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PⅢ.2-342

5.大気質予測シミュレーション

5.1 本研究の目的および概要 5.1.1 本研究の背景 わ が 国 で 大 気 環 境 基 準 が 定 め ら れ て い る 物 質 の う ち 、 自 動 車 か ら の 排 出 ガ ス が 直 接 寄 与 し て い る と 考 え ら れ る 物 質 は 一 酸 化 炭 素(CO)、 二 酸 化 窒 素 (NO2)お よ び 浮 遊 粒 子 状 物 質 (SPM)があげられる。このうち、CO はすでに 1970 年代より環境基準達成率は 100%であ る が 、NO2お よ び SPM は、逐次、環境基準達成にむけて排出ガス規制値の強化がおこなわれ て き た 。近 年 は 自 動 車 NOx・PM 法 の改正、東京都など八都県市の条例による PM 排出規制 な ど 特 に デ ィ ー ゼ ル 車 へ の 規 制 の 動 き が 著 し い 。 東 京 都 内 に お け る SPM お よび NO2の 大 気 中 濃 度 の 推 移 お よ び 各 種 規 制 の 動 向 を Fig.5.1.1 お よ び Fig.5.1.2 に 示 す 。それ に よ ると 、 自 動 車 排 出 ガ ス 規 制 な ど の 効 果 に よ り 、SPM、NO2共 に 濃 度 が 低 下 し 、特 にSPM は、こ こ 数 年 で 一 般 大 気 環 境 測 定 局(一 般 局 )お よ び 自 動 車 排 ガ ス 測 定 局 (自 排 局 )の 全 局 で 環 境 基 準 を 達 成 し て い る 。NO2の 改 善 は SPM に比べて緩やかであり、環境基準達成率に関しても一 般 局 は 全 局 で 達 成 し て い る も の の 、 特 に 都 心 の 交 通 量 の 多 い 幹 線 道 路 沿 い に は 環 境 基 準 を 満 た し て い な い 自 排 局 が 一 部 に 存 在 し て い る 。 EQS 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 Y ear ly 98% V al u e of S P M in T oky o (m g/ m 3) Fiscal Year S u lfer co nt e n t i n di e sel o il le ss than 0. 2 % Sul fe r co nt e n t i n di es el O il le ss th a n 0 .0 5 % S u lfer co nt e n t i n di e sel o il le ss th an 5 0pp m S u lfer co nt e n t i n di e sel o il le ss th an 1 0pp m Sul fe r co nt en t i n di es el o il le ss t han 0. 2 % Ambient Air Pollution Monitoring Station Roadside Air Pollution Monitoring Station

No data for Roadside Air Pollution Monitoring Station

S m a ll b o ile r r e g u la tio n ga s t u rb in e & di e sel eng ine regu la tio n G a s & gaso lin e E n gi ne reg ul at io n D V s h o rt-te rm re g u la tio n In ci n e ra to r re g u la tio n D V lo ng -t er m re g ul a tion S m a ll In ci n e ra to r re g u la tio n B an of fi el d b ur n ing Sm al l I nc iner at or re gul at ion D V ne w sh or t-te rm re g u la tion DV c o n tr o l D V new l on g-te rm regu lat io n

DV: Diesel fueled vehicle

Aut o m o bi le NO x/ PM lo w regu la tio n Fig.5.1.1. 東 京 都 内 におけるSPM濃 度 の推 移 と規 制 動 向

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PⅢ.2-343 0 0.02 0.04 0.06 0.08 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 Y ear ly 98% V al u e o f N O 2 in T ok yo (ppm ) Fiscal Year EQS The 3 rd So o t & sm o ke e m ittin g fa cilitie s r e g u la tio n G V r eg ul at ion i n 19 78 G & D V re g u la tio n in 1 9 7 9 The 4 thSoo t & s m ok e e m ittin g fa cilitie s r e g u la tio n G V reg u lat io n i n 19 8 1 G & D V regu lat io n in 198 2 The 5 thSoo t & s m ok e e m ittin g fa cilitie s r e g u la tio n DV re gul a tion in 1 983 N O x em is si on cont ro l n o tif ic a tio n DV re gul a tion in 1 986 D V regu lat io n in 198 7 G & D V re g u la tio n in 1 9 8 8 G & D V r eg ul a tion in 19 89 G & D V re g u la tio n in 1 9 9 0 G V s hor t-ter m & D V regu lat io n in 199 2 D V s h o rt-te rm re g u la tio n A u to m o bile N O x lo w re g u la tio n G V long -t er m re gul a tion D V long -t er m re gul a tion G V re g u la tio n in 1 9 9 8 G V new sh or t-te rm regu la tion A u to m o bile N O x/ P M lo w re g u la tio n D V new sh or t-ter m regu lat ion D V new l on g-te rm re gul at ion Fig.5.1.2 東 京 都 内 におけるNO2濃 度 の推 移 と規 制 動 向 今 後 、自 動 車 排 ガ ス に 対 す る 規 制 は 、平 成 17 年の環境省中央環境審議会の第 8 次答 申 に 基 づ き 、当 時 、デ ィ ー ゼ ル 車 に 対 し 世 界 最 高 水 準 の 厳 し い 規 制 で あ る「 ポ ス ト 新 長 期 規 制 」 が 掲 げ ら れ 、H21 年 10 月より順次適用されることになる。 一 方 、 地 球 温 暖 化 の 観 点 か ら 、 わ が 国 に お い て も 運 輸 部 門 に お け る CO2 排 出 量 削 減 は 、 喫 緊 の 課 題 で あ る 。そ の た め 2015 年度に乗用車のガソリン 1 リットルあたりの走行距離を 2004 年度比で平均 23.5%伸ばすことが義務づけられ、大型車についても 2006 年 4 月より、 世 界 初 の 燃 費 規 制 が 開 始 さ れ て い る 。 5.1.2 本研究の目的

次 世 代 低 公 害 車 と し て 開 発 さ れ た 、NEDO 開 発エンジンおよび NEDO 開発車両は、NOx お よ び PM 排出量が低く、燃費もガソリン車に比較して 2~3 割良いために、地球温暖化対 策 と し て も 注 目 さ れ て い る 。 こ れ ら の 次 世 代 低 公 害 車 が 普 及 し た 場 合 、 特 に 都 市 中 心 部 の 幹 線 道 路 近 傍 で 問 題 で あ る NO2 濃 度 に 対 し て も 効 果 が 期 待 で き る と 考 え ら れ る が 、 そ の 効 果 を 定 量 的 に 把 握 し よ う と す る 場 合 に は 、発 生 源 か ら の NO2排 出 量 を 正 確 に 把 握 す る こ と は も と よ り 、原 因 物 質 で あ る 窒 素 酸 化 物(NOx)の 低減が NO2低 減 に 直 接 結 び つ き に く い と い う 特 徴 を 理 解 し た 検 討 が 必 要 で あ る 。そ れ に は NO2が 発 生 源 か ら 直 接 排 出 さ れ る 一 次 汚 染 物 質 で あ る と 同 時 に 、大 気 中 の 化 学 反 応 で 生 じ る 二 次 物 質 で も あ る こ と 、 ま た 、 幹 線 道 路 近 傍 で あ っ て も 、 道 路 上 の 発 生 源 か ら の 直 接 的 な 寄 与 以 外 に も 後 背 地(バ ッ ク グ ラ ウ ン ド )か ら の 流 入 が あ る こ と 、 の 二 つ の 点 を 予 測 手 法 に 組 み 込 ま な く て は な ら な い 。

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PⅢ.2-344 本 研 究 で は 、 次 世 代 低 公 害 車 が 導 入 さ れ 、 普 及 し た 場 合 に 、 特 に 都 市 中 心 部 で 問 題 と な っ て い る NO2濃 度 に 対 し て ど の よ う に 効 果 が あ る か と い う こ と に つ い て 、次 世 代 低 公 害 車 導 入 普 及 時 の 排 出 量 の 変 化 お よ び 低 減 効 果 を 予 測 す る 。 ま た 、 排 出 量 推 計 結 果 を も と に 予 測 し た 広 域 的 な 大 気 汚 染 物 質 の 濃 度 計 算 結 果 を も と に 、幹 線 道 路 近 傍 に お け る NO2濃 度 低 減 効 果 を 予 測 し 、 総 合 的 に 大 気 環 境 へ の 影 響 を 把 握 す る こ と を 目 的 と し た 。 5.1.3 大気質予測シミュレーションの概要 大 気 質 の 予 測 は 大 き く 3 つのステップでおこなった。すなわち、①自動車排出量推 計 モ デ ル に よ る 自 動 車 排 出 量 低 減 予 測 、② 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル に よ る 広 域 大 気 環 境 改 善 予 測 、 ③ 自 動 車 排 出 ガ ス 測 定 局 濃 度 推 計 で あ る 。 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル は 自 動 車 以 外 の す べ て の 汚 染 物 質 の 影 響 や 気 象 条 件 を 考 慮 す る も の で 、 一 般 局 に お け る 大 気 汚 染 物 質 測 定 結 果 で モ デ ル 再 現 性 の 確 認 を 行 っ た 。 ま た 、 将 来 の 自 動 車 排 出 量 を も と に 将 来 の 広 域 大 気 濃 度 を 予 測 し た 。 自 動 車 排 出 ガ ス 測 定 局 濃 度 推 計 は 、 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル で 得 ら れ る バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 濃 度 と 、 排 出 量 推 計 結 果 か ら 得 ら れ る 自 動 車 直 接 寄 与 濃 度 に 分 け て 推 計 す る 。 計 算 に 用 い た 各 モ デ ル や デ ー タ の 流 れ を Fig5.1.3 に 示 す。

①自動車排出量

推計モデル

低減幅 現在の自動車排出量 将来の自動車排出量 一般大気環境 測定局データ (現況の広域濃度) 自動車排ガス 測定局データ (現況の沿道濃度) 現況の沿道の 自動車直接寄与分 将来の沿道の 自動車直接寄与分

②広域大気質

予測モデル

現況の 広域濃度 将来の 広域濃度 将来の沿道濃度 差分 現況 将来 モデル再現性 の確認

③自動車排出ガス

測定局濃度推計

Fig.5.1.3 大 気 質 予 測 シミュレーションの流 れ 5.2 自動車排出量推計モデル 自 動 車 か ら の 排 出 量 推 計 に は JCAPⅡ 広 域 自 動 車 排 出量 推 計 シ ステ ム を 用 いた 。 こ れに よ り 、走 行 時 お よ び 始 動 時 の テ ー ル パ イ プ エ ミ ッ シ ョ ン 、エ バ ポ エ ミ ッ シ ョ ン(Running Loss, Diurnal Breathing Loss, Hot Soak Loss)、 車両走行に伴うタイヤ磨耗および巻き上げ粉じん

