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15高度化-19_平成15年度日墨EPA、FTAに向けての動向調査報告書

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日機連 15 高度化−19

平 成 1 5 年 度

日墨EPA、FTAに向けての動向

調査報告書

平 成 1 6 年 3 月

社団法人 日本機械工業連合会

独立行政法人 日本貿易振興機構

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戦後のわが国の経済成長に果たした機械工業の役割は大きく、また機械工業の発展を支 えたのは技術開発であったと云っても過言ではありません。また、その後の公害問題、石 油危機などの深刻な課題の克服に対しても、機械工業における技術開発の果たした役割は 多大なものでありました。しかし、近年の東アジアの諸国を始めとする新興工業国の発展 はめざましく、一方、わが国の機械産業は、国内需要の停滞や生産の海外移転の進展に伴 い、勢いを失ってきつつあり、将来に対する懸念が台頭しております。 これらの国内外の動向に起因する諸課題に加え、環境問題、少子高齢化社会対策等、今 後解決を迫られる課題が山積しているのが現状であります。これらの課題の解決に向けて 従来にもましてますます技術開発に対する期待は高まっており、機械業界あげて取り組む 必要に迫られております。わが国機械工業における技術開発は、戦後、既存技術の改良改 善に注力することから始まり、やがて独自の技術・製品開発へと進化し、近年では、科学 分野にも多大な実績をあげるまでになってきております。 これからのグローバルな技術開発競争の中で、わが国が勝ち残ってゆくにはこの力をさ らに発展させて、新しいコンセプトの提唱やブレークスルーにつながる独創的な成果を挙 げ、世界をリードする技術大国を目指してゆく必要が高まっておリます。幸い機械工業の 各企業における研究開発、技術開発にかける意気込みにかげりはなく、方向を見極め、ね らいを定めた開発により、今後大きな成果につながるものと確信いたしております。 こうした背景に鑑み、当会では機械工業に係わる技術開発動向等の補助事業のテーマの 一つとして独立行政法人日本貿易振興機構に「日墨EPA、FTAに向けての動向調査」 を調査委託いたしました。本報告書は、この研究成果であり、関係各位のご参考に寄与す れば幸甚であります。 平成16年3月 社団法人 日本機械工業連合会 会 長 相 川 賢 太 郎

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2001年1月のシンガポールとのFTA(自由貿易協定)締結をした我が国は、引き 続き韓国、メキシコ、チリなどともFTA締結に向けて情報を収集しています。なかでも メキシコとのEPA(経済連携協定)、FTA締結は、欧米市場への参入という観点から、 日本企業が期待しているところです。 このような状況のもと、米国内及びメキシコ内での関係者及び企業のEPA、FTA締 結に向けての現状や動向を把握することは日本経済の復興のためには必要不可欠です。 平成15年度社団法人日本機械工業連合会受託調査「日墨EPA、FTAに向けての動 向調査」として実施した本調査研究は、日墨EPA、FTA締結に向けての米国、メキシ コの最新の動向と傾向を調査し、日本経済の今後の市場拡大を図るとともに機械工業市場 競争を把握することも目的に行いました。 調査の実施にあたっては、独立行政法人日本貿易振興機構ニューヨークセンターにて調 査し、東京本部においてとりまとめました。 本報告書が関係各位のご参考となれば幸いです。 平成16年3月 独立行政法人日本貿易振興機構 理 事 長 渡 辺 修

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目 次 Ⅰ.調査概要 ... 1 1.目的... 1 2.面談先... 1 Ⅱ.調査内容... 3 1.日墨EPAに対する関係者の支持と関心 ... 3 1−1.グアナファト州の関係者... 3 1−2.中央(メキシコシティ)の関係者 ... 4 1−3.中立的な専門家... 5 2.メキシコ皮革・革靴産業の現状と政治的・経済的影響力... 6 3.「皮革・革靴の関税撤廃が不可欠」との墨側主張の根拠... 9 3−1.主張その1「皮革・革靴は対日輸出関心品目だから関税撤廃すべき」... 9 3−2.主張その 2「皮革・革靴はフォックス大統領の地元産業、大統領のファミリ ービジネスだから関税撤廃が不可欠」... 10 3−3.主張その 3「工業品は全て関税撤廃していること」及び「皮革・革靴除外に よるFTA支持母体の動揺と他産業(鉄・自動車等)の除外要求の高まりに対処するた め関税撤廃が必要」 ... 11 4.メキシコの産業界・政界の状況 ... 14 4−1.メキシコ産業界の状況... 14 4−2.メキシコ政界の状況... 15 5.(参考)メキシコ経済の現状と将来展望 ... 17

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Ⅰ.調査概要

1.目的 ・ 本報告書はメキシコ首都及び皮革・革靴産地のグアナファト州で、官民の関係者及び中 立的有識者から、1)日墨EPAへの期待、2)メキシコ皮革・革靴産業の政治的・経済 的影響力、3)日本の皮革・革靴部門の関税割当制度とEPAとの関係についての調査結 果である。また、その他産業の動向やメキシコの政治情勢についても適宜追加調査した。 2.面談先 ○グアナファト州(メキシコ最大の皮革・革靴産地):2003年6月2日∼3日 ・ グアナファト州経済開発庁:ロメロ長官、モラレス技術局長、フォチェレト投資促進局 長、バゲツ法務局長、ロサノ基礎産業局長、ロペスインフラ業務局長、ガルバン履物・ 皮革課長 ・ グアナファト州輸出振興公社(COFCE):キロス総裁、モンロイ輸出担当副部長 ・ グアナファト州製造業会議所:ロサノ会長 ・ グアナファト州履物産業協会(CICEG):サリム会長、トリヴィリノ副会長、ルビオ事 務局長、ロペス貿易部長 ・ グアナファト州履物部材産業協会(ANPIC):グディエレス会長、グリネ副会長 ・ グアナファト州皮革産業協会(CICUR):ヴァロソ会長、ヴェガ事務局長 ・ 中堅靴メーカー「キレイリ」社:キロス社長(=輸出振興公社総裁) ・ 中堅ブーツメーカー「カボルカ」社:トレス社長 ○メキシコシティ:2003年6月4日∼6日 ・ 連邦経済省:ゴンサレス基礎産業局長、サバレタ繊維履物課長 ・ 外国貿易銀行:イラネスアジア課長、フエルタ皮革履物課長 ・ メキシコ貿易関係企業協議会(COMCE):ビジャセノール委員 ・ 外国貿易企業間調整会議(COECE:FTAの民間窓口):マルチネス会長 ・ メキシコ製造業者連盟(COMCAMIN):サクリスタン貿易国際問題委員長、アルダペ課長 ・ メキシコ経済団体連合会研究所:レロデラリア氏、レガロード氏 ・ 全国製造業会議所(CANACINTRA):オリッツ副会頭、ペレス部長 ・ 在メキシコEU代表部:ベルランガ経済顧問 ・ アルマラス前上院議員(現コンサルタント)

