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母乳栄養確立状況の推移 と関連 要因につ いて
―生 後3か 月 目まで に焦点 を 当て て ―
東海大学健康科学部看護学科○石井
美里
I.緒 言:母 乳 栄 養 の確 立 は 、 多 くの 母 親 が 望 む と こ ろ で あ る。「母 乳 育 児 を 成 功 させ るた め の 十 ヶ条 」 が 勧 告 され て か ら、 母 児 同 室 制 、 頻 回 の 自律 授 乳 、 人 工 乳 な ど を安 易 に 与 え な い な どの 取 り組 み を 行 うこ とで 、 入 院 中や1か 月 後 の 母 乳 栄 養 率 に 影 響 を 与 え て い る こ とが 明 らか とな っ て い るが 、 そ の 後 の 追 跡 調 査 が 少 な く、 実 際 の 母 乳 栄 養 率 が どの 程 度 な の か判 断 しに くい 。 そ こ で 今 回 、 入 院 中 か ら の母 乳 栄 養 率 を3か 月 ま で 追 跡 調 査 し、 母 乳 を 与 え て い る状 況 に よ り、母 乳 栄 養 状 況 を3群 に分 け て 分 析 を 行 っ た の で 、 そ の 結 果 を 報 告 す る。 II.研 究 方 法 1.研 究 対 象:妊 娠 、 分 娩 、 産 褥 期 、 新 生 児 期 を正 常 に 経 過 した 母 と児 。 2.研 究 方 法:研 究 協 力 の 同 意 を得 た 母 と児 の 、 退 院 時 と退 院 後1か 月 、2か 月 、3か 月 後 の母 乳 栄 養 状 況 に つ い て の 質 問 紙 を 作 成 し、 郵 送 で 配 布 、 回 収 を行 っ た 。 3.研 究 期 間:平 成12年9月 ∼ 平 成13年5月 。 4.分 析 方 法:SPSS ver.10を 用 い て 、t検 定 、x2検 定 を 行 い 、 統 計 的 に分 析 し た。 5.用 語 の 定 義 完 全 母 乳 群:1日 の 中 で 、 人 工 乳 を ま っ た く与 えず 、 母 乳 の み の 授 乳 を 行 っ て い る 者 。 母 乳 優 位 群:追 加 して い る人 工 乳 量 の 量 が 、一 定 未 満 の 母 乳 栄 養 中 心 の者 。入 院 中 は1509、 1か 月 後 は300ml、2か 月 後 は400ml、3か 月 後 は500mlと した 。 人 工 乳 優 位 群:1日 の 中 で 追 加 して い る 人 工 乳 量 が 、 母 乳 優 位 群 よ りも 多 い 者 。 III.結 果 1.入 院 中 に157名 の 研 究 協 力 者 を得 、3か 月 ま で の 回 収 率 は99.4∼88.5%で あ っ た 。 退 院 時 の 完 全 母 乳 群 の 割 合 は46.8%、1か 月 後 は42.8%、2か 月 後46.5%、3か 月 後47.1% で あ っ た。 完 全 母 乳 群 は 、 どの 時 期 に お い て も1日 の 授 乳 回 数 が 多 く、 母 の 体 重 は 有 意 に減 少 して い た 。 児 の 体 重 は 、2か 月 目に 人 工 乳 優 位 群 の 児 が 、 母 乳 優 位 群 の 児 よ り400gも 多 く増 え て い た が 、 他 の 時 期 で は有 意 差 は 認 め られ ず 、 児 の 体 重 は 順 調 に増 加 して い た 。1日 の 人 工 乳 量 は 、 母 乳 優 位 群 で 退 院 時 平 均83g、1か 月 平 均147ml、2か 月 平 均205.1ml 、3 か 月 平 均 で267.3mlと 、 そ の 時 期 の 必 要 量 の2割 程 度 を 追 加 して い た 。 人 工 乳 優 位 群 で 完 全 に 母 乳 を 中 止 して い る と答 え た 者 は2か 月 目で25.7%、3か 月 目で46.5%で あ っ た 。2.