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重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後は関連する

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 45 巻第 5 号 309 ∼ 317 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後 頁(2018 年). 309. 研究論文(原著). 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と 長期予後は関連する* 渡 辺 優 子 1)# 島 添 裕 史 2) 郡 谷 篤 史 1)   川久保英介 1)  日 野 敏 明 1) 三 井 信 介 1). 要旨 【目的】重症虚血肢(以下,CLI)に対するバイパス術後に包括的なリハビリテーションを行った患者で, 日常生活活動(以下,ADL)の変化と長期予後の関係を検討した。【方法】鼠径靭帯以下のバイパス術を 施行した CLI 患者 148 例を対象とした。術前 ADL 良好群(Barthel Index [BI] ≧ 60)と不良群(<60) の生存率と大切断回避生存率を比較した。さらに,不良群を改善群(退院時 BI ‒ 術前 BI ≧ 5)と非改 善群(≦ 0)に分け生存率,大切断回避生存率を比較した。また,ADL 改善の阻害因子を多変量解析 で検討した。 【結果】良好群対不良群では生存率 / 大切断回避生存率は 66/65% 対 46/42% で不良群が不 良,改善群対非改善群では 68/64% 対 38/34% で改善群が良好であった。慢性閉塞性肺疾患と独歩不可が ADL 改善の独立した阻害因子であった。 【結論】バイパス術後,退院時の ADL の向上が長期予後改善と 関連する可能性が示唆された。 キーワード 重症虚血肢,バイパス手術,リハビリテーション,Barthel Index,長期予後. さらに,下肢の疼痛による身体機能や日常生活活動. はじめに. (activity of daily living:以下,ADL)能力の低下が, 6).   末 梢 動 脈 疾 患(Peripheral Arterial Disease: 以 下,. 間接的に予後を低下させる要因となっている 。. PAD)は,心臓および冠動脈以外の大動脈,腹部内臓,.  このような背景にある CLI 患者の治療においては,複. 四肢および末梢の動脈を含む全身の動脈疾患である. 1). 。. 重 症 虚 血 肢(critical limb ischemia: 以 下,CLI) は, 四肢に発症する PAD の最重症段階で,Fontaine 分類Ⅲ. 3) 数の診療部門を横断する集学的治療が必要である 。治. 療目標は疼痛の軽減,組織欠損部位の治癒,生活の質 (quality of life:以下,QOL)の改善,生命予後の改善. 3). 2) またはⅣにあたり ,慢性虚血による安静時疼痛または. とされており,血行再建術により下肢血流の改善を図る. 潰瘍・壊死を伴い,血行再建なしでは組織の維持や疼痛. ことに加え,ADL の維持や CLI の再発予防のための包. の除去が行えないような肢の病態を指す は不良. 3). 3). 。患者の予後. であり,その原因のひとつとしては,冠動脈. 疾患や脳血管疾患,腎不全を合併していることが多いた め全身状態が概して不良である. 4)5). ことが挙げられる。. 括的リハビリテーション(以下,リハビリ)が重要視さ れている. 7‒9). 。臨床において,CLI 患者では下肢症状や. 併存症による身体機能や ADL の低下が顕著であること をよく経験する。術後はさらにそれが低下する. 6). ため家. 庭・社会復帰に向けて積極的なリハビリが必須であるが, *. Positive Association between Improvement of Activity of Daily Living Following Surgical Bypass with Subsequent Rehabilitation and Long Term Outcomes in Patients with Critical Limb Ischemia 1)福岡県済生会八幡総合病院 (〒 805‒0050 福岡県北九州市八幡東区春の町 5 丁目 9‒27) Yuko Watanabe, PT, Atsushi Guntani, MD, PhD, Eisuke Kawakubo, MD, Toshiaki Hino, PT, MS, Shinsuke Mii, MD, PhD: Saiseikai Yahata General Hospital 2)製鉄記念八幡病院 Hirofumi Shimazoe, PT: Steel Memorial Yawata Hospital # E-mail: [email protected] (受付日 2017 年 11 月 2 日/受理日 2018 年 7 月 10 日) [J-STAGE での早期公開日 2018 年 9 月 6 日]. その重要性について未だエビデンスは確立されていない。  本研究の目的は,外科的血行再建術(以下,バイパス 術)とその後リハビリを行った患者において,ADL と 長期予後との関連を明らかにすることである。 対象および方法 1.対象  製鉄記念八幡病院(2011 年 4 月∼ 2015 年 3 月)およ.

