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Microsoft Word - 2_1_解説本_ストレージ doc

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Ⅱ.ストレージ・メモリ技術分野

1.ストレージ技術 1-1.ストレージ技術分野の現状について ストレージデバイスは、ビット単価の安さから、サーバ、PC 用途のみならず、ビデオレコーダ、 携帯情報端末、携帯オーディオ機器、デジタルカメラ、携帯電話などさまざまな情報家電に使われ るようになった。現状のストレージデバイスは大きくハードディスク(HDD)系ストレージ、光デ ィスクストレージ、磁気テープに分けることができる。 HDD の世界市場は、台数ベースで2006年は約4億5千万台*、2008 年は約5億5千万台、市場規模 で3兆6千億円程度 (2006年) *である。HDDはその外形サイズから3.5インチ、2.5インチ、1. 8インチ、1インチ、0.85インチに仕分けされる。最も出荷台数の多い3.5インチハードデ ィスクは、これまでは主にサーバーやデスクトップPCなどに使用されてきたが、最近はDVDレコー ダーなどの家庭用AV機器に組み込まれてビデオテープ機能を代替するようになっており、今後も引 き続き需要が増加すると見られる。このサイズのHDDではSeagate、Western Digitalなどの米国企 業の市場占有率が高く、我が国企業が占める2005年度のシェアは11%(日立GSTを含む)程度* ある。 2.5インチ以下のHDDはノートPCや、小型情報機器、さらには携帯音楽機器などの新しいア プリケーション用に本格的に採用され始めている。この2.5 型以下の小型分野では、2005年は日 立GST、東芝、富士通などの我が国企業が76%*の高いシェアを確保したものの、Seagateなど米 国企業も2.5インチ、1.8インチの製品に重点を置き始めており競争が激化しつつある。 記録密度の向上はHDDにとって最も重要なファクターであるため、現在も様々な手法による研 究開発が進んでいる。記録密度は一時期は年率100%で伸びた結果、現在ドライブ当たり600~ 800GB(160GB/3.5"Platter、120-130Gb/in2)の記録密度の製品が量産されるようになったが、 最近は30~50%程度の伸び率となっている。これまでの記録方式である面内記録方式で100Gb/in2 を超える面記録密度も実現されているが150Gb/in2になると記録磁化情報の熱的安定性確保が難 しくなるため、耐熱揺らぎ特性で優れる垂直磁気記録方式に移行しつつある。垂直磁気記録方式を 用いた製品は東芝が2005年6月に133 Gb/in2の1.8インチHDDを、2006年6月には178Gb/in2の2.5 インチHDDの製品化を行っている。日立GSTやSeagate社等の主要HDDメーカも垂直磁気記録方 式を用いた製品を発売中であり、記録方式は面内磁気記録から垂直磁気記録への推移が進行中であ る。この分野の技術開発力は、日米の企業、大学ともほぼ互角のレベルにある。

出典:Gartner Dataquest "Market Share and Forecast: Hard Disk Drives, Worldwide,

2001-2010" John Monroe, 6 June 2006, GJ07165

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光ディスクは、可換であること、ROMの大量複製ができることを特長として、CDがオーディオ 用やPC用として既に普及しており、さらに大量のデータや動画に対応したDVDも急速に普及して いる。光ディスク装置の世界市場は、台数ベースで2005年で約2億7千万台(図1-1)、市場規模で は1兆円強(2002年)(NISTEP 科学技術動向No.34 2004年1月号)である。CD-ROM、DVD-ROM といった再生専用装置については用途が限定的となりつつあり出荷数量は減少している。CD-R /RW装置については、CD-R/RWディスクの記録機能を持つ記録型DVD装置(DVD±R、DVD ±RW、DVD-RAM)の普及に伴い、急速に出荷数量が減少している。一方、記録型DVD装置はそ の低価格化により、2006年には1億台を超えることが確実であり、HDDとDVDを組み合わせたハ イブリッドレコーダも世界的な普及期を迎えつつある。さらに、DVDの3~5倍の容量を持つ Blu-ray DiscとHD DVDも、PC用途やハイビジョン映像の記録再生用途に出荷が始まった。 (単位:千台) 2008年台数 2005年比 光ディスク装置 302,300 113% CD-ROM装置 13,500 30% DVD-ROM装置 33,000 86% CD-R/RW装置 4,000 14% CD-R/RW+DVD-ROM複合装置 45,000 83% 追記書換型DVD装置 190,000 186% 青紫レーザ光ディスク装置 16,000 80000% MO装置 800 67% (出典:JEITA「2005年情報端末関連機器の世界・日本市場および需要予測」より 図1-1.HDD、光ディスク装置の世界市場規模 (http://it.jeita.or.jp/statistics/intelterm/2005/table-b.html) 光ディスク装置市場の世界シェアは、韓国LG電子と統合した日立製作所やサムスン電子と統合 した東芝などの日本と韓国の合弁企業が高いシェアを獲得しており、これら企業の売り上げは2千 億円規模(NISTEP 科学技術動向No.34 2004年1月号)である。日韓企業に続いて台湾企業も健 闘している。これに対し、米国の光ディスク産業はかつての雄であったIBM、ゼロックス、Kodak、 Bell研など研究開発力を含めて減退している。欧米企業としては、唯一、オランダのフィリップス が老舗としての面子を保持している状況である。また、韓国や中国なども、生産拠点としてだけで はなく、研究開発にも力を入れつつある。 光ディスク装置の記録密度および基準データ転送速度については、現行DVDが片面単層ディス クで3.75Gb/in2(片面2層でその倍)、11.06Mbps、次世代DVD(Blu-ray Disc、HD DVD)が

片面単層ディスクで16.8~19.5Gb/in2(片面2層でその倍)、36Mbpsである。転送速度について

は年々向上しており、DVDでは基準速度の16倍速(176Mbps)、次世代DVDでは2倍速(72Mbps) が実用になっている。

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将来技術であるホログラムメモリ分野においては、日米の企業、大学ともにほぼ互角レベルにある。 磁気テープは、コストの安さと信頼性から銀行業務におけるバックアップ用などビジネス用の需 要が強いが、市場規模は限られている。日立マクセル、富士フイルムなどの企業が強い競争力を有 している。

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1-2.今後の見通しと課題 1-2-1.社会的・技術的背景から予測されるストレージの利用形態 図1-2.ストレージの利用形態に及ぼす社会的・技術的な動き 今後の 10 年間にストレージ大きなインパクトを与える要素として、インターネットの高速化と モバイル機器の進化を挙げることが出来る。 現在 100Mbps が主流であるホームユース用の光有線通信速度も、徐々に高速化されつつあり、 すでに1Gbps が登場し始め、既に技術的には 100Gbps イーサネットの検討が開始されていること を考えると、今後さらに高速化するものと想定される。一方、高速移動体通信では、2006 年には 最大受信速度3.6Mbps(理論速度14.4Mbps)の 3.5G 携帯サービスが開始され、2010 年 ごろには理論速度100Mbps の4G 携帯サービスが計画されている。これを受けて、すでに YouTube, Goggle Video, Gyao などのインターネットを介した映画やテレビ番組の配信(ビデオ キャスティング、サーバー型TV 放送)の市場が拡大しつつあることなども勘案すると、2010 年 ごろには高速に移動する通勤電車の中でも映画のストリーム受信が可能な状態が実現されると予 想される。なお、デジタル動画情報の流通という観点からは、ワンセグ放送を含む地上波デジタ ル放送の本格化も見逃せない。 一方、大型計算機、パソコン、モバイル機器と小型化してきたコンピュータには、もう一段の 小型化、多機能化が見込まれる。 そしてこれらの大型計算機から超小型自立式電子機器にいたる多様で無数のコンピュータが高 ネットワークの高速化 ネットワークの高速化 ホームユース : ~10 Gbps モバイル : ~100 Mbps サービスセンター 病院 学校 店舗 国、自治体 企業 無線基地局 ホーム ゲートウェ イ ホームネットワーク モバイル機器の進化 モバイル機器の進化 超小型、多機能  ネットワーク接続 地上波 デジタル放送 ネットワークの高速化 ネットワークの高速化 ホームユース : ~10 Gbps モバイル : ~100 Mbps サービスセンター 病院 学校 店舗 国、自治体 企業 無線基地局 ホーム ゲートウェ イ ホームネットワーク モバイル機器の進化 モバイル機器の進化 超小型、多機能  ネットワーク接続 地上波 デジタル放送

