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ミニニンジンの市場調査と栽培期間および栽植密度の違いが
収量,形態および品質に及ぼす影響
谷本聡美
1・肌野宝星
2・松永邦則
3・元木 悟
1*
1明治大学農学部 214-8571 神奈川県川崎市多摩区東三田 2明治大学大学院農学研究科 214-8571 神奈川県川崎市多摩区東三田 3パイオニアエコサイエンス(株) 105-0001 東京都港区虎ノ門Market Research on Mini Carrots and Effects of Differences in the Period of Time
Required to Cultivate and Planting Density on Yield, Shapes/Sizes, and Quality
Satomi Tanimoto
1, Housei Hadano
2, Kuninori Matsunaga
3and Satoru Motoki
1*
1Faculty of Agriculture, Meiji University, Higashimita, Tama-ku, Kawasaki, Kanagawa 214-8571 2Graduate School of Agriculture, Meiji University, Higashimita, Tama-ku, Kawasaki, Kanagawa 214-8571
3Pioneer Ecoscience Co., Ltd., Toranomon, Minato-ku, Tokyo 105-0001
Abstract
To increase the yield performance and profitability of mini carrots, it is necessary to determine the most appropriate planting density. In the present study, a morphological survey of commercially-available mini carrots was conducted for eighteen months across Japan (Study 1) and a reference value for the upper limit of the morphological characteristics for growing and harvesting mini carrots was obtained. A study to compare and examine the characteristics (yield, shapes/sizes, and carotene/sugar contents) of mini carrots planted and grown under different conditions was also conducted; the periods of time required for harvest were 70 (conventional), 90, and 110 days and the planting density was 3 (conventional), 6, and 9 rows, i.e., 125,000, 250,000, 375,000 plants・10 a–1, respectively (Study 2). The mean weight of the underground part and β-carotene/sugar contents of mini carrots
planted in 3 rows and harvested after 110 days were significantly larger and higher, respectively. However, there were no sig-nificant differences in the weight of the underground part when mini carrots were planted and harvested under other conditions. When carrots were planted in 6 rows, the characteristics of mini carrots, suggested by the results of Study 1, were maintained until 110 days. The longer the period of time required for harvest, the greater the yield and β-carotene/sugar contents. In conclu-sion, most measured data in terms of yield, shape, and qualities were not affected by the planting density in the case of custom-ized harvesting after 70 days. When the harvesting period was delayed to 90 or 110 days, dense planting in 6 and 9 rows was appropriate to increase yield and qualities without changing the standard shape.
Key Words:β-carotene, high-density, mini vegetables, selling price, yield of high-quality products
キーワード:β-カロテン,販売価格,ミニ野菜,密植,良品収量
緒 言
ニンジン(Daucus carota L.)は,アフガニスタンを原産 とするセリ科ニンジン属の2 年生植物であり,カロテンな どの栄養素を豊富に含む根菜類として知られている(川 城,2002, 2014).品種の発達および増加に伴い,三寸ニン ジンや五寸ニンジン(以下,五寸),京ニンジンなどのよ うに多様な形態のニンジンが流通している.このように多 様な形態のニンジンがあるなかで,近年は少人数の家庭で も「無駄なく使える」ミニ野菜の需要が増えていることか ら(八木ら,2017),本研究ではミニニンジン(以下, ミ ニ)に着目した. 八木ら(2017)は,ミニと五寸のそれぞれの収穫適期に おいて,形態および品質を比較することにより,ミニの品 種特性を解明した.同時に,ミニの最適な栽植密度を検討 するため,形態および収量を,条間10 および 20 cm で比 較した.その結果,密植によって,総収量および良品収量 に有意差は認められなかったが,地下部重は,条間10 cm が条間20 cm に比べて小さく,ミニの出荷規格とされる 20~30 g のものが多く収穫できた.また,ミニは硬さに ばらつきが少なく,生食向きであったことから,密植栽培 が有効である可能性を示唆した.さらに,元木ら(2017) は, ミニの消費者意識に関するアンケート調査を行い, ニンジン全体の市場におけるミニの位置付けを明らかに 2019 年 1 月 24 日 受付.2020 年 5 月 3 日 受理. 本報告の一部は,園芸学会平成30 年度春季大会で発表した. * Corresponding author. E-mail: [email protected]し,ミニは生食(サラダ需要)としての商品性を有する可 能性を示唆した.また,消費者が期待するミニの販売形態 や価格などを推定し,ミニは五寸に比べて栽培期間が短 く,単位面積当たりの出荷数量が見込めるため,大都市近 郊農業の有望品目として提案できるとしている. ところで,本研究を行った神奈川県において,一般に流 通している春夏どり五寸の栽培基準は,株間6 cm × 条間 20 cm とされている(神奈川県環境農政局農政部,2012). 一方, ミニの生産現場における栽培基準は,株間 2 cm × 条 間10 cm とされている(パイオニアエコサイエンス(株), 2016).しかし, ミニでは,八木ら(2017)の条間 10 および 20 cm 以外の試験例がなく,その条間がミニの栽培に最適 な栽植密度であるか明らかではない.ミニの収量性や収益 性をさらに高めるためには,最適な栽植密度を明らかにす る必要があるが,海外では加工ニンジンで栽植密度につい て検討した報告が数例あるものの(Miliza, 2012; Miliza・ Agnaldo, 2013; Rajasekaran ら, 2006; da Silva ら, 2008),生 食用のミニにおいては,八木ら(2017)よりも高い栽植密 度で栽培した報告は見当たらない.また,ミニの収穫適期 は70~80 日とされているが(八木ら, 2017),栽植密度は 生育の速度に影響を与えるため(Ashraful ら, 2013),栽植 密度を変えた場合のミニの収穫適期については明らかでは ない. そこで本研究では,収量,形態および品質の観点から栽 植密度と栽培期間の関係を明らかにした.まず始めに,市 場で流通しているミニの販売品の生育を1 年半にわたって 調査し,ミニの収穫の目安を得た.続いて,栽培試験にお いて,既に栽植密度の報告があるミニ品種の‘アムス’を 用い(八木ら,2017),栽植密度を高めるとともに,異な る栽培期間で収穫を行い,収量,形態および品質を比較検 討した.その結果,新たな知見が得られたので報告する.
