• 検索結果がありません。

58 図1スイスのコミュニティ計画案 丁 図2フランスのコミュニティ計画案 図3アメリカのコミュニティ計画案

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "58 図1スイスのコミュニティ計画案 丁 図2フランスのコミュニティ計画案 図3アメリカのコミュニティ計画案"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

57

ペルー低所得者向き集合住宅国際コンペにみるコミュニティ像について

中岡義介'・和田典子'ヰ

(平成10年9月21日受理)

はじめに-研究の目的と方法 わが国は経済的に豊かな社会を形成するにいたったが、 その一方で家族や学校などにおいて多くの問題をかかえ こむことにもなった。それは、一つには、家族や学校は 社会のあり方とともにあるものであるが、経済的に豊か な社会と家族・学校などとの関係に新たな創造が求めら れるようになってきているにもかかわらず、新たな関係 をいまだ兄いだし得ていないことによるものと思われる。 両者の関係は物的には、人間の生理的生活の場として の住居と、それらの住居が集まってできるコミュニティ という形をとってあらわれる。ところが、コミュニティ の開発は、 1924年にC.A.ペリーが提唱した近隣住区理論 以降、ほとんど行われていないのが現状である。近隣住 区理論は、成長する大都市の時代にあって開発されたコ ミュニティ理論で、都市が成熟しいわゆる都市成長が止 まりつつある現在に有効であるかどうかは定かでない。 新しい有用な都市コミュニティの開発が見通せない状 況において必要なことは、いろいろなコミュニティの可 能性をみることであろう。その場合、世界的な都市化が 進行している現状では、日本だけではなく世界を見渡す ことが有効であろう。それが契機になって新しいコミュ ニティの開発が進むかもしれないからである。 このためには世界の各国・各地域での住居とコミュニ ティの調査を行うことが問われるが、今ひとつの方法と して同一の条件の下での住居とコミュニティの提案をみ ることが挙げられる。この種の試みは世界中をみてもそ う多くないが、その数少ない一つにペルーの低所得者向 き集合住宅国際コンペを挙げることができる。このコン ペは、 1969年、ペルー政府が低所得者向け住宅供給のた め、国連の協力を得て、国際指名の13か国の参加のもと に行ったものである。ペルーのリマという特定の国と地 域での住居およびコミュニティの提案を求めたものでは あるが、そこには多かれ少なかれ応募者の自国あるいは 自地域のコミュニティ観ともいうべきものをみることが できる。 そこで、本稿では、多少古いがこのペルー低所得者向 き集合住宅国際コンペを取り上げ、 (1)提案された集合住宅地計画の中から住宅とコミュニ ティの計画にかかる部分を整理し、 (2)物的コミュニティとはいかなるものか、 (3)それがいかなる考え方のもとに形成されているか を明らかにする。ここで取り上げる住居は、その平面構 成ではなく、コミュニティを構成する重要な要素として の住居である。そのかぎりでは住居およびコミュニティ 計画を取り上げるではなく、コミュニティ計画を取り上 げるといってもよい。以下では、後者を用いることにす る。 なお、ここで用いた資料は、 『都市住宅』 (鹿島出版会) の6912、 7001、 7002、 7007, 7009, 7010, 7011、 7012の 各号にて公表された応募案である。 1.国際コンペおよび応募案の概要 (1)コンペの概要 ペルー低所得者向き集合住宅の課題は、ペルーの首都 リマの郊外、約10kmのところに建設される低所得者のた めの低層住宅(1-2階)と住居地区の基本計画である。 初期計画では40haの敷地であるが、将来400haまで拡張 する計画である。今回の必要戸数は1500戸で、 37.5戸/ ha (グロス)、平均家族は6人、人口密度は250人/haほ どである。参考までに、住居の設計要項を要約的に示せ ば、次のとおりである。a. 1家族1ロットを占有し、 延450nfの敷地とする。 b.住宅の延べ面積は60-12 0m2とする。 C,階数は2階以下。 d. 10cmモジュールを使 用する。 e.家族数に対応する増築を考慮する(両親と 子供2人∼8人まで)。 (2)対象コンペ参加者 コンペに参加したのは13か国の第一線で活躍する建築 家およびグループであるが、ここで用いた資料にその応 募内容のすべてが掲載されていない。そこで、特に記載 が少ない6か国を剖愛し、以下の7か国の応募案を取り上 げた。 ・Atelier5 (スイス) Candilis,Josic&Woodsグループ(フランス) C.Alexanderグループ(アメリカ) ・Herbert Ohl (ドイツ) ・メタボリズムグループ(日本) James Stirling (イギリス) ・Tiovo Korhonen (フィンランド) なお、応募案には参加者名を用いることが正式である が、ここでは簡便法として国名を用いることにする。 (3)応募案の概要 応募案は図版とその説明によってまとめられているが、 '兵庫教育大学第5部(生活・健康系教育講座) =兵庫教育大学大学院(生活・健康系コース)