母 乳 栄 養 継 続 に対 す る意 識:入 院 中 に 『是 非 母 乳 を 続 け た い』 と答 え た 者 は 全 体 の27.7 %で 、群 別 の 有 意 差 は認 め られ な か っ た。1か 月 目以 降 は 完 全 母 乳 群 の 中 で 母 乳 継 続 を 強 く 希 望 す る者 が80∼90%に 達 して い た 。 3.人 工 乳 を 足 す 理 由:『 母 乳 が 出 な い 』 に つ い て は 、 人 工 乳 優 位 群 に お い て 該 当 す る と答 え た 者 が 多 く 、 『母 乳 が 足 りな い の で は な い か と不 安 』 『授 乳 回 数 が 多 く て 疲 れ る』 な ど の 項 目で は 、母 乳 優 位 群 の 者 の 方 が 多 く該 当す る と答 えて い た 。 4.母 乳 が 足 りて い る か ど うか の 見 分 け 方:『 授 乳 中 に 反 対 側 か ら溢 れ る 乳 汁 』 『母 乳 を 飲 ん で い る音 』 『児 の 体 重 増 加 』 『児 の 尿 便 の 回 数 や 量 』 な ど に お い て 、 完 全 母 乳 群 が 多 く の 項 目 を 目安 に し、観 察 す る項 目数 も他 の2群 よ り も多 か っ た 。 IV.考 察 4回 の 母 乳 授 乳 状 況 調 査 に よ り、各 時 期 に お け る完 全 母 乳 率 の 割 合 な どが 明 らか に な っ た。 先 行 研 究 の報 告 よ りも 時 期 に よ る 差 が な い こ とが 明 らか とな っ た 。 完 全 母 乳 群 で は 母 乳 が 足 りて い る か ど うか を見 分 け る た め に 、 他 の 群 よ り も多 く の 指 標 を も とに 判 断 して い る とい う 結 果 で あ り、 ま た 母 乳 優 位 群 で は どの 時 期 も児 に必 要 な 量 の2割 程 度 の 人 工 乳 を 追 加 して お り、追 加 す る理 由 も 『母 乳 不 足 が 不 安 』 とい う理 由 が 多 か っ た。 母 が 不 安 を 抱 くた め に 人 工 乳 を追 加 して い るの で あれ ば 、 自信 を も っ て 哺 乳 状 況 を判 断 で き る よ うな指 導 が 必 要 で あ る と考 え る。 さ らに 、 対 象 施 設 は 母 乳 を推 進 した 指 導 を行 っ て い る に も 関 わ らず 、 早 期 か ら完 全 に母 乳 を 止 め て しま う例 が 少 な く な い こ とに つ い て は 、な ぜ そ の よ うな こ とが 起 こ る の か 、 事 例 ご とに 分 析 を す る な どの 視 点 が 必 要 で あ る。 前 月 の 授 乳 状 況 と の比 較 や 母 乳 栄 養 継 続 の 意 思 の 結 果 か ら も、 母 乳 栄 養 が 確 立 して い な い 者 ほ ど、 母 乳 継 続 へ の 強 い 意 志 が 少 な く、 ま た翌 月 の授 乳 状 況 に も影 響 を 与 え て い る とい うこ とが 分 っ た 。 「母 乳 継 続 意 志jr乳 汁 分 泌 」 「母 乳 分 泌 に 対 す る 自信 」 の3点 に お い て 、 どの 要 素 も欠 け る こ と な く経 過 す る こ と が 重 要 で あ る と考 え る。 そ の た め に は 、 入 院 中 の 授 乳 方 法 が 早 期 に 確 立 す る こ と が 必 要 で あ り、 早 期 か らの頻 回 な 自律 授 乳 が そ れ に 関 連 す る とい う こ とで あ る。 母 児 同 室 制 の 施 設 で は 早 期 か らの 自律 授 乳 が 容 易 で あ る が 、 異 室 制 施 設 で もそ れ ぞ れ の施 設 の 事 情 に応 じて 取 り組 み が 必 要 に な る と考 え る。 V.