論
文
電子楽譜から点字楽譜を生成するインターネット連携自動翻訳
システム
*
後藤
敏行
†a)田村
直良
†立野
玲子
††Internet Linked Braille Translation System from Digital Music Scores
∗Toshiyuki GOTOH
†a), Naoyoshi TAMURA
†, and Reiko MINAMIKAWA-TACHINO
††あらまし 電子楽譜の普及によりインターネットを経由して楽譜情報にアクセスできる環境が整ってきた.こ れに対して,視覚障害者が用いる点字楽譜はいまだ入手が困難である.筆者らは,電子楽譜(MusicXML)から 点字楽譜を生成する自動翻訳システムを研究開発し,ホームページで公開するとともに,システムの評価と拡張 を進めてきた.本研究では,交響曲などを含めた多様な楽譜に対応し,点字楽譜における短縮表現などの多様な 表現形式を取捨選択できるように自動翻訳手法の機能拡張を行うとともに,インターネット上の電子楽譜を翻訳 して提供する機能を開発した.本論文では,これらの機能と利用状況から示されたシステムの有用性について報 告する. キーワード 機械翻訳,点字楽譜,視覚障害者,MusicXML
1.
ま え が き
点字楽譜はフランスのルイ・ブライユ(Louis Braille, 1809∼1852年)により考案された視覚障害者向けの 楽譜であり,五線譜に代わる楽譜情報の記録・伝達手 段である.点字楽譜では,五線上に記号を配置して二 次元的に表記されている情報が一般文書と同じ6点点 字の並びとして一次元的に表現されている.これは, 6点点字が当初は点字楽譜のために考案され,後に文 書表記にも利用されて普及したという歴史的経緯によ る.その後,点字楽譜は表記の統一と改良が世界的に 進み,現在の形式に至っている[1].点字楽譜への翻訳 は,五線譜の理解と点字楽譜の表記法に関する知識が 必要なため,文書の翻訳より困難な作業である.日本 では少数の施設やボランティア団体によって点字楽譜 が作成されているが,需要にこたえきれていないのが †横浜国立大学大学院環境情報研究院,横浜市Graduate School of Environment and Information Sciences, Yokohama National University, 79–7 Tokiwadai, Hodogaya-ku, Yokohama-shi, 240–8501 Japan
††東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所,東京都
The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, 2–1–6 Kamikitazawa, Setagaya-ku, Tokyo, 156–8506 Japan a) E-mail: [email protected] *本論文はシステム開発論文である. 現状である. 一方,音楽を取り巻くコンピュータ環境の整備によっ て,電子楽譜を生成・演奏するソフトが開発され,電 子楽譜が普及するようになった.電子楽譜は,楽譜情 報の記録・伝達手段としてだけでなく,鑑賞するため の音楽資源としても認知されている.更に,インター ネット技術の進展により電子楽譜がネットショップな どで販売されるようになり,晴眼者は居ながらにして 楽譜情報にアクセスできる環境が整ってきた.日本音 楽著作権協会(JASRAC)との契約のもとで4,000曲 以上の電子楽譜を無料で公開するサイト[2]も出現し た.電子楽譜の普及によって晴眼者と視覚障害者の楽 譜に関する情報格差はむしろ広がっている. 点字楽譜の供給面の問題に対して,点字楽譜の自動 翻訳の研究は1970年代から始まった.まず,五線譜 印刷用の電算写植データから点字楽譜の自動生成を目 指す研究[3]が行われ,その後もMIDIデータから点 字楽譜を生成する研究が進められた.しかし,使用さ れた電算写植やMIDIのデータは,強弱記号,装飾記 号,発想記号などの演奏記号が直接には表記されない ために,楽譜としての論理的表現に適していないとい う問題があった. また,近年の情報通信技術の進展に伴い,XMLを
拡張した楽譜記述言語が提案され,これまでに日本と 米国でMusicXMLの名称で異なる仕様が策定されて きた.現在,米国版MusicXML [4]が事実上の標準に なっており,本論文では,MusicXMLという表記は米 国版を指すものとする. MusicXMLの電子楽譜から点字楽譜を作成するソフ トとして,DZB(ドイツの視覚障害者向け中央図書館) のMAKEBRAILLE [5]や,市販の電子楽譜作成ソフ トをMusicXMLに対応させたGOODFEEL( Danc-ing Dots)[6]やToccata(OPTEK SYSTEMS)[7],
FreeDots [8]などが開発されている.MAKEBRAILLE は楽譜点訳プロジェクトDaCapo [9]の作業過程で使 用されるソフトとして開発が進められた.最近,登録 ユーザがアップロードした楽譜を翻訳してメールで 届けるサービスを開始した.GOODFEEL,Toccata, FreeDotsはパソコン向けのソフトであり,FreeDots はフリーソフト,残りの二つは市販されている.いず れもユーザ所有の電子楽譜が翻訳の対象であり,イン ターネットを経由した電子楽譜とシステムの連携は考 慮されていない. 筆者らはこれまでに,点字楽譜を文脈自由文法に基 づく形式言語ととらえ,言語処理技術による解析方法 について研究[10]し,その成果をもとにMusicXML (日本版)やMusicXML(米国版)から点字楽譜を 生成する自動翻訳システムを開発してきた[11], [12]. MusicXMLの電子楽譜を所有する誰に対しても,リア ルタイムで点訳サービスを無料で提供するシステムを目 指し,WEBアプリケーションとしても整備し,2006年
