著者
中鉢 惠一
雑誌名
経営論集
号
79
ページ
167-175
発行年
2012-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00004518/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja大学の国際化と英語教育
Globalization on Campus and English Education
中 鉢 惠 一 はじめに 1.大学の国際化 1.1 大学の国際化の意味 1.2 大学の国際化の変遷 1.3 大学組織の国際化 2.大学の国際化における英語教育 2.1 大学英語教育の変遷 2.2 大学の国際化の中で求められる英語教育 3.これからの大学英語教育 おわりにはじめに
日本の大学は、1992年の設置基準の大綱化を契機として、組織やカリキュラムの改 革が進み、2000年代に入ってからは、国際化が新たなキーワードとなっている。国際 化には様々な側面があるが、英語教育はどの場面においても国際化を支える重要な柱 となっている。本論では、大学の国際化と英語教育の変遷について概観し、国際化の 中で英語教育がどのように展開されるべきかについて論じる。1.大学の国際化
1.1 大学の国際化の意味 大学の国際化には3つの要素があると考えられる。第一は、教育・研究機関として の国際化である。日本における明治以降の大学は、海外の学問を常に取り入れながら 発展してきた。海外の優れた書物や論文等は、すぐに日本語に翻訳され、日本中の大 学で国際的な水準の教育が行われてきたという点において、国際化は順調に進んでき たと言えよう。 第二の要素は、人の国際化である。言わずと知れたことであるが、大学には、学生、 教授陣、事務スタッフという3つのグループが存在する。学生の国際化は、海外から の留学生の受け入れと日本人学生の海外派遣という2つの側面がある。教授陣も、同 じことが当てはまる。事務スタッフについても国際化が必要であるが、多くの大学で 対応できていないのが現実である。 第三の要素は、組織の国際化である。留学生の受け入れ及び派遣、また教員の海外 派遣、交流などは、その業務を取り扱う専門的な組織が必要となってくる。「国際交 流センター」という名の組織が現在多くの大学で存在するが、海外インターンシップ や海外ボランティアなどの新しい活動も出てきたことから、その重要度は増している。組織の国際化という意味では、国際交流をバックアップしていくような学部・学科の 存在も見逃せない。 大学の国際化においては、上記の3つのどれが欠けても十分に機能しない。「教育・ 研究」、「人」、「組織」が三位一体となって動いてこそ、大学の国際化が浸透していく と言ってよいだろう。
1.2 大学の国際化の変遷
大学の国際化は、留学生の数が急激に伸びる1970年代後半から本格化し、現在に至 っている。30年余りの国際化の歩みを10年ごとに見ていくと、それぞれ経済的、政治 的、社会的な背景が大学の国際化に大きな影響を与えてきたことがわかる。 日本から海外への留学生の数は第二次大戦後徐々に伸びてきてはいたが、国費留学 生が主であり、その数も年間5000人を上回ることがなかった。しかし、ニクソンショ ックを契機とした為替の変動相場制に移行した1973年あたりから急激に伸び始め、 1978年にはアメリカの留学者だけで1万人を超すまでになっている(図1)。さらに、 バブル経済の絶頂のころにはアメリカへの留学者が4万人を超すまでになり、その後 も伸び続け、1997年には47000人を超すまでになっている。この背景には、強い経済 の下に私費留学生が増加し、また企業も積極的に社員を留学させていたということが ある。しかしながら、アメリカでおこった2001年9月のテロ事件以来、留学の数は急 激に落ち始め、デフレ経済の中、留学しようとする気持ちが若者の中から失われつつ図1 Historical overview of Japanese students studying in the U.S. Source: IIE Open Doors
Compiled by Fulbright Japan
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 195419641966196819701972 197419761978 19801982198419861988199019921994199619982000200220042006 20082010
あるという傾向は続いている。 日本への留学生受け入れに関しては、中曽根政権下で出された「留学生10万人計画」 を契機に着実に伸び続け、2003年には10万人を越し、2005年には過去最高の12,2000 人まで伸びている(図2)。この背景には、ビザの緩和や大学や教育機関による奨学 金供与ということがあるが、日本人の若者が就かなくなった仕事にアジア系の留学生 が従事するようになったということもある。実際、10万人以上いる留学生の内9割以 上がアジア系で占められている。このような中、文部科学省は、2008年に「留学生30 万人計画」を発表し、英語で授業を行うことなどを盛り込み、大学の国際化をグロー バルな視点から発展させようとしている。 1.3 大学組織の国際化 1970年代後半から海外への留学生が増加する一方で、「国際」の名がつく学部・学 科が創設され始め、1990年代後半までその傾向は続いた。同時に「国際交流センター」 や「国際センター」の名の下に、留学生の派遣・受け入れ業務を専門に行う部局が置 かれるようになった。現在、多くの大学に国際交流の専門部局が存在する。 2000年代に入ってからは、英語のみで授業が受けられる大学、学部・学科等が現れ、 大学のグローバル化の新展開が進んでいる。これまでは、日本に来る留学生には日本 語をすでに習得したものを対象にしていたが、日本語ができなくとも英語のみで授業 が受けられ、卒業できるということを売りにし、日本人学生と外国人学生が切磋琢磨 するというさながら国際キャンパスが実現している大学も複数出てきている。1)立命 館アジア太平洋大学の創設に深くかかわった坂本氏は、このような動きを「大学のイ 図2 留学生数の推移 Source:日本学生支援機構
