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Intercalation Compounds of Clays Chuzo K ATO and Kazuyuki K URODA Department of Applied Chemistry, School of Science and Engineering, Waseda Universit

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粘土 科 学 第26巻 第4号292-305(1986)

蔵 ・黒

早稲田大学理工学部応用化 学科

〒160東 京都新宿 区大久保3-4-1

Intercalation

Compounds

of Clays

Chuzo

K ATO and

Kazuyuki

K URODA

Department

of Applied

Chemistry,

School of Science and Engineering,

Waseda

University,

3-4-1,

Ohkubo,

Shinjuku-ku,

Tokyo 160

Abstract

Intercalation

compounds

of clay minerals

show various

properties

arisen

from

their unique

structures.

The study on the clay-inorganic

intercalation

compounds

is

rapidly

developing

field and various

synthetic

methods

have been proposed.

New

insight

on the structure

of the interlayer

region

indicates

several

types

of

inter-actions

between

silicate

layers

and the intercalated

inorganic

compounds.

Clay-organic

intercalation

compounds

can be classified

into four categories.

a) Organic

cations

can be intercalated.

b) Polar

organic

molecules

are also

inter-calated

and the feasibility

depends on the type of clay

minerals.

c) Clay-polymer

intercalation

compounds

are also obtained

by two different

ways. d) Organic

deriva

-t ives are now forming

a distinct

area in clay-organic

intercalation

compounds.

The characterization

techniques

of clay

intercalation

compounds,

especially

recently

developed instrumental

analyses

(Resonance

Raman

Spectroscopy

and High

Resolution

Solid State NMR),

are

briefly

described.

Intercalated

molecules

are

now well characterized

and the conformation

of the guest molecules

can be precisely

described.

Their industrial

applications,

such as adsorbents,

ion exchange

materials,

catalysts,

dispersing

agents,

pigments,

insulating

materials,

etc., are

reviewed.

A

future prospect

of the intercalation

compounds

is briefly

described.

Key words :Intercalation

compounds,

Clay-inorganic

complexes,

Clay-organic

comp-lexes, Characterization

techniques,

Industrial

applications

* 昭 和61年12月1日 受 理

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第26巻 第4号(1986)

