• 検索結果がありません。

インドの手を届けたい : インドの手仕事をとおしての自分の役割とは(<特集>手から手へ-日々のくらしをつくり、伝え、残す)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "インドの手を届けたい : インドの手仕事をとおしての自分の役割とは(<特集>手から手へ-日々のくらしをつくり、伝え、残す)"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiet 二y for  the  Soience  of  De$ign

イ

ン

ド

の

手 を届 け

た

い

Hands

 

of

 

lndia

吉

野 美 智

恵

kocarl

      

一

イ

ン

ド

の

手仕事

を と お し

て の

自分

の

役割

と は

一

My

 

Joyful

 

Role

 

in

 

the

 

Handiwork

 

of

 

lndia

     

YOSHINO

 

Michie

     

kocari

1 .

は じ め に   私 はイン ドの様々な 技 法の手 仕 事 か ら 作 ら れ た 布 製 品 を 扱 う

kocari

(コカ リ) という ブラ ン ドを 運 営 してい る

。

こ の仕 事 を 始 める前 は

、

ア ジ アの 工芸 品 を 扱 う 会 社で

、

イン ドか らの仕 入 れに関 する仕 事 や オリジ ナル の服 を 作ること な ど を

、

ま たそれ 以 前 は

、

アパ レ ル会 社で洋 服の企 画 や 販 売に関 わ ること を して き た

。

つ ま り

、

ずっ と 「布」 に 携 わっ てい ること に なる

。

その 「布 」の中でも

、

な ぜ インドだっ たのか

。

 イ ンドという国の布の歴 史は永 く

、

そ し て幅 広 く奥 深い

。

最 初 は た だ

、

布の宝 庫であるイン ドに興 味 を 持 ち

、

あ ら ゆる種 類 の布 を 見て みたいと

、

なん のあても な く 向 かったのだっ た

。

絞 り

、

木 版

、

織 り

、

刺 繍

…・

・

。

いろいろ な 布 を 見 た

。

そ して

、

そ ん な 中で 出 会っ たのが 「カンタ 」 (図1) だっ た

。

  カンタ とは

、

イ ン ド東 部の 西ベ ンガル州 とバ ングラ デ シュ で 昔か ら おこな わ れてきた刺 し子の こ とをい う

。

元々 は

、

着 古 し た サリ

ー

や ド

ー

テ ィ (腰 巻 ) な ど を 重 ねて糸 を 束1」していき

、

布 を 強 く して再 利 用 するた めの手 段 だっ た

。

しか し

、

私 がコル カ タ (カルカッタ )で初め て出 会っ たそ のカンタ は

、

実 用 性 と し てだ けの布の存 在 を 遥 か に超 越 した ものだっ たの であ る

。

図1 カンタショ

ー

ル

 

ひ と針ひ と針

、

ただひ た す ら

細

か く

朿

1」さ れ

、

そ こ か ら

様

々 な モ チ

ー

フが 生み

出

さ れて い く

(

図

2

)

。

糸

だ けで

表 現

さ

れ

た

色

彩のニ ュ アンス。 その

一

枚の布から伝 わっ てく る 力 強 さ と

、

人 の 手 が作り 出 し た 美 に

、

今まで に無い衝 撃と感 動を覚え たの だっ た

。

 

イン ドに は

、

こん な 布 が あ るのか

……

。 その

時

の カンタと の 出 会いは

、

従 来のイン ドの布のイ メ

ー

ジ を大き く変え る も ので あっ た

。

  そ れが今か ら

20

年ほ ど前の こ とであ る

。

そ の時の 想いが

、

今の 自分の仕 事 につながっ て い るのだと思 う。 図2  カンタ 仕 事 風 景

2 .

試 行 錯 誤 の 日 々   私 は そ の 時 の 感 動 を

、

ど う しても 日 本のた く さ んの人 に 伝 え たいと思っ た

。

 

そこから私の試 行 錯 誤が始 まっ た

。

当 時 はパ ソコ ンさ え

使

っ て いない状 況であり

、

も ち ろ ん メ

ー

ル も な く

、

イン ド とのや り 取 りは電 話かフ ァッ クス のみで

、

私の

英

語

力

ではなかなか言い たい ことが 伝 わ らない

。

そ れでも や る しか ないと

、

や れ るこ と を駆 使して 力タチ にす る よう試み た

。

 