3月からホームページでBrailleMUSE(Braille MUsic Support Environment)として公開した[12].その後 ユーザの評価に基づき,2. 1で述べるような判読性向 上や簡潔表現など点字楽譜に特有の表記による,多様な 点字楽譜を生成する翻訳アルゴリズムの開発を進めた. 更に,楽譜に関する情報格差の是正のため,イン ターネット上の電子楽譜を翻訳し,点字楽譜として提 供するシステムを構築した.その上で,電子楽譜の公 開サイトと連携し,翻訳した点字楽譜を公開する点字 楽譜提供システムの枠組みを開発し,現在その拡充を 進めている. 本論文では,電子楽譜から点字楽譜への自動翻訳 システムの開発,インターネットでの公開,インター ネット上にある電子楽譜を利用する点字楽譜提供シス テムへと進化した手法やシステムについて述べ,ユー ザの要望を取り入れながら進めたシステム開発につい て考察する.以下,2.では点字楽譜と電子楽譜の概要 を述べ,3.で自動翻訳システムの概要とその評価につ いて,4.で点字楽譜提供システムの概要と利用実績に 基づく評価について述べる.更に,5.で全体のシステ ム開発について考察する.
2.
点字楽譜と電子楽譜(MusicXML)の
概要
2. 1 点字楽譜の表記 点字楽譜では,五線譜の情報が6点点字を用いて表 現されており,その表記法は一種の言語体系を構成し ている.点字は6点の単位(マス)で構成され,6ビッ トのコード表現が可能である.楽譜記号は64種より 多いため,一つのコードに複数の意味が付与される. また,複数のコードの組合せで一つの楽譜記号が表現 されることもある.音符と楽譜記号について点字表記 の一部を図1に示す.点字の表記には,読む面を示す 凸面である表面表記と,書く面を示す裏面表記がある. 本論文では表面表記で示すこととし,●が凸点を示す ものとする. 音符は,マスの上4点で音階を表し,下の2点で音 の長さを表す.一つのコードが長さの異なる二つの音 符に対応するため,その小節を読み終えて初めてその コードの長さが定まる.和音は主音との音程の差で表 し,主音は通常の音符で表し,音程差の度数を表す記 号を後置する.また,オクターブ単位の基音を示すた めに,音列記号と呼ぶ記号を音符の前に配置する. 点字楽譜の例を図2に示す.1行目に調号と拍子記 号を書き,点字(qppqqq ppqpqq pqqqpp
)でフラットが四つの変イ長調 を次の拍子記号(qppqqq ppqpqq pqpqqp
)で4/4を示している.2行目 から音符や強弱記号など小節内の楽譜記号を記述す る.ピアノ譜では,行頭に右手記号(ppp qpq qpppqq
)と左手記 号(ppp qqq qpppqq
)を配置し,左右のパートを交互に記述する. クレッシェンド(qpppqq ppqppq
∼qpppqq pqppqp
)等のように時間的に幅を もつ記号は,開始記号と終了記号を対にする.また, 図 1 音符と楽譜記号の点字表記の一例図 2 点字楽譜の構成
Fig. 2 The configuration of Braille music scores.
3行目の左手パートのように,一つの小節に複数の旋 律(声部)がある場合は,各声部を部分け記号(
pqqqpp qpppqq
) で連結させて二つの声部を一次元的に表現する.更に, 五線譜では声部で休符や臨時記号を省略することがあ るが,点字楽譜では省略できない.省略されていれば 点訳時にその記号を補い,点字(ppp pqp
)を前置して補完 されたことを示すことがある.そのほかに,判読性向 上のために同種の記号が繰り返される場合の省略や旋 律が繰り返される場合の短縮などが用意されている. この例として (1) 集合音符(連桁の代わり) (2) スラー記号のクラス分け (声部内,声部間,パート間,多重など) (3) 装飾音符の分類 (4) 臨時記号や休符の補完 (5) 複数声部の表現(部分け,内分け) (6) 同一の記号が連続する場合の省略表現 (タイ,スラー,テヌート,和音など) (7) 旋律の繰返しに対する短縮表現 (声部内,声部間,小節間) (8) 音列記号の省略 (9) 強弱記号が連続するときの省略 (10) セクション構成 などがある.このような表記は,利用者の習熟度に応 じて取捨選択され,組み合わされて使用される. 図3では,矢印左側の五線譜に対応する点字楽譜の 例を示している.まず,下声部に休符を補完し,右側 の五線譜とする.この五線譜に対して,1)は逐語訳 の単純表記,2)は連続するスタッカートの省略表記, 3)は集合音符を利用した表記,4)は繰返しの旋律を 短縮し,休符の補完を明記した表記の例を示している. このように,利用者の経験や習熟度に応じて,単一の 五線譜から多様な点字楽譜を生成する必要がある. 図 3 点字楽譜の多様性の一例Fig. 3 A variety of Braille representation.