結 語 本 調 査 に よ り、 完 全 母 乳 群 の 割 合 を3か 月 後 ま で調 査 し、 そ れ ぞ れ の 特 性 を 知 る こ とが で き た。 完 全 母 乳 で 授 乳 を行 うた め に は 、 母 が 自信 を持 っ て判 断 で き る よ うな指 導 や 、 早 期 か らの授 乳 の確 立 が 、 母 乳 継 続 の 意 志 や 翌 月 の授 乳 方 法 に 関連 して い る とい う こ とが 分 っ た 。 早 期 か ら母 乳 をや め て しま う母 は 『母 乳 が 出 な い 』 とい う こ と が理 由 で あ り、 母 乳 の 分 泌 を 促 進 す る た め の援 助 も必 要 な の で は な い か と考 え る。 VI.引 用 ・参 考 文 献 1) 寺 前 光 子 他: 当 院 に お け る生 後3∼4か 月 児 の 母 乳 哺 育 状 況 と影 響 す る 因 子 に 関 す る検 討 、 第27回 母 性 看 護 、p139-141、1996. 2) 吉 永 宗 義: 母 子 同 室 で の 頻 回 授 乳 が ポ イ ン ト、 助 産 婦 雑 誌52(9), p750-755, 1998,
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新たな出発点 とな る断乳期の母親 の変化
日本赤十字広島看護大学○ 松永 佳子
I緒 言 ケ アの 精神 は 相手 の成 長 を助 け る こ とに よって 、 自分 自身 の 自己実 現 を成 し遂 げて い く もの で あ る1)。“ケア ”を子 育 て と置 きか え るな らば、子 育て とは本 来 自分 が持 っ て い る人 間性 や感 性 が磨 かれ 発 揮 され る過 程 で あ る と考 え る こ とが で き る。 そ の過 程 は時 に は負 担 に も、試 練 に もつ な が る。 著者 が行 った断 乳 期 の母 親 の思 い を明 らか にす る研 究結 果2)で は 、母 親 は断 乳 の 時期 が適切 で あ った の か、子 どもは本 当に諦 め て くれ る のか な どと常 に ゆ らい でい た こ とが 明 らか に なっ た。 その ゆ らぎを乗 り越 え る こ とで母 親 は 、子 ど も との新 た な関係 を形成 してい た。 そ こで本 研 究 では子 ども との新 た な関係 を形 成 す る必 要 が あ る断乳 期 に焦点 をあ て て、 母親 と しての ア イ デ ンテ ィテ ィや 役 割 が どの よ うに 変化 して い くのか を明 らか にす る こ とを 目的 とす る。 II 方 法 広 島 県近 郊 のA市 に あ るB総 合病 院 の母 乳 相 談室 で、 平成13年12月 か ら平成14年3月 ま で に断 乳 ケ ア を受 けた母 親11名 と、 同A市 が行 っ てい る育 児 相談 に来所 した母親7名 を研 究 対 象 と した。 対象 者 には研 究 の趣 旨を説 明 し、研 究へ の協 力 は 自由意 志 で あ り中断 可能 で あ る こ と、研 究 成果 の公表 につ い ての 同意 を得 た。そ の後 に20分 か ら40分 程 度 の 半構 成 的 なイ ン タ ビ ュー を 計537分 間 実施 した。 対 象 者 の 同意 が得 られ た 場合 はMDレ コー ダー に録 音 し、イ ンタ ビュー終 了後 に逐 語 録 を作 成 し、そ れ らの記 述 をKrippendorffの 内容 分 析 の技 法 に基 づ き母親 が断 乳 に よ って 内 面化 して い く 自己 の記 述 、お よび 行 動 の 変化 の記 述 を1単 位 と し、 テー マ 単位 で分 析 した。 