シンポジウム
イオン輸送と細胞機能
〔東女医大誌 第60巻 第2号頁 200∼210 平成2年2月〕培養滑膜細胞の興奮性とイオンチャネル
滋賀医科大学 第2生理学,*整形外科学, ムラヤマ コウイチ ナカタニ ヨシキ オハラ村山 公一・仲谷 吉記*・小原
**カ物学 アキ ト 明人** (受付 平成元年9月4日)Excitability and Ionic Channels in Bovine Synovial Lining Cells in Culture
Koichi MURAYAMA, Yoshiki NAKATANI*and Akito OHARA**
Department of Physiology,*Depart出ent of Orthopedic Surgery and**Department of Biology,
Shiga University of Medical Science
Using a patch−clamp, we studied the excitability and ionic channels of cultured synovial lining cells from the bovine metacarpophalangeal joint. Experiments on 4−to 5−day, short−term cultured cells from the hning layer containing both B−and A−cells showed that B−cells electrophysiologically differed from A−cells;the probable B−cells responding to electrical stimωation with action potentials,while the probable A−cells being inexcitable. Distribution of channels were also found different between the two. We further conducted the same experiments on 1−to 5−month clone−cultured cells, the cell type of
which was determined with TEM and SEM, and found that keeping up their respective charac−
teristics,B−and A−ceUs showed a tendency to resemble each other in their electrophysiological nature. These results make suggestions for discussing the interchangeability between B−and A−cells.
1.はじめに 滑膜は関節腔を取り囲む組織であり,特に,関 節腔に面したその最内層は滑膜表層(synovial lining layer)と呼ばれている.滑膜表層は,ピア ルロン酸やプロスタグランディン等の分泌を主体 としたB細胞(丘broblast−like celDと強い三食能 を有し,scavengerとしての働きを持つA細胞 (macrophage−like ce11)より成り(図1)1)∼3),巨 細胞の働きによって関節液の性状は維持されてい ると考えられる.このように,滑膜表層細胞は関 節機能の維持に関与する重要な細胞であり,特に, 慢性関節リウマチに深く係わっていることから, 整形外科の分野ではこの方面の研究が勢力的に行 われている。しかし,これまでのすべての研究は, 組織または培養系の細胞についての形態学的,生 化学的または免疫組織化学的方法によるものであ り3)∼5),電気生理的方法による研究は皆無である. 生理学以外の分野においてはその必要性が十分 に理解されていない嫌いがあるが,細胞の機能, 特に,細胞膜を介しての物質輸送,分泌,食作用 等を完全に理解するためには,細胞膜に起因する 電気生理的情報一膜電位変化,更にその発現の基 本的要素であるイオンチャネルの活動等一が必要 不可欠である.然るにこれまでは,技術的な問題 があって,小型細胞でのこの種の実験は非常に困 難であり,情報が得られなかった.しかし,近年, パッチクランプ法6)ηが開発されてから,この分野 の研究の様相は一変した.この方法は,かなり小 型の細胞にも適用することができ,特に,細胞培 養によって細胞表面をクリーニングし,培養器底 に付着した細胞に最も適している. 我・々は,この方法を用いて,これまで全く研究
Fibroblast・like cell(B cell)
畠
SECRETION
HyalurOnate(曾Radiation, Vitamin C;81nflammation, Cortiso[e)
Prostaglandirls(倉lnterleukin;Olndomethacin) Collagenase
Plasminogen activating factor Collagen?