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PⅢ.2-345 の 計 算 が 可 能 で あ る 。 対 象 汚 染 物 質 は NOx、CO、SO2、THC、PM である。走行時テール パ イ プ エ ミ ッ シ ョ ン 算 出 に 用 い る ベ ー ス 排 出 係 数 は 平 成 17 年度までの環境省による排出 原 単 位 の 値 が 使 え る 。計 算 対 象 を 2000 年度とすると長期規制までが考慮されることになる。 交 通 量 は 平 成 11 年度道路交通センサスおよび全国輸送統計年報のデータにより求めた 幹 線 道 路 と 細 街 路 の 交 通 量 の デ ー タ が 準 備 さ れ て い る 。ま た 平 日 ・休 日 別 で も シ ス テ ム 内 の デ ー タ と し て 準 備 さ れ て い る 。NOx および CO の排出は気温・湿度の影響を受けるため、月 平 均 温 湿 度 の デ ー タ を 使 用 す る 。結 果 と し て 、自 動 車 排 出 量 デ ー タ は 月 別 平 日 ・休 日 別 の デ ー タ と し て 算 出 さ れ る 。 デ ー タ の 空 間 解 像 度 は 、 日 本 全 国 を 対 象 と す る 場 合 の 二 次 メ ッ シ ュ(約 10km 四方)および関東圏の三次メッシュ(約 1km 四方)となっている(Fig.5.2.1)。時間 分 解 能 は 1 時間である。 Fig.5.2.1 JCAPⅡ自 動 車 排 出 量 推 計 モデルにおける計 算 対 象 領 域 (日 本 および関 東 ) 2000 年度計算では、ランニングロスおよび DBL 計算に かかわる RVP 値は季節によらず 一 律 68kPa とした。 得 ら れ た 汚 染 物 質 排 出 量 は NOx、THC、PM についてはそのままでは化学反応計算がで き な い た め 、JCAPⅡに おいて使用した組成分類データをもちい個別成分に分解した 1)。た だ し 、 デ ィ ー ゼ ル 車 か ら の NO2:NO 比は従来の大気質予測モデル 2)で は 体 積 比 で 10:90 と い う 値 が 用 い ら れ て い た が 、NO2に 着 目 し た 試 験 結 果 に 基 づ き 14:86 と見直した 3)。 本 推 計 で 算 出 さ れ た 自 動 車 か ら の NOx お よび PM の 排出量推計結果例として、2000 年 4 月 の 日 本 全 国 お よ び 関 東 圏 に お け る 、 幹 線 道 路 走 行 時 の 自 動 車 NOx および PM 排出量 を Fig.5.2.2 お よ び Fig.5.2.3 に 示 す 。

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PⅢ.2-346 0 400 800 1200 1600 全国幹線道 路走行時の自動車 NO x 排出 量 (t /d a y) 全国 0 100 200 300 400 関東幹線道路走 行時の自動車 NO x 排出 量 (t /d a y) 関東圏 ガソリン軽乗用 ガソリン乗用 ガソリンバス ガソリン軽貨物車 ガソリン小型貨物車 ガソリン普通貨物車 ガソリン特殊車 ディーゼル乗用 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特殊車 二輪車 Fig.5.2.2 2000年 幹 線 道 路 走 行 時 の自 動 車 NOx排 出 量 推 計 結 果 0 40 80 120 全国幹線道 路走行時の自動車 PM 排出 量 (t /d a y) 全国 0 10 20 30 関東圏幹線道路走行時の自動車 PM 排出 量 (t /d a y) 関東圏 ディーゼル乗用 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特殊車 Fig.5.2.3 2000年 幹 線 道 路 走 行 時 の自 動 車 PM排 出 量 推 計 結 果 5.3 広域大気質予測モデル 5.3.1 広域大気質予測モデルの概要 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル は 、 関 東 一 円 に 高 濃 度 の NO2や SPM 汚 染が観測されるようなエ ピ ソ ー ド や 、 光 化 学 オ キ シ ダ ン ト が 生 成 す る よ う な 、 広 域 的 に 大 気 中 の 反 応 が 絡 む 大 気 汚 染 現 象 を 再 現 し 、 対 策 を 講 じ る た め の ケ ー ス ス タ デ ィ 計 算 を 実 施 す る の に 適 し て い る 。 本 研 究 で は NO2に 対 す る 効 果 を 検 討 す る た め 、JCAPⅡ(Japan Clean Air Program II、 大気環

境 改 善 の た め の プ ロ グ ラ ム)における公開モデル 4)か ら 、JCAPⅡ広 域大気質予測シミュレー

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PⅢ.2-347

出 量 推 計 シ ス テ ム の 推 計 結 果 を 、自 動 車 以 外 の 排 出 量 は EAGrid2000-JAPAN5)を 用 い た 。そ の 他 に 必 要 な 気 象 デ ー タ の 作 成 に は 気 象 モ デ ル RAMS(Regional Atmospheric Modeling System)の 計算結果を用いた。モデルと入出力データの一覧を Fig.5.3.1 に示す。 自動車以外汚染物質排出量 EAGrid2000-JAPAN 固定発生源(大規模煙源含む) オフロード車,航空機・船舶, 植物起源VOC 自動車からの汚染物質排出量 JCAP II自動車排出量推計システム 気象モデル RAMSver4.4 気象モデルデータ変換プログラム MCIPver2(JCAPⅡ版)

CMAQver4.5

(気象モデルRAMS対応版) 本体CCTM CMAQのプリプロセッサ 境界条件 BCON 初期条件 ICON 光解離定数用データ JPROC

大気中濃度

Fig.5.3.1 広 域 大 気 質 予 測 モデルと入 出 力 データの関 係 5.3.2 気象モデル RAMS 気 象 デ ー タ の 作 成 は 気 象 モ デ ル RAMSver4.4 を用いた。RAMS の初期化と連続的ナッジ ン グ の た め の 境 界 条 件 は ヨ ー ロ ッ パ 中 期 予 報 セ ン タ ー(ECMWF)の Operational analysisdata の 6 時 間 毎 、水 平 解 像 度 緯 度 経 度 0.5 度、気圧面レベル(1000、925、850、700、500、400、 300、250、200、150、100、70、50、30、10hPa)のジオポテンシャル高度、温度、相対湿度、 水 平 風 成 分 の 気 象 デ ー タ を 用 い た 。

RAMS の 計算結果は Ralph2 とよばれる形式で出力設定時間ごとのファイルとなるため、 JCAPⅡ広域大気質シミュレーションシステム版 MCIP2 により CMAQ 用入力データに変 換 し た 。

5.3.3 大気質予測モデル CMAQ

JCAPⅡ広域大気質シミュレーションシステムは、米国 EPA が開発しノースカロライナ 大 学 内 のCMAS(Community Modeling and Analysis System)が公開している CMAQ (Models-3/ Community Multi Scale Air Quality)ver4.4 をメインモデルとしている。従来の CMAQ は、ペ ン シ ル バ ニ ア 州 立 大 学 ・米 国 大 気 科 学 研 究 セ ン タ ー に て 開 発 さ れ た 気 象 予 測 プ ロ グ ラ ム Mesoscale Model 5(MM5)の出力をプリプロセッサ MCIP を介して気象データとして取り込 む よ う に 設 計 さ れ て い る 。JCAPⅡ で用いた気象モデル RAMS は MM5 と計算格子の構造が 大 き く 異 な る た め 、JCAPⅡ広域大気質シミュレーションシステムでは RAMS の出力 を気 象 デ ー タ と し て 扱 え る よ う 、CMAQ 本体および気象データ作成用のプリプロセッサ MCIP に 改 良 が 加 え ら れ た シ ス テ ム と な っ て い る 。2008 年現在、CMAQ の ver は 4.6.2 となって お り 、 モ デ ル 自 体 に 大 き な 変 更 は 加 え ら れ て い な い が 、 プ ロ グ ラ ム 内 で の 格 子 構 造 の 設 定

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PⅢ.2-348 方 法 の 変 更 、 海 塩 粒 子 計 算 の 実 施 、 計 算 時 間 の 短 縮 、 な ど の 改 良 が な さ れ て い る 。 本 研 究 で は 以 上 の 変 更 が 加 味 さ れ て い る CMAQver4.5 をコアモデルとし、RAMS によ る気象デー タ を 用 い る た め JCAPII 広域大気質シミュレーションシステムから対応する改良部分を取 り 込 み 用 い る こ と と し た 。MCIP についても JCAPII 広域大気質シミュレーションシステム の も の を 使 用 し た 。 な お CMAQ では、化学反応スキームや計算手法に関して、ある程度ユーザーが適当なも の を 選 択 で き る 仕 組 み に な っ て い る 。 本 研 究 で は ユ ー ザ ー 設 定 パ ラ メ ー タ を 表 5.3.1 の よ う に 設 定 し た 。 表 5.3.1 CMAQ の モ デ ル 本 体のパ ラ メ ータ設 定 主なパラメータ 手法 化学反応モデルドライバー  ctm 濃度計算の最終調整法 denrate 水平方向移流計算 hppm 鉛直方向移流計算 vppm 渦拡散計算 eddy 光解離 あり 化学反応式解法 ebi_saprc99 エアロゾルモジュール aero4 エアロゾル沈着 あり 化学反応式のセット SAPRC99-aero4-aq 5.3.4 モデル対象領域および格子設定 モ デ ル 対 象 領 域 は JCAPⅡにお ける計算を参考に、本州をほぼカバーする領域を G1、関 東 を G2 とする二重ネスティングの領域とした。格子条件および鉛直層構造も JCAPⅡと そ ろ え た(Fig.5.3.2)。鉛直方向の計算領域は海抜 13834.7m までの領域を G1 は 29 層、G2 は 36 層に分割し、G2 の最下層は 25m とした。

