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基調講演 デザインの哲学

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Academic year: 2021

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(1)基調講演 デザインの哲学—生知の覚醒へ. Keynote lecture Philosophy of Design: Awakening to Wisdom of Life 向井周太郎. 武蔵野美術大学. MUKAI Shutaro Musashino Art University. 本大会の「デザインの哲学—豊かさを再考する」というテー. 日本語の「生」という語の「生成」や「いのちの誕生」に根ざ. マを省みますと、一方で、私には西欧近代デザインの原初的な. す根源的な統合性について. 理念にも遡行するようなデザインのあるべき文明形成の課題が. 他方、日本語においては、この漢字の「生」は、その背景に. 喚起されてまいります。. 内在する和語の音声と「生」に連関する漢字の形象とを喚起し. 頂いた本大会テーマの主旨も、そのような志向性と重なり、. て、星座のような「生」の意(こころ)の複義的な関係と広. 次のように記されています。 「豊かさの再検討によるデザイン. がりを形成します(「生」のコンステレーション)。たとえば、. 哲学の再生です。デザインの知の総合が問われると同時に、生 活環境や生産環境の豊かさについての思考、デザイン方法や思. 「生」は他の漢字との結合によって、次のような意味の連関を 広げます。. 想の多様性が求められます」と。このことは、今日、新たな次. 「生成、生命、生生、生息、生存、生活、生計、人生、生業、. 元で、「デザインとはなにか」 、「デザインの総合の知とはなに. 生産、生涯、一生、生死、生気、生物、共生、回生、生態、生. か」を問うことでもあると思います。私は、こうした観点か. 圏……など」と。. ら、年来の課題のいくつかを「デザインの哲学—生知の覚醒. 日本語の「生」が、その訓読も含めて欧米語と少し位相の. へ」というテーマで述べさせていただきたいと思います。 . 異なる意味連関の特質は、「生」の根源性としての「生成」や 「いのちの誕生」を意味する「なる」「うまれる」といった語義. あるべき生活世界と生知. をその源泉としていることです。しかも、職や仕事を表す「業」. 豊かさの再検討とは、デザイン哲学の再生とは、それは、デ. も「生」の基底を支えるものとして「生業」(せいぎょう・な. ザイン行為が「あるべき生活世界」へと立ち戻ること、つま. りわい)といい、生活に必要な物・財を作り出す行為も、「い. り、生活世界の再生ともいえます。「デザインとはなにか」と. のち」の「生成」を意味する「生」と「産」とが結合し、「生. いえば、当たり前のように聞こえるかもしれませんが、「生活. 産」といい、まさに「働く」という労働や生産行為も「生」の. 世界の形成」であり「デザインの総合の知とはなにか」といえ. 原初性が強く表意されています。「産業」の「産」(さん)も. ば、最後にその根本を述べたいと思いますが、根源的な全体知. 「うむ」ことであり、その文字には「生」が含まれています。. としての「生命知」、「生知」であると考えます。. このことは「生」を含むそれぞれの熟語が異なる行為や領域の. 私は、デザインとは、生活世界の形成であり、しかも、それ. 概念として分化していても、「生」の意味を喚起すれば、すべ. を「生」の全体性としての生活世界の形成である、と呼んでい. てが生活世界、生世界として統合的に見えてきます。. ます。この生活世界という場合の「生活」とは、「生」の全体. そのことは漢字の「生」の象形性にもいえることで、白川静. 性を包含するものです。まず、第一に「生」という概念に内包. 氏の『字通』によれば、その形は「草の生え出る形」を象った. されている意味の全体、その地平の広がり全体をさしていま. もので「発芽生成の象を示す字であり、すべて新しい生命が起. す。. ること」を意味する語であるといいます。「いのち」の根源性. ここでいう「生」とは、一方で、英語の「life」やドイツ語. とつながっているのです。「生活世界」が宇宙や生命の生成を. の「Leben」やフランス語の「vie」などの意味に対応して、. その意味の源としていることは重要です。この観点は、フッ. それらに内包される次の語義の広がりやそれらの動詞にも及ぶ. サールによって晩年の著作『危機』書1)で提起された「生活世. すべての意味を含んでいます。. 界 Lebenswelt」 、その「生 Leben」の根源性の意味とも連帯. 「生命、生存、生活、生計、生き方、活動、生涯、人生、人び. を可能とするものです。ここでいう「生」の全体性としての生. との関係、生気、生命あるもの、あるいは生きもの、生物な. 活世界とは、いっさいの学に先立って、いつでもすでに私たち. ど……」です。. の直接の経験に与えられている世界であり、世界の根源である からです。. デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017. 3.

