理費は22.9倍に, うち人件費 は24.6倍にふ くれ上 った

(

「農協経営分析調査」)0 この ことは事業管理費の増大,つ ま り事業 コス ト の上昇を しめ し,人件費の利益生産性の低下を予 想 させ る。人件 費1,000円当 りの事業総利益 は, 1965年 に2円21銭であったが,1980年 には 1円56 銭に低下 した。 こうした人件費の利益生産性の低 下は,人件費の うち賃金水準が社会的与件である ために,農協 を して事業総利益の追求,つ ま り供 給量増加,売 り込み推進 に傾斜 させた。 販売事業の集荷事業化 に伴な う費用増大。販売 事業 も信用,購買両事業 と基本的 に同 じ事情 にあ る。農協販売事業 は政府の価格 ・流通政策 の強い 影響下 にあって,政策 の変化 に左右 されなが らも, 1980年 には5.5兆 円の事業量 と1万9425人 の販売 職員,農業倉庫職員3,753人,運送職員3,022人, -1

(5)

6-加工職員2,588人をようして,農村の農産物流通企 業 として成長 した。 農協販売事業 の市場条件を規定す るものは,第 1に小麦,大豆,飼料用穀物 の輸入依存の状況で ある。第

2

は水稲,酪農,みかんおよび鶏卵の生 産調整政策,調整的な政策価格である。第3は畜 肉,果実の輸入圧力であ り,第4は水田転作の野 菜増反 の圧力である。 この市場条件は1970年代 の 後半 に強化 され,農業生産 の停滞局面 を形成 した。 また,主 として政府の政策 に起因す る農業生産

O.

停滞 は,農村経済の賃労働老化 の傾向に拍車をか け,専兼両農家の農業従事者の高齢老化を進めた。 農協中央機 関は農業生産の停滞をもた らす政府 の政策 に対 して,「需給調整」事業 を通 じて同調 し, 「需給調整」者 として,つ ま り系統農協 を農村管 理体制 として再編成す る立場 に立 った。農協販売 事業 はその よ うな農村管理体制 のなかで機能す る もの となった。「需給調整」は事実上,農畜産物 の 生産 と販売数量 の減少を意味 し,農協販売事業量 の縮小を もた らすのであ るか ら,農協に とっては 新 たな難問である。 例 えば米の生産調整の よ うに,調整 は生産販売 量 の減少に とどまらず,価格の抑制を意味す るた めに,販売高 の減少をもた らす。農協 にとって難 問であるとい うのは,事業量の停滞 と減少,収益 源泉の削減が不可避だか らであ る。 この ことは水 田利用再編事業が実行 された1978年度以降の,栄 販売事業実績 にてらして明 らかである。 調整 は主要農産物のすべてを対象 とせず,一部 の品 目分野で実行 され るはあい,必 らず Lも生産 販売量の減少 を意味 しない。それは作 目の転換が あ るか らであ る。1978年 には じまった米作生産調 整がその例である。転換の奨励作 目として野菜が 指定 されたために,東北地方 な どで果菜類の生産 が増 え,農協販売事業品 目となった。 これによっ て大都市卸売市場入荷の産地圏が拡大 された。 し か し,産地側 としては遠隔地市場出荷を強い られ た結果 とな り,販売における包装,運送費の増加 とい う,新 しい負担を背負 った。農協販売事業 の 事業直接費の増加 も避 け られない。 農業市場条件の変化,生産販売構成の変化が進 むなかで,一般的に言 って農協販売事業 は停滞の 局面 を迎 えた。1970年代 の10年間に,農協販売事 業 は71年 と80年 に,それぞれ前年比3.2%,4.5% の事業量減少を経験 した。いずれ も米の生産調整 の影響を うけた ものであ り,80年 は東北地方 の冷 害 による減収が重 なった。 この両年 を除 くと,前 半の75年 までは20-25%の事業量増であったが, 後 半 には4%増 とい う事業量 の伸 び悩 み となっ た。 この10年間の販売事業 の推移を,損益関係か ら み ると,事業収益 も伸 びたがそれ以上 に事業直接 費が増 え,事業収益か ら直接費を差引いた事業総 利益 も伸びたが, それ以上 に事業管理費が増 え, 総 じて損益が悪化 した。1965年 と80年 を比べ ると (「農協経営分析調査」),この期間に事業総利益 は 12.6倍に伸 びたが,事業管理費は13.4倍に増 え, うち人件費 は13.6倍に増 えた。その結果,事業損 益 は10.4倍増 にとどまった。事業損益 は1977年 と 80年 に減益を経験 し, とくに80年 には前年比24% 減 とい う顕著 な落 ち込み となった。 販売事業の損益 の悪化を招いた原因 は,第1は 販売収益の伸 び悩みである。それは販売数量の増 加 とそれに比例 した事業直接費の増加 にもかかわ らず,政策価格の据置 きに代表 され るよ うに価格 が低迷 し, したが って販売収益が低迷 した ことで あ る。第

2

は販売事業が農民の共同販売活動 とい う性質か ら,農協の集出荷事業 とい う性質に変化 し,それにつれて集出荷施設が整備 され,配置職 員が増加す るなど,販売事業関連の費用が増加 し た ことである。 農民の共同販売活動の後退は,農産物価格の多 くが政府の決定す る政策価格 とな り,活動の余地 が狭め られた ことに理由がある。 また,農家の労 働力不足,農業従事者の高齢化 などによって,販 売活動を農協 に依存す る傾 向が強 まった ことに も 理 由がある。農民の共販活動が後退 し,農協の集 出荷事業の性格が強 まるにつれて,事業関連の費 用支出が増加 した。販売事業関連の費用が増加 し て も,政府の政策 および市場条件に よって販売収 益 は伸 び悩む状況 にある。例 えば,人件費の利益 生産性,つ ま り人件費1,000円当 りの事業総利益 は,1965年の1円76銭か ら1980年 の1円63銭に低 下 した (「農協経営分析調査」)0 ー 17

(6)

-事業肥大化 と費用の膨張。信用,購買,販売の 3事業部門の損益関係の考察 は,つ ぎのよ うな事 業量 と損益の関連 を明 らかに している。 まず,農 協の事業量 は各事業 ともかつてな く肥大化 し,農 村において強大 な経済的地位 を固め,一部の品 目, 事業 の分野で地域的独占とも言 うべ き地位 に立 っ た。 このよ うな農村経済に しめる地位 を基礎 に し て,系統農協 とその中央機関は以前の時期の占有 率を争 う課題か ら,農村経済の管理運営を 目ざす 課題へ と移行 した

