平成30年度
網代浜海水浴場流況調査
報
告
書
平成30年7月調査
1 目的 平成 30 年度海洋情報業務計画に基づき、新潟県網代浜海水浴場において流況調 査を実施し、海浜事故の防止に資する基礎資料を得るとともに、九本部海の安全推 進室活動の一環として啓発活動を実施する。 2 調査区域 新潟県北蒲原郡聖籠町 網代浜海水浴場(図 1 参照) 調査実施エリアを明らかにするため、調査区域をA~Cの 3 区域に分けた。陸域 を背にして左側にある防波堤から約 60mまでの範囲をA区域、その右側約 50m の範囲をB区域、更に右側約 60mの範囲をC区域とした。 3 調査期間 (1)現地作業 平成 30 年 7 月 9 日から 平成 30 年 7 月 10 日までの 2 日間 (2)資料整理 平成 30 年 7 月 11 日から 平成 31 年 3 月 22 日までのうち 15 日間 4 使用した船舶又は航空機の種別又は名称 なし 5 実施職員 (1)現地作業班 第九管区海上保安本部海洋情報部海洋調査課職員 4 名 広報対応 第九管区海上保安本部総務部総務課 第九管区海上保安本部海洋情報部監理課 第九管区海上保安本部交通部安全対策課 業務協力 新潟海上保安部 新潟航空基地 長岡技術科学大学 (2)資料整理班 第九管区海上保安本部海洋情報部海洋調査課職員 2 名
6 経過概要 日次 月日(曜日) 作業内容 1 7月 9日(月) 本部発、風向風速計設置、着色剤による流況調査、 本部着 2 7月10日(火) 本部発、着色剤による流況調査、 報道機関に対する公開調査、風向風速計撤収、本部 着 7 調査方法 (1)海面着色剤による流況調査 7 月 9 日、10 日に、調査区域の海岸に目印(三脚等)を 20m 間隔で適宜設置し、 目印付近の海域から着色剤(興亜化工社製 海面着色剤 KW1)の散布を行った。 着色剤が流れる様子を目視により観測したほか、デジタルカメラ及びビデオカメ ラで撮影し、流れた距離及び時間から流れの範囲及び速さを調査した。 また、長岡技術科学大学保有のドローン(DJI 社製 PHANTOM2+)により上空 からの撮影も実施した。 目印の設置状況を写真 1 に、着色剤の散布状況を写真 2 に、使用したドローン を写真 3 に示す。 (2)気象・海象の調査 7 月 9 日、10 日に、調査区域付近に風向風速計(固定式風向風速計: RainWise 社製 風向風速データロガー WindLog)を設置して風向風速を 1 分間 隔で計測した。風向風速計の設置状況を写真 4 に示す。 流況調査実施中の波浪を目視により 1 時間間隔で調査した。 国土交通省港湾局がインターネットで公開している全国港湾海洋波浪情報網リ アルタイムナウファスにある新潟港沖海象計(緯度 38 度 00 分 17 秒、東経 139 度 07 分 34 秒。調査区域から西南西方に約 9 海里)で観測された有義波の速報値 (2 時間間隔)(以下「ナウファス」)を検証のため利用した。 8 調査結果 (1)流況調査 調査結果を図 2~図 4 に、撮影した写真を写真 5~写真 7 に、目測及びドロー ン映像による着色海水の移動距離と速度を表 1~表 4 に示す。ただし、目測によ る着色海水の移動距離は眼高から調査結果であるため 5~10m 程度の誤差を含み、 沖合の遠距離になるほど誤差は大きい。 イ 7 月 9 日 10 時~13 時(図 2、写真 5、表1) B区域、C区域で着色剤散布を行い、B区域右で離岸流を確認した。C区域 左で着色剤を散布した海水はB区域まで並岸流として流れ、その後B区域右の 離岸流として沖へ向かった。B区域左及びC区域右に流れは無かった。