カンタ に 関 して言 え

ば

、

当 時 イン ドでは

、

ま だ 国

内 向

けのア イ テ ム (サ リ

ー

やドゥパ タといわ れる大 判の ショ

ー

ル)の み し か

作

っ て いなかっ た の で

、

私は サ リ

ー

か ら洋 服を

作

る こ と

、

ドゥパ タ を インテ リ ア と して 提

案

す る こ と な ど か ら

始

め た

。

 

しかし そ れだけで は

広

が り が ない と

感

じ

、

日

本

で

使

いや すい サ イズの ショ

ー

ル を

提 案

し

、

そ れ に

合

わ せ デザイン を

出

し て サ ン プルを

数 点作

っ て もらっ た

。

出 来上

が りを 見て

、

私

と して は あ る 程 度 満 足のい く ものだっ たのだ が

、

当 時の仕 事 仲 間の反 応 は不 安 げ な ものだっ た

。

その 頃 は ま だ

、

イン ドのものは 安い と いう イメ

ー

ジが

、

な ん と な く あっ たのだ と 思 う

。

そ ん な 中で私

14

デザイ ン掌景 究特集号

Speclad lssue ofJapanese  Soclety forthe Scienceef Design

VDI

.

2D

.

2 No

.

78 2013

(2)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiet 二y for  the  Soienoe  of  Design

が や ろ う と して い たカンタの ショ

ー

ルは

、

けっ し て

安

い も の で は なか っ たの で

、

「この価 格では た して大 丈 夫な の か

・

・

…・

」 と い う 不 安 が

、

ま わ りには あっ た のだと思う。

 

し か し私は進んでみ た

。

も ち ろ ん最 初は 手探り状態 で

、

少量 か ら 少 し

ず

つ

・

・

・

…

。   思 う よう に仕上 が ら ない状 況が続き な が ら も

、

時 間を か け て 進 めてい くことで徐々に

相

手との コ ミュ ニ ケ

ー

ショ ンがで きて い く

。

さ ら にこち らの本 気 度も伝 わっ て いき

、

そ れ が カ タ チ と なっ てい っ たのだ

。

 

その後

、

新 た に 作 り上 げ た カン タの ショ

ー

ル だけで展 示

会

を おこなっ た

。

そ して

、

そ れを乙覧いた だい た お客 様の反 応か ら

、

自分の中 に 自信と確 信 を 持つ こ と が で き た のだっ た。

3 .

進

むべ き

道

一

大 切

に し て い る こ

と

一

 

kocari

を 立 ち上 げ た 今 は

、

カンタ を 中 心に

、

いろいろ な技法 の イ ン ド の布 を 紹 介 するというス タン ス で仕 事 を して いる。 他 の国では 見 ら れ ない様々な 技 法の 布 (図

3

)が あ る イン ド と い う国 は

、

布 好 き に とっ ては た ま らな く興

味

深い

場

所な ので あ る

。

図3 木 版 仕事風 景

 

20

年 間 イン ドに 行 き 続 けても

、

毎 回

驚

きや 発 見が あ る。 い つも刺 激 を 与 え ら れ

、

何か を教 わり帰っ てく る。 ただそ れ が あ く までも 私の趣 味 なの であ れば

、

純粋

に

楽

し む こ とができる の か も しれ ないが

、

そ れを仕 事と してやっ てい る 以 上

、

常に 課 題 と葛 藤 がつ い て くる

。

 

私 が インドのカンタ ショ

ー

ルを 紹 介し

始

め た頃

、

日

本

で

他

に 扱っ ているところ は

、

ま だ ほ と ん ど な かっ た と 思 う

。

し か し今 では

、

あ ちこちで目 に す る よ うにな り

、

それ 以

外

に も イ ン ドの 様々な 種 類の布 製 品を見るこ と がで き る

。

20

年

前

と は

、

まっ た く事 情 が 違 うのであ る。 そんな

中

で

、

自分

はどうすべ き なの か

、

何 を 伝えて いけ ば よいの か

。

い つも そ れ を 問 い続け て い る

。

 