Macrophage・like cell(A cell)
PHAGOCYTOSIS Debris Necrotic tissue etc. SECRETION lnterleukin ? 図1 ウシ滑膜表層細胞の透過型電子顕微鏡像(左)とその機能(右) 上段:B細胞(上:×2,500,下:上図の囲み部分の拡大,×7,500).G:ゴルジ装置, RER:粗面小胞体. 下段:A細胞(上:×2,000,下:上図の囲み部分の拡大,×4,800).V:二食胞. 右側:分泌物質の後の()内の要因は,分泌の促進(↑)および抑制(↓)を示す. されていなかった滑膜表層細胞膜の電気生理的特 性,すなわち,細胞の興奮性や膜のイナン透過性, 更に,イオンチャネルの性質等を明らかにするこ とを試みた.この研究の第1の目的は,もし滑膜 表層が形態的に確認されるようなB型とA型の 2種類の細胞より成るとすると,両者の間にはど のような電気生理的特性の差異が認められるの か,第2はこれらの細胞の主な機能,すなわち, 分泌および貧食に関係した細胞の刺激一反応機構 の問題,第3はその結果としての関節液の調節機 構,そして最終目標としては,慢性関節リウマチ においては以上のパラメータにどのような病変が 生じるのか,を解明することである. 本小論文においては,その第1ステップの入口 の部分を紹介したい. 2.パッチクランプで何が見えるか? パッチクランプ法は,始めは1個のチャネルを 流れるイオン電流を記録し,チャネルの活動の様 子を目のあたりに見ようという試みの基に開発さ れた技術である.それ故,「パッチクランプ」=「単 一チャネル記録」のように使われることもあるが, その後色々な試みがなされ,現在では種々のvari・ ation(mode/co㎡iguration)での実験ができるよ うになった. 種々の電解質溶液を封入した先端直径1∼数 μmのガラス製パッチ電極を細胞表面に接触さ せ,電極内を陰圧にすることによって軽く吸引す ると,電極先端のrimと細胞表面は分子レベルで 結合し,GΩのシールができ,電極先端開口部の細 胞膜(膜パッチ)は外液から電気的に絶縁された 状態になる.この状態で,パッチ電極内の電位を 任意にコントロールすることによって,膜パッチ を電位固定し,そのパッチ内に存在するチャネル の開口に伴って流れるイオン電流を記録するの が,パッチクランプ法による単一チャネル記録と 呼ばれるものである.このように,intactな細胞の 表面にパッチを作って単一チャネル電流を記録す る方法をce11・attachedまたはon−cell modeの単 一チャネル記録と呼ばれている.次に,on・cell パッチができた後,パッチ電極を注意深く細胞か ら引き離すと,膜内面が外側を向いたパッチがで き,この状態で単一チャネル電流を記録できる.
この膜パッチの状態をcell−free, inside−out lnode と呼び,細胞内条件を変える実験に適したmode である. On−cell modeにおいて,パッチ電極内にパルス 状の吸引を加えるとか,膜パッチに強いパルス電 圧を印加することによってシール抵抗を下げずに パッチ膜を破ることができる.この状態は,正に 微小電極を細胞に刺入したと同じ状態であり, whole−cell modeと呼ばれる.この状態で,パッチ ァソプの操作により,current−clampとvoltage− clampの実験がで.きる.前者のwhole−ce11, current−clamp modeでは,細胞の静止膜電位お よび通電刺激に対する膜電位変化を記録すること ができる.後者のwhole−cell, voltage−clamp modeでは, conventionalな細胞全体の膜電位固 定ができる.このmodeで得られる膜電流を,単 一チャネル電流と区別するために,マクロ電流と 呼ぶことがある. 最後に,whole−cell modeの状態でパッチ電極 を細胞から引き離すと,細胞膜の外面が外側に向 いた膜パッチができる.このパッチをce11−free, outside−out patchと呼ぶ.特にこのパッチは膜外 面が外液に面しているので,レセプター・チャネ ル等の単一チャネル電流の研究に適している. 3.慢性関節リウマチ患者由来の膝関節 滑膜細胞でのpreliminary trial. 最初,我々は慢性関節リウマチ患者の膝関節滑 膜細胞を培養し,パッチクランプの実験を試みて みた8)9).その理由は,滑膜細胞の研究の多くはこ の材料を用いているので,少なくとも滑膜細胞の 培養に関しては参考になるであろうと考えたから である. 滑膜組織は,手術の際に慢性関節リウマチ患者 膝関節より採取し,できるだけその表層部を選ん で切り出し,細切し,トリプシン処理した後,20% ウシ胎児血清を含むMEMで培養した.培養初期 には,large round cell(LRC)とsmall round cell