粘土層 間化合物

293 1.  層間 化 合 物 の 分 類 と構 造 1.1  層 間化 合物 と は 固 体 は構 造 の面 か らみ る と塩 化 ナ ト リウム,水 晶, ダ イ ヤ モ ン ドの よ う に一 定 の 原 子 配 列 を も った結 晶 と ガ ラ スや プ ラス チ ッ クの よ うに 無 定 形 の構 造 を と る 非 晶 質 物 質 が あ る.結 晶 はそ の 物 質 固 有 の 融点 を もっ て い るが,非 晶質 物 質 は 加 熱 す る と次 第 に軟 化 して一 定 の融 点 を示 さ な い.性 質 の 面 か らみ る と固体 の性 質 は 多 岐 にわ た っ て い る.機 械 的 性 質 を み る と ダ イ ヤ モ ン ドの よ う な剛 体 や ゴ ムの よ うな 弾 性 体 が あ り,電 気 的 性 質 か らみ る と良 導 体,半 導 体,絶 縁 体 の よ う に幅 広 く変 化 す る. 結 晶 で あ る 粘土 鉱 物,グ ラフ ァイ ト,カ ル コゲ ン化 合 物,ケ イ酸 塩,黒 リン,リ ン酸塩,チ タ ン酸 塩 の 中 に は 単位 結 晶 層 が 互 い に積 み 重 な っ て層 状 構 造 を な して い る もの が あ る.そ の結 晶層 間 同士 の結 合 には 強 弱 は あ るが,層 状 構 造 を破 壊 す る こ と な くこの 層 間 に 種 々 の イ オ ンや 分 子 ま た は化 合 物 が 侵 入 して,元 の 層 状 結 晶 の性 質 を 変 え る こ とが で き る.こ の よ うに 層 間 に イ オ ン,分 子,化 合 物 を挿 入 す る こ と を イ ン ター カ レー シ ョ ン(intercalation)と い い,そ の 生 成 物 を 層 間 化合物(intercalation compound)と い う.元 の 層 状 結 晶 を ホ ス ト結晶 と い い,イ ン タ ーカ レー トさ れ る物 質 をゲ ス ト種 と呼 び,生 成 した 層 間 化 合物 の機 能 と応 用 につ い て は最 近 特 に関 心 が もた れ るよ うに な っ て き た.層 間化 合 物 の 中 で も粘 土 鉱 物 につ い て は粘 土 無 機 層 間 化 合 物 と粘 土 有 機 層 間 化 合 物 に分 け る こ とが で き る.さ らに イ ンター カ レー トす るゲ ス トの種 類 に よ っ て も分 類 す る こ とが で き る.こ れ らに つ いて 以 下 に の べ る こ と にす る . 1.2  結 晶 層 間 にゲ ス ト種 を含 ま な い粘 土 鉱 物 パ イ ロ フ ィ ラ イ ト,Al2Si4O10(OH)2,は2枚 の シ リカ 四面 体層 の間 にアル ミナ八 面 体層 が サ ン ドウ ィ ッ チに な った アル ミノ ケ イ酸 塩 が 構 成 単 位 と して 積 み 重 な った 構 造 を して い る.パ イ ロ フ ィ ライ トで は 結 晶 層 間 にゲ ス ト種 が イ ンタ ー カ レー トした報 告 は ま だ ない. カオ リナ イ トは シ リカ 四面 体 層 と アル ミナ 八 面 体 層 の 1:1の 組 み 合 わせか らな る単 位 結 晶 層 が 層状 に 積 み 重 な ってお り,1960年 ま で は 層 間 にゲス ト分 子 が 入 らな い もの と され て い た.し か し現 在 で は酢 酸 カ リウム,尿 素 そ の 他種 々 の有 機 分 子 が イ ンター カ レー トす るよ う にな って い る.パ イ ロフ ィライ トの場 合 で も条 件 に よ っ て 結 晶 層 間 に ゲ ス ト種 が 入 り こ め る よ う に な る で あ ろ う. 1.3  結 晶 層 間 に イ オ ン を 含 む 粘 土 鉱 物 パ イ ロ フ ィ ラ イ トの4個 のSiの う ち1個 をAiで 置 換 す る と 白 雲 母 に な る.Alに よ るSiの 同 形 置 換 で 生 じた 電 荷 の 不 足 を 補 う た め1価 のKイ オ ンが 結 晶 層 間 に 入 り,そ の 構 造 は,KAl2(AlSi3)O10(OH)2 , と な る.ま た モ ン モ リ ロ ナ イ ト'(Al2-yMgy)Si4 O10(OH)2・Nay・nH2O,で は 八 面 体 層 のAlの 代 わ り にMgが 同 形 置 換 し て 入 り,バ イ デ ラ イ ト, Al2(Si4-zAlz)O10(OH)2・Naz・nH2O ,で は 四 面 体 層 のSiの 代 わ り にAlが 同 形 置 換 し て 入 り, そ れ ら の 不 足 電 荷 を 埋 め 合 わ せ る た めH,Na,K, Caな ど種 々 の 陽 イ オ ン が 結 晶 層 間 に 入 る よ う に な る. こ れ ら の 陽 イ オ ン の 中 で もNaイ オ ン は 水 和 し て い わ ゆ る膨 潤 の 現 象 を 示 し種 々 利 用 さ れ る.ま た こ の 結 晶 層 間 に は 無 機 陽 イ オ ン に 限 ら ず 有 機 陽 イ オ ン も ゲ ス ト イ オ ン と し て イ ン タ ー カ レー トす る.た と え ば ドデ シ ル ピ リ ジニ ウ ム イオ ン,C12H25C5H5N,や オ ク タ デ シル ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン,C18H37NH3+ ,は モ ン モ リ ロ ナ イ トの 結 晶 層 間 の 無 機 陽 イ オ ン と 交 換 し て イ ン タ ー カ レ ー トす る1,2). 参 考 の た め に 粘 土 鉱 物 以 外 で 層 間 化 合 物 を つ く る も の を 挙 げ る と チ タ ン 酸 塩 〔Na2Ti3O7 ,KTiNbO5,

