緊急パネル討論会
『豊洲市場移転に関わる食のリスクコミュニケーション』
2016年12月20日 東京大学農学部フードサイエンス棟「豊洲市場移転に関わる食の安全
と健康影響について」
関澤 純
NPO法人食品保健科学情報交流協議会・理事長
スライドは「緊急パネル討論会サイト」(*)でご覧頂けます。 引用は関澤のスライドからと記載願います。 * http://www.nposfss.com/cat9/toyosu_1220.html東京都生鮮食品卸売市場の役割
と歴史
大正12年 関東大震災で東京の民営20数市場大きな被害 昭和10年築地、神田、江東の3市場開設し公正な価格定と取 引明朗化、価格と品質の安定、市場内の良好な衛生を目指す 中央卸売市場は、江戸~東京の食文化と巨大都市の食を守り、 近代的市場を整備してきたが卸売市場を取り巻く環境に変化あり 食品の大規模国際流通と新たな規制。大手流通業進出、 などのもと世界一の首都圏集散市場の役割を担い生産と 消費の両ニーズに対応した変革が求められる 築地市場は80年を経て、施設老朽化、過密化が著しく、生活者・消費者都民の 視点で再整備し、将来も豊富で新鮮な生鮮食料品を安定供給するため食の安全・ 安心、効率的な物流実現、周辺環境への配慮などの要望に応える必要あり。卸売市場で働く人、食品の安全衛生
を支える人たちと、消費者の関わり
築地市場関係業者は(平成27年4月現在) 卸売(水産7/青果3)仲卸(水産641/青果 103)、流通保管・飲食サービス他156、 売買参加者(水産293/青果653)など 食品の安全・衛生を守る人としては 市場衛生検査所:朝4時から早期監視、 通常監視、検査、教育啓発指導のほか 区保健所の食品衛生監視員の指導と助言移転先選定の経緯と問題点 昭和 61年 1月: 東京都首脳部会議で築地現地(24ha)で再整備を決定 平成 11 年 11 月: 築地市場再整備推進協議会意見集約で「現在地での 再整備は困難なので移転による整備へと方向転換」 平成 15年 5月: 豊洲新市場基本構想で有害物質が埋立てられた東京ガス工場 跡地(41ha)を移転先に選定 (現都知事は当時の環境大臣) 平成 19年 1月: 「豊洲新市場建設事業の環境影響評価書案」 (*) 提出 *【首都圏の基幹市場の機能】 【食中心の新たな観光名所】 「食の安全・安心」、車両施設内乗り入れ禁止、搬入から搬出まで 閉鎖型施設 ・「コールドチェーン」確保、環境配慮した 市場 ・ 流 通の変化に対応した市場。しかし次の問題が発生!
平成21年土壌汚染対策法が改正され健康被害の恐れがある特定 有害物質に係る工場・事業所敷地の売買・利用の規制が強化された しかしこの法律では周辺住民等の意見反映の必要は記されてない 実は米国での環境規制の強化が背景に ! (*1) 1980年の米国スーパーファンド法(*1)では有害物質埋め立て地の 環境修復に厳格な「汚染者負担原則」の適用が求められた。 この法律では「地域住民の知る権利(*2)」を法制化し、事故発生時の 危害と緊急対応を予め予測し、自治体の地域住民に対する助言活動 推進の規定ができ、関澤はこの法制化の立役者を日本に招待した。
(*2) Superfund Amendment and Reauthorization Act(SARA) Title III
豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家 会議報告書(2008)より:東京都対策前の状況は・・・ (1)予定地を10m 区画に分割4,122 地点の表層土壌、地下水試料を採取し 公定法で分析したら、表層土壌と地下水にベンゼンとシアン化合物を 主に、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム汚染を確認。 (2)表層土壌でベンゼンが最高で430mg/L、シアン化合物最高 86mg/L検出 (3)地下水はベンゼンが最高100mg/L、シアン化合物が最高13mg/L検出。 (4)表層土壌で処理基準超過地点割合はベンゼン0.8%、シアン化合物 2.2% (5)地下水環境基準超過地点割合はベンゼン13.6%、シアン化合物23.4% (6)地下水汚染の割合が多いが、全域に高濃度汚染が広がってないと確認
専門家会議報告書(2008)より 対策イメージ図 ①生涯曝露による健康被害防止、汚染 土壌摂取、汚染地下水等摂取による 曝露、または汚染空気曝露による健康 被害が生じるおそれを継続的に防止。 ②食の安全・安心、揮発ガス(ベンゼン、 シアン化合物)の隙間や亀裂から建物 内侵入による生鮮食料品への影響を 防止と上乗せ的安全策を実施
東京都がとるべき対策の提案
東京都がとるべき対策提案の詳細 :専門家会議報告書よりーつづき
東京都による対策後の最近の汚染状況
土壌汚染対策工事完了(2014年)後、予定地201地点調査の
うち、8回目の2016年8~9月青果棟敷地3地点で
ベンゼンの地
下水環境基準の最大1.4倍
(0.014 mg/L。ただし処理前の約1
万分の1に減少した値!)
