【論 文】 UDC :69
.
022 :699.
841 日本 建 築 学 会構造系 論 文報 告 簗 第 384 号・
昭和 63 年2月ラ
ー メ
ン内
に
お け る せ ん
断 破 壊 型 耐 震壁
の
非 弾 性 性 状
†一 主
と してス リップ破 壊
型耐震 壁
につ い て一
正 会 員望
月
重
* 1.
序 十 勝 沖 地 震の災 害か ら, 建 築 物の耐 力のみ な らずじ ん 性の要 求が高 まり, 鉄 筋コ ン ク リー
ト耐 震 壁の付 帯ラー
メ ン の せ ん断 破 壊を避け て設 計する こ と が望ま れ る よう に なっ て き た。 そ の結 果,
耐 震 壁の せん断 破 壊 形 式の う ち,
付帯ラー
メ ンは せ ん断 破 壊 すること な く,
壁 板の ス リップ破壊で耐力 が支配 さ れ るス リッ プ破 壊 型の設計が 要 求され る に至っ た。 こ う し た背景の も とで, 昭和 59 年10
月 に発 表さ れ た 「鉄骨鉄 筋コ ンク リー
ト構 造 計 算 規 準 改定案」1) お よび富井 博士に よ る 「壁板周 辺の 柱お よ びは りのせ ん断 破 壊を防止 ま たは抑 制し た耐 震 壁の構 造計 算規 準 (案 )」2〕 は,
と も にス リッ プ破壊を耐震壁 の 破 壊 形 式の主た る対象と して いる。
鉄 筋コ ンクリー
ト耐 震 壁の耐 力が壁 板の ス リップ破 壊 で決ま る場 合の研 究に関し て は, 富 井博士 ら 3),
今 井 博 士4),
筆 者5, に よ る ものが あ る。
富 井 博 士らによ る もの は,
算 定 値と実 験 値が良い精 度で対 応する実用的評価の高い 設 計 式の提 案であり,
今 井 博 士の もの は, 壁 板の ス リッ プ破 壊で支配さ れ るものと,
付 帯ラー
メ ン のせ ん断 破 壊 で支配さ れ る もの と を,
付 帯ラー
メ ン の拘 束 効 果に よっ て対比 し た提案式であ る。 筆者の もの は,
鉄 板わ く付き 鉄 筋モルタル の壁板のせ ん断実験よ り,
壁板のス リッ プ 強 度 式 を 求 め,
筆者の既 発 表の理 論解に基づ い て,
耐 震 壁の ス リップ強 度式を提案し た もの であ る。 こ れ らの研 究が あっ て は じ め て,
鉄骨鉄 筋コ ンク リー
トお よ び鉄 筋 コンク リー
ト構 造 計 算 規 準の耐 震 壁の条 項の設 定ま たは 追 加の動き と なっ たこと は否 定でき ない。しかしな がら, これ らの研 究の基 礎と なっ た耐 震 壁の実 験は,
主とし て 1層 1はり間の単 独 耐 震壁,
多 層1は り問の連 層 耐 震 壁 また は 1層多は り間の連スパ ン耐 震壁 とい っ た よ う な付 帯ラー
メ ン付き耐 震 壁の み の場 合で あ る。
ス リッ プ破 壊 が壁 板に対す る付 帯お よび連 続ラー
メ ンの拘 束 効果に よ るこ と,
お よ び実 際 設 計にお ける耐 震 壁が建 築 物の構 面 に組み込ま れて いる点を考え た と き,
ス リッ プ破 壊 する t本 論 文の一
部は,
昭 和6ユ年 度日本 建 築 学 会 大会学 術 講 演 会 〔北 海 道 )で発 表 したものである。
寧 武 蔵 工 業 大学 教授・
工博 (昭和62年6月10日原 稿 受 理 } 耐 震 壁の性 状を付 帯ラー
メ ンだ けで は な く,
それに連続 す るラー
メ ンを含ん だ構 面に おい て評 価す ること が重要 である といえ よう。 以一
ヒの観点 よ り,
本 論 文は 1層 1はり間の単独耐震 壁 を3
層3
は り間の ラー
メンに組み 込 んで,
耐 震 壁が せ ん 断 破 壊,
特に壁 板の ス リップ破 壊 を起こす場 合の耐 震 壁 と ラー
メ ンと の関 係 を,
実 験お よ び解 析か ら追 求したも の である。 §2.
実 験 2.
1 実 験 概 要 実 験は シ リー
ズ1
とli
に分 けられ, シリー
ズ1
の試 験 体は壁 板の ス リップ破 壊 型, そ して シリー
ズ且の試 験 体 は付 帯ラー
メ ンの せ ん断 破 壊 型で ある。
各シ リー
ズの試 験体は, 目的と す る破 壊 を起こさ せ る た め に,
壁板,
付 帯ラー
メ ンの寸法
お よび配 筋は異な るが,
いずれも単独 耐 震 壁を有する 3層 3は り間の鉄 線モ ルタル造の ラー
メ ン (以 後,
r
壁 付ラー
メ ン」 とよぶ )である。
試 験 体は,
柱心々 問330mm,
はり心々間220 mm,
柱断 面50× 50mm2,
は り断 面40× 50 mm2 と30×50 mm2 の2
種 類, 壁厚は6mm と10mm の 2種 類で,
3 層3
は り 間 で あ る。
シ リー
ズ1
は, いずれ の試験 体も壁 板 を2層の中 央は り間に有す る壁 付ラー
メ ンで付帯ばり の主筋 比 とせ ん断補強 筋比 を各々 2 種類に変化さ せ た4 体で あ る。
シ リー
ズH
は, シ リー
ズ1
と同様に,
壁板を2
層 中央は り間に有す る壁付ラー
メ ン で あ る が,
壁 厚を 厚く し た場合と,
は り幅を小さ く し た場 合の2
種 類2
体 であ る。 各 試 験 体の諸元は表一
ユ に示 すと お り であ る。 試 験 体1 W−
1の場 合を例に,
試 験 体の配 筋 状 態を図一
1 に示す。 2,
2 材 料 表一
1 試験 体の諸 元 桂 お よ び 付 帚 庄 はり
付 帯ば
1
, 畳 哲 民 鵬 熔 爼噺
面
1 主 鰯比
帯 跖 尾 噺 国 主 覇 比 島 ば ら 膨 此丁 圭 筋 比 め ぼ ら 魅 比 盤 厚 萱賢比 o■
露
lw一
ユ
曜1.
6.
翩2の 26籃
‘
■
一
弔
.
o騙
,
1.
2雇
艮w−
z 77寡 o ,覧
25
尾
o■
匸
〔
匚
日
醐,
5ユ
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●
o
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幽
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P く1.
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.
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o 曜1.