材料および方法
1.国内各地におけるミニの販売品の調査(試験 1) 調査期間は,2017 年 4 月~2018 年 9 月の 1 年半,1 か月 ごとに行った.1 年目は,2017 年 4 月~2018 年 3 月に,2 年目は,2018 年 4 月~9 月に調査した. 1 年目は,生鮮野菜を東京都中央卸売市場から販売当日 に直接仕入れている横浜市の百貨店内にある野菜専門店の 販売品を毎月調査した.ニンジンの生産地で前日または 前々日に収穫されたすべての種類のミニの販売品を購入 し,明治大学生田キャンパス(野菜専門店から車で10 分) に運んだ.また,パイオニアエコサイエンス(株)の協力を 得て,北海道,宮城県,富山県,栃木県,埼玉県,千葉 県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,長野県,大阪 府,岡山県,愛媛県および熊本県の計15 都道府県にあ るスーパーマーケットおよび直売所で,毎月調査した.調 査地において,ミニが販売されている場合,すべての種類 のミニの販売品を購入し,その日のうちにクール便で明治 大学生田キャンパスに郵送した.販売品の購入量は3 袋と した. 2 年目は,横浜市にある野菜専門店の販売品のみを継続 調査し,ミニを1 か月ごとに 3 袋ずつ購入した.調査は, 明治大学生田キャンパス内で行い,ミニの販売価格および 一袋当たりの重さから1 g 当たりの販売価格 (円) を求め た.また,地下部の大きさが中庸な個体について,10 個 体を選抜し,地下部重 (g),根長 (cm) および最大根径 (mm)を計測した. 2.栽培期間および栽植密度の違いが春播きのミニの収量, 形態および品質に及ぼす影響(試験2) 試験は,2018 年に,明治大学生田キャンパスの露地圃 場(標 高65 m,赤黄色土,pH 6.7,EC 0.18 ms・cm–1)で 行い,収量,形態および品質を調査した.供試品種とし て,過去に報告があるミニの‘アムス’(パイオニアエコ サ イ エ ン ス(株))(元 木 ら,2017; 八木ら,2017)を用い た.供試品種‘アムス’は,「密植栽培が可能で栽培期間 が短い」ことや「ニンジン臭さが少ない」ことなどから ミニの特徴に合致している. 2018 年 4 月 9 日に播種した.栽植密度は,畝間 120 cm, ベ ッ ド 幅80 cm と し, 株 間 2 cm × 条 間 10 cm の 3 条 植 え (125,000 株・10 a–1,以下,3 条),株間 2 cm × 条間 8 cm の 6 条植え (250,000 株・10 a–1, 以下, 6 条) および株間 2 cm × 条間5 cm の 9 条植え(375,000 株・10 a–1, 以下, 9 条)の計 3 試験区を設けた.株間 2 cm × 条間 10 cm は, ミニの生産 現場における栽培基準(パイオニアエコサイエンス(株), 2016)であることから,本試験におけるミニの栽植密度の 基準とした.播種はシーダーテープを用い,1 粒まきとし て間引きは行わなかった.1 区画 6 m2(畝間1.2 m × 長さ 5 m)の試験区を,圃場内に 3 反復無作為に配置した. 施肥は, 既報 (八木ら, 2017) と同様, 神奈川県の施肥基 準(神奈川県作物別施肥基準,2019)に準じ,基肥として 堆肥を10 a当たり1 t, 化成肥料を N : P2O5 : K2O = 15 : 17 : 20 (kg・10 a–1)施用した.灌水は雨天を除き,発芽するまで 毎日行った. 収穫は,八木ら(2017)に準じ,播種後 70~80 日を基 本とし,栽植密度ごとの収穫適期を明らかにするため,播 種後70 日に加え,播種後 90 および 110 日を目安として計 3 回収穫した.調査は,2018 年 6 月 21 日(播種後 73 日), 7 月 7 日(播種後 89 日)および 7 月 29 日(播種後 111 日) に行った. 収量,形態および品質調査は,八木ら(2017)に準じ, 各試験区内において,それぞれの試験区の反復ごとの発芽 および生育が均一な場所に1 枠(80 cm × 80 cm)ずつ設置 し,枠内の個体をすべて収穫した. 収 量 調 査 は, 設 置 し た3 枠それぞれの地下部総収量 (kg・m–2), 良 品 収 量(kg・m–2)お よ び 収 穫 本 数(本・ m–2)を調査し,良品率は地下部総収量に対する良品収量 の重量比とした.良品は,10 g 以上で岐根や裂根,はだあれ現象,けい部の緑化,虫害などがない個体とした(青木, 1995).欠株は,播種した数から収穫した数を差し引いた ものとした. 形態調査は,枠ごとに地下部の大きさが中庸な5 個体を 選抜し,各個体の地下部重,根長,最大根径,地上部重お よび草丈(最葉長)を測定した.根長は八木ら(2017)に 準じ,根径が2 mm 程度となる部分を先端部とし,先端部 から基部までの長さとした.