を初めて検出
さて、ここで問題です??
どちらが正しいと思われますか? (1)対策前の1万分の1程度とはいえ、一度でも地下水環境基準の 超過が見つかったら健康影響(発がん)の可能性は大きい。 (2)環境基準は人の健康と生活環境保全のため、年間平均値の 目標として設定されており、超過が一度見つかって健康影響 の可能性が大きいと考えにくい。 正解です!パチパチ2016年4~5月の空気中ベンゼン平均値は、青果棟(5街区)0.0019mg/㎥、 水産仲卸売場棟(6街区)が0.0012 mg/㎥、水産卸売場棟(7街区).0005mg/㎥ 生涯にわたり人の健康に係る被害が未然に防止されるように十分に安全を見込み 設定する行政上の政策目標 (環境省 https://www.env.go.jp/kijun/) 基準と呼ばれるが規制値ではなく、むしろ指標といえる 東京都環境局平成27年度(2015年4月~2016年4月)の晴海(築地市場周辺) の大気汚染物質モニタリング平均値0.0012 mg/㎥。 なお区部平均値は0.0011 mg/㎥ 最高0.0033 mg/㎥ で、1995年当時の都市 部沿道の平均値は、環境基準の約5倍の0.0148 mg/㎥
でし
た 環境基準とはどのようなものでしょうか? 豊洲敷地と築地周辺の空気(大気)中のベンゼン濃度を見るとベンゼンの
大気環境基準は0.003mg/㎥
ですが
全シアン 検出されないこと 総水銀 0.0005mg/L以下 ヒ素 0.01mg/L以下 ベンゼン 0.01mg/L以下 地下水の水質汚濁に係る環境基準 (70年間2Lの地下水を飲用しても安全とされる値) 土壌の汚染に係る環境基準(地下水の基準が目安) 全シアン 検出されないこと 総水銀 検液につき0.0005mg/L以下 ヒ素 検液につき0.01mg/L以下 ベンゼン 検液につき0.01mg/L以下 検液とは土壌(g)の10倍量 (mL) の水で溶出させた時の濃度
豊洲敷地201地点の地下水調査の8回目に
1地点でヒ素が環境基準(0.01㎎/L)を超過して
見つかった。この地下水1Lを仮に一度飲んだ時
に
有害影響(病原菌による食中毒でなく、ヒ素に
よる皮膚がん)
が見られると思いますか?
(1)影響の可能性がある
(2)影響の可能性はない
(3)どちらとも言えない
ヒ素の場合はどうでしょう?
正解
(2)
地下水1地点での総ヒ素濃度 検出濃度0.019㎎/Lだったが この地下水1Lを仮に飲むと総 ヒ素を0.019㎎摂取すること になる。地下コンクリートが 新しく地下水pHがアルカリ性 なのでヒ素が溶け出しやすい 条件だった!