(2) 豊かさの再検討によるデザイン哲学の再生のために デザインという行為は、「生」の語義の広がりに示されてい ますように、基本的に、人の生命や生存の基盤、日々の生活や 英. life. 独. Leben. 彿. vie. 生命、生存、生活、生計、生き方、活動、生涯、人生、社会、生気、 生命あるもの、生きもの、生物……など. 暮らし方・生き方、生きる方法、人びとのあらゆる社会的な営 みやコミュニケーションなどにおよぶ人の誕生から死までの生 のプロセス全体と生命の源泉としての自然や生あるものとの共 生関係や未来への持続を包含する環境の形成に深くかかわる生 活世界の形成、世界制作であるといえます。 現代では、デザイン行為は、これまで述べてきた「生」の全 体性としての生活世界の意味、そのような「生」の価値を中心 に、なかでも、「生」の全体性の基体「いのち」の価値を基底 にすえた新たな世界認識から出発しなければならないと思いま す。その新たな「デザインの意味の形成」のためには、まさに 宇宙論的(コスモロジカルな)視座から生命的な全体知、すな わち「生」の根源から「生命知」ないし「生知」の覚醒が必要 だといえます。 1960年—近代デザインの分水嶺 しかしながら、個々の志を持ったデザイナーや設計者あるい は開発に携わる人たちのモノづくりの哲学とは別に、近代の. 向井周太郎 「生のコンステレーション」. 時勢の流れとしては、先のような新たな世界認識の必要性は、 すでに1960年代に始まっていたのではないでしょうか。私は 1960年が近代デザインの分水嶺だと思っています。そして、 21世紀の今日では、その認識と変革の課題がいっそう切実な 問題となっているのではないでしょうか。1960年代は、急速 な高度経済成長と大衆消費社会の勃興のなかで、デザインは もっぱら消費の対象となり、工業先進国の物の過剰という世界 図式や環境問題も顕在化しました。それに伴いデザイン分野. 生成、生命、生生、生息、生存、生活、生計、人生、生業、生産、生涯、 一生、生死、生気、生物、共生、回生、生態、生圏……など. も、個々の企業領域や産業市場のために職能的細分化が急速に 進展したといえます。 1950年代は、『工芸ニュース総集編第一巻』(1977年)が 「I.D. 栄光の50年代」と位置づけています。そのように、生産 品のデザインは世界的にみて、とくに戦後の40年代後半から、 機械大量生産方式のなかでも、近代デザインの社会的・機能的. 生. な原理と美的様式がほぼ完成の域に達し、健全で優れたデザイ ンの範例がモダン・クラフトなども含めて数多く生み出された 時代であったといえます。この時期は、日本においても、戦前 に受容された近代デザインの理念がようやく開花し、社会的・. 「生」は草の. 機能的・美的原理が具現化された日本固有の洗練された生産品. 生え出る形、. が結実した時代であったといます。. 発芽生成の象を. 『工芸ニュース』は周知の通り、その刊行母胎は商工省工芸. 示す文字で、. 指導所から通産省産業工芸試験所、そして製品科学研究所と. すべて新しい 生命が起 ることを 意味する. 4. デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017. 白川 静『字通』. 変遷しながら1932年の創刊以来40余年にわたって日本のデザ インの啓蒙・振興に貢献してきたデザイン情報誌です。通算.