図 4 MusicXMLでの複数声部表現の例 Fig. 4 A parallel voice representation in MusicXML.
2. 2 電子楽譜(MusicXML)による楽譜表記 MusicXMLはXMLを拡張した楽譜記述言語であ り,木構造をなす要素の集合として楽譜情報を表記す る.本論文では概要にとどめるが,詳細については文 献[4]を参照頂きたい. MusicXMLにおいて,各タグ<要素名>が楽譜の 構成要素を示し,<要素名>と </要素名> で囲ま れた部分が,<要素名>の子要素(配下の要素)で あることを示している.MusicXMLの最上位要素は <score-partwise>要素(楽譜要素)であり,その下に 複数の楽器パートである<part>要素を擁している. また,<part>要素は複数の小節要素<measure>を 子要素として擁し,更に,<measure>要素の下には, 調号や拍子を表す<attribute> 要素と,音符を表す <note>要素などの楽譜記号に対応した要素が記述さ れ,楽譜の構造が階層的に表現される.<note>要素 には,音の高さや長さ,付点や臨時記号の有無などを 示す要素が配置されて,音符が記述される. 図4はMusicXMLによる複数声部の表記の例を示 している.ピアノ譜のような大譜表でも右手や左手の 区分はなく,一つの<measure>要素の下にすべての
楽譜記号が入る.複数の声部を記述するために,まず 一つの声部を記述し,<backup>要素という「時間的 な巻戻し」の概念を導入することで,同時に演奏する 別の声部を表現する.また,「時間的な送り」を示す <forward>要素を使って音符の省略を表すことも許 されている.<backup>要素や <forward>要素の 使用や順番,巻き戻す時間の長さの設定は規定がない ため,一つの五線譜に対して多様なMusicXMLでの 表現が発生する.
3.
点字楽譜への自動翻訳システム
3. 1 自動翻訳システムの要件 点字楽譜は文字で楽譜記号を表記するために,楽譜 情報の大局的把握が難しい.そのために,点字楽譜に は2. 1で述べたような判読性向上や簡潔表現のための 特有の表記が準備されている.これらは利用者の習熟 度に応じて選択されるため,自動翻訳システムとして は,まず,基本的な楽譜記号で書かれたピアノ譜から 単純表記の点字楽譜への自動翻訳機能を開発し,ホー ムページで公開した[12].その後,ユーザの評価を受 けながら,オーケストラなどの多段譜への対応を図る とともに,点字楽譜の多様な表現形式を取捨選択して 自動翻訳する機能を拡張することにした. 点字楽譜の多様性に対応する構文変換を翻訳アルゴ リズムに導入することで,個々の利用者に応じた様々 な点字楽譜を提供することが可能になった. 3. 2 点字楽譜XML(BrailleMXML) 言語処理技術による点字楽譜の文法構造の研究[10] をもとに,MusicXMLから点字楽譜の基本的構文へ の構造変換が類型化できることを見出し,公開当初は, その構造変換によって翻訳するアルゴリズムを採用し ていた[12].しかし,点字楽譜の表記の多様性にも対 応しようとすると,多様な点字楽譜の構文への直接的 な構造変換の類型化に限界がでてきた.そこで,この 点字楽譜の基本的構文を楽譜の共通表現ととらえ,点 字楽譜XML(BrailleMXML)とした.MusicXML の構造をいったんBrailleMXMLに変換した後に,そ れぞれが必要とする表記で表現された点字楽譜の構 文へと変換し,翻訳する方式に変更した.この方式に よって,入力されたMusicXMLの表現の多様性にか かわらず情報の統一的な理解も可能になった. BrailleMXMLは,楽譜,パート,小節の順に階層 化する点はMusicXML と同様であるが,調号や拍 子を表す<attribute>要素のほかに,図5に示すよ 図 5 BrailleMXMLでの複数声部表現の例 Fig. 5 A parallel voice representation inBrailleMXML.
図 6 点字楽譜自動翻訳の処理の流れ
Fig. 6 The process flow of the Braille translation.
