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-筑 波 大 学 人 文 社 会 系 准 教 授 / 海 外 拠 点 中 央 ア ジ ア 事 務 所 長 臼 山 利 信 U S UY AM A To s hi no bu ⒈ は じ め に グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン と い う 言 葉 が 社 会 に 定 着 し て 久 し い 。 ヒ ト ・ モ ノ ・ お 金 ・ 情 報 な ど が 国 を 超 え て 地 球 規 模 で 行 き 交 う グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン は 、20 世 紀 末 に 起 き た 東 欧 革 命 と ソ 連 崩 壊 に よ る 東 西 冷 戦 の 終 結 に よ っ て 加 速 化 さ れ た 現 象 で あ る 。 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン の メ リ ッ ト は 、 あ ら ゆ る 物 事 の 世 界 基 準 化 志 向 に よ る 効 率 性 の 格 段 の 向 上 で あ る 。 デ メ リ ッ ト は 、 効 率 化 の 反 面 、 強 制 力 を 伴 っ て 進 行 す る 、 物 事 の 単 一 化 傾 向 で あ る 。 こ の 単 一 化 は 、 グ ロ ー バ ル ス タ ン ダ ー ド 化 と 表 裏 一 体 だ が 、 時 と し て 特 定 の 価 値 観 の 独 善 性 を 助 長 し 、 多 様 な 価 値 観 を 排 除 す る 力 が 働 く 。 し た が っ て 、 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン の 深 化 は 、 世 界 の 多 様 性 の 尊 重 を 同 時 に 追 求 す る も の で な け れ ば な ら な い 。 外 国 語 教 育 に つ い て も 、 国 際 共 通 語 と し て の 地 位 を 固 め た 英 語 教 育 を 強 化 し 、 推 進 す る 政 策 は 無 論 必 要 で あ る が 、 英 語 以 外 の 外 国 語 教 育 の 重 要 性 に も 十 分 配 慮 し な け れ ば な ら な い 。 世 界 に は 、 6, 00 0 と も 8 ,0 0 0 と も 言 わ れ る 数 の 言 語 が 存 在 し 、 そ の 数 に 匹 敵 す る だ け の 多 種 多 様 な 文 化 が 広 が っ て い る 。英 語 だ け で 事 足 り る 領 域 と い う の は 、 む し ろ 非 常 に 限 ら れ て い る の で あ る 。 大 学 の 国 際 化 と い う 側 面 も 同 様 に 、 例 え ば 、 学 生 の 派 遣 先 を 英 語 圏 の 大 学 だ け に 限 定 す る と い う の は 、 世 界 の 多 様 性 の 尊 重 に 反 す る 偏 っ た あ り 方 で 、 正 し い 方 向 と は 言 い 難 い 。 故 に 、 英 語 圏 と 非 英 語 圏 の 双 方 の 大 学 に 学 生 を 派 遣 す る こ と が 望 ま し い あ り 方 だ と 信 じ る 。 ⒉ 時 代 と 社 会 が 求 め る グ ロ ー バ ル 人 材 と は ? 国 や 組 織 ・ 社 会 の 栄 枯 盛 衰 は 、 い つ の 時 代 に あ っ て も 必 然 的 な 現 象 で あ る 。 高 度 経 済 成 長 期 を 終 え 、 経 済 的 繁 栄 を 極 め た 日 本 は 、 す で に 社 会 の 成 熟 期 に 入 っ て い る 。 