區一3助一
106
一
O °9
へ
は り主 筋 4−
qmm鉄 線8
呈
唖 圖
圓
一
馴 柱 主 筋 4−
4mm鉄 線 2−
32 旧m鉄 線8
帯 筋 2mm鉄線 @童7 壁 厚6 障 壁 板のせ ん断 補強筋 旦.
6mm鉄 線 @33 0 頃 ON冖
ON冖
あばら筋 L6 吊而鉄 線@24 基 礎 ばり 主 筋4 頃翫鉄 線 あ ば ら筋4 而m鉄 線一
彪一
950
280 50 140 520 図一
1 試 験 体の配 筋 例 (試 験 体:1W−
1)(単位:mm > 表一
2 使 用 材 料の性 質 シ リー
ズ 1 皿 重 量調 合 比 C:S 1:2、
8 い 2、
8 水セ メ ン ト比 (瓢) 60 60 ス ラン プ 〔cm ) 17、
8 16、
8 モ ル タ ル 圧 縮 強 度 (kεf/c冂2〕 278 266 引張 強 度 (k8f/ cmZ ) 25.
2 19.
7 ヤ 冫グ係 数 (討05k巳f/c田2〕 L69 蘆.
95 降 伏 点 (匡目f/c旧2〕 1.
7821「
.
700 4.
Om団 引張 強 さ(k8f〆c。
2) 2.
9852。
970 降 伏点 (k8f/cm2 ) 2,
3702,
600 3.
2口o 引 張 強さ(k巳f/c団り 3,
13置 3,
510 鉄 線 降 伏 点 巛gf /cm り 2,
9101,
600 2.
Om旧 引 張 強さ (匡gf/c団2) 3.
姐o3.
【52 降 伏 点 (k呂f!艦
m2 ) 2,
2702,
030 皇.
6m 引 張 強さ(医8f/c用2) 3,
2803.
甚50 試験 体の材料であるモ ル タルおよび鉄 線の諸 性 質は表一
2に示 すと お りである。
2.
3 試 験 方 法』
試 験 体の加 力は,
図一
2に示す よ うに一
定の柱 軸 力 (・
a。;
40kgf/cm2 )と,
各 層の は り位 置の両 側での圧 縮 と 引 張り の水 平 加 力である。
水平力の 各 層の比は, 1層 :2 層 :3層の順で 1:2 :3の逆 3角 形 分 布とし た。
柱 軸 力 は,
左 右両方の ジャ ッキ (能力50tf
)の力 を,
単 純 ば り加 力方 式で各 柱に分 解 し, そ して水平力 は,
左 右両側 面の ジャ ッキ (能力 5tf)の力を, 多点加 力 装 置で各層 に分 解して加 力し た。 加 力 履 歴は,
原則 と し て 壁 を有す 負 側 加力用PC 鋼 捧 ロー
ドセ ル 50t油 圧 ジャ ッ キ1
正 側加 力用 PC 鋼 駄油 圧 ジャ , ll加 力方向.
聾
、
正 側 加 力 方.
.
.
讐』
』
軸 力 用PC 鋼 捧 図一
2 加 力 装 置の概要 る 2層 部 材 角で ± 1,2
,4
,6
,8
,10
×ユO
’
3rad と 変 位 制 御 を行い,
’
正 負 と も2回 つつ繰り 返 した。 さら に,
そ れ以 後メカニ ズム状 態と なるまで単 調加 力 を行っ た。 し た がう て,
以 後 荷 重 とい っ た場 合に は水平力を与え る ジャ ッ キの総 加 力 荷 重で ある 1層の層 せ ん断 力を,
そし て部材角とは壁を有す る 2層で の部 材 角を意 味する。
§3.
実験 結 果3.1
各種 強 度と破 壊 経 過 壁 板の せん断ひ び割れ荷 重,
最 大 荷重,
終 局 荷 重お よ び破 壊 形 式は表一
3 (a)に,
付帯ば りの せ ん断ひび割れ,
曲 げひ び割れお よ び壁板と連続す る は り,
柱 (以 後,
「連 続ば り」,
「連 続 柱」と よぶ )の曲げひび割れ荷重は表一
3 (b
)に示すと お りであ る。
ま た, 写 真一
1に試 験 体の 破 壊 状 態の一
例 として, 典 型 的な壁板のス リッ プ破 壊お 、 写 真一
1 試 験体の破 壊 状態の一
例一
107
一
表
一
3 (a) 壁 板の ひび割れ荷重,
最大 荷重,
部 材 角お よ び破 壊 形 式賦 験 体
圧 縮 強 度 壁 板 最 大 荷 重(tD お よ び 部 材 角(xm
『
3rad ) 縫 局荷 重く匙D判 破 製 形 式粗σc
嗹
PcreP 隠axに
P田ax 比*3。
R旧a 詫 cRma 翼 比準4。
Pun 比准5 実 験 解 析1W
−
12680.
54 且.
951.
臼9 且.
036,
066.
880.
881.
530,
2旦 可S.
BF 尉S,
BF 1W−
22730.
582.
OO 夏.
891.
056,
117.
070.
86 注.
70G.
15 鴨.
BF WS,
BF 1W−
32870,
522,
282.
OG1.
L4 匚0、
098,
14 皇,
241,
72o.
25 耀S.
BF 冒s,
BF 1W−
42820,
502.
172.
001.
0910,
08o,
191.
231.
800,
17 艀s,
BF 貿S,
BF 2W−
12650.
902.
132.
101,
0【 5.
955,
04k.
181,
60o.
25BS,
BF BS,
BF 2W−
22660.
751.
891.
791.
068.
oo6.
441.
241.
5置 o.
20BS.
りS.
BF8S.
胃S、
BF 記 号 fft :モ ル タ ル 圧縮 強度(ksf!cm2 )
,。
Pcr :壁 板の ひ び割れ荷 重(tf).
*1:終 局 荷 璽 はメ カニ ズム時の荷 重 を示す.
*2: VS=
壁 板の ス リップ破壌,
BF= ラー
メン の は り端 部,
1層 柱 脚 お よ び 1 層 連 続 柱の柱 頭の曲 げ 降伏,
BS:付 轄 ば り の せ ん 断破 壌.
*3:比# cPmax ノ,Pmax.
*4:比=,
Rmax/。
Rmax,
*5 ;比=
〔ePmax−,
P.
1L)1,
Pmax、
左添 字eは実験 値を.
cは解 析 篋 を 示す.
表
一
3 (b) 付帯ば りおよ び連続ば り, 柱の ひび割れ荷 重 (単 位 ;tf) 付 帯 ばり の せ ん 断ひび 割 れ 付 帯 ば りの曲 げひび 割 れ 連 硫 柱の曲 げ ひ び 割 れ 連 続 ば りの曲 げひび 割 れ 試験体 実 験 解 析.