。1

9

7

0

年代の後半の金融市場の 緩和,商業市場 における供給過剰の情勢が現われ, 農協事業の停滞局面が出現す るにお よんで, この 移行 は急速であった と言 える。 つ ぎに,農協事業の肥大化の過程 は,経営上の 新 た な難問が発生 し累積 され る過 程 であ った。

1

9

7

0

年代の農協事業 の発展を,農協経営の観点か らみ ると,それ は各種事業の不均等発展の過程で あった。各事業部門の事業損益の推移 はすでに考 察 したが,それ は一万では金融事業 (信用および 共済)の損益が披行的 に増大 し,他の事業損益の 蓄積が立 ちお くれ 総合損益が金融事業損益に依 存す る経営構造 を形成 した。 また他方では,その披行的 に発展 した金融事業 とくに信用事業 が期間の後半 において,利鞘縮小 に由来 して事業損益が悪化 し,総合損益に影響を あた える事態が生 じた。事業損益 の悪化は事業収 益の伸 び悩み と,.事業直接費お よび事業管理費の 増大 との矛盾 に よって招来 された。 この現象はす べての事業部門 に共通す る現象であった。 事業直接費 と事業管理費のてい増 は経営面の現 象である。経営 における支出費用のてい増 は事業 量の肥大化がっづ き,事業収益が急増す る傾向の もとでは,収益 に吸収 されて,時 としては相対的 なコス ト低下 を結果す ることも可能であった。 し か し,事業が肥大か ら停滞局面 に移行 し,事業収 益が伸 び悩むにつれて,支出費用のてい増 は事業 損益悪化の原因 とな り,絶対的 な コス ト上昇を招 く

。1

9

7

0

年代の後半 は, まさに このよ うな局面で あった。 この事態が農協問題 として深刻であ るのは,そ れが農業問題,つ ま り農村経済の賃労働老化 と関 連 してい るか らであった。農協の諸支 出費用は経 営政策 Lの判断 によるものであ るが, その ような 判断の選択が農村経済の賃労働老化の事情 によっ て規定 され,選択の幅がいち じるしく狭陰 であっ た。今 日の農協問題の核心は事業量肥大化 の過程 でつ くり出 された農協の経営方式 を,事業停滞の 局面 において改革す ることである。改革 は不可避 であるが,進行の止 まることのない農村経済の賃 労老化 の傾向に由来 して,費用支出の増加を求め る要因 はひきつづ き強 く,改革方策 はきび しい制 約 を うけざるを得ない。

(

3

)

金融事糞依存の経営構造 総合損益の経済的基礎の変化。総合農協 の経営 が,その損益 と貸借の両面 にわた って,金融事業 に依存す ることは,一つの経験的事実である.農 協経営 において金融事業が損益 と貸借の両面で, 他の事業部門 ととり結ぶ関係は,部門別損益計算 の方法 によって明らかにされ ることも周知 にぞ く す る。 農協 の経営は信用,共済,購買,販売,倉庫, 加工,利用,指導の各部門が,管理部門を中心に して,損益 と貸借の両面で相互に結合 して成立す るものである。 これを総合経営 とよんできた。 つ ま り総合的に費用 -資本を支出 して,各事業部門 が事業 を営 なみ,各事業 ごとに収益の形態で資本 を回収 し,総合的に投下 された資本を補填す るわ けであ る。つ ま り,総合的 な費用支出 と総合的な 収益取得 とい う形態を とるものである。 この よ うな総合経営 は任意 の経営方式 で はな く,経済的基礎 があ り,その経済活動 を反映 して いた。その経済的基礎 は一言で言 って,米経済で あ り,食糧管理制度であって,米経済,食糧管理 制度 と結合 した総合経営方式 こそが,総合農協 の 経営方式の原型をなす。具体的 に言 うと,食糧管 理制度の もとでの米集荷 (1955年以降,予約売渡 刺),政府-の売渡 し,米代金の系統金融機構経由の 振込み,農協の受領,貸付金・購 買売掛金の回収, 残金の貯金吸収 とい う一連の業務が執行 され,そ の業務執行過程を通 じて費用支出 と収益回収がお こなわれる。 これが総合経営の実態であるが,伝 用,購 買,販売,倉庫の各事業 は自立 した もので な く,相互に与件 となる関係にあ る。したがって, 実存す るのほ総合的な費用の形成であ り,総合的 な収益の回収であって,部門別損益計算は分析試 ー

(7)

18-算に とどまる,企業 内部の試算であ る。 農協 の総合経営計算の原型 は,その経済的基礎 が変化す るにつれて,当然,新たな展開を とげる ものである。 その新展開 は総合損益の経済的基礎 の強化 に作用す るもの と,弱体化,解体に作用す るもの との両面 を伴な う。1970年代の10年間に農 産物販売事業 は,米取扱量の低迷,青果物 と畜産 物 の取扱量 が増大 し,米の比重が低下 した。 販売品 目の多様化 につれて,総合損益の経済的 基礎 は多様化 の うちに拡大 された。 しか し,購買 事業 におけ る生活資材取扱量の増加, とくに員外 をふ くむ不特定の利用を意味す る公開店舗の取扱 量の増加は, その費用支 出 と収益回収 は総合性を 欠 くもので,総合損益の経済的基礎 の弱体化,解 消に作用 した。 また信用事業の貯金吸収 における 農業収入の比重の低下,土地代金 と農外賃労働収 入の比重の上昇 も,総合損益の経済的基礎 の弱体 化 に作用す る ものであった。 1970年代 は従来の農協の総合損益を変化 させ る 要素が輩出 した,一つの画期 をなす時期であった。 まず,米販売 と食糧管理制度を一義的 な経済的基 礎 とす る総合損益が,莱,青果物,畜産物 の販売 とい う多様 な経済的基礎 に移行 した。つ ぎに,磨 村経済の賃労働老化を基調 として,生活購買や農 外収入の貯金吸収が増加 し,総合損益 の経済的基 礎 を崩壊にみちび く過程が開始 した。 そ して,第 3に,信用事業損益の悪化 によって,過度 に信用 事業 に依存 した損益構成が訂正 され,損益それ 自 体が全般的 に悪化す る局面が生 じた。 金融事業依存の損益構成。部門別損益状況を し めす全国農協中央会の 「農協経営分析調査」 は, おおむね300組合前後の調査組合の結果をしめす。 この調査 は各事業部門の事業収益 と事業直接費お よび事業管理費の差額 を以て事業損益 とみ なし, それ に財務損益,事業外損益 を加算 し,その結果 にたい し管理部 と指導部の費用の配賦負担 をお こ なって,各部門の純損益 を算出す るものである。 この計算方法 は,役職員が担当部門を超 えて,全 員参加によって貯金吸収,共済契約の外務活動 を した場合, その事業管理費 は信用,共済部門には 帰属 しない。 また,農産物販売代金の貯金への振 替 え吸収を した場合,販売事業 の事業直接費,事 業管理費は販売収益 と信用部収益の取得 に貢献す るのであ るが,信用部 は費用支出なしに収益のみ を取得す るとい う計算方法である。 したが って, この計算方法は実態以上に信用,共済部門の収益 を多 く,販売事業部門の費用を多 く表現 し,損益 構成 の金融事業 依存 の関係 を強調す る ものであ る。計算方法の特殊事情を考慮に入れ て