Rb2MnxTi2 -xO4〕,タ ン グ ス テ ン 酸 塩 〔Na2W4O13,

Ag6W10O33〕,ウ ラ ン 酸 塩 〔Na2U2O7,K2U2O7〕 , リ ン 酸 塩 〔Ti(HPO4)2・nH2O,Zr(HPO4)2・nH2 O,Na(UO2PO4)・nH2O〕,バ ナ ジ ン 酸 塩 〔KV3 O8,K3V5O14,CaV6O16・nH2O〕,モ リ ブ デ ン 酸 塩 〔Mg2Mo2O7,Cs2Mo5O10,Ag6Mo10O33〕, ニ オ ブ酸 塩 〔KNb3O8 ,K4Nb6O17〕 な ど 多 岐 に わ た って い る. 1.4  結 晶 層 間 に 分 子,化 合 物 を 含 む 粘 土 鉱 物 モ ン モ リ ロ ナ イ ト,バ イ デ ラ イ ト,ハ ロ イ サ イ ト, バ ー ミキ ュ ラ イ トの よ う な 結 晶 層 間 に 水 の イ ン タ ー カ レ ー トす る 粘 土 鉱 物 で は 比 較 的 容 易 に ア ル コ ー ル 類 の 極 性 有 機 分 子 は 結 晶 層 間 に 入 っ て 分 子 複 合 体 を 生 成 す る.例 え ば 各 種 ア ル コ ー ル,エ チ レ ン グ リ コ ー ル,ヒ ドラ ジ ン,ア ル デ ヒ ド,ア セ ト ン,ア ク リ ロ ニ ト リ ル , 尿 素,ア ミ ン,ア ミ ノ 酸,糖 な ど 種 々 の も の が あ る. ま た 結 晶 層 間 に 分 子 の 入 ら な い と 思 わ れ て い た カ オ リ ナ イ トで も 種 々 の 有 機 分 子 が イ ン タ ー カ レ ー トす る こ と が 知 られ て い る.緑 泥 石 で は 白 雲 母 の 結 晶 層 間 に

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294 加 藤 忠 蔵 ・黒 田一 幸

粘土科学

Mg(OH)2か らな る ブル ーサイト層 が イ ンタ ー カ レー トした もの と考 え る こ とが で き る. 参 考 の た め に粘土 鉱 物 以 外 の層 状 結 晶 ヘ イ ン ター カ レー トす るゲ ス ト種 を示す と次 のよ う に な る.グ ラ フ ァ イ ト(ゲ ス ト種:ア ル カ リ金 属,ア ル カ リ土 類 金 属, ハ ロゲ ン,金 属ハロゲ ン化物,各 種酸,ベ ンゼ ンなど), MoO3,V2O5な ど の 酸 化 物(ゲ ス ト種:ア ル カ リ金 属,ル ベ ア ン 酸),FeOCi,TiOCi,VOCl, CrOClな ど の 金 属 オ キ シ ハ ロ ゲ ン 化 物(ゲ ス ト種:ア ル カ リ金 属,ア ミン,ピ リジ ンな ど),Tis2, NbSe2,MoS2な ど の カ ル コゲ ン化 物(ゲ ス ト種: ア ミン,ピ リ ジ ン,ボ ス フ ィ ン,ア ル カ リ金属,ア ル カ リ土 類 金 属,イ ソ シ ア ン化 物 な ど),リ ン 酸 ジル コ ニ ウム(ゲ ス ト種:水,ア ル コー ル,ア ミン,エ チ レ ンオ キサ イ ドな ど). 1.5  層 間 化 合 物 の 分解 とゲ ス ト種 の抽 出 モ ンモ リロ ナ イ トや 白 雲母 な ど を硫 酸 や塩 酸 な どの 無 機酸 と反 応 さ せ る と結 晶 中 のAlやMgが 溶 出 して 空孔 を生 成 す る.さ ら に反 応 を 進行 させ る と分 解 して 最 後 に はゲ ル に な って しま う。分 解 ま で い か な くて も 結 晶層 間 に存在 す る イオ ンや 分子 のゲ ス ト種 は溶 出 し, 代 わ りに水 素 イ オ ンで 電荷 を 埋 め合 せ る こ とに な る. この物 質 は固 体 酸 と して作 用 し,触 媒 と して有 効 にな る.ま た多 量 のAlやMgが 溶 出 して 空孔 を生 成 した もの は種 々 の分 子 を吸 着 す るの で 吸着 剤 や 脱色 剤 と し て 利用 す る こ とがで き る. 1.6  粘 土 層 間化 合 物 の 構 造 の確 認 層 間化 合 物 で の結 晶 の 積 み 重 な りの判 定 は一 般 にX 線 分 析 に よ り行 う.単 結 晶 の 層 間化 合 物 が え られれ ば 問 題 な いが,微 結 晶 で も層 状 結 晶 で あ れ ばX線 反 射 強 度 を 高次 ま で 測 定 す る こ とが 比 較 的容 易 で あ る.ま た 結 晶 層間 に入 った分 子 の 状 態 は 結 晶層 に垂 直方 向 の電 子 密 度分 布 が一 次元 フー リエ 合 成 か ら求 め られ る.ま たX線 回折 と と もに 中性 子 線 回 折 が 層 間分 子 の配 列 状 態 の 推定 に用 い られ る. 赤 外吸 収 ス ペ ク トル を測 定 して 層 間 分子 の官 能 基 の 特 性 吸 収か らそ の存 在 を知 り,吸 収 強度 の 異方 性 を測 定 して官 能 基 の 配列 状 態 を 推 定 す る こ とが で き る. 最 近 で は 固 体NMR,ESR,ラ マ ン,メ ス バ ウ ア ー な どの キ ャ ラ ク タ リゼー シ ョンが 新 しい 方 法 と して登 場 して い る.こ れ らに つ いて は4節 に の べ る. 2.  粘 土無 機 層 間 化 合 物 2.1  粘 土 無 機 層 間化 合 物 の分 類 層 状 粘土 鉱 物 の 層 間域 に金 属 水 酸 化 物,多 核 金 属 水 酸 化 物 イ オ ン,金 属 錯 体 な どの 無 機 化 合 物 が イ ンター カ レー トした 層 間 化 合 物 を粘 土 無 機 層 間 化 合 物 と呼 ん で い る.既 に 山 中3)の総 説 が あ り,詳 し く記 述 さ れ て いるが,そ の 後の 進 歩 も含 め て以 下 に簡 単 に紹 介 す る. 定 義 上 の 問 題 もあ るが,天 然 の 粘 土 無 機 層 間化 合 物 と して は,緑 泥石 ・バ ー ミキ ュ ライ ト中間 体,緑 泥 石 ・ ス メ ク タイ ト中 間 体 が 知 られ て い る.こ れ らはバ ー ミ キ ュ ライ トあ るい は ス メク タ イ トの2:1層 の 層 間 に Al,Fe,Mgな ど の 金 属 水 酸 化 物 が 存 在 す る も の で,ス メ クタ イ トや バ ー ミキ ュ ラ イ トの 緑 泥 石 化 の 過 程 で み られ る もの で あ る.層 間 の 金 属 水 酸 化 物 層 の 割 合 は様 々 で,緑 泥 石 類 似 鉱 物 と も 呼 ば れ る 中 間 性 鉱 物 である.ま た,PbCO3を 主 とす る"白 鉛 鉱 様 層 (cerussite-like layer)"が2八 面 体 型 ス メ ク タ イ トの 層 間 に存 在 す るス ラ イ ト,surite,が 見 い 出 され て いる4). 合 成 の 粘土 無 機 層 間 化 合物 は'近 年 盛 ん に研 究 が 行 わ れ て い る.Fig.1の よ う に 層 間 に 金 属 酸 化 物 微 粒 子 が イ ン ター カ レー ト した化 合 物 で,い わ ゆ る架 橋 多 孔 粘土,(piiiared clay)と 呼 ば れ て,層 間 の空 孔 を 利 用 した触 媒 あ るい は 吸 着 な ど の応 用 面 か ら注 目を 集 めて い る.本 節 で も これ を 中心 に して 述べ る. 2.2  粘 土無 機 層 間 化 合物 の合 成 粘 土 無機 層 間 化 合 物 の 合 成 は次 の二 つ の方 法 に大 別 で き る.1)イ オ ン交 換 法 お よ び2)滴 定 法 で あ る. 1)の イオ ン交 換 法 で 層 間 の交 換 性 陽 イ オ ン を,Al, Cr,Bi,Zr,な どの 多 核 金属 水 酸化 物 イオ ンで 置 き 換え る こ とに よ って 調 製 され る.こ れ らの金 属 水 酸 化 物 イオ ンは数 量体 程度 の重 合度 であ り,イ ン ター カ レー