(SRC)が多く見られた.培養日数の経過ととも
に,LRCはstellate cell(SC)かまたはfibroblast− 1ike cell(FBC)に変化し,一方, SRCはmacro− phage様の形態を経て, bipolar cell(BPC)へと
変化した.この初代培養において認められた細胞 像は,基本的にBakerら1。)の結果に一致してい た. 所詮,位相差顕微鏡による観察のみでは正確な 細胞の同定は不可能であるが,一応LRC, SCおよ
びFBCはB細胞,一方SRCおよびBPCはA細
胞であろうと判断し,パッチクランプを試みてみ た.LRCにおいては静止膜電位が約一45mVで, 単一チャネルコンダクタンス(γ)=33pSのCr選 択性チャネルを,また,BPCにおいてはγ=29pS の(多分nonspeci丘。 cation)チャネルを確認した. さらに,SCでは機械的刺激(パッチ膜の伸展)に 対して開口頻度が増大するチャネルが認められ た.このチャネルは関節運動と密接に関係してい るのではないかと考えられ,非常に興味のもたれ るチャネルである. 以上のようなpreliminaryな実験から,滑膜細 胞は,深い静止膜電位を示し,活発に活動してい る興味あるチャネルを有する細胞であることが明 らかになった.しかし,これまで用いてきた慢性 関節リウマチ患者の滑膜細胞は本来病的な細胞で あること,材料の入手が難しいこと,更に,一番 重要なことであるが,正常滑膜細胞のデータがど うしても必要であるということから,実験材料を 健常なウシの滑膜細胞に切り換えた. 4.培養ウシ滑膜表層細胞での実験u) 我々も含めこれまで報告されているすべての滑 膜細胞の培養は,必ずしも滑膜のlining Iayerの みを分離して培養したものではなく,sublining layer由来の細胞がかなり混入していると考えら れる.そこで我々は,培養系をできるだけ純粋に するために,1ining layerのみを分離し,培養する ことに最大限の努力を払った. a)滑膜lining layerの分離・培養 ウシ中手指節間関節より滑膜組織を切り出し, collagenase(Worthington, type 2,5mg/mD, 37℃で1時間処理した後,実体顕微鏡下でピン セットを用い滑膜表層を撫でるようにして1ininglayerを掻き採り,前記同様のMEM培養液で培
養した.培養3日目ではまだ細胞種の判定はでき ないが,培養4日目になると細胞は完全に培養器図2 培養3日目(A)および4日目(B)のウシ滑膜表層細胞の位相差顕微鏡写真 滑膜lining Iayerのみを分離し,培養した. FBC:Fibroblast−1ike ce11=B細胞,
MPC:Macrophage・like ce11=A細胞. 底に付着・伸展し,特徴的な形態を示す(図2). この培養下の細胞構成は非常に単純であり,分裂 の段階によってはどちらの細胞とも判定できない 場合もあるが,明確な形態を示すstageの細胞よ り判断すると,丘broblast様細胞(図2B, FBC) とmacrophage様細胞(図2B, MPC)の2種類 の細胞より成ることが解る.前者はB細胞,後者 はA細胞と考えられる.我々は,この方法で,ほ ぼ純粋なlining layerのみの細胞のclusterを得 ることができると考えている. b)電気生理的特性 これらの細胞にパッチクランプを行い電気生理 的特性をみると,B・A細胞は明らかに異なった性 質を示した.Whole・cell modeのcurrent・clamp によると,B細胞は,静止膜電位が三一40mVで, 強い通電刺激に対してregenerativeな活動電位 を発生するが(図3A), A細胞は,静止膜電位が 約一23mVで,電気的興奮性を示さなかった(図3 C).形態的にB・A型どちらとも判定できない細 胞(仮にここでは中間型と呼ぶ)は,静止電位が 約一17mVと浅く,通電刺激に対し電気緊張電位 のプラトー上にrippleが生ずるB細胞とA細胞 の中間的な反応を示した(図3B). Whole・ce11 modeの膜電位固定の結果は, B細 胞に比しAおよび中間型の細胞は脱分極クラン プパルスに対して開口するK+チャネルの密度が 高いことを示している(図4).この実験条件では 活動電位の発生に関与する内向き電流は見えない A ね 。v鴛 認 帆。
