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米国租税法における非上場株式の評価について── Gallagher 事件を題材として── 利用統計を見る

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米国租税法における非上場株式の評価について──

Gallagher 事件を題材として──

著者

吉田 貴明

著者別名

YOSHIDA Takaaki

雑誌名

東洋大学大学院紀要

50

ページ

11-27

発行年

2014-03-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006568/

(2)

米国租税法における非上場株式の評価について

── Gallagher 事件を題材として──

法学研究科公法学専攻博士前期課程 2 年

吉田 貴明

Ⅰ はじめに

 我が国の相続税法は、相続により取得した株式について、時価によって評価する旨を規定 している。しかし、同法は時価の意義について何ら定義しておらず、その解釈はもっぱら財 産評価基本通達1)(以下、「評価通達」という。)に委ねられている。そして、税務実務上は、 評価通達の一般的合理性を根拠として、これに準拠した評価方式のみが認められているとこ ろである2)  他方、米国租税法は、遺産は公正市場価値によって評価する旨を規定しており、また、評 価に際して考慮すべき要因を定めている。ここに、具体的な評価方法の定めはなく、納税者、 課税庁又は裁判所によって、評価対象会社の実態に即した評価が行われている。  筆者は、我が国の相続税法においても、評価通達による画一的な評価を行うのではなく、 評価対象会社の個別的事情を反映した評価が行われるべきであると考える。そこで、本稿は、 米国において、非上場株式の評価額が争われた Gallagher 事件を具体的に考察し、我が国に おける非上場株式の評価において、米国的手法が適用できるかどうかを検討するものである。

Ⅱ Gallagher 事件

 Gallagher 事件3)は、米国における非上場株式の評価をめぐる訴訟である。本件裁判所は、

「類似上場会社法」4)は適正な評価方法ではなく、「Discounted Cash Flow 法」5)により評

価を行うべきであることを妥当とした。以下、事件の概要、判決の要旨を概観する。

一 事実の概要

 2004 年 7 月 5 日(以下、「相続開始日」という。)に死亡した被相続人 Louise Paxton Gallagher の遺産には、Paxton Media Group, LLC(以下、「PMG 社」という。)が発行する 株式(以下、「本件株式」という。)3,970 株が含まれていた。相続開始日において、被相続

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人は、PMG 社の発行済株式数 2 万 6,439 株のうち、約 15%を有する筆頭株主であった。  2005 年 9 月 30 日、遺産代理人である原告は、当該遺産について、連邦遺産税の申告書を 提出した6)。原告は、相続開始日における本件株式の公正市場価格(Fair Market Value.)は、

3,493 万 6,000 ドル又は 1 株当たり 8,800 ドルであると申告している。これは、PMG 社の代 表取締役である David Michael Paxton が株主に向けて送付した、2004 年 7 月 12 日付株式 鑑定評価に基づくものであった。

 ところが、被告である Internal Revenue Service(内国歳入庁。以下、「IRS」という。)は、 2008 年 6 月 6 日、相続開始日における当該株式の価額は、4,950 万ドルであるとして、追徴 税額通知書を発した。

 原告は、被告事務所への不服申立てを経て、追徴税額の取消しを求め、本訴に及んだ。

二 前提事実

1 PMG 社について

 PMG 社は、1896 年、Kentucky 州 Paducah 市において、W.F.Paxton が創立した新聞出 版業を営む非公開同族会社である。同社は当初、新聞 1 紙のみを刊行していたが、相続開始 日現在においては、日刊紙ほか多数の紙媒体メディアを刊行し、また、テレビ局を所有・運 営するまでに成長していた。 2 本件株式に係る評価額について  本件訴訟が開始する前に、原告は、鑑定人 Richard C. May に本件株式の評価を依頼した。 May は、相続開始日における本件株式の価額を、2,820 万ドルであると評価した。

 他方、被告は、Klaris, Thomson & Schroeder, Inc. に本件株式の評価を依頼した。同社の 取締役である Thomson は、相続開始日における本件株式の価額を、追徴税額通知書よりも 低額である 4,086 万 3,000 ドルであると評価した。

三 争点及び当事者の主張

 本件の争点はいくつかあるが、本稿では、本件株式について、どのような評価方法を適用 すべきかを検討する。 1 原告の主張  類似上場会社法を適用する前提となるべき PMG 社に類似した会社は存在しないため、評 価方法として類似上場会社法を適用することは妥当でない。

 したがって、類似上場会社法ではなく、Discounted Cash Flow 法(以下、「DCF 法」と いう。)を適用し、本件株式の評価額を算定すべきである。

2 被告の主張

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価時点における評価対象会社固有の事業リスク及び財務リスクを反映する評価方法である。  したがって、標本会社 4 社を基礎とした類似上場会社法及び DCF 法による評価額を平均 し、本件株式の評価額を算定すべきである。