ノベーション」と捉えているが、「日本の知を世界に発信する」という発想の国際化 が進みつつあるというのが21世紀の特徴と言えるかもしれない。
2.大学の国際化における英語教育
2.1 大学英語教育の変遷 日本の大学における外国語教育は、1956年に制定された大学設置基準をもとに長ら く行われていた。すなわち、1外国語8単位を卒業要件とし、その内容は教養的要素 が強く、日本語訳を中心とした授業が主であった。一方で、このような教養英語は運 用という面では役に立たないという批判がなされ、1974年には、平泉渉参議院議員と 渡辺昇一上智大教授の間に実用対教養英語論争も起きた。しかし、大学の現場では大 きな変化もなく、教養的な要素が強い英語教育が続いた。 大学の英語教育が変化し始めたのは、1991年の「大学設置基準の大綱化」以降であ る。これを契機として、一般教育の科目区分が廃止され、学部教育のカリキュラムを 自由に編成できるようになった。この大綱化以降、英語以外の外国語や一般教育科目 が減らされるなど、一般教育軽視とも見られる現象が続くことになるが、英語教育に 関しては逆に強化する方向に向いた大学も多く見られた。それまで教養的要素が強か った英語科目が目的別に細分化され、「リスニング」、「スピーキング」といったスキ ルから「ディスカッション」、「ディベート」といった科目が並ぶようになった。また、 90年代後半には多くの大学でシラバスを提示するようになり、英語教育の内容を重視 する傾向が見られた。しかし、英語教育の現場に立つ英語教員の質的な変化にまでは いたらず、従来の訳読形式の教授法から抜けられない教員も少なからずいた。 ミレニアムを迎えて、大学英語教育は次の段階に入る。2000年に発表された大学審 議会の「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」の答申では、外 国語教育に関して次のように述べられている。 (外国語によるコミュニケーション能力の育成) グローバル化が進展する状況においては,外国語を駆使する能力が不可欠であ る。とりわけ英語は,現状において国際共通語として最も中心的な役割を果た しており,英語力は後述の情報リテラシーと併せてグローバルな知識や情報を 吸収,発信し,対話,討論するための基本的な能力である。 各大学においては,英語をはじめとする外国語によるコミュニケーション能力 を重視して,外国語を聞く力や話す力の一層の向上を図るとともに,外国語で 討論したりプレゼンテーションを行ったりできる能力を育成するための教育 内容・方法の工夫改善が必要である。 また,TOEFL,TOEIC 等国際的通用性の高い試験の成績に応じて単位の認定 を行ったり,これらの試験の成績を各大学の教育目標に応じて入学者選抜に利 用することなども考えられる。 今後は,特に国際共通語としての重要度等が高まる言語あるいは近隣のアジア 諸国の言語の教育について積極的に改善に取り組むことが必要である。この答申では、英語をツールとして使うことが全面的に唱えられており、また、そ の能力を客観的に測定するために TOEFL や TOEIC を積極的に活用することを勧めて いる。この答申は、各大学にかなりの影響を与えており、現在ほとんどの大学で TOEICIP テストを学内で実施し、単位認定などに使っており、TOEIC の練習を意図し た授業も組まれているところも多い。このような点は1990年代には見られず、2000年 代に入ってからの大きな変革と言える。また、図3に見られるように、専門科目や一 般教育科目を英語で教える大学が30%を超えており、これもこの10年の特徴と言って よいだろう。 2.2 大学の国際化の中で求められる英語教育 大学の国際化は、規模の違いはあるが、多くの大学で重要な位置を占めるようにな っており、それにともなって英語教育の重要性も増し、英語教育の再編成が求められ ている。ここでは、英語基礎スキル、内容を重視した英語教育、英語で教える専門科 目の3つに分けて、大学英語教育について再検討する。 (1) 英語基礎スキル 英語の基礎スキルを定義するのは難しいが、文法に関しては、中学校の教科書に出 てくる程度の表現を準備せずに話したり、書いたりする能力としておきたい。大学間 格差があるので一概には言えないが、中学校で学習済みの5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)を使った表現を正確に表現できる大学生はそれほど多くはな い。次の例は、いずれも本学の学生が書いた英文である。
What did Mr. Brown interested in? What kinds of foods this hotel serves? How long you can put up this hotel?
