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スギ人工林の冠雪害と広葉樹の侵入パターン

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Academic year: 2021

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Title

スギ人工林の冠雪害と広葉樹の侵入パターン( 内容の要旨 )

Author(s)

小谷, 二郎

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 乙第081号

Issue Date

2003-09-12

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2325

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本(国)籍) 学 位 の 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 小 谷 二 (鳥取県) 博士(農学) 農博乙第81号 平成15年9月12日 学位規則第4条第2項該当 スギ人工林の冠雪害と広葉樹の侵入パターン 主査 岐阜大学 教 授 小見山 章 副査 信州大学 教 授 川 崎 圭 造 副査 静岡大学 教 授 角 張 義 孝 副査、岐阜大学 教 授 小_泉 博 論 文 の 内 容 の 北陸地方の暖温帯地域は、冠雪害が発生しやすい気象条件下に置かれており、現在 では、大規模な冠雪害が常襲的に発生している。スギ人工林に頻発する冠雪害の発生 パターンと光環境の変化を解析し、そこに侵入.した広葉樹の生態的特性と侵入パター ンの関係から、冠雪書跡地の復旧プロセスと管理方法について議論した。 スギ人工林の種構成は、コナラ林など曖温帯林のそれと共通性が高いが、スギ人工 林で特異的に出現頻度が高い樹種も存在した。石川県の自然植生と比較して、冠雪害 後のスギ人工林に出現する植物の種数は、多くなる場合があることがわかった。 スギ造林木の本数減少パターンを、林分管理や立地環境に関係した要因を説明変数 として、数量化Ⅰ類によって統計解析した。冠雪害による本数減少割合では、造林木 の平均形状比の偏相関係数が最も高かったのに対し、自然枯死による本数減少割合で は、植栽密度の偏相関係数が最も高か.った。冠雪害による本数減少は、林木の形状比 および標高によって説明され、細長な幹の形状と、低標高とくに200m以下で披害が大 きくなる傾向を示した。 .広葉樹の侵入に関係する光環境の変化を解析した。冠雪害によって生じる林冠ギャ ップは、樹高の低い若齢期(15∼30年生)の林分では、樹高の高い老齢期(50∼70年 生)の林分と比較して、相対的に明るい光環境を示すことがわかった。また、ギャッ プ内でも林縁より中心部にかけて散光相対照度に傾度が生じ、陽樹の侵入が可能とな る30%以上の相対照度を得るためには、平均樹高12・8mで90・9m2以上のギャップ面積 が必要であることがわかった。ただし、直射光成分を含めると、これより′ト面積のギ ャップでも、▲太陽光が入射する北側の場所で陽樹の侵入が可能であることがわかった。 53種の広葉樹の伸長パターンの違いを50年生のスギ人工林内で比較した。シュート を連続して伸長させる「順次型」の広葉樹では、ギャップ環境下で枝域の拡大に2次 伸長が重要な役割を果たしていた。シュートを一時期に伸長する「一斉型」■の広葉樹

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は、主に1次伸長で枝域を拡大していた。「順次型」はギャップの明るい環境に、 「一斉型」は林内の暗い環境に適した伸長パターンであることを指摘した。 スギ人工林に侵入した広葉樹は、そのほとんどが冠雪害の発生後に侵入していた。 樹種により、ギャップ形成後3年以内に出現し侵入後の成長が早いタイプ、林冠車ヤ ップ内で出現後4年で急速に枯死するタイプ、ギャップ形成後も継続して出現するタイ

プの違いがあった。また、隣接林からの距離と陶係して、その種類数・密度・痙多様

性・母樹林との類似性が影響を受けることがわかった。 以上のように、冠雪害後のスギ人工林の変化経過は、侵入する広葉樹種の生活史と 密接に関係しており、冠雪害の発生規模や頻度によって「順次型」と ト斉型」を示 す広葉樹種の侵入の程度が異なることがわかった。冠雪害の'規模が大きく発生頻度が 高いほど「順次型」を示す樹種の侵入が、規模が小さく頻度が低いはどイ一斉型」を 示す樹種の侵入が有利となる。これら広葉樹の生態的特性と光環境から、自然力を応 用して、冠雪書跡地を復旧する方法について議論と提言を行った。 審 査 結 果 の

