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成島柳北『伊都満底草』評釈稿 (二)

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Academic year: 2021

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高橋昭男   成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二) 伊都満底草巻之二   日、 等、 來、 至、 猴、 蟾、 懽、因題 一絶   晴蓑作畫于緇衣氏之扇 日、 ふく とう よう 等、 す。 ず。 る。 こう 似、 又、 せん り。 よろこ ず。 を題す。 晴蓑、画を緇衣氏の扇に作す。 武昌喫霞仙史 三鞭美酒幾杯傾     さんべん の美酒   幾杯か傾く 志開 襟到 二更   志を談じ   襟を開きて   こう に到る 只是今宵有 遣憾    只是れ   今宵   遺憾有り 蛙聲 鳥語を聴かず   蛙声を聴く   と。 と。 使 字。 ら、 で、 しい当てこすりであろう。 ◯唐華陽=神田孝平のこと。 「からかよふ」 で、 ふ、 意。 照。 る。 ぶ。 む。 し。 (何々) 節を聞かしゃんせ、 の宛字。 柳河春三のこと。 ◯三鞭美酒=シャ と。 時。 す。 声=お藤の声。   は、 「( ころ 」( る。 三、 る。

成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二)

 

 

 

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成蹊人文研究   第二十二号(二〇一四) く、 る。 と、 て、 る。 ず、 で、 を、 と、 を入れて、 その絶句を賛とした。 絵柄には猿と蛙が描かれた (③参照) 俗の世界に遊ぶ風流韻事の楽しげな光景である。   妓小藤    妓小藤に代りて嘲を解く 誰園主人 諸君呼 妾作 獼猴 諸君   妾を呼ぶに   こう 妾面肖 猴何足     請看堂々君子國 請ふ看よ   堂々の君子国 猴而冠者不 曾羞 猴にして冠する者   曽て羞ぢざるを   る。 る。 う。 =豊臣秀吉は猿面で、 「猿面冠者」とあだ名をつけられた。 評釈   ①の春三の戯画的絶句を、 柳北はあざやかな諧謔をもって引っ す。 が、 は、 い。 る。 で、 う。 が、 で、 ら、 う。 は、 ず、 て、 の場のヒロインに祭りあげ、いたわってみせたのである。   晴蓑漁隠の筆なる猴と蛙かきたる扇にかきつけける 河淮經略姑蘇監田唐通 會。 矣。 夜、 り。 衆、 む。 らずして去る。 邦音、 かえる は蛙と通じ、 さる は猴と通ず。   と。 そかんだからかよふ(可愛いけりゃこそ神田から通ふ)   と、 い。 に、 る。 に「 る( )」 に「 る( )」 と。 い。 て、 が、

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高橋昭男   成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二) に取るように見えてくるのである。 そこには、 詩文の教養を身につけ、 る、 う。 ぶ者たちであったところに、興味を感じずにはいられない。   偶書以示 席上     たまた ま書して以て席上に示す 一陣頑雲遮 月夜    一陣の頑雲   月を さえぎ るの夜 半簾急雨砕 花朝    半簾の急雨   花を砕くの朝   明。 列。 雲。 ◯半簾=半分おろした簾。    誰か園 あるじは問はず梅の花 語注   ◯星槎=甫周のこと。   か、 上、 る。 の「 (『拾遺和歌集』巻十六)を踏まえている。   乙丑五月紀事聨句 乙丑五月の紀事、聨句 四分五裂八笑舘 笑原作松 四分五裂す   八笑舘 笑はもと松に作る 七顚八倒六窮生 唐通 七転八倒す   六窮生 唐通 秋水一去二百里 秋水   一たび去ること   二百里 阿金雙涙三千行 仙客 阿金の双涙   三千行 仙客   年( 月。 う。 平。 三。 が、 る『 る。 う。 生。 が、 う。 と。 に、 と。 の「   る。 ね。 う。 涙。 千行=李白「秋浦歌」の「白髪三千丈」を意識する。   が、 に、 い、 る。 四、 五、 八、

