1 わかりやすい解説シリーズ「税効果」
第 1 回 :税 効 果 会 計 とは
2011.11.28 新日本有限責任監査法人 公認会計士 鯵坂雄二郎 新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村 崇 1. 税 効 果 会 計 とは 【ポイント】 税 効 果 会 計 とは、会 計 上 の利 益 に見 合 った税 金 費 用 が計 上 されるように、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』 の違 い(ズレ)を調 整 し、適 切 に期 間 配 分 する手 続 きをいいます。 税 効 果 会 計 とは『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)を調 整 し、税 金 費 用 を適 切 に期 間 配 分 する 手 続 きをいいます。 詳 細 な解 説 は以 降 で順 を追 って行 いますが、まず、ある会 社 が『企 業 会 計 』においてこの税 効 果 会 計 を、 適 用 しない場 合 ・適 用 した場 合 を、それぞれ P/L の数 値 イメージで示 すと次 のようになります。 前提条件(参考に記載します。詳細は第 2 回で解説予定です。) 税 率 40% 費 用 400 には損 金 (『税務 会 計 』上の費 用 )として認 められない長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100 が含 ま れている(損 金 として認 められるのは 300) 法 人 税 等 調 整 額 (『企業 会 計 』と『税 務 会 計 』のズレを調 整 する P/L 科 目 ) 長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100×税 率 40%=40 P/L のイメージ2 ① 税効果 会 計を適用しない P/L 税 効 果 会 計 を適 用 しない場 合 には、税 引 前 利 益 が 100 なのに対 して、税 金 費 用 が△80 もかかっていま す(税 金 負 担 率 80%)。これは、実 際 の税 率 のおおむね 40%から乖 離 (かいり)しており、税 金 の負 担 が大 きい、見 た目 の違 和 感 のある P/L となっています。 ② 税効果 会 計を適用した P/L 税 引 前 利 益 が 100 なのに対 して、税 効 果 会 計 の適 用 による法 人 税 等 調 整 額 40 の計 上 により、税 金 費 用 が△40(=△80+40)となっています(税 金 負 担 率 40%)。これは、実 際 の税 率 のおおむね 40%と整 合 性 が取 れており、税 金 の負 担 が利 益 に見 合 った P/L となっています。 2.『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』における違 い 【ポイント】 会 計 にはいくつかの種 類 がありますが、それぞれ目 的 が異 なるため違 いが生 じます。 企 業 会 計 :会 社 の業 績 の把 握 が目 的 税 務 会 計 :公 平 な課 税 が目 的 会 計 にはいくつかの種 類 があり、税 効 果 会 計 とは『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)を調 整 し、税 金 費 用 を適 切 に期 間 配 分 する手 続 きである、と上 述 しましたが、そもそも『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』に なぜ違 いが生 じるのかというと、それはそれぞれの会 計 の目 的 が異 なるためです。
3 『企業会計』と『税務会計 』では目的が異なる 企 業 会 計 :会 社 の業 績 の把 握 が目 的 税 務 会 計 :公 平 な課 税 が目 的 目的が異なるため『企業会計』と『税務会計』には違いが生 じる 『企 業 会 計 』の「収 益 」・「費 用 」・「税 引 前 利 益 」という用 語 に対 し、『税 務 会 計 』では「益 金 」・「損 金 」・ 「課 税 所 得 」という用 語 が使 用 されます。 そして、それぞれ目 的 が異 なることから、『企 業 会 計 』の収 益 と『税 務 会 計 』の益 金 、及 び『企 業 会 計 』の 費 用 と『税 務 会 計 』の損 金 には違 いが生 じます。 具体例 例 えば『企 業 会 計 』では、費 用 は合 理 的 な範 囲 で早 期 に計 上 するという考 え方 があるのに対 し、『税 務 会 計 』では平 等 に課 税 するという観 点 から、あくまで明 確 に損 金 といえるものだけを損 金 にする、という ところに違 いがあります。具 体 例 として、現 品 の存 在 する廃 棄 前 の長 期 滞 留 在 庫 について、『企 業 会 計 』 で評 価 損 として費 用 計 上 した場 合 に、『税 務 会 計 』では廃 棄 前 のため損 金 として認 められない場 合 など が考 えられます。 例 :収 益 が 500(益 金 も同 様 に 500)で、費 用 が 400(うち、損 金 として認 められない長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 が 100 あるため損 金 は 300)の場 合 のイメージ 長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100 が『税 務 会 計 』では損 金 として認 められない結 果 、課 税 所 得 が 200 と『企 業 会 計 』の税 引 前 利 益 100 より大 きくなっています。
