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日本感性工学会論文誌

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(1)

1.

は じ め に 臨場感は,昨今の視聴覚機器の性能を語る際のキーワード である.例えば,オーディオ機器の商品広告には「包み込ま れるような臨場感」や「臨場感あふれる迫力の音声再生」など のように,臨場感という言葉が多く見られる.しかし,臨場 感の性質は十分に明らかにされているとはいえない.臨場感 の辞書的意味は「あたかもその場に臨んでいるような感じ」 である[

1

].この定義に従うと,臨場感は,視聴覚メディア がいかに忠実に現場の物理的特性を再現しているかに依存し て決定されることになる.しかし,音のみによって感じられ る臨場感を扱った著者らの先行研究[

2

3

]では,たとえ単 一の録音・再生系を用いても,知覚される臨場感は録音・再 生の対象によって異なることを示している.また,特定の対 象であっても録音・再生機器が違えば臨場感が異なるという 性質も示されている.そこで,著者らは,前者の性質をコン テンツ臨場感,後者をシステム臨場感と呼び区別している. 臨場感に関する先行研究では,多次元性も明らかにされ てきた[

4-8

].例えば,

Kim

ら[

4

]は,臨場感には

arrival

(到着感.伝送されてきた環境に居る感じ)と

departure

(出 発感.自分が実在している環境に居ない感じ)の

2

要因が あることを因子分析により示した.

Schubert

ら[

5

]は,

spatial presence

(上記の到着感に相当),

involvement

(充

足感),

realness

(現実感)の

3

要素を示している.

Lessier

ら[

6

]は,

physical space

(到着感)

, engagement

(感心度)

,

naturalness

(自然性),

negative effects

(マイナス効果)の

4

因子を示唆している.

Witmer

ら[

7

]は,

involvement

(充 足感),

adaptation/immersion

(適応感/没入感),

sensory

fidelity

(感覚的忠実度),

interface quality

(インタフェー

スの質)の

4

因子を示している.これらの研究は,仮想現 実感システムあるいは遠隔協調作業システムの性能評価に 関して行われたものであり,システム臨場感に関する評価 を行っていると考えられる. 一方,寺本ら[

8

]は,記憶あるいはイメージに基づくア ンケート結果を因子分析し,評価性,迫力,活動性,機械性 の

4

因子を抽出した.この研究では,仮想現実感システムな どの特別な装置に関する経験を経た回答者によるものではな いので,回答された臨場感はコンテンツ臨場感に関するもの であると考えられる.しかし,実際の視聴覚コンテンツを評 価して行ったアンケートではないので,コンテンツ臨場感の 性質が明らかにされたとは言い難い. 視聴覚コンテンツを制作する立場からすれば,どのような 要素が視聴者に高い臨場感を与えるかを予測することは有益 である.また,テレビ等一般の視聴覚機器の性能として臨場 感を定量的に表示できるようになれば購買者の利益となる が,そのためにはシステム臨場感を測定することが必要であ り,その測定に用いる標準コンテンツを定めるための前提と してコンテンツの臨場感の性質を明らかにしておくことが重 要である.そこで,本研究では単一の収録・再生系に限定す ることで視聴覚コンテンツ臨場感に焦点を絞り,その多次元 性を検討することとした.このとき,視聴覚による総合的な 臨場感だけでなく,聴覚のみ,視覚のみという単一モダリティ による臨場感も検討することとした.

視聴覚コンテンツ臨場感の多次元性に関する検討

福江 一智,小澤 賢司,木下 雄一朗

山梨大学大学院医学工学総合研究部/教育部

Study on Multidimensional Structure of the Sense

of Presence in Audio-Visual Content

Kazutomo FUKUE, Kenji OZAWA and Yuichiro KINOSHITA

Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering, University of Yamanashi, 4-3-11 Takeda, Kofu, Yamanashi 400-8511, Japan

Abstract : The sense of presence is crucial for evaluating audio-visual equipments. To clarify the multidimensional structure of the sense, we conducted three experiments on audio, visual, and audio-visual content items. Forty scenes were recorded as content items. Each item was reproduced with a 65-inch display and headphones in three conditions of audio-only, visual-only and audio-visual. Twenty-one subjects evaluated the impression of each item using forty pairs of adjectives by the Semantic Differential method as well as its presence using a Likert scale. The experimental data was analyzed by the factor analysis and four, five and five factors were extracted for audio, visual, and audio-visual conditions, respectively. The multiple regression analysis revealed that audio and audio-visual presences were explained by the extracted factors, although further consideration is required for visual presence. These results indicated that the factors of psychological loading and activity are relevant for the sense of presence.

Keywords : Presence in Audio-visual content, Factor analysis, Multiple regression analysis

(2)

本研究でも,先行研究[

4-8

]と同様に因子分析により検 討を行う.ただし,先行研究では予め実験者が選定した評価 語を用いた因子分析の結果に基づき臨場感の因子を抽出する 手続きをとっていたが,その手順によると十分な検討がなさ れていない危険性がある.すなわち,適切な評価語が選定さ れていないことで,臨場感の要因を見落としていないかが懸 念される.また,抽出された因子によって,十分に臨場感を 説明できることの保証も示されていない.そこで,本研究で は重回帰分析を用いることで,これらの点についても検討を 行うこととした.