比翠 実 験 解 析 比* 実 験 解 析 比* 実 験 解 析 比亭 1W−
1 L75 (89
’
〕 L68 (4−
5} (8一
9,
} Lo4 L20 ヒ8’
−
9’
) 1,
26 (4−
5) (8 9り O.
95L40 (8−
1D1.
47 (8−
u) O,
95 皇.
00 (7−
8】 LO5 (7−
8) (7一 8’
) 0.
95 1W−
21,
96 (4−
5) L68 (4−
5) (8’
−
9’
〕 L171,
60 (4−
5) 1.
26 (4−
5) (8’
−
9’
) L27L72 (8−
1且) L47 (8−
n 〕 L171.
00 (3−
4} (7−
8〕 1.
05 (7−
8) (7’
−
8’
) 0.
95 1W−
3 2』6 (8一9’
) L89 (4−
5} (8’
−
9’
) 1.
091,
40 (4−
5〕 且,
26 (4−
5) (8’
−
9’
) 1.
111.
56 (8−
1D1.
47 (6−
Ll) 1』6L50 〔3−
4) (7−
8) L26 (7−
8) (7’
−
8’
) 1.
19 1W−
42.
10 〔4−
5) 1.
89 (4−
5) (8一 9り LH 1.
31 (8 9’
) L26 (4−
5) (8,
−
9’
〕 1.
041.
38 (8−
iD1.
47 (8−
11〕 0,
94 L40 (7’
−
8り L26 σ一
8) (78
’
〕 1.
口 2W−
1 L68 (89り 1
.
89 (4−
51 (89り 0
.
89 L40 (8’
−
9’
) L26 (4−
5) (8,
−
9,
) 1.
u 旦.
60 (8−
1D1.
47 (8−
[D1 』9 0.
75 (7−
81 (78
’
) L26 (7−
8) (7一
8’
) 0,
60 2W−
2 旦.
73 (4−
5) L68 (4−
5) (8’
−
9「
) Lo3 Ll1 (8 9,
} L26 (4−
5) (89
’
) 0,
88 L51 (8一
且1) L47 く8−
1DLO3 (30’
.
−
734’
) (7 8’
) 1,
05 (7−
8⊃ (7’
−
8’
) 0,
70 * 比=
実 験 儷 / 解 析 臆,
( ) 内の数 字 は 解 析モ デル 〔図一
7参 照 )の ひび 割 れ 発 生 部 材 を 示 す.
よび 付 帯ば りの せ ん 断 破 壊 を 起 こ した試 験体 1W−
4お よび2W−
1を 示 し た。 以下,
各シ リー
ズご とに強 度と 破 壊 状 態につ いて述べる。
シ リー
ズ1
は,
いずれ の試 験 体も,一
部に順 序が多少 入 れ か わ る場 合 もあるが,
ほ ぼ次の ひび割れ パ ター
ンを た どっ て終 局に至っ た。 】.
)壁 板の せん断ひび割れ,
2) 付帯ば りの端部曲げひび割れ,3
)付帯 ばりの中 央曲げ ひ び割れ,4
)1層 柱の柱 脚曲げひび割れ,
5)1層 連続 柱の柱 頭 曲 げひ び割れ,6
)2
層連続ば り の端 部 曲げひ び割れ,7
)付 帯ばり のせ ん断ひび割れ,
8 )壁板の ス リッ プ破壊で 最 大荷重 と な り,
以後壁板の は く離を 生 じ な が ら,9
>は り端 部,
1層 柱 脚および1層 連 続 柱の柱 頭ヒ ンジの メカニ ズム で終 局とな っ た。
1層 柱の柱 脚および1層 連 続 柱の柱 頭 曲げひび割れ以 外に は, 柱の曲げ お よ び せ ん断の ひび割れ は生じ な かっ た。
し た がっ て,
各 試 験 体と も はり降 伏型の比較 的 安 定 し たメ カニ ズム で終 局 に至っ たの で,
部 材 角 R=
15× 10−
3rad 程 度の メ カニ ズム時の安 定 荷 重 を もっ て終 局荷 重と し た。 付帯ばり のあば ら筋 比の効 果につ い ては,
表一
3 (a) より分か るよ うに あば ら筋 比 がO.
4 % の試 験 体lW −1
, lW−
3を, あ ば ら筋比 が 1,
2
% の試 験 体 ユW−
2,
1W−
4 と最 大 荷 重におい て各々を 比較すると, 試験 体 lW−2
は lW−
1より2.
OO−
1.
95=0.
05
tfと 若 干 増 加して い る が, 試 験 体 1 W−
4は lW−
3より 2.
]7−
2.
28=−
0,
11 tf と逆に低 下し て いる。 し か し な が ら,
最 大 荷 重に対する 終局時の耐 力 低 下 率は,
試験 体 1W−
2,
lW−
4がそれぞ れ 15%,17
% で あ るの に 対 して,
試 験 体 ユW−
1,
1W −
3はそ れ ぞ れ 2ユ%,
25% と大き く低 下し た。 ま た,
図一3
よ り,
試 験体lW −1
とlW −2,
お よ び lW−3
と1W −
4 を 比較 し た場 合,
前 者の 2体は後 者の それ らに 対して付 帯ばりの せ ん断ひび割れ が顕 著であることが分 か る。
したがっ て,
富 井 博 士 も述べて い る よ うに6),
壁 板がス リッ プ破 壊する場 合, 付帯ばりの あばら筋 比は最 大 耐 力の向 上にあま り効果的と はい え ないが,
終 局 時の 耐 力低 下および付 帯ば りのせん断ひ び割れの進 展防止に は有 効で あ る とい え る。 付帯ば りの主 筋比の 効 果に関し て は,
表一
3 (a>よ り 分か る ように主 筋 比 が3.
8
% の試験 体1W −
3,
1W−
4 を,
主 筋 比が 2.
6% の試験体 ユW−
1,
1 W−
2と最 大 荷 重に お い て 各々 を 比較す る と,
1W−3
は 1W−
1より 2.
28−
1.
95‘
O.
33ヒf
, 1W −4
はlW −2
よ り2.
17− 2.00
一
108
一
図
一
3 壁 板のひび割れ状 況.
/=
O,
17 tfと ともに増 加 して い る 。 最 大 荷 重に対 する終 局 時の耐 力 低 下 率は,
lW−
3の 25% に対し て 1 W−.