四 判決の要旨

〔1〕裁判所は、類似上場会社法は適正な評価方法ではないため、DCF 法により評価を行う べきであると判示した。  まず、標本会社の類似性について、次のとおり判示した。「規模について、2004 年 6 月現在、 PMG 社の総資産及び収益は、標本会社 4 社のいずれよりも小さかった。標本会社 4 社の中 間値と比して、PMG 社の収益は約 3 分の 1(5 億 5,730 万ドルに対して 1 億 6,360 万ドル)、 総資産は約 4 分の 1(13 億 6,820 万ドルに対して 3 億 5,300 万ドル)である。また、製品に ついて、PMG 社は、主に日刊・週刊新聞を発行しており、いくつかの専門出版物をも刊行 していた。対照的に、標本会社である Lee Enterprises 社と Pulitzer 社は、多様な広告、専門、 顧客、ニッチ分野の出版事業によって、日刊・週刊紙事業を補完していた。さらに、標本会 社のうち 3 社は、インターネット・ニュースをそのビジネス・モデルに統合させていた。ま た、The Journal Register 社は、インターネット戦略を通じての事業拡大を企図して、152 のニュース・ウェブサイトを運営していた。一方、Lee Enterprises 社と Pulitzer 社は、オ ンラインサービスと連携・統合して新聞を刊行していた。しかし、PMG 社の事業計画には、 インターネットの要素は含まれてなかった。」  すなわち、企業規模及びプロダクト・ミックスの観点から、評価対象会社と標本会社 3 社 との相違は大きく、類似性は乏しいと判示したのである。 〔2〕次に、類似上場会社法に対し DCF 法を適用すべきに至る過程につき、次のとおり判示 した。「当該標本会社 4 社のみでは、類似上場会社法において適用できる程度に、PMG 社に 類似しているとは認められないため、被告側鑑定人である Thomson が類似上場会社法を適 用したことは、適当でないと解する。本件が参照すべき事例として、次の 2 件が挙げられる。 Hall 事件において裁判所は、納税者側の専門家が、標本会社 6 社を『合理的に選択した』と 認められる旨を判示した。これらの標本会社は、評価対象会社と類似の事業を営んでおり、 また、業界において類似した地位を占めている。また、Zaiger 事件において裁判所は、IRS 側の専門家が適用した標本会社は、プロダクト・ミックス及び事業規模において評価対象会 社と異なるため、適切ではないと認められる旨を判示した。本件における標本会社のうちの 1 社である McClatchy 社は、PMG 社に対して十分な類似性を有していると思われる。しかし、 Hall 事件において判示されたとおり、単一の標本会社では、類似上場会社法の基礎として不 十分である。」したがって、「Heck 事件で判示されたとおり、PMG 社に類似する上場会社 が存在しないとき、DCF 法は、株式を評価する最も適正な方法である。」と認められる7)

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Ⅲ 評 釈

一 非上場株式に係る評価方法

1 米国における非上場株式の評価に係る法令等  米国連邦遺産税において、財産の評価は、原則として公正市場価値によるものとしている8) 26 CFR Tresury Regulations(以下、「レギュレーション」という。)第 20.2031-1 条第 b 項は、 「総遺産に含まれる個々の資産の価値は、原則として、被相続人の死亡時における公正市場 価値とする。〔中略〕公正市場価値とは、自発的買主と自発的売主との間における財産の譲 渡価格であって、売買にいかなる強制もなく、かつ、両者が関連する事実について合理的な 知識を有する場合に成立するものをいう。」と規定している。

 非上場株式の評価について、26 U.S.Code Internal Revenue Code(内国歳入法典。以下、 「IRC」という。)第 2031 条第 b 項は、「証券取引所に上場されておらず、仲値又は売値に比 準して評価することができない場合には、会社の株式及び証券は、他のすべての要因に加え て、同一又は類似業種である上場会社の株式又は証券の価値を考慮して評価しなければなら ない。」と規定している。  また、レギュレーション第 20.2031-2 条第 f 項は、次のとおり規定している。 「売買実例価格及び実際仲値がないため、本条第 b 項、第 c 項及び第 d 項の規定を適用す ることができないときは、公正市場価値は、以下の要因を考慮して評価する。   〔中略〕 (2) 株式の場合、会社の純資産、将来の収益獲得能力、配当支払能力及び他の関連す る要因。 本項(1)及び(2)における『他の関連する要因』とは、例えば、事業に係るのれん、 当該業種の経済展望、業界における地位とその経営、当該株式の数によって示される事 業支配力の程度、及び業種が同一又は類似する上場会社の証券の価値をいう。しかし、 そのような類似性や、評価において考慮した他の立証可能な要因の重要性は、各事例の 事実に依存する。上述の関連する要因に加えて、非事業用資産(会社に支払われるべき 生命保険契約の収益を含む。)も考慮しなければならない(純資産、将来の収益獲得能 力及び配当支払能力の算定において考慮されない場合に限る。)。」

 IRC 及びレギュレーションの規定を受け、Rev. Rul. 59-60 ; 1959-1 C.B. 237(以下、「ルー リング」という。)は、より詳細な指針を定めている9)。ルーリング第 4.01 条は、評価に関 連する要因として「(a)事業の性質及び企業設立以来の沿革、(b)一般的経済展望及び現 況並びに特定業種の展望、(c)株式の帳簿価額及び事業の財政状態、(d)企業の収益獲得 能力、(e)配当支払能力、(f)企業がのれんその他の無形資産を有しているかどうか、(g) 評価対象株式の売買実例及び分量、及び(h)同一又は類似業種を営む企業の市場価格であっ て、自由公開市場において取引所取引又は店頭取引が活発に行われている場合におけるも