うに各小節に右手と左手を表す <righthand> 要素 や <lefthand>要素を配置する.これらの要素の下 に,個別の声部を表す <voice>要素をおく.これに よって,小節内の複数の声部も,MusicXMLのよう な「時間的な巻戻し」の概念は使わずに,<voice> 要素を複数配置することで表現が可能になる.更に, <voice> 要素の下には<note>要素などの楽譜記号 を記述する. 3. 3 点字楽譜への自動翻訳のアルゴリズム MusicXMLから点字楽譜へ翻訳する場合,以下の 4項目の対応が要請される. (1) MusicXMLの楽譜表現の多様性 (2) 五線譜における記号の省略 (3) 点字楽譜の表記の多様性 (4) 点字楽譜の特有の記号結合ルール これらの4項目に対応するために,自動翻訳の処理 は,図6に示すようにMusicXML解析部と点字楽譜 翻訳部で構成されている. MusicXML 解 析 部 で ,(1),(2)に 対 応 し , <backup>要素を用いた「時間的な巻戻し」の表現な
図 7 BrailleMXMLからの構造変換の類型
Fig. 7 Categories of structure transformation from BrailleMXML trees.
どの声部を解析し,各声部で休符や臨時記号の省略が あれば構文を補完した後に,BrailleMXMLの構造へ 変換する. 点字楽譜の翻訳部では,まず(3)に対応する.最 初に,集合音符,短縮表現,省略表現の有無やセク ション設定などに対して,BrailleMXMLの構造をそ れぞれのユーザの要求に応じた点字楽譜の構文へと 変換する.点字楽譜への変換にあたって,その構文変 換を類型化した結果を図7に示す.なお,図7は構 文変換の類型の一例であり,五線譜の下,矢印左側の BrailleMXMLの構造から右側の点字楽譜への構造変 換を概念的に示している.BrailleMXMLの基本構造 から短縮表記などの簡素な構造へと変換されている. 更に,BrailleMXMLの要素やその属性値を点字楽 譜の記号に対応づける翻訳辞書を参照して翻訳する. 次に,(4)で点字楽譜特有の記号結合ルールに対 応する.後に続く記号の種類や点字コードの種類に依 存した接続規則や,行やページ単位の禁則に相当する 規則などである.記号や点字コードの種類を判定する ことによって,記号の接続関係や点字コードの接続に 依存した文法規則の適用やページや行の禁則処理を行 い,点字楽譜を生成している. 3. 4 システムの構成 ユーザはMusicXMLの電子楽譜を所有していると いう条件はあるが,それ以外はインターネット接続と いう最低限の投資ですべての機能を利用できるように 設計した.すなわち,特別なソフトがインストールさ れた環境ではなく,インターネットが利用できる環境 さえあれば,時間や場所に拘束されずに利用できるク ラウドコンピューティングとしている. 点字楽譜は,点字エディタで閲覧できるように日本 での標準形式であるBASE形式を採用している.更 に海外からの利用や点字ディスプレイや点字プリンタ での出力にも対応するためにNABCC形式(ASCII コード)もサポートしている.また,晴眼者向けの確 認として,ブラウザの画面に点字フォントを用いて出 力する機能も用意している.表示にはユーザ側での点 字フォントのインストールが必要なため,無料で点字 フォントをダウンロードできるサイトとインストール 法も提示している. 自動翻訳システムのユーザは第一義的には晴眼者の 点訳者であるが,視覚障害者のユーザにも配慮する.
図 8 WEB型自動翻訳システムの構成
Fig. 8 System configuration of WEB-based Braille score translation.
図 9 BrailleMUSEの設定画面及び処理例 Fig. 9 Interfaces and output in BrailleMUSE.
公開するホームページは,視覚障害者向けのパソコン 画面の読み上げソフトを介して利用されることを想定 し,サイト構造を単純化し,単純なレイアウトのテキ ストだけのページで構成されている. 自動翻訳システムは,図8 (a)に示すようにJAVA を用いてWEBアプリケーションとして実装した. ブラウザ経由で入力されたMusicXMLを受け取り, MusicXMLとしてのデータ構造を検証した後に自動 翻訳システムを起動し,翻訳する.得られた点字楽譜 についてブラウザ上への出力と出力形式を整えたダウ ンロード機能を備えている.自動翻訳部分は図8 (b) に示すようにXMLプロセッサを利用して実装した. 入力されたMusicXMLはXMLプロセッサを利用し た構造解析によってBrailleMXMLに変換され,ユー ザからの指定に基づき多様な表記形式の点字楽譜に翻 訳される. 図9は,点字楽譜の表記に関するオプション設定画 面と点字楽譜の出力画面の例である. 3. 5 点字楽譜自動翻訳の評価 主要な音符,楽譜記号,点字楽譜特有の表記の実装 は,ほぼ完了しており,現代譜を除いてピアノ譜,交 響曲,室内楽などの楽譜に対応している(表1). これらの機能は,10年から30年の経験を積んだ3名 の点訳者の協力のもとで評価した.人気の高いクラシッ クやポピュラーの曲を自宅からアクセスして翻訳し, 五線譜との比較修正を依頼した.表記のオプションは, これまで頻繁に依頼された仕様と同等の設定とした. 主な評価項目を以下に示す. (1) 出力された点字楽譜のエラーの修正件数と 内容
(2) 構文エラーではないが,読みやすくするため に修正した件数と内容 (3) 点訳作業時間とシステムを利用しない場合に 推定される点訳作業時間 (4) 操作性としてのシステムの使いやすさ (5:非常によい,4:良い,3:普通,2:悪い, 1:非常に悪い) 使用した電子楽譜は,インターネットで公開されて いる電子楽譜や筆者らが五線譜をスキャナで取り込み, 市販のソフトでMusicXML(ver.1.1)に変換した楽 譜である.MusicXMLにおいて,強弱記号や奏法記 号などの記号は音符との微妙な位置関係によって係り 受けが変化する.この影響が及ばないように,事前に 対象の電子楽譜を精査・修正して,できるだけ正確な 電子楽譜を構成して使用することにした. 表2は評価の結果である.使用した曲は欄外に示し 表 1 点字楽譜への自動翻訳機能
Table 1 Translation function to Braille music scores.