日本領域

G1

関東領域

G2

標高(m) 標高(m) Fig.5.3.2 広 域 大 気 質 予 測 モデルCMAQ計 算 対 象 領 域

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PⅢ.2-349 5.3.5 CMAQ の境界条件 本 研 究 で は Fig.5.3.2 の よ う に計算 を 日 本領域 か ら 開始す る た め 、境 界 条 件の設 定 が 重 要 で あ る 。CMAQ のデフォルトの境界濃度プロファイルデータは米国対象の清浄な大気のデ ー タ で あ る た め 、 日 本 か ら 計 算 を 開 始 す る 場 合 の 境 界 条 件 の 設 定 に は JCAPⅠ に お け る 1999 年冬の観測結果を用いた 6)。 た だ し 、 モ デ ル 対 象 領 域 が JCAPⅠの領域から拡張され て お り 、 ほ と ん ど が 海 上 と な る た め 、 観 測 結 果 か ら 海 側 の 南 境 界 の デ ー タ を 主 に 採 用 し 、 東 西 南 北 す べ て の 境 界 に 適 用 し た 。 観 測 結 果 は 海 側 の 境 界 で は あ っ た が 都 心 か ら そ れ ほ ど 離 れ た 地 域 で は な か っ た た め 、や や 高 め で あ っ た NOx と粒子状物質中の炭素成分について は 観 測 値 の 中 か ら 最 低 値 を 用 い た 。 一 方 で NO2濃 度 に 影 響 が 大 き い と 考 え ら れ る O3に つ い て は 、(財)酸性雨研究センター所管の日本海側の地点である利尻・竜飛岬・佐渡関岬・八方 尾 根 ・隠 岐 に お け る 測 定 結 果 を 参 考 に 2000 年のバックグラウンドオゾンを 40ppb とした (Fig.5.3.3)。それぞれ鉛直方向への濃度減衰(O3に つ い て は 上 昇)は CMAQ デフォルトデ ー タ の 鉛 直 方 向 プ ロ フ ァ イ ル を 参 考 に 比 例 配 分 し て 設 定 し た 。本 研 究 で 適 用 し た CMAQ に お け る 初 期 お よ び 境 界 濃 度 を 表 5.3.2 に 示 す。

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PⅢ.2-350

表 5.3.2 広 域大 気 質予 測モデルCMAQ初 期 および境 界 濃度

物質名 地上~250m~600m ~1000m ~2000m ~4000m ~8000m ~12000m NO2 5.00E-03 5.00E-03 4.00E-03 2.80E-03 1.12E-03 0.00E+00 0.00E+00 NO 1.00E-03 1.00E-03 8.00E-04 5.60E-04 2.24E-04 0.00E+00 0.00E+00 O3 4.00E-02 4.00E-02 4.00E-02 4.00E-02 5.00E-02 6.00E-02 7.00E-02 HNO3 3.71E-05 3.71E-05 2.97E-05 2.08E-05 8.31E-06 2.49E-06 0.00E+00 CO 3.00E-01 3.00E-01 2.40E-01 1.68E-01 6.72E-02 2.02E-02 1.01E-02 SO2 5.00E-04 5.00E-04 4.00E-04 2.80E-04 1.12E-04 3.36E-05 1.68E-05 SULF 7.23E-05 7.23E-05 5.78E-05 4.05E-05 1.62E-05 4.86E-06 2.43E-06 HCHO 4.25E-03 4.25E-03 3.40E-03 2.38E-03 9.52E-04 2.86E-04 1.43E-04 ETHENE 4.84E-04 4.84E-04 3.87E-04 2.71E-04 1.08E-04 3.25E-05 0.00E+00 ALK1 1.39E-03 1.39E-03 1.11E-03 7.77E-04 3.11E-04 9.32E-05 0.00E+00 ALK2 2.20E-03 2.20E-03 1.76E-03 1.23E-03 4.92E-04 1.48E-04 0.00E+00 ALK3 4.12E-04 4.12E-04 3.29E-04 2.31E-04 9.22E-05 2.77E-05 0.00E+00 ALK4 3.59E-04 3.59E-04 2.87E-04 2.01E-04 8.05E-05 2.41E-05 0.00E+00 ALK5 6.60E-04 6.60E-04 5.28E-04 3.70E-04 1.48E-04 4.44E-05 0.00E+00 ARO1 4.16E-04 4.16E-04 3.33E-04 2.33E-04 9.32E-05 0.00E+00 0.00E+00 ARO2 1.85E-04 1.85E-04 1.48E-04 1.04E-04 4.15E-05 0.00E+00 0.00E+00 OLE1 1.23E-04 1.23E-04 9.84E-05 6.88E-05 2.75E-05 0.00E+00 0.00E+00 Sulfate 7.21E-01 7.21E-01 4.83E-01 3.87E-01 1.93E-01 9.66E-02 4.83E-02 Ammonium 8.91E-01 8.91E-01 5.97E-01 4.77E-01 2.39E-01 1.19E-01 5.97E-02 Nitrate 9.97E-01 9.97E-01 6.68E-01 5.35E-01 2.67E-01 1.34E-01 6.68E-02 OC 1.00E+00 1.00E+00 6.73E-01 5.39E-01 2.69E-01 1.35E-01 6.73E-02 EC 5.66E-01 5.66E-01 3.79E-01 3.04E-01 1.52E-01 7.59E-02 3.79E-02 その他のPM2.5 3.61E+00 3.61E+00 2.42E+00 1.93E+00 9.66E-01 4.83E-01 2.42E-01

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PⅢ.2-351 5.3.6 自動車以外の汚染物質排出量 (1) 使用した汚染物質データおよび組成割付 自 動 車 以 外 の 汚 染 物 質 排 出 量 の 推 計 に は 、神 成 に よ るEAGrid-2000JAPAN5)の デ ー タ を 用 い た 。こ れ は2000 年度の日本全国における発生源カテゴリ別時刻別の 3 次メッシュ(約 1km 四 方)のデータが月別に準備されているもので、JCAPⅡ において作成した推計データ 7)に 相 当 す る も の で あ る 。各 汚 染 物 質 の 排 出 量 総 量 に 大 き な 違 い は な い が 、JCAPⅡの 推計デ ータ と 違 う 主 な 点 は SO42-の 排 出 量 推 計 は し て い な い 、発 生 源 カ テ ゴ リ 分 類 が 粗 い 、煙 源 の 鉛 直 分 解 が 粗 い 、 と い う こ と で あ る 。 基 本 的 に 平 日 休 日 の 違 い は な く 、 月 単 位 の デ ー タ と な っ て い る 。た だ し 植 物 起 源 の VOC に関しては JCAPⅡのデータと同様に、2000 年度に関して は U.S.EPA による BEIS2 のロジックを元に、気象官署による地上気象データを用いて日推 計 値 を 計 算 す る ツ ー ル が 用 意 さ れ て い る 。 NOx、VOC、PM の組成分類は JCAPⅡで使 用していた詳細分類のものがそのまま使える も の に 関 し て は JCAPⅡの組成分類を使用した 8)。対 応 す る カ テ ゴ リ が ま と め ら れ て い る も の は 、 面 源 に つ い て は カ テ ゴ リ 別 の 排 出 量 割 合 か ら 換 算 し た 。 煙 源 に つ い て は JCAPⅡで は 使 用 燃 料 別 に 組 成 を 考 慮 し て い る 。 大 規 模 煙 源 の 使 用 燃 料 種 類 に 関 す る 情 報 は ま と め ら れ て い な か っ た た め 、PowerPlant については、平成 12 年度の汽力発電用燃料実績9)を 元 に 、 1999 年度の電力業における燃料種別排出係数 10)を 乗 じ て 排 出 割 合 を 求 め た 。な お 、排 出 係 数 は NOx、SOx、 PM についてのみ与えられていたため、VOC の 組成を求めるための排出 割 合 算 出 に 関 し て は NOx の排出係数を利用した。大規模煙源からのその他のカテゴリーか ら の 排 出 は 、 平 成 12 年度のものが入手できなかったため、平成 17 年度のエネルギ消費統 計 11)に よ る 製 造 業 の 用 途 種 別 燃 料 消 費 量 を 熱 量 換 算 し た も の を も と に 、燃 料 種 別 の 割 合 を 求 め て 作 成 し た 。 廃 棄 物 に 関 し て は そ の ま ま 廃 棄 物 か ら の 組 成 を 使 用 し た 。 NOx につ いては一律 NO:NO2比 を 95:5(体積比)とした。 考 慮 さ れ て い る 発 生 源 カ テ ゴ リ の 一 覧 お よ び 組 成 分 解 手 法 の ま と め を 表 5.3.3 に 示 す。

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PⅢ.2-352 表 5.3.3 発 生 源 カテゴ リ お よび組 成 分 解の手 法 分類番号 分類名 分類名 使用した組成データまたは作成法 10300 マップメッシュ不明 マップメッシュ不明 JCAP2組成分類をそのまま使用 20101 家庭・都市ガス 20102 家庭・LPG 20103 家庭・灯油 20201 業務・都市ガス 20202 業務・LPG 20203 業務・灯油 20204 業務・A重油 30200 船舶 船舶 JCAP2組成分類をそのまま使用 30300 航空機 航空機 JCAP2組成分類をそのまま使用 30410 建設機械 30421 産業機械(ガソリン) 30422 産業機械(ディーゼル) 30431 農業機械(ガソリン) 30432 農業機械(ディーゼル) 40110 製油所 40120 油槽所 40201 給油所・受入ロス 40202 給油所・給油ロス 40300 化学工業 40400 塗料製造 40500 印刷インキ製造 40600 カーボンブラック 40701 塗装(建物) 40702 塗装(建築資材) 40703 塗装(構造物[プラント]) 40704 塗装(構造物[橋梁] 40705 塗装(船舶) 40706 塗装(自動車新車) 40707 塗装(自動車補修) 40708 塗装(電気・金属) 40709 塗装(機械) 40710 塗装(木工製品) 40711 塗装(家庭用) 40713 塗装(その他) 40801 印刷(オフセット) 40802 印刷(凸版・凸版輪転) 40803 印刷(フレキソ) 40804 印刷(金属平版) 40805 印刷(出版グラビア) 40806 印刷(特殊グラビア) 40807 印刷(その他印刷インキ) 40808 印刷(新聞凸版) 40809 印刷(新聞オフ輪) 40900 接着剤使用 41000 金属表面処理 41100 ゴム用溶剤 41200 クリーニング 60100 畜産 60200 化学肥料施肥 60400 浄化槽 その他のNH3発生源 60500 人の発汗 60600 ペット犬 60700 肥料製造工程 60800 土壌 70100小型焼却炉(Dx特別措置法対象炉) 70200小型焼却炉(Dx特別措置法対象外) 70300 野焼き 農業廃棄物野焼き JCAP2組成分類をそのまま使用 農業 (家畜排泄物・化学肥料施 人の発汗・ペット犬 その他のNH3発生源 JCAP2組成分類をそのまま使用 JCAP2組成分類をそのまま使用 JCAP2組成分類をそのまま使用 小規模焼却炉 燃料漏洩 塗装 印刷 その他の固定蒸発発生源 その他の固定蒸発発生源 JCAP2で使用した発生源データの 発生源カテゴリ EAGrid2000JAPANによるカテゴリ 発生源カテゴリ別組成別排出量から算出 発生源カテゴリ別組成別排出量から算出 排出総量の割合を用いてJCAP2に用いた 組成分類の平均を使用 排出総量の割合を用いてJCAP2に用いた 組成分類の平均を使用 発生源カテゴリ別組成別排出量を使用 発生源カテゴリ別組成別排出量を使用 家庭・業務施設燃焼施設 建設・産業・農業機械