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速インターネットを介してお互いに連携しあう、いわゆるユビキタス・コンピューティングまた はパーベイシブ・ネットワークと呼ばれる情報社会空間が本格的な展開の時期を向かえることに なる。この動きにともない、コンテンツの配布・利用形態やモバイル機器に要求される機能には、 今後10 年間で大きな変化が起こると見込まれる。 100Mbps のデータ転送速度があたりまえ身近になった現時点で、インターネットを介した 音楽提供サービスのみでなく、映画配信ビジネスも本格化しつつある。ホームユースで数Gbps、 高速移動体通信で100Mbps が可能となるこれからの 10 年間には、このようなインターネット を介したコンテンツ配信が大きく伸びると見るのが自然である。そのため、これらの大量のデー タを保存して供給するための超高速・超大容量のネットワークサーバー用ストレージに対する需 要は増加の一途をたどるであろう。通信トラフィックは無限ではあり得ないので、大量のミラー サーバーの設置による需要増も想定される。インターネット放送や地上波デジタル放送を介して 来るデータを受信する家庭や事業者などではセットトップボックスなどに高速・大容量なホーム サーバー・PC 用ストレージが必要となる。また車載目的などを含めて、モバイル機器には受信デ ータや、独自に生成したデータを保存するための、信頼性と消費電力に考慮した小型・大容量の モバイル用ストレージが必要とされる。ただし、モバイル用ストレージのカテゴリーでは容量に 応じた不揮発性メモリとの棲み分けも想定される。一方、インターネットを介したコンテンツ流 通の一般化により、コンテンツ配布用ストレージの重要性は下がっていくと見られるが、長期間 のデータ保持を保証できるリムーバブル形状のコンテンツ保存・アーカイブ用ストレージは、銀 行などのビジネス用とともに家庭用にも強い需要が残ると思われる。また、リムーバブルメディ アはインターネットサーバーのサブシステムとしても使用されることが想定される。このように、 今後10 年間で高性能ストレージへの需要はますます高まっていくと想定される。ただし実際のス トレージの利用形態は技術的要因以外にコンテンツ提供側の著作権管理方針やユーザ側の所有感 覚などの社会的・心理的な要因にも多くを依存する性格を持つため、主流となるビジネスモデル を現時点で予測をすることは難しい。この側面は、特に、配布用およびアーカイブ用のストレー ジに対して影響が大きいと思われる。 以上のような社会的・技術的背景をもとに、ここではストレージの利用形態を以下の5つに分 類し、それぞれに求められる特性を整理するとともに、その実現のための可能性と課題を述べる。 ネットワークサーバー用ストレージ ホームサーバー・PC 用ストレージ モバイル用ストレージ コンテンツ配布用ストレージ コンテンツ保存・アーカイブ用ストレージ

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図1-3. ストレージに求められる機能と特性 1-2-2.利用形態別にみたストレージデバイスに求められる機能と特性 (1)ネットワークサーバー用ストレージ すでに、iPodなどでユーザーに受け入れられた音楽やゲームソフトなどのダウンロードサービ ス(=オンデマンド配信)は今後ますます普及していくと予想される。特に今後は、電子レンタ ルビデオ、サーバー型TV放送などの形により大容量のビデオ映像のオンデマンド配信が広まる ことは確実である。そのためコンテンツ供給側には大容量のストレージシステムが大量に設置さ れることとなろう。このネットワークサーバー用ストレージに要求される特性は、大容量、高速 そして高信頼である。また、この用途のストレージシステムには、同時に多数のアクセスが生じ たときにも高速で読み書きできること、ドライブ故障に備えミラーリングを自動で行う自律型で あること、故障が起きてもシステムを停止しないでドライブの交換ができることなど、システム 全体のパーフォーマンスを確保するためのソフトウエア技術が欠かせない。この種の使用目的で はドライブ単体で使用されることはないため、システムとしてのアクセス速度が重要である一方、 個々のドライブそのものに要求される速度は現製品からみて著しく高いものではない。それより も、1台あたりの容量は抑えてより多くのドライブを搭載することでシステムの速度(パフォー マンス)の向上が実現できる。つまり、この分野においても小型・高密度化は重要なファクター である。ただし、小型化してもデータアクセス速度が低下することは許容されないので、ドライ ブサイズの小型化かつ高密度化に伴って転送レートは増加し、2010年ごろには4Gbps程度にな るものと予想される。ただこの頃にはネットワークの通信速度は数Gbps程度に達すると見込ま れており、複数HDDデータの並列転送などのシステム的な対応が重要となると考えられる。 この目的で使用されるドライブの主役は HDD である。大容量が不可欠ではあるが、信頼性 の確保も欠かせないため一般用途の HDD よりは容量を抑えて使用される。それでも 2010~ サービスセンター 病院 学校 店舗 国、自治体 企業 無線基地局 ホーム ゲートウェ イ ホームネットワーク ネットワークサーバー用 大容量、小型・高密度、 高速 ホームサーバー・PC用 大容量、低消費電力、 安価、静音 モバイル用 小型薄型、軽量、超低消 費電力、耐衝撃、大容量 コンテンツ保存・アーカイブ用 大容量、耐経時変化、高速、 信頼性 コンテンツ配布用 大容量、高速、低価格 地上波 デジタル放送 サービスセンター 病院 学校 店舗 国、自治体 企業 無線基地局 ホーム ゲートウェ イ ホームネットワーク サービスセンター 病院 学校 店舗 国、自治体 企業 無線基地局 ホーム ゲートウェ イ ホームネットワーク ネットワークサーバー用 大容量、小型・高密度、 高速 ネットワークサーバー用 大容量、小型・高密度、 高速 ホームサーバー・PC用 大容量、低消費電力、 安価、静音 ホームサーバー・PC用 大容量、低消費電力、 安価、静音 モバイル用 小型薄型、軽量、超低消 費電力、耐衝撃、大容量 モバイル用 小型薄型、軽量、超低消 費電力、耐衝撃、大容量 コンテンツ保存・アーカイブ用 大容量、耐経時変化、高速、 信頼性 コンテンツ保存・アーカイブ用 大容量、耐経時変化、高速、 信頼性 コンテンツ配布用 大容量、高速、低価格 コンテンツ配布用 大容量、高速、低価格 コンテンツ配布用 大容量、高速、低価格 地上波 デジタル放送