(2) 310. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 表 1 包括的リハビリテーションにかかわった職種と内容 職種. 内容. 血管外科医. 運動療法処方,装具処方,退院前カンファレンス参加. 理学療法士. 術後早期離床,運動療法,運動指導,装具療法(フットウェア), 退院前訪問調査,退院前カンファレンス参加. 義肢装具士. 装具(フットウェア)作成・調整. 看護師. フットケア・指導,術後早期離床,日常生活動作練習,栄養管理, 退院前カンファレンス参加. 栄養士. 栄養管理,栄養指導. 社会福祉士. 退院支援,退院前訪問調査,退院前カンファレンス参加. ケアマネージャー. 退院前訪問調査,退院前カンファレンス参加. 訪問看護師 デイケアスタッフ ホームヘルパー. 退院前カンファレンス参加. 個々の症例に応じて実施した.理学療法は 148 例中 143 例に実施された.リハビリは原則 手術翌日より開始し,困難な場合は 3 日以内に開始した.. 2)3). び済生会八幡総合病院(2015 年 4 月∼ 2016 年 11 月). な動脈狭窄が疑われる. とされる 0.9 をカットオフ値. に入院し,閉塞性動脈硬化症による CLI(Fontaine 分. とした。高血圧は,高齢者高血圧診療ガイドライン. 類ⅢまたはⅣ)に対して,鼠径靭帯以下のバイパス手術. に則り,診察室血圧の高血圧基準である収縮期血圧≧. を施行された症例を対象とした。ただし,いずれかの下. 140 mmHg かつ / または拡張期血圧≧ 90 mmHg,また. 肢にバイパス手術を受けた既往のある症例は除外した。. は降圧剤服薬中である患者とした。糖尿病は,空腹時血. 対象者に対するリハビリについて,かかわった職種とリ. 糖≧ 105 mg/dl であること,または経口血糖降下剤・. ハビリの内容を表 1 に示す。リハビリは個々の症例に応. インスリン注射による治療中の患者であることとした。. じて実施され,原則として手術後翌日より開始した。血. 脂質異常症は,男性では空腹時の総コレステロール >. 液透析や安静度等の理由により困難であった場合でも,. 220 mg/dl,またはトリグリセリド > 207 mg/dl に該当. 3 日以内に開始した。. することとし,女性では空腹時の総コレステロール >. 2.調査方法. することとした。さらに,脂質異常症に対し治療中であ.  電子カルテより後方視的調査を行った。調査項目は,. る患者も含めた。冠動脈疾患は,狭心症,心筋梗塞,経. 年齢,性別,在院日数,Fontaine 分類,退院時足関節上. 皮的冠動脈インターベンション,または冠動脈バイパス. 腕血圧比(ankle brachial pressure index:以下,ABI) ,. 術の病歴がある患者,脳血管疾患は一過性虚血発作,脳. 術前独歩可否,Body mass index(以下,BMI) ,高血圧,. 梗塞,脳出血の病歴がある患者,末期腎不全は,血液透. 糖尿病,脂質異常症,冠動脈疾患,脳血管疾患,末期腎. 析または腹膜透析を受けている患者,COPD は 1 秒率. 不全,慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD),術前血清ア. < 70% である患者とした。筋量については,CT の L3. ルブミン値,術前ヘモグロビン値,術前外来初診時にお. 2 下端横断面の骨格筋を同定し,L3 レベルの断面積(cm ). ける左室駆出率と筋量低下の有無,入院中の理学療法の. を手動で型取りし,合計した。筋量低下の基準は,健常. 有無,術前と退院時 Barthel Index(以下,BI) ,自宅. 2 人 の 中 央 値 で 決 定 し た 男 性 < 114.0 cm , 女 性 <. 復帰の有無とした。. 2 14)15) 。術前と退院時の ADL は,理学 89.8 cm とした.  なお,本研究は,製鉄記念八幡病院倫理委員会(承認. 療法士が BI を用いて評価した。. 番号 17-54 号)と済生会八幡総合病院倫理委員会(受理. 研究 1. 番号第 106 号)において承認を得て実施した。また,研.  対象症例を,術前 BI により良好群と不良群に群別し. 究に用いたデータベースは研究関連者のみが閲覧可能な. た。ここでは Suárez-Dono ら. 環境で保管した。. ≧ 60 を ADL 良好(機能的依存なし),BI < 60 を ADL. 13). 220 mg/dl,またはトリグリセリド > 137 mg/dl に該当.  定義として,独歩可否の判断には山崎ら. 10). の方法を. 11)12). 用 い,Functional Independence Measure. の移動. 項目を評価指標とし,6 点以上を独歩可,5 点以下を独 歩不可とした。ABI は,血行動態に影響を及ぼすよう. 16). の指摘にしたがい,BI. 不良(機能的依存あり)と定義した。エンドポイントを 生存率と大切断回避生存率として術後 3 年まで追跡し, 両群の長期予後を比較検討した。.