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PⅢ.2-353 (2) 発生源データの鉛直方向割付 固 定 発 生 源 か ら の 汚 染 物 質 排 出 量 で 、 鉛 直 方 向 の 情 報 を も つ も の は 航 空 機 と 大 規 模 煙 源 で あ る 。 航 空 機 は 100 m おきに 1150 m まで の 11 高度情報、大規模煙源は 25 m 以下、25 ~100 m、100 m 以上 の 3 高度情報がある。それぞれ CMAQ の鉛直層にあてはめて発生さ せ る が 、大 規 模 煙 源 の 層 情 報 は 粗 い 。そ の た め 、最 下 層(第 1 層)が 100 m の G1 では、第 1 層 に 25 m 以下と 25~100 m のど ちらも排出させたが、100 m 以上 の排出源は第 2 層(層上 限 209 m)と第 3 層(同 331 m)に等分して排出させた。G2 では層間隔が細かいため表 5.3.4 の よ う に 分 割 さ せ た 。 表 5.3.4 高 さ情 報を持 つ発 生源 データの入るCMAQ層 位置 地上からの CMAQ層高さ (m) その層に入る航空 機データ その層に入る大規模 煙源データ 1358 1150mの排出 1144 950、1050mの排出 949 850mの排出 772 650、750mの排出 611 550mの排出 464 350、450mの排出 331 250mの排出 261 250mの排出 100m以上の排出/5 210 150mの排出/2 100m以上の排出/5 168 150mの排出/2 100m以上の排出/5 131 50mの排出/4 100m以上の排出/5 100 50mの排出/4 100m以上の排出/5 73 50mの排出/4 25から100mの排出/2 47 50mの排出/4 25から100mの排出/2 23 0mの排出/2 25m以下の排出/2 0 0mの排出/2 25m以下の排出/2

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PⅢ.2-354 5.4 沿道大気質予測手法 道 路 沿 道 に お け る 汚 染 物 質 濃 度 の 予 測 は 、 本 研 究 で は 計 算 資 源 や 予 測 対 象 領 域 の 建 造 物 形 状 デ ー タ 類 の 整 備 な ど の 問 題 よ り 、 三 次 元 数 値 流 体 計 算 や 化 学 反 応 モ デ ル を 用 い な い 簡 易 的 な 手 法 に よ り 実 施 し た 。 以 下 に 予 測 手 法 に つ い て 記 す 。 5.4.1 沿道濃度の考え方 大 気 環 境 濃 度 は 、 大 気 環 境 常 時 監 視 測 定 局 ( 以 下 、 常 監 局 と 記 す ) で 測 定 さ れ て い る 。 常 監 局 に は 、主 に 一 般 環 境 大 気 測 定 局( 以 下 、一 般 局 と 記 す )と 自 動 車 排 出 ガ ス 測 定 局( 以 下 、自 排 局 と 記 す)に分類され、一般局は、地域内を代表する測定値が得られるように特定 発 生 源 の 影 響 を 直 接 受 け な い 場 所 に 設 置 さ れ て い る 。 自 排 局 は 、 自 動 車 排 出 ガ ス の 影 響 を 把 握 す る た め に 道 路 端 な ど に 設 置 さ れ て い る 。 よ っ て 、 自 排 局 で 測 定 さ れ る 道 路 沿 道 に お け る 汚 染 物 質 の 濃 度 は 、 Fig.5.4.1 に 示 す ように 、 一 般局で 測 定 される バ ッ クグラ ウ ン ド と し て 存 在 す る 濃 度 に 、 直 近 道 路 を 走 行 す る 自 動 車 か ら の 排 出 に よ る 濃 度 が 上 乗 せ さ れ た も の で あ る と 考 え ら れ る 。 一般局 濃度 自排局 濃度 バック グラウンド 自動車直接寄与分 自排局 一般局 Fig.5.4.1 沿 道 に お け る 汚 染 物 質 の 濃 度 の 考 え 方 5.4.2 将来濃度予測手法 上 述 の よ う に 、 沿 道 濃 度 ( 自 排 局 で 測 定 さ れ る 濃 度 に 相 当 ) は 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 濃 度 ( 一 般 局 で 測 定 さ れ る 濃 度 に 相 当 ) と 、 直 近 道 路 を 走 行 す る 自 動 車 の 排 出 に よ る 濃 度 の 和 で あ る と 考 え 、 将 来 推 計 の 際 に も 、 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 濃 度 と 自 動 車 直 接 寄 与 濃 度 に 分 け て 推 計 を 行 う 。 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 濃 度 は 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル で 得 ら れ る 濃 度 に 相 当 す る た め 、 将 来 の バ ッ ク グ ラ ウ ン ド 濃 度 は 、 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル よ り 得 ら れ る 濃 度 の 変 化 率 と 同 率 で 変 化 す る と 考 え る 。 自 動 車 直 接 寄 与 分 は 対 象 と す る 沿 道 領 域 周 辺 の 自 動 車 排 出 量 に よ り 決 ま る た め 、 将 来 の 自 動 車 直 接 寄 与 分 は 、 対 象 領 域 の 自 動 車 排 出 量 の 変 化 率 と 同 率 で 変 化 す る と 考 え る 。 こ の 概 念 図 を Fig.5.4.2 に示 す 。

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PⅢ.2-355 自動車直接寄与分の低減率は 自動車排出量低減率と同率で変化 基準濃度 将来濃度 バッ ク グ ラウ ン ド 濃度 自動 車 直接 寄与 分 バックグラウンド濃度の低減率は 広域濃度低減率と同率 Fig.5.4.2 将 来 の 沿 道 濃 度 推 計 の 考 え 方 5.4.3 NO2濃 度 予 測 手 法 NOx に関する大気環境基準は NO2で 評 価 す る が 、 自 動 車 排 出 ガ ス は NOx で 評価する。 前 述 し た 簡 易 手 法 で は 、 自 動 車 直 接 寄 与 分 は NOx で得られるため、これを NO2に 変 換 す る 必 要 が あ る 。簡 易 手 法 で は 、NO、NO2を 含 む 化 学 反 応 モ デ ル は 考 慮 で き な い た め 、対 象 地 点 ・ 対 象 時 期 に お け る NOx と NO2の 濃 度 の 関 係 を 用 い て 、NO2濃 度 を 得 た 。 具 体 的 に は 、 観 測 値 を 用 い て Fig.5.4.3 に 示す よ う な NO2と NOx 濃度の関係を得ておき、これを用 い て 前 述 の 手 法 で 予 測 し た 沿 道 領 域 のNOx 濃度を NO2濃 度 に 変 換 し た 。 0 20 40 60 80 0 100 200 300 400

N

O

2

(ppb)

NOx濃度 (ppb)

Fig.5.4.3 冬 季 の 上 馬 自 排 局 に お け る NOx と NO2の 日 平 均 濃 度 の 関 係 (2000~2007 年 12 月の観測結果より作成) こ の 手 法 で は 、NO と NO2の 関 係 に バ ラ ツ キ が あ る こ と や 、 将 来 に お い て は バ ッ ク グ ラ ウ ン ド O3濃 度 の 変 化 や 、 デ ィ ー ゼ ル 車 排 出 ガ ス 中 の NO2/NOx 比率の変化などで、この関 係 が 変 化 す る 可 能 性 が 考 え ら れ 、 こ れ が 将 来 推 計 の 誤 差 要 因 の 一 つ と な り う る こ と に 注 意 が 必 要 で あ る 。

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PⅢ.2-356 5.4.4 予測対象とした沿道領域 本 研 究 で は 、首 都 圏 に お い て 高 濃 度 の NO2が 観 測 さ れ て い る 自 排 局 よ り 、上 馬 、松 原 橋 、 池 上 の 3 地 点 を 予 測 の 対 象 と し た 。 こ の 3 地 点 の NO2お よ び SPM 濃度観測結果、交通状 況 を Fig.5.4.4 に 示 す。 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 1987 1992 1997 2002 2007 S P M 日平 均値の 2%除外値 (m g/m 3) 年度 上馬 松原橋 池上 大気環境基準 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 1987 1992 1997 2002 2007 N O 2 日平均値 の 年間98%値 (p p m ) 年度 上馬 松原橋 池上 大気環境基準 交通量 旅行 速度 大型車 混入率 台/12h km/h % 上馬 86997 24.6 26.7 ストリートキャニオン 松原橋 76038 16.8 27.6 掘割状地形 池上 90717 21.0 39.4 周辺が工業地帯 環境省資料(元データはH11年道路交通センサス)より その他特徴 Fig.5.4.4 予 測 対 象 自 排 局 の 観 測 濃 度 と 交 通 状 況 各 地 点 の 状 況 を 以 下 に 簡 単 に 記 す 。 1) 世田谷区上馬自排局 上 馬 交 差 点 に お い て 環 状 7 号 線 と 国 道 246 号線が立体交差し、さらに国道 246 号線の 上 方 に 高 架 道 路 と し て 首 都 高 速 3 号線が通っている。自排局周辺状況としては、中高層 のビ ル に 囲 ま れ た ス ト リ ー ト キ ャ ニ オ ン で あ り 、 高 架 道 路 に 覆 蓋 さ れ て い る 。 2) 大田区松原橋自排局 松 原 橋 交 差 点 に お い て 環 状 7 号 線 と 国 道 1 号 線 が 立 体 交 差 し て い る 。 自 排 局 前 ( 環 状 7 号 線 ) に は 勾 配 が あ り 、 掘 割 状 の 地 形 と な っ て い る 。 上 馬 、 池 上 と 比 べ て 、 旅 行 速 度 が 低 く な っ て い る 。 3) 川崎市川崎区池上自排局 川 崎 臨 港 警 察 署 前 交 差 点 に お い て 、 県 道 東 京 大 師 横 浜 線 ( 通 称 産 業 道 路 ) と 市 道 皐 橋 水 江 町 線 が 交 差 し 、 産 業 道 路 の 上 方 に 高 架 道 路 と し て 首 都 高 速 横 羽 線 が 通 っ て い る 。 大 型 車 混 入 率 が 高 く 、 周 辺 は 臨 海 工 業 地 帯 で あ る 。