,

「農協経 営分析調査」の結果を考察す る必要があ る。 この調査 によると,1960年代に入 って以降20年 の長期にわた り,信用,共済部門が部門損益で利 益 を計上 し,他 の部門がすべて欠損を生 じ,両者 の合計による純損益 は連年利益 を生 じて きた。純 損益の利益額 は1970年代の10年 間において,71年 に前年比7.7%減,80年 に28.7% 減 となった以外 は,つねに増加傾 向をしめ した。 しか し,76年 に前年 比58.2%増 を記 録 した の を ピ-クに,以降利益額 の伸 び率はてい滅 し,つ いに80年 に大幅の減額 となった。70年代後半 の各 年 における純損益 の利益額 のてい減 は,各事業 と くに金融両事業 の収益が停滞局面を迎 えた ことの 反映である。部門損益の利益部門が金融両事業で あるとい う実態 か らすれば,その部門損益が純損 益 を左右す るのは当然の ことで もあ る。 ちなみに この10年間の事業総利益の部門別構成,事業管理 費,純損益 との対比の概略 はつ ぎの とお りであるo 1970年 1975年 1980年 金 融 50.8% 50.3% 53.7% 購 月 31.6 35.2 32.9 販 売 8.9 8.7 7.5 倉 庫 5.8 2.0 2.5 加 工 1.2 _0.9 0.9 利 用 1.4 1.7 2.2 そ の 他 0.2 1.3 0.4 事業総利益 100 100 100 事業管理費 82.7 84.9 89.9 この損益構成 は事業総利益の形成 において,金 融事業利益の しめ る比重が向上 し,純損益 を左右 す る位置にあること,金融事業の比重が向上す る につれ,購買,販売,倉庫 などの経済事業の利益 形成における役割がます ます低下す ることを明 ら かにしている。つ ぎに事業総利益 と比べて,事業 11

(8)

9-管理費がてい増 をつづけ,80年 には約90%に達 し, 純損益 は事業総利益 の10% を割 る状態 にな った。 農協 の損益構成 における人件費を主 とす る事業管 理費の重圧 を しめ してい る。 以上の数値 を純損益郡 の各部門損益 の内訳にお いて しめ したのが,つ ぎの数値 である。 1970年 1975年 1980年 純 損 益 100 100 100 金 融 215.1 229.3 189_3 購 貝 △30.9 △44ー0 △24.3 販 売 △27.4 △25.8 △25.7 倉 庫 △ 5.5 △13.3 △ 9.0 加 工 利 用 △13.3 △16.3 △16.6 他方,前年比減少組合 は78年 998組合か ら79年 1356 組合,80年2491組合 と倍増 以上 に増加 した。 この ことは農協 の剰余金が総体 として減少 しは じめ, 剰余金減少の傾 向がっい には欠損金組合 に転化す るとい う危快 を生 んだ。 事実

,

「総合農協統 計表」 によると当期欠損組合 は79年48組合か ら80年89組 合へ と急増 した。「農協経 営速報調査報告」はこの 事情 を,つ ぎの数値で明 らか にしている。 1978年度 1979年度 1980年度 剰 余 金 組 合 数 4,329 4,277 4,225 1対1合 当 り 剰 余 金 恕i(千 円 ) 35,749 39,268 35,616 欠 損 金 森1合 数 36 31 65 純損益節 の部 門別構成 とは,逆 に言 えば純益 に 対す る各部門の寄与率 を しめす。金融両事業がひ きつづいてプラスの寄与率,他 の各事業が マイナ スの寄与率 とい う関係 にあ る。 この10年間 の経過 におい て,金融 両 事業 の寄与 率 の最 高 は72年 の 263.1%であ り,以降低下 して79年 の153.1%が谷 底 とな り,80年 に若干向上 した。 しか し,70年代 の前半期の200%以上 の寄与率 と,後半期の150% 水準 に低落 した寄与率 とは,明白な対比 をなす も ので,金融両事業 の利益 が純損益 の形成 に寄与す る力量 は とみに低下 した とみ るべ きであ る。金融 事業収益 の低迷 が農協経営 の危機 を招来す る, と い う危快 の根拠 は ここにあ る。 農協経営 の危機感 を現実 にあ らわ に したのが, 剰余金 の前年比減少の組合が,最近急増 した こと であ る。1970年 代 に入 ってのち,前年対比でみ て 剰余金が増加 した組合は3000組合 前後,剰余金が減 少 した組 合 は1000組合 前 後 とい う傾 向 で推移 し た。そ して欠損金発生組合 は 「総合農協統計表」 によると, 1970年 167組合,71年220組合 を ピーク に して漸減 し,79年 の48組合 まで減少 した。 この ことは剰余金が減少 して も増加 に転 じたか, ある いは欠損には至 らなか った, とい う事態がつづい た ことを意味す る。 しか し,1978年 以降,変調 とみ られ る変化が生 じた。「農協経営速報調査報告」に よると,剰余金 の前年比増加組合 は78年3277組合か ら,79年2897 組合,80年1710組合 と半減 に近 い状況 となった。 - 20-す なわ ち,剰余金組合 はその組合数