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・ オルバナノス氏(コンサルタント) ・ デラカジュ前経済省通商交渉担当次官(現コンサルタント) ・ アギラール前ワシントン駐在NAFTAコーディネータ(現コンサルタント) ・ メキシコ大学院大学:ラミレス教授、ロマン教授 ・ ホワイト&ケース法律事務所:サントス弁護士 ・ 在メキシコ日本商工会議所:渡辺氏(伊藤忠メキシコ社長)、貴村氏(丸紅伊藤忠スチ ール社長)、兼田氏(東芝メキシコ副社長)

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Ⅱ.調査内容

1.日墨EPAに対する関係者の支持と関心 1−1.グアナファト州の関係者 【グアナファト州政府】 <州政府としての現状認識> ・ グアナファト州はメキシコの中央部(首都の北方)に位置し、人口は500万人である。 州都レオン市の他、中規模の都市がバランスよく点在している。銀で栄えた古都グアナ ファト市は国連の世界遺産に指定されている。 ・ グアナファト州の主要製造業は、皮革・革靴、自動車、化学、衣料縫製、金属加工であ る。最近の成長分野としてプラスチック産業や食品加工、ギフト工芸品などもある。産 業組織が整っている業界は、食品・生鮮品、皮革・革靴、繊維、工芸品(家具、陶器)、 金属・機械の5部門である。 ・ 雇用の面では皮革・革靴産業は労働集約的であり引き続き重要となっている。他方で、 最近、GMの工場誘致に成功し自動車部品産業が60社も集積するに至った。日産やホンダ も近隣の州に投資しており、グアナファト州への関心が高まることを期待している。食 品加工もダノンをはじめとする欧米企業の投資が進んできた。 ・ 農業も重要セクターであり、たまねぎ、にんにく、ブロッコリー、アスパラガス、乳製 品、豚肉、香辛料などを生産している。特殊な産品としては食用サボテンがある。 ・ 伝統的な地場中小企業が多いのもグアナファト州の特徴となっている。その代表はやは り皮革・革靴産業だが、民芸品、陶器産業等も発展の可能性がある。 <日墨EPAへの期待> ・ 日本からの投資促進を期待している。特に自動車産業は部品企業の進出などを期待して おり、すでに日系メーカーの一部(カサイ、アベンテック、SMC)等が進出を開始して いる。 ・ その他のEPAの効果として日本に期待しているのは、技術支援や技術移転、裾野産業支 援などである。 ・ 勿論、日本の市場開放も期待している。その意味では皮革・革靴産業がEPAに関心を抱 いている。同産業の北米市場依存体質を変えていきたい。同時に同業界は日本からの技

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術移転、投資も期待している。 ・ 他方、そもそも皮革・革靴に限らず、グアナファト州と日本の貿易関係は極めて脆弱で ある。グアナファト州の対日輸出額は2002年でわずか9百万ドルと全輸出額の0.15%(大 半が食料品と化学製品)。日本からの輸入額も3千3百万ドルと全輸入額のわずか0.41% である。従って、EPAによって貿易全般が活性化することが大切である。この意味では、 特に、農産品・加工食品に対する期待が大きい。 【レオン市製造業会議所】 (注)本団体は中小企業団体CANACUNTRA(製造業会議所)の支部。 <日墨関係一般の評価> ・ 自動車部品メーカーのカサイの投資は地元に高く評価された。直接雇用のみならず、工 場建設等で建築業者も潤った。 ・ グアナファト州は全体として外資を歓迎している。地理的にもメキシコの中心部で、半 径500キロ以内に5千万人の人口を抱えている。ただし、レオン市は既に賃金水準が上昇 しているため、外資が来てこれを更に吊り上げるのは歓迎されない。 <日墨EPAの評価> ・ 率直にいって情報が少なく、地元業界では議論していない。全国組織に連邦政府から情 報インプットがあれば傘下の80支部の議論が開始されるはずである。 ・ 想像でいえば、履物と生鮮野菜産業は対日進出関心が高いだろう。 【グアナファト州皮革・革靴業界】(詳細はⅢ.2を参照) ・ EPAには両国の市場開放の効果を期待している。関税率を一定の期間内に引き下げるこ とが重要である。同時に非関税障壁の撤廃も重要である。 ・ 日本の市場が開放されてもこれを全部侵食する気はない。ニッチマーケットに入ってい きたい。例えばメキシコの安全靴は世界一である。価格帯としては中間からやや高めの 領域がよい。 1−2.中央(メキシコシティ)の関係者 【全国製造会議所(CANACINTRA)】 ・ メキシコにとっては米国依存からの脱却、中国との競争力強化というのが国家の産業政

