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鳥取県の高等学校教育における学習理論研修を通した学習科学の知見の導入 : 平成24年度、平成25年度の2年間の実践を通した結果と考察

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Academic year: 2021

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(1)

<教育実践研究>

鳥取県の高等学校教育における

学習理論研修を通した学習科学の知見の導入

~平成24年度,平成25年度の2年間の実践を通した結果と考察~

千代西尾祐司

The Effects of “Learning Science” in The Teachers Training for High School Teachers

CHIYONISHIO Yuji

キーワード:現職教員研修,学習科学,知識構成型ジグソー法

Key words: Teachers Training, Learning Science, Knowledge-Constructive Jigsaw Method

<教育実践研究>

鳥取県の高等学校教育における

学習理論研修を通した学習科学の知見の導入

~平成

24 年度,平成 25 年度の 2 年間の実践を通した結果と考察~

千代西尾祐司

The Effects of “Learning Science” in The Teachers Training for High School Teachers

CHIYONISHIO Yuji

キ ーワー ド: 現職教 員研 修,学 習科 学,知 識構 成型ジ グソ ー法

Key words: Teachers Training, Learning Science, Knowledge-Constructive Jigsaw Method

1.

はじめに

鳥 取 県 教 育 委 員 会 は , 現 職 教 員 の 授 業 力 向 上 を 図 る た め , 平 成 23 年度に学習科学を取り入 れ た 研 修 を 設 計 し , 平 成 24 年度から実施してきた。本稿は,その導入の概要とその効果を, 主 に は 教 員 の 振 り 返 り に よ る 記 述 を 中 心 に 分 析 し た 結 果 を 報 告 す る も の で あ る 。 研 修 受 講 者 に よ る 研 修 後 の 振 り 返 り 記 述 か ら は , ほ ぼ 全 て の 教 員 が 自 身 の 授 業 観 , 学 習 観 , 生 徒 観 に 変 化 が 見 ら れ た と 報 告 し て お り , 今 後 の 鳥 取 県 全 体 で の 学 力 向 上 に つ な が る こ と が 期 待 さ れ る 。 導 入 の 契 機 は , 平 成 23 年度に「新時代を拓く学びの創造プロジェクト」が立ち上げられ, 現 職 校 長 か ら な る 学 力 向 上 推 進 委 員 会 が 高 校 生 の 学 力 向 上 の 課 題 を 検 討 し た 後 の , 授 業 改 革 が 求 め ら れ る 背 景 と 施 策 の 必 要 性 の 提 言 で あ っ た 。 提 言 に は 「 現 在 の 授 業 が シ ス テ ム 不 良 を 起 こ し て い る な ら ば , 機 能 す る シ ス テ ム を 再 構 築 し , 授 業 も 物 的 ・ 量 的 な も の で は な く 質 的 な 変 化 で 対 応 し て い く 必 要 が あ る 。 子 ど も た ち の 育 成 こ そ が 鳥 取 県 の 最 重 要 課 題 で あ る と い う 認 識 に 立 つ な ら ば , パ ラ ダ イ ム シ フ ト ( 授 業 の 質 的 転 換 ) に 着 手 し な け れ ば な ら な い 。 そ れ は 教 員 の 知 っ て い る こ と を 伝 達 す る こ と が 目 的 と さ れ た 知 識 伝 達 型 の 学 習 モ デ ル か ら , 生 徒 自 ら が 理 解 を 深 め よ う と す る 活 動 へ の 支 援 と い う 教 授 モ デ ル へ の 転 換 で あ る 。」 と 記 さ れ た 。 時 期 を 同 じ く し て 中 央 教 育 審 議 会 か ら 「 教 職 生 活 の 全 体 を 通 じ た 教 員 の 資 質 能 力 の 総 合 的 な 向 上 方 策 に つ い て ( 審 議 の ま と め ) が 出 さ れ 「 こ れ か ら の 教 育 は , ど の よ う な 教 育 活 動 の 展 開 が 学 習 効 果 に 結 び つ く か と い う , 学 習 科 学 等 の 実 証 的 な 教 育 学 の 成 果 に 基 づ い て 行 わ れ る こ と が 望 ま れ る 」 等 の 記 載 が な さ れ た 。 こ れ ら の こ と は , 現 職 教 員 の 育 成 の み な ら ず , 現 在 の 教 員 養 成 の あ り 方 に 対 し て も ニ ー ズ と の 乖 離 を 示 し て お り , 大 き な 課 題 と い え る 。 そ の た め 鳥 取 県 教 育 委 員 会 は , 平 成 23 年度に学習科学を取り入れた研修を設計し,平成 24 年 度 か ら 実 施 す る こ と と し た 。

2. 学習理論研修のカリキュラム設計

2.1 カリキュラム設計の意図

学 力 向 上 推 進 委 員 会 の 提 言 に ,「 幸 い 私 た ち は ,私 た ち が 適 切 な 課 題 を 提 示 す る こ と さ え で き れ ば ,子 ど も た ち は 日 頃 私 た ち の 前 で 見 せ な い よ う な 姿 で 学 ぶ こ と が で き る こ と を 知 っ て い る 。 教 員 が 教 え 込 む の で は な く , 少 し 待 つ こ と が で き れ ば , か な り の 確 率 で 子 ど も た ち だ け で 解 決 で き る こ と も 知 っ て い る 。 た だ , そ の 学 び を 発 動 さ せ る ス イ ッ チ ま た は 方 法 論 を 持 た な い だ け