小谷二郎の学位論文は、北陸地方のスギ人工林で常襲化している冠雪害を対象に

し、被害を受けた林分が広葉樹の侵入により再生する過程を、樹木の成長とフェノロ

ジーの解析、■個体群動願および光環境の解析により明らかにしている。この地域の社

会問題ともなっている.冠雪書跡地め復旧プロセスと管理方法にづいて議論している。

本研究で得られた知見は以下の通りである。スギ人工林に侵入する広葉樹の種構成

について、コナラ林など曖温帯林の種構成と共通性が高いと同時に、スギ人工林で特

異的に出現頻度が高い樹種群が存在する。石川県の自然植生と比較して、冠雪害後の スギ人工林に出現する植物の種数は、多くなる場合があること.がわかった。

被害の実態を明らかにするために、スギ造林木の本数減少パターンを、林分管理や

立地療境に関係した要因を説明変数として、数量化Ⅰ類によって統計解析している。

冠雪害による本数減少割合では、造林木の平均形状比の偏相関係数が最も高かったの

に対し、自然枯死による本数減少割合では、植栽密度の偏相関係数が最も高かった。 冠雪害による本数減少は、林木の形状比および標高によって主に説明され、細長な幹

の形状と、低標高とくに200ふ以下で被害が大きくなる傾向があることがわかった。

これは最近問題となっている間伐手遅れ林分が、冠雪害に弱いことを示している。=

広葉樹の侵入に関係する光環境の変化を解析している。冠雪害によって生じる林冠

ギャップについて、若齢期(15∼30年生)の林分は、老齢期(50∼70年生)の林分 と比較して、平均樹高が低いために相対的に明るい光環境を示すことがわかった。ま た、.ギャップ内でも林縁より中心部にかけて散光相対照度に傾度が生じ、陽樹の侵入 が可能となる30%以上の相対照度を得るためには、平均樹高12.8mで90.9m2以上の

ギャップ面積が必要であることを示した。ただし、直射光成分を含めると、これより

小面積のギヤJプでも、太陽光が入射する北側の場所で陽樹の侵入が可能である。

合計53種の広葉樹の伸長パターンの違いを、50年生のスギ人工林内で比較してい

る。シュートを連続して伸長させる「順次型」の広葉樹では、2次伸長がギャップ環

境下で枝域の拡大に重要な役割を果たしていた。一方、シュートを一時期に集中して 伸長する「一斉型」の広葉樹は、主にl次伸長で枝域を拡大していた。「順次型」は

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ギャップの明るい光環境に、「一斉型」は林内の暗い光環境に適した伸長パターンで あることが指摘されている。 スギ人工林に侵入した広葉樹は、そのほとんどが冠雪害の発生後に侵入しているこ とがわかった。樹種により、ギャップ形成後3年以内に出現し侵入後の成長が早いタ イプ、林冠ギャップ内で出現後4年で急速に枯死するタイプ、ギャップ形成後も継続

して出現するタイプの違いがあった。また、隣接林からの距離と関係して、その種類

数・密度・種多様性・母樹林との類似性が影響を受けることがわかった。

結論として、冠雪害後のスギ人工林の変化経過は、侵入する広葉樹種の生活史と密 接に関係しており、冠雪害の発生規模や頻度によって「順次型」とト斉型」を示す 広葉樹種の侵入の程度が異なることを予想している。冠雪害の規模が大きく発生頻度

が高いほど「順次型」を示す樹種の侵入が、規模が小さく頻度が低いほどト斉型」

を示す樹種の侵入が有利となる。これら広葉樹の生態的特性と光環境から、冠雪書跡 地の復旧方法について、自然力を利用する立場に立って議論と提言を行っている。

なお、小谷二郎の学位論文に関係して、学術誌に発表された論文は以下の通りであ

る。

学位論文の基礎となる学術論文

○小谷二郎・富樫一巳(1992)ミズキの葉の展開とシュート伸長. 日本生態学会誌42,115∼123. 0Kodani,J・(1999)InvasionPatternofNineDeciduousBroad-1eavedSpecies

inaSnow・damaged伽iwemaJ毎氾扇由Plantation.Jpn.J.For.Env.41,

1∼6. 0小谷二郎・高田兼太(2000)冷温帯のスギ人工林の下層での広葉樹のフェノロジ ー.森林立地42,9∼15. 0Kodani,J・(2001)TheE飴ctsofCanopyGapsoムSeedlingEmergenceand

GrowthofTWoDeciduous虫road-1eaYedSpecies(肋中川血鞘澗and

乃●ZmuS卿Da)ina伽tomeEibJ4PmkaPlantations.J.For.Re8.6,

303∼305.

既発表学術論文▲

OTbgashi,K・andKodani,J・(1990)E飴ctofTbmperatureontheDevelopmehtof

keha画eLg(BUTLER)(Lepidoptera:b即antriidae).J.Jpn.For.Soc.72,

316∼320. 0小谷二郎・富樫一巳(1995)枝の添伸成長に伴うミズキの葉の生産性と冬芽形成. 日本生態学会誌45,237∼245. 0小谷二郎(1999)落葉広葉樹林内と林外におけるブナ稚樹の葉数およびシュ」ト 伸長の季節変化.日本林学会誌81,74∼77. 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位 論文として十分価値あるものと認めた。

参照

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