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策の方向性であり、日本は補完性があるため戦略的なパートナーシップを組めると考え ている。EPAに対してもこの観点から支持をしている。 ・ 中小企業団体が自由貿易志向なのは驚くかもしれないが、メキシコ国民は民族系である ため大企業の多くが欧米外資の支配下にある現状に不満を抱いている。EPAによって、 自分たちの傘下企業(自動車部品、食品加工、資本財(金型)、金属加工、鋳造、医療 器具、産業向けサービス)が日本企業のサプライヤーになれれば、世界市場で勝負でき る大リーグプレイヤーになれるとの期待感がある。 【外国貿易企業間調整会議(COMCE)】 ・ メキシコが輸入代替政策から対外開放政策に転換したのが85年であった。その後、GATT 加盟、NAFTA、EU等の経験を踏まえ、更に市場のオープン化を追求したい。 ・ また、日本との経済交流を通じて、メキシコの欠点(透明性の欠如、腐敗、非効率)に 焦点がいき、これらの改善を後押しすることも期待している。 【日系企業(在メキシコ商工会議所)】 ・ FTA相手国以外の国を国の政府調達から締め出すという動きは深刻となっている。 ・ 既に、国立病院の医療機器入札で排除された。また、石油公社へのゴムホース納入も排 除された。 ・ 今後、非随伴天然ガスの開発業務委託の入札(総額13億ドル)が本格化するため、商社 やエンジニアリングメーカー等にとっては死活問題となっている。 ・ 鉄鋼製品の輸入関税は現在でも欧米メーカーとの競争を不可能ならしめる水準となっ ている。その意味で迅速な交渉妥結を切望している。 1−3.中立的な専門家 【デラカジュ前次官:NAFTA、EU-FTAの交渉責任者】 ・ メキシコにとっての本EPAの意義は2つある。第一は、農業の日本市場アクセス、第二は メキシコの工業品原材料(鉄鋼や化学品)の関税を下げることにより、下流産業にとっ て良質で安価な製品を日本からより大量に輸入し、メキシコ産業の国際競争力を向上さ せることである。

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2.メキシコ皮革・革靴産業の現状と政治的・経済的影響力 【皮革・革靴産業の現状と課題:現地での調査結果】 ・ グアナファト州での履物産業の直接雇用は7万人とされる。皮革の原材料供給などの 間接部門は更にこの4倍程度の雇用を維持している。企業数は1,100社ほどだが、ほと んどが零細企業である。従業員が500人以上ある企業は数社程度。 ・ 国内市場が主なマーケットとなっている。しかし、国内市場は、中国やブラジルとの 競争にさらされている。FTAの副作用として、米国等のFTA相手国からの中国製品の輸 入が増えている。しかし、特に問題なのは、中国製の密輸品である。シアトルに陸揚 げされた密輸品が「米国製品」と称して大量に国境地域から流入している。せっかく 高額の相殺関税を課しても抜け穴状態である。輸出業者に原産地認定の自己認証を与 えたのが失敗の原因となった。産業界としての最大の課題が本問題への対応とされる。 ・ 密輸品対策については、国内市場の2割程度を侵食しており、本件については繊維等の 関連団体と一緒に5月にフォックス大統領に直接陳情を実施する。この結果、連邦政府 と連携して包括的な防止策を講じることになった。 (注)新たな防止策のポイント ① 税関のチェックポイントに業界派遣の監視人を派遣。 ② 原産地証明の管理ソフトウエアへの民間アクセスを可能にする。 ③ スイスの調査会社への貿易経路補足調査の委託。 ・ 輸出比率は3割程度だが、FTAパートナー向けが輸出額全体の97%を占める。とりわけ 米国向けが75%を占める。97年をピークに輸出は減退している(97年には26百万足だ ったのが02年には11百万足に下落)。米国の景気低迷が原因というのが地元の分析だ が、中国製等との競争による敗退も原因となっている。この結果設備過剰状態で、設 備稼働率はせいぜい7割程度である。 ・ 革靴に利用する原皮は、高級靴の場合、米国製(消費量全体の半分以上)、イタリア 製などとなっている。メキシコ製の原皮は、品質が落ちるので高級靴には向かない(俗 にメキシコの牛は鉄条網の中で飼われているため表皮に傷がつきやすい。また、なめ し等の工程も技術的に立ち遅れている)。 【グアナファト州の皮革・革靴業界団体の状況と活動状況】 ・ 業界は3つ(革靴協会のCICEG、靴部材協会のANPIC、皮革協会のCICUR)ある。 ・ CICEG(靴業界)は1,000社が加盟している。川上産業との統合力を強化し、知的所有

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権、人材育成、市場開拓等に関する強化プログラムを策定している。 ・ ANPIC(部材業界)はリーダー企業を中心に200社が加盟している。世界的な靴部材の 見本市をレオン市で開催しており、昨年は1,300社が出展し、来場者数は4万人を越え た。 ・ CICUR(皮革業界)は450社が加盟している。現在、イタリア、アルゼンチンとの技術 提携を推進している。中南米唯一の皮革見本市も市内で開催された。 【皮革・革靴産業の課題:連邦経済省の見解】 ・ 製造業に占める同産業の生産額比率は、93年1.5%が2000年0.94%と減少している。特 に輸出が97年以降減少傾向の中、輸入が増え昨年はネット輸入国に転落した。 ・ 当該産業の問題は、生産工程が統合されておらず価格・非価格両面での競争力が脆弱 なことである。商品開発力が弱く、クイックレスポンス能力も低い。 ・ 今後、輸出も視野に市場のニッチに対応する企業と、低価格汎用品を供給する企業に 一層分化していくが、後者は将来的には淘汰される可能性が高い。メキシコの賃金が 競争相手国に対して高くなってきている点も弱みとなっている。 ・ 地域的には、グアナファト州以外の弱小三地域には将来はない。 ・ 品質改善、生産効率向上、市場開拓能力向上、流通合理化、人材育成等を目的とする 産業強化プログラムを採択した。今後、地方政府事業への補助や貿易振興、密輸品対 策等で連邦政府としても応分の支援をする。 ・ 仮にEPAで日本市場が開放されたとしても、これを侵食することはない。そもそも輸出 能力のある企業は限定される。また、イタリアや中国製品の一部を代替する方向に動 くのではないか。むしろ、レオン市での国際見本市への日本企業の参加など、お互い の能力を補完する連携の高まりを期待している。 【参考:現地視察した革靴企業の模様】 <キレイリ社:高級モカシン靴等の製造> ・ グ州の中では大手である。従業員は750名ほどいたが、コンピュータ導入によるフレキ シブル生産体制の導入により人員を400名ほどに減らした。ただし、同じ型を大量に作 るモカシン靴の場合は労働集約的に生産したほうが現在でも効率的である。 ・ 製品の5割は輸出でほぼ全てが対米向けである。NIKE、COLEHAANのOEMで高級靴を出荷 している。日本に対しても、かつて丸紅との合弁で輸出実績がある。 ・ 今後は、ユーロに対するペソ安メリットを生かして対欧進出が狙い目となっている。