(3) 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後. 311. 図 1 本研究における対象と研究のフローチャート. 研究 2. 研究 1.  不良群を対象とした。ただし,在院死した症例は退院.  良好群 79 例,不良群 69 例であった。両群の患者背景. 時 BI の測定が不能なため除外した。退院時 BI が術前. を表 2 に示す。理学療法を行わなかった 5 例のうち 1 例. BI よりも 5 点以上高値のものを改善群,不変または低. が良好群に,4 例が不良群に属していた。良好群の 1 例. 値のものを非改善群と定義し,群別した。研究 1 と同様. と不良群の 1 例は,術前・退院時 BI に変化がなく自宅. に,両群の長期予後を比較検討した。. 復帰となった症例であった。不良群の 3 例は,術後全身.  以上に述べた対象と研究について,フローチャートを. 状態不良による在院死症例であった。. 図 1 に示す。.  生存率は,良好群において 1 年 86%,2 年 72%,3 年. 研究 3. 66%,不良群において 1 年 81%,2 年 58%,3 年 46% で.  不良群を対象とし,ADL 改善の阻害因子について検. 良好群が良好であった(p=0.041) (図 2-a) 。大切断回避. 討した。術前因子として年齢,性別,Fontaine 分類,. 生存率は良好群において 1 年 85%,2 年 69%,3 年 65%,. 独歩可否,BMI,高血圧,糖尿病,脂質異常症,冠動脈. 不良群において 1 年 74%,2 年 53%,3 年 42% で良好群. 疾患,脳血管疾患,末期腎不全,COPD,術前血清アル. が良好であった(p=0.022)(図 2-b) 。. ブミン値,術前ヘモグロビン値,左室駆出率,筋量低下. 研究 2. を選択し,多変量解析にて有意阻害因子を調査した。.  不良群のうち在院死 8 例を除いた。改善群 27 例,非 改善群 34 例であった。両群の患者背景を表 3 に示す。. 3.統計学的解析. 生存率は改善群において 1 年 96%,2 年 81%,3 年 68%,.  研究 1,2 において,連続変数は対応のない Student-t. 非改善群において 1 年 88%,2 年 54%,3 年 38% で改善. test,カテゴリー変数は χ 二乗検定で解析した。生存曲. 群が良好であった(p=0.030) (図 3-a) 。大切断回避生存. 線は Kaplan-Meier 法で計算し,有意差検定は log-rank. 率は改善群において 1 年 88%,2 年 78%,3 年 64%,非. test で行った。研究 3 において,多変量解析は χ 二乗検. 改善群において 1 年 78%,2 年 44%,3 年 34% で改善群. 定の結果,p<0.2 を示した因子に性別を加え,ロジス. が良好であった(p=0.049) 。. ティック回帰分析で多変量解析を行った。統計解析は. 研究 3. JMP version 11.2 software program for Mac(SAS.  χ 二乗検定において,有意因子は年齢(70 歳以上)と. Institute Cary, NC, USA)を使用し,p<0.05 を有意水. 独歩不可であった(表 4)。これに p<0.2 である COPD. 準とした。. と術前血清アルブミン値,さらに性別を加えた 5 因子で. 結   果  2011 年 4 月∼ 2016 年 11 月に入院し,鼠径靭帯以下 のバイパス手術を施行された連続 228 例のうち,除外基 準に該当した 80 例を除く 148 例が解析の対象となった。. 多変量解析を行った結果,ADL 改善を阻害する有意因 子は COPD と独歩不可であった(表 4) 。 考   察  CLI 患者の生命予後は不良. 2)3). であり,多くの症例で.