表 2 自動翻訳された点字楽譜とシステムの評価
Table 2 Evaluation for performance and convenience.
た11曲であり,報告されたエラーの内容から,自動 翻訳アルゴリズムによるエラーか,電子楽譜に残存す るエラーに起因するエラーかを判別した.前者は,エ ラー数の括弧内に自動翻訳エラー数として示してい る.楽曲によるばらつきはあるが,すべてのエラーの 割合は平均で0.15%(S.D. 0.13%)であり,電子楽譜 に残存するエラーによるものを除き,自動翻訳エラー だけの割合は0.06%(S.D. 0.09%)であった.事前に 精査・修正し,できるだけ正確な電子楽譜を使用した 評価であったが,エラー総数の6割が電子楽譜に残存 するエラーによっていた.自動翻訳エラーは,電子楽 譜への変換エラーより小さいことが確認でき,市販の 電子楽譜作成ソフトの作成精度と同等の翻訳精度をも つことが確認できた. 一方,構文的にはエラーではないが,点訳者からす れば読みにくく,読みやすくするために約2%のマス が修正された.具体的な修正内容としては,五線譜に 二つの声部が存在する場合に,小節単位での二つの 声部表現(部分け表現)を拍単位での二つの声部表現 (内分け表現[1])へと変更したり,二つの声部を和音 で簡略化したりすることなどであった.このような指 摘のもとで,読みやすさを実現する機能強化を継続し て進めており,前者については現在対応済みである. また,MusicXMLでの修正の作業時間を含まない 点訳だけの作業時間であるが,推定平均約3時間の作 業時間がシステムを利用することで約1時間になり,
約7割短縮されたと報告された.また,システムの操 作性としての使いやすさは,主観的ではあるが良いと 評価され,支障なくネットワーク経由で利用できてい ることが確認された.点訳内容に関しては,それぞれ の楽譜に対して「全体的にはよくできている.十分使 えると思います.」,「この楽譜に関しては十分使えま す.」,「原曲はまだ自動翻訳は難しいです.この楽譜は 初心者用にアレンジしてあります.」とのコメントが寄 せられた.MusicXMLへの変換エラーがなく,上級 者向けの楽譜でなければ自動翻訳機能は実用に値する と評価された. なお,電子楽譜に残存するエラーでは,五線譜上で のペダル記号,強弱記号,フェルマータなどの奏法記 号と,音符との微妙な位置ずれが原因となって,奏法 記号と音符の順序を取り違える場合が多い.これは, MusicXML(ver. 1.1以前)の電子楽譜では強弱記号 や奏法記号などに隣接する音符との間の微妙な位置関 係を記述する機能(offset要素)がサポートされていな いためであり,このような変換エラーは,自動翻訳時 に音符と記号の係り受けのエラーとなって現れる.こ の問題については,MusicXML(ver 2.0)ではoffset
要素がサポートされたことで改善されている.本シス テムでは,ver. 2.0以降のMusicXMLの電子楽譜の 利用を推奨している.
4.