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・ 中国の安値輸入が最大の問題である。 <カボルカ社:高級ウエスタンブーツの製造> ・ 米国企業と提携して従業員を650名まで伸ばしたことがあったが、業務提携解消により 220人まで縮小した。 ・ 一日につき1,000足ほど生産している。製品の8割は欧米向に輸出している。 ・ 競争相手は国内の大手業者、ヨーロッパにも競争相手がいるが、中国には侵食されて いない。 ・ 刺繍部分などにはコンピュータによるデザイン及び自動刺繍の技術を導入している。 ・ 公害対策のため、粉塵の出る現場の従業員にはマスク装着を義務付けた。騒音防止対 策も強化した。 ・ 従業員の給与は週100ドルとなっている。メキシコの最低賃金の4倍程度で、定着率は いい。 ・ 日本とは中小商社と取引があるが、本格進出に意欲をもっている。ジェトロ経由で日 本の輸入業者のリストを入手したいと希望している。 【皮革・革靴産業の政治的影響力(大統領との関係も含め)】 <皮革・革靴業界自身の見解> ・ 自分たちが明確に大統領にアクセスしたのは、中国密輸品問題が最初である。しかし、 本件は自分たちの特権的地位利用ではなく、他の11産業と一体の行動である。具体的 には、織物、衣料品産業など、雇用が多い地場産業がセンシティブ部門との認定を受 けている。これはフォックス政権以前から続いている。 <グアナファト州の関係者の見解> ・ 大統領の父は野菜農家である。大統領の甥(クリストバル・フォックス)が3年前にブ ーツ事業を開始したが失敗した。製造部門を持たず、割高だった上、市場が飽和状態 で新規参入の余地がなかった。現在は、事業を縮小して部材供給のみとなっている。 ・ レオン市の出身者が側近として中央に行ったという意味で当地のプレゼンスは高まっ たが、そのことを以って影響力が増したという感じはしない。 ・ CICEGの会長はよくレオン市長になり、地域の有力業界である。また、現在の連邦上院 議会の議長(プレセンシア氏)は元レオン市長である。更にグアナファト州の州知事 は皮革製品ビジネスを手がけており、皮革製品会議所の会頭だった人物である。

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3.「皮革・革靴の関税撤廃が不可欠」との墨側主張の根拠 3−1.主張その 1「皮革・革靴は対日輸出関心品目だから関税撤廃すべき」 ・ 業界自身が対日輸出に関心を持っているのは歴然たる事実であり、関税撤廃が望まし いことは事実である。 ・ 他方、以下の関係者のコメントが示すように、当該業界の対日輸出能力の限界や業界 自身の対日関心事項の幅広さを考慮すると、これが主たる理由とは必ずしもいえない。 ・ 裏返せば、純粋な産業政策的観点からは、関税撤廃以外の方法でも当該業界の要望に 対応することはかなりの程度可能と考える。 【メキシコ(グアナファト州)皮革・革靴業界】 ・ 皮革・革靴業界の関心は、国内市場保護だったが、徐々に他国市場にも着目している。 北米市場進出は一定の成果をあげている。この流れで日本市場にも進出したい。 ・ 他方で日本市場の品質要求の高さは承知している。従って、メキシコ産業に競争力の あるニッチ市場を狙いたい。具体的には、安全靴、ウエスタンブーツ、子供用の矯正 靴、及び中程度以上の価格帯の紳士靴における市場を狙う。 ・ 日本政府は、皮革・革靴部門の関税をゼロにしない、あるいは市場を開放しない方針 と理解している(注:当方から説明する前の先方発言)が、再考してほしい。あるい は現行の割当制についての特別の配慮を検討できないか。 ・ NAFTAで、猶予期間を設けない市場開放を行った結果、密輸品流入という失敗をした経 験に照らし、猶予期間については柔軟に考える。 ・ 仮に日本の皮革・革靴関税が全く下がらなければ、本EPAを評価することはできない。 しかし、自分たちはメキシコ政府の立場を信用しており、他の戦略産業を裨益させる ためにEPAが必要だということも理解する。 ・ また、日本の皮革・革靴産業との交流もこの機会に促進したい。ぜひ、経済産業省の 支援をお願いしたい。 ・ なお、メキシコの靴部材産業は、メキシコ側の関税の即時撤廃の用意がある。 【グアナファト州経済開発庁幹部】 ・ 皮革・革靴市場の開放が望ましいことは当然だが、これが不可能だからといって日墨 EPAの他のメリットが減殺されるものではない。