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PⅢ.2-357 5.5 シミュレーション対象エピソードおよび現況再現性 5.5.1 シミュレーション対象エピソード 本 研 究 で は 、自 動 車 か ら の 排 出 量 予 測 に 用 い て い る 交 通 量 デ ー タ が 1999 年のものである こ と 、自 動 車 以 外 の 汚 染 物 質 排 出 量 の デ ー タ が 2000 年度のものであることにより、計算対 象 年 度(ベースケース年度)を 2000 年度とした。 ま た 、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 対 象 エ ピ ソ ー ド(計算期間)は大気中の NO2濃 度 に 対 し て の 影 響 を 見 る た め に 、東 京 23 区における自動車排出ガス局(自排局)の NO2濃 度 が 高 濃 度 と な っ た 期 間 よ り 選 定 し た 。NO2環 境 基 準 へ の 合 致 判 断 は 、1 年間にわたる NO2 濃度の日平均値の 98%値が環境基準値である 0.06ppm を超えて いないかどうかということである。年間の 日 平 均 値 の 上 位7~8 日目が環境基準濃度以下であれば、環境基準達成となる(365 日×2%=7.3 日)ことを考慮し、各自排局における年間上位 10 日間から高濃度日を抽出した 12)。 高 濃 度 日 の 抽 出 に あ た り 、都 心 で は 常 に 濃 度 が 高 め で あ る た め 、「 高 濃 度 」と い う 基 準 濃 度 は 決 め ず 、各 測 定 局 に お け る 年 間 上 位 10 日間を高濃度日として解析した。それによると 東 京 都 内 の 自 排 局 と 一 般 局 で は 高 濃 度 日 と な る 日 に ち は 多 く が 一 致 し て お り 、 都 内 の 自 排 局 の 高 濃 度 日 は 、 都 内 の 一 般 局 で も 高 濃 度 が 出 現 す る 条 件 下 で 発 生 し て い る も の と 考 え ら れ た 。 盛 夏 に は 一 般 局 ・自 排 局 と も に NO2高 濃 度 日 は な か っ た 。 各 汚 染 物 質 の 挙 動 、 天 気 概 況 、 米 国 NOAA(米国海洋大気庁)の HYSPLIT v4 による流跡 線 解 析 か ら こ れ ら の 高 濃 度 日 の 特 徴 は 次 の よ う に ま と め ら れ た 。 す な わ ち (1)越境輸送による酸化物が主要因と考えられる春季 (2)光化学反応が主要因と考えられる初夏および秋季(盛夏を除く) (3)高濃度の大気汚染物質が地表面に蓄積するためと考えられる冬季 の 三 つ の 時 期 で あ る 。本 研 究 で は 、国 内 の 汚 染 物 質 起 源 と 考 え ら れ る(2)および(3)の時期 か ら NO2濃 度 が 高 い 連 続 し た 約 10 日間のエピソードを選定した。それによると(2)初夏は 6 月 15~23 日、(3)冬季は 12 月 4~11 日となった。 5.5.2 広域大気質予測モデルの現況再現性 広 域 大 気 質 予 測 モ デ ル に よ る 汚 染 物 質 濃 度 の 推 移 を 、 東 京 都 心 の 千 代 田 区 に お け る 観 測 結 果 と 比 較 し た 。 Fig.5.5.1 は 初 夏 エピソ ー ド におけ る NOx お よ び O3濃 度 の 推 移 で あ る 。そ れ に よ る とNO2 は 傾 向 の 再 現 性 は 悪 く な い が 、 計 算 値 は や や 過 大 と な っ て お り 、 高 濃 度 を 再 現 し た あ と で 観 測 値 の 濃 度 が 下 が る の に 高 濃 度 が 残 っ て い る 場 合 が あ る 。そ の 分 、O3の 光 化 学 反 応 に よ る と 見 ら れ る 生 成 が あ ま り 見 ら れ て い な い 。 Fig.5.5.2 は 冬 季 エピソ ー ド におけ る NOx お よ び O3濃 度 の 推 移 で あ る 。NO2の 計 算 結 果 は 濃 度 ・傾 向 と も 比 較 的 よ く 再 現 し て い る 。NO の高濃度ピークが敏感に出ているようで特 に 高 濃 度 ピ ー ク 時 の 計 算 結 果 は 過 大 に な っ て い る 。 ま た NO 高濃 度時にモデルではところ ど こ ろ で NO が低濃度に推移する部分がある。その際、同時に O3が 残 っ て い る 。こ れ は 観 測 地 点 の 高 度 が 22m で あり、冬季の接地境界層の層位置が大きな影響を及ぼしている ので は な い か と 考 え ら れ る 。 そ れ 以 外 、O3の 傾 向 の 再 現 性 も 悪 く は な い と 考 え ら れ る 。

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PⅢ.2-358 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 6/14 6/15 6/16 6/17 6/18 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 C oncent ra ti on ( ppm ) 2000年 Date CMAQ 計算結果 NO 千代田区 観測値 NO CMAQ 計算結果 NO2 千代田区 観測値 NO2 CMAQ 計算結果 O3 千代田区 観測値 Ox Fig.5.5.1 初 夏 エピソードにおける広 域 モデル計 算 結 果 (東 京 都 千 代 田 区 ) 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 12/2 12/3 12/4 12/5 12/6 12/7 12/8 12/9 12/10 12/11 Co ncen tr at io n (ppm ) 2000年 Date CMAQ 計算結果 NO 千代田区 観測値 NO 千代田区 観測値 NO2 CMAQ 計算結果 NO2 CMAQ 計算結果 O3 千代田区 観測値 Ox Fig.5.5.2 冬 季 エピソードにおける広 域 モデル計 算 結 果 (東 京 都 千 代 田 区 ) 以 上 の 結 果 よ り 、初 夏 お よ び 冬 季 と も に NO2濃 度 の 特 徴 を 捉 え た 結 果 が 得 ら れ て い る も の と し て ケ ー ス ス タ デ ィ を 実 施 す る 。 5.6 事前検討 5.6.1 事前検討の目的 NEDO 開 発エンジンおよび NEDO 開発車両からのエミッションデータは、プロジェクト 期 間 の 最 終 段 階 で 得 ら れ る と い う こ と も あ り 、 大 気 質 改 善 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 等 よ り 得 た 結

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PⅢ.2-359 果 を 結 果 を 排 出 性 能 に フ ィ ー ド バ ッ ク す る こ と が 難 し い 。 そ の た め 、 改 善 効 果 を 事 前 に 見 積 り 、 本 計 算 に 向 け た 知 見 を 得 る こ と 、 お よ び 、 低 速 度 域 で の 排 出 性 能 悪 化 を 考 慮 し た 予 測 も 実 施 し て 、 エ ン ジ ン お よ び 車 両 開 発 の 参 考 と な り う る 情 報 を 得 る こ と を 目 的 と し て 、 開 発 目 標 レ ベ ル の 車 両 導 入 を 想 定 し た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 計 算 を 実 施 し た 。 5.6.2 事前検討シナリオ 1) 対象エピソード 対 象 と な る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン エ ピ ソ ー ド は 5.5 で述べたエピソードから、初冬季のみを 対 象 と し た 。 初 冬 季 は 安 定 な 気 象 条 件 に よ り 、 排 出 さ れ た 汚 染 物 質 が 地 表 面 近 く に 蓄 積 す る こ と に よ り NO2濃 度 が 高 く な る と 考 え ら れ て お り 、大 気 環 境 濃 度 に 影 響 す る 自 動 車 排 出 量 の 変 化 が よ り 把 握 し や す い た め で あ る 。一 方 で 春 季 や 夏 季 に 出 現 す る 高 濃 度 NO2は 、反 応 に よ り 生 成 す るNO2が 多 く 、自 動 車 排 出 量 の 直 接 的 な 影 響 を 評 価 し に く い と 考 え た た め 、 事 前 評 価 で は 計 算 は 実 施 し な か っ た 。 2) シミュレーションシナリオ 実 施 し た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ケ ー ス を 表 5.6.1 に 示 す。 表 5.6.1 事 前 検 討シミ ュ レ ーショ ン ケ ース一 覧 対象 年次 ケース 考慮した規制など 自動車交通量 車種構成など ディーゼル車 NO2/NOx比 固定発生源 VOC 2000年 現況 ・長期規制までを考慮 14% 現状 BAU ・新短期規制(2002年~)、  新長期規制(2005年~)、  ポスト新長期規制(2009年~)を考慮 ケースA ↑+ ・全てのディーゼル車を      NEDO開発車慮うに代替、     ・乗用・軽中量ガソリン車の1割を      NEDO開発車両に代替、     ・NEDO開発車両の排出係数は、      全速度域でポスト新長期の1/3 ケースB ↑+ ・NEDO開発車両の排出係数は、      20km/h以下の低速度領域で、      悪化を想定      (7.5km/hで新短期レベル) BAU:Business As Usual、新たな規制等を導入しないケース 2020年 30% 2000年比30%減 交通量: ・H11年道路交通  センサス、 ・H12年輸送統計  年報より設定 車種構成: ・2005年販売  実績が継続  した自然代替  と仮定 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 対 象 年 次 は 、ベ ー ス ケ ー ス と し て 2000 年、将来ケースとしてポスト新 長 期 規 制 車 両 が あ る 程 度 普 及 す る と 考 え ら れ る 2020 年とした。2020 年については、現在 の 計 画 以 外 の 新 た な 規 制 を 導 入 せ ず に 車 両 の 自 然 代 替 を 考 慮 し た BAU(Business As Usual) ケ ー ス と 、NEDO 開発車両が導入されたケースを設定した。NEDO 開 発車両の導入条件は、 全 て の デ ィ ー ゼ ル 車 と 、ガ ソ リ ン 乗 用 車・ガ ソ リ ン 小 型 貨 物 車 の 1 割 が NEDO 開発車両に 代 替 さ れ る と 仮 定 し た 。 ポ ス ト 新 長 期 規 制 車 の 排 出 係 数 は 、 新 長 期 規 制 車 の 排 出 係 数 を 基 に 、規 制 値 の 低 減 率 と 同 率 で 変 化 さ せ て 設 定 し て い る 。NEDO 開発車両の NOx 排出係数は、 全 速 度 域 で ポ ス ト 新 長 期 規 制 車 の 1 / 3 と す る ケ ー ス A と、平均車速 20km/h 以下で排出 性 能 が 悪 化 し 、 平 均 車 速 7.5km/h で新短期レベルとなるケース B の2種類を検討した 。設