上記の文を書いた学生の TOEIC のレベルは450~480点の間である。(財)国際ビジ 図3 「英語による授業」の実施状況(文部科学省)2)
・英語と日本語の併用による授業は含まない。 ・英語教育を主たる目的とするものを除く。
ネスコミュニケーション協会が出している大学生の TOEICIP テストの平均点(2010 年)は445点であるので、平均的な大学生が上のような間違いをしてしまうと考えて よいだろう。このようなレベルの学生が、5W1Hの構文を理解していないというわ けでは必ずしもないが、アウトプットの際に間違えてしまうということが多いことか ら、中学・高校時代に練習が十分なされていなかったと考えられる。そうであるなら ば、大学でやれることは、中学・高校で学習したことを再確認させ、それを徹底的に 運用する訓練を行うことである。5W1Hの文を正しく作れないのであれば、それを 毎回の授業で行えばよい。90分の授業であれば、最初の15分を5W1Hの練習に使っ てもよいだろう。また、宿題として TOEIC の passage を与えて、質問文を作らせても 効果がある。5W1Hを例に挙げたが、文法は、ただ説明をして、練習問題をやらせ るだけでは身につくものではないので、繰り返し、繰り返し訓練をする必要がある。 リーディングは、語彙サイズの問題も大きいが、基礎スキルとして考える場合は、 読む速さを問題としたい。英語のネイティブスピーカーは、大学卒で1分間に350語 ぐらい読むことができると言われているが、日本の大学生であれば、最低120~150語 くらいは読めるようにならなければならない。このくらいの速さで読めれば、TOEIC のリーディングパートで何とか最後までたどりつくことができる。短い時間で読むス キルを身につけるためには、それ相当の訓練方法が必要である。まずは、学習者が読 んで楽しいと思える英文記事を準備させる。事前に教室外で読んできたことについて、 教室内でその内容についてパートナーに話す(できれば英語で話すことが望ましい)。 これを毎回授業で行う。5分もあれば十分である。次に、授業で使用している教科書 は、あえて予習をさせずに、500語程度のものであれば、時間を5分与えて、5分後 に教科書を見ずに自分が得た情報を箇条書きさせる(できれば英語で書かせる)。内 容に関する質問を5W1Hの構文で作らせてもよいだろう。このようなことを先にし た上で、教科書の練習問題をやっていけばよい。日本語にする必要など全くない。そ もそも、書かれている内容をすべて理解する必要もない。必要な個所を的確に短い時 間で読むということが大事である。 リスニングの基礎スキルは、NHK が放送している国内に関する英語ニュースを聞き 取れるくらいのレベルとしたい。この練習には、シャドーイングが有効である。授業 で使用している教科書を利用してもよい。300語~500語程度のものを最初の5回程度 はテキストを見ながら、音声を耳で確認しながら追いかけていく。その際、音声と一 緒に読むのではなく、少しずらして追いかけていくというのが重要である。口が慣れ てきたら、6回目からはテキストを見ないで追いかける。それをさらに5回程度繰り 返す。学習者がどれだけ向上したのかについて教師が知りたいのであれば、学習者の 音声を録音してもらい、提出させてもよいだろう。これを地道に続けていけば、リス ニング・スピーキングの向上は間違いなく見られるはずである。 (2) 内容を重視した英語教育 英語教育は、単に文法の知識を説明している限りにおいて内容はあまりないが、リ ーディングやリスニングなどには必ずそれ相当の内容がある。たとえば、大学用の英 語教科書には、環境問題から携帯電話の話まで、さまざまなトピックを集めている。