III結 果 母 親 が断 乳 に よ って 内 面化 してい く 自己の 記 述 、 お よび行 動 の 変化 の 記 述 をテ ー マ 単 位 で 264に 区分 し、そ れ を 内容 に よ り分 類 した結 果 、『2度 目の分 離 』55.5%、 『新 た な “母 親” と し て の 出発 』34.4%、 『女 か ら女 ら しく』10.1%と い う3つ の カテ ゴ リー が 得 られ た。 『2度 目の分 離』には6の サ ブカ テ ゴ リー が あ り、それ は1)「 一 心同体 か ら個 々へ 」、2)「 母 親 プ ラス アル フ ァ」の2つ に大別 で き た。1)「 一 心 同体 か ら個 々へ 」 とは 、心 身 と もに密 着 し てい た状 態 か ら授 乳 とい う行 為 が な くな るこ とで それ ぞ れ の個 に分 かれ てい く こ とを示 し、(1)自分 だ け の身 体 、(2)授 乳 に よる負 担 の消 失 、(3)子 どもへ の新 た な期 待 、 とい うサ ブ カテ ゴ リ ー が あっ た。2)「母親 プ ラスアルファ」とは、母親である自分以外の 自分を認 めることを示 し、 (1)気軽 な外 出 、(2)妻で あ るわ た し、(3)子育 てす る以外 のわ た し、 とい うサ ブ カテ こゴリー が あ った。 『新 た な “母 親 ” と して の 出発』 には7つ の サ ブカ テ ゴ リー が あ り1)「 息 を して い る よ うな もの」、2)「 母 親 ら し くか ら母 親」、3)「 結 局 、手 間 はか か る もの」 の3つ に 大別 で きた。1) 「息 を してい る よ うな もの」 とは子 育て が 自分 自身 に特 別 な こ とで はな く、 自然 な こ と と して 受 け止 め られ て い る こ とを示 し、(1)自 分 の 生活 の 一部 にな る、(2)子 ど も と共 に成 長 、 とい う サブ カテ ゴ リー が あ った。2)「 母親 ら しさか ら母親 」 とは、振 舞 うこ とで母 親 で あ った と感 じ てい た状 態 か ら母親 で あ る こ とが 自然 に なっ てい る と感 じてい る こ とを示 し、(1)仕事 を して い て も母 親 、(2)あ りの まま の 自分 で 母親 、(3)子 ど もの 成長 を受 け止 め る、(4)本 当 に子 どもが離 れ てい く時 の こ とを考 え る、 とい うサ ブ カテ ゴ リー が あ った。3)「 結 局 、手 間 がか か る もの」 とは母 親 が 期 待 して い た 断乳 後 の予 測 とは 異 な っ た現 実 を示 す 。 『女 か ら女 ら し く』 とは 、生 物 と して の 女性 か ら人 間の 女性 を意 識 す る こ とを示 す 。 IV考 察 母 親 は 、断乳 に よ り子 ども と常 に密 着 した 状態 か らあ る程 度 の 距離 を持 つ とい う関係 性 の変 化 を経験 す る3)。この 関係性 の変化 は 、『2度 目の分 離』 とい うカテ ゴ リー か らもわ か る よ うに 母親 を“母 親” と して再 出発 す るき っか けで あ る と考 え られ た。 この こ とか ら、断 乳 に よ って 母親 は 、母 親 自身 が 成 長 し母親 と して の役 割 を変化 させ て い た とい え る。 Belsky4)に よれ ば、子 育 て は子 ど もの行 動 特徴 や発 達 的 変化 に よって影 響 され 、親 の発 達 プ ロセス と子 どもの発 達 プ ロセ スは 共 発達 的 なシ ステ ム だ とい う。 断乳 期 にお い て も同様 に 『新 た な母親 と して の出発 』 とい うカ テ ゴ リー か ら もわ か る よ うに、母 親 と子 どもの発 達 プ ロセ ス は互 い に影 響 しあ って いた とい え る。 母親 が断乳 とい う現 実 に向 き合 い 、 自問 自答 す る こ とで 新 た な母 親 の と しての アイ デ ンテ ィテ ィ を確 立 してい くこ とがで きた と考 え られ た。 