2.

実 験 方 法

2.1

 視聴覚コンテンツの選定と収集 著者らによる先行研究[

2

3

9

]では,音や映像における 動きの有無がコンテンツ臨場感の知覚に影響を及ぼすことが 示されている.そこで,音や映像の動きの有無に配慮しつつ, 表

1

に示す

40

種の視聴覚コンテンツ素材を収集した.収集 した素材の例を静止画像として図

1

に示す.なお,映像が動 くか動かないかの判断は,観測者に対する対象の相対的な位 置の移動の有無により行った.例えば,図

1

b

)に示す吹奏 楽の演奏の映像は映像が動かない素材となる.なお,コンテ ンツの選定にあたっては,日常的な風景から花火やローラー コースタなど放送コンテンツにも取り上げられる非日常的な 風景までを含むように配慮した. コンテンツの収集にあたり,音場の情報を可能な限り正確 に再現するために,録音はダミーヘッド(高研,

SAMRAI

) を用いたバイノーラル録音[

10

]で行った.記録方式は非圧 縮(

PCM

形式,

16 bit

量子化,

48 kHz

標本化)である.また,

録画はカムコーダー(

SONY, XDCAM EX PMW-EX1

)を

用いて,

Full HD

画質(

1980

×

1080 / 60i

)で行った.

2.2

 臨場感を評価するための印象語の抽出と選定 視聴覚素材に対する感性評価実験を行うのに先立ち,印象 語抽出実験を行った.この実験の目的は,被験者が発した言 葉から,臨場感の評価に利用可能な印象語を抽出することで ある.実験手順としては,まず上述の視聴覚素材の中から

5

種類を選び,それぞれを被験者に

20

30

秒間提示した.そ の後,各視聴覚素材について,以下の質問に関してインタ ビュー形式にて被験者に回答させた. 質問

1

この素材に臨場感を感じたか? 質問

2

なぜ質問

1

の回答のように思ったか? 質問

3

この素材の音のみにおける印象はどうか? 質問

4

この素材の映像のみにおける印象はどうか? 質問

5

総合して印象深いことや,気になったことはあるか? 質問

6

この素材が撮影された場所を知っているか? 被験者は正常な視力・聴力を有する

20

代の成人男性

10

名, 成人女性

6

名の計

16

名である.被験者を

4

名ずつの

4

グルー プに分け,グループごとに異なる

5

種類の視聴覚素材を提示 した.その回答から,次節の感性評価実験で使用する印象語 の候補として

124

語を抽出した. 続いて,形容詞辞典[

11

],映画や音楽に関する雑誌[

12

13

], そして臨場感に関する論文[

8

]からも,臨場感の評価に利用 される可能性のある印象語

221

語を抽出した. 表1 収集した視聴覚コンテンツ素材 映像が動く 映像が動かない 音像が動く 自動車の通過,電車の通過,夕方の学校(チャイム, 鳥の声など),甲府駅前の歩行者・バスなど,ボート の通過,キャッチボール,ローラコースタA の通過(前 方),公園で落ち葉が舞う風景,トンネル内での自動 車の通過,バスケットボールの試合,バッティング センタ,花火(穏やか),花火(激しい)【13 種】 弓道場の練習風景,研究室の一席,スピーカから鳴 る音楽,ローラコースタAの通過(後方),ローラコー スタB の通過(後方),キャンパス内の施設前(鳥の 声・自動車など)【6 種】 音像が動かない 自分が廊下を歩行,自分が乗車中の自動車のエンジ ン音,自分がロール式滑り台を滑降,自分が乗車中 のロープウェイ【4 種】 メリーゴーランド,夜店の様子,滝,木々のざわめき, 噴水(夜景),料理風景,公園での雑踏,夜景,湖畔, 携帯電話の着信,タイピング,湖面に写る夜景と雨, 合唱,吹奏楽の演奏,静かな森林,静かな廊下,小 川のせせらぎ【17 種】 (a) 花火(激しい) (b) 吹奏楽の演奏 図1 収集した視聴覚素材の例

(3)

これら計

345

語の臨場感に関わる印象語を元に,実際に評 価に用いる印象語を選定した.この作業には,

SD

Semantic

Differential

)法[

14

]による実験に関して十分な経験を有す る者を含む

6

名の成人男性が参加した.まず,

SD

法による 実験を行うことを念頭に,対が存在しない形容詞を省く, 意味の捉えにくい形容詞を省くなどの作業を行い,

233

語 を選定した.次に,

KJ

法[

15

]に用いられるグループ化手 法の手順に従って,同様な意味の印象語をグループ化して

75

グループに分けた.さらに,グループの代表表現語の意 味同士が対義語の関係になっているものを対とする,対と なる代表表現語が

75

グループの中に存在しない場合は対義 語となる新たな表現を探す等の作業を行い,最終的に

40

対 の印象語対を抽出した.それらは後述の因子行列の表中に 示す.