そ し て 、 大 量 生 産 ・ 大 量 消 費 ・ 大 量 廃 棄 と い う 経 済 至 上 主 義 の 価 値 観 か ら 少 子 高 齢 化 社 会 に 適 し た 持 続 可 能 社 会 と い う 循 環 型 の し く み を 重 視 す る 価 値 観 へ と 社 会 の あ り 方 を 変 え つ つ あ る 。 一 方 、 エ ネ ル ギ ー 自 給 率 も 食 料 自 給 率 も 非 常 に 低 い 、 少 資 源 国 で あ る 日 本 に と っ て 、 国 際 的 に 活 動 す る グ ロ ー バ ル 人 材 の 育 成 ・ 輩 出 は 死 活 問 題 で あ る 。 で は 、グ ロ ー バ ル 人 材 に 求 め ら れ る 資 質 と は 何 か 。そ れ は 、国 で あ れ 、企 業 で あ れ 、 大 学 で あ れ 、 個 人 で あ れ 、 国 際 社 会 の 中 で 時 と し て 利 害 と 価 値 観 が 激 し く 衝 突 す る 中で 、自 ら の 実 力 と 人 格 、そ し て 鍛 え 上 げ ら れ た 交 渉 力 に よ っ て 過 酷 な 競 争 を 乗 り 越 え 、 自 己 ( 国 ・ 組 織 ・ 個 人 ) の 権 益 を 最 大 限 確 保 す る 、 し か し そ れ で も 周 囲 の 信 頼 を 失 わ な い と い う 人 材 総 体 の 底 力 で は な い か と 思 わ れ る 。 そ れ 故 に 、 文 化 と 価 値 観 の 多 様 性 を 尊 重 し 、 受 容 す る 柔 軟 な 感 性 と 、 不 透 明 性 の 色 濃 い 時 代 と 社 会 の 中 で 、 自 ら の ビ ジ ョ ン と 行 動 に よ っ て 創 造 的 に 問 題 を 解 決 し て い け る 総 合 的 な 力 を 備 え た 人 材 を 養 成 し 続 け る こ と が 大 切 に な る 。 そ の 意 味 で 、 日 本 社 会 と は 全 く 異 な る 多 様 な 価 値 観 を 実 体 験 し 、 何 か と 不 自 由 な 異 郷 の 地 に 身 を 置 い て 勉 学 に 励 む 海 外 留 学 は 、 日 本 の 若 者 を 逞 し い グ ロ ー バ ル 人 材 に 育 て 上 げ る 契 機 と な る 最 良 の 教 育 環 境 で あ る と 考 え る 。 拙 稿 で は 、 筑 波 大 学 と 、 非 英 語 圏 の 一 つ で あ る ロ シ ア 語 圏 諸 国 の 大 学 と の 交 流 と そ れ ら の 大 学 へ の 留 学 状 況 に つ い て 紹 介 し 、 そ の 魅 力 と 意 義 に つ い て 考 察 し た い 。 ⒊ ロ シ ア 語 の 実 用 的 価 値 と は ? 19 91 年 の ソ 連 崩 壊 後 、 そ の 領 土 と 国 家 資 産 の 大 半 を 継 承 し た ロ シ ア 連 邦 を 筆 頭 に 、 全 部 で 15 の 新 し い 国 が 誕 生 し た 。具 体 的 に は 、ロ シ ア 、ウ ク ラ イ ナ 、ベ ラ ル ー シ の 東 ス ラ ヴ 諸 国 、 リ ト ア ニ ア 、 ラ ト ヴ ィ ア 、 エ ス ト ニ ア の バ ル ト 諸 国 、 ウ ズ ベ キ ス タ ン 、 カ ザ フ ス タ ン 、 キ ル ギ ス 、 タ ジ キ ス タ ン 、 ト ル ク メ ニ ス タ ン の 中 央 ア ジ ア 諸 国 、 グ ル ジ ア 、 ア ル メ ニ ア 、 ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン の コ ー カ サ ス 諸 国 、 そ し て ル ー マ ニ ア と の 親 近 性 が 極 め て 高 い モ ル ド ヴ ァ で あ る 。 