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一 BゴL⊥
100m8 図3∫
051183’12 α51288,17 100m8 C」L
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100ms ウシ滑膜表層細胞の興奮性Whole−ce11, current−clamp modeにおける通電刺激 (下のトレース)に対する膜電位変化(上のトレース). A:B細胞,B:形態的にA・Bどちらとも判然としな い細胞(中間型),C:A細胞. パッチ電極液の組成:(mM)125 KCl,30 KOH,4 MgC12,2CaC12,10 EGTA,5HEPES−KOH, pH= 7.15.外液:Hanks液.以下の実験すべてに共通. ので確定的なことは言えないが,この脱分極に よって開口するK+チャネルの密度が高いという ことが,Aおよび中間型の細胞は活動電位を発生 しにくい,ということに対する理由の1つではな いかと考えられる.また,on−cell modeの単一 チャ子ル記録によると,B細胞においては静止膜 電位レベルで開口頻度の高い200・pSK+チャネル がよく記録されるが(図5),Aおよび中間型の細 胞においてはこの種のチャネルはあまり記録され なかった.この結果は,一般にB細胞の静止膜電 位は深く,Aおよび中間型の細胞のそれは浅いの は,主にこのK+チャネルが静止膜電位の発生に 寄与しているためであろう,ということを示唆し ている.
B細胞において,慢性関節リウマチ患者由来の steUate cellで見つかったのと同様の機械的刺激 によって開口頻度が著明に増大する(多分K+?) チャネル(γ=250pS)が確認された(図6).こ のチャネルは,相当強い刺激(suction,一1∼一2 mH20)を与えないと開口頻度の増加はみられな いが,刺激の強さに応じて開口頻度は増大し(図6, A72 mV 」田・一・
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ヒ 図4 ウシ培養滑膜表層細胞におけるwhole−ce11, voltage−clamp下での膜電流記録の例 A:B細胞,B:形態的にA・Bどちらとも判然とし ない細胞,C:A細胞. 各トレースに付加した数値(mV)は,クラソプパル ス中の膜電位を示す.膜電流:上向きの振れば,外 向き(細胞内から細胞外への)電流を示す.なめら かなトレース.しに重畳:しているスパイクまたは矩形 波状の電流は単一チャネル電流である.り一ク電流 は補正していない. suction−increased),一旦開口し始めると刺激 中止後も開口し続け(図6,suction−off),過分極 によって開口頻度は低下するという特性をもつ. 関節運動と関係して細胞の興奮性を調節している チャネルではないかと考えている. 以上述べたように,滑膜表層には形態的にBお よびA型の2種類の細胞が存在し,これらの細胞 は明らかに各々の形態に対応した電気生理的特性 の差異を示す. 5.ウシ滑膜表層細胞のクローン培養12)13) 次の課題は,電気生理的性質の違いがB・A細 胞の個々の機能発現にどのように関係しているの かを明らかにすることであるが,ここで一番問題 になるのは細胞種の確定である.もともと,滑膜細胞におけるB・A細胞の同定は透過型電顕に
よって行われたものである1).それ故,細胞種の同 定は,origina1な定義に従うためには,今のとこ ろ,透過型電顕による方法しかない.しかし,パッ チクランプを行った細胞を,実験後に,透過型電 顕で同定することは不可能である.そこで我々は, この問題を解決する唯一の手段として,培養細胞 のクローン化を試みた. a)クローニングの方法 前記のB・A細胞混合の培養の場合と同様に, ウシ中手指節問関節の滑膜組織をcollagenaseA