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2012 年ごろには数百 GB~数 TB/ドライブが実現され、RAID として数十 TB~数百 TB のシス テムが実用化されると思われる。大容量のRAID システムではあるが HDD を収納するラック は薄型・小型サイズ(19”ラック等)であるため、装置体積当りの容量(設置パフォーマンス、 省スペース性)にも優れている。ただし、HDD の寿命は約 5 年と比較的短い。このため、光 ディスクからなるアーカイブ用ストレージデバイスも、インターネットサーバー用ストレージ システムに組み込まれる可能性がある。 (2)ホームサーバー・PC 用ストレージ 従来の据え置き型 PC 以外に、大容量の動画データを受信するためのセットトップボックス などに大量のストレージが必要となっている。地上波デジタル放送に対応して 2009~2010 年 ごろには2テラバイト程度の装置容量が必要になるであろう。これらのコンテンツは、DRM (Digital Right Management)を付加することで見る回数や時間の制限、コピーの回数など細 かな利用形態が指定されたコンテンツが、通信、放送、パッケージメディアの3 つの方法によ って配布されるようになる可能性が高い。ただし、DRM のような著作権保護の仕組み(コピ ーコントロールの仕組み)を使用したコンテンツビジネスのビジネスモデルが未だ確立されて おらず、きちんと成り立っていくのかどうか自体、予想がつかない。また、配信先の標準フォ ーマットが確立していないこと、配信先の家庭のセキュリティが未確保のままであること、 HDD と光ディスクが共存する場合のコピープロテクションのルールが未確立であること、など の問題もある。このストレージに要求される特性は、大容量、低消費電力、安価、高速などの ほかに静音なども重要である。 この目的で使用されるデバイスとして最有力なのは2.5~3.5 インチ型 HDD である。 (3)モバイル用ストレージ iPod に代表される音楽プレーヤの普及、内蔵カメラによるビデオ撮影機能や地上波デジタル TV 放送の受信録画機能などが加わると考えられる携帯電話など、各種モバイル機器の高性能化 がさらに進むと想定され、モバイル機器にも高性能のストレージが必要となっている。このスト レージには、小型薄型、低消費電力、耐衝撃、大容量、軽量などの特性が必要となる。携帯電話 が最大の市場と考えられるが、その場合、コンパクトフラッシュ(CF)メモリ程度の小型化、で きれば既存のメモリスロット規格がそのまま使えることが望まれる。地上波デジタル放送が本格 的に普及する 2010 年ごろに容量アップの需要が高まると見込まれ、そのときの装置容量は80 ギガバイト以上が必須であろう。耐衝撃性に関しては、携帯電話での使用を考えると大人の耳の 高さから落としても壊れないことが要求され、2007 年には 600G~1000G 程度のロバスト性が必 要とされる。この目的で使用されるストレージデバイスとしてはHDD が最有力であり、1.0 イン チ以下のHDD の大容量化(>80GB)と低コスト化(<50$)により市場急拡大が見込まれる。 ただし、フラッシュメモリとのコスト比は年々縮小傾向にあり、比較的小容量のストレージの

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一部は半導体不揮発性メモリにとって代わられつつある。既にiPod-nano には8ギガバイトのフ ラシュメモリが採用されている。フラッシュメモリの容量はここ数年 60~100%で増大すると見 られるため、2007 年には 10 ギガバイトを超える可能性が高い。 もう一つのモバイル用ストレージデバイスとして車載向けの需要がある。カーナビ地図情報の 記録などに膨大な容量が必要なためこの分野でも HDD の普及が進むものと予想される。自動車 に搭載される場合、様々な環境温度湿度での使用が想定されるため、極めて高い信頼性が不可欠 である。ただし、重さや大きさの制限はゆるいので記録密度はあまり重要な因子ではない。 (4)コンテンツ配布用ストレージ これまでソフトウエア、音楽、動画などのコンテンツの配布はもっぱら CD や DVD などの光 ディスクにより行われてきたが、ネットワークの高速化に伴ってネットワーク経由の配信が伸び ていくと予想されるため、その形態は大きく変わっていくと思われる。その場合、著作権保護と これに関連したビジネスモデルのありようが大きな影響を与えるため、現状では見通しが難しい 状態にある。いずれにしろ特性としては、大容量化と高速化、低価格が求められ、光ディスクが 中心的な役割を果たすことになろう。コンテンツ配布用光ディスクとしては、2010 年頃までには 記録容量 200GB、転送速度 200Mbps、価格百円程度(コンテンツ代抜き)の ROM 型次世代光 ディスクの実用化が期待される。また、将来的に動画コンテンツの容量増加がネットワークの高 速化により対応しきれない場合には、スーパーハイビジョンへのニーズが高まる 2020 年頃に、 容量~1TB、転送速度~1Gbps の ROM 型・次々世代光ディスクが実用化される可能性もある。 (5)コンテンツ保存・アーカイブ用ストレージ ここでは、様々なコンテンツの長期的な保存のために用いられる、書換または追記が可能なリム ーバブルストレージをコンテンツ保存・アーカイブ用ストレージとして定義する。この種のストレ ージには、法的な要請に基づく銀行業務や大容量コンテンツ配信のためにネットワークサーバーに おけるバックアップなどのビジネス用途から、音楽・動画などのエンドユーザが直接手にする民生 用まで多様な形態ものがある。 業務用には、超大容量で高速であることに加えて、きわめて高い信頼性と超耐経時変化が要求 される。一方、民生用には、大容量、耐経時変化、高速、安価が求められる。 アーカイブ用ストレージの主役は、光ディスクとみられる。磁気テープは劣化の問題から 10 年程度のデータ保存期間が限界と言われているため、保存期間が半永久(30 年、一部には100 年以上の寿命のものも存在)である光ディスクが、容量や転送速度の観点から普及の遅れていた ビジネス用途でも主役になると思われる。2010 年頃までには、業務用で容量~1TB、転送速度~ 1Gbps が必要とされるであろう。これらが実現すれば、従来から光ディスクの弱点であったメデ

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ィア当りの容量不足が解消されると共に、対 HDD 優位性である高コストパフォーマンス、高セ キュリティにより、アーカイブの他、バックアップ用途も期待できる。また、光ライブラリ装置 は、光ディスクのもつ大容量性に加えて、長期保存、高セキュリティの特長を最大限に活かした 情報記録用途(電子メール、動画コンテンツの2 つが重要)への展開が予想され、これらの情報 を全て保存するには超大容量アーカイブの構築が必要である。また、今後、出版物、芸術作品、 文化遺産などをデジタル画像化して保存する大規模情報 DB 倉庫の構築が予想され、光ライブラ リがその主要ストレージになると期待できる。 磁気テープも高記録密度化が急速に進んでいる。現状LTO 規格のテープでは、非圧縮時 400GB /巻、圧縮時800GB/巻の容量が実現しており、数年先のロードマップには各々1.6TB/巻、3.2TB /巻と1 メディア当たり 1TB を超える仕様が挙げられている。磁気テープの場合、長期保存性が 懸念されるが保存環境が良ければ数年の保存も可能と言われている。また、塗布型テープにおい てバインダが原因で年一回程度必要であったリワインド、リテンションが、蒸着テープでは不要 となり、取り扱いも容易になってきている。大容量化に伴い、数十 TB クラスのテープライブラ リ装置がラックに薄型サイズで収まる。 1-2-3.各種ストレージ技術の可能性と課題 (1)磁性系ストレージ技術 年率 40%の装置容量アップが課題である。少なくとも、年率 40%程度の面密度アップは確保し なければならない。今後も高記録密度化が最大の課題であることは間違いない。 磁気記録系での最大のノイズ発生源は記録媒体である。単位ビットサイズの中にたくさんの磁 性微粒子があるほどS/N は高くなるため、高記録密度化に伴い微粒子化が必須となる。ところが、 単位磁性粒サイズが小さくなると熱的に不安定になる。熱的に安定な媒体を得るため磁気エネル ギー(Ku)の高い材料を探索し実用化することになる。この結果、熱的には安定になるが大きな 記録磁界強度が必要になるため、磁気ヘッドの飽和磁束密度Bs を上げなければならない。ヘッド 媒体間の磁気スペーシング短縮も磁界強度を増加させるが、ヘッド先端部サイズの小型化は磁界 を弱くするので不十分である。このため、高いBs の材料を実用化することでこれまでは対応して きた。しかし、2002 年ごろには、地球上に存在する最高飽和磁束密度 2.4 テスラの材料 FeCo ま で使い果たしてしまったため、2003~4 年になると記録密度の伸びが急激に低下した。磁気ヘッド の記録能力が限界に達したことになる。これがいわゆる熱ゆらぎによる限界である。 この記録能力と熱揺らぎ限界を打破するには Bs に頼らず記録磁界を増加させることが必要で あり、面内磁気記録とは異なる方式を用いる垂直磁気記録方式の採用によって実現されつつある。 垂直方式は2005 年に一部 HDD 製品にて初めて実用化され、2006 年から本格的実用化が進行中 である。

