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糖鎖細胞接着の分子機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title 糖鎖細胞接着の分子機構に関する研究( はしがき ) Author(s) 木曽, 真 Report No. 平成7年度-平成8年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(B)(2) 課題番号07456162) 研究成果報告書 Issue Date 1996 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/234 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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予 我々は、画期的なシアロ糖鎖構築法を世界で初めて開発し、これまでに300種に 及ぶ天然ならびに人工ガングリオシドの系統合成を行い、分子種レベルでの機能 研究を可能にした。特に、世界で初めて全合成に成功したシアリル・ルイスⅩガン グリオシドとその類縁体を用いて、白血球接着分子(セレクチン・ファミリー) の糖鎖リガンド構造を分子レベルで解明した先駆的研究は、分子レベルからさら に官能基レベルへと発展している。本研究は、これらの独創的研究成果に基づき、 シアロ糖鎖の構造に新たな化学修飾を加え、セレクチン・ファミリーならびにⅠ_型 レクチンファミリーを介する細胞接着の分子機構を合成化学的アプローチにより 解明しようとしたものである。また、糖鎖の鎖長やコア構造にも変化を加えるこ とにより、レセプターの認識特異性を追究すると同時に、合成硫酸化ルイスⅩやス ルファチド関連化合物を用いて、E-,P-,し各セレクチンの結合活性ならびにカルシ ウム依存性について比較検討した。本研究は、動物レクチンを介する細胞接着の 分子機構にとどまらず、炎症や免疫疾患の発症機構の解明にも大いに寄与するも のと期待されている。 研究業績の概要 白血球の血管内皮細胞上でのローリング現象や炎症部位への遊走、リンパ節内高 内皮細静脈上での認識現象、血小板の凝集、がんの血行性転移など、免疫系を介 する様々な生命現象や病態に深く関与するセレクチン・ファミリー(C一型レクチ ン)を標的として、糖鎖細胞接着の分子機構を明らかにした。即ち、(1)E-,ト, レセレクチンに共通する糖鎖リガンドであるシアリル・ルイスⅩ構造中のシァル酸、 ガラクトース、フコース、及びグルコサミンを系統的に構造修飾し、シァル酸の

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カルポキシル基、ガラクトースの4β位水酸基、フコースの2鋤位水酸基がE一セレ クチンの認識に必須であること、フコースの水酸基がCa2+依存性に直接関与する こと、(2)スルファチドとの比較から、カルポキシル基と硫酸基の役割、及び そのカウンターパートとしての塩基性アミノ酸の存在を分子、官能基レベルで解 明した。(3)さらに、本年度の大きな成果として、六糖性シアリル・ルイスⅩの ガラクトースかグルコサミンの6位水酸基、又はその両方に硫酸基を導入して、 いわゆるキヤッピングによるレセプター特異性の制御について新しい知見を得た。 すなわち、3a)グルコサミンの6位水酸基が硫酸化を受けると、ヒトレセレクチン の認識特異性が大きく増強されること、3b)ガラクトースの6位水酸基の硫酸化に よって、E-セレクチンへの結合親和性が消失することを世界で初めて明らかにし た。従って、セレクチン・ファミリーと糖鎖との接着機構には、フコースを含む カルシウム依存的機構とスルファチドの様なカルシウム非依存的機構、シアリル・ ルイスⅩとスルホシアリル・ルイスⅩに見られるコア糖鎖の硫酸化によるキヤッピ ングを介するレセプター特異性の制御が、分子及び官能基レベルで行われている ことを合成糖鎖を用いて解明することができた。(4)一方、シアロアドヘシン・ ファミリー(ト型レクチン)の糖鎖認識特異性を解明する研究の一環として、コリ ン作動性ニューロンに特異なポリシアロガングリオシドGQlb(Xが、ミュリン関連 糖タンパク質(MAG)に対して極めて高い結合親和力を有することを世界で初め て明らかにした。以下にその詳細について論述する。(英文)

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