, 1

組合平 均剰余金額 が ともに減少 し,他方,欠損金組合 は その組合数,欠損金額が ともに増加す る傾 向にあ る。1980年度 の 1組合平均 に して,剰余金額 は10% 近 く減少 したが,他方,欠 損金額 は66% も増加 し, 前年度 の2719万か ら4515万 円-大幅 に増加 した。 農協 の経営危機 は現実の もの となった。 剰余金 と資本蓄積。事業 が停滞局面 を迎 えた こ とは,純損益 の減少によ って農協経営 の危機 を招 く要 因 として作用す るが, さらに資本蓄積 に影響 す る要 因で もあ る。 それ は最近,農協 の 自己資本 蓄積 が組合員の出資金拠 出 に依存す る度合 いを低 め,利益 の内部留保額- の依存率を高めてい るか らであ る。自己資本の蓄積構成 は

,

「農協経営分析 調査」 によると,つ ぎの とお りであ る。 1973年 1975年 1980年 自 己ヲ行本 131,136 190,395 427,204 各日(A) 千円 千円 千円 払 込 7斉とf!. 資 金(B) 92,798 125,898 229,670 li.j転 出 繁 金 349 891 6,594 1組合平均 に して 自己資本 は73年 の1億3113万 円か ら80年 には4億2720万 円へ と,年率 に して4230 万 円を蓄積 した。 しか し, 自己資本の うちの払込 済 出資金の比重 は73年 の71%か ら80年 には54%へ

(9)

低下 した。 これ は自己資本中の法定準備金,特別 積立金 などの形式 による剰余の内部留保額 の比重 が高 まった ことによる。全国農協中央会の農水省 「総合農協統 計表」 にもとず く計算によると,未 処分利益金剰 余金 の実質内部留保率は72年以降急 増 して,75年56.6%,79年57.4%に達 した。 また 特別配 当金 の回転出資繰入れ率 も,79年 に8.6%に 達 した。 農協 の資本蓄積,つ ま り自己資本額 の増成が, 組合員 の拠 出す る出資金 に依存 す る割合 を低 く し, さまざまの形態による利益 の内部留保への依 存率を高めた ことは,農協資本の性質 の変化を意 味す る。利益 の内部留保 による蓄積資本は,個人 持 ち分 に帰属 しない,つ ま り個人の私有 に帰属 し ない資本であ る。協同組合的所有 とも言 うべ き, 不可分割の資本である。 現在,農協資本は組合員拠出の個人的私有の出 資金 と,個人的私有 に属 さない協同組合的所有 の 資本 とい う,二種頴の性質を異 にした資本か ら成 る。数年 らい,後者の資本の比重が高 くな りつつ ある。資本構成 の変化 は経営意志の決定に影響す る。農協経営者 (常勤理事集団) は経営戦略,方 針の選択,決定 において,組合員の利害を考慮 し なが ら,す ぐれて農協の企業経営の利害を反映 し ないわ けにはいかない。「資本の人格化」の観点か らみ ると,農協経営者人格は組合員拠 出資本の人 格化 か ら,協 同組合的所有資本の人格化に,急速 に移行 してい ると言 うべ きであろ う。 しか し, のちに取得固定資産 についてみ るよ う に,一見 これ と逆行す る傾向 もある。それは農協 の固定資産 において,組合員の私的取得に替 って, 多 くの農業 固定資本を農協が取得 し,固定資産額 にしめ る農業固定資本の比重が,無視 しえない も のに成長 していることである。現在,農協 の固定 資産 は,産業分類的角度か らみ る,従来の商業, 金融 の第

3

次産業的な資産 に加 えて,加工つ ま り 第2次産業的 な資産,そ して農業生産つま り第1 次産業的 な資産 が増加 し,三様の構成 を しめす も の となった。農協の固定資産 に しめる農業固定資 本の比重が高 まったのは,組合員農家の高齢化, 兼業化,また農業従事者の高齢化を反映 してい る。 こうして農業 の利害,その一部をしめ る組合員農 家の利害 は,農協の企業経営の利害 と結 びつ き, その経営戦略,方針の選択,決定に影響 を与 える。 利益 の内部留保 に高い割合を以て依存す る農協 の資本蓄鼠 その資本によって取得 され る固定資 本の うちの農業固定資本の増大。 この両面の新 し い事態 を考慮す ると,そ もそ もの資本蓄積源泉を なす利益,つ ま り純損益 の悪化はその影響の波及 面 は広 く深い ものがあると知 るべ きである。

(

4

)

農協の財務不均衡の構造 農協財務の三つの不均衡。 農協の事業がそれ 自体で完結 し, 自立 した ものでな く,全農,全共 連 および農林中金 を頂点 とした連合会事業 と結 び ついて,はじめて機能す る体制 をとっているため, 農協の経営にはい くつかの不均衡が生 じている。 その うち主 なものは,第

1

に事業損益上の不均衡 である。すでにみたよ うに,金融事業 は利益を生 衣,経済事業 は欠損を生 じている。各種事業が均 衡 の とれた利益を形成す る関係は存在 しない。 し か し,農協の経済事業の欠損は連合会 の利益 と合 算すれば,総体 として利益を形成す るものである。 第2の不均衡 は貸借 関係 におけ る不均衡 であ る。固定資産 と自己資本のあいだの不均衡であっ て,増大す る固定資産 (有形固定資産 と外部出資 金)に対 し, 自己資本の蓄積が立 ちお くれ 自己 資本 のい ち じる しい不足 を招 いてい る。 これ は 1960年代 に入 ってのち顕著 になった,長期的 な傾 向であ る。第3の不均衡 は損益面では利益を計上 しなが ら,貸借面 では自己資本が不足す るとい う 政行的 な関係であ る。 この三方面 にわたる農協財務の不均衡 には, さ まが まな原因があ るが,経営政策 に由来す るもの と,経済構造に規定 され るもの とに分 けることが で きる。例 えば損益 における事業部門間の不均衡 は,特定の経営分析方法 によって,いわば人為的 に計算 された面,経済事業 の欠損の よ うに,農協 と連合会 を結ぶ事業運営方式 に由来す る面,その よ うな事業運営方式を不可避 とす る系統農協の内 部 における資本蓄積体系 に規定 され る面などがあ る。 また,固定比率の低下 にみ る固定資産 と自己資 本の不均衡 は,農協の企業間競争 の要請 による固 定資産収得 に由来す る面,合併農協 にみ るような, 受信能力の強化 によって他人資本借入が増大 した ー2