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の。」を定めている10)  これらの定めをまとめると、次のとおりである。非上場株式は、公正市場価値によって評 価するのであるが、評価に際しては、IRC 第 2031 条第 b 項が、特に「他のすべての要因に 加えて、業種が同一又は類似する上場会社の株式又は証券の価値を考慮に入れて評価しなけ ればならない。」と規定していることから、類似上場会社法の適用を重視していると考える。 類似上場会社法は、判決例において、合理的な評価方法であると解されている。Bear 事件11) において、「評価対象会社に相当する同一又は類似業種の会社の市場株価を分析することに よって、評価対象株式の価額は、最も適正に決定される。」として、類似上場会社法による 評価を行うことが合理的であると判示された。  ただし、類似上場会社法を適用するためには、「まず、評価対象会社に相当する上場会社 を明らかにすることが必要」12)であり、「十分な相当性が認められなければ、類似上場会社 法は否認される」13)こととなる。この点、判決例においては、その適用の過程が合理的で ないと判断されることが少なくない。Northern Trust 事件14)において、「〔被告側専門家で ある〕Lerner が用いた類似上場会社法は適用できない。なぜなら、Lerner は、評価対象会 社及びその子会社と同一又は類似の事業を営む上場会社を示すことができず、評価対象会社 と財政状態が類似した上場会社を基礎としたからである。」と判示された。選定された上場 会社は、評価対象会社とその財政状態が類似しているのみである。したがって、IRC 第 2031 条第 b 項が規定する「同一又は類似業種である上場会社」ではないため、評価対象会 社が比準すべき標本会社として適正であると認めることはできないとされたのである。また、 Jung 事件15)において、「標本会社が、評価対象会社と同一のプロダクト・ミックスを採用 していない場合には、マーケット・アプローチは、適正な評価方法ではない。」16)と判示さ れた。すなわち、業種が同一又は類似しているのみでは、必ずしも標本会社として適正であ るとは限らない。その提供する製品や事業内容等が類似している点も、標本会社の選定に際 して、考慮されるべき要因なのである。  以上のとおり、類似上場会社法の適用にあたっては、適正な標本会社を選定することに困 難を伴うことがあり、本件のように、これを適用することができない場合も少なくない。こ のような場合には、「会社の純資産、将来の収益獲得能力、配当支払能力」等を考慮し、類 似上場会社法以外の方法によって評価を行うことを検討すべきである。 2 評価方法の概要  非上場株式は、評価対象会社の企業価値を算定し、これを発行済株式数で除することによ り評価される。企業価値の評価方法は、一般に、マーケット・アプローチ、インカム・アプ ローチ及びネットアセット・アプローチの 3 つに区分される17)。そこで、これらの評価方 法について概観すると、次に掲げる表 1 のとおりである。

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【表 1 日米における評価方法に対する批評】

(注) Pratt & Niculita・前掲注(5)・56 頁、同 175 頁、Hood et al.・前掲注(10)・407-409 頁、 Eisenhofer & Reed・前掲注(12)・112-116 頁、安達和人『ビジネスバリュエーション 評価の基 本から最新技法まで』(中央経済社,2011 年)92-94 頁、日本公認会計士協会・前掲注(17)・24-26 頁、同「経営研究調査会研究報告第 41 号 事例に見る企業価値評価上の論点─紛争の予防及び解 決の見地から─」(2010 年)72 頁、山下友信編『会社法コンメンタール 3』(商事法務,2013 年) 418 頁〔山本〕、東京地判平 12・5・30 税資 247 号 966 頁参照。  なお、本表における「国税庁方式」とは、評価通達が定める評価方式を総称したものである。 以下において、同様とする。  表 1 に掲げたとおり、それぞれの評価アプローチには、「長所・短所あるいは適性・不適 性」18)がある。したがって、評価者は、いずれの評価アプローチを適用すべきであるかを 評価対象会社の特性に応じて検討し、合理的なものを選択しなければならない。 評価方法等 米 国 日 本 マーケット・ アプローチ  同一又は類似業種に属する上場会社の市場 株価を分析することにより、評価対象株式の 価額は最も適正に決定されるが、評価対象会 社と標本会社との間に十分な相当性が認めら れなければならない。  第三者間や市場で取引されている株式との 相対的な評価アプローチであるため、市場で の取引環境の反映や、一定の客観性には優れ ているが、類似する上場会社の選定は困難で ある。 インカム・ アプローチ  将来において獲得すると期待される経済的 利益を予測し、これを貨幣の時間価値及びリ スクに基づいて割り引くことによって、その 現在価値を推定する方法である。これは、理 論的に適正な評価アプローチである。  将来の収益獲得能力や固有の性質を評価結 果に反映させる点で優れており、また、割引 率等を通じて市場での取引環境を一定程度反 映できる。しかし、将来キャッシュフロー等 の予測に困難を伴い、恣意性が入るおそれが ある。 ネットアセット・ アプローチ  最も簡略な評価方法の 1 つであるが、評価 対象会社が解散又は清算を予定している場合 や、評価対象会社の企業価値のうち、その保 有する資産の価値が大部分を占めるような場 合を除き、単独で用いられるべきではない。  会計上の純資産額を基礎としているため、 客観性に優れている。しかし、事業継続を前 提とする会社の株式の評価には適切でなく、 企業価値が、評価対象会社が所有する現物資 産に大きく依存する場合や、清算価値を求め る場合に限定される。 国税庁方式  課税実務においては、財産評価の一般的基 準が評価基本通達によって定められ、〔中略〕 規定された評価方法が合理的なものである限 り、財産の価額は、原則として、この評価方 法〔国税庁方式〕により画一的に評価するの が相当である。 評価の重要要因  第一に、同一又は類似業種に属する上場会 社の市場株価を考慮し、次いで、評価対象会 社が将来獲得すると期待される経済的利益を 考慮する。  評価対象会社について、企業規模、事業継 続性、成長性等を考慮し、同業他社の市場株 価、将来獲得することが期待される経済的利 益、純資産価額に着目する。