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で あ る 。」 と 記 さ れ て い る 。 そ の 方 法 論 を 求 め て , 私 た ち は 学 習 科 学 の 知 見 に 方 向 性 を 頼 る こ と に し た 。 学 習 科 学 は , 現 在 で は 教 育 学 研 究 の 一 分 野 を な す に 至 っ た が , 必 ず し も 現 在 の 大 学 で の 教 員 養 成 課 程 に 組 み 込 ま れ る わ け で は な く , ま し て や 教 育 学 部 以 外 で 免 許 を 取 得 し 教 職 に 就 い た 多 く の 高 校 教 員 は , そ れ ら の 知 見 に 触 れ る 機 会 が 少 な か っ た 。 こ れ か ら の 教 員 が 進 も う と す る 道 は ,今 の 教 員 が 知 っ て い る 従 来 型 の 授 業 と は 考 え 方 が 異 な り 教 員 自 身 が 学 び 直 し を す る こ と が 必 要 で あ る 。 今 , 自 分 自 身 が 持 っ て い る 「 学 習 と い う も の に 対 す る 考 え 方( 学 習 観 )」を 疑 い ,知 識 は 客 観 的 な も の で は な く 構 成 さ れ る も の で あ る と い う 考 え 方 を 知 り , 今 ま で 教 員 個 々 が 持 っ て い た 考 え 方 に 新 し い 考 え 方 を 加 味 し て 新 た な 学 習 観 を 組 み 立 て な お し , 新 た な ス タ ン ダ ー ド を 構 築 す る 作 業 を 行 わ な け れ ば な ら な い 。 学 習 科 学 を 学 ぶ た め に 静 岡 大 学(RECLS※ 1)の 大 島 純 教授 と 相 談 しな が ら 年 間5 回 の カ リ キ ュ ラ ム を 検 討 す る 中 で ,東 京 大 学(CoREF※ 2)の三宅なほみ教授と出会い,CoREF が推奨する『知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 』を 習 得 す る 事 を 通 し て 学 習 科 学 の 基 礎 的 な 知 見 を も 学 ぶ こ と で ,「 ど う い う 方 法 を 用 い れ ば よ り よ い 理 解 が 進 む か 」,「 ど う い う 教 材 を 使 え ば , よ り よ い 知 識 が 積 み 重 ね ら れ る か 」,「 他 の 課 題 解 決 場 面 で 既 習 内 容 が 転 移 さ れ や す く す る た め に ど う す る か 」,「 ど こ で 躓 き や す く , ど う す れ ば 防 ぐ こ と が で き る か 」 等 と い う 「 教 授 」 の 専 門 性 を い っ そ う 磨 き な お し , 授 業 の デ ザ イ ン 能 力 と 実 践 力 を 鍛 え る 研 修 と な る よ う に 考 え た 。 併 せ て , 人 が 学 ぶ と い う こ と を ど の よ う に と ら え て い る か と い う 学 び の 認 識 論 (epistemology of learning)は,教師として非常に重要な専門性の 1 つである教授学的専門の知 識 の 質 を 決 定 す る 。 研 修 に よ っ て 学 び の 認 識 論 を 耕 し , さ ら に , 暗 黙 知 と し て 教 科 の 壁 を 意 識 下 に も つ 教 師 が 暗 黙 知 を 乗 り 越 え , 互 い を 繋 げ る ボ ン ド と し て の 役 割 を 「 学 習 す る と い う こ と の 理 論 」 に 求 め , 専 門 教 科 が 異 な っ て も 共 通 の 土 俵 で 話 を す る こ と が で き , 互 い の 思 い を 共 有 し , 新 た な 考 え 方 を 作 っ て い く 協 動 性 を 育 み た い と い う 狙 い も あ っ た 。 平 成 24 年度は三宅教授と大島教授で,平成 25 年度は,大島教授に代わり同静岡大学 RECLS の 益 川 弘 如 準 教 授 を 講 師 に 招 き , 三 宅 教 授 と 益 川 準 教 授 で 運 営 し た 。

2.2 学習理論研修のカリキュラムと研修概要

年 間 で 全 5 日間(10 時~16 時)のカリキュラムとし,カリキュラムの内容は,平成 24 年 度 25 年度と順序等に多少の違いがあるが,内容的に大きな違いはない。なお,平成 24 年度は 全 県 で 実 施 し , 平 成 25 年度は東部地区会場と西部地区会場の 2 日間を同内容で実施した。 表1 平成 24 年度と 25 年度の学習理論研修カリキュラム比較 回 平 成 24 年 度 平 成 25 年 度 1 回目 H24 年度 (5/14) H25 年度 (5/15・16)

学 習 科 学 概 要 説 明 ,How Peaple Learn に示 される「知 識 」「学 習 者 」「評 価 」「共 同 体 」中 心 のベン図 を作 る ジグソー体 験 :文 系 グループ「キウイはなぜ 実 をつ け なか った か 」 理 系 グル ー プ 「 宮 沢 賢 治 」 ジ グ ソ ー 体 験 文 系 グ ル ー プ 「 葉 は な ぜ 緑 」理 系 グループ「宮 沢 賢 治 」 知 識 構 成 型 ジグソー法 とは何 か 知 識 構 成 型 ジグソー法 とは何 か 自 分 たちで作 る教 材 の抽 出 2 回目 H24 年度 (6/11) H25 年度 (6/6・7) どんな実 践 があるか,評 価 も含 めて紹 「要 改 善 」教 材 検 討(1) 3視点からシミュレーション どんな実 践 があるか,評 価 も含 め紹 介 授 業 作 りのポイント 要 改 善 教 材 を検 討(1) 「要 改 善 」教 材 検 討(2) 担 当 教 科 で「作 ってみるとしたら」 話 合 い 授 業 作 りのポイント 要 改 善 教 材 を検 討(2) 引 き起 こしたい学 び合 い 持 ち寄 った教 材 案 の,シミュレート 准 准