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しかし、垂直方式であってもいつまでも磁界強度が確保できるわけではない。このため 2.4 テ スラのBs の壁をやぶる材料を人工的に作りだす技術が望まれ、実際、そのような努力が行われて いる。2008~2010 年ごろには Bs が 2.4 テスラ以上材料の実用化が求められる。 上記のように新規の記録ヘッド材料を開発する一方で、媒体を工夫することで熱安定性と書き やすさを両立する技術の開発も重要である。磁性粒子の成長軸を垂直ではなく斜めに制御するこ とで実現できることがシミュレーションなどから予測されているが、このような構造を持つ媒体 の作製は容易ではない。最近、垂直磁気記録層の上部もしくは下部に軟磁性膜や記録層とは磁気 特性の異なる磁性薄膜を形成し、記録ヘッド磁界が作用したときに磁化反転を起こりやすくした 改良型媒体構造がシミュレーションおよび実験の両面から検討され始めた。磁化反転強度の低減 だけでなく、磁気記録の分解能や再生信号の SN 比が向上するなどの望ましい効果も確認されつ つある。 しかし、このような媒体改良による垂直方式の延命策が進んだとしても、2012 年から 2014 年 ごろには再度、熱ゆらぎ限界と記録磁界強度限界に突き当たると考えられる。これを打破するた めにはもう一度、記録方式のパラダイムシフトが必要であろう。現在、最も有力視されているの が、パターン媒体記録再生方式と熱アシスト記録方式である。近接場光を用いれば、光の波長限 界を超えた小スポットが実現できるので、微小な領域の加熱が可能になる。近接場光を用いた熱 アシスト記録方式はパターン媒体と組み合わせることでより大きな効果が期待できるため、パタ ーン方式の後継技術、すなわち熱アシストパターン媒体記録方式と見ることもできる。パターン 媒体の一歩手前の方式が分離トラック媒体記録方式(DTR)である。DTR ではヘッドおよびチャ ネルLSI へのインパクトが比較的小さくてすむ。DTR は従来の垂直磁気記録方式からパターン媒 体および熱アシストパターン媒体記録方式へ速やかな移行を可能ならしめる技術に位置づけるこ とができる。 上記はいずれも媒体および記録ヘッドに係わる“記録“のブレークスルー技術であるが、記録 磁界が確保できて記録に成功したとしても、微細な磁化情報を読み出すためには再生感度の確保 も必要である。すなわち”再生“の技術開発も必要である。 2005 年、一部 HDD 製品において、従来のスピンバルブ型 GMR ヘッドの数倍の感度を持つト ンネル効果MR 膜を使った TMR ヘッドが実用化され、今後の高感度ヘッドの主流となることが 確実となった。しかしながら、TMR ヘッドは再生出力を従来の GMR ヘッドの数倍程度大きくで きる反面、一般に電気抵抗が高いため高速転送時にS/N を高くできないという欠点がある。その ため抵抗を下げるとともにさらに感度を上げる研究が盛んに行われ、既に0.4 Ωμm2の低抵抗で 57%のTMR 比を示す MgO バリアー系の TMR 素子が開発されている(キヤノンアネルバ/産 総研)。一方、本質的に電気抵抗を低くできる再生ヘッドとして、CPP-GMR 膜も注目されている。 ただし、CPP-GMR ヘッドは感度が低いという欠点を抱えており、その増大に向けて研究が行わ れている。これらの再生ヘッドでは、MgO バリアーを用いた低抵抗 TMR 再生ヘッドの実用化が

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先行して進行中であるが、記録密度と転送速度の向上を考慮するとさらに低抵抗な TMR 再生ヘ ッドあるいは高感度CPP-GMR ヘッドの実用化が 2008 年ごろまでに必要である。 その後も面密度の増大に従ってトラック幅の狭幅化と再生感度の向上が不可欠である。~ 1Tb/in2の面記録密度を実現するには50nm 以下のトラック幅および 20mV/μm 以上の規格化出 力が必要になると予想される。その後も高感度化要求は続くため、これに対応すべく各種スピン トロニクス効果を応用したヘッドデバイス化の研究が進められている。スピントロニクス・ヘッ ドの実現にむけて、バリスティック MR、スピンホール MR、スピントランジスタなどの基礎的 研究が行われている。 上記は全て記録密度を増大させるための技術であるが、実用上は記録密度以外の課題解決も非 常に重要である。例えば、信頼性確保、低価格化、耐振動、耐衝撃、耐高低温、省電力化、薄型 化である。これらは特にモバイル HDD で重要である。コンテンツ保存用あるいは配布用 HDD などでは、コンテンツ保護機能(セキュリティ)も重要課題である。 (2)光系ストレージ技術 次世代光ディスクにおいては、2010 年頃までに、民生用(高精細画像録画および PC 用途)中 心に記録容量200GB、転送レート 200Mbps の追記・書換型光ディスク装置の実用化、また、次々 世代光ディスク(先ずは、業務用、特に放送用)においても2011 年頃に、非圧縮で HDTV 信号 記録(約2時間)が可能な記録容量~1TB、転送速度 数百 Mbps~1Gbps の追記・書換型光ディ スク装置の実用化が必要である。 従来、光ディスクはCD からスタートし、MO(光磁気ディスク)あるいは DVD に技術開発が 進展してきた。このような光ディスクの高記録密度化(大容量化)は、基本的には使用するレー ザの波長と集光レンズの NA(開口数)で決まる媒体上の集光ビーム径により制限される。今後 も、レーザ波長の短波長化と高NA 化で光ディスクの大容量化を押し進める方法も考えられる。 しかしながら、大容量化に大きく寄与するほど波長を短くするとなると、紫外光レーザを用いる ことになる。光ディスク再生装置に適用可能な小型、安価で安定かつ高出力の紫外光半導体レー ザの開発が必要であり、さらに、紫外域ではこれまで用いてきたピックアップやディスクを構成 する材料を全面的に見直す必要が生じるため、非常に難しい。このため、短波長化による高記録 密度化は、青紫色レーザが限界と見られている。 転送速度ついては、ビットバイビット記録の光ディスクでは線密度の向上および光ディスク媒 体の高速回転によりある程度の高速化が見込める。しかし、1ビームでの記録再生では数 100Mbps が限界と考えられる。1Gbps を超える高速化のためには、複数ヘッドあるいは複数ビー ムによる並列アクセス、あるいはホログラム記録のような 2 次元データの一括記録のような手段 が必要となる。

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大容量化に向けて、レンズの高NA化に関しては、NA が 1 を超える SIL(Solid Immersion Lens) を記録媒体に数10nm に近接させて記録再生する近接場光記録の開発が、日欧韓で進んでいる。 これは、レンズと媒体の距離がナノメータオーダになるため、システムの信頼性確保が課題とな る。 レーザの短波長化、レンズの高NA 化以外のブレークスルー技術としては、多値記録方式、記 録層を多層化する多層記録方式、Super-RENS 方式、体積記録方式としての 2 光子吸収超多層記 録方式、体積ホログラム記録方式等の研究開発が重要と考えられている。 多値記録方式はこれまで多くの機関で研究されてきており、実用化されたこともある。多値の レベルを8~12 とすることで、信号処理技術とあいまって、同じ波長、同じ NA の光学系で約 2 倍の高密度化が達成できる。 多層記録方式は、光ディスク製造のノウハウを持つ日本での研究開発が盛んである。DVD では 2 層の記録媒体が製品化されており、Blu-ray Disc では、8 層の研究開発も進んでいる。実用上の 課題は、S/N 比を確保するための層間クロストークの低減である。なお、全く発想を変えた"多層 記録方式"としては、日立マクセルが厚み 100μm の薄い光ディスクを 100 枚程度重ねたスタック 型光ディスクでカートリッジあたり1T バイトを実現することを提案している。実用化に近い技 術として注目される。