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・ 市場の開放は結局民間の努力に拠る。グアナファト州の食品加工業が伸びつつあるの は、「アロエ(サボテン)ヨーグルト」などにおける独自の商品開発による。 【グアナファト州の有力靴メーカー経営者】 ・ 日本の消費者は洗練されており、総合商社等と綿密な輸出戦略を立てないと輸出の成 功はありえない。その意味から、市場開放によりメキシコ履物産業全体が活性化され ると考えるのは楽観的すぎる。 ・ むしろお互い輸入割当でセンシティブセクターを守った上で、技術投資交流等の果実 を追求すべきである。仮に、日本市場が開放できなかった場合は、技術協力、融資等 の恩恵をめざすとともに、ニッチ商品進出を探ればよい(注:同氏はかつて日本に進 出した経験あり)。 3−2.主張その 2「皮革・革靴はフォックス大統領の地元産業、大統領のファミリービ ジネスだから関税撤廃が不可欠」 ・ 関係者の発言を総合すると、大統領個人への利益誘導のような非合理的動機がメキシ コ産業界や議会との関係で通用するとは思われず、むしろリスクを増す可能性もある。 ・ 今回の調査では、必ずしも肉薄できたわけではないが、大統領本人や、地元産業がそ のような圧力をメキシコ政府に掛けている証拠は見られない。 【グアナファト州関係者】 ・ EPAのような国家政策課題が、大統領の個人的思惑で判断が変わることはありえないと いうのが常識的ではないか。 ・ グアナファト州選出の上院議員は2名である。両者とも少数与党のPAN党員だが、彼ら がEPA批准に当たって皮革・革靴産業の利害のみで反対するような事態は考えにくい。 ・ 今後、皮革・革靴産業が本気で政治力を行使するとしたら、ブラジルや中国のように 自国産業を補助金等で不当に支援している国とFTAを結ぶことに対する反対行動だと 思う。 【連邦経済省(基礎産業局)】 ・ 大統領がグアナファト州出身なため、業界が直接陳情行動を起こすということは一般 論としてはある。密輸品対策はその例である。しかし、FTAに関するあからさまな利益

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誘導は野党(PRI、PRD等)多数の議会との関係上不可能である。 ・ 日墨EPAで業界が政治に働きかけるとしたら、中国製品等の迂回輸出に対する懸念表明、 及びそのための原産地証明の厳格化要求ぐらいではないか。 3−3.主張その 3「工業品は全て関税撤廃していること」及び「皮革・革靴除外による FTA 支持母体の動揺と他産業(鉄・自動車等)の除外要求の高まりに対処するた め関税撤廃が必要」 ・ 識者への取材の結果、メキシコ政府の方針は、議会や産業界に対し説得能力の高いFTA の構造を作ることであると推察された。特に現在のフォックス政権は少数与党政権で あることに加え、最近の一連の諸改革がことごとく産業界、野党の抵抗にあって頓挫 していることから、政権=連邦政府サイドとしては、日墨EPAの成功に最大限の慎重を 期したいものと考えられる。 ・ その意味において「工業品関税の一律撤廃」は、単なる形式美学ではなく、成功のた めの戦略的重要性を有している。過去のFTA交渉の関係者は、一様に本原則(ディシプ リン)による、自国内抵抗勢力の抑止効果を評価しており、彼らの薫陶を受けたトラ スロセロス局長にとっては極めて自然な選択肢である。 ・ 具体的にどの国内産業が抵抗勢力なのかを取材したが、鉄鋼業等が例示されるものの、 関係者の反応はまちまちであった。しかし、具体的な対象者が想定されなくても、将 来の敵対勢力の攻撃材料を予め封殺するという観点で、やはり本戦略は有効である。 ・ 更に、上記Ⅰでも触れたように、工業品関税一律撤廃は、メキシコの脆弱な川上産業 (鉄鋼、化学)を日本製品との競争にさらすことで、ユーザである川下産業に安価で 高品質の原材料供給機会をもたらすとともに、淘汰の過程を経て生き残ったメキシコ 川上産業自身の競争力向上をももたらす。このような積極的な産業政策的メリットが あるため、経済省にとっては二重の意味で合理的戦略である。 ・ 以上のことから、結論的には、本理由がメキシコ経済省の主張の核心的理由と考えら れる。本結論を補強する関係者の発言を以下に付す。 【デラカジュ前次官】 ・ 基本的にメキシコは親日的であり、政府が上手に日墨EPAを上程すれば議会は反対しな い。しかも本件は、幸い政治問題化していない。メキシコは日本の力を借りて中国の 競争力に対処していきたいと考えており、そのような台本ができれば問題ない。

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・ 政治問題化するリスクは、本件に関心が高く政治力の強い農業セクターが本件の内容 に失望した場合である。あるいは、どちらかの政府が不適当な対応をして、問題が悪 化する場合である。 ・ 日本政府が工業品に関税撤廃の例外品目を作るのは、まさに後者の典型的シナリオで あり避けなければならない。FTAの最良のルールは、「工業品の関税撤廃については例 外なし」である。一部に例外を認めると、他のセンシティブ品目についてもドミノ式 に影響をもたらし、結果的に例外だらけの無様なFTAになる。韓国=チリFTAが典型的 である。 ・ なお、この場合の「関税撤廃」とは10桁ベースのラインバイラインの撤廃を指すのが 常識とされる。日本は、工業品に関しては全品目撤廃で合意し、後は原産地規則とス テージングで対応すべきである。自分がEUとのFTAを交渉した際もこの原則を明確に維 持しつつ、この原則の範囲内で個別の配慮をしたため、議会も慎重な業界も抑え込め た。 ・ 仮に日本が皮革・革靴部門の関税撤廃を拒否しても、フォックス大統領との関係で政 治問題化するということはない。しかし、皮革・革靴産業の対日進出機会を奪うとい う経済的・実質的マイナス効果は大きい。 ・ また、皮革・革靴部門脱落を奇禍として、メキシコの鉄鋼・化学部門の関税撤廃が落 ちると、メキシコの川下産業競争力強化という本EPAの真の意義が喪失する。これは日 本のみならず、メキシコにとっても重大な損失となる。 【外国貿易企業間調整会議(COFOCE)関係者】 ・ 皮革・革靴部門を開放してもメキシコの輸出浸透は微々たるもののはずである。関税 メリットを市場シェアに転換することはせず、単に超過利潤を得るだけである。 ・ そもそもメキシコの皮革・革靴産業は一貫して米国依存体質であり、EU−FTAができて も変化できなかった。 ・ だから、日本サイドは恐れることはない。関税撤廃をした上で、必要ならば割り当て 枠を残せばいいのではないか。関税撤廃をしないとメキシコ側への跳ね返りが心配で ある。 【EU代表部ベルランガ経済顧問】 ・ 自分達の経験では化学業界、機械業界などの抵抗が強かったが、工業品関税を全て撤 廃し、原産地規則で適宜調整というスタイルを採用したため結果的にスムーズに処理