Vp(mV)一60肺囎一蝋
B 一40一20綿一
。醐m㎜卿m馴糊㎜欄
20㎜m㎜m胴醐卿
051188!↑2 _」10pA 500ms 図5 B細胞でよく記録される200−pSK+チャネル A:種々の膜電位(Em)における単一チャネル電流の記録.個々の棒状の振れば,そ れぞれ1個のチャネルの開口を反映する.電流の下向きの振れば,内向き電流を示す, Vp:パッチ電極の電位. Em=E,e、t−V,. E,e、tは実験中の細胞の静止膜電位を示す. B:単一チャネル電流の大きさをVpに対してプロットしたグラフ(電流一電圧関 係).直線の勾配は単一チャネル・コンダクタンス(γ=200pS)を示す. 4F 1(pA) 20 σ 一20 一40 一6 Vp(mV) 一4 o 一8 一12A B Suction−on Suction−increased l l ロ セめロ がず 1 」・凶 051288’13 2s 図6 B細胞で記録された機械的刺激によって開口頻度の増大する(多分K+)チャネ ノレ A:単一チャネル電流記録.機械的刺激として,パッチ電極内に陰圧(suction・ on,一1∼一2mH20)を加えた.上段と下段は連続した記録.下向きの振れば,内向 き電流.Suction−onの後半からsuction−increased以降,最大3個のチャネルが開口 しているのが見られる. B:Aで示したチャネルの単一チャネル電流一電圧関係.γ;250pS, 12 o 1(pA) 6 o }20 60 40 20 0 一40 一60 一80 Vp(mV) 一6 一12 一18 (Worthlngton, type 2,5mg/m1)37℃で約1時間 処理し,1ining layerの細胞を露出させる(図7, 1∼2).このように処理した滑膜組織を実体顕微 鏡下に置き,先端が非常に鋭利なピンセットで滑 膜の表層を撫でるようにして1ining layerのみを 採取し,次にその細胞をばらばらにし,4∼5個 ずつの細胞をsitting drop法で培養する(図7, 3∼4).培養液は,20%ウシ胎児血清を含む MEMを用いた.1∼2日後,細胞が培養シャーレ の底に付着したところで,1個の細胞を残し,他 のすべての細胞を針で潰す.次に,培養液のcondi・ tioning用feeder細胞として,前記同様の方法で 掻き集めた滑膜表層細胞をMillicell(Millipore 社)に入れ,それを1個の細胞を残した培養シャー レに入れ,最後に培養液を追加する(図7,6). 図7,d1∼d4に示すごとく,1個の細胞は,2個, 4個と分裂し,約2週間ぐらいでほぼconnuent になる.Doubling・timeは約14∼18時間であった. 培養液の交換は3∼4日毎に行い,feedとr細胞は 約3週間入れておいた.クローン化が確立したと ころで,継代培養で細胞を増やし,透過型(TEM) および走査型電顕(SEM)によって細胞種を同定 した後,パッチクランプの実験に用いた.
b)クローン化細胞のTEMおよびSEM像
TEM像より,クローンは,粗面小胞体(RER) およびゴルジ装置の顕著な細胞より成るクローン 12ヨ
↓ Capsule Synovium慰
贈、 騨 鞠 灘 b Collagenase,5mg!ml ・“. (Worthington n) 37℃, 1hr. {・善
Scratch upsynovial lining celgS with forceps.
4[玉=]
↓5[≡==]
Sitting。drop culture of several celIS. 1∼2days.Crush the ce圃s, IeaVing a Single Cell.
C ’懲 N‘. 8 6 Millice闘
圏
MEM,20%FBS. foed8r c611s団団圏圏籔
0 2days 2,5days 14days
図7 ウシ滑膜表層細胞のクローニングの手順 a,b, cは,各々左側の流れ図1,2,4に対応する走
査型電顕像.d1からd4は1個の細胞(d1)が2個(d2), 4個(d3)と分裂し, conβuentになり(d4),クロー ンが形成される様子を示す位相差顕微鏡像.