4 3.『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の関 係 【ポイント】 『企 業 会 計 』の利 益 に、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 いを、加 算 (プラス)・減 算 (マイナス)調 整 す ることで、課 税 所 得 (『税 務 会 計 』の利 益 )が計 算 されます。 課 税 所 得 に税 率 をかけることで、税 額 が計 算 されます。 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』は目 的 が異 なるため、 『企 業 会 計 』の収 益 と『税 務 会 計 』の益 金 『企 業 会 計 』の費 用 と『税 務 会 計 』の損 金 に違 いがありますが、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』はそれぞれ切 り離 されて全 く別 個 に存 在 しているわけ ではありません。 具 体 的 には、『企 業 会 計 』の利 益 に、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 いを調 整 ・解 消 することで、課 税 所 得 (『税 務 会 計 』の利 益 )は計 算 されます。 (課 税 所 得 (『税 務 会 計 』の利 益 )の計 算 はこのように「益 金 - 損 金 」ではありません。ただし、『企 業 会 計 』の利 益 に加 算 (プラス)・減 算 (マイナス)を行 うことで、収 益 が益 金 、費 用 が損 金 に調 整 されたと 言 え(「収 益 → 益 金 」、「費 用 → 損 金 」)、結 果 として同 じ計 算 結 果 になります。) ① 『税務会 計』における『企業会計』の利益の使 用 課 税 所 得 (『税 務 会 計 』の利 益 )の計 算 は、まず『企 業 会 計 』の税 引 前 利 益 を出 発 点 にして始 まります。 ② 『税務会 計』の課税 所得(『税務会計』の利 益)の計算 『企 業 会 計 』の利 益 に、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 いを、加 算 (プラス)・減 算 (マイナス)調 整 するこ とで、課 税 所 得 (『税 務 会 計 』の利 益 )が計 算 されます。 そして、この課 税 所 得 に税 率 をかけて、実 際 の税 額 が計 算 されます。 先 ほどと同 様 の例 で、具 体 的 に見 てみます。 例 .収 益 が 500(益 金 も同 様 に 500)で、費 用 が 400(うち、損 金 として認 められない長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 が 100 あるため損 金 は 300)の場 合 のイメージ
5 ※1 損 金 として認 められなかった在 庫 の評 価 損 100 を加 算 (プラス) ③ 『企業会 計』の「法人税、住民 税 及び事業 税 」の表示 『税 務 会 計 』の課 税 所 得 から計 算 された税 額 は、『企 業 会 計 』に「法 人 税 、住 民 税 及 び事 業 税 」として表 示 されます。 これを、最 初 に使 用 した「税 効 果 会 計 を適 用 しない P/L」で示 すと次 のとおりであり、税 金 負 担 率 が 80%になってしまいます。 ※2 この課 税 所 得 に基 づき、実 際 の税 額 を計 算 課 税 所 得 200×税 率 40%=税 額 80
6 わかりやすい解説シリーズ「税効果」
第 2 回 :一 時 差 異 と永 久 差 異 、繰 延 税 金 資 産 と繰 延 税 金 負 債
2011.12.22 新日本有限責任監査法人 公認会計士 鯵坂雄二郎 新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村 崇 1. 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)の「発 生 」と「解 消 」 【ポイント】 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)の中 には、「発 生 」した後 「解 消 」されるものがあります。 それぞれの会 計 の目 的 が異 なるため、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』には違 い(ズレ)があるとしましたが、 この違 い(ズレ)の中 には、「発 生 」した後 「解 消 」されるものがあります。 具 体 的 に、第 1 回 で使 用 した長 期 滞 留 在 庫 の例 を用 いて、「発 生 」と「解 消 」の流 れを見 ると次 のような イメージとなります。 ■発生(×1 年度)と解消(×2 年度) ×1 年 度 :発 生 (『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)100 が発 生 ) ※1 損 金 として認 められなかった在 庫 の評 価 損 100 を加 算 (プラス) ×2 年 度 :解 消 (『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)100 が解 消 ) ※2 ×1 年 度 に評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 を廃 棄 し損 金 として認 められたため、在 庫 の評 価 損 100 を減 算 (マイナス) 前提条件 ×1 年 度 の収 益 は 500、費 用 は 400。