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成蹊人文研究   第二十二号(二〇一四) 七、 八、 る。 人、 り、 と。 去、 二百里、三千行と一、二、三の語呂合わせ。   人のもとへ消息のはしに   有註    とぶ の跡を慕ひて登りけん雲の上こそみまく欲しけれ 語注   ◯春影=柳河春三。○有註= 「註有り」 という注記であろうが、 その「註」は見当たらない。◯鳥=芸妓お鳥。     だいしらず 寢覺早樹 あし垣のよそに隔つる恨だに が香おくる風に忘れつ 節毎に千代を籠たる の子は幾代へぬべき心なるらん   周。 が、 ところから、 「よそ」 に掛かる。◯梅=芸妓お梅。◯節毎に=節は 「よ」 とも訓めるので、夜毎にかかるか。◯竹=芸妓お竹。     寢覺早樹のもとへ消息にそへて    夕河岸にひる飯を喰ふ朝寐坊 語注   ◯歩柳= ほりゆう に通ずるとすれば、蒲柳の質であった柳北か。   宿 か。 宿 句。 で、 は、 よ、 花柳界に遊ぶ嫖客に自らをなぞらえているのかも知れない。   題しらず    思ひ出て戀しき時は ねや のうちに君が たまづさ 巻かへし見る 語注 〇唯好=柳北。○玉璋=手紙。   が、 な記載がある。    清和念一日      題しらず

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高橋昭男   成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二)     おもひでヽ恋しき時は      手枕のゆめをたのみて       まどろみにけり   う。 が「 で、 は、 が、 は、 る。 る。 ち、 れ、 は、 る。 は、 か。 が、 て、 り、 い。 も、 手が歌っていても、大半は女の気持をあらわしている場合が多い。    きのふ見て又けふ見たしうめの花 語注   ○小逋=柳北。   ば、 りん る。 きの柳北が自らを小逋とし、梅への思い入れを吐露する句である。   藝者をおくりて歸るさによめる よみ人不知    玉くしげはこ屋のみこそわびしけれ          いつかは妹とふたりねぬべき 語注 三。 くし で、 箱。 屋に掛かる。   ら、 は、 う。 ら、 が、 の関係は御法度とされていた。   歐羅巴へ行ける人のもとへ   繁華女史 もゆるおもひが蒸氣となりて走りつきたや まで   す( 々』 )。 が、

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成蹊人文研究   第二十二号(二〇一四) 内の誰かであろう。◯巴勒=パリ。   月、 て欧州へ行った。 このときは、 水品の二度目の外遊である。 用向きは、 立、 革、 き、 た。 で、 事していた柳北が、その指揮下に入ることになる。   晴蓑ぬしのもとへ       はぢかれるのを とは知れどつい小あたりも心から    待てといふなら五年はおろか          コンキ ずくならまけはせぬ   と。 名。 気持をそれとなく引いてみること。○コンキ=根気。   逸。 ど、 う、 う。ただちに甫周は⑮を返す。   返しに       まよふ心で考へ見れば つね の心がわからない    待てといふなら待つても見やう金と コンキ の盡るまで   は、 か。 の方が、一枚上のようである。   多喜兒 多喜児に贈る 賢甫老生 欲張根性未 全休 欲張り根性   未だ全くは まず 再使 歐州 亦御尤 再び欧州に使いするも亦た御尤も 佛都買 得珊瑚 仏都   珊瑚を買得たるの日 出柳橋藝者 柳橋芸者を思ひ出すや   いな   歐州作西洋、佛都作巴勒、如何   欧州は西洋に作り、仏都は巴勒に作るは如何   と。 で甫周か。   る。 註。 に、