(10)

1-ことに由来す る面,組合員の出資金増成にたいす る消極化に規定 され る面, な どを指摘す ることが できる。 しか し,当面の主要 な問題 は,各種の不 均衡が経営政策の選択の結果であるよりも,農協 運営の基礎をなす経済構造に規定 されていること である。言いか えると社会経済構造の変革によら なければ解決で きない性質の不均衡 こそが問題で あるO 固定資産 と自己資本の不均衡

。1

9

5

1

年 に制定 さ れた 「農協財務処理基準令」 は, 自己資本が固定 資産 (有形固定資産,外部出資 の計) と均衡す る ことを定め,信用事業資金の内部流用を制約す る 措置をとった。 しか し

,1

9

6

0

年代に入 ったのち, この均衡 は破れて固定比率 (固定資産に投下 され た資本の うちの 自己資本の比率) は,全般的に基 準を下 まわ った

。1

9

7

9

年度に県平均で基準 を達成 しているのは,埼玉,東京,静岡,愛知お よび大 阪の

5

都府県 の農協 にす ぎない。「総合農協統計 表」によると

,1

9

7

0

年代の全期間を通 じて,固定 資産 と対比 して 自己資本がいち じるしく不足す る とい う状態がっづいた。 固定比率 Ⅰについては

,1

9

7

0

年 の

4

9

%

か ら

1

9

7

9

自己資本 内出資金 固定資産 外部出資 (A) (B) (C) ない,農協 にたい して出資増成を要求 したため, あ るいは配当の振替出資 を要求 したために,外部 出資 は

1

6

5

8

億円の増加 となった。 この二つの要因 は農協の固定比率を悪化す る作用を したが, これ に応 じて農協 は一定程度 まで 自己資本の増額に努 力 した。組合員 に対 してほ配当の出資振替 えをふ くめて

,3

5

0

7

倍 の増資の協力を得た。 しか し,農協 の固定資産 と外部出資の増加額 は 計

9

4

7

3

億円にた っしていたので,その差

筋5

9

6

6

億 にみあ う自己資本の増加が必要 とされた。不足補 填 は利益の内部留保 によっておこなわれたが,内 部留保による自己資本増額 は

4

3

3

8

億円にとどまっ た

。1

9

7

0

年代に組合員の名 目上の増資

3

5

0

7

倍に比 べて,内部留保 による自己資本増額が

4

3

3

8

億 と, 組合員増資を上 まわ った ことは注 目に値いす る。 こ うして

1

9

8

0

3

月現在で,農協の固定資産の合 計

1

4

6

0

6

倍 にた い し, 自己資本 の合計 は

1

0

3

7

3

億円であって

,4

2

3

3

億の不足 となった。 この巨額の自己資本不足 は,それに照応 した資 金 の他人資本借入による補充を必要 とす るo一般 的には信用事業か らの流用に依存 して解決す る。 これは同時 に財務費用支 出を伴な うものであるか 固定比率 Ⅰ 固定比率

ら・結局 は純損益 に影響 A/B十C A/B L,損益関係を圧迫す る

1

9

6

0

年度

6

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5

4

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5

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8

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7

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6

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1

1

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ことになる。 当面・貯金 残高の うちで定期性貯金

1

9

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2

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1

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5

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1

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0

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8

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1

9

7

9

年度

1

0

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2

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1

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9

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7

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4

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7

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2+7

8

1

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5

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+

1

6

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7

8

5

年 の

6

1

%

へ,また固定比率 Hも

5

9

%

か ら

7

4

%

へ と, い くらかの改善 をみせたが,いずれ も自己資本が 固定資産 と比べて

3

0

%

ない し

4

0

%

も不足す る状態 である。原点 ともい うべ き

1

9

6

0

年 を起点 としてみ ると, この年,農協の出資金 は固定資産 とほぼ均 衡 していた。 しか し

,1

9

6

1

年 に農協合併助成法が公布 されて 合併が進む と,取得す る固定資産硯が増加 し

,

1

9

7

0

年代には

7

81

5

億増 となった。 この時期には連合会 が積極的 な固定資産取得 のための資本投下をお こ

4

9・

2

5

9・

1

の比重が高いため,信用 51.5 61.1 事業資金の内部流用は可 能である。 しか し,定期 61.1

7

3.

8

性貯金の比重の高い こと は,資金 コス トを高め, - 損益 にたい して財務費用 の負担を増す もの として作用す る。 したがって窮極的 には固定資産 に対す る自己資 本不足 は, 自己資本の増成をまたなけれ ばた らな い。 しか し,組合員による増資が難 しく, また農 協の事業総利益が停滞 もしくは減少 して,利益の 内部留保 も困難になるとい う状況の もとでは, 自 己資本増成の可能性 も少 ない と言わなければなら ない。 不均衡の経済的構造。農協 の自己資本 と固定資 - 2 2

(11)

-産 の不均衡 は,単純 な自己資本不足 の現象で もな く,また単純 な固定資産過大取得の現象で もない。 したがって増 資その他の方法 による, 自己資本増 成 によって解決 され るものではない。 この不均衡 は系統農協 の内部事情をふ くむ社会経済的な構造 に由来す るところが大 きい。 まず,自己資本 とくに組合員の出資金の不足 は, 端的 に言って農協経営の「組合員離れ」,組合員経 済か らの離陸 に由来す る側面があ り,固定資産の 取得増 にたい して,組合員が増資協力の理 由を見 出す ことが困難になったためである。すでに指摘 した よ うに農協の資本構成が,組合員出資金依存 率を低め,個 人持ち分に帰属 しない協同組合的所 有 資 本の比重が急速 に高 まっている。農協経営の 離陸 の指標 である。 農協企業 は組合員経済や集落農家組合か ら自立 して,企業間競争 (郵便局,信用金庫 などとの競 早, スーパ ーマーケッ トな どの大型店 との競争, 肥飼料商,米集荷商人な どとの競争)のための店 舗,設備投資 の必要 に迫 られている。 とくに経費 節約 などの近代化投資の必要 に迫 られている。 ま た,農業構造改善事業に伴 な う 「近代化施設」の 取得 を避け ることがで きない。 この店舗,設備な どの固定資産取得 は,連合会 事業方式の基礎をなす ものであ り,連合会事業方 式 に よって促進 される事情 を無視で きない。信用 事業,経済事業のすべてについて指摘で きること であるが,例 え