点字楽譜の提供システム
4. 1 基 本 計 画 楽譜に関する情報格差の是正のためには,インター ネットで公開されている電子楽譜が点字楽譜としても 同様に公開できるシステムの構築が望まれる. 著作権法では,翻訳にも著作権者の許諾が必要であ る.点字に翻訳する場合には著作権法第三十七条によ り著作権が制限され,許諾を得ずとも翻訳でき,更に 第三十七条3項に「公表された著作物については,電 子計算機を用いて点字を処理する方式により,記録媒 体に記録し,又は公衆送信(放送又は有線放送を除き, 自動公衆送信の場合にあっては送信可能化を含む.)を 行うことができる.」と定められている.ユーザが,公 開されている電子楽譜サイトの電子楽譜を本システム 経由で間接的に指定すると,自動翻訳システムが直接 電子楽譜(MusicXML)にアクセスして点字楽譜へと 翻訳し,ユーザには点字楽譜だけが公開される枠組み を本システムで構築する.この機能を用いることで, 公開された電子楽譜はもちろん,ユーザ所有の楽譜に ついて,楽譜自体は非公開としつつも翻訳結果の点字 楽譜を合法的に配信するサイトを運営することも可能 となる.このユーザが点字楽譜を配信するユーザ管理 サイトを試用公開し[13],約4000曲の電子楽譜を点 字楽譜に翻訳しながら公開できる枠組みを構築するこ ととした. 更に視覚障害者のユーザによる利用評価を促すため に,本システムで自動翻訳した点字楽譜,経験豊富な 点訳者がエラーなど最小限の修正を施した点字楽譜, 読みやすく修正した点字楽譜を試験公開することにし た.また,参考情報として,出典としての楽譜の書誌 情報,自動翻訳時のオプション設定内容,翻訳エラー があればその詳細情報も公開することにした. このシステムは,自動翻訳システム以上に視覚障害 者ユーザの利用を想定して,自動翻訳システム同様, パソコン画面の読み上げソフトを介して利用されるこ とを意識して,ページは単純な構造とし,テキストだ けで構成することとした. 4. 2 システムの実装 図10にWEB連携自動翻訳システムの構成を示す. 外部サイト上の電子楽譜に本システムがアクセスして, それを自動翻訳システムで点字楽譜に翻訳してユーザ に提供するために,WEB連携機構を備えている. WEB連携機構では,アクセスする電子楽譜サイトのURIはリストにして,あらかじめSite Listに登録 する.次に,ユーザが本システムにアクセスする際に,
本システムのURLの後ろに電子楽譜サイトのニック
ネームとサイト内の楽譜の相対パスの情報をパラメー
タとして付加する.例えば,HTMLでリンクを指定す
図 10 WEB連携自動翻訳システムの構成 Fig. 10 The configuration of an Internet linked
る<a>タグを利用する場合には,href属性にそのア ドレスとパラメータを指定する.このようにして本シ ステムにアクセスすると,本システムではニックネー ムをキーとしてSite Listを検索し,電子楽譜サイト のURIを得て,それと楽譜の相対パスとを組み合わ せることで電子楽譜のアドレスを決定する.その後, 本システムが電子楽譜に直接アクセスして自動翻訳し, 翻訳結果の点字楽譜だけをユーザに戻している.この WEB連携機能によって,ユーザは外部サイトの電子 楽譜に直接触れることなく,点字楽譜の入手が可能に なる.更に,電子楽譜サイトにおいて本システム以外 のIPアドレスからのアクセスを制限することで,電 子楽譜に対する外部からのアクセスは抑止して,点字 楽譜だけを提供するような構成も可能となる. 本システムは,以下に示すアドレスで,
http://gotoh-lab.jks.ynu.ac.jp/braille music score/index.html
日本語,英語,スペイン語,ポルトガル語の楽譜点訳 ホームページを整備している. 4. 3 利用実績に基づく評価 自動翻訳システムは2006年3月から公開している が,その後点字楽譜の提供システムを公開し,ログ収 集の体制が整った2008年1月から2009年11月まで の利用者のログから点字楽譜の提供システムの利用状 況を分析した. 本システムで翻訳された電子楽譜の由来を表3に示 す.電子楽譜サイトの電子楽譜利用が約62%,ユーザ が用意した電子楽譜が約29%となっており,電子楽譜 サイトの電子楽譜が貴重な情報源となっていた.内部 のデータベースについては,曲数が少数であることも 影響して,約4%の利用にとどまった.また,試行段 階ではあるが,ユーザが点字楽譜を公開するユーザ管 理サイトの実現可能性が確認できた.この実態から, WEB連携機能が点字楽譜の生成に大きく貢献してお り,電子楽譜の確保の意義が確かめられた. 総合的な利用実態の調査では,自動翻訳ページを含 めた平均アクセス件数は,月当り約5000件であった. ただし,これにはインターネット検索エンジンのロボッ 表 3 翻訳された電子楽譜の由来
Table 3 Origins of digital scores.
ト検索からのアクセス数とフロントページだけを閲覧 するアクセス数が含まれている.このうち,実際に自 動翻訳システムを実行した利用件数の推移を図11に まとめて示す.システムが安定した2008年3月から 8月は平均月当り約420件利用された.2008年9月 から11月は点訳ボランティア団体に自動翻訳の評価 を依頼した時期であり,利用件数が急増した.その後, 2009年8月と9月のハードウェア障害によるシステ ム休止期間を除き約500件程度の利用に定着してい る.また,英語のページを経由して海外から月当り約 50件利用されている.スペイン語,ポルトガル語の ページのログ収集は行っていないが,中国,オースト ラリア,米国,ブラジルなどからも利用されている. 処理時間については,日本語ページの1件当り平均 21.3秒に対して,英語ページでは878.3秒と大きな開 きがある.メールによる問合せから交響曲に興味をも つ視覚障害者の作曲家が英語ページを利用しているこ とが判明しており,この開きはその影響と推察される. IPアドレスから解析した繰返し利用の状況を表4 に示す.DHCP経由での接続や共用PCからの接続 図 11 BrailleMUSEの利用件数の推移 Fig. 11 The change in use of BrailleMUSE.