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3 回目 H24 年度 (8/23) H25 年度 (8/26) 合 同 開 催 (2 日連続) 知 識 構 成 型 ジグソーの授 業 設 計 と検 討 知 識 構 成 型 授 業 :授 業 案 検 討 ポイント 知 識 構 成 型 ジグソー法 実 践 例 の振 返 り 『前 向 き』で『実 践 的 』な授 業 を目 指 して -協 調 学 習 の世 界 標 準 - 知 識 構 成 型 ジグソー法 の授 業 デ ザイ ン案 交 換 持 ち寄 った教 材 の共 有 と相 互 評 価 クループ代 表 教 材 についてエキスパート資 料 の詳 細 詰 め。 代 表 教 材 をグループで交 換 し相 互 コメン ト,後 期 実 践 へ向 けて全 体 的 な質 疑 応 答 過 去 に開 発 された課 題 解 決 型 協 調 学 習 Jasper 課題における課題とは何か Jasper 課 題 にどう「知 識 」「学 習 者 」「評 価 」「共 同 体 」が実 現 されているか 4 回目 H24 年度 (8/24) H25 年度 (8/27) 合 同 開 催 講 義 ・ワークショップ 多 様 な協 調 学 習 の方 法 と理 論 Jasper課題体験 世 界 標 準 「 知 識 」 「 学 習 者 」 「 評 価 」 「 共 同 体 」中 心 のベン図 解 説 講 義 ・ワークショップJasper教材 ・協 調 を引 き起 こすアプローチの検 討 ・設 計 した授 業 の振 り返 りとプランニング 「葉 はなぜ緑 ?」の授 業 案 を検 討 「 『 葉 は な ぜ 緑 ? 』 で は 世 界 標 準 の 3 要 素 はどう実 現 されていたか,また知 識 構 成 型 ジグソー法 では世 界 標 準 をどう実 現 可 能 か 世 界 標 準 を意 識 した授 業 デザイン設 計 5 回目 H24 年度 (11/5) H25 年度 (11/7) 西 部 地 区 持 ち寄 った 教 材 の評 価 につ い てグル ープ ディスカッション 午 後 :授 業 公 開 5限 目 授 業 公 開 6限 目 『学 びの文 化 祭 』と称 して,鳥 取 西 高 等 学 校 で,同 時 複 数 クラスの知 識 構 成 型 ジグソ ー法 による授 業 公 開 とシンポジウムを実 施 研 修 全 体 の 振 返 り , 持 ち 寄 っ た 教 材 の 評 価 についてグループディスカッション 午 後 :授 業 公 開 (6限)境総合技術高等学 校 西 部 地 区 での開 催 は『学 びの文 化 祭 』と称 し,境 港 総 合 技 術 高 等 学 校 で,同 時 複 数 クラスの知 識 構 成 型 ジグソー法 による授 業 公 開 とパネルディスカッションを実 施 5 回目 H25 年度 (11/8) 東 部 地 区 研 修 全 体 の 振 返 り , 持 ち 寄 っ た 教 材 の 評 価 についてグループディスカッション 午 後 :授 業 参 観 (5・6限)鳥取西高等学校 東 部 地 区 での開 催 は2年 目 となるため『学 びの文 化 祭 Second Season』と称 し,鳥 取 西 高 等 学 校 で, 同 時 複 数 クラ ス の知 識 構 成 型 ジグソー法 による授 業 公 開 とシンポ ジウムを実 施

2.3 研修対象者の選定

県 立 学 校 校 長 会 で ,学 習 理 論 研 修 は 今 後 の 鳥 取 県 の 授 業 デ ザ イ ン の 方 向 性 を 示 す も の で あ る こ と を 説 明 し , 校 内 教 員 で 校 長 が 育 成 し た い と 思 っ て い る 者 を , 校 長 推 薦 と い う 形 で 派 遣 し て い た だ く こ と と し た 。(平成 24 年,25 年同様) な お , 希 望 が あ れ ば 小 学 校 ・ 中 学 校 の エ キ ス パ ー ト 教 員 の 希 望 者 も 参 加 対 象 と し た 。 そ の 結 果 ,平 成 24 年度は県立学校 24 校から 33 名の受講希望者があり,小・中学校のエキ ス パ ー ト 教 員 が8 名と,合わせて 41 名となった。平成 25 年度は,全県立高等学校から参加希 望 者 が 60 名,特別支援学校 1 名,小・中学校エキスパート教員の参加希望が 4 名となり,全 65 名の参加となった。25 年度の受講者の増加は,24 年度の実践が各高等学校の管理職に好評 で あ っ た か ら で あ り ,24 年度の実践で現場での必要性が理解されたと考えられる。 平 成 25 年度は参加人数が増えたため会場を分け,東部地区と西部地区の 2 カ所での開催と し た 。 東 部 地 区 開 催 と 西 部 地 区 開 催 の 内 容 は 同 様 で あ る 。

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3.

学習理論研修カリキュラムの成果と課題

3.1 平成 24 年度研修の効果測定

平 成 24 年度の学習理論研修受講者に対しては,研修 4 回目の終了時に採集した記述感想か ら 受 講 後 の 受 講 者 の 質 的 変 化 を 読 み 取 ろ う と し , さ ら に 12 月末に,受講者がどの程度の頻度 で ジ グ ソ ー 法 を 実 践 し て い る か を 調 査 し た 。

3.2 平成 24 年度学習理論研修受講者の感想の分析

記 述 を 分 析 す る た め に ,感 想 で 得 ら れ た 自 由 に 書 か れ た 文 章 を『 。(句点)』で区切り,また 『 、(読点)』であっても文脈から見て明らかに意味が異なるものは分解し,全てを単文に分解 し た 。 感 想 採 取 人 数 38 名の文章を分解し,190 の単文を抜き出した。 そ の 190 の単文に対し,それぞれどういう意味を含んでいるかをカテゴリ分けし,度数の 多 い 順 に 並 べ た 。 表2 平成 24 年度学習理論研修の感想分析(n=38) カテゴリ分 けの項 目 度 数 a 〔授 業 観 ・学 習 観 の変 容 〕 ・指 導 案 作 りの考 え方 の変 化 ,授 業 改 革 推 進 への実 感 38 b 〔授 業 手 法 の理 解 〕 ・知 識 構 成 ジグソー法 の理 解 ,知 識 構 成 ジグソー法 成 立 の難 しさへの理 解 36 c 〔授 業 改 革 への必 要 性 の理 解 〕 ・協 調 活 動 への良 さへの気 付 き,実 感 33 d 〔授 業 者 同 士 によるコラボレーションの意 義 〕・指 導 案 を共 に練 り上 げる事 の意 義 ,他 者 のアイデアが参 考 になる 27 e 〔自 らの授 業 実 践 の変 容 〕 ・授 業 に活 かしたいという思 い,活 用 を意 図 した考 え方 ,生 徒 への還 元 26 f 〔自 己 の変 容 〕 ・自 信 ,不 安 ,過 去 の振 り返 りと対 比 ,自 分 の意 識 の変 化 16 g 〔その他 の記 述 〕 ・他 ,上 記 カテゴリに含 まれない記 述 14 研 修 の 目 的 が 学 習 指 導 や 学 習 観 に 対 す る パ ラ ダ イ ム 転 換 を 引 き 起 こ す こ と に あ っ た た め , a〔授業観・学習観の変容〕や c〔授業改革への必要性の理解〕が多く上がってきたことは望ま し い 結 果 で あ る 。b〔授業手法の理解〕は当然として,d〔授業者同士のコラボレーション〕が と て も い い と い う 意 見 が 多 い 。 こ の 意 見 は 学 校 運 営 等 の 研 修 の 場 で は 多 く 出 て く る 意 見 で は あ る が , 教 科 の 授 業 設 計 の 中 で も ( 別 教 科 の 者 と 話 し 合 う こ と も 合 わ せ て ) 出 て く る と い う こ と は , 教 員 同 士 が 話 し 合 い , 互 い の 意 見 を 共 有 し , 共 に 何 か を 考 え る プ ロ セ ス は , 現 在 の 教 員 の 中 に 希 薄 で あ り な が ら も , 本 来 必 要 と さ れ て い る 営 み に 気 が 付 く と い う こ と を 意 味 し て い る 。 も し ,学 校 の 中 で 日 常 的 に 教 科 の 授 業 設 計 に つ い て 教 員 同 士 の 協 調 の 場 が 得 ら れ て い な い の だ と し た ら , そ の 側 面 も 耕 す べ き で あ ろ う と 考 え る 。