内容を重視した英語教育には、いくつかの方法があるが、日本の大学で手ごろなもの としては、特定のテーマについて集中的に学習するという方法であろう。たとえば、 1学期間に15回の授業があるとすれば、3つのテーマを選び、それについて5回の授 業で完結していくという方法である。実際の授業では、資料の読み込み、ディスカッ ション、自分の意見の構築、発表という手順を踏み、英語はあくまでも学習のツール として使用していく。教師は、学生のレベルを見ながら、時に内容理解のためのハン ドアウトを作成したり、ディスカッションをスムーズに導くためのファシリテーター 役を担ったりすればよい。さらには、そのテーマの専門家を呼んで、英語でプレゼン テーションをしてもらうのも面白いだろう。内容を重視した英語教育では、集中して 一つのテーマを学ぶことができるため、その分野に必要な単語に繰り返し触れるため、 単語の保持率も高くなる。また、学習者にテーマを選択させるという工夫をすれば、 学習者の動機づけを向上させることもできる。基礎スキルが身についたあとで、ぜひ とも導入したい教授法である。 (3) 英語で教える専門科目 英語で専門科目を教えるというのは、かなり敷居が高い。アメリカの大学に正規留 学するには、TOEFLITP テストで最低でも500点必要であるが、そのレベルは TOEIC で言えば550点以上であるから、大学生の平均からはかなり上のレベルということに なる。そのような中でも、英語で専門科目を教えるということは不可能ではない。大 学の環境もあるであろうが、たとえば、「地球環境」という授業があれば、それを前 期は日本語で学習し、後期は英語で学習するというようにすればよいだろう。一度日 本語で学んだ内容であれば、英語になっても内容は理解できるはずである。前期、後 期の展開が無理であれば、隔年で行ってもよいだろう。このような授業を総合大学で あれば、各学部で3~5科目ほど用意できれば、まずはスタートとして十分である。 これでうまくいけば、英語で行う科目数を増やしていけばよい。理想としては、日本 人学生が、海外からの留学生と一緒に専門科目を英語で学べる環境である。すでに実 践している大学もあるが、TOEIC のレベルが500点以下の学生が大多数を占める大学 においては、教師側の手間もかかるが、語彙レベルを優しくするなどの工夫をしなが ら、ゆっくり少しずつ進めていく必要がある。
3.これからの大学英語教育
これまで見てきたように2000年以降の大学英語教育は、英語をコミュニケーション ツールとして使うためのスキル教育と内容のあるものを英語で学ぶという2つの側 面が重視されている。特に英語スキルを測定する手段として TOEIC が全国の大学で 取り入れられ、授業科目にまでなっている現実がある。しかし、TOEIC の利用につい ては、十分注意しなければならない。たとえば、TOEIC を英語クラスのプレースメン トに使用している場合があるが、平均点が350点程度であるならば、プレースメント テストとしてはふさわしくない。TOEIC テストでは、易しい問題から難しい問題まで 散りばめられているが、平均点が350点であるならば、200点台も多数存在するわけで あるから、実際は TOEIC Bridge を使用した方が、下位者をより細かくプレースメントすることができる。逆の言い方をすれば、TOEIC を利用した場合、上位者はよいと しても、下位者のプレースメントがきちんとできない問題があるということである。 さらに言えば、2時間にものぼる試験を難しいと感じれば、途中であきらめてしまう 学生も少なからず存在し、プレースメントの意味がそもそもなくなってしまう。 TOEIC の平均点が400点に満たないのであれば、別のテストを利用する方が無難であ る。一方で、TOEIC の結果が英語の単位認定や就職に結びつくという道具的動機づけ に役立つという面も否定できない。TOEIC に限ったことではないが、英語資格テスト のために集中して勉強することは、将来の英語力の基礎を作ることには大いに役立つ。 その点においては、全学的に TOEIC を取り入れることは、決して悪いことではない。 要するに、各大学の現状に合った使い方をすることが肝心である。 英語スキル向上を目的とした教育は、すでに多くの大学で実施しているところであ るが、自分の意見を構築し、英語でプレゼンテーションをするという点は、これから の英語教育に欠かせない部分である。つたない英語でもよいから、とにかく英語で表 現してみるという経験は、貴重でありかつ重要である。本学では、学部横断的な英語 特別科目(SCAT)が5年前から始まり、週4回ネイティブスピーカーにより4技能 をバランスよく教えているが、SCAT を1年間履修した学生たちの最大の変化は、自 分の意見を述べようとする態度である。