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環境別溜池泥土の研究 XI 平田池コアの観察-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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54 香川大学戯学部学術報告 環境別溜池泥土の研究

Ⅲ 平田地コアの観察

玉 置 鷹 彦,梅 田

裕 前報(5)に・つづき香川県木田郡山田町十河にある平田池紅ついてコアによる泥二し:の滞積状態を調査した結果を報債 する. ‡ 調査の対象とした溜池の概況 この研究の対象とした溜池ほ第1図に示すように周辺単純型の野池で,平甥地の低所を利用して,土堰堤でこれを 囲み,北岸の堤防の高さは約10mである〃 そして満水面積約4ha,満水深約4m,北辺に2個の斜樋管をもち,池底 は/南より北へ,ごくゆるく傾斜している皿池である.南堤のはぼ中央部 に1個の流入水口をもち,貯水はこの溜他の南方に存在する蓮池および 外Lh他の余水と天水に.よっている.余水吐はこの溜池の南部流入水口隅 近と西南部とに1個づつある.調査当時ほ養魚中であつたが,養魚のた め特に食餌を与えることなく,自然飼育である.また溜池内南部約%紅 はカガブタ,ヤナギモが繁茂し,衆南部にほガマが自生しているはか, 北部にヒシ,カガブタが点在生育していたり採泥ほ久しく行われておら ぬ.. 第1図 調査地点略図 Ⅱ 池泥滞積状況の調査 19dl年7月24日既報(1)の方法により,第1図に示すように溜池内で9個所をえ.らぴ,これらの地点よりコアNo 1−9の試料を採取して肉眼紅よる観察を行った.これらのコアを筋2−4図に,また池泥の滞積状況を筋5図に示す・. 第2図 平田弛コア (東西方向配列) 第5図 平田池コア (腐北方向東側配列) 第4阿 平用地コア (南北方向西側配列) 第5図よりコアNol1の浮泥は灰黒色,屑厚10cm,おも紅分解過程にある黒色の有機物細片・よりなり,この中 に無機質微細土粒が存在している.この屑と沈降泥屑との境界はやや明らかである.沈降泥は灰色の微細土粒よりな り層犀12cm,淡褐色の細砂が混在しているい この屑の下層には黒灰色の分解の進んだ有機物よりなる密な外観をも つ泥屑が厚さ4cmにわたつて滞蘭している..コアNo.2の浮泥は灰黒色,層悍155cm,コアNo.1の浮泥屑に類似

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第14巻帯1号(1962) 55 し,おもに分解過程にある黒色有機物細片よりなり,その中に無機質微細土鈴が混在している.この屑の下部ほ沈降 泥へ漸移する.沈降泥は灰色,眉厚10…5cm,その上部約51.5cm間は浮泥より漸移する微細土よりなり,また下部 ほ不規則な形をもつ小さいすきま 紅富み,士粗は微細な砂よりな り,しかもこれらの土粒表面は黄 褐色の薄膜で被われているような 外碗をもっている.コアNo,.5の 浮泥は灰黒色,屑膵J7巾5cm,分解 黒色化した有機物の細片よりな り,沈降泥層との境界は明らかで ある.沈降鬼ほ膏灰色,屑犀4巾5 Cm,微細上村よりなり,密紅滞 耕している..この屑の下部渡池底 泥へ漸移する小 池底泥は灰褐色, 屑厚8小口cm,屑中に哉褐色の部分 が存在するところの微細士料より なり,その下郊にほ径 2一−5mm の砂粒が滞積している.コアNo 4の渾沌は灰黒色,屑犀5りOcm, 微細な分解黒色化した有機物より なり,屑下部碇朋やや粗大な分解 有機物が混在している.またこの 水 深 m 45.七色記号 a:果 灰 b:灰 黒 c:灰褐黒 d:灰 30 e:灰 背 f:葡 灰 g:灰 褐 b:褐 灰 i:扱黄灰 15 旺空望ヨ砂 礫 2 3 4 5 6 7 8 9 第5図 泥土滞額状況略図 コ ア No l 屑の上層部にほ微細な砂が,下層 部には石英の柵砂が爽在しているのが認められる、.沈降泥は灰色,屑厚る小5cm,微細な士粗よりなり,これに石英を 主とする砂が多段混在している小 コアNo小5の浮沌は灰黒色,屑鮮9.Ocm,分解黒色化した微細な有機物細片よりな る… この屑の上線より約2cm下部にほ細かい砂が多く含まれている.沈降泥との境界にほ分解黒色化した粗大有機 物が混在し,また沈降泥屑との境界ほ明らかである。.沈降泥ほ習灰色,層厚11.Ocm,密な外観をもつ埴貿の土粒よ りなり,その下屑にほ灰褐色の砂礫層が啓さ4..5cmにわたり滞硫して:いる..コアNoるの浮泥ほ灰褐色,屈辱8け5 Cm,黒色あるいは褐色の分解過程にある有機物片を混在し,沈降泥屑との種界付近濫あるものは殊に大形である この層ほまた金屑紅わたつて細かい砂が混在している..沈降泥ほ灰色,層厚10Ocm,密な外観をもつ墳貿の土粒よ りなり下部は池底流輝へ漸移する 地底泥ほ.褐色,屑厚d一三Cm,沈降泥層同様密な外観なもつ埴貿の上組よりなるコ アNo“7の浮泥ほ灰黒色,層辟7・5cm,分解黒色化した有機物細片よりなり,その下部ほ沈降泥屑へ漸移するい 沈 降泥は灰色,層悍10.Ocm,径2−4mmの小気泡を多く含む埴貿土よりなる.池底泥屑との境界は.明らかである. 池底泥ほ淡哉灰色上層厚10‖2cm,密な外観をもつ碑貿の土屑である.、コアNoい8のi銅己ほ黒灰色,屑序7.5cm,微 細な分解黒色化した有機物よりなり,屑の下部ではこの有機物がやや大形である.また沈降派屑との境界は明らかで ある.沈降泥は灰胃色,層厚5小5cm,密な外観をもつ埴質の土粒よりなり,その下部ほ池底瀧へ漸移する..池底蘭 は灰褐色,屑摩る5cm,密な外観をもつ櫨貿の土粒よりなる1コアNo.9の浮捉は灰黒色,層悍廿、5cm,分解黒色 化した微細な有機物よりなり,これは.コアNo“8の浮流屑と同様に層の下部ではこの有機物がやや大形である.ま た沈降泥屑との境界ほ明らかである小沈降泥は灰笥色,層厚12小2cm,密な外観をもつ埴質の士粗よりなり,層中軋 径2mm内外の小気泡を多く含む.その下部は地底蘭屑との境男がやや明らかに認められる。地底泥は褐灰色,層 厚7..5cm,密な外観をもつ埴質の土粒よりなる. Ⅱ 考 察 以上紅のべたコアの観察よりコア Noい1の最下層紅分解の進んだ黒色の有機物よりなる密な外観をもつ花暦の存 在するととほ,この泥屑ほ過去の浮流屑であり,その上へ後時の急激な増水による滞砂作用紅基く微細な士粒が滞積