表 4 繰返し利用の状況 Table 4 Status of repeated use.
の可能性も考えられ,厳密にユーザ数と対応しないが, 約72%が1回の利用であり,残りの約28%は複数回 の利用である.うち約26%は2回から6回の利用で ある.ごく少数ではあるが,約300回も繰り返して利 用するIPアドレスも存在した.これは,本システム が点字楽譜を必要としているユーザにある程度受容さ れている証左ととらえられる.
5.
考
察
5. 1 ユーザとの交流の意義 約10年間電子楽譜から点字楽譜へ翻訳する研究を 続けてきたが,本システムの開発で計画した機能がほ ぼ整った.電子楽譜に記述された楽譜情報に対して構 文的に正しく翻訳でき,点字楽譜をユーザの需要に応 じた表記ができるまでに発展させてきた.点字楽譜に ついての学習を含め,翻訳された点字楽譜の評価など, ユーザでもある点訳ボランティア団体の協力がなけれ ば,ここに至ることは不可能であった. MusicXMLへの変換エラーが含まれている電子楽 譜から翻訳した点字楽譜は,ボランティアであるがた めに士気が高い点訳者にとっては評価に値しない点字 楽譜となってしまった.点訳ボランティア団体の協力 を仰ぐには,良質なMusicXMLの電子楽譜の確保が 課題となる.この問題に対しては,交響曲や室内楽を 中心に約1200曲を有する電子楽譜の販売サイトから 点字楽譜として翻訳し公開することの許諾を得た.こ れらの楽譜を利用したデータ連携の準備を進めており, 現在,限定したユーザに協力を願って最終確認を進め ている.これらについては,本システムのホームペー ジで近く公開する予定である. システムの開発研究において,実用化されるシステ ムになり得るかどうかはその分野の専門家に受容さ れるかどうかにかかっている.本システムでは,自動 翻訳機能だけでなく,その機能を使用するための周辺 機能も同時に整備したことで,点訳者や視覚障害者に 自動翻訳の機能評価について協力を仰ぐ環境を整え ることができた.翻訳機能だけでなく,点字楽譜の生 成に対して周辺機能が果たす補完性を意識し,本シ ステムの名称にEnvironmentを用い,BrailleMUSE(Braille MUsic Support Environment)と命名した. 本質的な機能はいうまでもないが,その機能を受容し やすい周辺機能の整備が実用化に向けては重要だと考 えている. 自動翻訳機能は,市販されている点訳ソフトで翻訳 された点字楽譜との比較検討もシステム評価としては 重要である.しかし,この評価も点訳者に依頼しなけ ればならず,ボランティア団体にこのような評価を依 頼するのは現実的には困難であり,現時点では実施で きていない.そこで,4. 3で触れたパワーユーザであ る視覚障害者の作曲家は点訳ソフトの使用経験も豊富 であるため,機能の比較を依頼した.世界的に最も充 実しているDZBのMAKEBRAILLEとの翻訳機能 の差は明確にはならなかったが,リアルタイムで翻訳 できるネットワーク対応の公開性,電子楽譜サイトの データを利用できるデータの連携,ユーザ自らの電子 楽譜を本システムで点字楽譜へ翻訳しながら公開でき る拡張性は他のシステムにない特長と評価された. 更に,交響曲の楽譜はデータ量が膨大であり点訳時 間を要すため,ブラウザのタイムアウトにより点字楽 譜がダウンロードできないと苦情が寄せられていた. これに対して,登録ユーザには点字楽譜をメールの添 付ファイルとして送信する機能を付加したところであ る.このようなユーザとの交流が,システム開発には 促進力になると考えている.しかし,ホームページに アンケート欄を設けているが,回答が少なく,視覚障 害者の利用割合など実態が把握できない現状である. ユーザの声の収集方法の改善は課題である. 5. 2 点字楽譜への翻訳に関する課題 五線譜では,休符が省略されていても,小節内の上 下の声部の音符が,拍単位で見て,多少左右にずれ ていても,利用者が判断するため正しい情報が得ら れる.市販されている電子楽譜作成ソフトの中には, MusicXML(ver2.0)に未対応のソフトもあり,出力 された電子楽譜に誤りが見られる場合もある.点字楽 譜への翻訳に耐える電子楽譜作成ツールの普及を期待 している. 視覚障害者が利用する画面の読み上げソフトは,楽 譜情報には対応していない.自動翻訳システムの機能 をより有効に利用するために,電子楽譜や点字楽譜の 楽譜記号の一つ一つを効率良く伝えられる簡便なツー ルの開発が課題となる. また,ボランティアに支えられている現行の点字楽 譜の供給体制に対して,自動翻訳技術を組み込むには, ネットワーク環境を含めたコンピュータの基盤整備と 維持管理が必要である.これらを支える体制づくりが 大きな課題である.
6.
