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農産物の生産, 需給調整, 価格形成に関する計量経済分析

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Academic year: 2021

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Title

農産物の生産, 需給調整, 価格形成に関する計量経済分析( 内

容の要旨 )

Author(s)

平児, 慎太郎

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第232号

Issue Date

2001-09-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2573

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の.要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 平 児 慎太郎 (愛知県) 博士(農学) 農博甲第232号 平成13年9月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物生産学科専攻 岐阜大学

農産物の生産,轟絵詞整,価格形成に関する計量

経済分析 主査 岐阜大学 教 授 荒 幡 克 己 副査 岐阜大学 教 授 小 乗 克 之 副査 信州大学 教 授 佐々木 隆 副査 静岡大学 教 授 木 宮 副査 岐阜大学 助教授.梶 川 論 文 の 内 容 の 要 旨 本論文は、農産物の生産並びに需給調整及び価格の形成に関して、計量経済学的手法を 用いて分析し、その特質を解明することを目的としたものである。農業生産の特質の解明 に関しては、生産関数を用いてそのパラメータを計測し、要素間の代替関係を測定するこ とが主題となる。需給調整及び価格形成の解明に関しては、需要関数と供給関数を基礎と する連立方程式モデルから、パラメータを計測し、符号条件を検証することが主題となる。 生産関数を用いた技術構造の経済学的特質の解明に関しては、一般的に規模の経済の計 測が中心課題となるが、要素間の代替関係を把握することも、もうひとつの重要なポイン トとなる。本論文は、特に後者に力点を置く。方法は、鶏卵を素材とし、その過去30カ 年の時系列データを用いて、生産関数のパラメータを計測した。採用した関数は、要素間 の代替関係を分析するのに適した先行研究のモデル、即ち「荏開津・茂野モデル」に着目 し、これをモチーフとしつつ独自のモデルを構築した。 計測の結果、日本の養鶏部門の技術進歩においては、一時期、資本節約労働使用的技術 進歩が見られることが明らかとなった。通説では、日本農業の技術進歩は、戦後一貫して、 資本使用労働節約的痩術進歩を辿ったと解釈され、また、計測事例でも、稲作をはじめ多 くの生産関数で、資本使用労働節約的技術進歩が一貫して継続したことが立証されている ものが多いが、こうした一般論に対して、本研究の結果は、それに反するケースがあるこ とを立証したことになる。

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-7-即ち、養鶏部門では、自動給餌機等による機械化が進展し、労働が資本によって代替さ れる技術進歩が、他の部門と同様に支配的であった.こ しかし、1970年代末以降、こうした 機械化が一巡する∵方で、淘汰された少数経営者は、経営管理の充実等によって経営成長 を図る動きも見られた。計測結果は、こうした動きが、一部の動きに留まらず、かなり支 配的な動きとしてこ■部門全体の生産関数の動態を左右したことを証明するものである。同 様の結果は、酪農部門を対象としたもので一つあるが、本論文の計測結果は、こうしたも

のと七ては二例日である。

需給調整及び価格形成の解明に関しては、大別して長期の構造的過剰の問題と短期の需 給ギャップ、価格変動の問題とがあり、・-・般的には前者が脚光を浴びることが多いが、本 論文では、後者の問題に焦点を当てた。価格変動は、一般に作物関係では、季節変動に焦 点が当てられ、畜産物では、数カ年をサイクルとする、いわゆるキヤトルサイクルに焦点 が当てられるが、本論文は、畜産物である鶏卵を素材としつつも、季節変動に焦点を当て た数少ない研究である。更にそこで、新たな視点として、需要を加工業務用と生食用とに わけて分析を進めた。 方法は、月次データを元に四半期のデータを作成し、これを時系列として分析し、′くラ メ一夕を計測する方法をとった。また、生食用と加工・業務用のそれぞれの用途仕向けが 同時決定されるものとする、連立方挺式モデルを構築した。モデルは、アメリカの加工卵 市場を分析した連立方程式モデル(Roy-John80nモデル)をモチーフとして、独自のモデル を開発した。その結果、アメリカの鶏卵市場では、加]二卵が需給調整上緩衝機能を果たす ことが確認されたが、日本については、そうではなく、むしろ逆に加工業務用需要がかえ って需給ギャップを拡大し価格変動を助長している局面があることがわかった。多くの農 産物では、加工業務用が、需給調整上緩衝機能を果たし価格変動を抑制することは、しば しば指摘されているが、鶏卵では逆の作用もあることが立証された。