(2)

58

図1スイスのコミュニティ計画案

図2フランスのコミュニティ計画案

(3)

ペルー低所得者向き集合住宅国際コンペにみるコミュニティ像について

図4ドイツのコミュニティ計画

図5日本のコミュニティ計画

(4)

60

⊂二二コ '喜責苦

L ___」

塾宣建坦埠理数団坦堕

帽施

≡i事

=L

慧㌍撃

円「潤嗣面眉昌畏

図7フィンランドのコミュニティ計画 そのすべてをここに示すことはできないので、資料に掲 載された図版名としてそれを示すことにする。それは次 のようになる。 ・スイス-全体計画、住居ユニット配置計画、コミュ ニティおよび住居ユニットのレイアウトに 関する理論、住居ユニットのデザインに関 する理論、コミュニティおよび住居ユニッ トのレイアウトに関する理論と応用、住居 ユニットのデザインに関する理論と応用、 住居ユニット・タイプのバリエーション、 住居ユニットのファサード、住居ユニット の平面図・断面図、住居ユニットの構造お よび構法に関する理論と応用 ・フランス-全体計画、住宅ユニットの組合せ、住居タ イプのバリエーションと平面図、住居ユニッ トの平面詳細 ・アメリカ-全体計画、住居ユニット平面図、住居ユニッ ト模型写真、住宅ユニットのバリエーショ ン、住居ユニット構造図および部品、住居 ユニット群 ・ドイツ-モジュラ-・コーディネーション、全体計 画、主要幹線道路計画、コミュニティ計画、 住居配置計画、住居ユニット計画、住居タ イプのバリエーション ・日本一全体計画、ファミリ-パブリックと住居群、 住居ユニット平面図・立面図・断面図、住 宅ユニット構造図および部品、住居ユニッ ト断面詳細、設備装置、 Equipment Module模型写真、ユニット増殖システム ・イギリス・.・住宅ユニット群、住居ユニット平面回、住 居タイプのバリエーション、住居ユニッ ト群立面図、全体計画 ・フィンランド-全体計画、模型写真、住宅ユニット平面、 住居ユニット断面、構造および設備 2.応募案にみるコミュニティ計画 本章では、 1.の応募案全体に示した記載内容のうち コミュニティ計画に関するものを資料から要約的に取り だし、それをもとに各応募案のコミュニティの構成を整 PI!する。 2.1コミュニティ計画の内容 (1)スイス(図-1) 住居は第一にコミュニティの骨格の一部として奉仕し なければならないこと、そして環境の変化により個人は 自分の家に何かをっけ加えることができることがコミュ ニティの考え方の根幹である。通りや広場はそれが私的 領域となっていない場合のみ貴重な機能を有する。一方、 住居は個人のプライバシーの隠れ家でなければならない とする。このように、公的領域と私的領域は完全に分離 される。総合コミュニティセンター、学校など、すべて のコミュニティ施設は地域全体で利用できるコミュニティ の中心をなす開放的なものとして計画されている。 (2)フランス(図-2) 束縛的でない、誰でも受け入れ得る秩序を備える個人 の自由と集団効率のデリケートなバランス、という個人 協調の考え方がコミュニティの最大の柱となっている。 提案されたコミュニティの貝体的な基本構造は、 50m間 隔に平行にストリートがあり、そのストリートをっなぐ 可変的位置をもつ横丁がある。 2本のストリートに囲ま れるスペースはブロックとよばれ、住居ユニット、オー プンスペース、諸施設、店舗などがそこに収容されるO 各ストリートは垂直に交叉して、敷地の全長をしめる線 状センターがそこにでき、もっとも重要な共通の諸活動 を包括するという役割を果たす。ストリートとストi)-トを結ぶ横丁は、時として小さな広場、遊び場、店舗を 収容する。横丁は、住居を直接とりまくスペースであり、 居住スペースの延長として活用しうるように計画されて いる。 (3)アメリカ(図-3) 30-70戸の住居からなる<細胞区>と呼ばれる住区に よって構成される計画であるが、それぞれの住区は互い に分離しており、住居は住区の内部に向かって開いてい る。住区の入居者は同じ生活態度や関心をもつ人々の集 まりであり、その一つひとっが独自の生活様式を保っよ うにする。各区の中心には小さな公共広場を設け、住民 たちがもっとも良いと考える<コミュニティ観>にした がってその公共広場を完成させていくことになる。住区 の周囲に置かれる道路、学校、商業施設といったコミュ ニティ施設は住区と住区の境界地域に設けられる。 (4)ドイツ(図-4) 人間の安全および人間的・技術的な視点から見て優れ たコミュニケーション環境を開発するためには、それぞ れのコミュニケーション用施設の分離が必要であるとす