さらに,各個体について根部 5 か所の根径(第 1 図)(調査個体の上下から1 cm の 2 点 (基部①および先端部⑤)とその中間点(中部③),上下 1 cm と中間点のさらに中間点(②および④))を計測した. 品質調査は,形態調査とは別に収穫したすべての個体 のなかから中庸な個体を10 個体選抜し,木部と師部の割 合が均一で1 個体当たり 10 g となるようにサンプルを縦 に切断し,100 g に調製した.また,その際に最大根径の 位置で木部と師部の幅を測定し,木部/師部の割合を算出 した.調製した分析サンプルをZipLock(縦 189 mm × 横 177 mm(縦はジッパー部より下の長さ),厚さ 0.06 mm, 旭化成ホームプロダクツ(株))に入れ,–30°C で凍結保存 した.分析サンプルは,Rosenfeld ら(1998)に準じ,分析 前日から常温で一晩かけて解凍し,糖度およびβ-カロテン 含量を分析した.分析は,栽培期間および栽植密度の組合 せの9 試験区で 5 反復行った.糖度は,分析サンプルの搾 汁液をデジタル糖度計(PR-201α,(株)アタゴ)に滴下し て測定した.β-カロテン含量は,永田ら(2007)の手法に 従って以下のように定量した.解凍後の分析サンプルを粉 砕し,粉砕した試料3.0 g を計量し,抽出溶媒としてアセ トンを加え,乳鉢を用いて色素が完全に溶出するまで破砕 して抽出液を得た.メスフラスコを用いて試料から得た抽 出液に,さらにアセトンを加え,100 mL に定容した.分 光光度計(UV-1800,(株)島津製作所)を用いて定容した 溶液の波長443 および 492 nm における吸光度を測定した. β-カロテン含量は,次式を用いて求めた. β-カ ロ テ ン 含 量(μg・100 g–1) = –1.292 × 443 nm の 吸 光 度 + 3.698 × 492 nm の吸光度 + 0.131
結果および考察
1.国内各地におけるミニの販売品の形態調査(試験 1) 1)国内各地における販売品の形態調査 国内各地における月ごとのミニの生育について,第2 図 に示した.1 年目の2017 年 4 月~2018 年 3 月において, 地 下部重,根長および最大根径の平均値は, 22.0 g, 12.1 cm および17.7 mm であった.第 2 図 A の地下部重は,9 月か ら10 月にかけて大きく変動したことから,本試験の 2017 年の4~9 月を上半期,2017 年 10 月~2018 年 3 月を下半 期とした.1 年目の地下部重,根長および最大根径の平均 値は, 上半期が 31.5 g, 14.2 cm および 19.8 mm, 下半期が 12.5 g, 10.1 cm および 15.6 mm であり,いずれにおいても 上半期が下半期を上回った.また,国内各地から取り寄せ た地下部重の平均値を産地ごとに分類した結果,産地間に よる差が大きかった(第3 図).関東地方の茨城県および 千葉県,中部地方の長野県,四国地方の愛媛県ではいずれ も20 g 前後であったのに対し,北海道および佐賀県では それぞれ79.2 および 35.2 g であり,関東,中部および四国 地方に比べて重かった.以上より,地域によって,ミニの 大きさに対する認識に違いがあると考えられた.今回の調 査では,北海道産は6~9 月,佐賀県産は 7 月だけ市場に 出ており,上半期の地下部が下半期の地下部に比べて大き かった原因の一つとしてこれらの産地の影響が考えられ 第1 図 根径の測定位置 第2 図 国内各地における月ごとのミニニンジンの生育 (A:地下部重,B:根長,C:最大根径)る.そこで,2 年目の 2018 年 4~9 月において,生鮮野菜 を東京都中央卸売市場から販売当日に直接仕入れている横 浜市の百貨店内にある野菜専門店の販売品に絞り,調査を 継続した. 2)調査した百貨店内の野菜専門店におけるミニの販売品 の形態調査 2017 年 4 月~2018 年 9 月の 1 年半において,調査した 百貨店内の野菜専門店で販売されていたミニの生産地は千 葉県の1 県のみであった.1 年半の平均値は,地下部重が 17.2 g,根長が 12.7 cm および最大根径が 16.3 mm であった (第4 図).2017 および 2018 年の上半期(4~9 月)の地下 部重,根長および最大根径の平均値は18.6 g, 13.6 cm およ び16.5 mm であり,2017 年の下半期(10~3 月)の 14.5 g, 11.0 cm および 16.0 mm と同等か高い傾向を示した.百貨 店内の野菜専門店だけの調査(2017 年 4 月~2018 年 9 月) においても,上半期が下半期を上回った.このように,上 半期の地下部が下半期の地下部に比べて大きかった原因の 一つとして,川城(2003)は,ニンジンの適温は,発芽後, 根および茎葉の伸長を促す時期が28°C であり,生育に 伴って徐々に低下し,肥大期には昼温が18~23°C,夜温 が13~18°C,平均気温が 18~21°C となり,3°C 以下では 根の肥大が停止すると報告している.