表 1 旧 ソ 連 か ら 誕 生 し た 国 家 に お け る 主 な 宗 教 ・ 言 語 ・ 民 族 国 名 基 幹 民 族 言 語 ( 国 家 語 , 公 用 語 ) 主 要 宗 教 1 ロ シ ア ロ シ ア 人 ( 8 0 % 以 上 ) ロ シ ア 語 キ リ ス ト 教 ( ロ シ ア 正 教 ) 2 ウ ク ラ イ ナ ウ ク ラ イ ナ 人 ( 7 0 % 以 上 ) ウ ク ラ イ ナ 語 キ リ ス ト 教 ( ウ ク ラ イ ナ 正 教 , ウ ク ラ イ ナ ・ カ ト リ ッ ク 教 , ロ シ ア 正 教 ) 3 ベ ラ ル ー シ ベ ラ ル ー シ 人 ( 7 5 % 以 上 ) ベ ラ ル ー シ 語 , ロ シ ア 語 キ リ ス ト 教 ( ロ シ ア 正 教 ) 4 リ ト ア ニ ア リ ト ア ニ ア 人 ( 8 0 % 以 上 ) リ ト ア ニ ア 語 キ リ ス ト 教 ( カ ト リ ッ ク ) 5 ラ ト ヴ ィ ア ラ ト ヴ ィ ア 人 ( 約 6 0 % ) ラ ト ヴ ィ ア 語 キ リ ス ト 教 ( カ ト リ ッ ク , プ ロ テ ス タ ン ト ・ ル タ ー 派 ) 6 エ ス ト ニ ア エ ス ト ニ ア 人 ( 約 7 0 % ) エ ス ト ニ ア 語 キ リ ス ト 教 ( プ ロ テ ス タ ン ト ・ ル タ ー 派 ) 7 ウ ズ ベ キ ス タ ン ウ ズ ベ ク 人 ( 約 8 0 % ) ウ ズ ベ ク 語 イ ス ラ ム 教 ( ス ン ニ ー 派 ) 8 カ ザ フ ス タ ン カ ザ フ 人 ( 約 6 0 % ) カ ザ フ 語 , ロ シ ア 語 イ ス ラ ム 教 ( ス ン ニ ー 派 ) 9 キ ル ギ ス キ ル ギ ス 人 ( 6 0 % 以 上 ) キ ル ギ ス , ロ シ ア 語 イ ス ラ ム 教 ( ス ン ニ ー 派 ) 1 0 タ ジ キ ス タ ン タ ジ ク 人 ( 約 8 0 % ) タ ジ ク 語 イ ス ラ ム 教 ( ス ン ニ ー 派 ) 1 1 ト ル ク メ ニ ス タ ン ト ル ク メ ン 人 ( 8 0 % 以 上 ) ト ル ク メ ン 語 イ ス ラ ム 教 ( ス ン ニ ー 派 ) 1 2 グ ル ジ ア グ ル ジ ア 人 ( 7 0 % 以 上 ) グ ル ジ ア 語 キ リ ス ト 教 ( グ ル ジ ア 正 教 ) 1 3 ア ル メ ニ ア ア ル メ ニ ア 人 ( 9 0 % 以 上 ) ア ル メ ニ ア 語 キ リ ス ト 教 ( ア ル メ ニ ア 正 教 ) 1 4 ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン 人 ( 9 0 % 以 上 ) ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン 語 イ ス ラ ム 教 ( シ ー ア 派 ) 1 5 モ ル ド ヴ ァ モ ル ド ヴ ァ 人 ( 6 0 % 以 上 ) モルド ヴァ語 ( ルーマニ ア語 ) キ リ ス ト 教 ( 正 教 ) 表 1 の よ う に 、 こ れ ら の 国 々 は 、 民 族 、 言 語 、 宗 教 な ど を 互 い に 異 に す る 多 様 性 豊 か な 社 会 空 間 で あ る 。 こ こ で は 、 ソ 連 時 代 を 通 じ て 、 ロ シ ア 語 が 1 00 以 上 の 様 々 な 諸 民 族 の 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 可 能 に す る 共 通 語 と し て の 役 割 を 果 た し て い た こ と か ら 、 各 新 生 国 家 に お い て 基 幹 民 族 語 が 国 家 語 と し て 公 用 語 に な っ た 現 在 で も ロ シ ア 語 の 汎 用 性 は 非 常 に 高 い 。特 に ソ ヴ ィ エ ト 時 代 に 教 育 を 受 け た 40 代 よ り 上 の 世 代 に お い て ロ シ ア 語 の 運 用 能 力 が 高 く な っ て い る 。筆 者 は 、旧 ソ 連 地 域 に 新 た に 生 ま れ た 1 5