(5)

表3 平成 24 年度の感想に記載された文例中の特徴的なもの(抜粋) 項 目 文 例 a 授 業 観 ・ 学 習 観 の 変 容  この知識は知っていて欲しい,こう利用して欲しい,社会に出ても使えると分かって欲しい,と たくさんの欲 がでる  一歩進んで,それを知るためにはどのような方法があるか,方法を探る手法まで踏み込まなけ れば,変 化 する社 会 に対 応 していけれないし,必 要 な知 識 になる  様々な視点から物事を見ることで,新しい発見,気付きが生まれるのだと改めて感じた  自分自身が体験し感じた「協調」を,生徒が体験できる授業にするには,どのような工夫が必 要 かを考 え実 践 したい  指導者として学習科学について学んだことが,子どもたちの学びに変化を起こしている。「学ぶ ことが楽 しい。」という表 情 を見 てとれる b 授 業 手 法 の 理 解  今までのレクチャーに対しての理解度を高めることができる。誤った理解を訂正することができ る。以 上 の点 で練 り合 い,いわば協 調 学 習 は魅 力 的  具体例を通して練り合っていく中で,知識構成型ジグソー法を自分の中に落とすことが出来た  エキスパート活動の高まりの「さじかげん」でジグソーで考えさせるべき事が大きく異なり,活動 の質 そのものが変 わってくる  ジグソー法を用いるにあたり,どの教材を与えるか,あるいは何を求めるのか,ますます難しい  ジグソー教材は自分一人で作成して実践することはなかなかできない難易度がある c 授 業 改 革 の 必 要 性  他者の意見を加えると,これほどまでに充実するものなのかと実感した  最初は,どこまで自由な考えを言っていいか戸惑ったが,自由な発想が飛び交う中で,その中 から新 しい考 えが生 まれてくる過 程 は,とても新 鮮  学びを共有する,聞いてもらう喜び,自分の考えが高まっていく喜び,等が「教材を練り合う」と いう活 動 の中 で,たっぷり味 わえた  教え手が「協調」することの体験をする必要性を強く感じた  「葉はなぜ緑なのか?」のジグソーを体験したときと同じような満足感 d 授 業 者 同 士 の コ ラ ボ レ ー シ ョ ン  毎年事例が紹介され,別の教材を作りあげ,県で共有すると県全体のレベルアップに繋がる  専門外の教科でジグソー教材を作成しているとき,自分の教科に置き換えて考えるところもあ り,話 し合 うことのメリットをそこでも感 じた  「期待する回答の要素」について,各自が受け持ったことのある生徒の反応を出し合いながら 改 善 することが出 来 た  自分では思いつかなかった発想や考えなどが多く,多くの人で関わって練ることで,より良いジ グソー教 材 になる  グループで検討し,他の方からさまざまな視点やアイデアをもらい,よりよくなっていくのを実感  疑問に思ったことや,自分の考えを話すことで,役立ち感や関われる喜びを味わった e 授 業 実 践 の 変 容  思わず引き込まれ,熱中しながら言語活動を行い,学習に取り組む姿に期待  知識構成型ジグソー法を何回か実践してみているが,英語には大変有効  4回の研修で,ようやく小さな光が見えてきた「まずはやってみないとね」というフレーズが印象 的 ,何 とか形 にして研 修 の成 果 を残 したい  4つの要素をジグソーは含んでいる。自分の授業でやってみることだ  授業のみではなく,他の教育活動にも応用したい  小学6年生の社会科で数回「知識構成型ジグソー」を試みた。子どもたちは楽しみにしている f 自 己 の 変 容  研修を重ねる度に,授業案がフレキシブルになる  今までは,知識を教え,それをどう生かすのかができればいいと思っていた  知性の重層は,新鮮な情報で,学習科学の分野への興味を持った  「この学びの時にジグソーが有効なのでは」とひらめき,上手に利用できる力を身につけていき たいと思 った  エキスパート教材の内容を,指導者として自分がもっと知りたくなり,いつもより教材研究をした