Super-RENS(Super-REsolution Near-field Structure)方式は、光超解像記録方式の一種で あり独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研と略す)でその原理が創出され、日本が中 心となって研究開発が進んでいる。同じ波長、同じNA の光学系を持つシステムで 4 倍以上の高 密度化が見込まれる。 一方、体積型記録の内、2 光子吸収超多層記録方式については、欧米のベンチャー企業および 日本の産学共同での研究開発が進められており、高効率な材料、収差補正光学システム、高速記 録再生方式などの検討が行われている。 体積ホログラム記録方式は光の干渉性を利用して、媒体中に3 次元的に情報を記録するもので あり、昨今、国内外において盛んに研究開発が進められている。米国InPhase Technologies 社は 2007 年に容量 300GB、転送速度 160Mbps の業務用装置を販売するとアナウンスしている。我が 国オプトウエア社も2007 年夏に 200GB の業務用装置を発売するとアナウンスしている。 体積ホログラムは光の干渉を用いるため、一般に信号光と参照光の二つのレーザビームを使用 する。 InPhase 社は、ホログラムメモリの基本的方式である二つのレーザビームを別々の方向から入 射してホログラムを形成する2光束干渉法を用いている。この方式は再生時の再生照明光と信号 再生光(回折光)とを空間的に分離できる特徴をもつが、多重記録再生は角度多重を基本とする ため,光ビーム入射角度の制御を精密に行う必要があり光学系が複雑になるので小型化が困難も

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有する。 2光束干渉法に代わる我国発の体積ホログラムメモリ技術として,オプトウエア社はコリニア ホログラフィ方式を提案した。この方式では、信号光と参照光(および再生照明光)を見かけ上 1つの光ビームで行うことが特徴である。信号光・参照光を含む光ビームを光ディスクに対して 対物レンズ1つで絞り記録再生を行う。光学系は2光束干渉法に比べシンプルになる利点がある と同時に,反射膜をもつ光ディスクを利用できるため、DVD などとのコンパチビリティを有する。 連続回転ホログラム光ディスクに200GB 相当の容量と 120Mbps の転送レートがデモンストレー ションされ,技術的には 1TB/disc の容量と 1Gbps の転送レートの共存が可能であることが示さ れた。 この二つの方式をベースとする各種変形方式も提案されている。2光束干渉法では、二つのビ ームを反対方向から入射させ、焦点位置の違いで多重記録する方式が提案されている。コリニア 方式では、参照光の光路上にプリズム等の光学素子を挿入して多重記録の安定度を向上させる方 式が提案されている。また光強度変調を光位相変調に換えることで1ピクセルあたりに多数の情 報を記録する多値体積ホログラム方式も提案されている。 ホログラムの実用化には、記録方式のほかにも、媒体材料、空間変調器、光検出器などの開発 も必要である。記録媒体としてはフォトポリマー材料や非破壊読み出しが可能でかつ書換可能な フォトリフラクティブ結晶が検討されている。空間変調器としては液晶や MEMS 技術を用いた DMD(Deformable Mirror Device)が一般的によく利用されているが,光利用効率や駆動速度の 観点から磁気光学効果を用いたSLM(MOSLM)や電気光学効果を用いた SLM(EOSLM)など も開発されている。これらの固体SLM は 1 ピクセルあたり 10ns オーダの駆動が可能で,高速転 送レートを実現する観点からは魅力あるものといえる。また MO 効果,EO 効果を増大する方法 として,マイクロキャビティ構造を用いたものが開発されている。MOSLM では磁性フォトニッ ク結晶との組み合わせで,多階調SLM や位相変調 SLM が実現されつつある。 ホログラムの実用化が近づいているため、国内外の学会や公的機関でその標準化に関する議論 が開始されている。 なお、欧州では、反射型コリニア方式のホログラフィック・データストレージ・プロジェクト IST-FP6(Information Society Technologies – Sixth Framework Programme)が行われている (活動期間:2004 年 7 月 1 日~2007 年 6 月 30 日の 3 年間)。2 光束方式による海外プロジェク トでは,約10 年ほど前に米国で DARPA が行った HDSS プロジェクト,PRISM プロジェクト があり,これらはデジタル体積ホログラフィの基礎構築に極めて重要な役割を果たしたが,その 後この方式を主体とする大型海外プロジェクトはあまり行われていない。

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ホログラムメモリは,現在光ディスクメディアを中心として開発が行われているが,メディア 形態としてカード型メモリの開発もオプトウエア社,インフェーズ社で検討されている。過去の 光メモリ開発(例えば光磁気記録)でも同様であるが,光ディスクとカードというメディア形態 は常に検討されてきた。ホログラムメモリでは,現時点でフォトポリマが有力な記録材料である ことから,カード型においても遮光用カートリッジの利用が不可欠であり,これが市場導入時の 難点の一つと考えられている。 光ディスクに関するコンテンツの著作権保護の観点からは、読出専用型と追記・書換型媒体を 包含する規格 AACS(Advanced Access Content Sytem)が策定されている。これはキーを 128bit 化するなど暗号化を強化すると共に、個々のドライブを認証できるシステムを備え、さらに、暗 号が破られた場合に無効化できるRevocation 機能を備えている。AACS は HD DVD や Blu-ray Disc に採用されており、現在のところ今後 10 年間は通用するシステムと考えられている。 (3)新規ストレージ技術 新規ストレージ技術としては、カード型薄膜ホログラムメモリ、MEMS プローブメモリそして 磁壁移動型固体メモリが提案されている。 カード型薄膜ホログラムメモリは、積層導波路構造(屈折率の高いコア層と低いクラッド層が 交互に積層された構造で、これにレーザ光を入射すると光がコア層付近に閉じ込められて伝搬し、 各コア層に設けられた凹凸パターンにより光が散乱される)をもつ媒体にデータを記録するメモ リである。媒体が高い記録密度をもつ、ドライブが小型低消費電力、低コストでの媒体大量生産 が可能、媒体偽造が極めて困難、媒体のリサイクルが可能、という特徴をもつため、次の様な用 途が期待される。一つ目は、小型・安価・大容量の特性から、半導体 ROM の代替、二つ目は、 媒体領布性に優れリサイクル可能なことから、紙に代わる本格的配布媒体としての利用、そして 三つ目は、偽造が困難で大容量であることから、ゲームや音楽、映画、電子出版などのリッチコ ンテンツの発行用途が期待される。 MEMS プローブメモリは、メディア(ポリマー層、相変化材料層、磁性層、強誘電体層、等) にカンチレバーを用いて記録するマルチプローブメモリである。将来の大容量・高速・低消費電 力のモバイルストレージとして期待されており、将来、小型 HDD やフラッシュメモリ等と競合 する可能性も考えられる。

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磁壁移動型固体メモリは、強磁性体金属ナノ細線中の情報"0"と情報"1"の境界である磁壁を、磁 場でなくスピン偏極電流によって移動させることが出来る現象を用いた固体ストレージであり、 実現すれば、可動部を持たないハードディスクとして使用できると期待されている。京都大学に よる磁壁移動現象の発見を契機に関心が集まり、IBM は MRTM(Magnetic Race Track Memory) と名付けて開発を開始した。記録層の多層化や、基板厚み方向にも磁壁を移動させることにより、 大容量の三次元磁気ストレージになりうる可能性を持つが、駆動電流密度の低減、磁壁のクリー プ現象制御、あるいは高集積化方式の開発などが実用化に向けた課題として残されている。 1-3.キーテクノロジー 1-3-1.磁性系ストレージ技術 (1)記録用技術 熱揺らぎ限界を打破するブレークスルー技術として垂直磁気記録方式が HDD 製品に導入され 始めた。垂直磁気記録方式は磁化を媒体膜面に対して垂直方向に立てて記録する方式である。従 来は媒体を面内方向に磁化することにより情報を記録してきた。媒体は軟磁性下地層の上に硬磁 性記録層を有する二層構造を用い、ヘッドは従来のポールが二つあるリング型ヘッドに代わって モノポール型のヘッドを用いる。 垂直方式により記録性能は格段に向上するが、記録密度向上トレンドを維持するためには常に 磁界強度を増大しつづけなければならない。記録磁界強度は材料に依存する。現在知られている 最大の飽和磁束密度(Bs)は 2.4 テスラであるが、原子の格子間隔を多層化技術などにより人工 的にコントロールすることによりBs の壁を打破できる可能性がある。これが 2.4 テスラ以上 Bs 材料開発である。2005 年の米国 The Magnetic Recording Conference (TMRC2005)では、富士通か ら 2.58 テスラの報告があった。更なる高Bs 実現、および、製品への適用が期待される。 一方、記録方式そのものを見直すアプローチの代表技術が、パターン媒体記録再生方式である。 従来の記録方式では垂直記録方式も含めて、記録媒体の磁性膜として多結晶の連続膜が用いられ る。この媒体は多結晶粒子の間に非磁性材料を介在させて磁気分離させたグラニュラー構造を持 つ。このタイプの記録媒体を用いる方式では、面内/垂直のいずれの記録方式においても、ビット 境界がサイズや形の不規則な結晶粒の境界を走って不規則なジグザグ状となり、これが再生信号 の雑音の原因となることから、記録密度の向上には記録膜の結晶粒を微細化し、直線的なビット 境界を得る必要があった。しかし、結晶粒が小さくなってそのサイズが数 nm 以下になると、熱 揺らぎによる磁化の不安定性から、時間経過と共に記録情報が失われるという大きな問題があり、 これに対処するためには磁性結晶の Ku を増大しなければならず、ヘッドの記録能力増大が必要 となる。また、再生信号に必要な信号雑音比を確保するためには、1 ビットあたり少なくとも 10 個程度以上の結晶粒が必要で、これらの制約から連続膜を用いた HDD 記録密度には、垂直磁気 記録方式を採用してもいずれ限界が来ることが予測されている。この限界を打破する新しい記録

