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高機能材料

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Academic year: 2021

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(1)

112 高機能材料 高機能材料 フィラと樹脂界面の熱抵抗を低減した 絶縁性の高熱伝導コンポジット

1

高熱伝導コンポジットは,エポキシ樹脂とセラミック粉 末(フィラ)で構成され,電子・電気機器の絶縁部材であ る絶縁接着シートや成型材として利用される。電子・電気 機器の小型・高出力密度化に伴い,絶縁接着シートや成型 材には高い熱伝導率が要求されている。 日立グループは,硬化に伴って分子レベルで自己配列す ることで高熱伝導性を発現するエポキシ樹脂と,セラミッ ク粉末との複合化を検討してきた。この自己配列性樹脂を 窒化物フィラと複合化する場合,フィラ界面で樹脂の配列 が乱れることで熱抵抗となり,十分な熱伝導性が発現でき ていなかった。 今回,フィラ表面処理によって界面での樹脂配列を規則 化する技術を開発した。フィラ表面に酸化処理を施すこと で,表面自由エネルギーを制御し,フィラ界面で硬化した 樹脂に,界面に対してほぼ垂直方向の

2.2 nm

周期の規則 的な配列構造を付与した。さらに,配列構造はフィラ間を つなぐように広範囲に形成した。これにより,フィラと樹 脂界面の熱抵抗を低減させ,高熱伝導コンポジットの熱伝 導率を向上することができた。 モールド機器用高靭性ナノコンポジット樹脂と その設計解析方法

2

モールド機器向けに,耐クラック性の指標である破壊 (じん)性に優れたナノコンポジット樹脂を開発した。 樹脂の強 化材には,微細なエラストマー粒子を選択し た。また,開発の過程においては,計算科学的手法を最大 限に活用しており,その手法は次のようなものである。 (

1

)ナノ粒子と樹脂間に働く相互作用を分子軌道法で導出 (

2

)得られた相互作用を粗視化分子動力学法に適用 (

3

)(

2

)を用い,伸長ひずみをかけて応力−ひずみ特性を 求め,破壊靱性を予測 この計算により,エラストマーのサイズを約

100 nm

高機能材料

靭性 ひずみ 伸長ひずみを印加 エラストマー 樹脂 降伏点 応力 2粗視化分子動力学法での計算モデル(左),靭性の計算方法(右) エポキシ樹脂 硬化剤 無配列領域 フィラ 無配列領域 無配列領域 配列領域 配列領域 フィラ 熱 熱 熱 フィラ表面 従来構造 開発構造 従来構造 開発構造 2.2 nm 100 mμ 100 mμ 1開発したコンポジットのフィラと樹脂界面の構造(左),フィラ周囲の構造(右)

(2)

113 日立評論 2015.01-02 高機能材料 すると,破壊 性が無添加樹脂に比較して

50

%増大する ことが分かった。実験では,エポキシ樹脂内に

100 nm

の エラストマー種を分散させた試験片の破壊試験を実施し, 計算で予測した効果が発揮されることを確認した。 開発した技術は,モールド機器高度化に向け,ミクロ− マクロ連成の計算科学的検討と材料実験を融合した取り組 みである。なお,分子軌道法は自社で開発し,粗視化分子 動力学法の計算には高機能材料設計プラットフォーム

OCTA

を利用した。 LC DUPLEX型対応通信光可視化モジュール

3

伝送容量の急速な増大に伴い,光配線には効率的な運用 が求められている。 通信回線の変更や廃止作業の際,誤って大容量通信中の 光コネクタが抜かれると,多大な被害が発生するリスクが ある。通信光可視化モジュールは,光ファイバーの通信状 態を簡易に目視で判別可能な製品であり,安全にコネクタ の抜去作業ができることで高い評価を得ている。これまで, 光コネクタ種類として

SC

Square Connector

)型,

LC

Local

Connector

SIMPLEX

型の通信光可視化モジュールを製品

化している。

今 回, 主 に 海 外 で の 使 用 が 多 い 光 コ ネ ク タ 種 類

LC

DUPLEX

型に対応したモジュールを開発した。コンパク

トなケースに収納し,前部に

LC DUPLEX

型アダプタ

6

個 (

12

心),後部に

12

MPO

Multiple-fi ber Push-on/pull-off

アダプタ

1

個を備えている。

LC

フェルール内で発生させ た 通 信 光 の 微 小 な 散 乱 光 を 光 判 別 器 で 受 光 し,

LED

Light-emitting Diode

)によって通信光のあり(青

LED

灯)/なし(赤

LED

点灯)を目視で簡単に判別可能である。 また,光判別器は

2

つの受光部を有し,

2

心同時の判別を 可能としている。 今後は,さらにラインアップを拡充し,国内外へ広く展 開する予定である。 (日立金属株式会社) 炭素熱還元法による希土類磁石のリサイクル技術