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3.2 平成 25 年度学習理論研修受講者の感想

平 成 25 年度は,平成 24 年度の実践から教員自身の学習観を大きく変えることはわかって い た た め ,「 教 師 自 身 の 変 容 」 に 加 え , 授 業 実 践 後 の 「 生 徒 の 変 容 」 も 問 う こ と と し た 。 表4 平成 25 年度に得られた感想の「教師自身の変容」で特徴的なもの(抜粋)  改 めて「話 す」ことの重 要 性 を再 認 識 した。再 認 識 したのはジグソー法 を実 践 する際 の教 材 研 究 の大 変 さです。様 々な角 度 から,生 徒 に考 えてほしい,導 き出 してほしい何 かに到 達 できるような教 材 を準 備 するには,私 自 身 の技 量 も磨 かねばならないと痛 感 しました。  いわゆる一 斉 授 業 形 式 の知 識 伝 達 型 授 業 の限 界 を感 じながらも,なかなかそれに代 わる授 業 のあり 方 が分 からずに,模 索 している状 況 の中 での研 修 であった。これからの日 本 の教 育 において必 要 な 力(21 世紀 型 スキル)を育成していくための,おそらく一つの柱となるような実践方法であるという実 感 ・感 覚 を持 つことができた。  生 徒 の興 味 ・関 心 を引 くために視 聴 覚 教 材 をできるだけ多 く取 り入 れるようにしてきたが,生 徒 が考 え たりするような場 面 は少 なく,受 け身 の授 業 に課 題 を感 じていた。  日 々の授 業 において,どのように生 徒 に接 するか,どのような問 いかけをするか,判 断 力 や思 考 力 と はいったい何 かなど,毎 日 どのように生 徒 を教 育 するかを,より深 く考 えながら生 活 できるようになった と感 じます。  ジグソー法 を学 ぶまでは,なんだかんだ言 ってもやはり授 業 は講 義 形 式 が一 番 だと思 っていました。  学 習 者 主 体 の授 業 の方 が定 着 度 が高 いと言 うことを感 じる。  授 業 は教 員 が一 方 的 に「教 える」のではなく,生 徒 が「学 ぶ」ために手 助 けをしていく,いろいろな仕 掛 けを作 っていくのだという視 点 を持 つことができた。  今 までは,自 分 が生 徒 たちにどう伝 えるかという部 分 が大 きかったと思 いますが,今 は生 徒 たちにどう 考 えてほしいかという部 分 が大 きくなりました。  生 徒 は口 では「わかりやすい授 業 」を求 めますが,実 際 は自 分 でたどたどしくも説 明 し,友 人 のたどた どしい説 明 を聞 き,自 分 の頭 で考 える方 が大 切 だと思 うようになりました。  生 徒 の授 業 に対 する意 欲 や関 心 を高 めるために,学 習 教 材 の工 夫 に努 めてきたつもりでしたが,実 際 には学 習 内 容 をプリントにしたり,プロジェクターを活 用 したりして視 覚 的 に示 すなど,小 手 先 の工 夫 であったように思 います。学 習 教 材 を組 み合 わせるなどの工 夫 をすることで,これまで長 年 見 てきた 教 材 に,新 たな広 がりや深 まりが感 じられました。  授 業 の主 役 は生 徒 であり,受 動 態 から能 動 態 へと転 換 させることができる点 で有 効 であった。教 材 研 究 には十 分 な時 間 をかけなければ中 途 半 端 な授 業 になってしまい,教 員 の授 業 力 が試 されていると 言 っても過 言 ではないが,逆 にこれがおもしろさでもある。  自 分 がこれまで行 ってきた授 業 や,もしくは,高 校 時 代 に受 けてきた授 業 は,あくまで指 導 者 主 体 の インプット重 視 であり,指 導 者 が「活 躍 」しなければならないという意 識 からなかなか脱 却 できないよう に感 じていた。指 導 者 がうまく拾 い上 げようとか,うまくまとめようかとかすることは,生 徒 の思 考 力 向 上 に関 しては些 細 なことで,アウトプットするための準 備 ,姿 勢 ,共 有 こそが重 要 であり,それでよいと考 えられるようになった。  今 まで「教 える」ということで自 分 が満 足 していた部 分 があったのではないかと思 うようになった。ジグソ ー法 の実 践 を通 して,教 えることを我 慢 して,なるべく生 徒 自 身 が気 づく仕 掛 けを考 えます。これがま た大 変 で,まとめとかもついつい自 分 で言 ってしまったりして,生 徒 が考 えた時 間 を台 無 しにしてみた り。ただ,回 数 を重 ねるにつれ,生 徒 の意 見 交 換 の時 間 が少 しずつでも確 保 できるようになった。

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主 に , 従 来 自 分 が 行 っ て き た 授 業 は 一 斉 授 業 形 式 の 知 識 伝 達 型 授 業 で あ り , そ れ に 疑 問 を 感 じ な が ら 実 践 し て い た 受 講 者 が , 協 調 学 習 を 導 入 す る 事 で 生 徒 の 学 び に 足 場 を か け , 受 動 的 な 態 度 か ら 能 動 的 な 態 度 へ の 生 徒 の 変 化 を 自 覚 し , 教 師 自 分 の 考 え 方 を 変 え て い く と い う プ ロ セ ス で 教 員 自 身 の 授 業 観 を 変 え て い っ た こ と が 分 か る 。 こ の こ と は , 教 員 研 修 に 対 し て も 他 者 の 講 義 を 聞 く だ け で は な く , 教 師 自 分 が 生 徒 の 変 化 を 体 験 す る と い う プ ロ セ ス が 必 要 で あ り , そ の 機 会 を 研 修 の 中 に 組 み 込 ま ね ば な ら な い 。

3.3 学習理論研修受講者の,その後の授業実践頻度

(平成 24 年度および平成 25 年度) 多 様 な 感 想 を 持 っ て い る 受 講 者 が , 実 際 に ど の 程 度 の 頻 度 で 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 で 授 業 実 践 し て い る か を メ ー ル で 調 査 し た ( 平 成24 年度 25 年度とも 12 月末)。 調 査 は 「 学 習 理 論 研 修 以 降 , 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 や , 複 数 の 情 報 ( ア イ デ ア ) を 組 み 合 わ せ て 統 合 す る 事 で 新 し い 解 を 発 見 ・ 開 発 す る よ う な 設 計 の 授 業 を 実 践 さ れ ま し た か ? 」 と い う 問 い で あ る 。 表5 平成 24 年度と 25 年度 知識構成型ジグソー法の受講者の実施頻度比較 知 識 構 成 型 ジグソー法 を授 業 で活 用 している頻 度 平 成 24 年度の 度 数 および% 平 成 25 年度の 度 数 および% a ほ ぼ 毎 日 ( 週 の う ち 3 ~ 4 回 ) 3 0 7.5% 0% b 頻 繁 に ( 週 の う ち 1 回 以 上 ) 2 1 5% 1.6% c ち ょ く ち ょ く( 週 に 1 回 か 2 週 に 1 回 く ら い ) 4 8 10% 13.1% d と き ど き ( 月 に 1 回 か , 2 月 に 1 回 ) 6 20 15% 32.8% e 今 ま で , 1 回 ~ 2 回 ほ ど 試 し て み た 12 22 30% 36.1% f や っ て な い 5 4 12.5% 6.6% 無 回 答 9 4 22.5% 6.6% 計 40 61 急 な 調 査 だ っ た た め 返 事 が 得 ら れ て い な い 者 が あ る が ,返 事 の な い 者 で も ,複 数 回 の 授 業 公 開 を し , 頻 繁 に 実 践 し て い る 教 員 も お り , 実 践 の 実 践 者 の 数 字 は 少 し 多 く な る 。 平 成 24 年度と 25 年度を比較すると,ほぼ毎回実施する実践者は少なくなっているが,平 成 24 年度のほぼ毎日実施する実践者は小学校の教員が 2 名含まれる。小学校は,多くの時間 で 様 々 な 教 科 を 担 任 が 授 業 す る た め , あ る 特 定 の 教 科 等 に 差 し 込 み や す い と い う 実 態 が あ る 。 高 等 学 校 や 中 学 校 で は ,ひ と つ の ク ラ ス に 出 る の は 週 の う ち 2~3 回のはずで,その中で毎 日 実 施 す る の は 現 実 と し て 難 し く 平 成25 年度の a(ほぼ毎日)が 0 という数字は現実味がある。 そ の 中 で ,b(週に 1 回か 2 週に 1 回くらい)という数値や,c(月に 1 回か,2 月に 1 回)という数 値 が 増 加 し た こ と は , 平 成 25 年度の講座の方が,終了後に定期的な実践者が増えたことを示 し て い る 。