そ の た め には 、母 親 が振 り返 りをで き る環境 を提 供 してい くこ とが必 要 な の では ない だ ろ うか。 V結 論 本 研究 では 断乳 の 時期 に母 親 が どの よ うに新 た なア イデ ンテ ィテ ィ と役 割 を確 立 して い くか に焦点 をあ てて帰 納 的 に分析 した。 その 結果 、 断乳 は子 育 て の通 過 点 に過 ぎ ない が 、断 乳 の時 期 に母 親 が子 ど も と向 き合 い 、 自分 自身 を見つ め直 す こ とで 「新 た な母 親 」 と して の 自分 を築 き上げ て い る こ とが 明 らか に な った。 本研 究 は 、平 成13年 度 日本赤 十 字広 島看護 大学 共 同研 究 費 の助 成 を受 けて 行 った。 VI文 献 1) ミル トン ・メ イ ヤ ロ フ メ/田 村 真: ケ ア の 本 質 . ゆ み る 出 版. 1971. 2) 松 永 佳 子: 断 乳 を受 け 入 れ る ま で の 母 親 の ゆ ら ぎ . 日本 助 産 学 会 誌, 16(1), 48-57. 2002. 3) 根 ヶ 山 光 一: 子 育 て と子 別 れ. 根 ケ 山 光 一, 鈴 木 晶 夫 著. 子 別 れ の 心 理 学(147). 福 村 出 版. 1995. 4) Belsky
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育児生活肯定感尺度の高得点者事例の検討
愛知県立看護大学○高橋 弘子
都立保健科学大学恵美須文枝
山梨医科大学大学院志村千鶴子
I緒 言 研 究者 らは、これ ま で出産 後 の母親 の 育児 生活 肯 定感 を測 定す る尺度 の 開発 を行 って きた。 作成 した尺 度の信 頼性 と妥 当性 を確 認 す るた め には 、統 計的 な視 点 か ら分析 す る こ とと同時 に 、母親 の実 際 の生活 と測 定値 が どの よ うに関連 してい るか を確 認 して ゆ くこ とが必要 で あ る。 そ こで今 回 は、特 に得点 の高 い母親 につ いて 、 出産後1ヶ 月 、2ヶ 月 、3ヶ 月 及 び6ヶ 月 の測 定値 に照 ら して 、 そ の事 例 の生活 を詳 し く確 認す る こ とに した。 II方 法 対 象:研 究者 らが作成 した「 育児 生活 肯 定感 尺度 」 に高得 点(65点 以上)を 示す 褥 婦 に研 究協力 の依 頼 を行 い 、面接 調 査 に同意 の得 られ た4名 と した。 前述 の尺度 は 、親 と して の 自 信 の5項 目、 自己肯 定感 の7項 目、生活 適応 の5項 目、夫 に対す る認 識 の2項 目か らな る計 19項 目の5段 階尺 度 で合 計得 点 は95点 とな る。 面接 は対象者 の 自宅 で1時 間 を 目安 と して行 い、 それ 以上 を要 す る場 合は相 手 の 了解 を得 て続 行 した。 面接 は許 可 を得 て テー プ録 音 し、 逐 語 再生 して3人 の研 究 者 で 内容 分類 の妥 当性 を検討 した。 III結 果 Nさ んは24歳 の初 産婦 、1・2・3ヶ 月及 び6ヶ 月 の各月 の合 計得 点 に は あま り変 化 が な く高得 点 を維 持 してい る。2ヶ 月 目に親 と して の 自信 の得 点 が 上昇 してい る。 産 後 はす ぐ に 自宅 に帰 った。 近 くに住 む 実家 の母 が仕 事 をや めて 手伝 っ て くれ たが子 どもの育 て方 は 自 分 の考 えを尊重 して くれ 、気兼 ね が ない とい う。 子 どもの発 育 が 良い こ とへ の喜 び を多 く表 出 してい る。 夫 は早朝 に家 をでて 零時 頃帰 宅す る生 活 だ が、育 児 の大 変 さを察 して くれ てい る、子 ど もがパ パ を好 きなの で安 心、 と述 べ てい る。