はA

コープ店舗 はその代表的 な事 例であって,全農,経済連 の卸売セ ンターの事業 方式 に照応 して,農協 は店舗設備投資を負担す る る関係にあ る。 連合会 との関係上,農協が固定資産の増額 に迫 られ るのは,外部出資の増額である。 さきに 「総 合農協統計表」の数値を しめ したが,それによる と連合会出資 を主た る内容 とす る外部出資 は1970 年 の853億円か ら,79年 の2511億円へ と,10年間に 3倍近 く増加 した。 これは79年度の農協の自己資 本不足額4234倍の60%に相当す る。連合会への出 資金 が,単協 の自己資本不足の一因をなす もので あ ることは明 らかである。 そ して, その連合会 出資金 は,のちにみ るよう に,連合会 に よる固定資産取得,関連会社出資 と な り,全国連合会を頂点 とす る系統農協

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段階に わた る固定資産体系を構成す るものであ る。 この 固定資産体系は配合飼料流通の例にみ るように, 全農関連会社による飼料原料の輸入,全農による 仕入れ,県段階のク ミアイ飼料会社での配合,経 済連 による仕入れ,単協への供給 とい う系統流通 機構 の骨格を形成 し,農協を在村エージエソ トた らしめ るのである。農協 としては自縄 自縛の感 を 否定で きない。 農協 の固定資産の累増が連合会の事業方式 によ ・jて促進 されるとすれば, 自己資本 とくに出資金 不足 は農協 と集落, 組 合員農 家 との関係 を反映 す るものである。農協 と組合員農家の関 係には,農 協問題 と社会的 な問題 とがある。その一つは,農協 が組合員か ら自立 した企業 としての性質を強めて いることである。農協の企業 としての 自立化は、近 年 における農協資本 の特質,つ ま り組合員の拠 出 に依存せず、内部留保 による資本蓄積お よび他人 資本借入の増大の結果である。農協 は組合員の出 資による企業 とい う性格を稀薄 にし,企業 として の自立化 を促進 して,自立的な企業 とい う性格が 反作用 して組合員の出資金増成 を困難 にしている。 他の一つの問題 は,集落 における農家の伝統的 な結合関係が弛緩 し,農協 において集落組織が農 家を代表す るとい う地位 に変化が生 じた ことに由 来す る。農協 は歴史的に言 って,農家が組合員 と して直接 に加入 した組織ではな く,集落組合を媒 介 として組合員 と農協が結合す る組織 であった。 その媒体 としての集落が変化 し,単純 に集落内の 農家 を代表 す るもので はな くなった とい う事情 は,必然的に農協 と農家の関係を疎遠 にす る。 こ うした事情 は農家の兼業化によって生 じた もので ある。農協の出資金増成の困難が,農家の兼業化 に由来 し,集落組合の変質に由来 し,農協の企業 としての 自立化 に よって促進 され てい る とす る と, 自己資本不足の解消は利益 の内部留保 に, 普 す ます依存せ ざるを得 ない。 そ してその源泉であ る事業総利益の増が期待できない とす ると, 自己 資本不足 の解消 は至難 の課題 と言 わ ざるを得 な い。 (5) 農協信用事業 と系統金融 農協事業の転形期。戦後の農協事業 は1953年か ら1960年 にいたる連合会の 「整備促進」体制の完 -

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23-戒を以て,一つの時期を画 し,高度成長の波 にの っ て展開 した。 いまその画期に等 しい意味を もつ転 期を迎 えている。その転期ほっ ぎの よ うな特徴を もつ。 第

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は信用事業 に代表 され るよ うに,事業が高 速度の発展か ら停滞の局面 に入 った ことである。 全国連 を頂点 とした中央集中的, タテ系列の系統 農協 の事業体制,事業方式 は,事業量の高速度の 伸 びと肥大化を基礎 とす るものであった。事業の 停滞は当然,肥大化 した事業量に適応 した事業体 制の訂正,事業方式の調整を不可避 としている。 第

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に事業の停滞局面 を迎 えて,連合会の 「整 促体制」の もとで形成 された,農協経営の,つま り貸借 と損益の両面 における金融事業依存の経営 方式の弱点が露呈 された。金融事業利益 に依存 し た農協 の損益 は,金融事業 の停滞 と利益の減少に よって,危按に直面 した. これが農協経営の危機 とされ るのは,第

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にこの現象が事業の停滞に起 因す るものであるか ら,事業量の伸張 とい う方法 を以て克服す ることがで きない ことによる。 例 えば危機現象の一部 とされ る極端 な自己資本 不足 は,事業量 の伸張,事業利益 の内部留保 とい う方法 を以て対処す るとしても,限 られた可能性 しか残 されていない。つ ぎに,この経営危槙 は1951 年∼53年 の農協お よび連合会の経営危機が,組合 員農家 の増資協 力,農協 事業 の連合会全利 用 に よって克服 されたのと異 な り,その よ うな犠牲や 負担 を期待できないか らである。1951-53年 の経 営危機の打開策 を 「組織的万策」 によるものとす るならば,今次の経営危税 はその可能性がな く, いわ ば 「経営的万策」に頼 らなければならないが, その方策の核心 をなす経営その ものが危機 なので ある。 第3に農協事業の停滞局面 は,農協経営 にとど まらず連合会経営にまで不可避的 に影響が波及す る事情 にある。系統農協の経済事業 は長期間にわ た り,農協 の欠損,県経済連 と全農の利益 とい う 損益構造を維持 して きた。農協経済事業部門の欠 損 は金融事業の利益 によって補頃 されてきた。つ ま り,県経済連 と全農の剰余 は農協 の金融事業依 存 の損益方式の うえに生みだ されていた。 その要 であ る金融事業 が事業量 と利益の両面 において停 滞局面 を迎 えたのであるか ら,県経済連 と全農の 剰余は当然影響 を うけることになる。 第