2.3

3

つの視聴条件における視聴覚コンテンツの評価実験

3

つの視聴条件:聴覚のみ,視覚のみ,および視聴覚の順 で,臨場感評価実験を行った.各条件での実験間には

1

カ月 の期間を設けた. それぞれの視聴条件では,上述の

40

種類の素材をランダ ムな順序で被験者にそれぞれ

20

40

秒間提示した.提示さ れた素材に対し,被験者はまず「臨場感を感じた」という項 目について

7

段階のリッカート尺度で評価した.ここで,

1

が「非常にそう思わない」,

7

が「非常にそう思う」である. 続いて,ランダム順で提示される印象語対

40

対の各々につ いて,

7

段階の

SD

尺度で評価した. 視聴覚素材の再生系としては,ヘッドホン(

Sennheiser

HD650

)及び

65

型液晶ディスプレイ(シャープ,

AQUOS

LC-65GX5

)を用いた.本実験では,実際にテレビを視聴す る環境を想定して,被験者はソファーに座って素材を視聴し た.なお,ディスプレイと被験者の距離は,

ITU-R Rec.

Bt.710-4

で勧告されている

3H

2.4 m

)とした. 被験者は正常な聴力および視力を有する

10

代から

20

代の 男性

16

名,女性

5

名の計

21

名である.なお,彼らは印象語 抽出実験には参加していない.

3.

実験結果及び因子分析に基づく考察

3.1

 臨場感の評価結果 各素材について「臨場感を感じた」の平均評価値を表示し た実験結果を図

2

に示す.この図では,視聴覚臨場感が高く 評価された順に素材を並べて示した.この結果から,単一の 収録・再生系であっても,素材が異なることにより被験者が 感じる臨場感に違いがあることが分かる.この実験結果に関 する詳細な検討,および臨場感評価に影響する視聴覚刺激の 物理的特徴に関しては別報[

16

17

]に詳述したので,ここ では要点のみ述べる. 視聴覚臨場感については,聴覚臨場感と似た傾向が見られ るものの,素材「滝」や「噴水(夜景)」などにおいて視覚 臨場感に近い評価がなされる場合があった.ただし,視聴覚 臨場感が,聴覚のみあるいは視覚のみの臨場感を上回ること がないことが示されている. 図2 各素材についての臨場感の評価値

(4)

3.2

 聴覚条件についての因子分析結果

SD

法の実験で得た評定値に対して因子分析を行うのに先 立ち,以下の作業を行った.被験者がどの素材に対しても明 確な印象を抱いていない印象語対とみなせる場合,あるいは 被験者によって判断が異なる印象語対とみなせる場合は,コ ンテンツ臨場感を表現するのに適していない印象語対である と判断し,分析対象から除外することとした.具体的手順を 以下に述べる. まず,

40

の印象語対それぞれに関して,各素材における 被験者間データの平均値と基準値(

SD

尺度における中点) との差について有意性検定(

1

サンプル

t

検定)を行った. その結果,有意差がみられない素材数が全素材の

6

割(

24

個) を上回る場合には,被験者が多くの素材に対して明確な印象 を抱いていない印象語であると判断した.これに該当した印 象語対は,「新しい−古い」であった. 次に,

40

の印象語対それぞれに関して,素材ごとに被験者 間分散を算出した.この値が

1.5

以上である素材数が全素材 の

6

割より大きい場合には,被験者によって判断が異なる印 象語対であると判断した.これに該当したのは,「細かい− 粗い」,「緻密な−雑な」,「立体的な−平面的な」,「自然な− 人工的な」,「響きの豊かな−響きの乏しい」の

5

対であった. これら

6

対の印象語対を取り除いた

34

対の印象語対につ いて因子分析(主因子法,バリマックス回転)を行った.評 定値としては全被験者の平均値を用いた.まず抽出すべき因 子数を決定するため,固有値を算出した.固有値に大きな変 化が見られ,かつ固有値が

1

以上であることを基準として,

4

因子を抽出することとした.表

2

34

対の印象語対につい ての因子負荷量と,各因子についての固有値および寄与率, 累積寄与率を示す.表においては,各印象語対が持つ

4

つの 因子負荷量のうち,絶対値が最大のもので分け,各々につい 表2 聴覚臨場感に関する因子負荷量

(5)

て絶対値が大きい順に並べてまとめて示した. 得られた因子について考察する.第

1

因子は「活き活きと した−活気のない」や「明るい−暗い」などの印象語対の 因子負荷量が大きいことから,活動性因子と解釈した.第

2

因子は「美しい−汚い」や「快適な−不快な」などの印象 語対の因子負荷量が大きいことから,評価性因子とした. 第

3

因子は「鋭い−鈍い」や「緩い−きつい」などの心情を 表す印象語対の因子負荷量が大きいことから,心的負荷因 子と解釈した.第

4

因子は「日常的な−非日常的な」と「現 実的な−非現実的な」という日常的であるか否かに関わり がある印象語対への因子負荷量が大きいことから,日常性 因子とした. 聴覚臨場感に及ぼす聴覚印象の影響に関連して因子分析 を行った先行研究[