(5)

ペルー低所得者1昌lき集合住宅国際コンペにみるコミュニティ像について る考え方が基本をなす。その分離したコミュニケーショ ン施設と、それを取りまくオープン・スペースとを中心 として小さなコミュニティをつくり、それらを主歩行者 道により連結することで、住区全体のコミュニティを形 成する。また、センター間の歩行距離はなるべく短くな るように計画されている。種々のコミュニケーション路 は住居層において隣り合って存在し、その形態は単純で わかりやすいものとなっている。このことにより、住人 の公的・私的活動は非常にわかりやすいものとなってい る。 (5)日本(図-5) 個々の住宅ユニットはそれぞれが独立した表現をとり ながら、同時に全体としての意味をもっこと、またユニッ トが様々なコミュニティ活動に接していること、という 2つの特性に焦点が当てられている。その具体的な集住 形態として三角形のグルーピング・パターンが考え出さ れている。このパターンは、中央には共通の囲まれたエ リア(クローズド・コモン)を、端部には共通の連続エ リア(オムニベルト)を置く。クローズド・コモンは幼 稚園、子どもの遊び場など活動的ではないが多数に対す るサービスを行う。一方、オムニベルトは学校、商店な ど全住民の一体的なコミュニティを形成していく場であ る。住宅ユニットの90%以上がこれらのどちらかに面す ることになる。 (6)イギリス(図-6) 一軒の家はまず、近隣グループをつくる。すなわち、 4戸の家が共有壁に接して、 4つのサービス・パテオの 周辺に集まる。この4戸のクラスターは、次に共有の入 り口パテオを中心に20ないし21の家のグループを形成す る.このグループは近隣地区(約400戸)を形成する基 本的なクライスター・ユニットとなり、アクセス通路と 駐車場をもつ。各住区は小学校その他を含むパブリック パークによって区切られている。パブリックパークへの アプローチの側面に並んで、同時に住居地区の端々を閉 ざすかたちで、商業建設、コミュニティセンターが建っ。 (7)フィンランド(図-8) 公共建築及びビジネス建築によって定まる主な歩行者 軸が地域を貫通し、また濯概水路及び緑樹が縫って走っ ている。主・副センターは互いに明確に分かれないで、 中心軸沿いに直線的に並んでおり、平等に地域全体に活 気を与えている。また、ラテン民族の市場や広場の存在 を考慮にいれ、様々な大きさの市場や広場を中心部のみ ならず周辺地域にも置くようにしてある。これらの空き 地は公共の緑地ともなっているが、緑の大部分は主要な 歩行軸沿いに集中するように計画されている。 2.2コミュニティの構成 2.1に要約的に示したコミュニティ計画から、それら のコミュニティの構成を模式的にまとめると、それぞれ 61 次のようになる。 (1)スイス コミュニティ全体の公の場所(総合コミュニティセン ター、学校、通り、広場)が最重視され、個々の家はコ ミュニティの中の一要素にすぎない。しかし、公と私の 区別は明確でなければならないとされているように、公 ということが強く打ち出されるとともに、私の確立もき わめて高い。そこで、まず公の領域があるという意識が 強いということをので表現し、住居は公の一部では あるが私的領域として完全に分離されていることを ○で表した。 (図-8) 公 図-8スイスのコミュニティの構成模式図 (2)フランス コミュニティを形成する上で、最低限の規制はあるが、 それぞれ個人の住居、私の領域を最優先に考え、その住 居が個人協調のもとに集まった集団の残りの場が、道に なり、道の続く先が学校となり、諸施設などの公の場が つくられる。したがって、公の部分はスイスの場合より も公の色合いが弱いこと、またその領域が先行的に定め られていないためで表現した。 (図-9)