費 用 400 には損 金 (『税 務 会 計 』上 の費 用 )として認 められな い長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100 が含 まれている(損 金 として認 められるのは 300) ×2 年 度 の収 益 は 500、費 用 は 300。×2 年 度 に、×1 年 度 に評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 を廃 棄 したため、×1 年 度 に発 生 したズレが解 消 し、100 が損 金 として認 められている。 2. 税 効 果 会 計 の適 用 対 象 となる差 異 (ズレ)7 【ポイント】 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)は、「一 時 差 異 」と「永 久 差 異 」の二 つに分 かれます。 (1)一 時 差 異 → 税 効 果 会 計 の対 象 となる差 異 (2)永 久 差 異 → 税 効 果 会 計 の対 象 外 となる差 異 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の差 異 (ズレ)は、二 つに分 かれます。 (1)一 時 差 異 : 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の認 識 時 期 のズレによるもの(いずれ解 消 されるズレ) (2)永 久 差 異 : 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の考 え方 自 体 が異 なるもの(永 久 に解 消 されないズレ) すなわち、一 時 差 異 は「発 生 」したら「解 消 」される差 異 と言 え、永 久 差 異 は「発 生 」しても「解 消 」されな い差 異 と言 えます。 一時差異 、永久差異の具体例 ※上 記 とは別 に、一 時 差 異 に準 じる項 目 として「繰 越 欠 損 金 」があります。 (一 時 差 異 ) ここまで例 として使 用 している、長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100 について、以 下 で考 えます。 まず、×1 年 度 において、『企 業 会 計 』で評 価 損 100 を費 用 とする一 方 、『税 務 会 計 』では損 金 としては 認 められなかったことから、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』で違 い(ズレ)100 が「発 生 」しています。 そして、×2 年 度 において、×1 年 度 に『企 業 会 計 』で評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 を廃 棄 したため、 『税 務 会 計 』で 100 が損 金 として認 められたことから、結 果 として、×1 年 度 に発 生 した『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)100 が「解 消 」しています。 従 ってこれは、×1 年 度 に「発 生 」した後 、×2 年 度 に「解 消 」していることから「一 時 差 異 」に該 当 しま す。
8 (永 久 差 異 ) 例 えば交 際 費 について、『企 業 会 計 』では全 てが費 用 となりますが、『税 務 会 計 』では政 策 的 観 点 から 損 金 としての計 上 が制 限 されており、ここで生 じた差 異 は永 久 に解 消 しません。 このように『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の考 え方 の違 いで、永 久 に解 消 しないものが永 久 差 異 に該 当 しま す。 税効果会 計 の対象となる差異(ズレ) 『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の差 異 (ズレ)のうち、いつか解 消 されるものが税 効 果 会 計 の対 象 となるた め、一 時 差 異 が税 効 果 会 計 の対 象 となります。 一 方 、永 久 差 異 については永 久 にその差 異 は解 消 されないため、税 効 果 会 計 の対 象 とはなりません。 3. 一 時 差 異 の種 類 【ポイント】 一 時 差 異 は、その解 消 する際 のパターンで「将 来 減 算 一 時 差 異 」と「将 来 加 算 一 時 差 異 」の二 つに分 かれます。 (1)将 来 減 算 一 時 差 異 : 将 来 解 消 する時 に、課 税 所 得 が『減 算 』(マイナス)される一 時 差 異 (2)将 来 加 算 一 時 差 異 : 将 来 解 消 する時 に、課 税 所 得 が『加 算 』(プラス)される一 時 差 異 税 効 果 会 計 の適 用 対 象 となる一 時 差 異 はさらに二 つに分 かれます。 (1)将来減算一時差異: 将 来 解 消 する時 に、課 税 所 得 が『減 算 』(マイナス)される一 時 差 異 特 徴
9 (2)将来加算一時差異:
将 来 解 消 する時 に、課 税 所 得 が『加 算 』(プラス)される一 時 差 異 特 徴
