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有機的抽象彫刻の研究

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Academic year: 2021

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- 373 -

有機的抽象影亥t

l

の研究

教科・領域教育専攻

芸術系(美術)コース

野 方 健 司

1.はじめに 筆者はこれまで、自然から発想する有機的抽象 影苅を制作してきた。全体の制作の進め方とし ては、彫刻における代表的な造形要素である量 感、比例、均軒、動勢などを総合的に捉えるこ とで、有機的な表現へ結び付けてきたつもりで あったO しかし、よく分析してみると、その中 でも、動植物の中に存在する動き(動勢)の表現 に興味をかきたてられており、動植物の形に含 まれる面と面、塊と塊のつながりなどから生命 感を感じている自分に気づくとともに、そこに、 筆者のこだわりがあることに考えが及んだ。 ここで言う有機的抽象彫刻とは、自然の形の 鞘教や立体としての構成を部分的に抽出して再 構成した影刻のことである。本大学院入物麦の 作品傾向として、作品のある部分に曲線を含ん だ直方体を数個加えることで作品全体の大きな 動勢の方向性を明確にしたり、時間の樹皐を表 す表現につなげたりすることで有機的な表現に 結び付け、より作品の生命感の強い表現を行い はじめている王昆伏がある。

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.

修了作品 fあぶらごJについて (1)制作意図 「あぶらむという言葉は方言であり、阿波 弁である。その意味は、子どもの遊びで、ある 条件を付けて、仲間はずれにせず仲間に入れて 遊ぶ子

r

ものことを

f

討。それを広い意味で捉 えることで多数派と少数派の関わるイメージに

指導教員

野 崎 窮

結び付けた。そのことからコミュニティ単位で の人間担金の縮図として観念的に捉え、表現に つなげた。 動植物の表層には、形から喚起されるイメー ジの情報が多いため素直に全体の動勢を捉えづ らい特徴がある。そこで動勢をより捉えやすく するために、ここでは直立する人体をJ蹴 に 単 純化し直方体にまで整理することで全体のポイ ントとなる部分的な形として再璃成した。さら に詳述すると、大きな動きが感じられる配置や 有機的な曲線を面と面が交わるエッジとした。 一方、部分的な形の動勢を強調させるため、基 盤となる土台はなるべく他の動勢の影響を受け ないよう、どっしりとした塊になるよう構成し た。 ( 2)技法について 制作意図の関係から部分的な形を連続して配 置したため、そこに深い田部を作る必要が出て きた。そのため、電動工具のディスクグライン ダ(ダイヤモンドカッター)を使用し切削するこ とで溝を作り、凹部の研削ができる電動工具の ハンドグラインダガ研削し形を整えた。その後 最終的に、全体を400番抵石で仕上げ、→

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を 800番砥石で仕上げを行った。この作品での成 果i士、部分的な形の動勢で作品全体の生命感を 強めるためには大きな動勢が必要であり、それ を成すためには形を

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覇寵させて配置することが 効果的であることに気付いた点が挙げられるO

(2)

- 374 - 3.修了作品 fいきるjについて (1)制作意図 この作品では人聞が生きる道程を、棚各を進 む船に見立て、社会の中で人聞が歩む終わりの ない道のりを背負いながら生きていく在り様を 観念的に表現している。今回は船を題材に選び、 多数の亘方体の基盤となる土台とし

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こ。連続し た形に強く動勢を構成するためには安定した土 台が必要であり、船の特徴には下部の形を大き く崩さない限りその要素を損なわない重厚な構 造があるため、この表現に適していると考えた。 (2)技法について 造形的な工夫としては、連続した直方体の構 成と作品全体の動勢を結びつけるために、部分 的な直方体の動勢を階段状に配置し統一感を持 たせるとともに、基盤となる土台と一体化させ ることで連続する形として全体的に大きな動勢 が感じられるように構成した。加えて、階段状 の道筋をひとつにつなげることで作品に時間の 経緯の表現や永樹生を取り入れた。 特筆するべき技法として、仕上げの段階で大 きな面が研磨できるエアー工具のウォーターポ リッシャーを使用し、手磨きによる仕上げと併 用したことが挙げられる。この工程では手作業 だけで研磨して仕上げるよりも時聞が短縮され、 より仕上げの密度が増した。また、この素材は 庵治石という俗称で呼ばれており、白御影石の 中でもち密で堅固な石材の糊教がある。そのた め、制作が仕上げに近づくほどその鮪敷(色や 質感)が如実に表れ、他の石材にはない良さを 実感できた。 それから、作品のスタイルとして次のことが 挙げられる。これまでの作品よりも有機的抽象 彫刻としてのある意味で具象性がうすれ、作品 が自然そのものの形から脱し、作者の考えや意 図を載見したより単純化された形になってきた ことである。その意味では、生命感を重要詩見し ていた作品から、それを大切にしながらも時間 的な意味を持った表現になってきていると考え ている。 4.おわりに 本研究は未だ完結したとは言えず発展途上の 段階にある。しかしこれまでの研究で次のこと を学んだ。それは、表出した作品の生命感の強 さは、作者の形や色および質感へのこだわりの 度合いに応じるということである。言い換えれ ばそれは社会や自然に対する関心の深さにつな がる。そのため、感性を大切にしなければなら ないことに気付し、た。今後は表現意図として、 生命感だけでなく時間や空間を視野に入れた作 品づくりをしていきたいと考えている。そして 研究を高齢売することで自らを高めながらも、学 んだ専門的な内容を社会そ教育に役立てていき たい。 あぶらご H18xW37xD17(cm) 2012年制作鼎卸影石 いきる H45xW63xD43(cm) 2012年制作白街影石

参照

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