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3.4 生徒の変容

表6 受講者から寄せられた感想の「生徒の変化」として特徴的な記述(抜粋)  授 業 後 の生 徒 の感 想 では,「内 容 が深 く理 解 できた」「楽 しかった」というような内 容 のものが多 く見 ら れた。普 段 の授 業 で話 し合 わせたりすることもなかったので,こうした機 会 をもっと作 りたいと思 った。  毎 年 ,2 学期の後半は生徒の進路が決まって,極端に学習意欲が低くなっていました。しかし,今年 は何 度 もグループ対 抗 をして,話 し合 いに慣 れたところでジグソー法 を使 ってみました。すると,こちら が難 しいだろうと考 えていたセンター試 験 の問 題 を最 終 的 にはすべてのグループが解 きました。生 徒 たちも自 信 を持 ったようで,その後 ,何 度 かジグソー法 を使 って授 業 をしたところ,意 欲 的 に取 り組 ん で,必 ずどこかのグループが答 えを導 き出 していました。また,2 学期の期末考査にも驚くほど意欲的 に取 り組 み,中 間 考 査 の平 均 点6 割に対して,期末考査が 8 割とかなりあがりました。過去 2 年間と 比 較 すると,今 年 のこのクラスは,ここまで(12 月末)極端な意欲の低下がなく,まじめに取り組んでい ます。  級 友 の幅 が広 がり,学 校 行 事 に積 極 的 になったりしてくれた。また,検 定 や資 格 取 得 に全 員 で取 り組 んでいるなどの雰 囲 気 ができた。今 期 の研 修 を受 けたことで「雰 囲 気 作 り」ができるようになったと,自 分 自 身 感 じている。  寝 たり,ボーッとしていた生 徒 がボーッとしなくなった(ボーッとさせてしまっていたこちら側にも責任は ありますが)。経験することで学習のリズムやパターン,机の移動や生徒個々の動きが軽くなったりした 印 象 を受 ける。発 言 の細 部 まで拾 うことはできていないが,グループ内 で互 いの思 考 を交 したり,意 見 の修 正 をおこなう様 子 を感 じられるようになった。  生 徒 は能 動 的 に授 業 に参 加 するようになった。単 に,個 人 で考 えて答 えを出 すのではなく,グループ 内 で「なぜそのような答 えになるのか」を話 し合 いながら深 く考 えている様 子 が見 られるようになった。  自 然 とリーダーとなる人 物 が現 れ,その生 徒 を中 心 に活 発 に話 し合 いが行 われる様 を見 て,こんな風 に人 の意 見 を聞 き,意 見 を発 言 できるようになったのだなと感 心 させられました。  生 徒 の意 外 な躓 きどころが分 かる。また,振 り返 りで生 徒 の発 言 から,押 さえておくべき点 が押 さえて ないときのフォローが試 験 を待 たずしてできる。生 徒 の素 朴 な質 問 も出 てきて,こちらも勉 強 になる。  当 初 は,自 己 表 現 すること自 体 がままならない状 態 だったが,こちらがくじけずに求 め続 けていると, クラスの中 に「話 すのが当 たり前 」というような雰 囲 気 ができあがり,積 極 的 にとまではいかないけれど も,自 然 とアウトプットするようになってくれた。  生 徒 は関 心 を持 って授 業 に参 加 するようになっただけでなく,事 象 の背 景 などについての考 察 も加 え るようになった。そのことで発 言 内 容 も一 問 一 答 式 の「単 語 」だけを言 って終 わるのではなく,自 分 なり の表 現 で最 後 まで言 い切 ることができる生 徒 が多 くなっている。  授 業 後 の休 憩 に,引 き続 き内 容 についての話 をする生 徒 がちらほら見 られた。説 明 しきれなかった, 理 解 しきれなかった,そのもどかしさがそうしたこうした行 動 を引 き起 こしていると思 う。一 斉 授 業 では お客 さん状 態 の生 徒 でも,協 同 的 な学 びでは積 極 的 になる時 があります。一 方 で,特 に内 気 な生 徒 ですが,一 斉 授 業 で講 義 を聴 きノートを取 る方 が良 いという生 徒 もいます。  人 任 せで無 気 力 な態 度 をとる生 徒 が少 なくなったように感 じます。  課 題 が難 しいと感 じていたにも関 わらず,生 徒 がどうにか解 決 しようと取 り組 む姿 や,課 題 が早 く終 わ ったので別 のグループの課 題 に挑 戦 したいなど学 習 意 欲 を見 せる生 徒 もいて驚 いています。教 員 が 生 徒 の学 習 意 欲 を制 約 しているのではないかと感 じた瞬 間 でした。