本試験の結果は,季 節に関わらず一定の播種後日数などを基準として収穫した ためであると考えられる.また,調査した百貨店内の野菜 専門店における1 g 当たりの販売価格は,1.65~5.72 円の 範囲であり,平均値は3.20 円であった(第 5 図).また,4 月の販売価格は,2017 年,2018 年ともに,ほかの月に比 べて高い傾向であった.東京都中央卸売市場の市場統計情 報(東京都中央卸売市場, 2018)でも,ニンジンの出荷量 (五寸やミニなどを合わせたニンジン全体の出荷量)は,4 月がほかの月に比べて少ない傾向であり,ニンジンの価格 も高い傾向であった.以上から,ミニの4 月の販売単価が 高かったのは,供給量の不足が要因の一つであると考えら れる.そのため,今後は4 月に安定的に供給できるミニの 栽培方法を確立する必要があることが示唆された.ところ で,消費者に行った販売形態に関するアンケート調査によ ると,消費者のミニの希望購入価格は1 g 当たり 0.72 円で あった(元木ら, 2017).本研究における販売品の調査と 既報(元木ら, 2017)のアンケート調査の結果から,2.29~ 7.94 倍の価格で販売されていたことから,ミニの付加価値 は高いと考えられ,ミニの今後の普及が期待できる. 第3 図 国内の小売店および直売所においてミニニンジンと して販売されている販売物の地域別地下部重(g/本) Tukey-Kramer の多重検定により,異符号間に 5%水準 で有意差あり(n = 10~200) 縦棒は標準誤差を示す 第4 図 調査した百貨店内の野菜専門店における月ごとのミニニンジンの生育(A:地下部重,B:根長,C:最大根径)
2.栽培期間および栽植密度の違いが春播きのミニの収量, 形態および品質に及ぼす影響(試験2) 1)栽培期間および栽植密度の違いが春播きのミニの収量 に及ぼす影響 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きのミニの 収量を第1 表に示した. 本研究では播種後16 日目の 2018 年 4 月 25 日に降雨量が 66.5 mm/日 (最大 22 mm/時間)となり(気象庁, 2019), 発芽して間もない芽が倒れたことで欠株が発生した.欠株 が発生した箇所は,疎植となり,設定どおりの栽植密度で 生育した箇所に比べて生育が旺盛であった.欠株本数比率 は,17.8(栽培期間 110 日栽植密度 3 条,以下,110 日の 3 条と表記する)~52.8%(110 日の 9 条)(実際の栽植密度 は102,750~177,000 株・10 a–1)で分布しており,最小値 と最大値の間に有意差が生じた.特に,110 日の 9 条では, 欠株が発生した箇所と設定どおりの栽植密度で生育した箇 所との生育差が特に大きかったためn.d.(no data)とした. 総収量は,栽培期間(播種後日数)が70, 90, 110 日と長 くなるにつれて有意に増えた.その一方で,栽植密度,お よび栽培期間と栽植密度の交互作用においては有意差が認 められなかった.良品収量は,栽培期間に有意差が認めら れ,栽培期間が70,90,110 日と長くなるにつれて増えた. また,良品率は,栽培期間,および栽培期間と栽植密度の 交互作用に有意差が認められ,栽培期間が70, 90, 110 日 と長くなるにつれて高かった.播種後16 日目(2018 年 4 月25 日)の大量降雨による欠株本数比率は,栽植密度の 間に有意差が認められたものの,栽培期間が70 および 90 日では,いずれの栽植密度においても,ほぼ一定であっ 第5 図 調査した百貨店内の野菜専門店における月ごとのミニニンジンの 1 g 当たりの販売価格(円) 第1 表 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きのミニニンジンの収量 栽培 期間 (日) 栽植密度 収量(kg・m–2) 良品率 (%) 本数比率(%)y 総地上部重 (kg・m–2) (条)株間× 条間 (cm) 総合 良品z 欠株 10 g 未満 岐根・裂根 良品 70 3 2 × 10 1.4 ± 0.1xew 0.9 ± 0.1 d 63.7 ± 1.9 bc 33.3 ± 3.4 ab 29.6 ± 0.7 abc 11.1 ± 1.3 ab 25.9 ± 1.5 bc 1.2 ± 0.2 b 6 2 × 8 2.0 ± 0.3 de 0.9 ± 0.2 d 44.2 ± 3.8 c 23.3 ± 4.8 ab 52.6 ± 6.6 a 6.7 ± 2.8 b 17.4 ± 4.7 c 2.0 ± 0.3 ab 9 2 × 5 2.1 ± 0.1 de 1.1 ± 0.1 d 52.6 ± 4.6 bc 42.5 ± 1.5 ab 35.8 ± 3.6 ab 6.7 ± 