(4) 312. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 表 2 全症例と良好群・不良群の患者背景 全症例 (n=148). 良好群 (n=79). 不良群 (n=69). 73.6 ± 8.6. 73.6 ± 8.6. 76.8 ± 8.6. 0.027. 70 歳以上. 109 (74%). 55 (70%). 54 (78%). 0.265. 性別:女性. 54 (36%). 24 (30%). 30 (43%). 0.124. 55.9 ± 43.2. 52.3 ± 45.0. 56.0 ± 40.8. 0.283. 134 (91%). 68 (86%). 66 (96%). 0.054. 0.918 ± 0.303. 0.974 ± 0.243. 0.851 ± 0.354. 0.017. 40 (29%). 16 (21%). 24 (38%). 0.038. 年齢(歳)*1. 在院日数(日)*1 Fontaine Ⅳ ABI *1*2 ABI ≦ 0.90 *2. p値. 独歩不可. 51 (34%). 14 (18%). 37 (54%). <0.001. BMI<18.5 kg/m2 *3. 26 (18%). 11 (14%). 15 (22%). 0.280.  高血圧. 120 (81%). 60 (76%). 60 (8%). 0.097.  糖尿病. 97 (66%). 53 (67%). 44 (64%). 0.730.  脂質異常症. 34 (23%). 21 (27%). 13 (19%). 0.329.  冠動脈疾患. 67 (45%). 39 (49%). 28 (41%). 0.323.  脳血管疾患. 66 (46%). 31 (39%). 35 (51%). 0.186.  末期腎不全  COPD *4. 68 (46%). 34 (43%). 34 (49%). 0.510. 27 (20%). 10 (14%). 17 (30%). 0.083. 74 (50%). 32 (41%). 42 (61%). 0.021. 併存疾患および既往症. Alb<3.5 g/dl Hb<10 g/dl *3. 41 (28%). 14 (18%). 27 (39%). 0.006. 左室駆出率 <50%*3 筋量低下 *5. 19 (13%). 11 (14%). 8 (12%). 0.806. 63 (55%). 32 (46%). 31 (67%). 0.035. 理学療法 *6. 143 (97%). 78 (99%). 65 (94%). 0.185.  術前(点). 61.8 ± 28.6. 84.4 ± 15.1. 35.9 ± 15.3. <0.001.  退院時(点). 57.6 ± 34.3. 77.5 ± 26.7. 34.9 ± 27.1. <0.001. 71 (48%). 50 (63%). 21 (30%). <0.001. Barthel Index *1. 自宅復帰. ( ) 内に単位を記載,その他は人数を記載,*1 平均値±標準偏差を記載,*2 対象患者 139 例(良好群 76 例,不良群 63 例),*3 対象患者 147 例(良好群 78 例,不良群 69 例),*4 対象患者 136 例(良好群 73 例, (良好群 69 例,不良群 46 例),*6 非実施 5 例のうち 3 例が在院死であった . 不良群 63 例),*5 対象患者 115 例 ABI; ankle brachial pressure index,BMI; Body mass index,COPD; 慢性閉塞性肺疾患,Alb; 血清ア ルブミン,Hb; ヘモグロビン.. 0.5 年 (%). 1 年 (%). 1.5 年 (%). 2 年 (%). 2.5 年 (%). 3 年 (%). 良好群 (n=79). 92 ± 3 (n=68). 86 ± 4 (n=58). 78 ± 5 (n=44). 72 ± 6 (n=33). 69 ± 6 (n=28). 66 ± 7 (n=22). 不良群 (n=69). 87 ± 4 (n=59). 81 ± 5 (n=47). 77 ± 5 (n=41). 58 ± 7 (n=28). 49 ± 7 (n=20). 46 ± 7 (n=14). 図 2-a 良好群・不良群の生存率 良好群(術前 BI ≧ 60)が良好(p=0.041)であった..