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 説 明 する生 徒 は説 明 しながら知 識 を深 め,聞 く生 徒 は率 直 な自 分 の質 問 を相 手 にぶつけ理 解 しよう とする姿 がみられた。活 動 の中 で,生 徒 の中 から「わかった」という声 が聞 かれ,生 き生 きとした表 情 が 見 られた。普 段 あまり発 言 せず受 け身 だった生 徒 も積 極 的 に授 業 に参 加 し,教 員 が予 想 していた以 上 に生 徒 自 身 が活 発 に活 動 していた。  意 見 交 換 の時 間 ですが,いろいろな視 点 から発 表 して,その意 見 に食 いつく生 徒 が増 えた気 がしま す。私 が意 見 交 換 の際 に質 問 してみても,以 前 よりも反 応 が良 くなった気 がします。それと,授 業 の 終 わりに質 問 にくる生 徒 が増 えました。その生 徒 の話 を聞 くと,しっかり考 えたなと思 うことが多 いで す。  寝 る子 がいない。意 欲 的 でない生 徒 が「また,あの授 業 かぁ~。めっちゃ脳 みそ使 うやつだん!」って 言 いながらも取 り組 んでいる。楽 しみにしている生 徒 がいる。「今 日 はジグソーじゃないだぁ~。」なん て言 う生 徒 もいる。  普 段 積 極 的 でない生 徒 ほど,ジグソー法 の授 業 では楽 しそうにしていました。「こういう授 業 面 白 い」 と,授 業 後 に言 ってくれた生 徒 もいました。クロストークの時 ,たとえ拙 い説 明 であっても,私 が説 明 す るよりお互 いの話 をよく聞 いていると感 じました。よくできる生 徒 が「先 生 」になって,グループのメンバ ーに教 えてくれるのも,嬉 しい光 景 でした。  教 師 がどのくらい解 説 が必 要 なのか不 安 なところもあったが,生 徒 たち自 身 で解 答 を推 敲 していく過 程 を見 て,生 徒 だけでもこれだけのことができるのだと知 ることができた。教 師 が教 えないと身 につか ないという考 えは,驕 りであったかもしれないと感 じた。 生 徒 の 多 く が , 主 体 的 な 学 習 者 と な っ て 授 業 に 参 加 し て い る こ と が 分 か る 。 こ の 生 徒 の 変 化 は , 教 員 に と っ て は 教 員 自 身 の キ ャ リ ア ア ン カ ー に 直 結 す る 変 化 で あ り , こ の 生 徒 の 変 化 が あ る か ら や め ら れ な い と い う 意 見 も 出 て 来 る 。 ま た , 生 徒 の 変 化 を 見 た か ら こ そ , 教 員 自 身 も 今 ま で の 自 分 の 「 学 習 と い う も の へ の 認 識 論 」 を 再 考 し , 知 識 伝 達 型 の 学 習 モ デ ル か ら , 生 徒 自 ら が 理 解 を 深 め よ う と す る 活 動 へ の 支 援 と い う 教 授 モ デ ル へ の 転 換 と い う 自 己 変 容 へ 向 か っ て い る こ と も 読 み 取 れ る 。 こ れ ら の 変 化 は , 普 通 科 進 学 校 か ら 専 門 高 校 ま で 全 て の 校 種 で 同 様 の 変 化 が 見 ら れ て い る 。 こ の こ と は , 学 力 層 の 差 は 関 係 な く , そ れ ら の 生 徒 の 現 実 に う ま く 適 合 し た 課 題 が 与 え ら れ れ ば , ど の 生 徒 も 積 極 的 に 学 ぶ 事 が で き る 事 を 示 し て い る 。 こ の 実 践 は 高 等 学 校 で の 実 践 が 主 だ が , 小 学 校 ・ 中 学 校 ・ 大 学 で も 効 果 が 上 が る 教 授 方 法 で あ ろ う と 思 う 。

4.

終わりに(考察と展望)

知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 を 含 む 協 調 学 習 は ,生 徒 に 概 ね 好 意 的 に 受 け 取 ら れ て い る こ と が 分 か る 。 ま た 実 践 す る 教 員 も , 研 修 を 通 し て 学 び 実 践 し て み る こ と で , 何 ら か の 価 値 を 得 て , 実 践 を 変 え て い こ う と す る 教 師 自 身 の モ チ ベ ー シ ョ ン に も つ な が っ て い る こ と が 分 か る 。 平 成 24 年度の実践では初年度として,かなりの人数の実践者を育てる事ができたと考える し ,あ る 程 度 の 期 待 さ れ た 効 果 は 得 ら れ た 。ま た ,平 成 25 年度の実践では,研修受講者が集ま っ た 時 点 で の モ チ ベ ー シ ョ ン が 平 成 24 年度とは明らかに異なっていた。平成 24 年度は懐疑的 な 思 い を 持 ち な が ら 集 ま っ た 者 が ほ と ん ど で あ っ た が ,平 成25 年度の受講者は,知識構成型ジ グ ソ ー 法 を 通 し て 学 習 科 学 を 学 び , 自 分 の 実 践 を 変 え れ ば , 生 徒 の 反 応 が 変 わ る 。 と い う こ と を , 前 年 度 の 受 講 者 の 実 践 か ら 既 に 目 に し て お り , 研 修 の ス タ ー ト 時 点 で は 既 に 「 自 分 は ど の よ う な 授 業 を 作 ろ う か 」 と い う 意 識 で 集 ま り , ず っ と モ チ ベ ー シ ョ ン の 高 い ま ま 推 移 し た 。