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PⅢ.2-360 定 し た 排 出 係 数 の 比 較 を Fig.5.6.1 に 示 す 。 0 0.2 0.4 0.6 新短期 新長期 ポスト 新長期 NEDO 開発 N O x基 本排 出係 数 (g/ to n /k m ) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 20 40 60 80 N O x排出係数 (g / to n / km ) 平均車速 (km/h) 新短期 新長期 ポスト新長期 ケースA ケースB 基 本 排 出 係 数 平 均 車 速 別 排 出 係 数 Fig.5.6.1 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に 用 い た NOx 排 出 係 数 デ ィ ー ゼ ル 車 か ら 排 出 さ れ る NOx 中の NO2:NO 比は、2000 年では 14:86 とした。新 短 期 規 制 以 降 の 車 両 で は 後 処 理 装 置 が 用 い ら れ て い る こ と か ら 、2020 年では一律に NO2: NO を 30:70 とした。ガソリン車からの蒸発ガス量に影響するガソリン RVP( リード蒸気 圧 ) は 、 夏 季 に つ い て は 平 成 17 年(2005 年)から許容限度設定目標値上限を 72kPa 以 下 か ら 65kPa 以下に変更する答申がなされているが、冬季は現状と同等の 82kPa とした。そ の 他 、 交 通 量 や 始 動 回 数 な ど 、 自 動 車 排 出 量 に 大 き く 関 与 す る パ ラ メ ー タ に つ い て は 、 NEDO 開発車両導入の効果を明確にするために、ベースケースである 2000 年と同等とした 。 な お 、自 動 車 以 外 か ら 排 出 さ れ る 汚 染 物 質 に つ い て は 、VOC( Volatile Organic Compounds、 揮 発 性 有 機 化 合 物 ) 蒸 発 発 生 源 の 排 出 の み を 2020 年では 2000 年比で3割減とした。これ は 、平 成 17 年度より開始されている VOC にかかわる排出規制および事業者の自主的取組 を も と に 、環 境 省 が 平 成22 年度までに、工場等の固定発生源からの VOC 排 出総量を平成 12 年度比で3割程度抑制する目標を掲げていることを考慮したものである。その他の 排出 量 デ ー タ は 変 化 し な い も の と し た 。 5.6.3 事前検討シミュレーション結果 上 述 し た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ケ ー ス シ ナ リ オ に 基 づ き 、5.1 から 5.4 に記したモデルを 用い て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し た 。 そ の 結 果 を 以 下 に 記 す 。 1) 自動車排出量推計結果 平 日 の 関 東 圏 お よ び 東 京 23 区内における幹線道路を走行する自動車からの NOx 排出 量 推 計 結 果 を 表 5.6.2 に、 PM 排 出 量 推 計 結果を 表 5.6.3 に 示 す 。 こ れ ら の 表 よ り 、関 東 圏 の NOx、PM 排出 量推計結果を整理した図を Fig.5.6.2 に、東京 23 区内の NOx、PM 排 出量推計結果を整理した図を Fig.5.6.3 に示す。

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PⅢ.2-361

表 5.6.2 関 東 圏 および 東 京 23 区 内 の 幹線道 路 走 行時 自 動 車NOx 排出量推計結果(平日)

BAU ケースA ケースB BAU ケースA ケースB

軽乗用車 6.9 0.8 0.8 0.8 0.5 0.1 0.1 0.1 乗用車 81.0 9.0 8.1 8.1 14.4 1.4 1.3 1.3 バス 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 軽貨物車 19.1 1.1 1.1 1.1 2.6 0.1 0.1 0.1 小型貨物車 22.0 1.1 1.1 1.1 5.0 0.2 0.2 0.2 普通貨物車 2.9 0.2 0.2 0.2 0.5 0.0 0.0 0.0 特種車 6.5 0.1 0.1 0.1 1.5 0.0 0.0 0.0 乗用 11.2 0.0 0.4 0.6 2.1 0.0 0.1 0.2 バス 22.3 3.7 0.9 2.2 5.3 0.9 0.2 0.9 小型貨物車 28.3 3.2 1.1 2.2 7.0 0.8 0.3 0.9 普通貨物車 164.6 24.0 7.1 13.3 30.1 4.3 1.3 4.0 特種車 30.5 3.7 1.2 2.2 7.7 1.1 0.3 0.8 1.1 1.0 1.0 1.0 0.4 0.4 0.4 0.4 396.3 47.9 23.0 32.9 77.0 9.3 4.3 8.8 100.0% 12.1% 5.8% 8.3% 100.0% 12.1% 5.6% 11.4% 826.9% 100.0% 48.1% 68.7% 824.6% 100.0% 45.9% 94.3% 23区内 2000年 2020年 2020年 合計 対2000年比 対2020年BAU比 幹線道路走行時 NOx排出量 (ton/day) ガソリン ディーゼル 二輪車 関東圏 2000年 表 5.6.3 関 東 圏 および 東 京 23 区 内 の 幹線道 路 走 行時 自 動 車 PM 排出量推計結果(平日)

BAU ケースA ケースB BAU ケースA ケースB

乗用 3.08 0.00 0.07 0.07 0.51 0.00 0.01 0.01 バス 2.24 0.06 0.03 0.03 0.49 0.01 0.01 0.01 小型貨物車 3.08 0.04 0.05 0.05 0.71 0.01 0.01 0.01 普通貨物車 16.66 0.35 0.28 0.28 2.74 0.06 0.05 0.05 特種車 2.87 0.04 0.04 0.04 0.64 0.01 0.01 0.01 27.92 0.50 0.47 0.47 5.08 0.09 0.09 0.09 100.0% 1.8% 1.7% 1.7% 100.0% 1.9% 1.8% 1.8% 2000年 23区内 2020年 2020年 関東圏 対2000年比 ディーゼル 幹線道路走行時 PM排出量 (ton/day) 2000年 合計

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PⅢ.2-362 ガソリン軽乗用車 ガソリン乗用車 ガソリンバス ガソリン軽貨物車 ガソリン小型貨物車 ガソリン普通貨物車 ガソリン特種車 ディーゼル乗用車 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特種車 二輪車 0 10 20 30 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 関東幹線道路走行時の 自動車P M排出量 (t o n / day ) 0 100 200 300 400 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 関東 幹線 道路走 行時 の 自動 車N O x排 出 量 (t o n / da y) -88% -94% -92% -98% -98% -98% ディーゼル乗用車 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特種車 Fig.5.6.2 関 東 圏 平 日 幹 線 道 路 走 行 時 の 自 動 車 NOx、 PM 排 出 量 推 計 結 果 0 20 40 60 80 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 東京 2 3 区 幹線 道路 走行 時 の 自動 車N O x排 出 量 (t o n / da y) 0 2 4 6 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 東京2 3 区幹線道路 走行時 の 自動車P M排出量 (t o n / da y) -88% -94% -89% -98% -98% -98% ガソリン軽乗用車 ガソリン乗用車 ガソリンバス ガソリン軽貨物車 ガソリン小型貨物車 ガソリン普通貨物車 ガソリン特種車 ディーゼル乗用車 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特種車 二輪車 ディーゼル乗用車 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特種車 Fig.5.6.3 東 京 23 区 内 平 日 幹 線 道 路 走 行 時 の 自 動 車 NOx、 PM 排 出 量 推 計 結 果

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PⅢ.2-363 ガソリン軽乗用車 ガソリン乗用車 ガソリンバス ガソリン軽貨物車 ガソリン小型貨物車 ガソリン普通貨物車 ガソリン特種車 ディーゼル乗用車 ディーゼルバス ディーゼル小型貨物車 ディーゼル普通貨物車 ディーゼル特種車 二輪車 0 10 20 30 40 50 BAU ケースA ケースB 関東 幹線道 路走 行時の 自動 車NO x排出量 (t o n / day ) 0 2 4 6 8 10 12 BAU ケースA ケースB 東 京2 3 区 幹線 道路 走 行時 の 自動 車NO x排出量 (t o n / day ) -52% -31% -54% -6% Fig.5.6.4 平 日 幹 線 道 路 走 行 時 の 自 動 車 NOx 排 出 量 推 計 結 果 ( 2020 年 の 比 較 ) 2020 年では BAU ケ ースにおいても、新しい排出ガス規制適合車両への代替が進み、2000 年 に 対 し て 自 動 車 か ら の NOx 排出量は 88%の低減、PM 排出量は 98%の低減と推計さ れ た 。 ま た 、NEDO 開発 車両の導入により、ケース A ではさらに NOx 排出量が半減すると 見 積 も ら れ た 。 低 速 域 で の 排 出 性 能 低 下 を 仮 定 し た ケ ー ス B では、特に東京 23 区内の 排 出 量 低 減 が 少 な く な る 結 果 と な っ た 。 こ れ は 、 都 心 部 で は 幹 線 道 路 の 平 均 車 速 が 低 く 、 低 速 時 の 排 出 悪 化 の 影 響 が 大 き く 現 れ た こ と に 起 因 す る 。 2) 総排出量推計結果 関 東 圏 に お け る 自 動 車 以 外 の 排 出 量 を 含 め た 、NOx、PM の総排出量推計結果を表 5.6.4 お よ び Fig.5.6.5 に 示す 。 2020 年 BAU ケースでは、2000 年に対して、NOx 総排出量は 42%の低減、PM 総排出量 は 28%の低減となる。2000 年時点ではおよそ5割であった NOx 総排出量に占める自動車 NOx 排出量寄与割合は、2020 年 BAU ケースでは 13.7%となり、自動車寄与が大幅に低減 す る と の 推 計 結 果 と な っ た 。 こ の よ う な 自 動 車 寄 与 割 合 が 低 い 状 態 か ら は 、NEDO 開 発 車 両 の 導 入 に よ り 自 動 車 NOx 排出量を低減しても、総排出量に対する大きな低減効果は得ら れ な い と 考 え ら れ る 。 ま た 、PM につ いては、自 動車の走行 に伴うタイ ヤ磨耗粉じ んと巻 き 上 げ 粉 じ ん が PM 排 出量の多くを占める結果となった。