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JASSO. All rights reserved.の 国 々 は ソ 連 解 体 か ら 2 0 年 経 過 し た 今 で も ロ シ ア 語 が 通 用 す る 言 語 空 間 で あ り 、ソ 連 時 代 に 育 ま れ た 共 通 の 価 値 観 が あ る 程 度 残 さ れ た 文 化 空 間 で あ る と 考 え て お り 、 こ の 言 語 文 化 圏 を ロ シ ア 語 圏 ( ル ソ フ ォ ニ ー r u s s o p h o n i e ) と 呼 ん で い る1 。 W H O に よ る 世 界 の 人 口 統 計 デ ー タ で は 、 20 1 0 年 現 在 の 上 記 1 5 カ 国 、 す な わ ち 、 ロ シ ア 語 圏 諸 国 の 人 口 総 計 は 2 85 ,8 49, 0 00 人 で あ り 、 約 3 億 人 規 模 と な っ て い る 。 ロ シ ア 語 さ え で き れ ば 、 ロ シ ア 語 圏 諸 国 で 十 分 活 動 で き る こ と を 考 え る と 、 ロ シ ア 語 の 実 用 的 価 値 が い か に 大 き い か が 分 か る 。 ⒋ 筑 波 大 学 と ロ シ ア 語 圏 諸 国 と の 教 育 交 流 表 2 筑 波 大 学 と ロ シ ア 語 圏 の 大 学 と の 学 術 交 流 協 定 締 結 の 現 状 国 名 大 学 名 締 結 年 月 協定に基づく交換人数枠 (短期留学/3~12 ヵ月) 交換学生の 派遣実績 交換学生の 受入実績 1 ロ シ ア サンクトペテルブルク国 立 大 学 2 0 0 2 . 0 2 2 2 7 1 6 2 ロ シ ア モスクワ市 立 教 育 大 学 2 0 0 9 . 0 5 5 1 3 1 4 3 ウ ク ラ イ ナ キエフ国 立 大 学 2 0 0 6 . 0 9 5 1 0 2 0 4 ベ ラ ル ー シ ベラルーシ国 立 大 学 2 0 1 2 . 0 2 5 1 0 5 エ ス ト ニ ア タリン国 立 大 学 2 0 0 6 . 0 1 5 1 2 5 6 ラ ト ヴ ィ ア ラトヴィア国 立 大 学 2 0 0 6 . 0 1 5 3 1 0 7 リ ト ア ニ ア ヴィリニュス国 立 大 学 2 0 0 6 . 1 2 5 4 8 8 ウ ズ ベ キ ス タ ン タシケント国 立 東 洋 学 大 学 2 0 0 5 . 0 5 5 1 0 4 5 9 ウ ズ ベ キ ス タ ン 世 界 経 済 外 交 大 学 2 0 0 6 . 0 9 5 0 1 0 1 0 ウ ズ ベ キ ス タ ン サマルカンド国 立 外 国 語 大 学 2 0 0 6 . 0 9 5 0 1 5 1 1 カ ザ フ ス タ ン ユーラシア国 立 大 学 2 0 0 6 . 0 8 5 2 2 2 1 2 カ ザ フ ス タ ン カザフ国 立 大 学 2 0 0 7 . 0 1 1 0 4 3 6 1 3 カ ザ フ ス タ ン カザフ経 済 大 学 2 0 0 7 . 1 0 5 0 9 1 4 キ ル ギ ス キルギス国 立 大 学 2 0 0 5 . 