日本の鶏卵市場では、む.しろ逆に、家庭用需要の方が、比較的コンスタントにあり、一

方業務加工用は、年末期に、伊達巻、ケーキ等で需要が集中する等偏りがちである。かく して、アメリカなどとは逆の計測結果となる。加工卵比率を増加させて価格、需給の安定 化■を図るべしとする教条的な方針は、日本の鶏卵市場には当てはまらないことが明らかと なった。 ノ審 査 結 果 の 本論文は、農産物の生産並びに需給調整及び価格の形成に関して、計量経済学的手法を

用いて分析し、そゐ特質を解明することを目的としたものである。研究は、これらの主題

に関する先行研究を整理し、課題を摘出し、研究領域の展望を行った総説と、具体的な計 測を行った分析とから成る。分析部分は、生産関数を扱った部分と需要・供給関数を扱っ た部分がある。分析素材として、いずれも鶏卵部門が対象とされている。 生産関数を用いた技術構造の経済学的特質の解明に関しては、一般的に規模の経済の計 測が中心課題となるが、要素間の代替関係を把握することも、もうひとつの重要なボイン

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ー8-トとなる。本論文は、特に後者に力点を置く。この場合、関数形の選択が研究の成否を左 右する重要な鍵となるが、本論文では、要素間の代替関係に関する制約が中程度の、ある 先行研究のモデル、即ち「荏開津・茂野モデル」に着目し、これをモチーフとしつつ独自 のモデルを構築して、要素間代替関係を計謝した。その結果、.日本の養鶏部門の技術進歩 においては、一時期、資本節約労働使用的技術進歩が見られることが明らかとなった。通 説では、日本農業の技術進歩は、戦後一貫して、資本使用労働節約的技術進歩を辿ったと 解釈され、また、計測事例でも、稲作をはじめ多くの生産関数で、資本使用労働節約的技 術進歩が一貫して継続したことが立証されているものが多いが、こうした一般論に対して、 本研究は、新たな知見を提供したこととなる。 需給調整及び価格形成の解明に関しては、大別して長期の構造的過剰の問題と短期の需 給ギャップ、価格変動の問題とがあり、一般的には前者が脚光を浴びることが多いが、本 論文の特徴は、後者の問題に焦点を当てたことにある。更にそこで、新たな視点として、 需要を加工業務用と生食用とにわけて分析を進めたことも、本論文の斬新性である。これ らの課題を分析するため、接近方法として、アメリカの加工卵市場を分析したRoy-Job鳩On モデルをモチーフとして、独自のモデルを開発し、短期需給及び価格変動に関して加工業 務用需要の果たす役割についして計測した。その結果、アメリカの鶏卵市場では、加工卵 が需給調整上緩衝機能を果たすことが確認されたが、日本については、そうではなく、む しろ逆に加工業務用需要がかえって需給ギャップを拡大し価格変動を助長している局面が あることがわかった。多くの農産物では、加工業務用が、需給調整上緩衝機能を果たし価 格変動を抑制することは、しばしば指摘されているが、鶏卵では逆の作用もあることが立 証されたことの意義は大きい。 このように、本論文は、その課題設定の斬新性、接近方法の適切性、革新性、分析の信 頼性、更に分析結果の政策的意義、これらいずれにおいても優れ、農業計量経済学のこれ までの到達点を一歩踏み越えた多くの知見を提供している。 以上について、審査委員全員一致で、本論文が、岐阜大学大学院連合農学研究科の学位 論文として十分価値あるものと認めた。 基礎と-なる学術論文 ・鶏卵生産部門における技術進歩の偏向性の計測、「農業食料経済研究」(中部農業経済学会) ・日米鶏卵市場における需給調整の計量分析、「フードシステム研究」(フードシステム学会) ・EconometricAnaly8iBOfEggPricinginUSA,(Japane8ePoultryScience)

参照

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