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二 本件における DCF 法の適正性

 非上場株式を評価する際は、上述のとおり、類似上場会社法の適用を第一に検討すべきで ある。しかし、本件においては、標本会社 4 社のうち 3 社について、プロダクト・ミックス 及び企業規模が相違しており、これを根拠として、評価対象会社との類似性が否定されてい る。被告側鑑定人 Thomson によれば、当該 4 社の他に標本会社として適正と認められる上 場会社は存在しないため、本件における適正な標本会社は 1 社のみということになる。類似 上場会社法を用いて評価を行う場合、「鑑定人は、通常、標本会社を 3 社から 7 社選定する。 7 社超を選定する場合もありうる。」19)のであり、「単一の標本会社では、必ずしも市場を表 象しない。」20)と考える。Hall 事件において判示されたとおり、「評価対象会社の株式に係 る潜在的買主が、類似会社 1 社のみを考慮しているとは到底認められない。……すべての企 業は、比準を困難ならしめる可能性を内包する特質を有している。……〔被告側鑑定人であ る〕PCA 社が用いた類似上場会社法は、……1 社のみを標本会社としている点において、 不完全なものである。」ため、本件においても同様に、類似上場会社法を適用することは認 められないというべきである。  類似上場会社法を適用することができない場合には、非上場株式の評価は、他の方法によっ て行われることとなる。ここで、ネットアセット・アプローチは、評価時点での評価対象会 社の清算価値を算定する評価方法であり、「継続企業としての企業価値を算定するもので は」21)ない。すなわち、評価対象会社が解散又は清算を予定している場合や、評価対象会 社の企業価値のうち、その保有する資産の価値が大部分を占めるような場合を除き、ネット アセット・アプローチは、単独で用いられるべきではない22)。そのため、本件においては、 原告、被告双方ともこれを適用していない。また、本件裁判所も独自の見解として、ネット アセット・アプローチの適正性を追究はせず、DCF 法を適用した。  DCF 法の適正性について、米国における過去の判決例では、次のとおり判示されている。 上述の Northern Trust 事件において、「ルーリングは、製造業又はサービス業を営む会社 の株式を評価する場合において、収益は最も重要な要因であると定めている。〔中略〕ルー リング及びレギュレーションに規定するすべての関連する要因を考慮しているため、〔原告 側専門家である〕Grabowski が用いた DCF 法は、普通株式の評価において適正な方法であ ると考える。DCF 法は、投資家が株式に投下する代価は、投資家が将来受け取ると期待す るキャッシュ・イン・フローの現在価値に等しいという考え方に基づいている。それゆえ、 ここに適用されるとおり、DCF 法は、評価対象会社及びその子会社の収益を基礎とする。 これは、ルーリングが定めるとおり、製造業及びサービス業を営む会社を評価する上で考慮 すべき最も重要な要因である。さらに、評価対象会社の将来キャッシュ・イン・フローの計 画に際して、評価対象会社が営む事業の状態、財政状態及び配当支払能力を考慮するととも に、一般的な経済状態を考慮している。したがって、レギュレーション及びルーリングが定

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める関連する要因とともに、評価対象会社の過去及び将来の収益を重視しているため、 DCF 法は、評価対象会社の実際価額の決定に際して、適正な評価方法であると考える。」と 判示された。すなわち、評価対象会社について、関連する要因を考慮して適用したときは、 DCF 法は、適正な評価方法である。  その後の判決例においても、同様の考え方が示されている。本件判決にも引用された Heck 事件において、「DCF 法は、株式を評価する上で適正な方法であると考える。……さ らに、マーケット・アプローチは信頼性に欠けるため不適当であり、非上場株式の評価の基 礎として、DCF 法を単独で用いることとした。……したがって、DCF 法は、評価日現在に おける株式の評価に適正な方法であると判断する。」と判示された。  これらの判決例から、次の考え方を導くことができる。すなわち、DCF 法によって評価 を行うことは合理的であるが、評価対象会社に関連する要因について、少なくとも、レギュ レーション及びルーリングに掲げるすべてのものを考慮しなければ、適正な評価方法である と認められない。したがって、評価対象会社が有するのれんその他の無形資産、一般的経済 展望及び評価対象会社が属する業種の展望、評価対象会社の業界における地位及びその経営、 当該株式の数によって示される事業支配力の程度、同一又は類似業種を営む上場会社の市場 株価、事業の性質及び評価対象会社の設立以来の沿革、帳簿価額及び事業の財政状態、収益 獲得能力、配当支払能力、評価対象株式の売買及び分量を考慮した上で、DCF 法を適用し、 非上場株式の評価を行うべきであると考える。

Ⅳ 我が国における米国的手法の導入

一 国税庁方式の合理性

〔1〕我が国相続税法において、相続等により取得した財産の価額は、「当該財産の取得の時 における時価」によることとされている。同法第 22 条は、「この章で特別の定めのあるもの を除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時におけ る時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規 定している。  同法には、時価についての定義規定が設けられていないのであるが、時価の意義について、 学説・判例は、「客観的交換価値説」を支持している23)。ここに、客観的交換価値とは、「自 由市場において、市場の事情に十分に通じ、かつ、特別の動機をもたない多数の売り手と買 い手が存在する場合に成立すると認められる価格」24)をいうとされており、「所得税法であれ、 法人税法であれ、あるいは相続税法であれ、それぞれの取引における時価(価額)の解釈が 共通的に行われるべき」25)であると解されている。  評価通達の定めに従えば、非上場株式は、原則として、類似業種比準方式、純資産価額方 式及びこれらの折衷方式によって評価される26)。類似業種比準方式とは、評価対象会社と