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。連合会 はどこにゆ くか。全農や県経済連 などの経済事業連合会 は どこにゆ くのか。農協を 在村のエージ ェン トとす る事業体制 を とって きた 連合会 は, エージェン トの経営危機に どのように 対処す るのか。1970年代の半ば頃か らは じまった, 米の精米加工,卸売,そ して小売の営業, また牛 乳直販 などに代表 され る都市分荷過程ない し小売 市場への進出に拍車をかけるのであろ うか。信用 事業 の分野において県信連,農林中金 はどこにゆ くのか。農協 は利鞘の減少にもかかわ らず,貸付 事業の不振局面 において,いきおい余裕金運用-傾斜 し,信連預金への依存を強めてい る。 この背 景の もとで信連 と中金 はどこにゆ くのか。 農協事業が停滞局面 を迎 えた ことに端 を発 し, それが農協 の経営方式,系統農協 の事業体制 の訂 正 を迫 る事情 は,あ らまし上記のよ うなものであ る。その局面 の特徴 は,系統農協が戦後第

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回 日 の全面的 な転形期を迎 えた ことである。その転形 期に移 りつつある情勢 を考慮 しなが ら,つ ぎに系 統農協 の事業運営 を主 として農村側 か ら考察す る。 農協信用 事業 の運営。1980年 度 末 の貯 金 残高 26.8兆円を原点 としてその運用をみ る。性質別 に は当座性貯金5.7兆円,定期性貯金21兆円で後者が 79%を しめ る。定期 性貯金 (定期貯金19.6兆, 定期積金1.5兆)の高い比率 は貯金の源泉の性質 を 反映す る。農林中金 「農協信用事業動向調査」 に よ る と,貯 金 の利 用 者 別 残 高 構 成 は正 組 合 員 64.5%(1970年78%),准組合員17.9%(同13.4%), 員外17.6%(同8.6%)である。10年間に准組合員 と員外の貯金が増加 した。 これを農林中金調査 にもとづいて収入源泉別 に み ると,1980年度期間中の貯金増減額 の源泉 は, 農業収入27.3%(1970年40.8%),土地代金21.7% (同26.5%),農外収入51% (同32.7%)であ る。 つ ま り,貯金 の基盤が正組合員か ら准組合員お よ び員外 に移行 し,農業収入か ら農外収入,土地売 却代金 に移行 しつつあ る。 この ことは貯金 が農業 再生産 に基礎 をお く資金循環か ら遊離 し,生活資 金 の遊休分あるいは生活用購入の貯蓄 に変化 した ことを しめす。土地売却代金の比重 は

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「列 島改造 -24

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-計画」 に刺激 された土地投機 ブームの1972年 の42 %を ピークに漸減 したが, なお22%弱を しめてい る。 この資金 は金利選考性が強 く,運用の高率を 要求す る。 吸収 された貯金の運用の面では,相互調達 とい う組合金融 の特質を反映す る貸 出金 は,1970年代 の10年間に絶 対額 は3兆円 (転貸を除 く)か ら9.6 兆に増加 した。 しか し,貯金 との対比,貯貸率 は 低下 し,1970年51%,75年50%,80年40%となっ た。農林中金 の調査によると,80年度末の貸出金 残高10.6兆の内訳 は組合員9.9兆円が主であって, 残 りは市町村 な どの公共団体を主 とす る員外にた いす る貸付であ る。 資金 の種類別では長期資金7.2兆,短期3.4兆で あって,10年 間の傾向 としては長期資金が4.3倍, 短期資金が2.5倍の割合で伸 び,長期資金貸出への 傾斜がいち じるしい。用途別には農業近代化資金 は農業投資の消極化を反映 して伸 び悩み,80年度 はほぼ前年並 みの8964倍 にとどまった。それにひ きか えて夏季冷害による災害資金貸出が80年度に 急増 して,前年 の490億円か ら1193f壱円 となったO 長期資金の大宗 は住宅資金(80年度1.8兆)をはじ め とす る普通長期であって,80年度末 に6.2兆円, 70年対比で4.6倍 となった。 この10年間 に貯金 は4.5倍に増 えたが,貸 出金 は 3.5倍増に と どまった。この増額 の開差 を項めたの は預金 と有価証券取得であ り,それぞれ5.2倍

,9

倍 とい う伸張 ぶ りであった。80年度末の預金残高 15.3兆は貯金 の57%をしめ,その大部分15.1兆円 が県信連預金 となった。80年度末の余裕金 は総領 17兆3355倍 であ るが,農林中金調査 によるとその 内訳 は預金15兆3928倍,有 価証券,金銭信託1兆 9404嵐 金融機関貸付23億であった。圧倒的 な部 分が預金 と くに県信連預金に向けられた。 しか し,運用構成でみ ると,預金の比重が低下 し,香 って有価証券等の比重が急上昇 した。すな わち,預金 は70年の93%か ら89%-低下 したが, 有価 証券等 は6.7%か ら11.2%に上昇 した。つ ま り,組合員 の資金需要の後退,貸出の不振 は,農 協が資金の高率運用のために,単純 な預金運用か ら有価証券取得 に向 うよ うに作用 した。その反面, 有価証券の市場価格の低落 による損失が生 じ,伝 用事業 は損益悪化の新 しい要素 をかかえることと なった。 「農協経営分析調査」 によると,農協 の有価証券 利回 りは1977年 の9.26%を ピークに低落 し,80年 には7.93%となった。 この利回 りは預金の7.44% と比 べ て なお有 利 で あ るが,貸 付 金 利 回 りの 8.74%には及ははい。ちなみに,農協系統金融機関 の国債 をはじめ とす る有価証券取得 はこの10年間 に急増 している。系統3段階合計で1970年 に1兆 4926億,75年 に3兆7150億,80年11兆5148億 と, 10年間に7.7倍に達 した。これは農協の貸出金10兆 を上 まわ るもので,有価証券取得は農村資金流 出 の重要 なチ ャンネルになろ うとしてい る。 農協信用事業 と信連。有価証券の取得 は県信連 お よび農林中金の段階において,資金運用の主要 形態の一つをなすに至 った。 まず信連 の資金調達 額 は80年度末 に16.7兆円で, うち農協91%,県共 済連5%であって,農協か らの預 り金15.1兆が主 である。過去10年 の経過 をみ ると,信連貯金額 は 4.9倍で農協貯金の増加4.5倍 と並行 してふ えた。 農協貯金が貯蓄性 のもの とな り,金利選考性を強 めてい ることを反映 して,信連貯金 は何 よ りもま ず運用資産 として性格づけられてい る。 信連資金の運用ではこの10年間に,貸付金の伸 びの鈍化,中金預 け金 と有価証券取得 の増加 とい う際 立 った 特 徴 が あ る。信 連 の貯 貸 率 は70年 48.8%は75年 に50.9%と上昇 したが,以降急速 に 低落 して,80年 には26.4%にまで落 ち込 んだ。貯 貸率 の低下 は信連 の損益 を悪化 させ る要素 であ る。貸付金の伸 びの鈍化は農協,経済連 にたいす る貸出が伸 びているにもかかわ らず,農協 の組合 負,准会員,員外 に対す る貸付が75年以降,原著 な減少を しめ したためである。 これ は70年代後半 の金融緩和,低成長下の企業の減量経営 による資 金需要の低下 を反映 している。 貸付金の伸 びの鈍化につれて,中金預け金 と有 価証券が増加 し,1970-80年の10年間にそれぞれ 5.7倍,7.5倍 と増加 した。かつての高度成長期に は,企業金融の一般的な資金不足,限弓餌 、資金需 要があ って,信連余裕金 は中金預 け金 の形態 を以 て,あるいは直接 に金融市場 を通 じて有利 な運用 をつづけた。 この高率運用の条件が70年代後半に 消 え去 るとともに,信連 は有価証券 の取得 に傾斜 一2 5