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さ ら に ,1 回目の研修が終わった時点ですぐに自分の授業を変えるためにトライアンドエラ ー を 始 め た 者 も 多 か っ た 。平 成24 年度の実践者は,9 月以降からぼちぼちと試行を始めたこと を 考 え る と , モ チ ベ ー シ ョ ン の 高 さ に 由 来 す る 行 動 力 が 感 じ ら れ た 。 あ る 程 度 の 授 業 経 験 と 授 業 の 技 術 が 伴 っ て い る 方 が , 初 期 段 階 で は 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 の デ ザ イ ナ ー と し て は 有 能 な 傾 向 に あ り , そ れ は 授 業 設 計 時 の 生 徒 観 の 見 取 り や 授 業 中 の 生 徒 の 見 取 り の 精 度 の 差 が 現 れ て い る の だ と 思 う が , 経 験 の 少 な い 者 で も 実 践 を 積 み 重 ね て ゆ く と 徐 々 に 授 業 デ ザ イ ン の 力 も 高 く な っ て い く こ と も 事 実 で あ る 。 2 年間の間に,研修と併行して,いくつかの高等学校に三宅教授や大島教授と一緒に入り, 校 内 で 研 修 を 行 っ て き た 経 験 か ら , 学 校 全 体 で 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 を 学 ぼ う と す る 学 校 の 方 が 研 修 で 学 ん だ 受 講 者 が 動 き や す く , ま た 波 及 し や す く , 活 発 さ と い う 点 で 差 が 出 て く る 。 あ る 高 等 学 校 で は , 受 講 者 が 学 校 に 帰 り , 校 長 に 学 校 全 体 で 研 修 を 進 め た い と 申 し 出 て , 学 校 全 体 で 学 ぶ こ と に な り , 事 務 局 担 当 が 講 座 内 容 の ダ イ ジ ェ ス ト 研 修 を 全 職 員 に 実 施 し , そ の 後 大 島 教 授 が 関 わ り な が ら 授 業 実 践 を 進 め た が , そ の 高 等 学 校 で は 研 修 対 象 者 以 外 の 教 員 も 興 味 を 持 っ て 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 の デ ザ イ ン を 学 び , 研 修 受 講 者 と 相 談 し な が ら 練 り 上 げ , 実 践 を 試 み る と い う 事 が 複 数 回 起 こ っ た 。 ま た , そ の 学 校 で は 今 年 度 に 入 っ て 授 業 改 革 の 支 援 チ ー ム が 職 員 室 内 の 有 志 で 組 織 さ れ , 新 し い 形 の 授 業 を し て み よ う と ト ラ イ す る 者 に 対 し て , 授 業 設 計 段 階 か ら 支 援 す る と い う 活 動 を 始 め て い る 。こ れ は ,協 調 学 習 をOJT として広げようと す る 職 員 室 内 の 雰 囲 気 に 大 き く 貢 献 す る た め , こ の よ う な 広 が り を , さ ら に 仕 組 ん で 広 げ て い き た い と 考 え る 。 一 方 で , 実 践 し や す い 環 境 に あ る 学 校 と , 実 践 し に く い 環 境 に あ る 学 校 の 差 異 も 大 き く な っ て い る 。 各 高 等 学 校 の 管 理 職 の 意 識 の 差 が , 実 践 の 差 に 大 き く 影 響 し 始 め , 管 理 職 が 協 調 的 学 び の 推 進 に 対 し 積 極 的 な 姿 勢 の 学 校 は , 授 業 者 は 様 々 な ト ラ イ を 継 続 し や す い 傾 向 に あ る が , そ う で は な い 学 校 で は 余 り 実 践 の 数 が 増 え て い か な い よ う に 見 受 け ら れ る 。 学 校 に よ る 取 り 組 み 度 合 い の 差 が ,2 年間を経過して大きく開き始め,積極的な学校はどん ど ん い ろ ん な 動 き を 作 り 出 し て い る が , 動 き が 見 え な い 学 校 は 従 来 通 り の 学 校 を 維 持 し て い る だ け で あ る た め , そ の 差 は 拡 大 し 続 け て い る 。 ま た , 評 価 を ど う す る か と い う 点 も こ れ か ら の 大 き な 課 題 と な る だ ろ う 。 実 際 に 授 業 実 践 を し て い る 教 員 が ,授 業 中 の 子 ど も の 学 び の 様 相 と ,定 期 考 査 の 得 点 と の ギ ャ ッ プ に 疑 問 を 持 ち , 生 徒 の 内 在 的 な 面 を 評 価 す る 事 が で き な い か ど う か 疑 問 を 感 じ て い る 。 そ れ は , 今 ま で の 教 育 の 中 で 行 わ れ て き た 評 価 が , 協 調 学 習 の よ う な 他 者 と 協 調 す る こ と で 自 ら の 知 を 構 築 し , 学 び を 深 め て い く よ う な 学 習 に 対 す る 評 価 と 合 致 し て い る か ど う か , ま た , 定 期 考 査 な ど の ペ ー パ ー テ ス ト 形 式 の 出 題 や 評 価 が , 人 の 学 び そ の も の の 評 価 に 適 し て い る か ど う か と い う 問 題 点 を 含 ん で い る 。 そ れ ら の 解 を 創 り 出 す た め に , 実 践 を 積 み 重 ね な が ら 検 討 し て い か な け れ ば な ら な い と 考 え て い る 。 次 年 度 以 降 の 展 望 と し て , 管 理 職 ( 校 長 ・ 教 頭 ・ 教 務 主 任 ク ラ ス ) 対 象 の , 学 習 科 学 を 学 ぶ 研 修 が 必 要 な の で は な い か と 考 え て い る 。 学 校 は , 構 成 す る 職 員 が ど ん ど ん 入 れ 替 わ り な が ら 維 持 さ れ て い く も の で , 固 定 の メ ン バ ー で 未 来 永 劫 運 営 さ れ る も の で は な い 。

(11)

常 に よ り よ い 授 業 を 作 り 上 げ な が ら 発 展 し て い く た め に は , 学 び の 仕 組 み を 利 用 し た 実 践 を 設 計 し , 実 践 を し て み て , 結 果 を 受 け て 次 の 実 践 の 設 計 を 練 り 上 げ る と い う 「 授 業 を 改 革 し 続 け る 文 化 」 を 学 校 に 根 付 か せ る 必 要 が あ る 。 そ れ は ま さ に , 学 習 科 学 の 考 え 方 が 学 校 の 中 で 機 能 す る と い う こ と で あ り , そ の た め に は 管 理 職 の 理 解 が 欠 か せ な い 。 学 校 に は , 学 校 づ く り と い う 管 理 運 営 , 授 業 づ く り と い う 学 習 の 活 性 化 , 人 的 資 源 の 有 効 活 用 や 有 効 配 置 , 構 成 員 の 円 滑 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 耕 す こ と な ど , 気 を 配 ら な け れ ば な ら な い 多 様 な 側 面 が あ る 。 そ れ ら を 維 持 管 理 す る た め に 管 理 職 が 学 ぶ こ と の 一 部 に , 学 習 科 学 の 考 え 方 を 加 え , 授 業 活 性 化 の バ ッ ク ア ッ プ 体 制 を 構 築 す る こ と も , 今 後 の , 一 般 教 員 に 対 し て 学 習 科 学 の 研 修 を 継 続 す る こ こ と 合 わ せ て , 重 要 な 課 題 と な っ て い る 。 千 代 西 尾 祐 司 ( 鳥 取 県 教 育 委 員 会 高 等 学 校 課 高 校 教 育 企 画 室・鳥 取 大 学 大 学 教 育 支 援 機 構 教 員 養 成 セ ン タ ー ) < 注 > ※1 RECLS(静岡大学大学院教育学研究科付属 学習科学研究教育センター) ※2 CoREF(東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構) < 引 用 参 考 文 献 > 『 学 習 科 学 と テ ク ノ ロ ジ ー 』 三 宅 な ほ み, 白水 始 放送大学教育振興会 (2003/04) 『 学 習 科 学 』 波 多 野 誼 余 夫 ・ 大 浦 容 子 ・ 大 島 純 放 送 大 学 教 育 振 興 会(2004/03) 『 教 授・学 習 過 程 論 学 習 科 学 の 展 開 』大 島 純・野 島 久 雄・波 多 野 誼 余 夫 放 送 大 学 教 育 振 興 会 (2006/03)

表 3 平 成 24 年 度 の感 想 に記 載 された文 例 中 の特 徴 的 なもの(抜 粋 ) 項 目 文 例 a 授 業 観 ・学習観の変 容  この知 識 は知 っていて欲 しい,こう利 用 して欲 しい,社 会 に出 ても使 えると分 かって欲 しい,とたくさんの欲 がでる  一 歩 進 んで,それを知 るためにはどのような方 法 があるか,方 法 を探 る手 法 まで踏 み込 まなければ,変 化 する社 会 に対 応 していけれないし,必 要 な知 識 になる  様 々な視 点 から物

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