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類似する業種の株価、配当金額、利益金額及び純資産価額に比準して評価する方式であり、 マーケット・アプローチに属するものである。また、純資産価額方式とは、評価対象会社が 有する資産の価額から、負債の金額を控除した額を、発行済株式数で除して評価する方式で あり、ネットアセット・アプローチに属するものである。評価通達は、マーケット・アプロー チ及びネットアセット・アプローチを採用する一方、インカム・アプローチに属する評価方 法を採用していない27)  時価とは客観的交換価値を意味するところ、「取引相場のない株式にあっては〔中略〕仮 に自由な取引市場があった場合に実現されるであろう価額を合理的方法により算出すべき」28) である。ここで、純資産価額方式は、評価通達にいう「小会社」29)等が発行する株式の評 価に用いられるものであるが、このような会社の株式を評価する場合には、ネットアセット・ アプローチを適用せざるを得ないと思われる。個人企業に近似する会社においては、インカ ム・アプローチの基礎となる将来キャッシュフロー等の予測及び割引率の選定を合理的に行 うことができないため、これを適用して評価することができず、また、企業規模の点におい ても、上場会社に相当するものではないため、マーケット・アプローチを適用することがで きない。したがって、このような会社の株式は、ネットアセット・アプローチに属する純資 産価額方式により評価することとされている30)と考える。このように、ネットアセット・ アプローチは、「いずれのアプローチでも不確実性の極めて高い状況で、評価の安定性を確 保したいと判断された場合」31)等に限定して用いられるべきであり、最も適正な評価アプロー チであるとはいえないと考える。  また、マーケット・アプローチの適用には、上述のとおり、標本となる会社等の適正性が 重要となる。そこで、以下において、類似業種比準方式における標本の合理性を検討する。 〔2〕類似業種比準方式における業種は、日本標準産業分類32)を基礎としている33)が、これ は、行政機関等が作成する統計について、その統一性や総合性を確保するために用いられる 分類34)であって、非上場株式を評価するためのものではない。そのため、すべての評価対 象会社について、その営む事業と分類された業種が類似するとは限らないと考える。  また、国税庁は、「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令 解釈通達)」と題する通達を毎年発遣し、標本となる株価等を公表している。そして、当該 株価等の計算の基礎となる標本会社について、「金融商品取引所に株式を上場しているすべ ての会社を対象としている。なお、類似業種の株価等を適正に求められない会社は標本会社 から除外している。」35)として、一定の会社は標本会社から除外していると説明している。 しかし、国税庁は、具体的にどの会社を「類似業種の株価等を適正に求められない会社」と して標本会社から除外したのか、また、業種ごとの株価等をどのように算定したのかを公表 していないため、当該株価等が合理的な算定過程を経て導出された金額であるか否かを判断 することができない。したがって、類似業種比準方式が最も適正な評価方式であると断ずる

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ことはできないと考える。 〔3〕以上により、非上場株式の評価に際して、国税庁方式を適用しても、評価対象会社の企 業価値を適正に評価することができるとは限らないと考える。少なくとも、①評価対象会社 と標本会社との類似性、及び、類似業種に係る株価等の適正性が立証されなければ、類似業 種比準方式によって評価することは適当でないし、②純資産価額方式は、評価対象会社の企 業価値がその保有する資産価値に大きく依存する場合、清算価値を算定する場合及び他のア プローチにより適正に評価することができない場合に限り、適用されるべきである。したがっ て、非上場株式の時価を算定するにあたって、国税庁方式により画一的に評価することは適 当ではなく、評価対象会社の実態に応じて、合理的な評価方法の選択適用を考慮すべきであ ると考える。

二 DCF 法の適用

 米国において、非上場株式を評価する際には、まず類似上場会社法の適用を検討し、これ を適用することができない場合には、他の方法により評価を行う。ここで、ネットアセット・ アプローチは、上述のとおり、限定的に用いられるべき評価方法である。したがって、類似 上場会社法を適用することができない場合には、まず、インカム・アプローチの適用を検討 する。そして、インカム・アプローチを適用することができないときには、ネットアセット・ アプローチを適用することとなる。  インカム・アプローチは、将来において獲得が期待される収益等の予測及び割引率の選定 を合理的に行うことができる限り、企業価値を適正に評価することができる評価アプローチ である。この点、我が国租税法の判決例においても、インカム・アプローチの合理性が認め られている。小谷興産事件36)は、納税者が、中小企業投資育成株式会社の保有株式処分価 額評価基準、類似上場会社法、類似業種比準方式及び金融機関買取額を斟酌して評価対象会 社の株式価額を算定し、当該価額により売買を行い申告したところ、税務当局が、当該株式 は純資産価額方式により評価すべきであるとして更正処分を行った事例である。小谷興産事 件において、納税者は収益還元法による評価を証拠の一部として提出した。次に掲げる表 2 は、各評価方法について、Gallagher 事件と小谷興産事件における判示を比較したものである。