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PⅢ.2-364

表 5.6.4 関 東 圏 平日の NOx お よ び PM 総 排 出 量 推計結 果

BAU ケースA ケースB BAU ケースA ケースB 自動車始動時 250.2 66.0 66.0 66.0 6.47 6.55 6.56 6.56 自動車細街路走行時 213.2 22.9 12.0 12.0 11.14 0.20 0.21 0.21 自動車幹線走行時 401.1 47.9 23.0 32.9 27.92 0.50 0.47 0.47 タイヤ摩耗・巻き上げ -  -  -  -  35.56 35.56 35.56 35.56 小型焼却炉 1.1 ← ← ← 2.56 ← ← ← 業務家庭 88.3 ← ← ← 8.13 ← ← ← 建機 146.4 ← ← ← 5.50 ← ← ← 船舶 159.1 ← ← ← 8.27 ← ← ← 煙源廃棄物 43.6 ← ← ← 4.15 ← ← ← 煙源発電 89.0 ← ← ← 0.78 ← ← ← 煙源その他 309.1 ← ← ← 20.52 ← ← ← 煙源不明 10.2 ← ← ← 1.44 ← ← ← 野焼 0.9 ← ← ← 2.31 ← ← ← 航空機 13.9 ← ← ← 0.57 ← ← ← 合計 1726.1 998.3 962.6 972.5 135.31 97.04 97.02 97.02 対2000年比 100.0% 57.8% 55.8% 56.3% 100.0% 71.7% 71.7% 71.7% 対2020年BAU比 172.9% 100.0% 96.4% 97.4% 139.4% 100.0% 100.0% 100.0% 自動車寄与 50.1% 13.7% 10.5% 11.4% 59.9% 44.1% 44.1% 44.1% 2020年 2020年 2000年 2000年 関東圏 PM排出量 (ton/day) 関東圏 NOx排出量 (ton/day) 0 500 1000 1500 2000 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 関東 圏NO x排 出 量 (t o n / da y) 0 50 100 150 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 関東圏P M排出量 (t o n / day ) -42% -44% -44% -28% -28% -28% 自動車始動時 自動車細街路走行時 自動車幹線走行時 タイヤ摩耗・巻き上げ 小型焼却炉 業務家庭 建機 船舶 煙源廃棄物 煙源発電 煙源その他 煙源不明 野焼 航空機 Fig.5.6.5 関 東 圏 平 日 の NOx、 PM 総 排 出 量 推 計 結 果

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PⅢ.2-365 3) 広域濃度推計結果 広 域 濃 度 推 計 結 果 と し て 、首 都 圏 NOx・PM 法規制領域内の NOx および NO2濃 度 の 推 計 結 果 を 表 5.6.5 お よ び Fig.5.6.6 に示 す 。 表 5.6.5 首 都 圏 NOx・ PM 法 領 域 内 の NOx お よ び NO2濃 度 推 計 結 果 BAU ケースA ケースB NOx濃度(ppm) 0.057 0.041 0.041 0.041 対2000年比 100.0% 71.7% 71.2% 71.2% 対2020年BAU比 139.5% 100.0% 99.3% 99.4% NO2濃度(ppm) 0.040 0.033 0.033 0.033 対2000年比 100.0% 83.2% 82.4% 82.5% 対2020年BAU比 120.2% 100.0% 99.1% 99.2% 2020年 NOx NO2 NOx・PM法領域内平均濃度 2000年 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 N O x・ P M 法領 域内 平均 N O x濃 度 (p pm) 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 N O x・ P M 法領 域内 平均 NO 2 濃 度 (p pm) -28% -29% -29% -17% -18% -18%

Fig.5.6.6 首 都 圏 NOx・ PM 法 規 制 領 域 内 の NOx お よ び NO2 濃 度 推 計 結 果

2020 年 BAU ケースでは 2000 年に対して平均 NOx 濃度は 28%、平均 NO2濃 度 は 17%の 低 減 が 見 込 ま れ る 。上 述 の NOx 総排出量で示した通り、2020 年 BAU ケースにおいて自動 車 寄 与 割 合 が 低 下 し て い る た め 、こ の 状 態 か ら の NEDO 開発車両の導入の効果は大きくな い と の 結 果 と な っ た 。 4) 沿道濃度推計結果 沿 道 濃 度 推 計 結 果 と し て 、 世 田 谷 区 上 馬 自 排 局 の NOx および NO2濃 度 の 推 計 結 果 を 表

5.6.6 お よ び Fig.5.6.7 に 示 す 。ま た 、Fig.5.6.7 か ら 2020 年 の ケ ー ス の み を 抽 出 し て 、Fig.5.6.8

に 示 す 。

2020 年 BAU ケースでは 2000 年に対して上馬自排局の NOx 濃度が 61%、NO2濃 度 が35%

低 減 す る と の 推 計 結 果 が 得 ら れ た 。ま た 、NEDO 開発車両の導入により、ケース A では さ ら に NOx 濃度が 10%、NO2濃 度 が 4.8%低減すると見積もられた。低速域での排出悪化を

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PⅢ.2-366 表 5.6.6 上 馬 自 排局の NOx お よ び NO2濃 度 推 計 結 果 BAU ケースA ケースB NOx濃度(ppm) 0.178 0.070 0.063 0.069 対2000年比 100.0% 39.3% 35.4% 38.8% 対2020年BAU比 254.6% 100.0% 90.0% 98.8% NO2濃度(ppm) 0.054 0.035 0.033 0.035 対2000年比 100.0% 64.9% 61.8% 64.5% 対2020年BAU比 154.1% 100.0% 95.2% 99.4% NOx NO2 上馬自排局 2000年 2020年 0.00 0.02 0.04 0.06 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 上馬局N O 2 濃度 (p pm ) -35% -38% -36% 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 BAU ケースA ケースB 2000年 2020年 上馬局 N O x濃度 (p pm ) -61% -65% -61% Fig.5.6.7 上 馬 自 排 局 の NOx お よ び NO2濃 度 推 計 結 果 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 BAU ケースA ケースB 上馬 局N O x濃 度 (p pm ) 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 BAU ケースA ケースB 上馬局 N O 2 濃度 (p pm ) -10.0% -1.2% -4.8% -0.6% Fig.5.6.8 上 馬 自 排 局 の NOx お よ び NO2濃 度 推 計 結 果 (2020 年の比較)

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PⅢ.2-367 5.6.4 事前検討のまとめ NEDO 開 発車両導入による大気環境改善効果を検討するため、2020 年を対象とした事前 検 討 を 実 施 し て 、 以 下 の 推 計 結 果 が 得 ら れ た 。 1) 自動車排出量と沿道大気環境濃度 2020 年のポスト新長期規制車両が主流となった状態において、NEDO 開発車両の導入普 及 に よ り 、 関 東 圏 の 自 動 車 NOx 排出量は 52%低減し、沿道濃度(上馬自排局濃度)は、 NOx が 10%、NO2が 4.8%低減する。 2) 低速域の排出悪化の影響 低 速 域 に お け る 排 出 性 能 悪 化 を 仮 定 し た 場 合 、 特 に 平 均 車 速 が 低 い 地 域 に お い て は 、 NEDO 開発車両導入の効果が減少する。 3) 総排出量と広域大気環境濃度 自 動 車 以 外 の 発 生 源 を 加 え た NOx 総排出量で比較した場合、2020 年では自動車寄与が 小 さ く な っ て い る た め に 、NEDO 開発車両の導入普及により関東圏の NOx 排 出量は 4%の 低 減 と な る 。ま た 、首 都 圏 NOx・PM 法規制領域内の平均 NOx、平均 NO2濃 度 の 低 減 は 1% 以 下 と な る 。 以 上 よ り 、NEDO 開 発車両の導入普及により、 ・ 自 動 車 か ら の 排 出 量 低 減 と 、 沿 道 大 気 環 境 改 善 に 対 し て 効 果 が あ る ・ 低 速 域 で の 排 出 悪 化 を 抑 え る こ と に よ り 、 導 入 普 及 の 効 果 が 増 大 す る こ と が 推 測 さ れ た 。 た だ し こ こ で 述 べ た 検 討 結 果 は 、 い く つ か の 仮 定 に 基 づ い た 事 前 検 討 で あ る た め 、 よ り 正 し い 大 気 環 境 改 善 効 果 の 推 計 に は 、NEDO 開発エンジン・NEDO 開発車両の排出ガス試 験 結 果 を 反 映 さ せ た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 す る 必 要 が あ る 。

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PⅢ.2-368 5.7 大気質改善予測 NEDO 開 発車両の導入普及による大気環境改善効果を評価するため、大気質シミュ レー シ ョ ン に よ る 検 討 を 実 施 し た 。 実 施 し た ケ ー ス ス タ デ ィ 、 設 定 し た NEDO 開発エンジン ・ 車 両 の 排 出 係 数 お よ び シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 等 に つ い て 以 下 に 記 す 。 5.7.1 ケーススタディシナリオ 実 施 し た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ケ ー ス の シ ナ リ オ を 表 5.7.1 に 示 す。 表 5.7.1 シ ミ ュ レーシ ョ ン ケース 一 覧 自動車 排出量 大気質広域 大気質沿道 1990年 初冬季 過去 ・S63、H1、H2年規制など 2000年交通量を 輸送統計年報 データで補正 ○ 初夏季 初冬季 2015年 初冬季 BAU ・新短期規制(2002年~)、  新長期規制(2005年~)、  ポスト新長期規制(2009年~) ○ 初夏季 初冬季 初夏季 初冬季 BAU:Business As Usual、計画以外の新たな規制等を導入しないケース 現状 ・固定VOC:  2000年比  30%減 ・オフロード車:  将来規制を  考慮 ・船舶:  将来規制を  考慮 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ↑+ ・全てのディーゼル車を      NEDO開発車両に代替、     ・ガソリン乗用車の1割を      NEDO開発車両に代替 対象年次 ケース 考慮した規制など ディーゼル車NO2/NOx比 実施シミュレーション 自動車交通量 自動車以外 ○ ○ ・H11年道路交通  センサス、 ・H12年輸送統計  年報より設定 14% 30% BAU ・新短期規制(2002年~)、  新長期規制(2005年~)、  ポスト新長期規制(2009年~) 2020年 2000年 現況 ・長期規制まで NEDO 開発車両 導入 各 ケ ー ス の 計 算 条 件 の 詳 細 を 以 下 に 記 す 。5.6 に 記 した 事 前 検 討と は 異 な る条 件 が 含 ま れ て い る こ と に 留 意 さ れ た い 。 1) 推計対象年次と NEDO 開発車両導入条件 ベ ー ス ケ ー ス と し て 観 測 デ ー タ が 整 備 さ れ て い る 2000 年、将来ケースとしてポスト 新長 期 規 制 車 両 が あ る 程 度 普 及 す る と 考 え ら れ る 2020 年とした。2020 年については、現在 の 計 画 以 外 の 新 た な 規 制 を 導 入 せ ず に 車 両 の 自 然 代 替 の み を 考 慮 し た BAU( Business As Usual)ケースと、NEDO 開発車両が導入されたケースを設定した。NEDO 開発車両導入条 件 は 、す べ て の デ ィ ー ゼ ル 車 と ガ ソ リ ン 乗 用 車 の 1 割 がNEDO 開発車両に代替されると仮 定 し た 。 ま た 、 自 動 車 排 出 量 と 大 気 環 境 の 関 係 を 得 る た め 、1990 年および 2015 年の自動 車 排 出 量 推 計 も 実 施 し た 。 2) 推計対象エピソード 対 象 と し た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン エ ピ ソ ー ド は 、5.5 で述べたように、道路沿道で高濃度 NO2 が 観 測 さ れ た 条 件 よ り 、初 夏 季 と 初 冬 季 を 選 定 し た 。初 冬 季(2000 年 12 月 5~9 日の気 象 条 件 ) は 、 安 定 な 気 象 条 件 に よ り 排 出 さ れ た 汚 染 物 質 が 地 表 面 近 く に 蓄 積 す る こ と に よ っ て 高 濃 度 のNO2が 出 現 し た ケ ー ス で あ り 、初 夏 季(2000 年 6 月 16~22 日の気象条件)は、 梅 雨 の 晴 れ 間 の 光 化 学 反 応 に よ り O3 が 生 成 し 、 化 学 反 応 (NO+O3→NO2+O2) に よ り 高