公 図-9フランスのコミュニティの構成模式図 (3)アメリカ アメリカのコミュニティには、私的領域である各住居 が集まってつくられる住区が色濃く打ち出されている。 それらの住区同士は、それぞれ独立した個性をもち、い ささかの交流はあるが住区の内部に向かって開かれてい

(6)

62 る。住区の中に必ず設けられる広場は、公共性の高い場 であると考えるため●とし、住区の住居以外の場 は⑳とした。学校、商店などのコミュニティ施設 は、住区が決定した後につくられることからと 私 図-10アメリカのコミュニティの構成模式図 (4)ドイツ 個々の住居の私的領域としての役割は明確であり、住 居がコミュニティの核となる。それに対して、スイスほ ど道路やコミュニケーション施設の公としての強い位置 づけではないが、公としての諸施設の位置がはっきりし ているので で表示し、それは地域の中心地 と連結される。 (図-ll) 公 図-11ドイツのコミュニティの構成模式図 (5)日本 住区のパターンは明確であるが、住区を構成している 個々の住居の私的領域という位置づけははっきりしない ため各住居を とした。住区は存在するの だが、他の住区およびコミュニティ施設に対しても閲か れており、自由に交流ができるため、住区を し、住区につくられる広場も◎とした。また、学校、 商店などはオムニベルトと呼ばれる地域に限定されるた と表現し、その他の公共の場はスイスのよう に公の立場が強くないと思われるため (図-12) 私 とした。 公 図-12日本のコミュニティの構成模式図 (6)イギリス 1戸1戸の住居の個は確立されているが、その住居が 4戸集まり、それがまた5つ集まり、そしてその20戸の 集まりが400戸の近隣地区をつくるというようなヒエラ ルキーをもっ。これらの住居は、すべてパティオと呼ば れる公共の広場に集まる。これらの住区は、小学校、パ ブリックパークによって区切られ、商業施設などにより 閉ざされているため独立性が高い。 (図-13) (7)フィンランド ドイツのコミュニティと似ているが、公の施設は中央 部に集められる点でドイツと異なる。 (図-14) 義-1各応募案にみるコミュニティ構成要素とその機能 要 素 住 居 住 居 群 機 能 国 名 個 を 尊 重 し た 生 活 空 間 全 体 の 一 部 と して の住 居 そ れ ぞ れ の 住 居 の 個 性 を 尊 重 し た 束 縛 的 で な い 自 由 な ま と ま り 群 と して の ま とま り の段 階 性 近 隣 グル ー プ 近 隣 地 区 パ ブ リ ッ ク ス ペ ー ス を もつ 閉 鎖 的 な 住 居 群 特 色 あ る 住 居 翠 ス イ ス ● ● 日 本 ● ● フ ラ ン ス ● ● ド イ ツ ● ● フ ィ ン ラ ン ド ● ● イ ギ リ ス ● ● ● ● ● ア メ リ カ ● ● ● ●

(7)