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高橋昭男   成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二) う。 は、 う。 て、 よ、 からかい気味である。   題しらず       心あらば仇にはうけじ露霜のかゝる情ににほふ が香   徒。 ま。 ろそかなさま。◯うけじ=受けじ。◯梅=芸妓のお梅にかかる。   多喜子      多喜子に寄す 小湖山人    海上長風檣幟斜    海上   長風   檣幟斜なり    秋來定覺客愁加    秋来   定て覚ゆ   客愁の加はるを    數千里外巴黎月    数千里外   の月    遙照翠楊橋畔家    遥かに照す   翠楊橋畔の家   郎。 坪。 出。 風。 柱。 =翠楊橋は柳橋の漢語表記。柳橋の畔にある愛する女が居る家。   便 て、 句。 が、 ある水品の女の家を照らしているという意味。   嘲詩、似 多喜子 嘲りを解く詩、多喜子に しめ 挑燈毎晩照 軒々 挑燈   毎晩   軒々を照らす 見色男通 石垣 見ずや   色男の石垣に通ふを 道連中盡無 ふなかれ   連中尽く なげ くこと無きを 一同當惑近 中元 一同当惑す   中元に近きを   る。 す。 く。 が、 か。 ば、 か。 く。 暦七月十五日。   る。 と、 ている人物である。そこで柳北周辺の人物で、 この時点でパリを知っ は、 使 秋坪である。福沢は、 こういう遊びには、 一歩距離をおいていたから、

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成蹊人文研究   第二十二号(二〇一四) う。 て、 か。 使 ら、 る。 と、 も、 る。 ば、 は、 があるからこそのものであろう。   花押説 喫霞仙客 辨。 焉。仙客爲 之説 曰。僕之花押。即 グードメン Good   man 二字也。臥 語。 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 也。 西 字、 西 chaple ビー Bird ピー プ ロ ム Plum 8 3 3 3 8 8 8 矣。 ケー 耳。 ビー バン ブー Bamboo 也。 Bird 也。 5 5 5 5 8 8 8 8 8 擅占 5 5 三美 5 5 漁隠 8 8 5 隴望 5 5 5 皆非 8 8 惡漢 8 8 而何 8 8 仙客 獨無 5 5 此事 5 5 是所 以押 臥孟之字 也。先生察 諸。 旃蒙赤奮若夏六月 花押の説 客、 る。 も、 し。 る。 客、 つく ふ。 押は、即ち グードメン Good   man 二字なり。臥孟は英語なり。漢訳す る。 り。 む。 西 つく る、 西 chaple す。 ビー Bird す。 ピー プ ロ ム Plum す。 義、 り。 又、 に、 つく る。 み。 バン ブー Bamboo り。 又、 B ir d り。 り。 ほしいまま め、 む。 皆、 や。 し。 是れ臥孟の字を押す所以なり。先生、其れ諸れを察せよ。 せんもう せきふん じゃく 夏六月   おう の。 もう 音、 り、 る。 る。 =『 使 が、 で、 る「 ス。 が、 明。 の『 る。 の『 は、 使 」( 愛『 』) え。

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高橋昭男   成島柳北『伊都満底草』評釈稿(二) づく。○三美=玉蛾、 于飛、 梅花を指し、 柳北お気に入りのお蝶、 お鳥、 お梅の三人の芸妓のこと。 ◯晴蓑漁隠=桂川甫周。 ○得隴望蜀=隴 (甘 て、 う。 と。 竹( )、 飛( と。 きのと 歳。 称。 月、 いうこと。   が、 北、 周、 り、 る。 北、 も、 て、 は、 い、 る。 る。 北・ も、 い。 は、 来、 て、 が、 な、 は、 で、 も、 楽しむ感覚であったと思えばよいのである。三人のうち、 甫周がもっ で、 が、 た。 え、 た。 「( )、 はいられないようでした」 (今泉みね 『名ごりの夢』 三頁) 。したがっ て、 が、 負するのだよ、といった趣が見えなくもない。   喫霞仙客花押説後 誰園漫士 焉。 然。 然。 宿 解。 也。 8 8 8 8 8 8 8 8 人、 8 8 8 8 8 8 8 8 西 西 Cloud 略。 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 ビー 一レ ピー BookPoetry 略。 矣。 臭味者 豈不 冤哉。 然盗常疑 人以爲 盗。 則若 仙客之説 亦自表 其爲 惡漢 耳。於 余何有 損乎。何有 損乎。 曰。 耳。 事。 8 8 8 8 8 者。 也。 先生不 知。自聲 其罪 。亦爲 笑。 喫霞仙客が花押の説の後に書す 余、 に、 り。 人物と曰ふ。 ひそ かに謂ふ、 仙客は世の いはゆる 好人物なる者には非ず。

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