今では 日 本で 魅 力 的 な イン ドの

布 製

品に

出会

う

機

会 が 大 変 増 えてき た

。

その 場 合

、

大き く は ふ たつ に 分 か れ る と 思 う

。

ひ と つ は

、

イ ン ド で

布作

り

、

も の

作

りをし て い る日

本

人の デザイナ

ー

や作 家が創りだす

作

品。 そ し て も う ひ とつ は

、

ア パ レ ルブラ ン ド や セ レ ク ト ショ ッ プで見る こ と の できる

服

や

服 飾雑 貨

。

私

に とっ て はどち ら も 興味深 く

、

どち ら か ら も学ぷ と こ ろが ある

。

  私

は そもそも

服

に

興 味

が あ り

、

デザイ ンと 服 作 り を 学 び

、

ア パ レ ル で の仕 事か ら スタ

ー

ト した

。

そ の せい か 自 分の 中で ファ ッ ショ ン というものがべ

一

ス にある のだ と 感 じる

。

 

一

般的 に イ ン ド の布と い う と

、

手工芸 品と い う枠で捉え られ がちだ が

、

「手

仕事

の

技

のすごさ」 だ けでは

、

魅 力 的 な 布 と は 言え な い と思う。

手 技

と と も に

、

そ こ に セ ン スが 感じ られ

、

作

ら れ た 時代が いつで あっ て も 「今 」 の感 覚に はまる

。

そ ういう こ とがバ ラ ン スよ く

満

た さ れて

、

は じ めて

、

とき め き

、

心 に 響 く も の に な る のだと 思 う

。

そ のような もの であ れ ば

、

た と え 流

行

に左

右

さ れ が ち なファ ッショ ン の

世界

にあっ ても

、

別 格で い ら れ る はずな のだ

。

 

ブ

ー

ムで

終

わ る のではなく

、

長 く

受

け 入れてもら え るもの

、

使

う ほ ど に

愛

着を感じ る も の

、

IO

年 後

、

20

年 後に見ても 愛 し いと 思 え るものを

、

自分 と しては 扱っ て いたいと 思 うの であ る

。

 

私 が

、

いつ も展示

会

の テ

ー

マとし てか か げてい る 「イン ドの 手 を届け た い」 と い うタイ ト ル に は

、

そ のような 想いがこめら れて い る。

愛

すべきイ ン ドの

布

の魅 力 を

、

永 く

伝

え 続 けるた め に は

、

そ のよう な も の を紹 介し て い か な け ればな ら な い

。

ま た そのた め に は

、

長 く

一

緒

に

仕 事

を し て いける イ ン ド で の パ

ー

ト ナ

ー

の存 在が

、

とても 重要な の で あ る

。

  今

までイン ドで

仕事

を してき た

中

で

、

意思

疎

通の難しさ とい う も の を痛い ほど感じ てきてい る

。

しかし

、

何 度 も 試 行 錯 誤 を

繰

り 返 して

、

時 間 を か けて

一

緒 に 仕 事 を してい くことで

、

少 し ずつよ い も のができてきて

、

お 互いの信 頼 関 係 も築かれて い く の だ と 思 う

。

最初の

一、

二度 だけ の仕 事で うま く行 く 場 合 は

、

ほ と んど ない。 だ がそ のよう に

、

長 く

一

緒 に 仕 事 を して い け る

相

手 を見つけ る こ と自体 が 非 常に難しいのだ

。

 そ の中で

、

10

年 近 く

一

緒 に やっ てきている 相 手

、

そ して私 がイ ン ドと の仕 事 を 始 め た

20

年 ほど前か ら

、

ずっ と付き合っ てきて いる 相 手 とい うのは

、

今 の 私の仕 事 にとっ て

、

ぜっ た い 必要な 欠 かせないパ

ー

トナ

ー

なの であ る

。

 

な ぜ 長 く

一

緒 に やって く ることがで きた の か。 そ れは

、

基 本

的に

相

手 を 信 じて い るということ

。

日 本 人と イン ド人

。

そ こ に は大 き な 感 覚の違いが あ り

、

ど う して も理

解

で き ない ことがた く さ ん ある

。

しか し

、

相 手の仕 事

、

相 手の人 間 性を

尊

敬す る気 持 ち が 根 本にあ れ ば

、

ク リアで き ること は

多

い と思う のだ

。

 そして

、

気 持 ち を伝 え る 努 力 を す るというこ と。 い い こ と も 悪い こ と も

、

とにかくはっ き り と伝え る とい う の が

、

私の モッ ト

ー

である

。

う る さいと思 わ れても

、

そ れが い い も の を

作

り た い という思いか ら きて いるの だ とい うこと が伝わ れば

、

相

手 も

欝

1

∵ :