10 将来減算 一 時差異、将 来加算一 時 差異の具体 例 4. 繰 延 税 金 資 産 ・繰 延 税 金 負 債 とは 【ポイント】 「将 来 減 算 一 時 差 異 」・「将 来 加 算 一 時 差 異 」に、それぞれ税 率 を乗 じることで「繰 延 税 金 資 産 」・「繰 延 税 金 負 債 」が計 算 されます。 (1)繰 延 税 金 資 産 : 将 来 の税 金 が安 くなる権 利 (実 質 的 には、法 人 税 の前 払 い) (2)繰 延 税 金 負 債 : 将 来 の税 金 が高 くなる要 因 となるもの(実 質 的 には、法 人 税 の未 払 分 ) ここまで説 明 した「将 来 減 算 一 時 差 異 」・「将 来 加 算 一 時 差 異 」というものに、それぞれ税 率 を乗 じること で「繰 延 税 金 資 産 」・「繰 延 税 金 負 債 」の金 額 が計 算 されます。 なお、「繰 延 税 金 資 産 」・「繰 延 税 金 負 債 」という勘 定 科 目 を使 う際 には、法 人 税 等 調 整 額 (P/L 科 目 ) という勘 定 科 目 を相 手 勘 定 として使 用 します。 ■繰延税金資産
11 ■繰延税金負債 ■繰延税金資産の発生・取り崩しのイメージ 【前 提 】 税 引 前 利 益 500 将 来 減 算 一 時 差 異 100 が×1 年 度 に発 生 し×2 年 度 に解 消 税 率 は 40% ×1 年度 【要 納 税 額 の計 算 】 課 税 所 得 (500+100)×税 率 40%=要 納 税 額 240 【税 効 果 の計 算 】 将 来 減 算 一 時 差 異 の「発 生 」100×40%=40 ... 実 質 的 な法 人 税 の前 払 い(将 来 の税 金 が安 くなる 権 利 )
12 (仕 訳 ) 【借 方 】繰 延 税 金 資 産 (資 産 )40/【貸 方 】法 人 税 等 調 整 額 (P/L)40 ×2 年度 【要 納 税 額 の計 算 】 課 税 所 得 (500-100)×税 率 40%=要 納 税 額 160 【税 効 果 の計 算 】 将 来 減 算 一 時 差 異 の「解 消 」△100×40%=△40 ... 将 来 の税 金 が安 くなる権 利 を使 用 (仕 訳 ) 【借 方 】法 人 税 等 調 整 額 (P/L)40/【貸 方 】繰 延 税 金 資 産 (資 産 )40 ■繰延税金負債の発生・取り崩しのイメージ 【前 提 】 税 引 前 利 益 500 将 来 加 算 一 時 差 異 100 が×1 年 度 に発 生 し×2 年 度 に解 消 税 率 は 40%
13 ×1 年度 【要 納 税 額 の計 算 】 課 税 所 得 (500-100)×税 率 40%=要 納 税 額 160 【税 効 果 の計 算 】 将 来 加 算 一 時 差 異 の「発 生 」100×40%=40 ... 実 質 的 な法 人 税 の未 払 分 (仕 訳 ) 【借 方 】法 人 税 等 調 整 額 (P/L)40/【貸 方 】繰 延 税 金 負 債 (負 債 )40 ×2 年度 【要 納 税 額 の計 算 】 課 税 所 得 (500+100)×税 率 40%=要 納 税 額 240 【税 効 果 の計 算 】 将 来 加 算 一 時 差 異 の「解 消 」△100×40%=△40 ... 実 質 的 な法 人 税 の未 払 が解 消 (仕 訳 ) 【借 方 】繰 延 税 金 負 債 (負 債 )40/【貸 方 】法 人 税 等 調 整 額 (P/L)40
15 わかりやすい解説シリーズ「税効果」
第 3 回 :税 効 果 会 計 の具 体 的 な適 用 方 法
2012.02.15 新日本有限責任監査法人 公認会計士 鯵坂雄二郎 新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村 崇 1. 税 効 果 会 計 の適 用 例 『企 業 会 計 』における税 効 果 会 計 の具 体 的 な適 用 方 法 について、ここまで使 用 してきた長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100(将 来 減 算 一 時 差 異 )を用 いて数 値 例 で示 します。 【前 提 】 ×1 年 度 の収 益 は 500、費 用 は 400。費 用 400 には損 金 (『税 務 会 計 』上 の費 用 )として認 められな い長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100 が含 まれている(損 金 として認 められるのは 300) ×2 年 度 の収 益 は 500、費 用 は 300。×2 年 度 に、×1 年 度 に評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 を廃 棄 したため、×1 年 度 に発 生 したズレが解 消 し、100 が損 金 として認 められている。 税 率 40% 企業会計と税務会計の関係 ×1 年 度 :発 生 (『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)100 が発 生 ) ※1 損 金 として認 められなかった在 庫 の評 価 損 100 を加 算 (プラス) ※2 要 納 税 額 80(200×税 率 40%) (次 の×1 年 度 の損 益 計 算 書 で「法 人 税 、住 民 税 及 び事 業 税 」として計 上 ) ×2 年 度 :解 消 (『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)100 が解 消 ) ※3×1 年 度 に評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 を廃 棄 し損 金 として認 められたため、在 庫 の評 価 損 100 を減 算 (マイナス) ※4 要 納 税 額 40(100×税 率 40%) (次 の×2 年 度 の損 益 計 算 書 で「法 人 税 、住 民 税 及 び事 業 税 」として計 上 )16 税効果会計を適用した P/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表) ×1 年 度 ※1 将 来 減 算 一 時 差 異 100 が「発 生 