1の 21%,
ま た 1W−
4の 17%に対 し て 1W−
2の 15% で あ るか ら,
主筋比 が増すに従い最 大 荷 重の増 加と なり,
耐 力 低下 も大き く な る と もいえ る が,
そ れ ほ ど差が あ る と はいえ ない。
ま た,
図一
3よ り 付 帯ば りの 曲 げひび 割 れ は, 主 筋 比の小さい試 験 体 lW−
1,
lW−
2で は端部と 中 央 部の両 方に発 生し たの に対し て,
主 筋 比が大きい試 験 体 1W−
3,
1W−
4で は,
中 央 部は IW−
3の下 ば りに かすか に み られた の み で, 主と して端 部に生 じ た。
以 上の付 帯ば りのあば ら筋 比 と主 筋 比 を変え た実 験か ら,
壁 板の ひび割れ に よる直 交異方 性 板と し ての面 積 膨 張に よ り, 付 帯ラー
メ ン はリング状の引張り状態となっ た の で, 耐 力 増 大にあ ば ら筋は効果を示さず,
主 筋が効 果をもつ結果と なっ た。
シ リー
ズ皿の試 験 体 2W−
1, 2W−
2は ともに壁 板の ス リッ プ強 度に対し て付 帯ばり の せん断 強 度が小さく な る よ う 設計 し て ある。
し たがっ て,
試験 体2W−
1の ひび 割れ状況に示 す よ うに,
シ リー
ズ1
の場 合と同様なひび 割れパ ター
ン を た どっ た が, シ リー
ズ1
が8
)壁 板のス リップ破 壊で 最 大 荷 重 となっ たの に対して,
試 験 体2 W−
1が 7) 付 帯ば りの せ ん断 破 壊で最 大 荷 重と な り、
2 W−
2が 7) 付 帯ば りの せん 断 破 壊 と8
)壁板の ス リップ 破 壊と が同 時に起こっ て最 大 荷 重 となっ た点が シ リー
ズ1
とは異な っ た。
最 大 荷 重 以 後は付 帯ば りのせ ん断 破 壊 が生じ て,
特に試 験 体 2W−1
は安 定 性に欠け た が,
ほ ぼ, 9)は り端 部, 1層 柱 脚お よび1層連 続柱の 柱頭ヒン ジ の メ カニ ズム で終局 と なっ た。
壁 厚が 10mm と ほ か の 試 験 体に比 し て厚い 2W−
1 は,
部 材 角 R;
6×10T3rad付 近でぜい性 的に付 帯ば り が せ ん断 破 壊 した の に対し て,
は り幅が 30mm とほ か の試験 体に比し て小さい2W −2
は部材 角R=8
×103 rad 前あ た りか ら壁 板に小さ なは く離が発 生し
,
最 終 的 に は付 帯ば りの せ ん断破 壊と同時に壁 板の スリッ プ破 壊 が み ら れ た。
両 者の試 験 体の強 度 を比 較した場 合,
表一
3 (a)よ り最 大 荷 重につ い ては,
2 W−
1が 2.
13 tfに対 し て,
2 W−
2が 1、
89 tfで,
2W−
】の 方 が木
き く な るの は は り断 面が大きい こと か ら当 然であ る が,
最大荷重 後 の耐 力 低 下率は2W −1
が25
% と,2W −2
の20
% よ り 大 きい 結 果と なっ た。3,
2
変形とひず み 図一4
は 正側加力時の荷重一
各 層 変 位 包 絡 線を示し,
図一
5は壁 板の あ る 2層にお ける荷 重一
部 材 角 曲 線 を示 し たもの で あ る。 図一
4につ い てみ ると,
シリー
ズ1
の 各 試 験 体はいず れも壁 板の スリッ プ破 壊で終 局に至っ て い るの で,
全般 的に は じん性に富ん だ変 形を示し て い る が,
荷 重一
部材角曲線の乱れ方が シ リー
ズH
に比 較 すれ ば少ない と はい え,
若干み ら れ る。
す な わ ち,
図一
4に お ける試 験 体 lW−
4 と,
ユW −
1,
1W−
2,
1W−
3との 最 大 荷 重 直 後の耐 力を比 較す るとt 前 者は ほ と んど耐 力 低 下が ない の に対 して,
後 者は試 験 体に よ り多 少 差はあ るが,
耐力低 下がみ ら れ る。 また,
図一
5の lW−
2の負 側 荷重時の 部材角R・
=
4× 10−
3rad 以後の耐 力 低 下は急 激な壁板ス リッ プの進行に よ るものであ り,
その後 安 定 し た と はい え問題であ る。 最 大荷重 時の部 材 角につ い て い え ば,
付 帯 ば り の主 筋 比 が小さい 試 験体 lW−
1,
lW −2
でR =6
×10
−
3 rad 程 度に対して,
主 筋 比の大きい 1W−
3,
lW −
4で は R=
10×10−
3 rad 程 度で起こっ て い る。
以 上の点お よ び 「3,
1 各 種 強 度と破 壊 経 過 」で述べ た最 大 荷 重に対す る終局時の 耐力 低 下率を考慮す る なら ば,
1 W−
4が最も 理想 的な復元力 特 性を示している とい一
109
一
P〔tf PCtf tf 0 2 4 tf 〔t2 しf2 5 6〔 ) 図
一
4 正 加 力 時の荷 重 〔P)一
各 層 変位 (8) 包 絡線一
2一
1一
1 2 図一
5 荷重 (P)一
部 材角 (R)曲線 え る。
逆にい え ば,
壁 板の ス リッ プ破 壊 時に良 好な復 元 力特性を 期 待する には,
付帯ラー
メ ンの十 分なせ ん断と 曲 げ (引 張とい うべ き)補強が必 要であ る といえ る。
シリー
ズ [の試 験 体2W−
1お よ び 2W−2
は と もに せ ん断破 壊で ある の で,
図一
4より分 か る よ うに最 大 荷 重 直 後の耐 力 低 下がみ られ る が,
その う ちで も 2W−
1が 特に大きい。 図一
5の 2W−2
の荷 重一
部 材 角 曲 線は一
見 良い性 状 を示し て い るが,
負 荷 重 時の部 材 角R
=6
×10
−
3rad で の 最 大 荷 重 以 後,
耐力が漸 減し続けて いるの は,
せ ん断 破 壊に起 因 するものと考え られる。
図
一
6は壁 板の モ ル タル表 面に てん付した ひずみゲー
ジ か ら, 荷重一
壁 板ひずみ度曲 線の一
例と して,
試験体2W −
2の場 合 を示した ものであ る。
この場 合,記 号 W1,
W2,
W3
の ゲー
ジ で は,
正,
負荷重 時の ひずみ度が.
それぞれ ひび割れ後の壁板引 張 り プレー
ス,
圧 縮 ブレー
ス と して の ひずみ 度を示し て お り, 記 号W1’
,
W2’
,
W3 ’
の ゲー
ジで は そ の逆と 解す ることがで き る。 し か し,
モ ルタル表面の ひずみ度である点 から,
圧 縮プレー
レー
(
隔 2W1 」・
2000一
1000 100 ε …一
1 〉一
.