18

]では,

aesthetic state

(叙情性),

volume

( 量 的 ),

softness

( 柔 ら か さ ),

information on

sound

(音情報),

sound localization

(音像定位)の

5

因子を 抽出し,そのうち

information on sound

sound localization

2

因子が臨場感に比較的大きな影響を及ぼすことが示され

ている.これらの因子について,本評価実験で抽出された因

子との比較を行う.その先行研究における

aesthetic state

ついては,「

comfortable

uncomfortable

」や「

beautiful

dirty

」などといった印象語対の因子負荷量が大きいことか

ら,本評価実験における評価性に対応していると考える. 次に,

volume

について,「

loud

soft

」や「

strong

weak

」 などといった印象語対の因子負荷量が大きいことから,活動 性に対応していると考える.

softness

については,「

sharp

dull

」が最も大きな因子負荷量をもつことから,心的負荷に 対応すると考える.また,

information on sound

は,音源が 何であるか分かるかという音色の識別的側面[

19

]に関す ることで,日常性因子に対応していると考える.一方,

sound localization

は音像が頭外に定位するか否かといった 音像定位に関連するものであり,本研究において対象とし ていないシステム臨場感[

2

3

]の評価に関連する因子と考 える.

3.3

 視覚条件についての因子分析結果 前節と同様の二つの判断基準により除外した印象語対は, それぞれ「はっきりとした−ぼやけた」,および「新しい− 古い」,「細かい−粗い」,「緻密な−雑な」,「重い−軽い」,「立 体的な−平面的な」,「迫力のある−迫力に欠ける」であった. これら

7

対の印象語対を取り除いた

33

対の印象語対につい て因子分析を行った. 前節と同様の固有値に関する基準から,

5

因子を抽出する こととした.表

3

33

対の印象語対についての因子行列を 示す.得られた因子について,第

1

因子は「快適な−不快な」 や「みずみずしい−乾いた」などの印象語対の因子負荷量 が大きいことから,評価性因子と解釈した.第

2

因子は「強 い−弱い」や「鋭い−鈍い」などの印象語対の因子負荷量 が大きいことから,心的負荷因子とした.第

3

因子は「活き 活きとした−活気のない」や「楽しい−つまらない」など の印象語対の因子負荷量が大きいことから,活動性因子と 解釈した.第

4

因子は「日常的な−非日常的な」や「現実的 な−非現実的な」などの日常的であるか否かに関わりがあ る印象語対への因子負荷量が大きいことから,日常性因子 とした.第

5

因子は「豪華な−素朴な」や「複雑な−単純な」 などの印象語対への因子負荷量が大きいことから,装飾性 因子とした.

3.4

 視聴覚条件についての因子分析結果 前節までと同じ二つの判断基準により除外した印象語対 は,それぞれ「新しい−古い」,および「細かい−粗い」,「立 体的な−平面的な」,「緻密な−雑な」,「直感的な−論理的 な」,「響きの豊かな−響きの乏しい」であった.これら

6

対 の印象語対を取り除いた

34

対の印象語対について因子分析 を行った. 前節までと同様の基準に基づいて

5

因子を抽出した.表

4

に因子行列を示す.得られた因子について,第

1

因子は「速 い−遅い」や「緩い−きつい」などの印象語対の因子負荷量 が大きいことから,心的負荷因子と解釈した.第

2

因子は「調 和した−不調和な」や「快適な−不快な」などの印象語対の 因子負荷量が大きいことから,評価性因子とした.第

3

因子 は「活き活きとした−活気のない」や「明るい−暗い」など の印象語対の因子負荷量が大きいことから,活動性因子と解 釈した.第

4

因子は「日常的な−非日常的な」や「現実的な −非現実的な」などの日常的であるか否かに関わりがある印 象語対への因子負荷量が大きいことから,日常性因子とし た.第

5

因子は「自然な−人工的な」という印象語対への因 子負荷量が大きいことから,自然性因子とした.以上のとお り,自然性因子を除けば聴覚のみおよび視覚のみの条件で得 られた因子と一致していることから,視聴条件間での矛盾は ないものと考える.