0 5 5 3 3 4 1 5 タ ジ キ ス タ ン ロシア・タジク・スラヴ大 学 2 0 0 7 . 0 9 5 2 1 0 計 9 1 2 5 4 筑 波 大 学 は 、 日 本 や 欧 米 な ど の 西 側 諸 国 に と っ て ソ 連 邦 と い う 政 治 的 ・ 外 交 的 に 長 い 間 閉 ざ さ れ て い た 空 間 が ソ 連 解 体 と 新 生 諸 国 の 誕 生 に よ っ て 広 く 世 界 に 開 か れ た 空 間 に な っ た こ と 、 す な わ ち 、 あ る 意 味 で ロ シ ア 語 圏 諸 国 そ の も の が あ ら ゆ る 分 野 に お い て 新 た に 取 り 組 む べ き 研 究 フ ロ ン テ ィ ア に な っ た こ と を 受 け て 、 人 文 社 会 系 の 教 員 を 中 心 に 、 表 2 に 示 さ れ て い る よ う に 、 2 001 年 度 以 降 、 ロ シ ア 語 圏 諸 国 の 有 力 大 学 と の 教 育 交 流 の 拡 大 ・ 強 化 を 戦 略 的 に 押 し 進 め た 2。そ の 結 果 、毎 年 1 0 名 程 度 の 学 生 が ロ シ ア 語 圏 の 協 定 大 学 に 交 換 留 学 す る ま で に な っ た3 。 一 般 に ロ シ ア 語 圏 へ の 留 学 は 学 生 た ち に は マ イ ナ ー だ と 思 わ れ が ち で あ る が 、 本 学
1 フ ラ ン ス 語 話 者 f r a n c o p h o n e か ら 成 る 言 語 共 同 体 を 意 味 す る 「 フ ラ ン コ フ ォ ニ ー f r a n c o p h o n i e ( フ ラ ン ス 語 圏 )」を ヒ ン ト に 造 語 し た 用 語 で ,ロ シ ア 語 話 者 r u s s o p h o n e か ら 構 成 さ れ る 言 語 共 同 体 を 示 し て い る 。 2 一 方 、( 日 本 研 究 の 長 い 歴 史 を 持 つ ロ シ ア を 除 く ) 新 生 ロ シ ア 語 圏 諸 国 で は 、 日 本 の 伝 統 文 化 や テ ク ノ ロ ジ ー へ の 関 心 な ど か ら 、 数 多 く の 大 学 に お い て 次 々 と 日 本 語 教 育 が 導 入 さ れ 、 本 格 的 な 日 本 研 究 が 始 ま っ た 結 果 、 日 本 留 学 の 需 要 が 大 き く 高 ま っ た 。 こ う し た 事 情 な ど を 背 景 に 、 本 学 は 、2 0 0 7 年 6 月 に ウ ズ ベ キ ス タ ン 共 和 国 タ シ ケ ン ト 市 に 海 外 拠 点「 筑 波 大 学 中 央 ア ジ ア 事 務 所 」 を 開 設 し 、( ロ シ ア や ウ ク ラ イ ナ な ど の そ の 他 の ロ シ ア 語 圏 も 射 程 に 入 れ な が ら )中 央 ア ジ ア 諸 国 の 大 学 ・ 研 究 機 関 と の 教 育 ・ 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク 構 築 を 加 速 さ せ た 。 3 ま た 、 本 学 外 国 語 セ ン タ ー は 協 定 大 学 の サ ン ク ト ペ テ ル ブ ル グ 国 立 大 学 文 学 部 と 連 携 し 、 毎 年 8 月 に 3 週 間 程 度 の 夏 期 ロ シ ア 語 研 修 を 実 施 し て い る 。 こ の 語 学 研 修 を き っ か け と し て ロ シ ア 語 圏 へ 留 学 す る 学 生 も 多 い 。 ち な み に 当 該 研 修 は 、 自 由 科 目 ( 特 設 )「 ロ シ ア 語 」( 2 単 位 ) と し て 単 位 認 定 さ れ る し く み に な っ て い る 。