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4.メキシコの産業界・政界の状況 4−1.メキシコ産業界の状況 【産業界の状況についての識者のコメント】 <デラカジュ前次官> ・ 農業以外のディールブレイカーはいないのではないか。鉄鋼は不満があるだろうが本 件を壊すほどの政治力はない。 ・ 化学産業は産業統合が進んでいないため内部の力学は若干複雑である。プロセック制 度を巡る政府の政策の揺り戻しもこの表れ(注:GE系列のレジンメーカーの反対で原 材料部材の輸入非関税措置が撤回された事例を指す)である。 ・ 繊維や皮革などは中国の迂回輸出がないと確信すれば反対しないのではないのか。 <アグラール氏(NAFTA交渉時の米国派遣部隊)> ・ 鉄鋼で要注意はTAMSA社である。鋼管メーカーであり、PEMEX(メキシコ石油公社)の 受注をほぼ独占している。日墨EPAによる日系メーカーの進出を懸念している。先日、 経済省のトラスロセロス局長と会った際も、懸念事項として彼の口から同社の名前が 出た。その際、皮革産業の話はでなかった。 ・ 同じく、鉄鋼メーカーでは、IMSA社も要注意である。カナレス新経済大臣は同社の副 社長出身で大株主である。旧国営企業であるAHMSA社も政治力があり、注意が必要であ る。同業界の団体はCANACEROとなっている。ブランコ元経済大臣はメキシコ鉄鋼業界 のコンサルタントをしており活用できるかもしれない。 ・ サリナス大統領はセンシティブ分野の取扱いについて、適切な処置をした。最初に「5 つのNo(石油、電力、通信等)」と宣言して、絶対防衛ラインを明確にしたので米国 の要求もある種の相場観ができた。 ・ ちなみに、NAFTAの際のメキシコ政府のワシントン駐在部隊は、米国議会担当、米国業 界担当、メディア担当、ヒスパニック担当、州政府担当と5部門の担当者を置いて総合 的な対米攻略を実施した。 <メキシコ大学院大学ラミレス教授、ロマン教授:国際関係論> ・ 中小企業団体(CANACINTRA)の代表は30代半ばのユダヤ系女性実業家(ポルレンスキ ー氏)だが、彼女は親日的で本EPAに好意的である。

(19)

・ 靴業界は国際競争力を喪失しつつあり、フォックス大統領のことを1年ほど前に激し く批判した。中央政界にも一定の影響力がある。 <EU代表部ベルランガ顧問> ・農業についてはPRIとつながりが深く慎重に対応している。作物の種類に補完性があると いうことでコンセンサス形成をしていった。また、穀類等センシティブ品目についての 議論は延期した。 4−2.メキシコ政界の状況 【フォックス政権と議会情勢】 ・ フォックス大統領の政権与党である国民行動党(PAN)は、少数与党(上院128名のう ち46名。下院500名のうち207名。ちなみに最大野党の保守的傾向の制度的革命党(PRI) は上院60名、下院208名を制する。)である。このような状況を反映し、選挙公約であ った構造改革は遅々として進んでいない。 ・ 大統領の認識は2006年12月までで、再選は制度上ない。7月6日の下院選挙でも与党の 過半数制覇は絶望的で、引き続き厳しい政治環境が続くであろう。 ・ 国民の経済政策支持率は20%程度だが、大統領自身の支持率は60%程度存在する。 【FTAと議会】 ・ FTAの批准権限は議会上院にある。特に、アジア太平洋州外交委員会と商業・工業振興 委員会の2つの委員会で可決された後、本会議で審議される。 ・ アジア太平洋州外交委員会は議席7名。野党のPRIが4名。与党のPANが3名。商業・工業 振興委員会は議席14名。PAN、PRIとも6名ずつで残りは第三党の左翼民主革命党(PRD) が2名を占める。 【議会対策に関する識者のコメント】 <アルマラス元上院議員(PRI)> ・ 自分の知る限りでは、上院議会は日墨EPAには現時点では好意的である。 ・ ア太州外交委員会のサウリ委員長(PRI)と本件について話をしたが、彼女にはよく情 報が入っていた。政府が綿密に連絡をとっている様子だった。 ・ 商工業委員会のロケ委員長(PRI)は本件については「問題ない」と言っていた。

(20)

<メキシコ大学院大学ラミレス教授、ロマン教授> ・ 押さえるべきポイントは、メキシコ政界では、FTA批准を審議する上院の2つの委員会 と上院指導部である。特に上院PRIの指導部は「恐竜党」と呼ばれる抵抗勢力であり、 注意が必要である。 ・ 農業勢力、中小企業はPRIに影響力がある。特に主要農業団体であるCNAは、事実上PRI と一心同体となっている。この部分が今回のEPAで最大の影響力を発揮している。 ・ 国民はPRIからPANに支持を移したが、これがまたPANに戻りつつある。7月の選挙後は 一層PAN主導の議会運営になる。

(21)

5.(参考)メキシコ経済の現状と将来展望

(1)一般事情

・ 国名:メキシコ合衆国(Estas Unidos Mexicanos, United Mexican States) ・ 連邦共和国:31 州プラス連邦首都区 ・ 人口:1億100 万人(2001 年人口評議会推定) ・ 面積:197 万平方キロ(日本の約5倍) ・ 人種:ヨーロッパ系(15%)、ヨーロッパ系と先住民との混血(60%)、先住民 ※1990 年以降、国税調査の質問項目から除外 ・ 元首:ビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領(2000.12.1.就任、任期 6 年、 絶対再選不可) ※最初の2年で死亡等:国会が臨時大統領を任命の後、選挙。任期は残り期間。 ・ 国会:二院政/ 上院(任期6年)、下院 500(任期3年) (2)歴史 ・ 1519 年 エルナン・コルテス率いるスペイン人が侵入 ・ 1821 年 スペインより独立 ・ 1846 年 米墨戦争(∼48 年。国土の半分近くを米国に割譲) ・ 1910 年 メキシコ革命勃発 ・ 1917 年 現行憲法公布 ・ 1938 年 石油産業の国有化 ・ 1982 年 債務危機 ・ 1986 年 GATT 加盟 ・ 1993 年 APEC 加盟 ・ 1994 年 北米自由貿易協定(NAFTA)発効、OECD 加盟、通貨危機 (テキーラショック) ・ 2000 年 フォックス大統領就任 (3)基礎的経済指標