また、離岸流の幅を確認するため離れた 2 地点から同時に着色剤の散布を行 った。結果、約 9mの幅で沖へと向かう離岸流を捉えることができた。 ロ 7 月 9 日 13 時~15 時(図 3、写真 6、表 2) A区域、B区域、C区域で着色剤散布を行い、A区域、B区域とC区域の境 界で離岸流を確認した。C区域右に流れは無かった。 B区域とC区域の境界で確認した離岸流は、散布開始から 2 分で約 30m沖 まで達し、海岸と並行に流れた後、また海岸へ向かう流れとなった。流速は、 速い所で 21m/分(0.7kn)であった。 ハ 7 月 10 日 10 時~14 時(図 4、写真 7、表 3、表 4) B区域、C区域で着色剤散布を行い、B区域右で離岸流を確認した。B区域 左及びC区域に流れは無かった。 B区域で観測した離岸流の流速は、速い所で 10~15m/分(0.3~0.5kn)で あった。13 時過ぎからは、潜水士や報道機関関係者による漂流体験を実施し、 ウエットスーツを着用した漂流者がゆっくりと沖へ運ばれていく様子が観測さ れた。 (2)気象・海象の調査 調査期間における気象・海象を表 5 に示す。 期間を通じて天気は晴れで、風弱く、波も穏やかであった。10 日は 9 日より 風、波とも更に弱くなった。風及び波の向きは、2 日間を通しておおむね同じ傾 向であった。 9 考察 (1)地形との関係 離岸流の発生には海底地形の影響が大きく、調査を行ううえでも水深の把握は 重要である。今回は、本調査実施直前に行われた海水浴場での深浅測量結果を自 治体から提供を受けることができ、着色剤散布点選定の参考となった。 水深 50cm程度では海水の動きが無い場所でも、少し沖へ移動し水深 1mを超 えると離岸流となって流れ出すような場所も確認された。 (2)気象・海象との関係 イ 波の影響について 目視観測による波の観測結果は 9 日、10 日とも波向が北北西、波高 0.2~ 0.3m とほぼ変わらず、離岸流との相関性は確認できなかった。
ロ 風の影響について B区域で確認された離岸流の移動速度と、波高及び風速を重ねたグラフをグ ラフ1に示す。 9 日から 10 日にかけての風向は、西北西~北東と時間により変化があった が、いずれの場合でも離岸流の発生が確認された。 風速は、9 日が 5.8~9.6m/s、10 日が 4.7~8.5m/s と 9 日の風が強く、離 岸流の移動速度は 9 日が速い傾向であり、風速と離岸流流速に相関性が見られ た。 10 その他 (1)海浜事故防止の啓発活動のため、過去に離岸流による事故が発生した「網代浜 海水浴場」を調査海域として選定した。 (2)本調査では、「離岸流の発生メカニズム及びシミュレーションに関する研究」 を行う長岡技術科学大学と連携して実施し、同大学保有のドローンを使って、着 色海水の挙動を上空から録画した。陸上に計測目標として 20m 間隔の目印を配置 することで、着色海水の移動距離を計測し平均流速を求めた。9 日に顕著な離岸 流を捉えることができた。ドローンを利用した調査は、上空から撮影を行うこと により、眼高の目測では難しい離岸流の規模や流速をより明確に捉えることがで きる手法であり、離岸流調査に非常に有用なため今後も長岡技術科学大学との連 携を継続していく必要がある。 (3)10 日は報道機関関係者を対象に公開調査を実施した。公開調査では、パネル を使用しての説明や着色剤による流況調査、長岡技術科学大学保有のドローンに よる上空からの撮影、報道機関関係者の漂流体験など行いながら、離岸流につい ての啓発活動を実施した。地元新聞社・放送局のみならず東京の放送局による取 材も行われ、その様子が新聞 3 社及び放送局 6 社で報道された。 (4)10 日に漂流体験を行った報道機関関係者から、離岸流に流された感想の聞き 取り調査を行った。漂流開始時点では「流されていることに気がつかない」との 感想であったが、時間が経つと「だんだんと岸や陸にいる人が遠く小さくなって いくことに恐怖を覚えた」との声もあり、秒速 10~20cm(約 10m/分)とごく弱 い離岸流であっても恐怖感を抱いていたことが分かった。実体験に基づく貴重な 感想であり、今後の啓発活動に生かしていきたい。
写真2 着色剤の散布状況 写真3 ドローン(長岡技術科学大学) 写真1 目印の設置状況 写真4 風向風速計の設置状況
図1 調査区域
広域図
新潟県 聖籠町図2 調査結果
7月9日(10~13時)
約9m
約9m
図3 調査結果
7月9日(13~15時)