(3) 346号に及ぶすべての内容の通覧・検討にもとづく、この総集. 豊かさの再検討によるデザイン哲学の再生のために. 編第一巻での「I.D. 栄光の50年代」という位置づけは、ひとつ. 21世紀のあるべき生活世界の課題として、あらためて「真. の主要な歴史認識、歴史観であるといえます。. の豊かさとはなにか」を考えるとき、この文脈で、人びとの. 50年代から60年代への移行は、ひととき具現化された良質. 「生活権」といった制度的な「社会資本」の形成を重要視して. なデザイン規範が急速な大衆消費社会の台頭のなかで大きく変. きた近代デザインの初源的な理念が、また新たな次元で一段と. 容、解体されて行く過程であり、希望の原理に支えられたデザ. 重要になっています。先の欧州の都市再生の潮流もその一つで. イン理念の終焉の時代であったともいえます。そして、1972. す。. 年の最初のローマ・クラブによる『成長の限界』という人類危. 日本でも、経済学者の宇沢弘文氏によって提起されている. 機の問題提起が、古代ギリシャから現代にいたる社会思想史の. 「社会的共通資本」といった新しい社会資本の概念と対象の認. うえでも、1970年代からの大きな時代を画する現代の課題と. 識は、21世紀におけるデザインの課題や対象を考える上で重. して今日に及び、それはいまや、日常経験の知覚的な現実と なっています。 エコ・シティ・ミュンスター市 しかし、一方、1907年から生産品や生活環境の良質化運動 (ウェルクブント)を欧州に波及させたドイツでは1970年代 逸早く社会デザインを立ち上げ、デザインの考え方や方法論の 再編が提起され、省資源やエコロジーなど自然と社会との生態 系のあり方とともに、近代主義が見過ごした風土や地域文化の. I.D. 栄光の 50 年代 『工芸ニュース総集編 第一巻』. 工芸財団、1977 年 総集編企画・編集 = 出原栄一、 岩井一幸、渥美浩章、堀田明裕 協力 = 臼井正夫、甲田勝彦、山本弘. 差異の問題が重要視され、そのためデザインの個々の専門分野 を超えて、生態学、社会学、文化人類学、その他デザイン以外 の分野との横断的な広い視野に立つ共同のプロセスがもとめら れてきました。そして具体的には、土手のコンクリートをはが して多様な植物や小動物のすみかとしての昔の川をとりもどし. 近代デザイン理念の終焉と危機の始まり. たドイツのルール地帯・IBA エムシャーパークの地域再生計画2) や低炭素社会としてのエコ・シティー、ミュンスター市をはじ め、オランダ、フランス、イタリアなど欧州いたるところで自 然と共存する都市や生活環境の再生が行われてきました。 他 方、 日 本 に お い て も、 戦 後 高 度 経 済 成 長 後 の 反 省 期、 1970年代から80年代にかけて社会学、経済学、思想史などの 立場で日本の近代化や世界の近代化そのものを理論的に捉えな おす試みがなされてきました。その一つに社会学者・鶴見和子 氏の「内発的発展論」という近代化理論の先覚的な提起と、そ. 1972 年ローマクラブ 「人類の危機」レポート. 20 年後. 30 年後. 1992 年の警句. 2004 年の警句. 『成長の限界』ダイアモンド社. の同時代的な学際研究の潮流及び社会的な展開の広がりがあり. 1970 年代逸早く社会デザイン (Sozio-Design) を立ち上げた. ます。日本の近代化が看過してきた地域の固有性が重要視さ. ドイツのサスティナブルなデザイン構想への転換とその方法論. れ、地域固有の自然、風土、歴史に根ざした文化の生命性が捉 え直されてきました。近代化のあり方については、地域の固有 性を尊重した多様な内発的な課題や創意とともに、地域の人び との人間らしい暮らしの再生と潜在能力の開発と自立性に基礎 をおく発展といった全的な地域形成が主題化され、多くの試み がなされてきています。いま、地場産業や観光などをはじめ全 国各地で広く展開されているデザインの取り組みも、こうした 内発的発展論と深くかかわっています。. 日本での エムシャーパーク 調査研究書、2006 年. デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017. 5.