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PⅢ.2-369 濃 度 の NO2が 出 現 し た ケ ー ス で あ る 。 3) 自動車排出量関連の条件 自 動 車 交 通 量 は 、平 成 11(1999)年度道路交通センサス、および、平成 12(2000)年度輸 送 統 計 年 報 よ り 求 め 、2000 年、2015 年、2020 年で同様とした。1990 年については、輸送 統 計 年 報 よ り 求 め た2000 年と 1990 年の全国走行量比率を 2000 年の走行量に乗じて求めた 。 車 種 構 成 比 率 は 、2005 年の販売実績が継続すると仮定して、自然代替による車種構成 の変 化 を 考 慮 し た 。ま た 、ポ ス ト 新 長 期 規 制 は 2009 年から導入されると想定した。自動車排出 係 数 の 設 定 方 法 に つ い て は 、5.7.2 に記す。

デ ィ ー ゼ ル 車 か ら 排 出 さ れ る NOx 中の NO2:NO 比は、2000 年以前では、NO2:NO を

14: 86 と し た 。 新 短 期 規 制 以 降 の 車 両 で は 後 処 理 装 置 が 用 い ら れ て い る こ と か ら 、 2015 年 以 降 で は 一 律 に NO2:NO を 30:70 とした。

ガ ソ リ ン 車 か ら の 蒸 発 ガ ス 量 に 影 響 す る ガ ソ リ ン RVP(リード蒸気圧)は、2000 年以 前 は 夏 季 72kPa、冬季 82kPa、2020 年以降は夏季 65kPa、冬季 82kPa とした。

始 動 回 数 な ど の 自 動 車 排 出 量 に 大 き く 関 与 す る パ ラ メ ー タ に つ い て は 、NEDO 開発 車 両 導 入 の 効 果 を 明 確 に す る た め に 、 ベ ー ス ケ ー ス で あ る2000 年と同等とした。 4) 自動車以外の排出量 固 定 蒸 発 発 生 源 か ら の VOC は、環境省が掲げている VOC 排出量抑制目標を考慮して 、 2015 年以降では 2000 年比で3割減とした。オフロード車および船舶の将来排出量につい て は 、現 時 点 で 定 め ら れ て い る 排 出 規 制 を 反 映 さ せ た 予 測 結 果 を も ち い た13,14)。船 舶 に 関 し て は 2000 年比の NOx27%減、PM64%減、SO272%減 である。オフロード車は 2000 年比 45%減、PM46%減、THC26%減という値をもちいた。これら以外の排出量は 2000 年と同等 と し た 。 5.7.2 自動車排出係数設定方法 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 適 用 し た 自 動 車 の 排 出 係 数 の 設 定 方 法 を 以 下 に 記 す 。 1) 現行車両 新 長 期 規 制 ま で の 現 行 車 両 の 排 出 係 数 は 、 環 境 省 が 設 定 し て い る 自 動 車 排 出 ガ ス 原 単 位 を も と に 設 定 し た 。 2) 将来車両 環 境 省 自 動 車 排 出 ガ ス 原 単 位 が 定 め ら れ て い な い 将 来 車 両 に つ い て は 、 最 新 現 行 車 両 の 排 出 係 数 に 規 制 値 の 変 化 率 を 乗 じ て 設 定 し た 。例 と し て 、車 両 総 重 量 5t 超のディーゼル重 量 車 の 排 出 係 数 の 設 定 を 表 5.7.2 に 示 す 。

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PⅢ.2-370 表 5.7.2 将 来 車 両の排 出 係 数設定 方 法 CO NMHC NOx PM 新長期 2.22 0.17 2.0 0.027 ポスト新長期 2.22 0.17 0.7 0.010 規制値変化率 0% 0% -65% -63% CO THC NOx PM 新短期 0.067 0.014 0.495 0.018 新長期 0.003 0.001 0.206 0.003 ↓ ↓ ポスト新長期 0.003 0.001 0.072 0.001 GVW5t超 基本排出係数 (g/ton/km) 重量ディーゼル車 規制値 (g/kWh)

排ガス規制値

基本排出係数

規制値変 化 率 と 同 率で 排出 係数が 変 化 3) NEDO 開発車両 NEDO 開 発車両の排出係数は、開発されたエンジン、車両の排出ガス試験結果より 設定 し た 。自 動 車 排 出 量 推 計 に は 、法 定 モ ー ド( 軽 量 車 で は 10・15 モードや JC08 モード、重 量 車 で は D13 モードや JE05 モード)の排出係数だけでなく、平均車速別の排出係数が必 要 と な る 。 平 均 車 速 毎 の 排 出 係 数 を 得 る た め 、 軽 量 車 で は JC08 モード、重量車では JE05 モ ー ド の 試 験 結 果 を 速 度 域 別 に 3 分 割 し て 求 め た 排 出 係 数 と 、 低 速 走 行 時 の 排 出 悪 化 を 確 認 す る た め の 低 速 実 走 行 モ ー ド(JARI15km/h モード)のデータを使用して排出係数を設定 し た 。 走 行 モ ー ド と 各 モ ー ド の 平 均 車 速 を Fig.5.7.1 に 示す 。 0 20 40 60 80 100 0 300 600 900 1200 車 速 (k m /h) 時間 (sec) 0 20 40 60 80 100 0 300 600 900 1200 1500 1800 車速 (k m/ h ) 時間 (sec) 0 20 40 60 80 100 0 300 600 900 車 速 (k m /h) 時間 (sec) 0 20 40 60 80 100 0 300 600 900 車 速 (k m /h) 時間 (sec) 市街 郊外 高速 軽量車 9.9 30.4 47.1 14.7 重量車 13.5 30.7 47.5 15.1 JC08/JE05 JARI15 平均車速 (km/h) JC08(軽量車用法定モード) 軽量車用JARI15km/hモード 重量車用JARI15km/hモード JE05(重量車用法定モード) 郊外 郊外 市街地 市街地 高速 高速 Fig.5.7.1 排 出 係 数 設 定 に 用 い た 走 行 モ ー ド

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PⅢ.2-371 排 出 係 数 設 定 に は 、軽 量 車 用 と し て 3 種 類 の NEDO 開 発エンジン・車両データ、重量車 用 と し て 3 種 類 の NEDO 開発エンジン・車両データを用いた。軽量車、重量車それぞれの NOx 排出ガス試験結果を Fig.5.7.2 に示す。70km/h のデータは、47km/h と同等としている。 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0 20 40 60 80 N O x排 出 係 数 (g / km ) 平均車速 (km/h) a b c 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 0.035 0 20 40 60 80 N O x排 出 係 数 (g/ ton / km ) 平均車速 (km/h) A B C 軽 量 車 試 験 結 果 重 量 車 試 験 結 果

Fig.5.7.2 NEDO 開 発 エ ン ジ ン ・ 車 両 の NOx 排 出 ガ ス 試 験 結 果

こ れ ら の デ ー タ よ り 、 軽 量 車 に つ い て は 最 良 の 排 出 ガ ス 性 能 で あ る エ ン ジ ン ・ 車 両 の デ ー タ ( 図 中 a ) を 適 用 し 、 重 量 車 に つ い て は 3 種 類 の デ ー タ の 平 均 値 を 適 用 し た 。 設 定 し た 平 均 車 速 別 NOx 排 出係数の比較を Fig.5.7.3 に示す。 0 0.1 0.2 0.3 0 20 40 60 80 N O x排 出係数 (g / to n / km ) 平均車速 (km/h) 新長期規制 ポスト新長期規制 NEDO開発車両 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0 20 40 60 80 N O x排 出 係 数 (g/ km ) 平均車速 (km/h) ポスト新長期規制(中型乗用) ポスト新長期規制(小型乗用) NEDO開発車両 H17年規制ガソリン乗用 乗 用 車 重 量 貨 物 車

Fig.5.7.3 NEDO 開 発 車 両 の 平 均 車 速 別 NOx 排 出 係 数

乗 用 車 、 貨 物 車 共 に 、NOx 排 出係 数はポスト 新長期規制 に対して大 幅に低減し ている。 ま た 、 従 来 車 両 に 比 べ て 低 速 域 に お け る 排 出 性 能 の 悪 化 が 抑 え ら れ て い る こ と か ら 、 特 に 平 均 車 速 が 低 い 都 心 部 に お け る 環 境 改 善 効 果 が 期 待 で き る 。

表 5.3.2  広 域大 気 質予 測モデルCMAQ初 期 および境 界 濃度
表 5.6.2  関 東 圏 および 東 京 23 区 内 の 幹線道 路 走 行時  自 動 車 NOx 排出量推計結果(平日)
表 5.6.4  関 東 圏 平日の NOx お よ び PM 総 排 出 量 推計結 果

参照

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