1

章において述べたように,寺本ら[

8

]は,コンテンツ 臨場感を構成する評価次元として,評価性,迫力,活動性, 機械性の

4

因子を抽出している.寺本らの研究における評価 性については「好きな−嫌いな」や「気持ちの良い−気持ち の悪い」などといった印象語対の因子負荷量が大きいことか ら,本評価実験における評価性に一致していると考える.次 に,迫力については,「迫力のある−迫力のない」や「緊張 した−くつろいだ」などといった印象語対の因子負荷量が大 きいことから,心的負荷に対応していると考える.活動性に ついては「騒がしい−静かな」や「動的な−静的な」などが 大きな因子負荷量をもつことから,やはり活動性に一致する と考える.機械性については,「人工的な−自然な」などといっ た印象語対の因子負荷量が大きいことから,自然性に対応し ていると考える.このように,抽出された印象にはある程度 の対応はあるものの,日常性に対応する因子が見られないな ど必ずしも一対一で対応するわけではない.この相違は,寺 本らは臨場感を感じる事象を想像させて印象を回答させたの に対し,本評価実験では実際にコンテンツを視聴して回答さ せたことに起因すると考える.

(6)

4.

重回帰分析に基づく考察 従来の研究では,臨場感に関係すると実験者が考えた印象 語についての因子分析結果のみから臨場感の多次元性を考察 していた.すなわち,選定された印象語に漏れがなかったか, あるいは,抽出された因子で臨場感の評価値を説明できるか について検討がなされていなかった.そこで,本章では重回 帰分析の結果に基づいて検討を行う.

4.1

 聴覚条件についての検討 各素材についての

3.2

節において抽出された

4

因子の因子 得点を説明変数とし,

3.1

節に示した視聴条件「聴覚のみ」 における臨場感の平均評価値を目的変数として重回帰分析を 行った.得られた重回帰式を以下の次式に示す. =

4.857

0.807x

1−

0.198x

2−

0.509x

3−

0.300x

4 (

1

) ただし, :視聴条件「聴覚のみ」における臨場感の推定値

x1

:因子

1

(活動性因子)の因子得点

x2

:因子

2

(評価性因子)の因子得点

x3

:因子

3

(心的負荷因子)の因子得点

x4

:因子

4

(日常性因子)の因子得点 である.重相関係数は

0.903

,寄与率は

0.816

であることから, 表

1

に示した

40

の素材ついての聴覚臨場感の平均評価値を

4

因子得点から十分な精度で推定できるといえる.このことか ら,聴覚におけるコンテンツ臨場感は

4

因子の線形結合とし て表現できることが示唆されたといえる.また,選定した評 価語に漏れはなかったと考えられる. さらに,全ての因子における因子得点と臨場感の平均評価 値との間に,統計的に有意な相関がみられた(両側検定:

tF1

38

)=−

10.00

p

< .01

tF2

38

)=−

2.45, p < .05

tF3

38

) =−

6.51

p

< .01

tF4

38

)=−

3.65

p

< .01

).なお,ここで 表3 視覚臨場感に関する因子負荷量

(7)

は因子

F

αの因子得点と臨場感の平均評価値との相関につい て得られた

t

値を

tF

α(

38

)と表記した.続いて,各因子得点 と臨場感の平均評価値との偏相関係数を算出したところ,

rF1

=−

0.861

rF2

=−

0.383

rF3

=−

0.740

rF4

=−

0.525

であ り,「活動性」および「心的負荷」については臨場感と強い 相関がみられるものの,その他の因子については弱い相関で あるといえる.なお,ここでは因子

F

αの因子得点と臨場感 の平均評価値との偏相関係数を

rF

αと表記した. 以上から,「活動性」および「心的負荷」が聴覚臨場感に相対 的に大きな影響を及ぼしていることが示唆されたといえる. つまり,「活動性」において,より「活き活きとした」印象や 「明るい」印象などを受ける場合,また,「心的負荷」におい ては,より「鋭い」印象や「きつい」印象などを受ける場合に, 高い聴覚臨場感が得られることが示唆されたといえる.

4.2

 視覚条件についての検討 各素材についての

3.3

節において抽出された

5

因子の因子 得点を説明変数とし,

3.1

節に示した視聴条件「視覚のみ」 における臨場感の平均評価値を目的変数として重回帰分析を 行った.得られた重回帰式を次式に示す. =

4.414

0.079x

1−

0.343x

2−

0.253x

3−

0.034x

4+

0.135x

5(

2

) ただし, :視聴条件「視覚のみ」における臨場感の推定値

x1

:因子

1

(評価性因子)の因子得点

x2

:因子

2

(心的負荷因子)の因子得点

x3

:因子

3

(活動性因子)の因子得点

x4

:因子

4

(日常性因子)の因子得点

x5

:因子

5

(装飾性因子)の因子得点 である.重相関係数は

0.634

,寄与率は

0.402

であることから, 表4 視聴覚臨場感に関する因子負荷量

(8)

40

の素材について視覚臨場感の平均評価値を

5

つの因子得点 から十分な精度で推定できるとは言い難い. この原因としては,以下の二つが考えられる.(

1

SD

法 評価に用いた印象語に漏れがあったこと,(

2

)視覚臨場感 は

5

因子についての因子得点の線形結合としては表現できな かったことである.まず,(

2

)の可能性を検討するため, 因子得点

x

の代わりに,

log x

10

x

|x|

x

2などを説明変数 として重回帰分析を行ってみたが,見るべきものはなかっ た.このことから,(

1

)選定した印象語に漏れがあった可 能性があるものと考える. なお,因子得点と臨場感の平均評価値との間に,統計的に 有意な相関が見られたのは心的負荷と活動性因子のみであっ た(両側検定:

tF2

38

)=−

3.67

p

< .01

tF3

38

)=−

2.78

p

< .01

).そして,因子得点と臨場感の平均評価値との偏相関 係数を算出したところ,

rF2

=−

0.532

rF3

=−

0.431

であった.