(4) 要です。その対象は「自然環境」「社会的インフラストラク. は、エコロジカルであるだけでなく、同時にエコノミカル(経. チュア」「教育、医療、福祉等々の制度資本」といった三つの. 済的、節約的)で、二つの「エコ」が一つのシステム(系)に. 範疇にわたり、これらは広い意味での「環境」であるといいま. 融合されている都市のことです。ちなみに、この二つの「エ. す。このような「生」の基盤を形成する社会資本の考察と構. コ」とは、原初的にはその語源で、ギリシャ語の「家」や「生. 想・設計が、デザインの課題としてますます重要になってきて. の営みの全体」を表す「オイコス(oikos)」という概念のう. いると考えます。. ちに、本来切り離すことのできない一つのシステムとして統合. 先に事例として挙げたエコ・シティー・ミュンスター市の場. されていたものです。日本でも、かつては、近代化以前に、各. 合の背景を支える制度設計には眼を見張るものがあります。こ. 地域社会に自然や風土に根ざしたこうした生活モデルがあった. こでは、それを紹介できませんが、エコ・シティーの「エコ」. のではないでしょうか。. の概念を振りかえっておきたいと思います。エコ・シティーと. 私は、かねてから、デザインとは、本来、ひとつの専門領域 に特定しえない専門性であり、専門のない専門だと主張してま. 日本の近代化の見直し――「内発的発展論」. いりました。つまり、デザインには領域がないと。デザインの そのような特質は、一方で、哲学にも似た総合性だと思うので. 他方、日本においても、. すが、一般的な哲学と違うのは、先に述べた生活世界という具. 戦後高度経済成長後の反省期、. 体的な「生」の現実世界の形成を対象としていることです。し. 1970 年代から 80 年代にかけて. かも、「生」の意義をあらためて考えるならば、「生」は全体で. 社会学、経済学、思想史などの立場で. あり、総合であり、生成のプロセスであり、星座のような関係. 日本の近代化や世界の近代化. 性の世界でもあって、そこには境界はないという「生命」の原 理そのものとデザインが深くつながっているからだと思います。. そのものを理論的に捉えなおす 試みがなされてきました. 鶴見和子 著 『内発的発展論の展開』 筑摩書房、1996 年 初出は 1974 年. また、一方では、「生」の全体性としての生活世界の形成と いうことを目標としたデザインの理念は、同時に、新しい「生 の哲学」の形成を必要としています。最後にその一端を述べさ せていただきたいと思います。. 社会資本の重要性. さまざまな専門領域のなかでも、デザインがひとつの専門領 「社会的共通資本」の対象は. 域に特定しえない専門性であるにしても、デザインという専門. 「自然環境」. の重要な特質をなす主題のひとつは「美」の形成であり、生活. 「社会的インフラストラクチュア」. 世界の「調和」や「オーダー」の創造だといえます。これがま. 「教育、医療、福祉等々の制度資本」. た、デザインの専門的特質としての総合性のいまひとつの根拠 であるといえるでしょう。. これらは広い意味での「環境」であるという. しかし、芸術のための感性の美学や芸術鑑賞あるいは受容の 字沢弘文 著 『社会的共通資本』 岩波新書、2000 年. 美学はあっても、デザインのための美学は形成されてこなかっ たといえます。自然美、芸術美に対して、デザインとの関連で は、技術美や機能美といった概念がありますが、しかし必要な のは、「生」の全体性としての生活世界という主題を包含可能. 「生命知」としての美意識と美学の生成と. な、新しい知の枠組みとしての美学の形成です。このことにつ. 新しいエチカ(倫理)の創出. いては、1996年に創刊されたデザインとデザイン理論の国際 エコロジーとエコノミーに分裂した. 誌『formdiskurs』の創刊号に試論を書きましたが、そのよう. エコ(オイコス)があらためて. な美学の形成とは、一言でいえば、エコノミーとエコロジーの. 均衡・融和するような「生命知」としての. 「エコ」が均衡、融和するような美意識を形成するための知の. 美意識や美学の生成. 枠組みの必要性です。この二つの「エコ」ついては、エコ・シ ティーとしてのミュンスター市の事例で述べましたが、この二. コスモス. 「真・善・美」を宇宙に包越するような 美意識や美学の形成. formdiskurs form 社、1996 年創刊 (創刊号)、ドイツ. 6. デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017. つに分裂した「エコ」があらためて均衡、融和するような知の 枠組みを、私は、もっとも根源的な意味で、「生命知」あるい は「生知」と呼んでいます。そのような「生命知」ないし「生.