」(長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100) 将 来 減 算 一 時 差 異 100 × 税 率 40% = 繰 延 税 金 資 産 40 (仕 訳 )発 生 ×2 年 度 ※2 将 来 減 算 一 時 差 異 100 が「解 消 」(×1 年 度 に評 価 損 を計 上 した長 期 滞 留 在 庫 の廃 棄 ) 将 来 減 算 一 時 差 異 100 × 税 率 40% = 繰 延 税 金 資 産 40 (仕 訳 )解 消 税効果会 計 の適用による仕訳 まず、×1 年 度 に税 務 会 計 上 の損 金 として認 められなかった棚 卸 資 産 評 価 損 100 に対 応 して追 加 で支 払 う税 金 40(100×税 率 40%)は、将 来 の税 金 が安 くなる「権 利 」(実 質 的 な法 人 税 の前 払 い)と考 えて、
17 貸 借 対 照 表 の資 産 の部 に「繰 延 税 金 資 産 」を計 上 するとともに、損 益 計 算 書 の貸 方 (収 益 側 )に「法 人 税 等 調 整 額 」を計 上 します。 そして×2 年 度 には長 期 滞 留 在 庫 の廃 棄 によりその差 異 が解 消 される(将 来 の税 金 が安 くなる「権 利 」 を使 用 する)ことから、「繰 延 税 金 資 産 」を取 り崩 すとともに、損 益 計 算 書 の借 方 (費 用 側 )に「法 人 税 等 調 整 額 」を計 上 します。 このように税 効 果 会 計 を適 用 した結 果 、×1 年 度 、×2 年 度 ともに、税 金 負 担 率 (税 金 費 用 ÷税 引 前 利 益 )が 40%となっており、税 率 40%と一 致 しています。 2. 税 効 果 会 計 の対 象 となる税 金 【ポイント】 税 効 果 会 計 の対 象 となるのは、「利 益 」に関 する金 額 を課 税 標 準 (課 税 の対 象 )とする税 金 です。 税 効 果 会 計 を理 解 するための知 識 として、さらに税 効 果 会 計 の対 象 となる税 金 を説 明 します。 税 効 果 会 計 の対 象 (法 定 実 効 税 率 の算 定 に含 められるもの)となるのは「利 益 」に関 する金 額 を課 税 標 準 (課 税 の対 象 )とする税 金 税効果会計の対象となる税金 (1)法 人 税 (2)住 民 税 (均 等 割 額 を除 く) (3)利 益 を課 税 標 準 とする事 業 税 (所 得 割 )、地 方 法 人 特 別 税 税効果会計の対象とならない税金 (1)住 民 税 均 等 割 額 (2)収 入 を課 税 標 準 とする事 業 税 (3)外 形 標 準 課 税 の事 業 税 (付 加 価 値 割 、資 本 割 ) (4)固 定 資 産 税 (5)事 業 所 税 (6)過 少 申 告 課 税 や重 加 算 税 等 の罰 科 金 税効果会 計 の対象となる税金の範 囲 会 社 に係 る税 金 には、法 人 税 、住 民 税 、事 業 税 、事 業 所 税 、消 費 税 、固 定 資 産 税 、印 紙 税 など、さま ざまなものがあります。 第 1 回 で述 べたように税 効 果 会 計 は、会 計 上 の利 益 に見 合 った税 金 費 用 が計 上 されるように、『企 業 会 計 』と『税 務 会 計 』の違 い(ズレ)を調 整 し、適 切 に期 間 配 分 する手 続 きをいいます。このため、税 効 果 会 計 で対 象 となる税 金 は、「利 益 」に関 する金 額 を課 税 標 準 (課 税 の対 象 )とする税 金 になります。 従 って、例 えば、従 業 員 数 等 が課 税 標 準 (課 税 の対 象 )である「住 民 税 均 等 割 額 」は、利 益 が課 税 標 準 (課 税 の対 象 )でないことから、税 効 果 会 計 の対 象 とはなりません。 3. 税 効 果 会 計 で使 用 する税 率
18 ここまで「税 率 」は 40%と仮 定 して説 明 をしてきましたが、実 際 の税 効 果 会 計 においては一 時 差 異 等 の 金 額 に、税 効 果 会 計 の対 象 となる税 金 に係 る「法 定 実 効 税 率 」というものを乗 じることになります(「一 時 差 異 等 の金 額 × 法 定 実 効 税 率 」)。 少 し難 しい説 明 になりますが、「法 定 実 効 税 率 」の「法 定 」とは、各 会 社 または連 結 子 会 社 が所 在 する 国 または地 域 の法 律 で定 められている税 率 を意 味 し、「実 効 税 率 」とは現 実 の納 税 者 が負 担 する税 額 の課 税 標 準 に対 する割 合 を意 味 します。 日 本 では、法 定 実 効 税 率 は上 記 の算 式 により計 算 します。 法 定 実 効 税 率 の計 算 式 の分 子 については、住 民 税 率 が法 人 税 を課 税 標 準 としているため、課 税 所 得 に対 する税 率 に調 整 する必 要 があり、また、分 母 については事 業 税 が支 払 事 業 年 度 の課 税 所 得 の計 算 上 損 金 算 入 されるために、表 面 税 率 よりも税 負 担 率 が軽 減 されることになることを反 映 しています。 実際の法定 実効税率の計算 東 京 都 所 在 の外 形 標 準 課 税 適 用 対 象 会 社 の場 合 は、次 のような法 定 実 効 税 率 になると考 えられま す。 平成 23 年 12 月 2 日の税制改正に係る法令の公布前 40.69%= 30.0%×(1+20.7%)+(3.26%+2.9%×148%) 1+(3.26%+2.9%×148%) 平成 23 年 12 月 2 日の税制改正に係る法令の公布以降(3 月決算会社の場合) 平 成 24 年 3 月 期 に回収 等 が行 われると見 込 まれる一 時 差 異 等 40.69% 平 成 25 年 3 月 期 から平 成 27 年 3 月 期 までの間 に回 収 等 が行 われると見 込 まれる一 時 差 異 等 38.01% 40.69%の計 算 式 に、さらに次 のものを考 慮 します。 法 人 税 率 の引 き下 げ(30%→25.5%) 復 興 特 別 法 人 税 (課 税 標 準 法 人 税 額 の 10%)