嚠
回3■
一
2(
申 り}
● 。:
蚓 寸 位翊
2W2一
圧縮 ブ レー
ス一
2000−
1 00 c (xlO−
E) ¢ θ W1一
)
0 0 01一
) 5,
1一
2 100 ε〔xlo’
〔
お P 2’
一
2 〔x10T 実 験 解 析 お W3 , 図一
6 壁 板の荷 重一
ひず み度 曲線 〔試 験 体 :2W−
2)一 110一
ス の ひずみ度
,
す な わ ち 正荷重時で は W1’
,
W 2’
,
W3 ’
,
負荷 重 時で はW1,
W 2,
W 3の ひずみ度の み を検 討の 対象とす る。 図一6
か ら分か るよ うに Wl とW2 は と もにほ ぼ弾性で あるが,
そ の傾き は W1 より W2 の方 が ゆ る や かになっ て い る。
W3 の場 合の荷 重一
ひずみ度 曲線は塑 性 性 状 を示 し,
弾 性 時の 傾 き.
もW2
よ り さ ら にゆるやか に なっ て い る。
こ の こ と はw1 ’
,W2
’
,w
3’
に つ い て も同 様で あ る。 し た がっ て,
壁 板の ひ び割 れ後の 圧縮ブレー
ス の応 力は壁 板隅角部よ り中央に位 置 す るブレー
スほど 大きいといえ る。
§4.
解 析 4.
1 解 析 概 要 解 析は,
筆 者が単 独 耐 震 壁の ひび割れ後の付 帯ラー
メ ン の応 力 算 定におい て提 案7) し て い るブ レー
ス置 換を用 い た,
1層 柱 脚 固 定ブレー
ス付き平 面 架 構の,
正 側 加 力 時を対 象と し た弾 塑 性 増 分 解 析で あ る。
図一
7は解 析モ デルを示し た もの であ る。 各 部 材の強 度お よ び剛性の概 要は以 下に示 すと お りである。 a>壁 板 ひ び割れ前は壁 板の せ ん断 剛 性と等 価な弾 性 対 角ブ レー
ス と する。 ひび割れ後は 45°
方 向の ひび割れパ ター
ンを 想 定し て,
水 平および鉛 直方 向と45°
の傾き をもつ,
引張 鉄 筋ブレー
ス と 圧縮コ ン ク リー
トブレー
ス とに置 換 し た。引 張 鉄 筋 ブレー
ス の応 カー
ひず み曲 線は,
図一8
(a) の よ う に降伏点 (σ。)を折れ点と す る バイリニ ア型と し た。
ま た,
圧 縮 コ ンク リー
トブレー
スの そ れ は,
図一8
(b
) 330 330 330 990 b−一
一
e 圧 縮コ ン クリー
トプレー
ス e−一
℃ 引 張 鉄 筋プ レー
ス ● 要素 分 割節 点 ( ) 内はフレー
ス の節 点 番 号を 示す.
図一
7 解 析モデル (単位 ;mm ) ) σ y 形 (a )鉄 筋.
図一
8 ( ト 力) (b)コ ン ク 1丿一
ト 応 カー
ひずみ 特 性 に示 す 圧 縮 荷重時の ように剖 線 剛 性 ECifSの直 線と指 数 関 数の組み合わせ と し, 中 央 圧 縮ブレー
ス 2本 (対 角 線 長さの 4割 )の平 均 圧 縮 応 力 度が (4.
1)式の ス リップ 圧 縮 強度 (σs。
)5 )に達 し た点を,
壁 板の ス リップ破 壊と した。 asc=
2.
51 Ps・
σy十 〇.
46σc・
・
tt・
・
…
t・
・
・
・
・
・
・
・
…
−t
(4.
1) こ こ に,
asc :ス リッ プ圧縮強度, p。 :壁板の せ ん断 補 強 筋 比 ay :壁 板の せ ん断 補 強 筋の降 伏 点σc :コ ン クリ
ー
ト圧 縮 強 度b
)ラー
メ ン ラー
メン部 材の うち,
柱は曲げモー
メ ン ト,
せ ん断 力 お よ び軸 力による変 形 を,
はりは曲 げモー
メ ン トと せ ん 断 力に よ る変 形を考 慮し た。 は り お よ び柱の復元 力特性 は以 下に よっ た。 曲 げの復 元 力 特 性は,
図一
9に示す よ うに ひび割れ を 第 1折点,
降伏を第2
折点と す る ト リ リニ ア型と し た。
そ の場 合,
・
は りMcr
=
2.
oViJ・
2
ε・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(
4.
2a
) My=
O.
9at■
σ y’
d …
tt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4.
3a
) am ==(O.
043十 1.
64
npt 十〇.
043a
/D
)・
(d
/P
)2・
『
・
・
・
・
…
一
・
tt
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4.
4a ) ・柱Mcr=2.
oVi
;・
Ze十IVD/6・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
tt・
・
…
(4.
2b }N
≦0.
4bl
)σc My;O.
8at・
σy・
D十 〇.
5ND (1−
1V/(bD
σc)}’
tt”tt’
’
’
’
’
’
’’
’
’
’
’
’
”…”t.
−t
(4,
3b ) σm=
(0.
043
十1.
64n
ρ t十〇.
043
α/D
十〇.
33N
/(bD
σc>)・
(d
/D
) 2・
・
tt・
ttt
・
…
(4.
4b
) せ ん断 力の復元 力特性は,
図一9
に示 すよ うに終 局 時 まで完金弾性型.
と す る。 その場合,
・ は り yM McrQcr
−
{
°驪
(留
゜°)]
・j
…・
一 一
(・.
・・}Qu
−
1
°’
°6
鶉糯
18°)… 偏}
・ゴQuQcr
…・
…・
…・
………
(4.
6a >/
。 ,mS0 θ 曲 げモー
メ ン ト ttん 断力 軸方向 力 図T9部 材の曲げモ
ー
メ ン ト,
せん断 力,
軸方向 力の特性一 lll一
・
柱Q
。
r−
[
°驪
(鰐
゜°)・・.
1M ・}
・ゴ(・.
・b
)Q
。
一
{
°茄鶉筆
81
圭
’8
°)…鳫
・・
.
IN
/b
・}
bj ・
…・
・
…『
…・
…・
…・
…
(・.
・b
) 柱の軸 方 向 力の復元力 特 性は, 図一
9に示すように引 張 り側は引 張りひび割れ を 第1折 点 と する バ イ リニ ア 型,
圧 縮 側は圧 縮 強 度 時まで の完 全 弾 性 型とする。
その 場 合, tハlcr
;
c σビAe・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4.
7 ) tNN=2Pt
σ ybD・
・
・
…
一
・
・
・
・
・
・
・
…
t・
・
・
…
ttt
・
・
・
…
t・
《4.
8
) an ; 2npt/〔1十2nPt)・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4,
9
) 。Nu =
σ。bD ’
…一 ・
…tt・
・
・
…一 ・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(4.