で は 学 部 の ロ シ ア 語 履 修 者 数 も 常 時 延 べ 2 00 名 を 優 に 超 え る ま で に な り 、 ロ シ ア 語 圏 の 協 定 大 学 へ の 交 換 留 学 に 対 す る 関 心 も 年 々 高 ま っ て い る4 。 筆 者 は 、 こ れ ま で に 連 絡 調 整 教 員 と し て 、 ロ シ ア 、 ウ ク ラ イ ナ 、 ベ ラ ル ー シ 、 ウ ズ ベ キ ス タ ン 、 カ ザ フ ス タ ン 、 キ ル ギ ス 、 タ ジ キ ス タ ン の 協 定 大 学 に 60 名 を 超 え る 日 本 人 学 生 を 派 遣 し た 。 ロ シ ア 連 邦 サ ン ク ト ペ テ ル ブ ル グ 国 立 大 学 留 学 中 の 様 子 ⒌ ロ シ ア 語 圏 諸 国 に 留 学 す る メ リ ッ ト と は ? で は 、 ロ シ ア 語 圏 に あ え て 留 学 す る メ リ ッ ト と は 一 体 何 か ? ど こ に 魅 力 が あ る の だ ろ う か ? ロ シ ア 語 圏 に 留 学 し た 学 生 た ち と の 交 流 を 通 じ て 日 頃 か ら 強 く 感 じ て い る メ リ ッ ト は 、 次 の 6 つ で あ る 。 ① 他 人 と は ひ と 味 異 な る 研 究 ・ 学 習 活 動 が で き る 卒 業 研 究 に し て も 修 士 論 文 の 研 究 や 博 士 論 文 の 研 究 に し て も 、 ソ 連 崩 壊 後 の ロ シ ア 語 圏 諸 国 に 関 す る 研 究 そ の も の が 日 本 国 内 で 稀 少 で あ り 、 先 行 研 究 も 相 対 的 に 手 薄 な た め 、 オ リ ジ ナ リ テ ィ ー 豊 か な 研 究 活 動 に 繋 が る ケ ー ス が 比 較 的 多 い 。 例 え ば 、 筆 者 は 、 ベ ラ ル ー シ に お け る 危 機 言 語 と し て の ベ ラ ル ー シ 語 の 現 状 と 課 題 に つ い て 研 究 し て い る 院 生 を 指 導 し て い る が 、 筆 者 の 知 る 限 り 、 現 在 こ の 研 究 テ ー マ に 専 門 的 に 取 り 組 ん で い る 研 究 者 は 日 本 国 内 で は 当 該 学 生 た だ 一 人 で あ る 。 つ ま り 、 本 気 で 深 く 研 究 す れ ば 、 国 内 の 第 一 人 者 に な れ る よ う な テ ー マ が 満 ち 溢 れ て い る の で あ る 。 ② ロ シ ア 語 の 運 用 能 力 を 伸 ば せ る 派 遣 学 生 た ち は 留 学 す る 前 に ロ シ ア 語 圏 諸 国 で の 汎 用 性 が 高 い ロ シ ア 語 を 筑 波 大 学 で 最 低 1 年 か ら 2 年 間 学 習 し て お り 、 受 入 大 学 の ネ イ テ ィ ブ 教 員 に よ る 充 実 し た ロ シ ア 語 教 育 を 通 じ て 、 ロ シ ア 語 運 用 能 力 を 飛 躍 的 に 高 め る こ と が で き 、 ロ シ ア 語 を 自 身 の 研 究 で 直 接 的 に 活 か せ る 語 学 力 を 身 に つ け ら れ る 。 ま た ロ シ ア 語 は 就 職 面 で 強 力 な