19
平 成 28 年 3 月 期 以 降 に回 収 等 が行 われると見 込 まれる一 時 差 異 等 35.64%
40.69%の計 算 式 に、さらに次 のものを考 慮 します。 法人税率の引き下げ(30%→25.5%)
20 わかりやすい解説シリーズ「税効果」 第 4 回 :繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 2012.04.13 新日本有限責任監査法人 公認会計士 鯵坂雄二郎 新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村 崇 1. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 とは? 【ポイント】 繰 延 税 金 資 産 を計 上 するためには、その資 産 性 (回 収 可 能 性 )の検 討 が必 要 となります。 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 とは、繰 延 税 金 資 産 が将 来 の支 払 税 金 を減 額 する効 果 があるかどう かをいいます。 「繰 延 税 金 資 産 」については、資 産 性 (回 収 可 能 性 )があるもののみ計 上 が認 められるため、その資 産 性 の検 討 が必 要 になります。 また、繰 延 税 金 資 産 の資 産 性 の検 討 に当 たっては、会 社 法 上 で配 当 制 限 がなく配 当 財 源 に含 められ ることにも留 意 することとなります。例 えば、明 らかに回 収 可 能 性 がない繰 延 税 金 資 産 を計 上 した場 合 、 会 社 の実 態 と乖 離 (かいり)した過 大 な配 当 を行 ってしまうことも考 えられます。 ここでは、この「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 」がどういうものかを説 明 します。 ※「繰 延 税 金 負 債 」についても計 上 額 を決 定 するに当 たって、その支 払 可 能 性 が認 められる(将 来 支 払 いが見 込 まれる)もののみ計 上 することとなりますが、支 払 可 能 性 が認 められないケースは限 定 的 で す。 繰延税金 資 産の回収可 能性とは 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 とは、繰 延 税 金 資 産 が将 来 の支 払 税 金 を減 額 する効 果 があるかどうか、 をいいます。 繰 延 税 金 資 産 の算 定 基 礎 である将 来 減 算 一 時 差 異 には、それが解 消 する時 に将 来 の課 税 所 得 を減 額 (マイナス)する効 果 がありますが、将 来 減 算 一 時 差 異 が解 消 する時 にそもそも将 来 の課 税 所 得 が なければ、税 金 は安 くなりません。 従 って、将 来 の課 税 所 得 が見 込 めなければ、将 来 の税 金 負 担 額 は変 わらない(将 来 の税 金 が安 くなる 権 利 を行 使 できない)ため、繰 延 税 金 資 産 を計 上 することができない、ということになります。
21 繰延税金 資 産が将来の支払税金を減額する効 果が『ある』場合のイメージ ×2 年 度 において、税 引 前 利 益 は 500 ですが、将 来 減 算 一 時 差 異 100 が解 消 した結 果 、課 税 所 得 が 100 減 少 し、支 払 税 金 が 40 だけ減 額 されています(将 来 減 算 一 時 差 異 100×税 率 40%=40)。 これは×1 年 度 に計 上 した繰 延 税 金 資 産 に「将 来 の支 払 税 金 を減 額 する効 果 があり、回 収 可 能 性 が ある」といえます。 繰延税金 資 産が将来の支払税金を減額する効 果が『ない』場合のイメージ ×2 年 度 において、税 引 前 利 益 が 0(将 来 減 算 一 時 差 異 を考 慮 する前 のそもそもの課 税 所 得 が 0)のた め、将 来 減 算 一 時 差 異 100 が解 消 し課 税 所 得 が△100(=0-100)となりますが、通 常 、納 税 額 はマイ ナスとはならないため「△100×40%」も納 税 額 △40 とはならずに、納 税 額 0 となります。 これは×1 年 度 に計 上 した繰 延 税 金 資 産 に「将 来 の支 払 税 金 を減 額 する効 果 がなく、回 収 可 能 性 がな い」といえます。