∴

∴

(3)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiet 二y for  the  Soience  of  De$ign

納 得 して くれ る と信 じている

。

結 果 的 にい いものができて

、

日 本の お 客 さ まの喜 びの声 を伝 える ことで

、

ま たみん なの意 欲 向 上 に もつな が るのだ と 思 う

。

  私 は イン ドで

一

緒 に仕 事 を する仲 間 が とても 好 き だし

、

尊 敬 している

。

向こう にいる 時 は

、

同 じ 目 線

、

同 じ感 覚で いたいと 思っ て い る

。

だ から

、

食 事 もみん な と

一

緒

(

図

4

>

。

そ ういう 時 間 を 大 切 に し な がら

、

意 見 を 言い合い仕 事 をし て い く

。

そ れ が

、

長い時 間 をかけて作 り 上 げてき た 私のや り方 なのだ

。

図

4

  仕 事 場で の昼 食

4 .

イン ド の 変 化  

20

年 間

、一

緒 に 仕 事 を してき た イン ドの パ

ー

トナ

ー

は

、

近 年の イン ドの大きな 変 化 を心 底 実 感 して い る

。

それ は

、

インド

社 会全 体

の ことで も あ り

、

手工芸の世 界においてもである

。

 

1990

年 以 降

、

イン ドは

、

目 ざ ま しい経 済の 発 展

、

IT

産

業

の 発

達

を遂

げ

てきた

。

そ れ に よ り

、

若い世 代の人 々は

、

医 療

、

エ ンジニ アリング

、

コ ン ピュ

ー

タ

ー、

サ イエ ン スな どの分 野へ と

、

ど ん ど ん移っ て いっ た

。

ライフ ス タ イル が変 り

、

ファ ッショ ン が

変

り

、

テ レビ やメディ ア から 受 け る 影 響 に よ り

、

イン ドの街 の趣きが 変わ って いっ た

。

伝 統 的 な 装いは

、

結 婚 式 やフェ ス テ ィバ ルな どフォ

ー

マ ル な

場

所で のみとなっ てきてし まった

。

 

イ ン ドの素 晴ら し い 手 仕

事

、

特に伝 統 的な技 法によ る 特 別 な 手工芸 は

、

イン ド

国 内

での

需

要が どん ど ん

減

っ て いるのが 現 実 である

。

ま し て

、

経済発展と と も に

、

すべ て のものが急 速に値 上 が り して いく 中

、

そ の

仕事

を

続

けて い くこと は たや すい こ と で はない。

 

ブロッ クプリ ン ト

、

刺繍

、

織り の職 人 (図

5

> やテイラ

ー

な ど を 自分のとこ ろ でか かえ

、

維 持

して い くこと

。

ま た

、

職 人 や 専 門 分 野のエキスパ

ー

ト と な るべき

新

し い人 材を育 成して い く こと

。

そ の両 方 が 大 き な

難

題と し て あ る のだ。 次 世 代につな げ ていくこ とができ なけ れば

、

イ ン ド の 手仕

事

は

、

す たれて い っ てし ま う

。

そ れ は も ちろん

、

わ たし

自身

がイン ドと

仕 事

を して い く上でも

、

重要な問 題 な の で あ る

。

16

デ ザ イン学 牙 究 特 集 号

Speclal

 

lssue

 

ofJapamese

 

Soclety

 

forthe

 

Sc/ence

 

of

 

Deslgn Vol

.

20

.

2  No

.

78  2013 図

5

  織つの仕 事風 景

5

,

将 来

へ の

課 題

 

イ ン ド で の

仕 事

の パ

ー

ト ナ

ー

は

、

人

材

を

育

成 す るための学 校 を作 り

、

技術 だ け で は な く学 業も 教 え る場を提 供して いる

。

次 の

時代

を

生

きぬ い て いくた め に は

、

ただ 手 仕

事

を 継 承 す る だ け で は だ め な の だ と考えて い る か ら だ

。

国 内 需 要が減 る 手 仕 事 に よ るモ ノ たち

。

そ ういう 状 況では

、

お の ず と 国 外へ の輸 出 を 強 化 すること にな る

。

日本へ はも ち ろんの こと

、

近 頃 は 中 東へ の

輸 出

も増えて いる よ うだ

。

中

東

とい え ば

、

女 性 に とっ て頭にか ぶ る ス カ

ー

フが 欠 か せ ない も の だ が

、

その需 要に目をつけ たこ とには 感 心した

。

 