(5) 「真・善・美」のあらたな統合、宇宙へ包越. これは「真」も「善」も それらの諸価値を コスモス. 「宇宙」のうちにひとつに 包越していく「美」の 理想の仮の図式です 知」としての美意識や美学の形成が必要です。それは、社会的. デザインの新しいエチカとは「真」も「善」も、それらの価. な美学の形成として不可欠な課題であるといえるでしょう。こ. 値を「宇宙(コスモス)」のうちにひとつに包越していく「美」. れが、新しい知やエチカ(倫理)の創出の課題であるといえま. の理想であり、それが、先の「生命知」ないし「生知」として. す。. 美意識や美学の生成とつながっているといえます。それは、自 然の根源に根ざす普遍と多元の美の再発見のプロセスであると. 「真・善・美」のあらたな統合、宇宙へ包越. もいえます。. 新しいエチカの創出とは、新しい価値論の問題であり、一方. この課題は、他方では、専門を超えて生活者自らの「生」の. でデザインの哲学的な課題であるともいえます。古くから人間. 創造というデザイン行為の本源的地平とも深くつながっていま. の理想としての普遍的な価値を「真・善・美」ということばで. す。この視点が、一方でデザインの社会的な教育や運動への展. 言い表してきましたが、とくに近代においては、「真」は論理. 望を開いているといえます。現代デザインの課題のひとつは、. 的な認識上の問題として、「善」は倫理上の問題として、「美」. 広い意味での社会的な教育や運動の生成プロセスにあります。. は審美上の問題として分化し、それぞれ論理学、倫理学、美学. 先に述べた社会的な美意識の形成も、真も善も宇宙(コスモ. といった個別の学問的対象として捉えられてきました。しか. ス)に包越していく新しいエチカとしての美の理想の形成と深. し、価値の転換を図り、デザインの価値論を展開するために. くつながっています。. は、あらためて「真・善・美」を統合的に捉えうる視点ないし. ご清聴ありがとうございました。. 世界認識が必要だと考えます。 その「真・善・美」を統合的に捉えるために、私は「真」に 対しては「生命」、「善」に対しては「共生」、「美」に対しては 「宇宙(コスモス)」というキーワードを当てて、しかも、これ ら三項全体を貫くこころ(意)を再び「生命」ないし「生」と 捉えて、その展開の統合的な基礎づけを考えています。. 【註】 1)E. フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象 学』細田恒夫・木田元訳,中央公論社,1974年(原著 1934〜36年),一般的に『危機』書と略記される. 2)IBA(イーバ)エムシャーパークの地域再生計画の「IBA」 とは,Internationale Bauausstellung(国際建設展)の略称 デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017. 7.

(6) で,ダルムシュタット芸術村建設を起点とし,1世紀を越 えて今日に及ぶ国際コンペ方式の独自な都市・地域再生の 手法であるが,今日では,IBA の思想と,同様に1世紀を 越えるドイツ工作連盟の思想も,1970年代に提起された 社会デザインという概念であらたに捉えかえされている.. * 図「「真・善・美」のあらたな統合,宇宙へ包越」 作図協力: 板東孝明.スライド制作協力:日吉洋人.. 8. デザイン学研究特集号 special issue of japanese society for the science of design Vol.24-2 No.94 2017.

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