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56 香川大学農学部学術報薯 し,その上へ現在の浮泥屑が発達し,同時に滞砂作用によるこの微細な土粒はこの浮泥の影響をうけて,現在の沈降 泥層となつているものであろう,これほこの溜池が皿池であり,またこのコアの採取地点は流入水ロと東部樋管を結 ぶ直線上忙はぼ位置して−いるので,急激な増水による流入水の影響が,樋管部附近まで著しく影響をおよばすであろ うことより推察されるところである.すなわちコアNoい1は滞泥作用の特長である浮泥,沈降泥,池底泥の5屑構成 をもたず,不完全型の滞泥層を示して−いる.このことはコアNo2でも沈降泥層下部に不規則な形のすきま紅富む微 細な砂の滞積が認められることにより,このコアでも同様に以前に滞礎作用が行われたことが考えられる.そしてこ の不規則なすきまのできる理由としてほ既報の奥の堂弛(2)のコアで認められたものと同様に豪雨の際沿岸より運ば れた礫やこl:∴砂を含む濁水が,急激な山時的増水で気泡の多い急流となって溜池内へ流れ込み,これが気泡をとじこめ たまま沈精し,流速の減退とともに二t二砂がその上縁に滞積し,沈降泥層の速かな発途に伴い,このすきま内の気泡は 地水中に逸脱する機会を失い,ここにすきまの多い泥土屑をつくるに至ったものであろう..このように下層が滞砂作 用をうけていることほコアNo4,No.5に.も認められ,殊にコアNo.4を得た地点でほ柱状採泥器が約10cm程度 しか泥土中に入らず,泥土屑下部には滞砂作用による砂礫層が著しく発達している.またコアNo.7およびNo..9 紅認められる沈降泥コア中の小気泡ほ既報の平木大池(3)や威瀬池く4)の沈降泥や池底礎で認められたものと同様 に・,こ・れらの屑中に存在する有機物の分解によって生成する炭酸ガスやその他泥土中より発生するガスによってつく られるものであろ■う.要する紅この溜池より得たコアで浮泥,沈降泥,池底泥の5層構成をもつものは,コアNo. 5,る,7,8,9で,大部分がこの溜池内西半部すなわち流入水口より流れ込む水流の諺響を喧接受けぬと推定され る部分のものである.すなわちこの溜池でほ流入水口と凍部樋管とを結ぶ南北線の西側でほ滞泥作用がおもに行われ ており,この線の東側でほ凌雨による−嶋的流入水の増加のある場合紅は滞砂作用が行われ,これが終止するとき, その上へ滞泥作用が発達してくることがノ剛性される. n7 摘 要 香川県木田郡山関田什河にある平田弛より9偶のコアを採取し,泥」一の滞積状況を拗廃してっぎの結果を得た. (1)浮泥の屑厚は5.0−155cmである… (2)沈降泥の屈原ほ45−12,.2cmである. (3)地底泥の屑厘ほムふ10‖2cmである. 値)溜池内剛咽でほ滞泥作用がおもに行われ,東半部でほ瀾砂作用をうけた砂礫屑の上に滞泥作用が発達しつつ ある. 引 用 文 献 (1)玉眉鷹彦,梅田 裕‥香川大農学報,11,20占(1959). 〔4)−−【−m,−− :同」二,15,る1(19占1)‖ (2)【−】・】,−・一叫: 同上,12,97(19占0) i5)−・m肌・・,−一一一−「 :同上14,51(19占2). (3)−¶¶−,− :同上,15,58(19dl)い

Studies on reservoir deposits

XIObservationof Hirata reservoir core samples

Takahiko TAMAKIand Yutaka UMEDA

Stlmmary Observation of Hirata reservoir core samples was held and the following results were

obtained:

tl)The depth ofりorganic deposit”(toplayer)of core samples rangeS from50cm to15。5cm. (2)The depth of“sedimenta工y mud”(middlelayeI)of core samples ranges from4い5cmto12.2cm.

(3)The depth of’’bottozn soil”(Sublayer)of core samples工angeS from6.5cm tolO.2cm。 (4)●−Organic deposit forming process”is proceedingin the western pa工t Of this reservoir.In the

easternpartofthisreservoirthereisgolng On”oIganic deposit forning process=on gr・aVeland sand layerwhichwas developedby fo工Zner e’mineraldepositformlngprOCeSS”. しReceivedJune15,19占2)

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