そ し て

、

私 自身

がイ ン ドの

手仕 事

を

守

るた めにでき ること は 何か

。

も ち ろ ん

、

た く さ ん の 量 を販 売し

、

た く さ んの 仕 事 を イ ン ドに もたら す こ と が で き た ら

、

そ れが

一

番い い

。

し か し

、

私 の よ う な ひ と り の

微

力な 人間にでき ること は限られて い る

。

た く さ ん 売る と い う こ と の

前

に

、

い か に イ ンドの手 仕

事

のよ さ を 伝え る こ とがで き る か

、

日本の 人 々 に そ れ を浸透 さ せ る か が課 題 なの である

。

単 発 的にブ

ー

ム とし て

売

れる のでは

意 味

がない

。

永 く継 続し て イ ン ドと仕 事を し て い く こ と が重 要な ので あ る

。

 

少 し前 までは

、

イン ド産 とい うと

、

あ ま り よい印

象

を

受

け な い人 も 多 かっ たの で は と思 う。 し か し

、

優

れた手

仕 事

のものを 見る機 会 が 増えたこ と で

、

そ の 認識が少しずつ 変わ っ てき た の では ないだろう か

。

それでも ま だまだ

一

般 的

に は認 知

度

が

低

い と 感 じてい る

、

もっ と ク オリ ティ

ー

の高い

、

感

性

の

優

れ た

様

々 な テ クニ ックの手 仕 事 を 紹 介 し

続

けて い く こ と で

、

ほ ん のわ

ず

かでも 私 がイン ドと 仕 事 をし て い く意 味 が 出て く る の で は と 思 う

。

た だ そ れ が

、

鑑

賞

するためだ けの も のであっ ては

、

私が

望

むかた ちでは ない

。

日 本の人 々に

、

身 近 なも の と し て

使

い続け ても ら う た めの

、

橋 渡 しの役 割 を して いたい と 思 う ので あ る

。

 

そのた め に 私 が 考 えている こ と は

、

「 日

常

で いつ も 使っ ても ら えるもの」 の提 案 だ

。

ふだん の生 活の

中

で

、

すっ と入 り込 め るもの

、

そ し て そ

れ

が

あ

るこ と で 日々の 暮 ら しが 少 し だ け 輝い N工 工

一

Eleo ヒronio  

(4)

Japanese Society for the Science of Design

NII-Electronic Library Service

Japanese  Sooiet 二y for  the  Soience  of  De$ign

て鮮 や か に な る もの

。

そ ういう ものを

紹介

して い きたい と思っ て いるのだ

。

6 .

な ぜ 手

仕

事

な の か

 

私 自 身 は 手 仕 事だけ にこだわっ て いるわけでは ない

。

「手仕 事

=

よいもの」 と 思っ ている わ けでも ない。

機 械

で

作

られた も の でも すてき な ものは た く さんあ る

。

し か し

、

心に響き と き め く も の は

、

な ぜ か 人の手 が 加 わっ た もの が

多

い。 作 り手が

時

間 を か けて それ に 向 き 合い作 り上 げた も の

。

そこに は そ の 人 の 想 いが 込め られ

、

た だの 「モ ノ」 では ない

存 在

となる のだろ う

。

そ し て

使

う

側

も

、

その想いを 受 け 止 めて使 うこ と に な る

。

意

識 を し な く て も愛 着 が 生 まれ

、

大 切 に 使い続 け ること にな るのだ と思う。  ファス ト ファ ッションと呼 ば れるものを 否 定 は しない

。

そ れ ぞれの

良

さ が あると思 う し

、

使い分 け が あってよいと思 う

。

し か し

自分

が

仕事

と して選 択 するな ら ば

、

10

年 後

、

20

年 後でも

愛

し い と 思 え る も の に携 わっ ていたい と思 うの で あ る

。

縁

があ り

、

イ ン ド と い う

場

所 と

関

わること に なっ た立 場と しては

、

手 仕 事の宝

庫

で あ る こ の 国 の 可能 性 を 見 続 けていき たいと思 うの だ

。

手 刺

繍 (

図

6

)

、

手 織

り

……

。 手 か ら 生み出 さ れ た ものに は

、

ど ん な に美し く て も

、

洗

練

し すぎていない

、

き ど ら ない魅

力

があ る よう に思う。 そ して

、

そ の モ ノ の後ろ側 に 在 る 景 色 や 文 化

、

作り 手 の 温度などが

、

そ の魅 力 を 倍 増 させるのだ

。

  特

に イン ドの手によっ て作 ら れ た 布 か ら は

、

土 や 風

、

太 陽の 光と いっ た

自然

の

光景

が

感

じ られ

、

それ が私 をひきつけて やま ないの で あ る。 図

6

  刺 繍 仕 事 風 景

7

.

