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67 Yamanashi Nursing Journal Vol.9 No.1 (2010)

活動報告

材料部の業務拡大と今後の課題

秋山 栄

AKIYAMA Sakae キーワード 材料部,一時洗浄,診療材料比率,同種同効品 Key Words  受理日:2010 年 5 月 25 日 山梨大学医学部附属病院材料部

Ⅰ.はじめに

材料部は,中央診療棟 3 階に位置し,病院全体の診療 および看護に必要な医療用器材・材料を点検整備し,的 確な洗浄・滅菌を行い,医療が安全かつ円滑に行われる ための準備を行う中央管理部門であり,洗浄および滅菌 業務を行う設備とシステムがある。 医療材料の管理・供給のためには,病院経営を重視し た合理的なシステム管理を行い,医療機材・材料の進歩, 医療技術の質向上に対応した物品の供給を行う役割を担 う必要がある。 材料部の設備には,自動洗浄装置(ウォシャーディス インフェクター)2 台,高圧蒸気滅菌器 4 台,酸化エチ レンガス滅菌器(EOG)2 台,プラズマ滅菌器(ステラッ ド)3 台,軟性内視鏡洗浄器(ミーレ)1 台,呼吸回路洗浄 装置(HLD)1 台,カート洗浄器 1 台,乾燥器 3 台,超音 波洗浄器 1 台を有している。 その他材料部で使用する水は,RO 水(純水)を使用し ており,高圧蒸気滅菌器を始めとする器械の RO 水の使 用状況は 1500L /日であり,RO 水発生装置も材料部内 にある。 これらの設備を有効に使用し,材料部の業務を拡大し 部署の支援に繋げていきたいと考え業務の拡充を図って きた。材料部の業務は平成 19 年 12 月から,外注化され 委託業者によって行われている。外注化により,材料部 業務は職業であることを認識し,より科学的根拠を持ち 新しい情報や知識を習得していくが要求されている。 以上の経過を踏まえ材料部の取り組みについて報告す る。

Ⅱ.材料部の使命

1. 使用頻度を確認し,使用済み器材を過不足なく供 給する。 2. 使用済み器材の処理・管理を適切に行い,必要と する器材・器具の持つ特性を維持する。 3. 物理的・化学的・生物的に滅菌の保証を行い,院 内感染防止に寄与する。 4. 医療用消耗品・衛生材料の管理を行う。

Ⅲ.活動内容

1. 酸化エチレンガスの滅菌温度の変更による 20 時間 の滅菌時間短縮 当院の酸化エチレンガス滅菌器(以後 EOG)の滅菌温 度は 47℃に設定されており,滅菌時間に 46 時間を要し ていた。 EOG 滅菌は,温度を上げる事により滅菌効率が上が り,エアーレションも良くなる事から当院で使用してい る EOG 対象物品の耐熱温度を調査した。その結果,製 造技術の進歩により,より高度の物品が作られ耐熱性も 向上している事が分かり,滅菌温度を 55℃に変更した。 滅菌温度を 8℃上昇する事により,滅菌に要する時間 は 26 時間となり 20 時間の短縮が図れた。今までは,滅 菌に時間を要していたため EOG 滅菌器を 2 台同時に稼 働する事は不可能としていたが,時間を短縮する事によ り緊急時の稼動が可能となり,水曜日の使用器材を金曜 日の手術で使用する事が可能となっている。 2. 部署における一時洗浄の廃止および洗浄の中央化 と病棟支援 材料部で払い出している物品の一時洗浄は廃止してい たが,病棟管理物品器材や点滴トレイ・ネブライザー嘴 管・アンビューバック・スタイレッド等の物品は病棟で 一時洗浄し乾燥したものを材料部で滅菌してきていた。