Iさ ん は25歳 の初 産 婦 、6ヶ 月 まで 合 計得 点 に大 きな変化 はな く、他 の項 目及 び 他 の3人 に比 べ て生活 適応 の得 点 が高 い。 実 家 が 近 くにあ り、 とき どき帰 って ほっ とす る とい う。 実家 には 自分 た ち専 用 の一部 屋 が あ り、 近 くに住 む妹 も子 ど も二人 を連 れ て出入 りす る。 近 所 に 同時期 に出産 した幼 な じみ が い て、 会 うの を楽 しみ に してい る。 親 で あ る こ とに感 動す る と述 べ 、子 育 て にス トレス は ない し、 ま わ りか らは母 親 ら しくなっ た と言 われ て い る とい う。 夫 は 、家 事 は 出来 る範 囲 でい い 、子 どもの こ とは手 抜 きを しない で、といい育 児 の大 変 さをね ぎ らって くれ るのが嬉 しい とい う。 Kさ ん は27歳 の初 産婦 で あ る。 得 点経 過 で は 、時 間軸 に 沿 って全 体 的 に次 第 に得 点 が 上昇 する経過 をた どってい る。 自分 は妊娠 前 に は子 ども好 きで はなか ったが 、夫 が子 どもの面倒 を よくみて くれ る こと、実家 が近 い ので 、い つで も助 けを得 られ るこ と、妊娠 中に 引 っ越 して きた マ ンシ ョンでは積極 的 に 自分 か ら友 達 作 りを して い る、育児 をす る よ うにな って 、家 事 な どき っち りしな くて もいい と思 うよ うにな った こ とを述 べ、状 況 の変 化 に応 じた前 向 きの 行 動 の変化 を表 出 して いた。Mさ んは25歳 の初 産婦 、産 休前 まで保母 と して働 いて その ま ま 退職 した。 退 院後 は 実家 で生 活 して お り、 その後 も必要 な ときはい つで も実 家の手 伝 い を得 られ る。自分 はテ キ トー つ ぽい 性格 、自分 に とって は子 どもの成長 が何 よ りの うれ しい こと、 子 どもを連 れ て元 の職 場へ 遊 び に行 った り、外 で遊 ぶ こ とが多 い。 夫 は子 ども好 きで よ く面 倒 をみ て くれ る し、子 供 が産 まれ て一層 優 しくな った 、ま た夫 との子 どもの話題 が よ く弾む よ うに な つた とい う。 そ の他 夫 の友 達 も子 ど もの 面倒 をみ て くれ るな ど、高 得点 に対 応 す る 生 活状 況 が 多 く表 出 され た。 IV考 察 いず れ の事例 も、 子 どもの発 育の経 過や 行動 ・し ぐさについ て こ と細 か に語 り、子 どもの 生 理や 生活 リズム に合 わせ るの がが苦 にな らない と述べ 、子 どもがい る生活 を楽 しんで い た。 また夫や 家 族 ・周 囲の人 か らの サポ ー トを認識 しつ つ 、それ を 自分 が コ ン トロー ル して い る とい う考 えが表 明 され た。 育児負 担 を 自分 な りのや り方で受 け入れ てい くには生 活適 応 が必 須 で あ り、 この4例 に関 して は、身 近 なサ ポー ト源 の存在 が高 得点 に結 びつ い てい るこ とが 明 らか に なっ た。 V結 論 面接 結果 で は、す べ て の高得 点者 が、 尺度 のカ テ ゴ リー毎 の肯 定 的現象 を多 く表 出 し、子 どもを育 て る生活 の喜 びや 楽 しみ を感 じて いた。 この結果 か ら、研 究者 らが作成 した 「育児 生活 肯定感 尺度 」 の 高得 点者 は、新 しい子 どもを加 えた生 活 に ほぼ 円滑な適 応 を示 してい る とい え、 この 尺度 が 実 際 の母親 の 育児 生 活 を概 ね反 映 で き る とい え る。 表 事 例 の 得 点 変 化 と概 略(高 得 点 者) VI文 献 1) 島 田真 理 恵 他: 産 褥 育 児 生 活 肯 定感 を 測 定 す る尺 度 改 訂 の試 み 、 第5回 東京 保健 科 学 学会 、p.23-24,2002 2) 志 村 千 鶴 子他: 育 児 生 活 肯 定 感 尺 度 の低 得 点 者 事 例 の 検 討 、 日本 助 産 学 会 誌 、15(3);188-189, 2002