写真6 調査結果 ( 7月9日 13時55分調査開始)
約30m 約30m
20m
20m
※長岡技術科学大学提供の映像をもとに第九管区海上保安本部が作成。2分後
2分後
3分後
3分後
7分後
7分後
5分後
5分後
離岸流図4 調査結果
7月10日(10~14時)
写真7 調査結果 ( 7月10日 13時37分調査開始)
表1 目測による着色海水の移動距離と速度(7月9日)
表2 ドローン映像による着色海水の移動距離と速度(7月9日)
※移動距離は眼高からの目測であるため5~10m程度の誤差を含み、沖合の遠距離になるほど誤差は大きい。 投入日時 経過時間 (分:秒) 所要時間 (秒) 移動距離 (m) 移動速度 (m/分) 移動速度 (kn) 2018/7/9 13:35 1:00 60 13 13.0 0.4 2:00 60 9 9.0 0.3 B 区 域 3:00 60 10.5 10.5 0.3 3:30 30 6.5 13.0 0.4 4:00 30 4 8.0 0.3 5:00 60 11.5 11.5 0.4 6:00 60 12 12.0 0.4 投入日時 経過時間 (分:秒) 所要時間 (秒) 移動距離 (m) 移動速度 (m/分) 移動速度 (kn) 2018/7/9 13:55 0:10 10 3.5 21.0 0.7 0:30 20 5.5 16.5 0.5 C 区 域 1:00 30 5.5 11.0 0.4 2:00 60 16 16.0 0.5 3:00 60 13 13.0 0.4 4:00 60 10.5 10.5 0.3 5:00 60 10 10.0 0.3 6:00 60 9 9.0 0.3 7:00 60 5 5.0 0.2 7:30 30 8.5 17.0 0.6 7:30 240 17.5 4.4 0.1 投入日時 経過時間 (分:秒) 所要時間 (秒) 移動距離 (m) 移動速度 (m/分) 移動速度 (kn) 2018/7/9 14:21 0:20 20 5.5 16.5 0.5 0:30 10 3.5 21 0.7 A 区 域 1:00 30 10.5 21 0.7 1:30 30 6 12 0.4 2:00 30 5.5 11 0.4 3:00 60 12 12 0.4 4:00 60 11 11 0.4 5:00 60 6.5 6.5 0.2投入日時
所要時間
(秒)
移動距離
(m)
移動速度
(m/分)
移動速度
(kn)
区域
2018/7/9 10:45
120
40
20.0
0.6
B
2018/7/9 11:01
120
20
10.0
0.3
C
2018/7/9 11:15
120
40
20.0
0.6
B
2018/7/9 11:19
120
40
20.0
0.6
B
2018/7/9 11:39
180
50
16.7
0.5
B
投入日時 経過時間 (分:秒) 所要時間 (秒) 移動距離 (m) 移動速度 (m/分) 移動速度 (kn) 2018/7/10 13:37 0:20 20 4.5 13.5 0.4 東端 0:30 10 2.5 15.0 0.5 1:00 30 5 10.0 0.3 B 区 域 2:00 60 9.5 9.5 0.3 3:00 60 11.5 11.5 0.4 4:00 60 9.5 9.5 0.3 5:00 60 4.5 4.5 0.1 6:00 60 6 6.0 0.2 7:00 60 2 2.0 0.1 8:00 60 3 3.0 0.1 投入日時 経過時間 (分:秒) 所要時間 (秒) 移動距離 (m) 移動速度 (m/分) 移動速度 (kn) 2018/7/10 13:37 0:20 20 5 15.0 0.5 西端 0:30 10 2.5 15.0 0.5 1:00 30 5.5 11.0 0.4 B 区 域 2:00 60 8.5 8.5 0.3 3:00 60 6.5 6.5 0.2 4:00 60 7 7.0 0.2 5:00 60 5 5.0 0.2 6:00 60 5 5.0 0.2 7:00 60 5 5.0 0.2 8:00 60 2.5 2.5 0.1