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秋山 栄

68 Yamanashi Nursing Journal Vol.9 No.1 (2010) また,3 東病棟の新生児室の授乳に関する乳首・哺乳 瓶の洗浄は病棟で行い,なおかつ乾燥を行なったものを 材料部で滅菌してきた。次に,光学診療部では,マウス ピースや鉗子類を部署で洗浄・乾燥し材料部で滅菌して きた。 部署での手作業による洗浄・乾燥は,その確実性,場 所の確保や薬剤の暴露による身体・環境への影響が危惧 されている。 そこで,以下の取り組みを行った。 1) 透明密封式コンテナの導入:使用後の鋼製小物類 の返却は,ビニール袋で包む方法から透明密封式 コンテナの導入を行い使用器材は,部署・材料管 理器材に関わらず,そのまま密封して材料部に搬 送し,器械による洗浄に切り替えた。 2) 点滴トレイの洗浄の中央化:当院では患者誤認の 視点から「一患者一トレイ」を実施している。 従来,点滴トレイの洗浄は,看護助手が時間と手 間をかけて一つ一つ手作業で業務として行ってき た。しかし,その間にはその他の業務を依頼され 充分な時間の保証もないままに行われ不全感を感 じていた。材料部の洗浄の設備を有効に使用する ために,点滴トレイを青・白 2 色を購入し交互に 払い出し材料部での器械による洗浄に切り替えた。 3) 呼吸器回路洗浄機(HLD)の導入:平成 20 年 12 月 HLD を導入した。高水準消毒が実施されることか らネブライザー嘴管・アンビューバック・スタイ レッド・麻酔回路等の洗浄が可能となった。  ネブライザーに関しては,嘴管を患者に一日一 個を渡し実施してきた事が多かったが,使用後病 棟で洗浄する必要がない為患者は,何回使用して も,その都度消毒した物を使用できるようになっ ている。  アンビューバッグについては,洗浄・乾燥を材 料部で行い,組み立ては ME センターと共働し, ME センターで組み立てし払い出しを行っている。 4) 新生児室哺乳瓶の洗浄の廃止と栄養課への移管 3 階東病棟の哺乳瓶等の洗浄は,授乳を給食の一環と して本来的に捉え哺乳瓶等は栄養課の管理とした。3 階 東病棟の哺乳瓶等の栄養課への移管は,院内助産の開設 やお産件数の増加に伴う中で,助産師が本来の業務に専 念できるようになった。 部署による一時洗浄を廃止し材料部が,整備してある 器械で行うことは看護師や看護助手を本来的な業務をす る事が出来ているおり,とりもなおさず病棟の業務改善 につながり,ベッドサイドケアーの充実に寄与している。 3. 間接的・直接的評価を用いた洗浄の質の保証 滅菌の質の保証をするためには,「確実な洗浄なくし て,確実な滅菌なし」と言われ洗浄のあり方が見直され, 如何に「洗浄の質の保証」をするかが求められている。 そこで,当院では平成 21 年 2 月から,洗浄のインジゲー ターの導入を行った。 従来,目視で行ってきた洗浄の評価を,インジゲーター を用いての評価に変更した。インジゲーターを用いた間 接的評価は,連日第一回目の洗浄効果を確認し,ウォ シャ - ディスインフェクターの洗浄力を評価している。 直接的評価は,ISO の基準に基づき 1 回/ 3 ヶ月実施 している。直接的評価は,洗浄済み器材の残存たんぱく 質量を測定して行われる。今までの測定で吸引管等の管 状器材の測定量が基準値を超えていたので,洗剤を酵素 系からアルカリ系に一定期間変更し,再評価の結果改善 が確認できた。また,より洗浄効果を上げる必要から「管 状器材洗浄ラック」や「クスコ洗浄ラック」の導入を実施 し,より感染のリスクの少ない安全の器材の払い出しを 実施している。 器材回収コンテナの汚れの状態の確認も行っている。 回収コンテナの洗浄評価は,連日コンテナをカート洗 浄器で洗浄後,ルミテスターを用いて行い洗浄の保証に こだわりを持ち実施している。 4. CDC ガイドラインに基づくプリオン対策 CJD 二次感染リスクは,CJD の感染が高いハイリス ク組織を扱う手技を行った際の手術器具等を再使用した 場合に発生する可能性がある。 英国 CJD インシデントパネルによれば,感染性が高 いハイリスク組織としては,脳,脊椎,脳神経節,脊髄 後根神経節,硬膜,視神経および網膜が分類されている。 また,ハイリスク手技として,硬膜を穿刺するすべての 手技,三叉神経を含む脳神経節,神経後根神経節,松果 体または下垂体に接触する手技,視神経または網膜に関 する手技が分類されている。 これらの,ハイリスク手技を行った場合には,CDC ガイドラインに基づきアルカリ性洗剤での洗浄を行い, プラズマ滅菌器(ステラッド NE)を用いた滅菌を行ない プリオン対策を実施している。 5. 滅菌器の特定を含めたトレーサビリティの実施 今後,滅菌物のトレーサビリティを構築するにあたり, 滅菌器の特定をする必要がある。現行の滅菌パックに滅 菌日のみ印字されている方法から,滅菌日,滅菌有効期 限,滅菌器作動状況を印字するシステムに変更している。 6. 医療用消耗品の選定 平成 21 年度の当院の診療材料比率は約 15%を占めて いる。国立大学病院の中でこの値は必ずしも低値ではな いが,今後もと医療材料比率を削減できるように努力し

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材料部の業務拡大と今後の課題

69 Yamanashi Nursing Journal Vol.9 No.1 (2010) ていきたい。 当院での耗品の選定は「一増一減」の原則を遵守するこ とが決まっている。しかし,使用状況や内容的の確認は 不十分で,形式上の遵守となっている。 院内の消耗品には,「同種同効品」の物品も多くある。 これらの確認は十分にできていないのが現状である。医 学の進歩に伴い医材も進歩し患者への負担の少ない高度 のものが開発し続けられ,よりよいものを使用して行く 必要がある。 新規材料選定は,平成 20 年度 35 品目,平成 21 年度 33 品目の見直しおよび導入を行った。 消耗品の導入にあたっては,目的・用途・必要条件を 確認し情報の収集を行い,依頼部署と共働・選定し,結 果を材料選定委員会で検討している。 材料選定委員会では,競合の有無,価格の妥当性も検 討されている。 また,同種同効品を統合しコスト削減につなげていく ことが必要とされている。平成 21 年度は同種同効品の 統合の視点を強化し,手術と病棟とのペーパータオルの 統合を行い,他にも 6 品目の同種同効品の統合を行って いる。 消耗品選定窓口としての役割は大きいと認識してい る。現行消耗品の見直しを順次行っていく必要があると 考えている。 7. 物流カートの整備 平成 16 年に,現行の物流管理システムを導入した。 各部署の使用実績を基に,医療用消耗品の定数を決め ラベルによる物品管理を行っている。 平成 21 年度は,ICU・手術部・5・6・7 階の物流カー トの見直を行った。 見直しを行うことにより,週末や年末年始の長期休暇 の臨時請求が少なくなっている。

Ⅳ.今後の課題

材料部の設備を最大限活用できる環境を整備する事が 急務と考えている。そのためには,第一に,鋼製小物・ 衛生材料を材料部管理としカート交換方式の変更と実施 が必要である。第二に,材料比率の縮小に向けて特注品 の見直しと,同種同効品の統合が重要である。

参照

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