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子ど も虐 待予防に向けた熟練助産師 の
臨床判 断プロセスに関す る分析 (第1報)
大阪府立看護大学看護学部 ○ 大 平 光 子 町 浦 美 智 子 三重県立看護大学看護学部 澤 井 早 苗 I 緒言 近 年、子 ども虐 待 が大 き な社 会 問題 と して認 識 され るよ うにな って い る。 平 成7 年以 降、児童 虐 待相談 件数 は急増 してお り、「児 童虐 待 の防止 な どに 関す る法律(児 童虐 待 防 止法)」 の施行 後 は17,725件(平 成12年 度)と 、 さらに増 加 してい る1)。ま た 、主た る虐 待 者 は6割 以上 が実 母、2割 強が実 父 に よる もの で ある。母 性看護 学 の領 域 は、 新 しく親 に な る世 代 とそ の親 の世代 の関係 、妊 娠期 か ら育児期 にわた る母子 ・父子 関係 お よび そ の変化 、 家族 関係 の調 整 な どに濃 厚 に関 るこ とが で きる。 われ われ は この母 性看 護 学領 域 の専 門性 を 生か して 、子 ども虐 待 予防の視 点 に立 った周産 期か らの看 護援 助方 法 の 開発 を 目指 した研 究 に取 り組 んで い る。 この研 究 の一部 と して、子 ど も虐 待予 防 に 向け た周 産 期 か らの看護 援助 の必要 性 を判断す る看 護職 者の臨床判 断 プ ロセ ス を把握 す る こ とを 目的 と して、 日常 的 に周 産期 か ら母 親や 母 親を取 り巻 く家 族 と密接 に 関 り、産褥 期にわた って フォ ロー ア ップ してい る熟練 助産 師 の協力 を得 て、子 ども虐 待予 防 の視 点につ い てイ ン タ ビュー を行 った。 今 回得 られ た 熟練 助 産 師 の臨床 判 断 プ ロセ ス か ら、貴 重 な知 見 を得 た ので報 告 した い。 II 方 法 1.対 象:日 常 的 に子 ども虐 待の視 点で周 産期周 辺 の母 親お よび そ の家族 との関 りを持 って い る助 産 師1名 。 助 産 師 と して の臨 床経 験 年数 は5年 以上 。 2.手 順: 1)研 究 の 趣 旨を説 明 しイ ンタ ビ ュー へ の 同意 を得 る。 2)倫 理 的 配 慮 と して 、患者 や そ の家 族 を特 定 す る情 報 は得 な い。 3)周 産期周 辺 の妊 産婦お よびその家 族 との 関 りの 中で、虐 待 予防 の視 点で観 察 し、看護 援 助 の 必要 性 を判 断 して い くプ ロセ ス につ い て例 を挙 げ て 自 由に語 って も ら う。 4)イ ンタ ビュー内容 は許 可 を得 てテー プ録 音 し逐 語録 とす る。 テ ー プ録音 の許 可 が得 られ ない場 合は、イ ンタ ビュー 中のメモ をも とに、イ ンタ ビュー終 了後 、速 や か に逐語 録 と す る。 5)① 逐語録 か ら子 ども虐 待予 防 の視 点で対 象 を観 察 し、看 護援 助 の 必要 性 を判 断 してい く プ ロセ スにつ い て述べ て い る文 章 を抽 出 し、意 味 内容 ご とに分類 す る。② 周産期 か らの子 ど も虐 待 予 防の ため の観 察 点 を明確 にす る。③ 子 ども虐 待 予防 の視 点 で看 護 援助 の必 要 性を判 断す るプ ロセ ス を明確 にす る。 III 結 果 1.