1.1 ab 15.1 ± 1.3 c 2.9 ± 0.2 a 90 3 2 × 10 3.5 ± 0.1 bcd 2.5 ± 0.1 bcd 72.8 ± 5.8 ab 31.1 ± 12.6 ab 14.1 ± 5.3 cd 14.8 ± 4.9 ab 40.0 ± 3.4 ab 1.8 ± 0.1 ab 6 2 × 8 4.0 ± 0.5 abc 3.4 ± 0.6 abc 83.2 ± 4.1 a 26.3 ± 2.4 ab 22.2 ± 5.1 bcd 5.6 ± 2.3 b 45.9 ± 4.2 ab 2.3 ± 0.5 ab 9 2 × 5 3.1 ± 0.7 cde 2.0 ± 0.5 cd 63.2 ± 2.6 bc 44.9 ± 4.3 ab 29.4 ± 1.9 abc 8.4 ± 1.9 ab 17.3 ± 3.6 c 2.2 ± 0.5 ab 110 3 2 × 10 5.5 ± 0.3 a 3.8 ± 0.4 ab 68.3 ± 4.6 ab 17.8 ± 5.1 b 5.9 ± 0.7 d 19.3 ± 0.7 a 57.0 ± 5.8 a 2.1 ± 0.2 ab 6 2 × 8 5.2 ± 0.4 ab 4.4 ± 0.4 a 85.4 ± 3.5 a 36.3 ± 1.3 ab 12.6 ± 3.9 cd 5.2 ± 1.0 b 45.9 ± 4.3 ab 2.1 ± 0.1 ab 9 2 × 5 n.d.v n.d. n.d. 52.8 ± 5.1 a n.d. n.d. n.d. n.d. 分散 分析u 栽培期間(A) ** ** ** n.s. ** n.s. ** n.s. 栽植密度(B) n.s. n.s. n.s. * ** ** ** * (A) × (B) n.s. n.s. ** n.s. n.s. n.s. * n.s. z 良品は,10 g 以上で岐根や裂根,はだあれ現象,けい部の緑化,虫害などがない個体とした y 本数比率は,単位面積当たりの本数(本・m–2)の比率とした x 平均値(n = 3) ± 標準誤差 w Tukey の多重検定により,異符号間には 5%水準で有意差あり v 欠株が 50%を超えたため,no data(n.d.)とした u 二元配置分散分析により,** は 1%,* は 5%水準で有意差あり,n.s. は有意差なしを示す
た.10 g 未満本数比率は,栽培期間の間に有意差が認めら れ,栽培期間が70, 90, 110 日と長くなるにつれて減少し た.また,栽植密度の間にも有意差が認められ,栽植密度 が3, 6, 9 条と高くなるにつれて増えた.岐根・裂根本数 比率は,栽植密度の間に有意差が認められたものの,70 および90 日では,ほぼ一定であった.良品本数比率は, 栽培期間,栽植密度およびそれらの交互作用に有意差が認 められ,90 日では 3 および 6 条が 9 条に比べて有意に多 かった.総地上部重は,栽培期間,および栽培期間と栽植 密度の交互作用に有意差が認められなかったものの,栽植 密度の間に有意差が認められ,70 日では 9 条が 3 条に比べ て有意に重かった. 収量および本数比率に上記のような結果を及ぼした理由 は,大きく分けて2 つの理由が考えられる.第一に肥料養 分の影響である.肥料養分のなかで,ニンジンの収量に大 きく影響するのは窒素とリン酸とされ,窒素が不足すると 葉は小さく,直根も太らず,リン酸が不足すると生育が停 滞し,肥大が不良になる(川城,2003).本研究では,八 木ら(2017)と同様,神奈川県の施肥基準(神奈川県作物 別施肥基準,2019)に準じて全試験区同一で施肥したが, 単位面積当たりの植物体の総重(総合収量 + 総地上部重 (第1 表))は,70 か ら 90 日 に か け て,3 条 で は 2.6 か ら 5.3 kg・m–2で1 日当たり 0.135 kg・m–2増加したのに対し, 栽植密度の高い6 条では 4.0 から 6.3 kg・m–2で1 日当たり 0.115 kg・m–2と緩やかな増加であったため,肥料が十分で なかった可能性がある.今後は施肥量の影響などについて 検討する必要がある.第二に生育空間の面積の影響であ る.Ashraful ら(2013)は,ニンジンは栽植密度を低くす ると,植物個体当たりの空間が広くなり,植物体の生育が 早く,光合成速度が増加して根に多くの養分が供給され, 根長および根径が有意に大きくなると報告していることか ら,栽植密度の高い9 条では十分な生育空間が確保できな かった可能性がある.また,隣接する植物間の競合は生育 に必要な養分を制限するとされ(Pant, 1979),栽植密度の 高い9 条では,肥料養分の影響と生育空間の両方の影響を 受け,3 および 6 条に比べて良品収量および良品本数が有 意に低かった可能性がある. 2)栽培期間および栽植密度の違いが春播きのミニの生育 に及ぼす影響 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きのミニの 生育を第2 表に示した. 