む す び
電子楽譜から点字楽譜を生成するインターネット連 携自動翻訳システムについて述べた.本システムはイ ンターネット上で利用でき,電子楽譜を点字楽譜へ翻 訳するシステムであり,インターネット上で公開され ている電子楽譜を利用できるWEB連携機能が特徴 である.自動翻訳機能は,経験豊富な点訳者から良質 な電子楽譜であれば実用に値すると評価された.約2 年にわたるログの分析から,海外からのアクセスも含 めて月約300∼600件程度利用されていた.また,電 子楽譜サイトの電子楽譜の利用割合が高いことから, 本システムは,利用者にとって楽譜情報に関する格差 是正の手段の一つとして定着しつつあることが確認で きた. 自動翻訳機能の開発と並行して,ユーザが使いやす い環境をWEB連携機能として開発したことが利用を 促した.引き続き関係各位の協力を得ながら,点訳の ための素材提供やユーザの直接利用に耐えるシステム に育てたいと考えている. 謝辞 本研究の実施にあたって,横浜国立大学准教 授島田先生にはシステム要件の検討で,点訳者の大山 口さんと松永さんには点字楽譜の評価で,櫨山さんに はWEB連携システム構築でお世話になった.更に, 本研究の一部は,科学研究費(課題番号:21500512) の研究助成のもとで実施している.この場を借りて関 係各位に謝意を表したい. 文 献 [1] 文部省,点字楽譜の手引き,日本ライトハウス,大阪,1984. [2] “スコアメーカのページ,” http://mysmaker.com/ index.html, Dec. 2009.[3] T. Matsushima, “Automatic printed-music-to-Braille translation system,” J. Inf. Process., vol.11, no.4, pp.249–257, 1989.
[4] Recordare, “MusicXML software,”
http://www.recordare.com/software.html, Dec. 2009. [5] DZB, “Deutsche zentralb¨ucherei f¨ur Blinde zu
Leipzig (DZB),” http://www.dzb.de/ index.php?site id=5.7, Dec. 2009.
[6] W.R. McCann, “New tools for transcribers and blind musicians from duxbury and dancing dots,” Proc. Tech. and Persons with Disabilities Conference, 2005, http://www.csun.edu/cod/conf/2005/proceedings/ 2461.htm, Dec. 2009.
[7] “Braille music translation software—Toccata,” http://members.optusnet.com.au/˜terryk/ toccata.htm, Dec. 2009.
[8] “FreeDots — MusicXML to Braille music
transla-tion,” http://delysid.org/freedots.html, Dec. 2009. [9] T. Kahlisch, M. Leopold, and C. Waldvogel,
“DaCapo, a project on transforming ink printed to Braille notes semi-automatically: The project’s cur-rent state,” Proc. ICCHP ’04, pp.224–227, 2004. [10] 森野比佐夫,後藤敏行,田村直良,“文脈自由文法に基づく 点字楽譜の自動解析の検討,”信学論(D-I),vol.J85-D-I, no.5, pp.402–410, May 2002. [11] 田村直良,後藤大輔,後藤敏行,“楽譜記述言語 MusicXML からの楽譜自動点訳システム,”情報科学技術レターズ, vol.5, pp.333–336, Sept. 2006.
[12] D. Goto, T. Gotoh, R. Minamikawa-Tachino, and N. Tamura, “A transcription system from MusicXML format to Braille music notation,” EURASIP, vol.2007, Article ID 42498, 2007. [13] “点字楽譜のページ,” http://www6.plala.or.jp/ Braille-Score/, Dec. 2009. (平成 22 年 1 月 8 日受付,5 月 7 日再受付) 後藤 敏行 (正員) 1981東京工業大学大学院総合理工学研 究科博士課程後期了.工博.同年,(株)富 士通研究所入社,1990 横浜国立大学工学 部助教授,1996 同大学大学院工学研究科 教授を経て,現在,同大学院環境情報研究 院教授.画像処理,コンピュータビジョン, 福祉情報工学の研究に従事.IEEE,情報処理学会,映像情報 メディア学会等各会員. 田村 直良 (正員) 1985東工大大学院理工学研究科情報工学 専攻博士課程了.工博.同年,東工大助手. 1987横浜国大工学部講師.助教授,1996 同大教育人間科学部教授を経て,2001 同 大学院環境情報研究院教授.自然言語処 理,特に文章構造の解析,文章理解の研 究,音声合成,認識の応用,福祉情報工学の研究に興味をもつ. FIT2006論文賞.情報処理学会,人工知能学会,言語処理学 会,日本心理学会各会員. 立野 玲子 (正員) 1979津田塾大学大学院理学研究科修士 課程了.同年,東京都臨床医学総合研究所 入所,2000 お茶の水女子大学大学院人間 文化研究科後期課程了,博士(理学),現 在,(財)東京都医学研究機構・東京都臨 床医学総合研究所にてバイオイメージング, メディカルグラフィックス,福祉情報工学に関する研究に従事. IEEE,情報処理学会,バイオイメージング学会等各会員.