薮1 湾
雛
,腕㌦襲
Co養、論
欝簸・
灘継1灘
図8 クローン化ウシ滑膜表層細胞の走査型(A,D)および透過型電顕像(B, Cおよ びE,F)A,BおよびC:B細胞. C:Bの囲みの部分の拡大. RER:粗面小胞体, Co1:コラー ゲン線維,A:×1,400, B:×4,100, C:×12,400. D,EおよびF:A細胞. F:Eの囲みの部分の拡大, V:貧食胞. D:×750, E:×3β00,F:×12,200. (図8B, C)と多くの貧食胞が見られる細胞より成 るクローン(図8E, F)に分けられる.定義に従っ て,前者をB細胞,後者をA細胞と同定した.B クローンにおいては顕著なコラーゲン線維の像が 認められる.また,SEMで細胞表面を観察する と,B細胞の表面は比較的滑らかであるが, A細 胞では微絨毛の発達が顕著である(図8AとD). この特徴がB・A細胞の判定基準に使えるか否か は今のところ確定的ではない.クローン化の成功 率および確立したクローンのB・A型の割合を表 1に示す. c)クローン化細胞でのパッチクランプの実験 クローンが確立してから,電顕用とパッチクラ 表1 Cloningのまとめ Tria1 Success Cell type
46 9 Bcell `celI @ ? 531 ンプ用のための十分な数の細胞を得るには,最低 1ヵ月はかかる.そのため,クローン化細胞での パッチクランプの実験は,1∼5ヵ月の長期間培 養のクローンで行った結果である. 結論として言えることは,B・A細胞混合の短期 培養においてはBおよびA細胞間には明瞭な電 気生理的性質の違いが認められたにもかかわら
表2 チャネルタイプとその分布 Cell type Channel type Bcell Acel1 170∼250−SK+一channels a.Open at Eres,a, aD b ● пDClosed at E.es,, W−SK+一channe1 Depol,↑→b, Hyperpol. cepo1.↓ uoltage−independent cepo1.↑b ↓b 柵十升十 十十十十
e.Open at Ere、t, Voltage−independent? 升 升
aOpen/cloSed at E,。stをよ,個々の細胞の静止膜電位レベルにおいて問題にしている チャネルが開口しているか,していないかを示す. b↑,↓および↑→は膜電位レベルによるチャネルの開口率の変化(↑:増大する, ↓:減少する,↑→:増大または変化しない)を示す. Vp(mV) A −80
㎜㎜町〔冊一
一60 一2q む輔w榊脚www脚
む1料mmm叩
60 05sr↑幽幽
A: 流, B: 10 B 1 (pA) 5 Vp(mV) 60 40 20 一20 −40−60 一80 −10 ■ 9 一5 司0 一15 一20 021了39〆 一25 図9 クローン化B細胞における224pSおよび8・pS K+チャネル 種々の膜電位における単一チャネル電流の記録.On℃ell mode,下向き:内向きF電 単一チャネル電流一電圧関係.○:224−pSK+チャネル,△:8−pSK+チャネル. ず,長期培養のクローンでは,B細胞とA細胞は 個々の固有の特徴を維持しつつ互いに性質が似て くる傾向を示す,ということである. その第1は,B細胞は興奮性を失い, regenera− tiveな活動電位を発生しなくなった.相当強い刺 激を与えても,B・A細胞混合の短期培養中間型の 細胞で見られたような,ripple様の膜電位変化を 生ずるのみであった.第2は,whole−cell modeの 膜電位固定下で記録される脱分極パルスによって 開口するK+チャネル(表2,dのチャネル)がク ローン化B細胞で増加したことである.4−b)で議 論したと同様に,この膜電位依存性K+チャネル の数の増加がクローン化B細胞における活動電 位の発生を困難にしているのかもしれない. 第3に,単一チャネル記録で検討したチャネル タイプおよびその分布密度についても同様の傾向 が認められた,現在まで,我々は培養滑膜表層細 胞において170∼250−pSの4種類のK+チャネル と8−pSのK+チャネルを確認している(表2). a, b,cおよびeのチャネルは,いずれも静止膜電位A 製).2。 o 」25pA 20s
雌。。r⊥_一一・忍凸⊥
一’争