4 筑 波 大 学 は 、 2 0 0 9 年 に 文 部 科 学 省 の G 3 0 プ ロ ジ ェ ク ト ( 大 学 の 国 際 化 拠 点 整 備 事 業 ) の 採 択 を 受 け 、 学 部 ・ 大 学 院 の 英 語 プ ロ グ ラ ム の 拡 充 、 奨 学 金 制 度 の 創 設 、 チ ュ ー タ ー 制 度 の 充 実 、 留 学 生 寮 の 整 備 、 国 際 学 生 フ ォ ー ラ ム の 開 催 な ど 、 各 研 究 教 育 組 織 や 国 際 部 ( 国 際 企 画 課 、 留 学 生 セ ン タ ー 、 海 外 事 務 所 ) な ど が そ れ ぞ れ 懸 命 に 留 学 生 受 入 拡 大 に 努 め て き た 。 現 在 で は 約 2 , 0 0 0 名 の 留 学 生 を 受 入 れ る ま で に な っ た 。 将 来 的 に は 、 こ の 数 を 4 , 5 0 0 名 に ま で 増 や し 、 学 生 の 4 人 に 1 人 が 留 学 生 と い う 構 成 に す る 計 画 が あ り 、 キ ャ ン パ ス 内 の 日 常 の 国 際 化 が 進 行 し て い る 。 こ う し た 背 景 の 中 で ロ シ ア 語 圏 諸 国 か ら の 留 学 生 も 確 実 に 増 え て お り 、 身 近 に ロ シ ア 語 を 話 す 留 学 生 が い る と い う 環 境 が 日 本 人 学 生 た ち の ロ シ ア 語 圏 留 学 に 対 す る 関 心 を 高 め て い る よ う に 感 じ ら れ る 。 2 0 1 2 年 5 月 1 日 現 在 の ロ シ ア 語 圏 諸 国 出 身 の 留 学 生 数 は 、 6 4 人 で あ る 。
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JASSO. All rights reserved.武 器 に な る 。 ③ 英 語 の 運 用 能 力 を 伸 ば せ る 非 英 語 圏 に 留 学 す る と 英 語 力 を 伸 ば す こ と が で き な い と い う イ メ ー ジ が あ る が 、 そ れ は 必 ず し も 正 し い 見 解 と は 言 え な い 。 現 地 の 名 門 大 学 で あ る 協 定 締 結 校 の 研 究 者 ・ 教 員 ・ 学 生 は 相 対 的 に 英 語 能 力 が 高 く 、 教 授 言 語 が 英 語 で あ る 授 業 を 履 修 し た 場 合 、 英 語 に よ る 学 術 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 要 求 さ れ る 場 面 も 多 々 あ り 、 特 に あ る 程 度 の 英 語 能 力 を 備 え て い る 院 生 の 場 合 、 研 究 者 と し て の デ ィ ス カ ッ シ ョ ン 能 力 と 英 語 運 用 能 力 の 双 方 を 高 め る こ と が で き る 。 ④ 公 用 語 と し て の 現 地 語 ( 国 家 語 ) の 運 用 能 力 を 伸 ば せ る 派 遣 学 生 た ち は 英 語 と ロ シ ア 語 の 運 用 能 力 の 向 上 に 加 え て 、 基 幹 民 族 語 で あ る 、 公 用 語 と し て の 現 地 語 ( ウ ク ラ イ ナ 語 、 ベ ラ ル ー シ 語 、 エ ス ト ニ ア 語 、 ラ ト ヴ ィ ア 語 、 リ ト ア ニ ア 語 、 カ ザ フ 語 、 ウ ズ ベ ク 語 、 キ ル ギ ス 語 、 タ ジ ク 語 な ど ) を 同 時 に 学 習 で き 、 マ ル チ リ ン ガ ル ・ マ ル チ カ ル チ ュ ラ ル な 能 力 を 伸 ば す こ と が で き る 。 こ れ ま で に ウ ク ラ イ ナ や 中 央 ア ジ ア に 留 学 し た 一 部 の 本 学 学 生 た ち は ロ シ ア 語 と 現 地 語 を 同 時 に 習 得 し 、 卒 業 論 文 ・ 修 士 論 文 ・ 博 士 論 文 で 英 語 ・ ロ シ ア 語 ・ 現 地 語 の 3 言 語 を 駆 使 し た 、 優 れ た 研 究 成 果 を 挙 げ た5 。 ⑤ 異 文 化 世 界 を 生 き 抜 く た め の 総 合 的 な 力 を 涵 養 で き る ロ シ ア 語 ・ 英 語 ・ 現 地 語 の 運 用 力 の 鍛 錬 と ロ シ ア 語 圏 と い う 外 地 で の 不 便 な 学 究 生 活 ( 気 候 、 食 事 、 住 環 境 、 習 慣 や 文 化 の 違 い な ど ) を 通 し て 、 異 文 化 空 間 で 世 界 の 中 の 日 本 と い う 視 点 に 立 っ て 逞 し く 生 活 し 、 良 い 意 味 で 多 様 性 を 肯 定 的 に 受 容 す る 感 性 と 創 造 的 問 題 解 決 能 力 を 備 え た 真 の プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル と し て 将 来 活 躍 す る た め の 素 養 を 育 む こ と が で き る と 思 わ れ る 。 欧 米 な ど と 比 べ る と ロ シ ア 語 圏 の 日 本 人 留 学 生 の 数 は 非 常 に 少 な い 。 日 本 人 や 日 本 語 に 頼 れ る 環 境 は ほ と ん ど な い と 言 っ て よ い 。 そ の た め 、 否 応 無 し に 強 い 自 律 性 と 行 動 力 が 求 め ら れ る 。 不 断 の 緊 張 感 の 中 で 、 多 様 で 複 雑 な ロ シ ア 語 圏 社 会 に う ま く 適 応 し な が ら 、 不 便 な 留 学 生 活 を 全 う す る こ と で 、 精 神 力 が 鍛 え 上 げ ら れ 、 世 界 の ど の 場 所 で も 生 き て い け る と い う 何 物 に も 代 え 難 い 、 強 い 自 信 が 生 ま れ る の で あ る 。 ⑥ 留 学 生 活 で 身 に つ け た 語 学 力 と 精 神 的 逞 し さ が 就 職 活 動 の た め の 武 器 に な る 超 氷 河 期 と 言 わ れ る 厳 し い 就 職 戦 線 に お い て 、 本 学 の ロ シ ア 語 圏 留 学 者 の 就 職 状 況 は 全 体 的 に 非 常 に 良 好 で あ る 。 こ れ は 、 急 速 に 経 済 発 展 し て い る ロ シ ア 語 圏 へ の 日 本 企 業 の 進 出 に 伴 う 貿 易 活 動 の 活 発 化 が 最 大 の 要 因 で あ る と 思 わ れ る 。 い ず れ の 場 合 も 学 生 た ち は 、( 総 合 的 な 実 力 を 前 提 と し て )留 学 生 活 で 身 に つ け た 語 学 力 と 精 神 的 逞 し さ を 評 価 さ れ 、 ロ シ ア 語 圏 で の 活 躍 を 会 社 か ら 期 待 さ れ て 入 社 し た こ と が 判 明 し て い る 。 筆 者 が ロ シ ア 語 を 教 え 、 ロ シ ア 語 圏 の 協 定 大 学 に 送 り 出 し た 学 生 た ち が こ れ ま で に 就 職 し た 企 業 等 を 具 体 的 に 列 挙 す る と 、 三 菱 商 事 、 日 本 紙 パ ル プ 商 事 、 日 ソ 貿 易 、 5 現 地 語 ( 国 家 語 ) の 社 会 的 位 置 づ け が ま す ま す 高 く な っ て お り 、( ロ シ ア を 除 く ) ロ シ ア 語 圏 諸 国 に お い て ロ シ ア 語 だ け で 掘 り 下 げ た 研 究 を 遂 行 す る こ と は 困 難 で あ り 、 ロ シ ア 語 と 現 地 語 の 双 方 の 習 得 が す で に 事 実 上 必 要 不 可 欠 と な っ て い る 。