4.3

 視聴覚条件についての検討 各素材についての

3.4

節において抽出された

5

因子の因子 得点を説明変数とし,

3.1

節に示した視聴条件「視聴覚」に おける臨場感の平均評価値を目的変数として重回帰分析を 行った.得られた重回帰式を次式に示す. =

4.902

0.446x

1+

0.145x

2−

0.396x

3+

0.017x

4+

0.079x

5(

3

) ただし, :視聴条件「視聴覚」における臨場感の推定値

x1

:因子

1

(心的負荷因子)の因子得点

x2

:因子

2

(評価性因子)の因子得点

x3

:因子

3

(活動性因子)の因子得点

x4

:因子

4

(日常性因子)の因子得点

x5

:因子

5

(自然性因子)の因子得点 である.重相関係数は

0.875

,寄与率は

0.765

であることから,

40

の素材における臨場感の平均評価値を

5

つの因子得点に よって,かなりの精度で推定できるといえる.上記のとおり 視覚臨場感については良好な推定とは言い難いものの,図

2

に示したように視聴覚臨場感は聴覚臨場感に近い傾向があっ たため,このように視聴覚におけるコンテンツ臨場感を

5

つ の因子の線形結合として表現することの可能性が示唆された といえる.今後,視覚臨場感について適切な印象語の選定が なされたならば,視聴覚臨場感についてもより良好な推定が 可能になるものと考える. なお,「心的負荷」および「評価性」,「活動性」の因子得 点と臨場感の平均評価値との間に,統計的に有意な相関がみ られた(両側検定:

tF1

38

)=−

7.81

p

< .01, t

F2(

38

)=

2.50

p

< .05

tF3

38

)=−

7.00

p

< .01

).そして,各因子得点と 臨場感の平均評価値との偏相関係数を算出したところ,

rF1

=−

0.801

rF2

0.394

rF3

=−

0.769

であり,「心的負荷」 および「活動性」については臨場感と強い相関がみられるも のの,「評価性」については弱い相関であるといえる. 以上から,「活動性」および「心的負荷」が視聴覚臨場感 に相対的に大きな影響を及ぼしていることが示唆されたとい える.つまり,「心的負荷」において,より「速い」印象や「き つい」印象などを受ける場合や,「活動性」において,より「活 き活きとした」印象や「暖かい」印象などを受ける場合には, 高い視聴覚臨場感が得られることが示唆されたといえる.な お,寺本ら[

8

]は,興奮や緊張感,緊迫感などの強い情動 反応を喚起する非日常体験にも臨場感という言葉が用いられ ることを述べている.本研究においても,「心的負荷」が視 聴覚臨場感に有意に影響を及ぼしており同様な結果がみられ たといえる.

5.

総 合 的 考 察

5.1

 システム臨場感とコンテンツ臨場感に関して 将来的にシステム臨場感を測定するためには,測定に用い る標準コンテンツを予め定める必要がある.その標準コンテ ンツを定めるためにはコンテンツ臨場感の性質を理解するこ とが重要であると考え,本研究では収録・再生系を一つに限 定することでシステムの特性の相違が臨場感に及ぼす影響を 排除し,コンテンツ臨場感のみに関して検討を行った.映像 については

Full HD

画質で

65

型ディスプレイを用い,音に ついては非圧縮によるバイノーラル録音再生系を用いてお り,本研究の準備に着手した

2009

年時点で市販されていた 収録・再生系のなかでも高品位に属する系を用いていた. 音に関していえば,頭部や耳介の音響特性がダミーヘッド と被験者の間で異なることを除けば,現場において両耳で聴 取する音をかなりの忠実度で再現できたもの考えている.も し本実験で用いた

40

素材であっても,仮にモノラル再生に より聴取した場合には,空間の広がりや音源の動きなどが再 現されないため,被験者の知覚する聴覚臨場感はかなりの程 度まで低下することが容易に推測できる.著者らはこの性質 をシステム臨場感[

3

]と称しているが,本研究で明らかに したのはシステム臨場感が比較的高い条件でのコンテンツ臨 場感の性質であると捉えることができる. 映像についていえば,本来は十分な広さの視野角に加え て,両眼による立体視を実現することが,現場を再現する ためには必要であり,その意味では本研究で高忠実な録画 再生系を用いたとは言い難い.実際のところ,図