B 1 5 ipA) Em(mV) 40 一20 20 40 60 80 一5 一10 一15 031589 一20 図10 クローン化B細胞における脱分極によって開口頻度が減少する118−pSK+チャ ネル A:種々の膜電位(下)における単一チャネル電流の記録(上).Inside−out mode, 下向き:内向き電流 B:Aの電流一電圧関係. レベルでよく開口しているチャネルで,aは脱分 極で一般に開口頻度が増大し,過分極で減少する タイプ(図9A中の大きいチャネル,および図9B 中の○),bは脱分極で開口頻度が減少する珍しい チャネル(図10),cは膜電位に依存せず,広い膜 電位レンジで常に開口しているタイプ(図11),e はa,bおよび。のチャネルの開口に隠れて見え にくいが,過分極によってこれらのチャネルの開 口頻度が減少した時によく観察されるチャネルで ある(図9A, Vp=20と60mVで見える小さいチャ ネル,および図9B中の△).それ故,このチャネ ルの膜電位依存性はよく解っていない.dは静止 膜電位レベルで殆ど閉じており,脱分極によって 開口頻度の増大するチャネルである(図12).この チャネルは,前記のwhole−cell modeの膜電位固 定において見られた脱分極パルスによって開口す るチャネルと同一のチャネルである.表2はクロー.ン化BおよびA細胞における
チャネルの分布の傾向をまとめたものである.元 来,aと。のチャネルは, B。A細胞混合短期培養 においては特にB細胞に高頻度で見られるチャ ネルであったが,長期培養したクローンでは,そ の分布密度は低いが,A細胞でもかなりの頻度で A Vp(mV)、_脚一一
一60 −40 一20 む 40 i1。pA三綱卿叩㎎岬冊㎜
B 5 P(pA) 40 20 一20 一40 一60 一80 Vp(mV) 一5 一10 司5 112488’7 一20 O.5$ 図11膜電位非依存性の230・pSK+チャネルの単一 チャネル電流記録(A)とその電流一電圧関係のグラ フ(B) B細胞よりの記録.On−cell mode.電流記録のすべ てのトレースにおいて,2個のチャネルが開口して いるのが認められる.A Em(mV) _」25pA 20 30 40 50 60 B 1(,λ1 …0 5 030曾59’a 一60 −40 −20 0 20 40 60 Em(mV) 図12 脱分極によって開口頻度が増大する170・pSK+チャネルの単一チャネル電流記 録(A)と電流一電圧関係(B)
A細胞よりの記録.Outside−out mode,電流の上向きは外向き電流. Em=60mVに おいては,7個のチャネルが開口している。 記録されるようになった.一方,dのチャネルは, 混合短期培養においては特にA細胞に多いので あるが,クローン化し,長期間培養すると,B細 胞にも増えてくる傾向を示す.eのチャネルは,培 養条件および培養期問に関係なく,BおよびA両 細胞でよく記録される. このように,クローン化長期培養によって細胞 の性質が変化するとはいえ,同一クローン内の細 胞は同じ電気生理的性質を示すことは,今後の滑 膜表層細胞の研究における有用なモデルとなりう ると考えられる. 6。考察とまとめ 滑膜表層細胞は,Graabaek2)が主張するよう に,B細胞およびA細胞と呼ばれる2種類の別個 の細胞のみより成るのか,それとも,Barlandら1) が示唆するように,B・A細胞に加え中間型の細胞 が有り,B・A細砲間はinterchangeableなのか, 形態学的結果のみによって結論を下すのは困難な ようである. これに対し,我々のパッチクランプの実験結果 から言えることは,1)少なくともB・A細胞混合 の4∼5日の短期培養においては,明らかに形態 的に確認できるB・A細胞間には明瞭な電気生理 的特性の差異が認められる,2)短期培養において も,B・Aどちらとも判別し難い細胞においては B・A細胞の中間的な電気生理的性質を示す,3) クローン化し,長期培養した場合は,TEM像は B・Aどちらかの細胞の特徴を保持しているので, 細胞の同定はできるのであるが,電気生理的には, 各々の固有の特徴を維持しながらも互いに性質が 似てくる傾向を示す,ということである.これら の結果は,Barlandら1)の考えを支持しているよ うにも思えるが,長期培養下のクローン細胞に見 られる性質変化の機構を解明するまでは結論は出 せない. そもそも,滑膜の組織標本においては滑膜表層 細胞の分裂像はあまり観察されないことから,滑 膜表層細胞は生体中ではあまり活発に分裂し, turnoverしている細胞とは思われない.しかし, 一且培養系に移すと非常に活発に分裂・増殖する 細胞である.関節腔中では何かが滑膜表層細胞の 分裂を抑制しているのであろうか? 同様のこ とが,滑膜表層細胞のクローン化においても考えら れる.長期培養のクローン化細胞にみられた電気 生理的性質の変化は,1)クローン化することによ
りA細胞がB細胞に,逆にB細胞がA細胞に何