10 ) 曲 げ 降 伏 時の 剛性 低下率 am の算 定に おい て,
軸 方 向 力N
は一
定の 柱 軸力 (σ。= 40kgf/c皿 2 )の み を考慮 し,
シャー
スパ ン a は内の りス パ ンの半 分と し た。 その他 の各復元 力特性の算定につ い ては,
軸方 向力N
お よ び シャー
ス パ ン α は,
解 析の 各荷重 段階で算定 した値を 用いた。 こ こ に,
Ae
:等 価 断 面 積, a :シャー
スパ ン at :引張 鉄 筋 断 面 積b
:柱の幅、
D :柱のせい,
d
:有 効せ い ノ:応 力 中心間 距 離,
k。:断 面 寸 法に よ る補正係 数Mcr
:曲げひび割れモー
メ ン ト My :曲げ降 伏モー
メ ン ト N :軸 方 向 力,
tNc .:柱の引 張り ひび割れ荷 重 tNy :柱の引 張り降 伏 荷 重,
冗 :ヤング係 数 比Qcr
:せ ん断ひび割れ荷 重,
Qu
:終 局せ ん断 強 度 Pt:引張り鉄 筋 比, Pw :せ ん断 補 強 筋 比Z。
:等 価 断 面 係 数 am :曲げ降 伏 時 剛 性 低 下 率 αが 引 張り降 伏 時 剛性 低 下 率 σc :モル タル圧 縮 強 度,
c σt:モ ルタル引 張り強度 σy :引 張り鉄 筋 降伏 点, σWY :せん断 補 強 筋 降 伏 点4.
2 解 析 結 果 解析結果の う・
ち,
試 験 体の最 大 荷 重, その時 点で の部 材角お よび破 壊形式は表一
3 (a)に, 付 帯ばり の せ ん断 ひび割れ, 曲 げひび 割れお よび連 続ば りと連 続 柱の曲 げ ひ び割れ 荷 重は表一
3 (b
)に示してい る。
表一
3 (a} より, 最 大 荷 重は試 験 体 lW−
3の 14% を除けば実 験と 解 析 結 果は +10 %以 内に,
表一
3 (b
)で は試 験 体 l W−
2の付 帯ば り お よ び2W −1, 2W −2
の連 続 ばり の曲 げひび割れ荷重 を除け ば,
実験 と解 析 結 果は ±20 %の 誤 差 範 囲 内にあ る。 な お, 表一3
(a)の破 壊形 式につ い ては,
全 試 験体で解析と実 験が完 全に一
致し た。
図一
4におい て太線で示 し た各 曲 線は,
正 側 加 力時の 荷 重一
各 層 変 位 曲 線 を描いたもの で あ る。 解 析は荷重増 分 解 析であ る た め,
実 験 結 果と の比較は最大荷重時ま で であるが,
実 験の荷重一
各 層 変位 曲 線をほ ぼ追 跡 し て い る とい え よ う。 図一
6の荷 重一
壁 板ひずみ度 曲線の う ち,
記 号W2 ,
W2’
,
W3,
W3F の 破 線 は,
解 析 で の ひずみ ゲー
ジて ん付位置に対 応する, 壁 板の ひび割れ後の 圧縮コ ン ク リー
トブ レー
ス のひずみ度 を 描い た もの である。W2 ’
の場合, 数 値はずれ て い る が傾き は一
致し て い る こと を 考 慮すれば, 良く一
致 し て い る ことか ら,
ひび割れ後の 壁 板 をブレー
ス に置 換 すること は妥 当とい え る.
図一
10は壁 板 周 辺の付 帯ラー
メ ン および連 続ば り,
柱の材 端モー
メ ン ト に関す る実 験 値の正側 加 力時の包 絡 線 と解 析 値 との対 比 を,
荷 重 との関 係におい て行っ たも の であ る。
こ こでは その一
例と し て,
試 験 体 1W −
1 , 1W −
4,
2W−
1の 3 体につ いて示した。
実験値は部 材の曲 連 続ば P〔しf 3 2 1−
]−
2−
1 / 付帯 柱 P〔tf 遼 続 ば T 灘/
M(tfcm) P[tf 逗続任」
1 付 帯 ば 3 2 1−
1−
2−
] P〔tfl 漣 焼 柱 P(tf, 運 …茫任 2ノ
’ 2噛
LL
’
.
「
「
‘ρ
「
F
層
噛
1‘
’
、
1 鋭 ば りF
,
’
L
付帯 ば りミrF
」
一一一
3 2 1 ト一
】−
2−
3 ユー
2−
1’ ’
、
、
・
1 2 3呂【tf℃ m}一
3−
2辱
1i 2 3 付帯 ば り 」」
「
‘
〆 1噛
「
、
’11 r」
馳
、
L
k、
… 2 1馳
、 付 帯柱 付 帯 柱 連 続 ば り 自 4P PltfL丶
」
弓卩
8
壁 B
・
1 P〔tの?
魑
驢
一
、
「
,
●
」
幽
‘
、
」
昌 「
}1卩
2、
、
、
、
1
「
、
亀
、
L1
付 帯 桟 睨 ばり丶,
1 付 帝 桟卩
付帯 ば り 3一
一一,
噛圏
r
「
一123
門【t 剛.
3.
2一
睾 2 3卩
’
ノr
’
’
’
,
卩
卩
.
.
1 付 帯ば り1鹽
、
21’
r「
齟
尸
,
煙 続柱 11、
卜
、
2 : 連 続 柱 試 験体 :lW−
4 運 説 ば りー
Up、
丶.
1 2 31 \ 付 帯 ば り :3−
2−
1 2 コ1
’
、 肺 柱; 自 留 / 掃 壁 自1rl
蟹
、
辷
付 帯 ばり’
.
2−
3.
3.
2.
1,.
123M {tfcmlコー
2−
/ \付 帯ば り.
・
ノ
! 丶 / 達 睨 柱 f 違 統 柱 試 験 体; 1W一
互_
実 験一
一
.
一
解 析瞼
。、
付 帯 柱一一
早・
] 2 3 丶 写 遵続 ば り_
実 験一
一
一
_
解 桁 煙 続 ば り 3 2 1」
−
3−
2_
1 σ 柱 円 帯 付案
搾
逗 四、
〆
譱
弓 1 2・
付 帯 ば り N 4 付 帯 柱 壁 s 連 続 柱 P{tf} 連 続 柱・
.
2 / !’
11.
!.
{:
,−
3{
〜
帯雪
幽
一
1
−
2−
3 鬥(tfcm ,.
図一
10 荷 重一
材 端モー
メ ン ト関係の実 験と解 析との対比 付 帯 柱1
一
1−
2−
3 阿〔tfcm , 2 ヨ,
ロ
ヨ−
z’
1
.’
1’
1マ箔ば り 連 続 柱 試 験 体 :2W一
且一
更験一
一
一
.
解 析 4,
P〔tf)、
s,
1寸 帯ばり・
3 2 1 1丶 21 連 続 ばり 1付 帯 柱一
}−
2−
31 2 3亀
、
、 遮 続 ば り一 112 一
P4
罫覊・
謀
.