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媒体として、形状や大きさを人工的にそろえた単一磁区の微粒子をアレイ状にならべ、この1 微 粒子を 1 ビットして記録を行なう方式がパターン媒体記録再生方式である。パターン媒体では粒 子が同サイズでしかも規則的に配列しているため、1 微粒子を 1 ビットとして記録を行っても再 生信号に必要な信号雑音比が確保でき、原理的には熱安定限界の体積を有するサイズまで微粒子 を小型化して、高密度記録を行なうことができる。 パターン媒体では従来の記録方式で用いたグラニュラー構造を持つ記録媒体とは異なった構造 と磁気特性を持つ媒体が必要となる。従来媒体では1ビットに10個以上の結晶粒が必要である が、パターン媒体では磁気結合型垂直媒体が必要となる。パターン媒体では1ビットが1粒子で 形成されるためビット内は磁気的に結合していることが必要であり、磁気結合性の良い多結晶、 単結晶、あるいは非晶質構造を持つ磁性膜の活用が可能となる。磁性粒子の実効体積がグラニュ ラー構造を持つ媒体に比べて大幅に増えるため、Ku や抗磁力(Hc)などの磁気特性の制約が緩やか になり材料選択の許容性が増大する。1ビット1粒子で構成するため、所定のビット形状に成型 しなければならない。自己組織化現象を応用した磁性微粒子の配列利用の可能性もあるが、ビッ ト形状成型では微細加工技術やナノインプリント技術の活用が本命と考えられる。パターン媒体 技術が必要と予測される2012~2014 年の記録密度は 1.2~2.4Tb/in2であり、パターン寸法15~ 20nm、加工精度 1~2nm の実現が必要となる。国際半導体ロードマップ(ITRS)の LSI 微細化ト レンドではハーフピッチの加工寸法は2010 年で 45nm、2013 年で 32nm とされている。これま で磁気記録分野では半導体分野で用いられてきた微細加工技術を適用してきたが、半導体分野の 加工精度を超えることになり、独自の微細加工技術の開発が必要となる。記録磁性膜としては微 細加工性とビット内で一様な磁気特性を確保しやすい単結晶や非晶質磁性膜の活用も考えられる。 またパターン媒体記録再生方式では、1 微粒子を 1 ビットとして記録を行なうためヘッドや信 号処理チャネル方式まで含めた大掛かりな変更が必要となる。一方、ヘッドおよびチャネル LSI の変更を最小限ですませるため、トラック幅方向のみパターニングを行う方式が分離トラック媒 体記録方式である。この媒体ではトラック走行方向にパターニングしないため信号処理方式やヘ ッドに大幅な変更を必要としない代わりに、見込まれる効果も小さい。記録媒体も従来のグラニ ュラー構造を持つ磁性膜をそのまま活用できるのでパターン媒体へ移行する一つ手前の技術とみ ることができる。 熱ゆらぎ限界を打破するもう一つのブレークスルー技術として注目されるのが、熱アシスト記 録方式である。熱アシスト方式をパターン媒体と組み合わせた、熱アシストパターン媒体記録方 式とすれば、一つのビットに効率的に熱を閉じ込めることが可能となるため、連続膜媒体に適用 した場合よりもより大きな効果が期待できる。さらに磁気記録の高密度化が進みパターン媒体の ビット寸法が熱揺らぎの影響を受けるほど微細化する場合、磁性材料の Ku を増大することが必 要となる。この場合、磁気ヘッドの記録能力が不足するが熱アシストにより記録が可能となる。 熱アシストパターン媒体記録方式はパターン媒体記録方式の発展技術あるいは後継技術に位置づ けることができる。この記録方式で用いる媒体として、磁気結合性と磁気特性の温度依存性が高

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度制御された熱磁気特性制御型垂直媒体が活用されると考えられる。レーザー光を記録したい領 域に集光させて加熱することにより部分的に媒体の抗磁力 Hc を低下させて、記録磁界が十分に 強くない場合でも記録を可能にする。高密度記録のためにはレーザービームのスポット径をトラ ック幅と同等にまで小さくする必要があるが、スポット径は波長に依存するため、短波長のブル ーレーザーを使ったとしても数百 nm 程度までしか絞れず、高密度記録が実現できない。このた めソリッド・イマージョン・レンズや導波路と各種アパーチャを使った近接場光(ニア・フィー ルド)記録方式の研究が行われている。ニア・フィールドを用いれば波長限界を超えた小スポッ トが実現できるが、媒体を十分な温度に加熱するため光利用効率を向上することや、光デバイス と従来の磁気デバイスの両方を結合した磁気/光ハイブリッド型ヘッドスライダをどう実現する かなどが大きな課題である。なおニア・フィールドに対して従来の光磁気記録(MO 記録)はフ ァー・フィールド記録と呼ばれる。 (2)再生用技術 記録密度が増大すると1ビット当たりの磁性体の体積が小さくなるため媒体から発生する磁束 密度が弱くなる。このためヘッドの再生感度の向上が必要である。 今後も再生用ヘッドには、媒体からの漏れ磁界を素子の抵抗変化として検出する磁気抵抗(MR) 効果が使用されていく。記録密度の高密度化に対応するために MR ヘッドが満たす条件は二つある。 一つは、弱い漏れ磁場を検出するための MR 効果の増大であり、もう一つはデータ転送速度の高速 化のための抵抗値の低減である。この二つの条件を両立させる材料の開発が求められる。 現在の主流は約 12%~15%の MR 効果を示すスピンバルブ型 GMR(巨大磁気抵抗効果)ヘッドで あるが、2005 年に、より高い感度を持つ TMR ヘッドがアルミナトンネル障壁層を用いる構造で実 用化された。TMR ヘッドは強磁性トンネル接合が示す大きなトンネル磁気抵抗(TMR)効果を用い るヘッドである。高い TMR 比と低い素子抵抗の両立が課題であったが、最近、キヤノンアネルバ/ 産総研は量産に適したスパッタ装置をもちいて作製した MgO 系 TMR 素子において RA~0.4Ωμm2 でΔR/R~57%の高性能の実証に成功し、500Gb/in2 程度の面記録密度に対応できることを示した。 その実用化が近い。 TMR ヘッドと並んで注目されているのが垂直通電型の CPP(Current Perpendicular to Plane)-GMR である。これにより~600Gb/in2の面記録密度が実現できると考えられている。2006

年のSEATEC JAPAN では、TDK から CPP-GMR ヘッドと分離トラック媒体を用いて 400Gbpsi 級の SN 比が得られることが示された。CPP-GMR は抵抗が低いため、高周波でも SN 比が低下 せず、大きなセンス電流が使える可能性がある。また、20nm 級の再生トラック幅でも出力が低 下しないことが報告されている(IBM、出典:IEEE Trans. Magn., Vol.42, P.2434, 2006)。 CPP-GMR の抵抗変化率は、原理的には数十%のポテンシャルを有する(東芝、出典:IEEE Trans.