地下部重は,栽培期間の間に有意差が認められ,栽培期 間が70,90,110 日と長くなるにつれて増えた.ニンジン の地下部の肥大は,生育後期(播種後70~110 日)に進む とされ(伊藤,1975),本研究の結果と一致した.また, 栽植密度の間に有意差が認められなかったものの,地下部 重は,栽植密度が3,6,9 条と高くなるにつれて減少する 傾向であった.さらに,栽培期間と栽植密度の交互作用に も有意差が認められなかったものの,地下部重は,110 日 の3 条がほかに比べて重い傾向であった.この試験区はほ かの試験区に比べて栽植密度が大きく(条間10 cm;パイ オニアエコサイエンス(株),2016),栽培期間が収穫適期 (70~80 日;八木ら,2017)より長いことから,生育が促 進されたと考えられる.ところで,正規分布においては, 平均値 ± 標準偏差の 3 倍(以後,平均値 ± 3σ)の範囲に, 標 本 の99.7% が 含 ま れ る と さ れ て い る(金 子・ 上 藤, 2011).そこで本試験では,収穫の目安となる収穫物の上 限値を,ミニの販売品の形態調査(試験1)の結果から求 第2 表 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きのミニニンジンの生育 栽培期間 (日) 栽植密度 地下部重 (g) (根長cm) 最大根径(mm) 地上部重(g) (草丈cm) (条)株間 × 条間 (cm) 70 3 2 × 10 22.5 ± 1.7z by 13.7 ± 0.6 a 19.5 ± 0.5 bc 14.1 ± 0.6 a 50.1 ± 1.2 a 6 2 × 8 17.2 ± 1.1 b 13.6 ± 0.5 a 17.5 ± 0.4 c 11.1 ± 0.8 a 50.4 ± 1.3 a 9 2 × 5 16.8 ± 0.6 b 12.8 ± 0.3 a 17.9 ± 0.3 c 15.2 ± 0.7 a 56.1 ± 1.2 a 90 3 2 × 10 28.3 ± 1.7 ab 15.1 ± 0.7 a 21.2 ± 0.5 abc 13.0 ± 0.8 a 48.7 ± 1.4 a 6 2 × 8 27.7 ± 2.2 ab 13.3 ± 0.5 a 21.6 ± 0.5 abc 14.0 ± 1.2 a 53.5 ± 1.7 a 9 2 × 5 24.2 ± 2.0 ab 13.3 ± 0.4 a 20.4 ± 0.5 abc 13.4 ± 0.9 a 51.7 ± 1.1 a 110 3 2 × 10 42.2 ± 3.5 a 15.8 ± 0.5 a 24.4 ± 0.9 a 14.6 ± 1.6 a 49.4 ± 1.4 a 6 2 × 8 29.3 ± 2.0 ab 13.0 ± 0.3 a 22.5 ± 0.6 ab 10.9 ± 0.5 a 50.9 ± 1.6 a 9 2 × 5 n.d.x n.d. n.d. n.d. n.d. 分散分析w 栽培期間(A) ** n.s. ** n.s. n.s. 栽植密度(B) n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. (A) × (B) n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. z 平均値(n = 3) ± 標準誤差,1 区 5 株 3 反復の平均値 y Tukey の多重検定により,異符号間には 5%水準で有意差あり x 欠株が 50%を超えたため,no data(n.d.)とした w 二元配置分散分析により,** は 1%,* は 5%水準で有意差あり,n.s. は有意差なしを示す
めた平均値 + 3σ の値とした.110 日の 3 条の地下部重は 42.2 g であり,ミニの販売品の形態調査(試験 1)の結果 をもとに求めた上限値の目安である平均値 + 3σ(32.1 g) を超えたため,大きくなりすぎたと考えられる. 根長は,栽培期間,栽植密度およびそれらの交互作用に 有意差が認められず,70 日以降はほぼ一定の長さを保っ ていたことから,根長の結果からは収穫適期とされる栽培 期間70 日(八木ら,2017)を延長できる可能性が示唆さ れた. 最大根径は,栽培期間の間に有意差が認められ,栽培期 間が70,90,110 日と長くなるにつれて大きかった.また, 栽植密度の間に有意差が認められなかったものの,最大根 径は,栽植密度が3, 6, 9 条と高くなるにつれて小さい傾 向であった.Ashraful ら(2013)は,ニンジンの根径は, 栽植密度が低い条件では高い条件に比べて大きくなると報 告しており,本研究の結果と一致した.栽培期間と栽植密 度の交互作用に有意差が認められなかったものの,最大根 径は,地下部重と同様,110 日の 3 条が最も大きかった. 