か分泌物質を介して与えていた影響が失われたこ とに起因するのか,それとも,2)培養期間が問題 なのか,今のところよく解らない.しかし,我々 は,B・A細胞混合培養での予備的実験において, 電気生理的性質が細胞を培養し始めた直後から 時々刻々に変化することを観ている.滑膜表層細 胞は,B・A細胞が混在していても,培養下におい て特に変化し易い細胞なのかもしれない,現時点 では,1),2)両方の要因が関係しているのでは ないか,と考えている. 最後に,これまで述べてきたチャネルの密度の 増加・減少ということに関し少し考察したい.パッ チクランプでチャネルをsurveyしている時,あ る特定のチャネルをhitする頻度が高い時に,こ のチャネルの分布密度は高いと言う,しかし,こ の判断は非常に危険である.我々が見ているのは, ある条件で活動しうるチャネルの開閉を見ている だけで,実際にチャネルが存在してもその条件で は活動し得ないチャネルは見えないのである.滑 膜表層細胞におけるチャネルの分布密度の増加・ 減少の実体はどうなのか? チャネル数が実際に 変化した結果なのか,それともチャネルの数はそ のままで,チャネルの活動性に影響を与える細胞 内環境が変化したために,見掛け上チャネル密度 が変化したように見えるのか? 以前は,実際に チャネルの数が増加・減少するのであろうと考え ていたが,最近のon−cellパッチとcelLfree, inside−outパッチの実験結果によると,実際に チャネルが新生されたり,消失したりしているの ではなく,細胞内環境が変化したことによって チャネルの活性が変化し,見掛け上チャネルの密 度が変化しているように見える場合が多いように 思われる. 文 献
1)Barland P, Noviko仔 AB, Hamerman D:
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2)Graabaek PM= Ultrastructural evidence for two distinct type of synoviocytes in rat synovial membrane. J Ultastruct Res 78:
321−339, 1982
3)Fox RI,工otz M, Carson DA:Structure and
function of synoviocytes,勉 Arthritis and
Allied ConditiQns(McCarty DJ ed),11th ed, pp273−288, Lea&Febiger, Philadelphia(1989)
4)京極方久:免疫病の病理一Analytical Im− munopathologyの試み一.日本リウマチ学会30
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6)Neher E, Sakmann B:Single channel cur− rents recorded from membrane of denervated
frog muscle fibres. N ature 260:799−802,1976 7)Sakmann B, Neher E:Single−Channel
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(1983)
8)仲谷吉田,福田眞輔,西岡淳一ほか:慢性関節リ ウマチ患者の膝関節滑膜細胞のイオン透過性.日
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9)Nakatani Y, Murayama K, Ohara A et al: Ionic channels in synovial cells from the knee joint of rheumatoid synovitis. J physiol Soc
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10)Baker DG, Dayer J・M, Roelke M et al:
Rheumatoid synovial cell morphologic changes
induced by a rnononuclear cell factor in cul− ture. Arthritis Rheum 26:8−14,1983
11)仲谷吉記,村山公一,小原明人ほか:牛滑膜細胞 のイオン透過性.日整会誌 62:S698,1988 12)仲谷吉記,村山公一,小原明人:ウシ関節滑膜表 層細胞の興奮性とイオンチャネル.第66回日本生 理学会大会(岡山)予稿集,p116,1989 13)仲谷年記,村山公一,小原明人ほか:パッチクラ ンプ法によるクローン化滑膜表層細胞の電気生理 的特性.日整会誌 63:S976,1989