2

の実験結 果でも視覚臨場感については,平均評価値が

6

を上回る素材 は見あたらない.このことから,視覚臨場感については, 今後のスーパーハイビジョンシステムや

3D

録画再生系が普 及した時期を迎えたとき,コンテンツ臨場感の全容を明ら かにするといえるだけの検討を行うことができるものと考 えている. また,図

2

に関して,視聴覚臨場感は聴覚臨場感と似た傾 向が見られると述べたが,上述のとおりシステム臨場感とい う観点からは聴覚臨場感が優っていたことが,その一因と考 えることができる. なお,より根源的な問題として,一つの視聴覚事象に関し て,視覚と聴覚のどちらが視聴覚臨場感に及ぼす影響が大き いかといった臨場感のモダリティ間の比較や,さらには視聴

(9)

覚クロスモダリティの性質を解明することが挙げられる.視 覚についても十分に高い臨場感を与える収録・再生系を得る ことができたならばこのような問題も検討できるであろう が,これは将来的な課題である.

5.2

 被験者の臨場感に対する理解に関して

2.3

節に述べた臨場感評価実験は,臨場感の意味を被験者 に教示することなく実施した.実験では,音や映像について 動きの有無や日常性を考慮して選定した素材を用いたが,素 材によって評価値の被験者間分散が極端に大きく異なること はなかった.これは,非日常的な素材といえども「絶叫マシ ンの通過」「花火」「吹奏楽の演奏」など視聴体験があるもの であり,臨場感の意味が変わるほどの影響はなかったことに よるものと考えている. 一方,遊園地のアトラクションでは,宇宙旅行など非現実 的な体験について臨場感を話題にする場合もある.このよう に「あたかもその場に臨んでいるような感じ」という本来の 意味[

1

]での臨場感が成立しない状況での実験を行う場合 には,被験者の理解を統制する必要があると考える.

5.3

 因子数および評価語と感覚チャネルとの関係について 本研究の因子分析では,

3.2

節に述べたとおり固有値に関 する規範に基づき因子数を決定したが,抽出された因子数ま での累積寄与率は

80%

程度であった.累積寄与率が明示さ れ て い る 先 行 研 究 に お い て は, 文 献[

5

] で は

3

因 子 で

65.6%

,文献[

7

]では

4

因子で

52.2%

,文献[

8

]では

4

因 子で

46.13%

であることに比べれば,比較的高い値となって いる.これは,単一の収録・再生系により実際に収録した素 材を再生してのコンテンツ臨場感に限定した実験であったこ とが一因と考えられる.将来的に,種々のシステム臨場感を 有する系で同様な実験を行った場合,あるいは実録のコンテ ンツにレタッチをした素材を用いた場合など,抽出される因 子数に変化があるかは興味深い点である. なお,例えば「迫力のある−迫力に欠ける」という評価語 は,聴覚臨場感(表

2

)では活動性因子に最も大きな因子負 荷量

0.716

を有しており,心的負荷因子に次に大きな因子負 荷量

0.650

を有している.一方,視聴覚臨場感(表

4

)では 活動性因子に

0.447

,心的負荷因子に

0.801

となっており, その結果としてグルーピングされる因子が異なっている.さ らには,視覚臨場感については被験者間分散が大きい語とし て因子分析から除外されている.このように,ある評価語が 表す印象の意味は感覚モダリティチャネルにより異なる場合 があることには注意が必要である.すなわち,今後,少数の 評価語対により,コンテンツ臨場感を評価する場合には,な るべく一つの因子だけに大きな因子負荷量を有する語を用い ることが必要である.

5.4

 超臨場感と深い感性に関して 臨場感の性質さえ解明できたとは言い難い現状であるが, すでに「超臨場感」という概念が提唱されている[

20

].超 臨場感には二つの意味がある.一つは「超高」臨場感で,そ れを実現するために「その場」の五感情報を可能な限り物理 的に忠実に再現することが行われる.もう一つは,臨場感を 「超越」することで,「その場」にいる以上に,より大きな感 動,深い理解,豊かな創造力を与えることを目指し,五感情 報を統合的に提示したり,逆に極めて特徴的な情報のみの提 示が行われる. 本研究は,前者の意味である「超高」臨場感を指向して, 可能な限り高品位な収録再生系を用いて実験を実施した.た だし,将来的に精密な音の波面再生が可能な系を用いれば, 宮原ら[

21

22

]の言う「深い感性」まで伝達することが期 待でき,後者の意味すなわち臨場感を「超越」する可能性さ えある.その段においては,「漂うような空気感」「胸にしみ こむ」といった深い感性の評価語も用いて再実験する必要が あると考えている.

6.