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【表 2 評価アプローチに関する判決例に係る日米比較】  インカム・アプローチに対しては、将来の予測を前提とするため、恣意性の介入を懸念す る見解がある37)。しかし、貸借対照表を基礎とするため客観性に優れているとされるネッ トアセット・アプローチであっても、資産・負債を時価評価する際に、評価者の主観の影響 が危惧される点は同様である。また、マーケット・アプローチは、標本の選定に困難を伴う 点は上述のとおりであり、同様に、この点において評価者の主観が介入しないとはいえない。 したがって、このような見解は、インカム・アプローチに対する批判ではなく、企業価値評 価そのものに対するものであると考える。 評価方法等 Gallagher 事件 小谷興産事件 マーケット・ アプローチ  プロダクト・ミックス及び事業規模が異な るため、標本会社 4 社のうち、適正なものは 1 社のみである。単一の標本会社では、類似 上場会社法の基礎として不十分である。した がって、類似上場会社法により評価すること は適切でない。  株価を決定する配当・収益・純資産という 3 つの要素ともに重点をおくものであって、 一般的に妥当な方法である。しかしながら、 この方式には評価会社と規模・内容ともに類 似性を有する比準会社を容易に選定しがたい 点に難点があるところ、〔評価対象会社と標 本会社は業種が異なっており、〕株価の評価 に当り同会社が類似会社として妥当であると 認むべき証拠はない。 インカム・ アプローチ  類似上場会社を適用することができない場 合、DCF 法は、株式を評価する最も適正な 方法である。DCF 法は、評価対象会社の将 来における経済的利益の現在価値を計算する 方法であるため、DCF 法を適用する際には、 必然的に、信頼できる経済予測を用いること となる。  会社にもたらされる将来の利益が株式の価 値を決定するという考え方を基盤にするもの であって、株主に対する配当のみならず会社 内部に留保される利益の増大にも関心を持つ 支配株主が所有する株式の評価方法として適 切であるということができ、〔中略〕株価〔算 定〕方法としては最も合理性を有する。 ネットアセット・ アプローチ  原告・被告双方ともネットアセット・アプ ローチを適用しておらず、裁判所もこれに言 及していない。  株式は会社の純資産に対する持分としての 性格を有し、株主は会社財産に対する分配請 求権を保有しているが、ことに規模のあまり 大きくない会社で支配株主が所有する株式に ついては経営支配性が強く、会社資産に対す る持分としての性格に重きがおかれることに なる。 国税庁方式  評価対象会社のように中会社においては純 資産価額方式及び類似業種比準方式の平均値 をもって当該株式の時価とする旨定められて おり、現実に相続税、贈与税の決定の場合の みならず、他の場合にもかなり広く用いられ ていることが認められる。 評価の重要要因  第一に評価対象会社と標本会社との間の事 業内容及び企業規模の類似性を考慮し、類似 上場会社法の適用を検討する。次いで、評価 対象会社の純資産、将来の収益獲得能力及び 配当支払能力等を考慮し、DCF 法の適用を検 討する。  評価対象会社の収益及び純資産価額を最も 重要であるとし、次いで、類似業種比準価額 に重きをおき、これらを加重平均した額を もって評価対象会社が発行する株式の価額で あるとした。

(13)

 また、他のアプローチを適用して検証することにより、DCF 法に係る将来の不確実性を 相当程度排除することができると考える。他のアプローチを併用することにより、多角的な 分析が可能となる38)。そして、これらの検証結果との間に大きな乖離が生じなければ、 DCF 法を適用する過程で行った予測が妥当であり、適正に評価したことを立証できるので ある。  以上により、DCF 法は、企業価値の評価について、適正な評価方法であると考える。

Ⅴ おわりに

 DCF 法は、評価対象会社が獲得すると期待される将来キャッシュフローを見積り、予測 されるリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引くことにより、企業価値を評価す る方法である。将来キャッシュフローの予測及び割引率の選定には、評価対象会社の経営分 析及びこれを取り巻く外部環境の分析が求められる39)。例えば、前者は、中長期事業計画 を基礎として、過去の業績と比較することにより、達成可能性が十分見込まれるかどうかで あり、後者は、業界の動向や、国内経済及び世界経済の展望が、当該事業計画に反映されて いるかである。このような分析を通じて、将来キャッシュフローの予測及び割引率の選定を 適正に行うことができるため、DCF 法を適用し、評価対象会社を評価することが適当であ ると考える。  評価通達が定める国税庁方式は、評価方法のうちの一にすぎない。租税法は、「その画一 性に拘泥することなく、より実態を反映した評価方法があるならばこれを積極的に認める姿 勢をもつ」40)べきである。すなわち、国税庁方式により画一的に評価するのではなく、評 価対象会社の特性を詳細に分析し、DCF 法を適用することにより、適正な評価額を算定す ることが、我が国の評価方法にも必要であると考える。 1) 昭和 39・4・25 直資 56(例規)、直審(資)17、平成 3・12・18 課評 2 - 4(例規)、課資 1 - 6。 2) 東京地判平 12・5・30 税資 247 号 966 頁において、「評価基本通達に規定された評価方法が合 理的なものである限り、財産の価額は、原則として、右評価方法によって画一的に評価するの が相当である。」と判示されている。

3) Estate of Gallagher v. Commissioner, T.C. Memo 2011-148, 101 T.C.M.(CCH)1702, 1727(2011), supplemented T.C. Memo. 2011-244, 102 T.C.M.(CCH)388(2011).