(22)

・国内総生産(GDP):6,178 億ドル(2001 年名目、ペソ建て価格を為替 レート 2001 年平均 9.343 で換算) ・1 人あたり GDP:6,117 ドル(2001 年名目/人口評議会の推定人口で換算) ・貿易額(2002 年):輸出(FOB)1,607 億ドル (前年 1,584 億ドル) 輸入(FOB)1,687 億ドル (前年 1,684 億ドル) ・資源:原油、天然ガス、銀等の鉱産物 ・外貨準備高:508 億 1,000 万ドル(2003 年 3 月 14 日現在) ・累積対外債務残高:1,510 億ドル(2001 年、暫定値、大蔵省) ・為替レート:1 ドル 10,890 ペソ(2003 年 3 月 21 日、銀行間取引 48 時間売り) (4)産業別データ ・GDP(2001 年) ・就業人口/3,898 万人(2000 年) ・農牧水産業 5.0% ・農牧水産業 18.1% ・鉱業 1.4% ・鉱業 0.9% ・製造業 18.2% ・製造業 19.4% ・建設業 4.7% ・建設業 6.5% ・電気・ガス・水道 1.1% ・商業 17.6% ・商業・レストラン・ホテル ・サービス業 28.3% 18.9% ・運輸・倉庫・通信 10.2% ・通信・運輸 4.4% ・金融・保険・不動産 11.7% ・政府 4.5% ・社会・個人サービス 25.8% ・分類不能 0.4% (5)産業分野別輸出入(2001 年) ・ 輸出/1,584 億ドル ・輸入/1,684 億ドル ・ 農林業 33 億ドル ・農林業 47 億ドル ・ 畜産・水産業 6 億ドル ・畜産・水産業 5 億ドル ・ 鉱業 121 億ドル ・鉱業 16 億ドル ・ (石油 116 億ドル) ・ 製造業 1,421 億ドル ・製造業 1,594 億ドル

(23)

・ (自動車 297 億ドル) ・ (輸送・通信 236 億ドル) ・ (電気・電子機器 453 億ドル) ・ (電気・電子機器 413 億ドル) ・ (産業用機械 253 億ドル) ・ (産業用機械 278 億ドル) ・ その他 3 億ドル ・その他 22 億ドル (6)6つのキーワード 6.1.メキシコは「エマージング優等生」を維持できるか? 6.2.世界最大消費市場隣接の永遠のメリットを生かせるか? 6.3.フォックス改革と抵抗勢力 6.4.拡大するFTA ネットワーク、日墨 EPA(FTA)で東西南北が閑静 6.5.成長する国内マーケットをターゲット 6.6.国家独占のエネルギー部門に民間資本の導入を拡大 (7)「エマージング優等生」の維持 ・ 「開発途上国市場」要因:貧富の格差、対外債務、投機的に左右されやすい金融市 場 ・ 「先進国市場」要因:OECD 加盟、NAFTA の一員、GDP 世界第 9 位、 インフレ・金利の落着き、投資適格国付与 ・ −>「エマージング市場」の優等生 ・ 課題:財政収入における石油への過度の依存(30%∼40%)、中国など 東アジア諸国との米国市場での競合(米国向け生産拠点としての 地位の低下) (8)永遠のメリット ・ 世界最大消費市場である米国に隣接―>米国向け生産拠点(電子・電気、自動車) <−NAFTA、マキラドーラ制度の活用。 ・ 中国など東アジア諸国との米国市場での競合が激化 ・ 要因:労働コスト増、マキラドーラ制度の変更、税制など頻繁な制度変更、インセ ンティブの欠如、裾野産業の未発達

(24)

・ かさばるものと生物(なまもの)に特化か? (9)賃金:中国との比較 ドル/月 ジェトロ、メキシコ日本商工会議所調査など 2001 年

メキシコ

中国(北京)

(メキシコ・シティ)

ワーカー

374

152

中堅技術者

630(tecnico)

353

中間管理職

課長jefe 1,726

426

部長 gerente 3,314

426

最低賃金

130

52.6

(10)自動車関連の新規投資例 ・ トヨタ:2001 年7月でメキシコでの販売を正式に発表し、9月にディーラーを6 社認定。2002 年4月よりカムリ、6月よりカローラを販売。2002 年6月、ティフ ァナでピックアップトラックの生産工場の建設開始。2004 年(荷台)、2005 年(車 体)から生産開始(17 万台、内荷台のみ2万台)。 ・ デンソー:2001 年7月、カーエアコン用生産のため、北部フロンティア市に工場 新設を発表。米国工場からの移管。 ・ タツミ:2001 年9月、又エボレオン市でブレーキ部品を生産。 ・ アルファ:2002 年6月:キーロック・メーカー。新工場建設。9月に稼動。総投 資額12 億円。日産、GM に納入。 (11)電子・電機機器の撤退事例 ・ SANYO:2000.5、TV 用チューナー、−>中国 ・ NEC:2000 末、携帯電話、閉鎖 ・ アルプス電気:2001.6、TV、VTR チューナーー>中国、マレーシア、韓国 ・ キャノン:2002.5、プリンターー>ベトナム、タイ ・ ケンウッド:2002.5、オーディオー>中国、マレーシア

(25)