ペルー低所得者向き集合住宅国際コンペにみるコミュニティ像について 私 図-13イギリスのコミュニティの構成模式図 公 図-14フィンランドのコミュニティの構成模式図 3.各応募案にみるコミュニティ構成要素とその機能 2.2に整理したコミュニティの構成(図一8-図-14) には、その構成要素とそれぞれの機能が組み込まれてい る。 まず、住居とそれらの集住によるコミュニティは、 (彰 住居、 (塾住居群、そして③通り、広場、学校をはじめと するその他の諸施設、の3種の要素によって構成されて いることがわかる。 次に、それぞれの構成要素は、一通りのみの機能では なく、複数の機能を持っているが、住居は、 ①-1/個 63 を尊重した空間と、 ②-2/全体の一部としての住居と に分けられる。 住居群は、 (9-1/住居群をもたない束縛的でない自 由なまとまりと,②-2/住居群をもつものとに分けら れる。後者はさらに、 ②-1(1)/近隣グループを形成す るもの、 (9-1(2)/近隣地区となるものに分けられるO 同じ近隣地区でも、そのさらなる機能によって(9-1(2)-a/パブリックスペースをもつ近隣地区、 ②-1(2主b/ 閉鎖的な住居群としての近隣地区、 ②- 1(2)-c/特色あ る住居群としての近隣地区に分けられる。 通り、広場、学校をはじめとするその他の諸施設は、 ③-1/公的な領域として、完全に住居と分離している スペース、 ③-2/住居以外の共通のスペース、 ③-3/ 住居群同士を結合するスペース、 ③-4/それぞれの住 居を結合するスペース、にわけることができる。このう ち⑧-4はさらに、 ③-4(1)/公的な領域として完全に 住居と分離しているもの、 ③-4(2)/住居以外の共通の スペースに分けることができるo これらの構成要素とその機能分類にしたがって各応募 者のコミュニティを整理すると、表-1のようになる。 4.コミュニティの構成に関する分析 コミュニティの構成について、表-1から次のような ことを指摘することができる。 (1)住居について 二通りの住居に対する考え方の中で、個を尊重した生 活空間としての住居が5例、全体の一部としての住居が 2例である。わずか7例であるから、これだけで判断す ることには注意を要するが、個を尊重した生活空間とし ての住居がより多くのケースであり、全体の一部として の住居は少数に属すると考えてよいかもしれない。 (2)住居群について 事例数だけをみれば、群としてのまとまりを考える場 合と考えない場合にそれほどの偏りはないということが 義-1各応募案にみるコミュニティ構成要素とその機能(続) 通り、広場、学校をはじめとするその他の諸施設 公的な領域 と 住居以外の共 住居群 同士 を それぞれの住居を結合するスペース - して、完全に 住居 と分離 し ているスペー ス 通のスペI ス 結合するスペー ス 公的な領域 とし て完全に住居 と 分離 している 住居以外 の共 通のスペース ● ● ● ● i ● ● できよう。群としてのまとまりを考える 場合、近隣地区を設定することはいずれ にも共通してみられ、それを軸としてそ の他のまとまりを設定すると考えられる。 (3)通りや広場、学校をはじめとするそ の他の諸施設について 通りや広場、学校をはじめとするその 他の諸施設については、住居群同士を結 合するスペースという考え方が3例、そ れぞれの住居を結合するスペースという 考え方が2例、住居と分離されたスペー スおよび住居以外のスペースとするもの がそれぞれ1例である。住居あるいは住 居群の結合機能を認める事例が多いとみ

(8)