聖 」 e.
so.
4o しf’
−
…
蕉
姻
藩
…
PseO.
105し
丘 Pg自
D.
4Zしf P3自
0.
070匸
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P,
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O・
42ヒ
E q匸
0.
フ7tf Pz區
o.
28tf P■
暫
0.
14【f QCo回
0、
0ア【f■
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co.
0.
07【
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F=
L_
ム
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_
」日 匸「 Pg Pz
’
−
P;
P階
嶋
亠
Pl P,
rO
6 tf Pコ
區
0.
2B【
E P邑
.
0.
14ヒf (a)壁 板 の ひ び 割 れ 前・
…・
・
ひ び 劃 れ 後一
(b)連 続 は り,
柱・
有一
遅 続 ば り,
桟’
無.
.
.
…
(c)ラー
メ ンの み……
図一
11 付 帯ラー
メンの曲げモー
メ ン トおよびせん断力 野一
衡
0 ン メ一
ラ 付 壁 げ主 筋にて ん付し たゲー
ジ か ら ひずみ を読み取り,
ひず みの平 面 保持 を仮 定して,
鉄 筋とコ ン ク リー
トの応 カー
ひずみ特 性は図一
8に よっ て 算 定 し た もの で あ る。 その 際, コ ンク リー
トの終局 応力 度点のひずみ度は O.
3% とし た。
図一
10 よ り分か る よ うに,
付 帯柱の端モー
メ ン トMs・
−
v が実 験では荷 重の増加に 比例して いるの に対 し て, 解析で は荷 重1.
26
tf程 度か らモー
メ ン トが減 少 し て,
負か ら正のモー
メ ン トに 変わっ てい る点を除けば,
良く一
致 し て い る。
端モー
メ ン トMe’
.
..
の実験 と解 析と の 不一
致は,
解 析では連 続 柱8
’
−ll’
の端モー
メン トMs・
−
n・
の 増 大に対し て,
付 帯ばり8’
−
8 お よび 連 続 ばり8’
−
7’
が降伏し,
つ りあい上付 帯 柱8’
−
4’
の端モー
メ ン トMs’
.
.・
が負か ら正の モー
メ ン トに変わったと 判 断さ れ る。
これ は, 実験で は 鉄 筋 お よ びコ ンク リー
トの除 荷 時の復 元 力 特 性が不明の ため,
それらを特 別に設 定し な かっ た ことによ る もの であ る。 以 上の結果よ り各種強度,
破 壊 形 式,
荷 重一
部 材 角 曲 線,
壁板ひずみ度,
さ らに荷 重一
材 端モー
メン ト曲 線に よ る変 形とひずみに関して も, 本 解 析 法は耐 震 壁 を有す る架 構の弾 塑 性 解 析 法とし て妥 当であるとい え る。
4.
3
付 帯ラー
メ ン の応 力 「4.
2 解 析 結果」より解 析 法の妥当性が検証さ れ た の で,
解 析か らス リップ破 壊 時の付 帯ラー
メ ンの応 力 を,
定 性 的 観 点か ら比 較 検 討 する。
図一
11 は典 型 的な壁 板 の ス リッ プ 破 壊を 生 じた試 験 体1 W−
4を対 象に,
(a> 壁板の ひ び割れ前とひび割れ後,
(b
) 連 続ばり,
柱の 有 無,
(c)ラー
メンの み と壁 付ラー
メンの各場合に お け る,
付 帯ラー
メシお よ び 連 続 ば り,
柱の解 析によ る 曲 げ モー
メ ン トとせ ん断力 図 を描い た もの であ る。 な お,
(b
} 連 続 ばり、
柱の有 無の検 討のた め に,
あ ら か じめ試験体 1W−
4の耐 震 壁と 同 じ単 独 耐 震 壁の解析を行っ た結
果 は最 大 荷 重が 1.
87tf
であ り,
その破 壊 形 式 は 壁 板の ス リッ プ破 壊であっ た。
(c)「
壁板の有無の検討の た めに,
試 験 体lW−
4と 同じ ラー
メ ン につ い て行っ た解析結果 は最 大 荷 重が 1.
68 tfで あ・
っ た。
以 後,
各々 の 比較で対 象とする荷 重は, 本 節の比較が定 性的な もの であ る点お よび単 独 耐 震 壁 とラー
メ ンの最大耐力を考慮し てP =
1.
68 tfと する。
こ の場合,
試験 体 1W−
4 の 荷 重 P = 1.
68 tf時の第 2層の 層せ ん断 力か ら独 立 柱のせ ん断力 を差し引い た(こ の場 合は逆せん 断 力で あ る か ら加え た1
値,
す な わ ち 1.
68×5/6+0.
07十 〇.
07=
1.
54しf
が壁 板と 付 帯 柱の負 担 せ ん 断 力の和と なり,
単独耐 震 壁の比 較の 荷 重と な る。
ま た,
ひび割れ発生前の荷 重と して は,
完 全にひび割れ が 発生していない とい う点か らP =
O.
42tf
を採用 し た。
a)壁 板の ひび割れ前と ひ び割れ後 壁 板の ひび割れ発生 前・
後の荷 重と して は,発生 前P
=0.
42 tf,
発生 後 P=
1.
68 tfと し た。 図一
ユ1 (a)の ひ び割れ発 生前後の差を示し た影の部 分か らも分か るよ う に,
壁 板に ひ び割れ が 生 じ ると付 帯ばり,
特に端モー
メ ン トM ,
−
4・
,Me’
.
e が増大 し,
端 部せ ん断 力Q
..
、.
,
Qs
・
−
8 が 極 端に大き く なっ てい る。
これ は, 図一3
の壁 板の ひ び割れ状 況とも一
致してい る。
な お,
ひび割れ前の付 帯 ラー
メ ン の 曲げモー
メ ン トは,
壁 板を対 角ブレー
ス に 置 換 した解 析に よるもので,
実 際に は生 じてい ない と考え るべ きで あ る 。b
}連 続 ばり,
柱の有無 この 場 合,
連 続ば り,
柱の 有 無の 比 較の た め,
Pi ユ.
68
tf時の試験 体lW−
4と その 荷 重に対 応するP =
1.
54
tf時の単独 耐 震 壁の各 応 力を比 較し た。
図一
11(b
)一 113一
より分か るよ うに
,
連 続 ばり,
柱が ない と曲 げモー
メ ン トで は圧 縮 付 帯 柱の端モー
メ ン トMs’
.
、
・
が大きく増 し,
そ し て その 結 果圧縮 柱にぜ ん断力Qs
’
−
t が生じ る こと が 分か る。 逆 に,
連続ばり,
柱がある場 合の端モー
メ ン ト Ms.
一
‘・
の 減少は,
連続 柱の端モー
メ ン トM ,・
,
ii・
の増 大に よるもの であ ることはす でに 「4.