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-した。その額 は70年7456億円か ら75年1兆8603億 円,80年 には5兆5666億 と増加 した。 とくに79年 には1年間の増加箱が一挙 に 1兆円を超 えるほ ど の急増 を記録 した。 1970年代後半 に信連の資金運用の重点が貸付金 か ら中金預金 と有価証 券取得 に移 行す るにつれ て,信連 の資金利鞘 は急速 に低落 した。1975年 の 0.52%か ら76年 に0.33%に 落 ち 込 み,78年 の 0.79%に回復 したが,79年 に0.75%から80年 には 再 び0.36%まで落 ち込 んだ (全 国農協 中央会調 べ)。最近

3

年間の資金利鞘の低下 は,運用利回 り の向上を上まわ って調達 コス トが上昇 したためで ある。す なわち,貸出,預金,有価証券の総合利 回 りは,78年6.70%,79年6.80%,80年8.17% と 上昇 したが,貯金,借入金 の総合 コス トは5.91%, 6.61%そ して7.81% と上昇 した。 こうして80年 の 資金利革餌;78年 の半分に落ち込む とい う事態が生 じたわけであ る。全国農協中央会 「連合会の経営 動向」 は資金利鞘の縮少の理 由を分析 して,つ ぎ の3点を指摘 した。

1

貯金 コス トが ガイ ド・ラインの変更 とい う 経営の範囲外の ところで決定 され る。 2 金融情勢 の変化に対応す る運用利回の変化 が, タイム ・ラグの存在や,本来長期,固定的 な性格をもっている有価証券の増大によって百 パーセン ト連動 とはならない。 3 有価証券 の増大には,農村資金需要 の減退 に起因す る貸出金の停滞 とい う背景があ る。 分析者 は資金利鞘の縮小を 「一過性のもの」 と み る見解を しりぞけて,上記が意味す る 「構造的 な問題」 に留意 した。 この留意は正 しい。核心 は この 「構造的 な問題」が どのよ うな手法を以て解 決 され るかにある。 第

1

の政府の貯金利率政策 は,やは り国家独占 資本主義の金融政策 に由来す るものであって,そ の基調 は独占資本家階級の蓄積政策 にある。利害 の対立 とい う面か らみると,独占資本家階級 と農 民 をふ くむ勤労大衆 との対立 を反映す る。 第 2は信連 の資金運用が有価証券の取得 に由来 す るもので,その基調は第3の 「貸出金の停滞 と い う背景」 と共通す る。 その深層の理 由は 「農村 資金需要の減退」 にある。 しか し,農村資金需要 の減退の理由は組合員農家の農業投資の消極化や 住宅建設の低迷 といった金融的現象にとどまるも のではない。それはすで に農協の資金動向につい て指摘 した よ うに,農家 の全面的 な兼業化,農村 経済の賃労働者経済化を実質 とした現象である。 農協 は農村経済の賃労働者経済化の局面 に対処 して,一般的 に兼業農家 にたいす る資金供給 につ いては抑制的であ り,他方専業農家 にたい しては 制度資金の利用をふ くめ て積極的 である。前者 は 貸付伸張を抑制 し,後者 は長期低利の債務累積を 結果 し,総 じて貸付拡大 を阻害す る事態を招いて いる。 この ことがいわゆ る「農村資金需要の減退」 とい う現象を生んでいるのである。 農村資金の流出 と農林 中金。農林中金の資金 に はあ る意味では,組合員農家の資金動向,農協 と 信連 の資金運用傾向が集 中的 に表現 されている。 1970年代の10年間に,農協 と信連 の資金運用 と中 金の預 り金吸収 との関係 は変化 した。前半期には 農協の信連預金の伸び2.4倍 は貯金の伸 び2.6倍 と 比べて低い。つ ま り相当量 の資金が貸付にまわ っ た。信連 の中金預 け金の伸 び2.0倍 は貯金 の伸 び 2.3倍 と比べて低い。ここで も相当量の資金が貸付 にまわ った。 しか し,1975年以後の後半 に変化が生 じた。す なわも,農協の信連預金の伸 び2.2倍は農協 の貯金 の伸 び1.8倍を上 まわ った。つ ま り信連預金-の傾 斜が強 まった。信連 の中金預 け金の伸 び2.8倍は信 連貯金の伸び2.1倍を上 まわ った。つ ま り中金預 け 金への傾斜が強 まった。 こ うして中金 の預 り金 は1970年度 の1.6兆か ら 75年 の3.5兆へ2.3倍にふ え,さらに80年 には8.9兆 へ,75年 と比べて2.5倍にふ えた。各5年間の増額 は前半 に2兆であったが,後半には5兆円であっ て,系統農協 の各分野の余裕金は中金-集中す る 傾向を しめ した。ちなみ に中金預 り金 を1980年度 末の残高についてみ ると, 8兆8989億円の うち信 連分が7兆1790億,80.7%を しめている.中金預 り金 はおおむね信連預金 を反映 して推移す る関係 にある。 農林中金の預 り金 は, この ように基本的 に農協 お よび信連の余裕金運用 を基礎に してい る。そ し て実現の可否 は別 として も,農協 と信連 の吸収 し た資金 は近年 ます ます金 利選考性 を強 め, した -2

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