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Magn., Vol.40, P.2236, 2004)。しかし、スピン依存散乱部(ピン層、スペーサ、フリー層の積 層部)の抵抗が極端に小さいために、その他の直列抵抗分を加えた再生素子全体の抵抗変化率は 現状 10%程度に止まっている。スピン依存散乱部の適度な抵抗増大を狙った電流狭窄型 NOL(Nano Oxide Layer) をスペーサに用いたスピンバルブ構造やハーフメタリックな新磁性層 を用いることで抵抗変化率が20%程度に増大できるようになると、高転送レートが要求されるサ ーバーなどへの適用も期待できる。 TMR ヘッド・CPP-GMR ヘッドともに、GMR 薄膜面内に電流を流すこれまでの CIP(Current In Plane)-GMR と比べ、熱放散性に優れ通電断面積が大きいので比較的大きなセンス電流が使える、 狭ギャップ化に適する、再生フリンジが小さく狭トラック化に適する、などの多くの利点を持つ。 しかし、今後の狭トラック幅再生では、スピン・トランスファー・トルクや熱揺らぎに起因した 磁気ノイズの増大が懸念される。これがメインのノイズになると、抵抗変化率を増大しても原理 的に SN 比の向上は期待できない。従って、磁気ノイズの克服が再生ヘッドにおける今後の重要 課題である。 その後の面密度の増大に対応するためには、電子の磁気的特性(スピン)を活用するスピントロ二 クスといわれる一連の新技術により再生感度を大きく改善したスピントロニクス・ヘッドを実現 しなければならない。スピントロニクスには、スピン注入素子、スピンフィルター素子、バリス ティックMR、スピンホール MR、スピントランジスタなど、いくつかの候補がある。これらは、 昨今は世界各国で精力的に開発が進められている技術である。例えばスピンフィルター素子は、 素子を流れる電流の磁化を帯びたスピン電流だけを選択的に透過する技術で、TMR にこの効果を もつ障壁を適用することで、200%を超える抵抗変化を実現している。また、半導体膜と磁性膜か らなるトランジスタに似た構造をもつスピントランジスタでは、半導体からなるコレクター部を 流れる電流が、磁場によって200%以上変化する。さらに、バリスティック MR(BMR)とよば れる300%を超える極めて高い MR が基礎検討レベルであるが確認されている(Nature Materials Vol-4 No.11 pp.832-837(23 Oct. 2005))。これは、2つの磁性体を数nm 以下の極めて細い伝導 パスで接触させたときに生じる効果で、磁壁閉じ込めとスピン電子が細い接触部で無損失伝導す ることに起因するといわれている。現時点では、ヘッド構造の大きな変化を必要とするこれらの 技術には一長一短があるため、これらの効果もこれまでのところ実用化が見込まれるような有力 な候補は現れていないが、高性能なスピントロニクスデバイスの開発は必須であり、今後、これ を加速する必要がある。 1-3-2.光系ストレージ技術 (1)次世代光ディスク技術 次世代光ディスクの大容量化(200GB)と高速化(200Mbps)に向けては、多層化と Super-RENS

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方式、多値記録方式、SIL 記録方式が有力視されている。 この内、多層化は、記録層を3 次元的に積み重ねていく方式であり、Blu-ray Disc においては、 既に片面2 層化により容量 50GB の書換型ディスクが実用化されており、容量 50GB の 2 層 ROM ディスクも発表されている。また、実験的にも片面8 層(200GB)までの再生が確認されている。 同様にHD DVD においても追記型片面 2 層ディスク(容量 30GB)と 2 層 ROM ディスク(容量 30GB)が発売されている。これらの方式においては、現状の記録層構成を積み重ねていくのみと 捉えると最小ピット長は変わらないため、転送速度向上のためには、材料探索を中心とした記録 高感度化、特に相変化記録材料の場合には相変化(結晶 ⇒ 非晶質)速度の向上(寿命を損なわ ず)、さらにはレーザ高出力化等で対応する必要がある。また、層間クロストークの抑制(層間に 所定厚みの中間層を設ける等の施策)も課題である。 Super-RENS方式は、金属膜や酸化物膜を利用した光超解像記録方式(光超解像膜の光学的非 線形性を利用して光学マスクを形成し、読み出す領域を狭めることで分解能を高める方式)であ り、原理的にはレーザ短波長化や高NA化と同じく記録スポット径を小さくしていく記録方式であ るので、線速度が同じであれば単位時間当たりに読み書きできる記録ピット数が増加するため高 転送速度化に寄与できる。また、超解像方式は、基本的には従来の光ディスクの膜構成中に非線 形な光学特性を有する薄膜を同じプロセスを使って形成するだけなので、従来のプロセスを踏襲 できる。なお、Super-RENS方式の記録性能としては、この方式を用いない場合と比べて4倍の線 記録密度が望めることが報告されている(ISOM 2004)。また、マーク長37.5nmで記録再生した 場合のC/N(搬送波対雑音比)が40dB程度まで得られている。さらに、従来は同一ピット長で の繰り返し信号再生に限られていたが、ランダム信号の記録再生にも成功し実用化に向けた進展 が見られた(ISOM 2006)。これにより、光源波長405nmの青紫色LD光と開口数(NA)0.85の 対物レンズを組み合わせた光学系により容量100GBの光ディスクを実現できる可能性が示された。 本方式の今後の課題としては、駆動パワーの低減、書換型媒体の開発などを挙げることができる。 多値記録では、多くの方式が報告されている。GeSbTe 系記録材料では、結晶化差による多値 方式(現状、4 値)、記録径差による多値方式(現状、5 値)、マークの半径方向幅変調方式(現状、 4 値以上)が検討されている。一方、共晶系記録材料(AgInSnTe 系、Ge(SbTe)+Sb 系)では接 線方向マーク幅変調方式が検討されている。この材料は再結晶過程の制御により 0.1μm の記録 幅が生成・制御できる特長をもつため、8~12 レベルの多値が確認されており、今後、記録容量 100~200GB の実現が期待される。なお、相変化ディスクの多値記録方式では記録材料に加えて 読取信号処理も重要であり、その研究開発と実用化が急務である。 近接場光記録の一つである SIL 記録方式では、NA=2.34 の光ディスクシステムが実現してお り、100Gb/in2 を超える記録密度を達成している。さらなる大容量化を目指して、多層化技術、 超解像技術の導入を図っている。しかし、レンズと媒体の間隔が数10nm と近接してため、媒体 の可換性を可能とするためには、ダストや振動に対するシステムの信頼性確保が大きな課題とな る。