2解 析 結 果」で も述べ た が,
そ れ に対 し て引 張り側付帯 柱の端モー
メ ン ト M‘−
8 がそ れほ ど増大 し ない の は,
連 続 柱が3層で 1層 に比 して モー
メ ン トが大き く ない こ とに よる。
こ の こと は壁 板のス リッ プ破 壊 耐 力 を算 定する に は,
付 帯ラー
メ ンだ けでな く 運 続 ば り,
柱の効果も考 慮す る こと が 必要 であ る とい え る。
c)ラ
ー
メ ンのみ と壁付ラー
メ ン 壁 板の有無に よる違い をみ る た め に,
試 験 体 1W−
4 のP =
1,
68 tf時の値と,
そ のと きの各層の水平力 をラー
メン の みに加 力 した場 合と を比較し た。 試 験体 1 W−
4 の壁 板と付 帯 柱の負 担せ ん断 力の和が 1.
53 tfで,
ラー
メ ン の み の場合は 試 験 体 1W−
4の付 帯 柱に相 当す る柱の 負 担せ ん断 力の和がO.
69
tfと な るの で, 定 量 的な評 価 は で き な い。
し か し,
図一
11 (c)か ら分か る よ うに,
ラー
メ ン の み の場 合は当然 な が ら付帯 柱の 曲 げモー
メ ン ト,
せ ん断 力および付 帯 ばりの端部モー
メ ン トが 増 大し,
逆 に壁 付ラー
メ ンは付帯ばり の中央の 曲 げモー
メン トが全 面 的に増 大 し,
付 帯ばりの端 部 せ ん断 力Q4
.
る・
,
QSL8
が 局 部 的に増 大す る といえ る。
§5.
結 論 以上 よ り 次の結 論が得られ た。
1
)壁板がス リッ プ破 壊 することに よ りじ ん性のある 復元力 を期 待する には,
付 帯ラー
メ ン に十 分 な せ ん断 補 強筋およ び曲げ (引 張)主筋が 必要であ る。
2
)ひび割れ後の壁 板 を,
引 張り鉄 筋ブ レー
ス と圧縮 コ ン クリー
トブレー
ス に置 操す る解析は, 壁 付ラー
メ ン の解 析 法と し て耐 力,
変形,
ひずみ お よ び破 壊 性 状か ら み て妥 当 と判 断さ れ る。 3>ス リップ破 壊 型の耐震壁の耐 力 算 定に は,
付 帯ラー
メン だ けの単独耐震 壁の結 果では不 十 分で,
連 続 ばり,
連 続 柱 を 考 慮 した架構との関連で算定する こと が 必要で ある。
参 考 文 献 1) 日本建築学会 :鉄 骨 鉄 筋コ ン ク リー
ト構造計 算規 準改 定 案,
構 造 委 員 会,
鉄骨鉄 筋コ ン ク リー
ト構 造 分科 会,
建 築 雑 誌Vol.
99,
No.
1224,
昭和59.
9 2) 富井 政英:壁 板 周 辺の柱および は り の せ ん断破壊を防止 ま たは抑 制し た耐震壁の構造 計算規 準 (案),
日本 建 築 学 会RC 運営 委 員 会 資 料No.
36,
昭和 62.
3 3} 富 井 政 英,
江 崎 文也 :鉄 筋 コ ンク リー
ト耐 震壁の水 平 耐 力に関す る 研 究,
その 1.
壁板の ス リッ プ破 壊に よっ て 支 配 され る水 平 耐 力,
日 本 建 築 学会学 術講 演梗概集 (九 州 )、
昭 和56.
9 4) 今井 弘;鉄 筋コ ン ク リー
ト耐 震 壁のせ ん断ひ び わ れ後 の性 状に関 する研 究,
日本 建 築 学 会 論 文 報 告 集No,
268,
昭 和53.
6 5) 望 月 重 :鉄 筋コ ン クリー
ト耐 震 壁の終 局せ ん断 強 度に 関す る研究一
壁 板の ス リップ破 壊によ り支 配さ れ る耐カー,
日本建 築 学 会 論 文報 告 集NQ.
330,
昭和58.
8 6) 構 造 標 準 委 員 会,
鉄 筋コ ン ク リー
ト構 造分科 会・
鉄 筋コ ンク リー
ト第3小 委 員 会 ;鉄 筋コ ン クリー
ト終 局 強 度設 計に関す る資料シ リー
ズ32,
せ ん断 破 壊 を起こす 耐 震 壁 の力学 特 性 (3) (富 井 政 英 記 ),
日本 建築 学 会 建 築 雑 誌 Vel.
g7,
No.
1198,
昭和 57.
9 7)望 月 重 :鉄 筋コ ンク リー
ト壁 体の ひ び割れ後の周 辺 架 構の応力 に関す る 研究一
壁 筋 比の異な る場 合一,
日本 建 築 学会 論 文 報 告 集No.
291.
昭和55.
5一 114一
SYNOPS'IS
UDe:69.e22:699.841'
INELASTIC
'BEHAVIOR
OF
EARTHQUAKE
RESISTANT
WALL
GOVERNED
・
BY
SHEAR
FAILURE
FILLED
IN
FRAME
-On
shear wallfailing
in
slipfailure
of wall'
byDr. SHIGERU MOCHIZUKI, Piefesserof Musashituteof Technology,Member of A,I.J
'
'
'
Inan appendix of
Structural
Calculation
ofReinforced
Concrete
Structures,failure
governed
by
slipping ofwall
panelistobe
adopted asdesirable
failure
pattern of earthquake resistant w.all. There are many studies about slipfailure
of isolated earthquake resistant walls,'but
few
ones about slipfailure
of earthquake resistant wali$fil-ledin
frame.
From the・above point,experiments on three story and threespan frame with a watlgoverned
by
shear
failure
are made unclerhorizontal
force.
The analysis replacing the cracked wall panel with coiTipressibn and tensionbracings
and applying thestrength ofSlip
failuie
for
compressionbracings
studiedby
author is prop-osed.Computed
resultsby
the theory coincidefairly
well with tested results throughload-angle
of slopedeflec-tion,
Ioad-end
mornent of surroundingframe
and adjacentframe
of wall panel,failure
pattern,etc,
Conclusions
on experiments and theoryof earthquake resistant walls governedby
shearfailure
fMed
in
frame
are as
follows.
'
'
(1)
To get ductilebehaviorsof frame with sheaT wall, sufficient Teinforcement forshear and tensile forceof surroundingframe
are necessary.'
(
z)
The
analystic method presentedby
aUthor isappliciable{or
evaluating inelasticbehaviors
offTame
with earthquake resistant walls governed by shear failure.
{3)
It
is
necessary tostudy notisolated
shear wallbut
shear wallfilled
in
frame
for
more accurate study ofslip