(5) 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後. 313. 0.5 年 (%). 1 年 (%). 1.5 年 (%). 2 年 (%). 2.5 年 (%). 3 年 (%). 良好群 (n=79). 91 ± 3 (n=67). 85 ± 4 (n=57). 75 ± 5 (n=42). 69 ± 6 (n=31). 69 ± 6 (n=25). 65 ± 7 (n=20). 不良群 (n=69). 85 ± 4 (n=56). 74 ± 5 (n=42). 70 ± 6 (n=34). 53 ± 7 (n=22). 45 ± 7 (n=16). 42 ± 7 (n=13). 図 2-b 良好群・不良群の大切断回避生存率 良好群(術前 BI ≧ 60)が良好(p=0.022)であった.. 表 3 改善群・非改善群の患者背景 改善群 (n=27). 非改善群 (n=34). p値. 73.8 ± 9.5. 78.7 ± 7.1. 0.023. 70 歳以上. 17 (63%). 31 (91%). 0.008. 性別:女性. 16 (59%). 18 (53%). 0.800. 58.5 ± 33.2. 61.2 ± 47.9. 0.805. 26 (96%). 32 (94%). 1.000. 0.882 ± 0.334. 0.874 ± 0.330. 0.932. 9 (36%). 11 (34%). 1.000. 年齢 *. 1. 在院日数(日)*1 Fontaine Ⅳ ABI *1*2 ABI ≦ 0.90 *2 独歩不可. 9 (33%). 25 (74%). 0.002. 5 (19%). 8 (24%). 0.758.  高血圧. 24 (89%). 29 (85%). 1.000.  糖尿病. 16 (59%). 21 (62%). 1.000. 2. BMI<18.5 kg/m. 併存疾患および既往症.  脂質異常症. 8 (22%). 4 (12%). 0.315.  冠動脈疾患. 10 (37%). 12 (35%). 1.000.  脳血管疾患. 14 (52%). 17 (50%). 1.000.  末期腎不全  COPD *3. 10 (37%). 17 (50%). 0.437. 4 (17%). 11 (35%). 0.141. Alb<3.5 g/dl. 13 (48%). 23 (68%). 0.190. Hb<10 g/dl. 11 (41%). 12 (35%). 0.792. 左室駆出率 <50% 筋量低下 *4. 2 (7%). 3 (9%). 1.000. 12 (63%). 16 (73%). 0.737. 理学療法. 27 (100%). 33 (97%). 1.000.  術前(点). 33.0 ± 17.6. 36.8 ± 13.9. 0.350.  退院時(点). 56.5 ± 25.2. 25.9 ± 15.9. <0.001. 14 (52%). 7 (21%). 1 Barthel Index *. 自宅復帰. 0.015. ( ) 内に単位を記載,その他は人数を記載,*1 平均値±標準偏差を記載,*2 対象患 者 57 例(改善群 25 例,非改善群 32 例),*3 対象患者 55 例(改善群 24 例,非改善 群 31 例),*4 対象患者 41 例(改善群 19 例,非改善群 22 例). ABI; ankle brachial pressure index,BMI; Body mass index,COPD; 慢性閉塞性肺 疾患,Alb; 血清アルブミン,Hb; ヘモグロビン ..

(6) 314. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 0.5 年 (%). 1 年 (%). 1.5 年 (%). 2 年 (%). 2.5 年 (%). 3 年 (%). 改善群 (n=27). 100 ± 6 (n=26). 96 ± 4 (n=21). 96 ± 4 (n=19). 81 ± 9 (n=15). 75 ± 10 (n=13). 68 ± 11 (n=7). 非改善群 (n=34). 97 ± 3 (n=33). 88 ± 6 (n=26). 81 ± 7 (n=22). 54 ± 10 (n=13). 38 ± 10 (n=7). 38 ± 10 (n=7). 図 3-a 改善群・非改善群の生存率 改善群(退院時 BI- 術前 BI ≧ 5)が良好(p=0.030)であった.. 0.5 年 (%). 1 年 (%). 1.5 年 (%). 2 年 (%). 2.5 年 (%). 3 年 (%). 改善群 (n=27). 96 ± 4 (n=25). 88 ± 7 (n=19). 83 ± 8 (n=16). 78 ± 9 (n=12). 71 ± 10 (n=10). 64 ± 12 (n=7). 非改善群 (n=34). 94 ± 4 (n=31). 78 ± 7 (n=23). 74 ± 8 (n=18). 44 ± 10 (n=10). 34 ± 10 (n=7). 34 ± 10 (n=7). 図 3-b 改善群・非改善群の大切断回避生存率 改善群(退院時 BI- 術前 BI ≧ 5)が良好(p=0.049)であった.. 表 4 不良群を対象とした ADL 改善の阻害因子 オッズ比. 95% 信頼区間. p値. 70 歳以上. 3.42. 0.69 ‒ 21.2. 0.134. 性別(女性). 1.24. 0.32 ‒ 4.88. 0.745. Alb<3.5 g/dl. 1.55. 0.41 ‒ 5.89. 0.511. COPD. 5.57. 1.19 ‒ 35.0. 0.028. 独歩不可. 6.20. 1.64 ‒ 27.9. 0.007. Alb; 血清アルブミン,COPD; 慢性閉塞性肺疾患. 単変量解析にて有意因子となった年齢と独歩不可に,p<0.2 である性別,術 前血清アルブミン値,COPD を加えた 5 因子で多変量解析を行った..