イン ドへ の 想い

一

こ れ か ら のこ と

一

 

毎 回

インド に 着 く と

、

自分 を イン ドモ

ー

ド に

切

り

替

える

。

長 い

間 行

っ ているう ち に

、

意 識 をしなくて も

自然

に そ れがで きる よ う に なっ たのだ が

、

そうす ることで

、

日

本

と はまっ た く違 う イン ドのや り方 を 受 け 入 れて

、

そこ でやってい くこと がで き る のだ。 し か し それは

、

イ ン ドが 違 う とい う だ けでな く

、

日 本 が 他と は違う と い う こ とを同時に 認識 する ことでも ある

。

 

日

本人

に とっ て イ ンドは

、

けっ して仕 事 が しや すい とこ ろ で は な い

。

毎

回

、

何か し ら の アクシ デ ントが 起こ る

。

し か しそう であっ ても

、

ま た

私

を イン ドへ と 向 わ せ

、

イン ドと 関 わっ てい き た い と 思 わ せ る魅 力 が

、

こ の国に はある のだ

。

 

そ れ は もちろ ん

、

イン ドの

布

の魅 力

、

手 仕 事の魅 力 が 最 大 な のだ が

、

そ れ 以外に イ ン ドとい う地の持っている空 気 感 や 風 景 に は

、

私

が 心 魅 か れる要 素 がつ まっ ている

。

 

コ ル 力

夕

の

街

を

歩

く と

、

目に

飛

び 込 んでくる朽 ち た 土 壁の色 と

、

そ れ と は対照 的 に現れ る

鮮

や か な色 彩のバ ラ ン スが

、

私に は 心 地 よい の である。

 

第二 の故 郷と もいえ る イン ド に

、

こ れからも 関 わ り 続 け

、

イ ン ド の手

仕事

の可

能性

を

少

し でも た く さ んの力 タ チ に し

、

そ れ を 日

本

で

多

く の人たちに伝え

、

渡し ていくこと が 私の希 望 なの だ。

 

昔は ふつ う に で き て いたこと が

、

今では ほ と ん どでき な く なっ て い る とい う こと も た く さ ん ある

。

でき な くな ること が

、

これ 以 上 増 え ないよ うに と願い

、

そ のため に

自

分 ができること を

、

こ つ こ つ とやっ て いき たい と 思 う のだ

。

 

イン ドとい う 国に

出会

い

、

イ ン ド の手

仕 事

に出 会い

、

それ を 仕 事と して選 び

、

続

け て き て い る

。

そ の意 味 を 思いな が ら

、

こ の

先

も

進

ん で いき たい。   橋 渡し 人 と し て

。

黼

鞭

二

:

:

:

:

隠

∴

1

 

参照

関連したドキュメント

近年,道路橋において,伸縮継手と支承をなくして走行性の改善を図り,さらに耐震性の向上を期待するため,鋼主桁と

 問題の中心は、いわゆるインド = ヨーロッパ語族 のインド = アーリヤ、あるいはインド = イラン、さ らにインド =

 私は,2 ,3 ,5 ,1 ,4 の順で手をつけたいと思った。私には立体図形を脳内で描くことが難

感染した人が咳やくしゃみを手で抑えた後、その手でドアノブ、電気スイッチなど不特定多

本番前日、師匠と今回で卒業するリーダーにみん なで手紙を書き、 自分の思いを伝えた。

海なし県なので海の仕事についてよく知らなかったけど、この体験を通して海で楽しむ人のかげで、海を

7 ) Henri Focillon, ‘L’Eau-forte de reproduction en France au XIXe siècle’, Revue de l’art ancien et moderne, 28/ 1910,

者は買受人の所有権取得を争えるのではなかろうか︒執行停止の手続をとらなければ︑競売手続が進行して完結し︑