64 てよいであろう。 (4)構成要素相互の関係について 構成要素がいかに結びついているかをみると、 i)個を尊重した生活空間としての住居-それぞれの住 居の個性を尊重した束縛的でない自由なまとまり-それ ぞれの住居を結合するスペースとしての諸施設(あるい は住居以外の共通のスペース)、 ii)個を尊重した生活空間としての住居一群としてのま とまりの段階性をもつ住居群一住居群同士を結合するス ペースとしての諸施設、 というような一定の結びつきを認めることができるといっ てよいであろう。一方、 iii)全体の一部としての住居の場合は、住居群および諸 施設との一定の関係を認めにくい、 ということができるようである。 5.コミュニティ像に関する考察 各国の応募者が提案するコミュニティ像は、その構成 要素からみると、変わることはない。つまり、住居があ り、それらが集まって住居群となり、そこに通りや広場、 学校といった諸施設がもうけられて、それがコミュニティ となることに差異はない。ところが、かくして形成され たコミュニティ像に、どれ一つとして同じものはない。 それは、各構成要素の意味あるいは構成要素のとらえ方 が異なるからであり、各構成要素の組み合わせが異なる からである。 応募案をみる限り、コミュニティに欠くことのできな い基本的な要素である住居にすら2種類のとらえ方があ る。このことはコミュニティの差異の存在をすでに予感 させるのだが、そのいずれのあり方の住居を選ぶかによっ て、そこからもたらされるコミュニティ像が異なってく ることを上記の分析結果は示してくれる。 その場合、その展開はまったく自由な組み合わせとし て行われるのではなく、いくつかの組み合わせとして行 われるとみてよい。個を尊重した生活空間としての住居 の場合、住居群を形成すると否とを問わず、学校をはじ めとする諸施設はそれらの住居(群)を結合するものと して作用するように、少なくとも共通のスペースとして 位置づけられる。一方、全体の一部としての住居の場合 は、その後の展開はやや見通しにくいものとなっている。 しかし、これには公というものをいかにとらえるかとい うことが関わっているととらえれば、理解できるように 思われる。つまり、公あるいは全体という概念を確とし て持っているときには、すべてがそれによって律せられ てコミュニティが形成され、公あるいは全体の概念が暖 味であるときにはそれに代わるものとして、群としての まとまりの段階性を用いるのではないかということであ る。 おわりに 本研究によってコミュニティ像の多様さとそれをもた らす要因をある程度明らかにすることができたが、国際 コンペという資料を用いたものであり、その限界もおの ずとあることはいうまでもない。できればそれぞれの国 や地域でこの種の研究ができれば、それに越したことは ない。 また、今回は、住居そのものを取り上げることはしな かったが、今、住居がどのように進もうとしているか、 それを明らかにすることも必要である。すでに興味深い 試みや動きが報告されているが、それらの多くはコミュ ニティ提案を含んだものである。 さて、これからのコミュニティ像の創造をめざす場合、 住居-住居群一諸施設という系の中でその可能性を検討 することが必要となろう。コミュニティには諸施設とし て応募案に共通に学校が含まれるのだが、コミュニティ という言葉の代わりに学校という言葉を使うならば、学 校のあり方は住居のそれとけっして無縁ではないという ことができる。例えばフランスの場合、住居はまったく 個の領域、私の領域に属するもので、それが集まってで きる住居群もまた単なるその集合でしかない。この私 (個)の領域のソトが即、公の領域であり、それはなに ものによっても制約されることのないものであり、それ だけに公の領域に対して個人が責任を持っことになるの である。そこに学校は位置する。それに対して日本の場 合は、住居は全体の中にすでに組み込まれて、個はヒエ ラルキカルな住居群の中にあってはじめその存在を認め られる。そこでは学校はこうした住居群を結合するもの として位置づけられるのだが、学校には住居群の結合と いう役割も付与されることになる。この両者の違いは明 瞭であろう。学校に求められる役割が異なるのである。 学校や家が大きく変わりつつある現在、それをいかに定 めるかはこれからの大きな課題である。そこにおいては じめて学校が果たすべき役割が見えてくる。 (荏)本稿は、現職教員である和田が大学院で研究しよ うと携えてきた課題に対し、中岡がそれを検討す る材料を提供し、 『課題研究』として議論してき た成果の一部をまとめたものである。

(9)

ペルー低所得者向き集合住宅国際コンペにみるコミュニティ像について

A Study on Community Images through the Proposals

of the International Housing Competition

for Low Income Class Dwellers in Peru

Yoshisuke Nakaoka・Noriko Wada

65

The Purpose of this paper is to clarify community images through the proposals of the International Housing Competitor! for Low Income Class dwellers in Peru. The mam results of this study are as follows;

(1) Community images of all proposals are different each together. (2) But the elements of the proposed communities are the same.

(3) The differences of community images are caused by different functions of the elements and the different com-bination of the elements.

参照

関連したドキュメント

平成 27 年 2 月 17 日に開催した第 4 回では,図-3 の基 本計画案を提案し了承を得た上で,敷地 1 の整備計画に

日頃から製造室内で行っていることを一般衛生管理計画 ①~⑩と重点 管理計画

「基本計画 2020(案) 」では、健康づくり施策の達 成を図る指標を 65

統制の意図がない 確信と十分に練られた計画によっ (逆に十分に統制の取れた犯 て性犯罪に至る 行をする)... 低リスク

②利用計画案に位置付けた福祉サービス等について、法第 19 条第 1

・本計画は都市計画に関する基本的な方 針を定めるもので、各事業の具体的な

この国民の保護に関する業務計画(以下「この計画」という。

★分割によりその調査手法や評価が全体を対象とした 場合と変わることがないように調査計画を立案する必要 がある。..