(7) 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後. 虚血症状や併存疾患による ADL の低下をみとめる 7)。 虚血症状の改善には血行再建が必須である. 3). が,侵襲度. の高いバイパス術後には ADL は確実に低下する. 7)17). 。. 315. る ADL の維持・向上を目的とした生活動作練習中心の 理学療法プログラムの設定の必要性を主張する報告. 10). もあり,正確な予後予測は,患者別の最終目標を定めた. さらに,血行再建術後にもかかわらず,組織欠損の治癒. リハビリの提供を可能とする。. が困難であれば,救肢目的のための足趾の切断を余儀な.  CLI 治療の究極的な目的は,高い QOL を維持した生. くされることも少なくなく,救肢を達成したとしても歩. 命予後の改善である。したがって,退院後の ADL の変化,. 行能力や ADL の低下をきたす場合もある. 18). 。Cieri ら. 7). 理学療法の評価やリハビリの継続状況等の追跡が必須で,. は,侵襲的な治療の適応と恩恵を評価するためには,救. 長期における ADL の回復や維持に関連する因子が明ら. 肢や生存率だけでなく,機能的なアウトカムも考慮する. かになれば,より適切な治療方法の提供が可能となる。. 必要があると述べている。ADL の指標である BI の低下. また,救肢に成功したとしても,複雑な病態をもつ CLI. は,重度の frailty と関連しており に関しても多くの報告がある. 19). ,frailty と生命予後. 患者では虚血症状の再発の危険性は常にあり,その予防. 。BI の重要な評価項. や早期発見のため,医師と理学療法士を中心としたチー. 20)21). 目のひとつである歩行能力が CLI 患者の長期予後を規定 する独立因子であることも多数報告されている. 17)22‒24). 。. ム医療の継続が重要であることはいうまでもない。  本研究の限界として,(1)対象とした症例数が不十分. これらは,BI の変化が CLI 患者の長期予後に関連してい. である,(2)すべての症例が理学療法を受けたわけでは. る可能性を示唆している。. なく,また,予後に関係すると思われる疼痛や筋力など.  今回,先行研究と同様,術前の ADL と長期予後に有. の理学療法評価が行われていなかった,(3)在院日数に. 意な関係が示された。さらに,術前の ADL が不良な患. よりリハビリの実施した期間に差があった,(4)退院後. 者でも,退院時の ADL が改善する患者は長期予後が期. の異動施設により治療の最終目標が異なる,(5)生命予. 待でき,しかもそれは術前 ADL が良好であった患者と. 後因子の中に術後処方薬が含まれていない,が挙げら. 同程度であったという新たな知見が得られた。このこと. れる。. は,血行再建だけでなく,ADL をより改善するための, 術後から退院までの一連の治療の重要性を示唆してい. 結   論. る。本研究においては,バイパス術後,血管外科医と理.  バイパス手術後リハビリを行った CLI 患者において,. 学療法士を中心としたチームで集学的治療が行われた。. 術前 ADL が低い症例は長期予後が不良であった。本研. CLI 治療において集学的治療の重要性を強調している報. 究では新たに,術前 ADL が低い患者でも,退院時に. 25‒29). は多いが,バイパス術後にリハビリを含めた集. ADL が改善すれば長期予後が良好であったことが明ら. 学的治療を行った,CLI 患者の ADL の変化と長期予後. かになり,バイパス術後早期から ADL の向上に努める. 告. に関する報告はこれまでになく,ガイドライン. 3)30). に. ことの重要性が強調された。また,術前 ADL が低く,. おいて ADL に関する記載はない。本研究結果は,バイ. COPD 合 併 ま た は 独 歩 不 可 で あ る 患 者 は, 退 院 時 も. パス術後早期から ADL 向上に努めることの重要性をよ. ADL が改善しなかった。. り強調したといえる。  一方,血行再建術後の集学的治療によっても ADL の. 利益相反. 改善がみられない症例がいることも事実である。今回,.  本論文に関連して,著者全員に開示すべき利益相反は. COPD と術前独歩不可が ADL 改善を阻害する独立因子. ない。. として示された。COPD 患者の生命予後は,病期分類 により異なるとの報告がある 有無のみで評価した。Flu ら. 31). 24). が,今回は COPD の. は,肺疾患が血行再建. 後 6 年の死亡率と有意に関連したと述べている。リハビ リの効果が十分得られない程度に運動制限のある COPD 症例の長期生存が困難であろうことは容易に想像がつ く。独歩不可については,前述したように術前歩行能力 が低い患者では長期予後が不良であることが報告されて きた. 17)22‒24). 。ただし,術前の歩行能力低下が虚血だけ. によるものとは限らないため,身体機能評価と予後予測 は慎重に検討する必要がある。歩行改善が見込まれない 症例に対しての血行再建の目的は,疼痛緩和や創治癒に よる QOL の改善. 10). とされ,関節機能や筋力維持によ. 文  献 1)Hirsch AT, Haskal Zj, et al.: ACC/AHA 2005 practice guidelines for the management of patients with peripheral arterial disease (lower extremity, renal, mesenteric, and abdominal aortic) Acollaborative report from the American Association for Vascular Surgery/ Society for Vascular Surgery, Society for cardiovascular Angiography and Interventions, Society for Vascular Medicine and Biology, Society of Interventional Guidelines (Writing Committee to Develop Guidelines for the Management of Patients with Peripheral Arterial Disease). Circulation. 2006: 113: E463‒E654. 2)TASC Ⅱ Working Group:下肢閉塞性動脈硬化症の診 断・治療方針Ⅱ.日本脈管学会(編) ,メディカルトリ ビューン,東京,2007,pp. 1‒109. 3)宮田哲郎:末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015.