4) 類似上場会社法とは、類似会社が発行する株式が、市場において取引される価格を指標として、 評価対象会社の株式を評価する方法をいう。Graham Mitenko & Henry Okleshen, Valuing a Non-Publicly-Traded Business: A Review and Update, 8 AMERICAN ACADEMY OF ECONOMIC

(14)

ANDFINANCIALEXPERTSJOURNALOFLEGAL ECONOMICS 33, 42(1998)参照。

5) Discounted Cash Flow 法とは、企業から生み出される将来キャッシュフローを見積り、予測 されるリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引くことにより、企業価値を評価する 方法である。Shannon P. Pratt & Alina V. Niculita, Valuing a Business(5th ed. 2008)175 頁参 照。なお、ここでは、より広い概念として経済的利益(Economic Income)を用いて、包括的 な説明をしている。将来獲得すると期待される経済的利益を現在価値に割り引いて評価する方 法(Discounted Future Economic Income Method)の中で、キャッシュフローに着目する方法 が Discounted Cash Flow 法である。

6) アメリカ合衆国連邦遺産税において、納税義務者は遺言執行人又は遺産管財人である。26 CFR Tresury Regulations 第 20.2002-1 条は、「遺言執行人又は遺産管財人は、市民又は居住者の 遺産及び市民でない非居住者の遺産に課される連邦遺産税を納める義務がある。」と規定してい る。

7) ここで引用された判決例は、Hall 事件(Estate of Hall v. Commissioner, 92 T.C. 312(1989).)、 Zaiger 事件(Estate of Zaiger v. Commissioner, 64 T.C. 927(1975).)及び Heck 事件(Estate of Heck v. Commissioner, T.C. Memo 2002-34; 83 T.C.M.(CCH)1181; T.C.M.(RIA)54639(2002).) である。

8) 米国連邦遺産税における財産評価の概要について、渋谷雅弘「資産移転課税と資産評価-ア メリカ連邦遺産贈与税上の株式評価を素材として-(1)~(5・完)」法学協会雑誌 110 巻 9 号 1323 頁、10 号 1054 頁(法学協会,1993 年)、111 巻 1 号 69 頁、4 号 476 頁、6 号 769 頁(1994 年) を参照した。

9) Stephen C. Gara & Craig J. Langstraat, PROPERTY VALUATION FOR TRANSFER TAXES: ART, SCIENCE, OR ARBITRARY DECISION?, 12 Akron Tax Journal 125, 126 (1996)参照。

10)Edwin T. Hood et al., VALUATION OF CLOSELY HELD BUSINESS INTERESTS, 65 UMKC Law Review 399, 426(1997)は、「ルーリングに掲げる要因を取り入れた DCF 法によ る評価額は、……裁判所により支持された。」と説明している。

11) Baer v. United States, 2010-1 U.S. Tax Case.(CCH)P60,590, 105 A.F.T.R.2d(RIA)1544(D. Neb. 201). Prior decisions: 2008 U.S. Dist. LEXIS 43543(D.Neb. 2008), 2009 U.S. Dist. 2009-1 U.S. Tax Cas.(CCH)P60, 573, 103 A.F.T.R.2d(RIA)2238(D. Neb. 2009).

12) Jay W. Eisenhofer & John L. Reed, VALUATION LITIGATION, 22 Delaware Journal of Corporate Law 37, 116(1997).

13) Eisenhofer & Reed・前掲注(12)・117 頁。

14) Northern Trust Co. v. Commissioner, 87 T.C. 349(T.C. 1986). 15) Estate of Jung v. Commissioner, 101 T.C. 412, 433 (1993).

(15)

16) プロダクト・ミックスとは、製品の構成割合をいう。これは、企業が現に有する生産設備を 用いて、どの製品をどれだけ製造するかという意思決定である。岡本清ほか『管理会計』(中央 経済社,第 2 版,2008 年)9 頁参照。 17) 日本公認会計士協会「経営研究調査会研究報告第 32 号 企業価値評価ガイドライン」(2007 年) 24 頁参照。 18) 安達和人『ビジネスバリュエーション 評価の基本から最新技法まで』(中央経済社,2011 年) 92 頁。

19) David Laro & Shannon P. Pratt, Business Valuing and Taxes 213(2005). 20) Laro & Pratt・前掲注(19)・217 頁。

21) Eisenhofer & Reed・前掲注(12)・112 頁。 22) Eisenhofer & Reed・前掲注(12)・112 頁参照。

23) 品川芳宣「税法上の『時価』概念と関係者間取引における異同」税理 54 巻 2 号(2011 年)10 頁参照。なお、石島弘「資産税の時価以下評価による課税と租税法律主義」租税法研究 11 号(1983 年)77 頁に同旨。客観的交換価値説について、碓井光明「相続税・贈与税における資産評価」 日税研論集 7 号(1988 年)34 頁、金子宏『租税法』(有斐閣,第 18 版,2013 年)568 頁、田中 二郎『租税法』(有斐閣,第 3 版,1990 年)528 頁及び畠山武道・渡辺充『新版 租税法』(青林 書院,2000 年)234 頁等を参照。また、客観的交換価値説を採用した判決例として、所得税に ついて、神戸地判昭 59・4・25 シュト 270 号 24 頁、東京地判平 2・2・27 訟月 36 巻 8 号 1532 頁及び最三小判平 17・11・8 訟月 52 巻 11 号 3503 頁等を、法人税について、東京高判昭 59・ 11・14 税資 140 号 232 頁及び福岡高判平 6・2・28 民集 49 巻 10 号 3159 頁等を、相続税及び贈 与税について、大阪地判昭 40・3・20 行裁例集 16 巻 3 号 378 頁、東京地判昭 55・9・3 行裁例 集 31 巻 9 号 1750 頁、東京高判昭 62・9・28 税資 159 号 833 頁及び東京地判平 7・7・20 行裁例 集 46 巻 6・7 号 701 頁等を参照。 24) 名古屋高判昭 50・11・17 税資 83 号 502 頁。なお、評価通達第 1 項(2)は、「時価とは、課 税時期(相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日……) において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合 に通常成立すると認められる価額」をいうと定めている。 25) 品川・前掲注(23)・10 頁。 26) 評価通達第 179 項以下参照。 27) 評価通達に定める配当還元方式は、インカム・アプローチに分類される評価方式ではない。 配当還元方式は、過去の実際配当額を基礎として評価を行う方式であって、評価対象会社から 将来受け取ると見込まれる配当金の額を合理的に予測する配当還元法とは、名称こそ類似する ものの、全く別個の評価手法である。 28) 東京地判平 11・3・25 訟月 47 巻 5 号 1163 頁。