・ NEC・三菱電機/合弁:2002.8、コンピュータ・モニターー>中国、マレーシア ・ TDK:2003.2、トランスフォーマーなどー>中国 ・ 三菱電機:2003.3、コンピュータ・モニターー>日本 (12)フォックス改革と抵抗勢力 ・ 2000 年 12 月、71 年振りの政権交代 ・ フォックス支持率70%(2001 年2月)−>59%(2002 年 12 月) ・ 進展しない構造改革:財政改革(石油依存体制からの脱却)、国家独占のエネルギ ー分野への民間資本の導入拡大、労働法の改正など ・ 2003 年 7 月 6 日に下院議員選挙:与党 PAN の過半数獲得は絶望、引き続き議会運 営が課題。 (13)国会政党別内訳 ・上院(128) ・下院(500) ・PAN(国民行動党)/与党:46 ・PAN(国民行動党)/与党:207 ・PRI(制度的革命党):60 ・PRI(制度的革命党):208 ・PRD(民主革命党):16 ・PRD(民主革命党):54 ・PVEM(緑の党):5 ・PVEM(緑の党):16 ・無所属:1 ・その他:15 (14)拡大する FTA ネットワーク ・ 日墨EPA(FTA)で東西南北が完成 ・ EPA:経済連携協定。FTA+α ・ メキシコは、FTA を 10 協定、31 カ国と締結。北:NAFTA、南:中南米9カ国+ メルコスールとの自動車協定、西:EU

(26)

・ 日墨EPA は 2002 年 12 月交渉開始、2003 年 10 月の交渉決着が目標

協定

締結相手国

発効

NAFTA(2カ国)

米国・カナダ

1994 年 1 月

G3(2 カ国)

コロンビア・ベネズエラ

1995 年 1 月

コスタリカ

1995 年 1 月

ボリビア

1995 年 1 月

ニカラグア

1998 年 7 月

チリ

1999 年 8 月

イスラエル

2000 年 7 月

EU(15カ国)

2000 年 7 月

中米北部(3カ国)

グアテマラ、エルサルバドル

2001 年 3 月

ホンジュラス

EFTA(4カ国)

アイスランド、ノルウェー

2001 年 11 月

スイス、リヒテンシュタイン

(15)日墨 EPA(FTA):交渉分野 ・ 関税 ・ 原産地規則 ・ 投資 ・ サービス ・ 政府調達 ・ 競争政策 ・ 基準認証 ・ 知的財産権 ・ ビジネス環境整備 ・ 二国間協力 (16)ビジネス環境の改善 ・ 税制(突如の税制変更<給与クレジット代替税など>、税制インセンティブの欠如 など) ・ 労働(PTU、硬直的な労働法、人材確保など) ・ 会計(インフレ会計制度)

(27)

・ 通関手続き(開梱要請などでスムーズな通関ができない、など) ・ 裾野産業の未整備(質の伴う現地部品メーカーの欠如など) ・ 金融(頻繁な監査など) ・ 知的財産権(模造品、違法コピー品による多大に被害など) ・ 行政手続き(会社設立に時間がかかりすぎる、など) ・ インフラ整備(停電の頻発、情報インフラの未整備など) ・ 治安(多額の安全対策費用でコスト増など) (17)成長するマーケット ・ 人口1億人、ASEAN10 カ国を上回る GDP ・ インフレ・金利の低下でクレジット販売が可能 ・ 高い消費性向 ・ 韓国企業は白物家電に積極的に投資 ・ 日本企業は自動車の国内マーケットに注目 (18)経済規模の比較 (注)メキシコは1999 年、その他は 1998 年の数値 (出典)ワイス:世界各国経済情報ファイル他

メキシコ

メキシコ

日本

アセアン

+FTA締結国

人口

9,701

81,206

12,670

52,015

GDP(億ドル)

4,835

190,727

38,080

4,736

輸出額(億ドル)

1,367

33,234

4,174

3,323

輸入額(億ドル)

1,421

35,463

3,097

2,790

(19)メキシコの賃金分布 ・ 人口: 9,701 万人 ・ 世帯数: 2,186 万世帯 ・ 賃金分布(2000 年) ・ 最低賃金1倍(130 ドル)未満 11.0%

(28)

・ 同1∼2倍(260 ドル)未満 32.8% ・ 同2∼5倍(1300 ドル)未満 35% ・ 同5倍(1300 ドル以上)以上 11.1% ・ 無収入 4.4% ・ 不明 4.9% (20)メキシコの消費市場 2000 年国勢調査など 普及率 ・ テレビ 85.6% ・ ミキサー 78.5% ・ 冷蔵庫 68.3% ・ 洗濯機 51.7% ・ ビデオ 38.6% ・ 電話 36.2%(固定電話 1,394 万台、携帯 2,270 万台) ・ 自動車 32.4% ・ コンピュータ 9.3% (州別:最高 21.6%/DF、最低 2.5%/Chiapas) ・ インターネット 3.0% (21)積極的な韓国企業 ・ 在メキシコ韓国人:86 年 40 家族―>2002 年 2.5 万人 ・ 在メキシコ日本人:駐在員・同家族0.2 万人、永住者:0.2 万人 日系人1.5 万人、合計 1.9 万人 ・ LG:2001 年 10 月、モンテレイに白物家電工場 ・ SAMSUNG: 2002 年6月、ケレタロに白物家電工場。携帯電話の生産拡大。2002 年のシェア10%(推定)、2∼3年後には 25∼30%まで拡大する方針。 (22)エネルギー改革 ・ PEMEX(石油公社)、CFE(電力庁)の独占

(29)

・ 電力改革法案:2002 年国会提出、大口需要者への売電可能。国会審議中。 ・ 非随伴天然ガスのMSC(マルチプルサービス契約):8鋼区の入札。7月下旬には

最初の落札者が決定。

・ IEA(国際エネルギー機構):2003 年にはメキシコは石油輸入国に。

(30)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。 非 売 品 禁無断転載 平 成 1 5 年 度 日墨 EPA、FTA に向けての動向に調査報告書 発 行 平成16年3月 発行者 社団法人 日本機械工業連合会 〒105-0011 東京都港区芝公園三丁目5番8号 電 話 03−3434−5384 独立行政法人 日本貿易振興機構 〒105-8466 東京都港区虎ノ門二丁目2番5号 電 話 03−3582−5544

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