(8) 316. 理学療法学 第 45 巻第 5 号. 年改訂版).pp. 5‒43. 4)Rajagopalan S, Dellegrottaglie S, et al.: Peripheral arterial disease in patients with end-stage renal disease: observations from the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study (DOPPS). Circulation. 2006; 114: 1914‒1922. 5)Abola MT, Bhatt DL, et al.: Fate of individuals with ischemic amputations in the REACH registry: three-year cardiovascular and limb-related outcomes. Atherosclerosis. 2012; 221: 527‒535. 6)島添裕史,萩原理紗,他:重症虚血肢患者は間欠性跛行患 者よりもバイパス術後身体機能と日常生活動作能力が低下 している.The Journal of Japanese College of Angiology. 2016; 56: 79‒84. 7)Cieri E, Lenti M, et al.: Functional ability in patients with critical limb ischemia is unaffected by successful revascularisasion. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2011; 41: 256‒263. 8)Armstrong DG, Andrew JM, et al.: Diabetic Foot Ulcers and Their Recurrence. N Engl J Med. 2017; 15: 2367‒2375. 9)圡田博光:重症虚血肢症例に対する血管リハビリテーショ ン.日血外会誌.2011; 20: 927‒932. 10)山崎遥人,林 久恵,他:外科的下肢血行再建術後の透析 患者の死亡 / 下肢切断リスクスコア:歩行能力を考慮した 検討.脈管学.2016; 56: 85‒91. 11)Granger CV, Hamilton BB, et al.: Advances infunctional assessment for medical rehabilitation. Top Geri Rehabil. 1986; 1: 59‒74. 12)園田 茂,千野直一:能力低下の評価法について.リハビ リテーション医学.1993; 30(7): 491‒550. 13)荒木 厚:高齢者高血圧診療ガイドライン 2017.http:// www.jpn-geriat-soc.or.jp(2017 年 9 月 2 日引用) 14)Masuda T, Shirabe K, et al.: Sarcopenia is a prognostic factor in living donor liver transplantation. Liver Transpl. 2014; 20: 401‒407. 15)Yoshizumi T, Shirabe K, et al.: Skeletal muscle area correlates with body surface area in healthy adults. Hepatol Res. 2014; 44: 313‒318. 16)Suárez-Dono J, Cervantes-Pérez E, et al.: CRONIGAL: Prognostic index for chronic patients after hospital admission. Eur J Intern Med. 2016; 36: 25‒31. 17)Taylor SM, Kalbaugh CA, et al.: Determinants of functional outcome after revascularization for critical limb ischemia: an analysis of 1000 consecutive vascular interventions. J Vasc Surg. 2006; 44: 747‒756. 18)Chung J, Becki B, et al.: Wound healing and functional. outcomes after infrainguinal bypass with reversed saphenous vein for critical limb ischemia. J Vasc Surg. 2006; 43: 1183‒1190. 19)Jones DM, Song X, et al.: Operationalizing a frailty index from a standardized comprehensive geriatric assessment. J Am Geriatr Soc. 2004; 52: 1929‒1933. 20)Ehlert BA, Najafian A, et al.: Validation of a modified frailty index to predict mortality in vascular surgery patients. J Vasc Surg. 2016; 63: 1595‒1601. 21)Kim DH, Kim CA, et al.: Preoperative frailty assessment and outcomes at 6 months or later in older adults undergoing cardiac surgical procedures: A systematic review. Ann Intern Med. 2016; 165: 650‒660. 22)Abou-Zamzam AM, Lee RW, et al.: Functional outcome after infrainguinal bypass for limb salvage. J Vasc Surg. 1997; 25: 287‒297. 23)大峰高広,岩佐憲臣,他:膝関節以下病変による重症虚血 肢に対する治療戦略―膝下 CLI の生命予後を規定する因 子とは―.日血外会誌.2014; 23: 766‒773. 24)Flu HC, Lardenoye JH, et al.: Functional status as a prognostic factor for primary revascularization for critical limb ischemia. J Vasc Surg. 2010; 51: 360‒371. 25)Mii S, Tanaka K, et al.: Aggressive wound care by a multidisciplinary team improves wound healing after infrainguinal bypass in patients with critical limb ischemia. Ann Vasc Surg. 2017; 41: 196‒204. 