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上記の記録方式においては、ビット長の短縮により、同じ回転数でもデータ転送速度は速くな る。200~300Mbps の転送速度を達成するには、光ディスクの回転数よりも、サーボ制御帯域の 高速化や変復調などデジタル信号処理回路の高速化に技術課題がある。とはいえ、これらは従来 技術の進展により実現可能である。しかし、1Gbps のデータ転送速度を実現するには、光ディス クの回転を10000rpm 以上とするとともに、マルチビームでの記録再生が必要になる。高速回転 に対応できる基板の開発のほか、サーボ制御帯域の高速化、信号処理回路の高速化なども大きな 課題である。 (2)次々世代光ディスク技術 次世代光ディスクの次に登場が予想される次々世代の光ディスクには、12cm 径ディスクに 500GB~1TB の大容量と 500Mbps~1Gbps の高転送速度が求められる。この次々世代光ディス クの実現技術候補としては、超多層記録方式、体積ホログラム記録方式、薄いディスクを多数枚 重ねたスタック記録方式などの三次元記録化技術を挙げることができる。 次世代光ディスクの場合よりも記録層の積層数を大幅に増やすことのできる超多層記録方式が いくつか提案されている。記録層とエレクトロクロミック層(以下 EC 層と略す)を交互に積層 し、EC 層に電圧を印加によることにより記録層を選択する層選択型多層記録方式では、原理的 には数10 層以上の多層化が可能と考えられるが、EC 層に電場を印加する必要があり、高速回転 する光ディスクの所望の EC 層に安定に電圧を供給することが課題となる。また、2 光子吸収す る材料を記録層とし極短パルス光により記録する2 光子吸収型多層記録方式では、光源波長に対 しては透明な記録層でありながら、2 光子吸収により光異性化する材料(ジアリルエテン系色素 が代表例)の採用により、実験的に数10 層以上の多層化が可能なことが確かめられており、一層 あたり25GB の記録をすれば、40 層で 1TB が可能となる。材料から見た方式としては、再生時 に記録マークからの蛍光を検出するもの(イスラエル・Mempile 社、米・Landauer 社、理研) と、記録マークからの直接反射光を検出するもの(静岡大、松下電器)に分けられる。これらの 結果の多くは、静的な評価システムでの多層記録原理の提示か、動的には1 層の再生信号の提示 にとどまっており、システム化技術の進展が待たれる。最重要課題は 2 光子吸収材料の高効率化 である。色素材料の2 光子吸収能を高める開発もなされているが、エネルギーアシスト機能を追 加することも検討されている。 超多層記録方式では、記録・再生時の単一のビームでは転送速度はせいぜい 200Mbps 程度が 限界と予想され、転送速度を1Gbps まで速くするためにはマルチビームでの記録再生が必要にな る。 体積ホログラム記録方式は、記録媒体の平面だけではなく、深さ方向まで用いた体積記録が特 徴である。従来の光ディスクのように、位置や長さを変調して0/1 の信号を直線状に配置するの ではなく、情報を2 次元の画像に符号化して情報光に付加し、記録媒体中で参照光と干渉させる。 干渉縞は屈折率変調として空間的に記録媒体に記録される。これがホログラムである。再生時は

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参照光を記録媒体に入射させる。すると記録された干渉縞により光は回折され情報光が再生され る。再生画像を復号化すれば元の情報が得られる。ホログラムは、記録光の位置・波長・角度、 位相等を順次変化させることによって同じ体積中に100 から 1000 の情報を多重記録できるので、 記録密度の飛躍的な向上が期待できる。記録容量ではTB 級のポテンシャルがあると考えられる。 データ転送レートは再生画像の取り込みと復号化のプロセスの高速化により Gbps 級を実現でき る可能性がある。そのため、体積ホログラム記録方式は、高速・大容量アーカイブ・ストレージ への幅広い適用が期待される。当面は業務用がターゲットとされるが、キー部品の低コスト化に より次々世代の民生用光ディスクへの適用も期待できる。当面は追記型のフォトポリマー媒体の 開発、続いて書換型媒体の開発も必要になるであろう。また、将来的に民生用のホログラム記録 方式光ディスクを実用化する上では、コンテンツ配布用 ROM ディスクの開発の必要性も考えら れる。 図1-4.体積ホログラム記録方式の原理と特長 実用化が有望な体積ホログラムメモリの方式として,Inphase 社が利用している角度多重2光 束干渉法と,オプトウエアが提案しているコリニア方式がある.前者はホログラムメモリの基本 的方式で,別々の方向から入射する信号光と参照光を重ねることでホログラムを形成する.この 方式は再生時の再生照明光と信号再生光(回折光)とを空間的に分離できる特徴をもつ。一方、 多重化は角度多重を基本とするため,光ビーム入射角度の制御を精密に行う必要があり光学系が 複雑になるので小型化が困難といえる.光ディスクとの組み合わせでは,連続回転する光ディス クへの記録再生が難しく(光ビーム方位を高速に制御する必要があるので),ストップ&ゴー方式 が用いられる.この場合,記録メディアを止めながら記録再生を行うので,ディスクの偏芯など の影響を回避しやすい特徴をもつが,従来の光ディスクとの整合性はない. コリニア方式(コアキシャル方式)は信号光と参照光(および再生照明光)を見かけ上1つの „

書き込み動作

„

読み出し動作

多重記録可能→大容量化

ページ読み出し→高転送レート

„

特長

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光ビームで行うことが特徴である.信号光・参照光を含む光ビームを光ディスクに対して対物レ ンズ1つで絞り記録再生を行う.光学系は2光束干渉法に比べシンプルになる利点があると同時 に,反射膜をもつ光ディスクを利用できる.また,従来の光ディスクサーボ技術が利用できるこ とから,CD や DVD などとの整合性をもつ.通常,光スポットを空間的にシフトさせて多重を行 うコリニアシフト多重が用いられる.アドレス情報に基づきホログラムを記録するが,連続回転 している光ディスクではパルス状の強い光を用いるか(オプトウエア),光ビームを光ディスク回 転に追従して同一位置に書く方式(ソニー)がある.光ディスクの偏芯制御などは重要であるが, チルトマージン,波長マージンは大きいとされている. 多値体積ホログラムメモリは,コリニアホログラムメモリ技術をベースとして,従来の光強度 変調体積ホログラム記録から,光位相変調体積ホログラム記録に発展させることで,ホログラム メモリの記録容量・転送レートを大幅に向上させようとする技術である。現時点で基礎研究が開 始されたフェーズであり,今後実用化を視野に入れた開発フェーズへの展開が期待される。 全体を通じて,ホログラムメモリの最も重要な問題は記録材料といえる。現時点でフォトポリ マが有望視されているが,感度や収縮の問題は未だ完全に解決されていない。また温度変化によ る熱膨張等の影響も敏感で,メディアの可換性を保障するにはこの問題の解決が不可欠である。 業務用としては光感受性をもつフォトポリマをカートリッジに入れて使用することも可能と考え られるが,民生用では疑問視されている。これは従来の民生用光ディスクでカートリッジが利用 されていないことを背景としている。民生用には無機材料などカートリッジによる遮光を必要と しない新たなホログラム記録材料の開発が重要になるかもしれない。遮光を必要としないフォト リフラクティブ結晶材料は有利であり,記録容量としては米国のプロジェクトで1TB 級の記録再 生が実証されている。しかし,記録メディアとして光ディスクへの応用には結晶方位の制御や記 録速度向上などの技術的課題が残されており,ライトワンスメディアとしてはフォトポリマ材料 が一歩抜きん出ている。 ホログラムメモリの性能を決めるキーコンポーネントに空間光変調器(SLM)がある。2 光束 干渉方式では記録時に,コリニア方式では記録再生時に利用され,データの転送レートを支配す る要因の一つである.高い転送レートを実現するには高速駆動可能な SLM が不可欠であるが, 現時点ではもっぱらMEMS 技術を用いた DMD が利用されている.DMD はプロジェクタなどへ の応用を意図して開発されたSLM で,1024×1024 クラスのものでフレームレート 1 kHz 程度の 性能を有している.DMD を用いてピクセル数を多くすることで 1 Gbps 級の転送レート達成も可 能と考えられているが,光利用効率があまり高くないことから強い光源が必要とされる.装置の 小型化,特に光ピックアップの小型化のためにはピクセル数をある程度犠牲にする必要があり, その場合には DMD に比して更に高速駆動可能な SLM が必要とされる.この観点からは,磁気 光学効果を用いたSLM(MOSLM)が 1 ピクセルあたり 10 ns オーダのピクセル駆動を達成して おり,固体SLM として有望視されている.MOSLM は現時点で 128×128 クラスのピクセル数 を有するものが実用化されているが,将来的には256×256 あるいは 512×512 クラスのものが望

図 2-2  Freescale  の混載メモリ戦略  NIKKEI  MICRODEVICES 2006 Sep p89
図 2-3  不揮発性メモリに求められる機能と特性  図2-4.世界半導体市場予測と不揮発性メモリのターゲット市場  (WSTS2006.11のデータを元に委員が作成)  ( http://semicon.jeita.or.jp/docs/20061031WSTS.pdf ) サービスセンター病院学校店舗国、自治体企業無線基地局ホームゲートウェ イ ホームネットワークコンテンツ保存用大容量、安価、高速一時保管と持ち運びメインメモリ用大容量、高速、安価、高書換耐性、低消費電力汎用、DRAM置換、インスタントオ

参照

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