(16)

29) 評価通達 178 項参照。 30) 評価通達 179 項(3)参照。なお、名古屋地判昭 51・5・19 行裁例集 27 巻 5 号 682 頁において、 「個人企業と実質においてほとんど変りない小会社の株式は会社の資産に対する持分的性格が濃 く、その評価は、これを相続財産として評価する場合、個人の事業主について相続開始があつ た場合にその有していた一切の事業財産が相続税課税評価の対象となることとの権衡も考慮し て、相続開始時における 1 株当りの純資産価額によつて評価するいわゆる純資産価額方式によ つて評価することは合理性を有する」と判示された。 31) 日本公認会計士協会「経営研究調査会研究報告第 41 号 事例に見る企業価値評価上の論点─ 紛争の予防及び解決の見地から─」(2010 年)73 頁参照。 32) 日本標準産業分類とは、総務省告示によって定められた、産業に関する分類である。平成 21・ 3・23 付総務省告示第 175 号参照。 33) 平成 21・6・8 付資産評価企画官情報第 1 号・資産課税課情報第 9 号「類似業種比準価額計算 上の業種目分類について(情報)」参照。 34) 統計法第 2 条第 9 項参照。 35) 平成 20・6・9 付資産評価企画官情報第 2 号・資産課税課情報第 9 号「類似業種比準価額計算 上の業種目及び類似業種の株価等の計算方法等について(情報)」。なお、同情報によれば、① 当該年中に上場廃止することが見込まれる会社、②前年中途に上場した会社、③ 1 株当たりの 配当金額、年利益金額及び純資産価額のいずれか 2 以上が 0 又はマイナスである会社、④資本 金等の額が 0 又はマイナスである会社、及び、⑤設立後 2 年未満の会社は、標本会社から除外 されている。 36) 大阪地判昭 53・5・11 行裁例集 29 巻 5 号 943 頁。 37) 山下友信編『会社法コンメンタール 3』(商事法務,2013 年)418 頁〔山本〕及び日本公認会 計士協会・前掲注(17)ガイドライン・24 頁参照。 38) 安達・前掲注(18)・344 頁参照。 39) 安達・前掲注(18)・61 頁参照。 40) 渡辺充『検証!藤山税務訴訟判決~税理士実務からのアプローチ』(ぎょうせい,2008 年) 125 頁。

参考文献

安達和人『ビジネスバリュエーション 評価の基本から最新技法まで』(中央経済社,2011 年) 石島弘「資産税の時価以下評価による課税と租税法律主義」租税法研究 11 号 46 頁(1983 年) 碓井光明「相続税・贈与税における資産評価」日税研論集 7 号 5 頁(1988 年) 岡本清ほか『管理会計』(中央経済社,第 2 版,2008 年) 金子宏『租税法』(有斐閣,第 18 版,2013 年)

(17)

品川芳宣「税法上の『時価』概念と関係者間取引における異同」税理 54 巻 2 号 8 頁(2011 年) 渋谷雅弘「資産移転課税と資産評価-アメリカ連邦遺産贈与税上の株式評価を素材として-(1) ~(5・完)」法学協会雑誌 110 巻 9 号 1323 頁、10 号 1054 頁、111 巻 1 号 69 頁、4 号 476 頁、6 号 769 頁(法学協会,1993-1994 年) 田中二郎『租税法』(有斐閣,第 3 版,1990 年) 日本公認会計士協会「経営研究調査会研究報告第 32 号 企業価値評価ガイドライン」(2007 年) 日本公認会計士協会「経営研究調査会研究報告第 41 号 事例に見る企業価値評価上の論点─紛争 の予防及び解決の見地から─」(2010 年) 畠山武道・渡辺充『新版 租税法』(青林書院,2000 年) 山下友信編『会社法コンメンタール 3』(商事法務,2013 年) 渡辺充『検証!藤山税務訴訟判決~税理士実務からのアプローチ』(ぎょうせい,2008 年)

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(18)

A study of valuation of unlisted stocks in Tax Laws

in the United States:

As an example of Gallagher Case

YOSHIDA, Takaaki

 In Japan, the Inheritance Tax Law provides that the inherited stocks should be evaluated at the current market prices.

 Since there is no legal definition of the current market prices, the evaluation depends only on the Notification of National Tax agency.

 On the other hand, in the United States, Guideline Company Method, Discounted Cash Flow(DCF)Method and Net Asset Value Method are applied. Those methods reflect the actual situation of the target company.

 I believe that in the Japanese Inheritance Tax Law, the evaluation that reflects individual circumstances should be carried out like the US.

 I look closely at the Gallagher Case in the US and discuss a superiority of the use of DCF method, and give a proposal of its use for an evaluation of unlisted stocks in Japan.

参照

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