看 護 援助 の必 要性 を判 断す るき っか け(イ ン タ ビュー 内容 か らの抜粋) 1)周 産期周辺の妊 産婦や家族 との関 りの中で、「気にな る」ことは日常的に存在するけ ど、「何 か 気 に な る」こ と は言 葉 で 表 現 す る と、気 に な る内 容 が 違 って しま う(違 って 表 現 され る)。「気 に な る 」 とい う こ とだ け踏 ま え て 関 る, 2)内 診 に対す る反応:内 診 を待 ってい るときや 内診 時の緊 張 が 高 い ⇒Domestic violenceや sexual abuseを 反 映 す る 可 能 性 ⇒ 何 を ど う聞 い て い こ うか と い う思 考 が は た ら く。 3)経 済上の不安: 妊娠5ヶ 月頃に納める分娩 予約金 を一括で納 められ るか ど うか(事 実上の 経 済 的 問題 に 関す る ス ク リー ニ ン グ とな って い る)『一 括 で は 納 め られ な い』⇒(経 済状況の確 認)「 誰 が 収 入 を 支 え て るの?」 ⇒ 『夫 … で も今 は仕 事 を して い な い … 』⇒(経 済上の 不 安 の 原 因)「 リス トラ?」 ⇒ 『そ うです 』⇒ (夫の心理社会的健康状態の確認)「大変 だね 。 だんな さん毎 日どうしてるの? 」⇒ 『家 に … 』、『家 に い る こ とが 多 い け ど、い らい ら して 、 す ぐ暴 力 を振 る う … 』⇒子 ども虐待 予防のための援助の必要性 2.周 産期 か らの子 ど も虐待 予 防 の た めの観 察 点(〈 気 がか り〉) 子 ども虐 待予 防 のた めの観 察 や アセ ス メ ン トの前 に生 じる何 らか の〈気 がか り〉には、経 済的 不安 、子 どもに対す る過 干渉 、過 度 の叱責 、放任 、夫 や家族 の非 協力 、夫 の過 剰 な監視 (妊婦健 康診査 へ の同伴 や夫 立会 い分娩 を含 む)、内診 時の過度 の緊 張 、面接 時 の視線 や声 の トー ンが含 まれ た。 3.〈 気 が か り〉を糸 口 と した看 護援 助 の 必要性 を判 断す るプ ロセ ス 例 えば、 〈気 がか り〉が経 済 上の不 安で あ って も 「経 済状況 の確 認」⇒ 「経 済上 の不 安の原 因」 ⇒ 「夫 の 心理 社会的健 康状 態 の確 認 」⇒ とい うプ ロセ スか ら 「子 ども虐 待予 防 のた めの 援助 の必 要性 」 が導 きだ され て いた。 IV 考 察 今 回 の結 果 か ら熟練助 産師 は対象 と関 るときに 、子 ど も虐 待予 防 の視 点に立 った観 察や ア セ スメ ン トに先 立 って 〈何 らかの気 がか り〉を抱い てお り、この 〈気 が か り〉を糸 口 として、 これ ま での臨床 経験 に よ って培 われ た関連 事項 の意 図的 な情 報収集 お よび アセ スメ ン トが連 続 的 に繰 り返 され る。 さらに対象 の反応 に応 じて、樹枝 状 の葉 の部分 か ら枝 に 向か って、 つ ま り問題 の核 心へ と焦点 が絞 られ てい くとい う臨床 判 断 プ ロセ ス を経 て、 〈気 がか り〉が虐 待 に関連す る事項 で ある場 合に は看護 援助 の必 要 性を判断 して い る と考 え られ た。 さ らにデ ー タを収集 し、この〈気がか り〉から始まる臨床判断プロセスの分析を積み重ね、臨床判断 プ ロセ ス の共通 性や 糸 口とな る〈気 がか り〉の特 徴 か ら、周 産期 か ら活 用 で きる子 ども虐 待 予防 のた めの看護 援助 方 法の指 針 を明確 に してい きたい。本研 究 は科 学研 究補助 金(基 盤研 究C 課 題番 号13672526)に よる研 究 の一部 であ る。 V 文 献1) 雇用均等 ・児童家庭局総務課:児 童相談所における児童虐待相談等の状況報告,http: //www..mhlw.go.jp.houdou/0106/h0621-4.html,2001年6月