お わ り に 本研究では,コンテンツ臨場感の多次元性を明らかにする ため,単一の収録・再生系を用いて

40

種のコンテンツを再 生し,因子分析および重回帰分析を用いて検討を行った.そ の結果,聴覚臨場感については,活動性,評価性,心的負荷, 日常性の

4

因子が抽出され,これら

4

因子で臨場感評価値を 十分に説明できることが示された.視覚臨場感については, 評価性,心的負荷,活動性,日常性,装飾性の

5

因子が抽出 されたが,臨場感評価値を十分に説明できるとは言い難く, 印象語の選定に再考の余地があることが示された.ただし, 心的負荷と活動性の

2

因子は臨場感評価と相関があることが 示唆された.視聴覚臨場感については,心的負荷,評価性, 活動性,日常性,自然性の

5

因子が抽出され,これらの因子 でかなりの程度まで臨場感評価値を説明できることが示され た.そして,ここでも心的負荷および活動性の

2

因子につい て,臨場感評価と関係が深いことが示唆された. 今後の課題は,視覚臨場感について,あらためて印象語の 選定を行うことである.なお,聴覚についてはバイノーラル 再生を利用したため音の空間情報を十分に再現できる系で あったのに対し,視覚については

2D

ディスプレイ再生であっ たため空間情報の再現が十分とはいえないものであった.こ れは,今日,

DVD

5.1ch

再生など音については空間情報 を含めた再生系が普及しているが,映像は

2D

再生が一般的 であることに基づいて設定した実験条件であった.しかし, 視覚についても,

3D

録画・再生系が

2010

年から市販される ようになったので,今後の検討では視聴覚ともに

3D

再生系 を用いる予定である. 謝 辞 本研究は,

NICT

委託研究「革新的な三次元映像技術によ る超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」の一環とし て行った.園内における撮影に関してご高配いただいた,株 式会社富士急ハイランド専務執行役員渡辺貢一様,総務部

(10)

渡邊和成様に深謝する.素材の収録および評価語の収集にご

助力いただいた,山梨大学工学部卒業生飯塚真之様に感謝

する.

参 考 文 献

[1]松村明編:大辞林 第二版,三省堂,東京,1995.

[2] Ozawa, K., Chujo, Y., Suzuki, Y., and Sone, T.: Contents which yield high auditory-presence in sound reproduction, Kansei Engineering International, 3, pp.25-30, 2002. [3] Ozawa, K. and Chujo, Y.: Content presence vs. system

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[4] Kim, T. and Biocca, F.: Telepresence via television: Two dimensions of telepresence may have different connections to memory and persuasion, J. Computer Mediated Communication 3, on-line, 1997.

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[6] Lessiter, J., Freeman, J.F., Keogh, E. and Davidoff, J.: Development of a new cross-media presence questionnaire: The ITC-Sense of presence inventory, Proc. Presence 2000: 3rd Int. Workshop on Presence, pp.1-7, 2000.

[7] Witmer, B.G., Jerome, C.J., and Singer, M.J.: The factor structure of the presence questionnaire, Presence 14, pp.298-312, 2005.

[8]寺本渉,吉田和博,浅井暢子,日高聡太,行場次朗,鈴木

陽一:臨場感の素朴な理解,日本バーチャルリアリティ学 会論文誌,15,1,pp.7-16, 2010.

[9] Ozawa, K., Ohtake, S., Suzuki, Y., and Sone, T.: Effects of visual information on auditory presence, Acoust. Sci. & Tech., 24, 2, pp.97-99, 2003.

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東京,2008.

[12] rockin on 2010年2月号,ロッキング・オン,東京,2010. [13] DVDvision 2010年1月号,日之出出版,東京,2010. [14] Osgood, C.E.: The nature and measurement of meaning,

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[19] 日本音響学会編:音色の感性学 ―音色・音質の評価と創 造,コロナ社,東京,2010. [20] 情報メディア学会編:超臨場感システム,オーム社,東京, 2010. [21] 加藤俊一,宮原誠:深い感動を引き起こす音の再現に向け た心理物理的キー評価語の発見と新・電気音響−“漂うよ うな空気感”,“胸にしみこむ”−,感性工学,10,3, pp.129-133,2011. [22] 宮原誠:特集 映像情報メディア年報 ∼ 2008年4月から 2010年3月の進展 ∼ 6. 深い感性のテクノロジー“新・電 気音響”研究開発 ∼ 波面合成のホログラフィックな音場: 胸に沁み込む音,漂うような空気感の再現,映像情報メディ ア学会誌,64,8,2010. 福江 一智(非会員) 2011年 山梨大学大学院医学工学総合教育部 修士課程コンピュータ・メディア工学専攻修 了.在学中は,視聴覚クロスモダリティ,視 聴覚臨場感に関する研究に従事.現在,クラ リオン株式会社に勤務. 小澤 賢司(正会員) 1988年 東北大学大学院修士課程修了.同年 東北大学電気通信研究所助手.東北大学助教 授,山梨大学助教授を経て,2007年 山梨大 学大学院医学工学総合研究部教授.メディア 感性工学,音響信号処理などの研究に従事. 木下 雄一朗(正会員) 2007年 立命館大学大学院理工学研究科一貫 制博士課程フロンティア理工学専攻修了.同 年より山梨大学大学院医学工学総合研究部助 教.博士(工学).感性情報処理,感性モデ リング,ヒューマンコンピュータインタラク ションに関する研究に従事.

参照

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