26)Ino K, Kiyokawa K, et al.: A team approach to the management of intractable leg ulcers. Ann Vasc Dis. 2013; 6: 39‒45. 27)Chung J, Modrall JG, et al.: Multidisciplinary care improves amputation-free survival in patients with chronic critical limb ischemia. J Vasc Surg. 2015; 61: 162‒ 169. 28)Vartanian SM, Robinson KD, et al.: Outcomes of neuroischemic wounds treated by a multidisciplinary amputation prevention service. Ann Vasc Surg. 2015; 29: 534‒542. 29)Hioki H, Miyashita Y, et al.: Prognostic improvement by multidisciplinary therapy in patients with critical limb ischemia. Angiology. 2015; 66: 187‒194. 30)野原隆司:心血管疾患におけるリハビリテーションに関す るガイドライン(2012 年改訂版) .pp. 95‒98. 31)Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2014. http://www. goldcopd.org/(2017 年 8 月 9 日引用).

(9) 重症虚血肢バイパス術後の日常生活活動の改善と長期予後. 〈Abstract〉. Positive Association between Improvement of Activity of Daily Living Following Surgical Bypass with Subsequent Rehabilitation and Long Term Outcomes in Patients with Critical Limb Ischemia. Yuko WATANABE, PT, Atsushi GUNTANI, MD, PhD, Eisuke KAWAKUBO, MD, Toshiaki HINO, PT, MS, Shinsuke MII, MD, PhD Saiseikai Yahata General Hospital Hirofumi SHIMAZOE, PT Steel Memorial Yawata Hospital. Objective: We examined the association between the improvement in activity of daily living (ADL) following surgical bypass and subsequent rehabilitation and the long-term outcomes in patients with critical limb ischemia (CLI). Methods: A total of 148 patients who underwent infrainguinal bypass for CLI from April 2011 to November 2016 were reviewed. They were divided into two groups based on the preoperative Barthel index (BI): Good group, BI ≧ 60; Poor group, BI< 60. The Poor group was further divided into two subgroups based on the BI change after surgery and rehabilitation (Improved group, BI at discharge ‒ preoperative BI ≧ 5; Non- improved group; ≦ 0). The groups were compared in terms of 3-year overall survival (OS) and amputation-free survival (AFS), as calculated using the Kaplan-Meier method. In addition, a multivariate analysis was performed to determine the factors inhibiting BI improvement. Results: The Good group was superior to the Poor group both in terms of OS and AFS (Good vs. Poor group; 66% vs. 46% in 3-year OS, 65% vs. 42% in 3-year AFS), and the Improved subgroup was superior to the Non-improved one both in terms of OS and AFS (Improved vs. Non-improved group; 68% vs. 38% in 3-year OS, 64% vs. 34% in 3-year AFS). Chronic obstructive pulmonary disease and non-ambulatory state were the significant predictors of inhibition of postoperative BI improvement. Conclusions: ADL recovery by surgical bypass and subsequent rehabilitation can lead to the improvement of long-term outcomes in patients with CLI. Key Words: Critical limb ischemia, Surgical bypass, Rehabilitation, Barthel Index, Long-term outcome. 317.

(10)

表 3 改善群・非改善群の患者背景 改善群 (n=27) 非改善群(n=34) p 値 年齢 * 1 73.8 ± 9.5 78.7 ± 7.1 0.023 70 歳以上  17 (63%) 31 (91%) 0.008 性別:女性 16 (59%) 18 (53%) 0.800 在院日数(日) * 1 58.5 ± 33.2 61.2 ± 47.9 0.805 Fontaine Ⅳ  26 (96%) 32 (94%) 1.000 ABI * 1 * 2 0.882 ± 0.334 0.874 ± 0.3

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