4

Nd

(ネ オ ジ ム)

Fe

(鉄)

B

(ホ ウ 素)系 希 土 類 焼 結 磁 石 (

NEOMAX

)を製造する際,加工粉(スラッジ)が発生する。 このスラッジは有価物である希土類元素を含んでいるた め,捨てずに再利用することは,資源の有効活用の観点か ら重要な課題である。スラッジから希土類元素を抽出する 方法としては,酸溶解と沈殿処理の併用が一般的であるが, 多量の酸化鉄が残 (さ)として発生することから自然環 境への負荷が大きい。 今回,製鉄分野で行われている炭素熱還元法を焼成した スラッジに応用することにより,希土類元素をスラグとし て回収する技術を開発した。これにより,鉄分を有価物で ある銑(せん)鉄として回収し,酸やアルカリの使用量を 極力減らすことができるため,環境への負荷を低減できる。 また,実験では従来法よりも高い収率で希土類元素を回収 できることを確認している。 開発した技術は

2015

4

月より量産を開始する予定で ある。 (日立金属株式会社) 銑鉄 スラグ 1 cm 4磁石加工粉を炭素熱還元処理してできた生成物の外観 光ファイバ LCフェルール LED 散乱光 光判別器 通信光散乱部 青LED点灯 →通信光あり →コネクタ  抜去不可 赤LED点灯 →通信光なし →コネクタ  抜去可 MPOアダプタ 光判別器 LC DUPLEX アダプタ 3 LC DUPLEX型対応通信光可視化モジュールの原理と製品

(3)

114 高機能材料 高機能材料 高精度異形ピストンリング素材

5

ピストンリングは,自動車エンジンの重要部品であり, 燃焼エネルギーを動力に変換するためのシールリングであ る。高温燃焼ガスに直接さらされ,常にシリンダーと (しゅう)動しているため,ピストンリング用材料には耐 熱性や耐摩耗性などが要求される。また,環境問題や省資 源化への対応の中で,自動車エンジンの低燃費化・高出力 化を目的に,ダウンサイジングおよび直噴ターボ化への動 きがある。そのため,ピストンリングに対する高強度化・ 高形状精度化のニーズが高まっている。

ASL800

シリーズは,ピストンリング用の専用鋼種とし て

8

17

Cr

(クロム)のマルテンサイト系ステンレス鋼 で開発されたものである。従来の鋳物と比較して格段に比 強度が向上し,量産化されている。断面形状についてはさ らなる複雑化,高精度化が要求されており,ニアネット線 材としてミクロンオーダーの形状精度が求められる。これ に対しては高精度異形圧延技術を駆使し,リングメーカー の加工工数低減に貢献している。 (日立金属株式会社) 黒鉛垂直配向熱伝導シート

6

電子機器分野では,半導体パッケージの小型高集積化に 伴う発熱密度の増加により,機器の温度上昇を抑制する冷 却技術が重要視されている。熱伝導シートは,発熱体と放 熱材間における伝熱効率の向上を目的とした部材であり, 板厚方向に高い熱伝導性,および部材間の反りや凹凸に追 従可能な柔軟性が要求される。この

2

つの特性はトレード オフの関係にあり,単一材料で満足することは極めて困難 であることから,材料のコンポジット化,構造制御によっ てこれらの特性の両立に取り組んできた。 今回,黒鉛材料と軟質樹脂および異方性粒子の配向技術 を複合することで,板厚方向の高熱伝導性(

90 W/mK

)と 柔軟性の両立を実現した。開発品を使用することで,電子 機器の小型化,長寿命化,静音化,部品件数の縮減,省エ ネルギーが可能となり,放熱設計技術への貢献が期待で きる。 開発品はリユースタイプ,高強度タイプ,高圧縮タイプ など,機能をさらに付与したラインアップを取りそろえて おり,今後は国内外への多用途展開を進めていく予定で ある。 (日立化成株式会社) 5ステンレス製ピストンリング(上),ピストンリング用ステンレスワイヤー(下) 等方性 黒鉛粒子 0.1 mm 断面 外観 垂直配向 開発品 熱伝導性粒子 球形粒子 熱伝導性粒子 熱伝導率 ( 垂直方向 ) 面配向 6黒鉛垂直配向シートの構造制御の考え方(上),断面および外観(下)

参照

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