22 2. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の具 体 的 な検 討 方 法 具 体 的 には下 表 のようなステップで検 討 していきます。 そして検 討 した結 果 、次 の 3 要 件 のいずれかを満 たせば「繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 」がある、と判 断 できることとなります。 (1)収益力に基づく課 税所得の十 分性(将来 の利益水準 の観点) 主 に、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 等 に、課 税 所 得 が発 生 する可 能 性 が高 いと見 込 まれることをい います。 イメージとしては、繰 延 税 金 資 産 が将 来 における税 金 負 担 額 の軽 減 効 果 を発 揮 するために「会 社 が営 んでいる事 業 から将 来 の利 益 (課 税 所 得 )が十 分 に見 込 めるか?」ということになります。 (2)タックスプランニングの存在(特 別な計画の観点) 主 に、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 等 に、含 み益 のある固 定 資 産 又 は有 価 証 券 を売 却 するなど課 税 所 得 を発 生 させる特 別 な計 画 (=タックスプランニング)が存 在 することをいいます。そして、単 に計 画 があるだけでは足 りず、その実 現 可 能 性 も必 要 となります。 イメージとしては、繰 延 税 金 資 産 が将 来 における税 金 負 担 額 の軽 減 効 果 を発 揮 するために「含 み益 の ある保 有 資 産 を使 用 して将 来 の利 益 (課 税 所 得 )を出 すための実 現 可 能 性 の高 い計 画 はあるか?」と いうことになります。 (3)将来加算一時差 異 の十分性(将来の税金 支払見込 額 の観点) 主 に、将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 等 に将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 が見 込 まれることをいいます。 イメージとしては、「将 来 減 算 一 時 差 異 と『相 殺 』できる将 来 加 算 一 時 差 異 は十 分 にあるか?」というこ とになります。 ※上 記 で「将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 年 度 など」と記 載 しましたが、使 い切 れなかった(相 殺 しきれなか った)将 来 減 算 一 時 差 異 はその解 消 年 度 の欠 損 金 となるため、この「など」には「その解 消 年 度 を基 準 として税 務 上 認 められる欠 損 金 の繰 り戻 し及 び繰 り越 しが可 能 な期 間 (繰 戻 ・繰 越 期 間 )」の意 味 が含 まれます。
23 具体例 【前 提 】 ×1 年 度 が当 期 ×1 年 度 末 の将 来 減 算 一 時 差 異 300: (1) 長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100(社 内 規 程 により×2 年 度 に廃 却 する予 定 ) (2) 役 員 退 職 慰 労 引 当 金 200(社 内 規 程 により×5 年 度 に退 任 する予 定 ) ×1 年 度 末 の将 来 加 算 一 時 差 異 160: (3) 積 立 金 方 式 による圧 縮 積 立 金 160(毎 期 40 ずつ解 消 し×5 年 度 までに全 て解 消 ) 毎 期 税 引 前 利 益 を 200 計 上 将 来 年 度 の課 税 所 得 を×5 年 度 まで見 積 る 1. 期 末 における将 来 減 算 一 時 差 異 の将 来 解 消 見 込 年 度 のスケジューリングを行 う
24 2. 期 末 における将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 年 度 のスケジューリングを行 う 3. 将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 と将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 を解 消 見 込 年 度 ごとに相 殺 する ×2 年 度 :将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 100 と将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 40 を相 殺 (将 来 減 算 一 時 差 異 60 が残 る) ×5 年 度 :将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 200 と将 来 加 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 40 を相 殺 (将 来 減 算 一 時 差 異 160 が残 る) 4. 3.で相 殺 しきれなかった将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 については、その金 額 を将 来 年 度 の課 税 所 得 の見 積 額 (タックスプランニングによる課 税 所 得 の発 生 見 込 額 を含 む)と、解 消 見 込 年 度 ごとに相 殺 する。
25 ×2 年 度 :3.で相 殺 しきれなかった将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 60 と将 来 年 度 の課 税 所 得 の 見 積 額 (利 益 )を相 殺 (「将 来 減 算 一 時 差 異 60 < 課 税 所 得 見 積 額 200」のため、将 来 減 算 一 時 差 異 は全 て解 消 ) ×5 年 度 :3.で相 殺 しきれなかった将 来 減 算 一 時 差 異 の解 消 見 込 額 160 と将 来 年 度 の課 税 所 得 の 見 積 額 (利 益 )を相 殺 (「将 来 減 算 一 時 差 異 160 < 課 税 所 得 見 積 額 200」のため、将 来 減 算 一 時 差 異 は全 て解 消 ) この例 では上 記 のとおり、×1 年 度 末 の将 来 減 算 一 時 差 異 300(長 期 滞 留 在 庫 の評 価 損 100、役 員 退 職 慰 労 引 当 金 200)は、それぞれ解 消 する時 に将 来 の課 税 所 得 を減 額 (マイナス)する効 果 を発 揮 して います。 