110 日の 3 条の最大根径は 24.4 mm であり,ミニの販売品 の形態調査(試験1)の結果をもとに求めた上限値の目安 である平均値 + 3σ(23.0 mm)を超えたため,大きくなり すぎたと考えられる. ミニの形態について,5 か所の根径と 5 か所を測定した それぞれの位置と地下部の基部との距離から第6 図の結果 を得た. 栽培期間70 日における栽植密度の違いによる形態を第 6 図 A に示した.5 か所の測定位置による根径は,基部① では3 条が 9 条に比べて,基部②では 3 条が 6 および 9 条 に比べて有意に大きかったものの,中部③,④および先端 部⑤では有意差が認められなかった.以上より,収穫適期 とされる70 日(八木ら,2017)では,いずれの栽植密度 においても,基部以外の太さや根長が同程度のミニを得ら れることが示唆された.栽培期間90 および 110 日におけ る栽植密度の違いによる形態を第6 図 B および C に示し た.5 か所の測定位置における①~⑤の根径は,いずれの 栽植密度においても有意差が認められなかった.試験1 の 販売品の根長および最大根径の上限値の平均値 + 3σ(そ れぞれ18.8 cm および 23.0 mm)と比べると,密植栽培の 6 および 9 条でも,いずれの栽培期間においても上限値の 平均値 + 3σ の範囲内であった.そのため,既報(八木ら, 2017)の条間 10 cm に比べて栽植密度の高い条間 8 cm(6 条)および条間5 cm(9 条)で栽培しても,収穫適期とさ れる70 日(八木ら,2017)から本研究で検討した 110 日 の範囲であれば,試験1 の形態調査の上限値の平均値 + 3σ の範囲となる形態が得られた. 地上部重および草丈は,栽培期間,栽植密度およびそれ らの交互作用に有意差が認められなかった(第2 表). 3)栽培期間および栽植密度の違いが春播きのミニの品質 に及ぼす影響 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きのミニの 品質を第3 表に示した. ニンジンは,根の色が濃く,肌がなめらかでみずみずし く,健全に肥大したもの,生食する場合は甘味があるもの が良品とされ,それらに関係するおもな内容成分は糖分お よびカロテノイドとされるため(川城,2003),本研究で は,糖度およびカロテノイド系色素であるβ-カロテンを 測定した. 糖度は,栽培期間の間に有意差が認められ,栽培期間が 第6 図 異なる栽培期間 70 日(A),90 日(B),110 日(C) における栽植密度の違いによる形態 110 日の 9 条は欠株が 50%を超えたため,no data とし た A,B は Tukey の多重検定により,同一番号の異符号間 に5%水準で有意差あり(n = 3) C は t 検定により,n.s. は有意差なしを示す(n = 3) ① ~ ⑤は基部から先端部の順に根径の測定位置を示す (第1 図と対応)
70, 90, 110 日と長くなるにつれていずれの栽植密度にお いても有意に高かった.ニンジンに含まれる糖度は,根の 肥大とともに増えると報告されている(川城, 2003).本 研究においても,最大根径および5 か所の根径は,第 2 表 および第6 図のとおり,栽培期間が 70, 90, 110 日と長く なるにつれて肥大する傾向を示しており,先行研究の結果 と一致した.また,栽植密度,および栽培期間と栽植密度 の交互作用にも有意差が認められ,糖度は,90 日では栽 植密度が3, 6, 9 条と高くなるにつれて有意に低く,110 日でも栽植密度が3,6条と高くなるにつれて有意に低かっ たが,70 日では 6 条が 3 および 9 条に比べて有意に高かっ た.各試験区で最も糖度が高かったのは110 日の 3 条で あった. β-カロテン含量は,糖度と同様,栽培期間の間に有意差 が認められ,栽培期間が70, 90, 110 日と長くなるにつれ て増えた.β-カロテン含量は,栽培期間が長くなるにつれ て増えると報告されており (Fritz・Weichmann, 1979),本 研究の結果と一致した.また,β-カロテン含量は糖度と同 様の傾向を示し,栽植密度,および栽培期間と栽植密度の 交互作用に有意差が認められた.110 日の試験区は 70 日 の試験区に比べて有意に高く,特に110 日の 3 条は全試験 区のなかで最高値を示した.ところで,カロテンは,師部 に多く含まれ,その含有量は木部の2 倍であると報告され ている(鈴木,1975).木部/師部の割合は,いずれの栽 培期間および栽植密度においても,角変換後の分散分析の 結果,50%前後の値を示し,有意差が認められなかった (データ略).このことは,木部および師部が本研究の栽 培期間の70~110 日の範囲において,ほぼ一定の割合で 成長したことを示している.そのため,本研究における β-カロテン含量の増加は,含有量が多いと報告されている 師部の割合が増えたのではなく,木部と師部に含まれるカ ロテンの含有量自体が増えたことによるものと考えられ る.