TESOL の訓練を受けた教師の授業は、インタ ラクティブであり、英語を使うのは学習者であるということが徹底されている。この 点は、日本人英語教師も見習わなければならない点である。 次に、2000年代に入って大学英語審議会答申の影響からか、英語で行う専門科目が 増えてきているということに注目したい。TOEIC の平均点が600点を超えるような大 学では、専門科目を英語で展開するのは、それほど難しいことではないかもしれない が、本学のように平均点が400点を割るような状況下では、そうたやすいことではな い。しかしながら、それでも英語で専門科目を教える価値は十分ある。それには先に 述べたように、日本語で教えたのち英語で教えるというような工夫が必要であろう。 大学によって実施の仕方は異なるではあろうが、英語の習熟度が高くない大学であっ ても、専門科目を英語で展開することは可能である。 最後に、大学英語教育の新展開に不可欠な FD について指摘しておきたい。大学の 英語カリキュラムは、この10年で大きく変化してきているが、個々の教室でどのよう に教えられているのかについて十分情報をもっている学部・学科は少ないであろう。 教員間で授業をどのように展開していくかについての FD が重要である。中鉢(2009) は、英語教員が FD でやるべきこととして以下のことを指摘している。 英語教育 FD 活動リスト 1 英語教育を担当する組織の明確化 2 授業コーディネーターの選出 3 英語教育の目的の明確化 4 達成目的の検証 5 授業観察 6 授業評価調査
7 教材の選定 8 非常勤講師への説明会 本学のような大規模な総合大学では、たくさんの非常勤講師がいるが、彼らを巻き 込んでの FD 活動は、英語教育をよりよいものにしていくためには、避けて通れない ものになっている。できれば、専門教科の教員にも英語教育 FD 活動について認知し てもらい、学部・学科をあげて英語教育を改善していきたいものである。
おわりに
本学は、「国際化」のキーワードの下に英語教育を重視しようと方向に動いている。 アジアを中心としながらも、留学生が今後も増えていく状況でもある。そのような中、 英語を学問の手段として使用とすることが、実際の問題として突きつけられている。 少子化の中、真の国際化されたキャンパスになれるかどうかは、今後の英語教育にか かっていると言っても過言ではないだろう。全キャンパスの英知を結集して、国際的 な大学にしていきたいと望む次第である。 【注】 1) 英語の授業のみで卒業できる学部の例: 国際教養大学 国際教養学部 東京基督教大学 神学部 上智大学 国際教養学部 早稲田大学 国際教養学部 立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部、アジア太平洋マネジメント学部 2) 平成16年、17年、18年の大学数はそれぞれ、709、726、744。 【引用文献】国際ビジネスコミュニケーション協会(2010)「TOEIC®テスト DATA & ANALYSIS 2010」
(http://www.TOEIC.or.jp/TOEIC/pdf/data/DAA2010.pdf) 坂本和一(2007)『大学のイノベーション』東信堂. 日米教育委員会(2011)「アメリカにおける留学生の統計、傾向」 (http://www.fulbright.jp/study/res/basic.html) 日本学生支援機構(2008)「平成19年度外国人留学生在籍状況調査結果」 (http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/documents/data07.pdf) 文部科学省(2002)「留学生交流関係施策の現状等について」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/007/gijiroku/030101/2-1.htm) 文部科学省(2006)「カリキュラム改革の実施状況」 (http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/06/08061617/001.htm) 中鉢惠一(2009)「FD と英語教育」『経営論集』第73号,東洋大学,pp.117-125 (2012年1月6日受理)