そのため、×1 年 度 に計 上 する将 来 減 算 一 時 差 異 300 に係 る繰 延 税 金 資 産 (=将 来 減 算 一 時 差 異 ×税 率 )には「将 来 の支 払 税 金 を減 額 する効 果 があり、回 収 可 能 性 がある」と判 断 できることとなりま す。 3. 繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 に関 する判 断 指 針 なお、将 来 加 算 一 時 差 異 の金 額 が将 来 減 算 一 時 差 異 の金 額 を下 回 るケースが多 いことが見 込 まれる ため、繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 は、多 くの場 合 、将 来 年 度 の会 社 の収 益 力 に基 づく課 税 所 得 によ って判 断 することになります。 ただし、将 来 年 度 の会 社 の収 益 力 を客 観 的 に判 断 することは実 務 上 困 難 な場 合 が多 いため、会 社 の 過 去 の業 績 等 の状 況 を主 たる判 断 基 準 として、将 来 年 度 の課 税 所 得 の見 積 額 による繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 を判 断 する場 合 の指 針 が示 されています。 決 算 実 務 の現 場 ではよく繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の検 討 に当 たって、「②の会 社 だから~~」、「④ ただし書 きの会 社 だから~~」などの表 現 が使 われますが、これはこの指 針 に対 応 した呼 称 になってい ます。 判断指針(5 分類の例示 区分) 分類 概要
26 ① 期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等 ② 業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等 ③ 業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等 ④ 重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等 ⑤ 過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社等 ①... 一 般 的 に、繰 延 税 金 資 産 の全 額 について、その回 収 可 能 性 があると判 断 できます。 ②... 一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 に基 づき、それに係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 している場 合 には、 当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があると判 断 できます。 ③... 将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 を限 度 として、当 該 期 間 内 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 に基 づき、それに係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 している場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があると判 断 できます。 ④本 則 ... 原 則 として、翌 期 に課 税 所 得 の発 生 が確 実 に見 込 まれる場 合 で、かつ、その範 囲 内 で翌 期 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 に基 づき、それに係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 している場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があると判 断 できます。 ④ただし書 き(重 要 な税 務 上 の繰 越 欠 損 金 が非 経 常 的 な特 別 の原 因 により発 生 し、それを除 けば課 税 所 得 を毎 期 計 上 している会 社 等 )... 将 来 の合 理 的 な見 積 可 能 期 間 (概 ね 5 年 )内 の課 税 所 得 の見 積 額 を限 度 として、当 該 期 間 内 の一 時 差 異 等 のスケジューリングの結 果 に基 づき、それに係 る繰 延 税 金 資 産 を計 上 している場 合 には、当 該 繰 延 税 金 資 産 は回 収 可 能 性 があると判 断 できます。 ⑤... 原 則 として、将 来 減 算 一 時 差 異 及 び税 務 上 の繰 越 欠 損 金 等 に係 る繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 はな いものと判 断 します。 なお、先 述 した「2.繰 延 税 金 資 産 の回 収 可 能 性 の具 体 的 な検 討 方 法 」の具 体 例 では、前 提 として「将 来 年 度 の課 税 所 得 を×5 年 度 まで見 積 る」と見 積 期 間 を限 定 していますので、この具 体 例 の会 社 の場 合 は、③の会 社 、又 は④ただし書 きの会 社 に該 当 していると想 定 されます。