本研究における形態調査の結果,110 日の 3 条は,地 下部重がほかに比べて有意に重く,地下部の成熟が進んだ と考えられる.そのため,成熟に伴いカロテンの含有量が 増加した可能性があり,110 日の 3 条がほかに比べて有意 に高かったものと考えられる. 以上より,試験2 の異なる栽培期間および栽植密度の試 験で得られた形態は,3 条では,地下部重および最大根径 が110 日で,試験 1 におけるミニの販売品の形態調査の平 均値 + 3σ の上限の目安である値を超えたため,栽培期間 の延長により大きくなりすぎたと考えられる.一方,6 お よび9 条では,70 から 110 日にかけて地下部重,根長およ び最大根径のいずれにおいても,変化が少なかった.ま た,良品収量,良品本数比率,糖度およびβ-カロテンは, 収穫日数の延長により,3, 6 および 9 条のいずれの栽植密 度においても増加した.そのため,欠株が発生した条件で はあるものの,3 条に比べて栽植密度の高い 6 および 9 条 は,慣行の70 日に比べて栽培期間が長い 90 および 110 日 (9 条は no data)でもミニの形態を維持しつつ,収量,糖 度およびβ-カロテンを増加できると考えられ,密植栽培 は,栽培期間を延長した際に有効である可能性が示唆さ れた. 先行研究では,アンケート調査により,ニンジン全体の 市場におけるミニの位置付けが明らかとなり(元木ら, 2017),ミニ品種の‘アムス’を用いて,ミニの品種特性 が解明された(八木ら,2017).本研究では,ミニの販売 品の調査から,ミニの形態および販売価格を明らかにし, 栽培試験から,春播きにおけるミニの密植栽培の可能性を 示した.ミニのさらなる普及には,今後は,ミニの周年安 定供給に向けた栽培技術の確立,葉付きやカラーバリエー ションなどの販売形態の検討,流通経路における鮮度保持 技術の確立などが必要と考える.
摘 要
ミニニンジン(以下,ミニ)は五寸ニンジンに比べて 栽培期間が短く,単位面積当たりの出荷数量も見込めるた め,大都市近郊農業で導入する有望品目として期待されて いる.ミニの収量性や収益性などをさらに高めるには,最 適な栽植密度について検討する必要がある.本研究では, 試験1 として,国内各地においてニンジンの形態調査を 行った.市場で流通しているミニの形態を調査した結果, ミニを栽培し収穫する際の形態の上限の目安となる値を得 た.続いて試験2 として,異なる栽培期間および栽植密度 におけるミニの特性を明らかにするため,ミニ品種の ‘ア ムス’ を用い,栽培期間および栽植密度を慣行の 70 日お 第3 表 栽培期間および栽植密度の違いにおける春播きの ミニニンジンの品質 栽培期間 (日) 栽植密度 糖度 (°Brix) (β-カロテン含量 mg・100 g–1) (条)株間(cm) × 条間 70 3 2 × 10 7.2 ± 0.0z ey 3.6 ± 0.4 cd 6 2 × 8 8.0 ± 0.0 d 3.3 ± 0.2 d 9 2 × 5 7.2 ± 0.0 e 3.7 ± 0.3 cd 90 3 2 × 10 9.1 ± 0.0 b 5.9 ± 0.5 bc 6 2 × 8 8.6 ± 0.1 c 5.2 ± 0.6 bcd 9 2 × 5 8.0 ± 0.0 d 5.1 ± 0.3 bcd 110 3 2 × 10 10.9 ± 0.0 a 10.8 ± 1.0 a 6 2 × 8 9.1 ± 0.0 b 6.9 ± 0.7 b 9 2 × 5 n.d.x n.d. 分散分析w 栽培期間(A) ** ** 栽植密度(B) ** ** (A) × (B) ** ** z 10 個体 5 バルクの平均値(n = 5) ± 標準誤差 y Tukey の多重検定により,異符号間には 5%水準で有意差 あり x 欠株が 50%を超えたため,no data(n.d.)とした w 二元配置分散分析により, **は1%水準で有意差ありを示すよび3 条(125,000 株・10 a–1)に対し,栽培期間を90 日, 110 日と延長するとともに,栽植密度を 6 条(250,000・ 10 a–1),9 条(375,000 株・10 a–1)と 高 め, 収 量, 形 態, β-カロテン含量および糖度を比較検討した.その結果,慣 行の70 日では,収量,形態および品質のほとんどの項目 において栽植密度による影響が認められなかった.栽培期 間を90 および 110 日に延長すると,3 条では最大根径が長 くなりミニの形態としては低評価となったが,6 および 9 条ではミニの形態を維持しつつ,収量,糖度およびβ-カ ロテン含量が増加した.そのため,密植栽培は,栽培期間 を延長した際に有効である可能性が示唆された.
引用文献
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