Fig.1. Schematic structure of a pillared-clay porous materiai.

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第26巻 第4号(1986)

粘土 層間化合物

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Fig.2. Structurai modei of the piliared-clay porous material using silica-titania sol6). シ ョンの 後,加 熱 処 理 す るこ と に よ っ て 酸化 物 微 粒 子 を層 間 に形 成 さ せ る こ と が で き る.現 在 ま で に 種 々 の 金 属 酸 化 物 の ピ ラ ー 形 成 が 報 告 さ れ て い る.ま た M6Cln+12(M=Nb,Ta)(n=2,3)タ イ プ の 金 属 ク ラス ター の イ ン ター カ レー シ ョ ンも最 近 報 告 さ れ て い る5).さらに,特 異 な触 媒 能 を もつ 層 間 化 合 物触 媒 の 開 発 を 目 指 して 種 々 の 配 位 子 を もつ 有 機 金 属 錯 体 陽 イ オ ンを イ ン ター カ レー トさせ た層 間 化 合 物 の合 成 が 認 め られ て い る.最 近 山 中 ら に よ っ てTiO2 あ る い はSiO2-TiO2ゾ ル を 層 間 に 侵 入 さ せ た 層 間 化合 物 の 合 成 が 報 告 され た6).その 構 造 モ デ ル を Fig.2に 示 す.合 成 法,構 造,性 質 と も に 従 来 の 酸 化 物 ピ ラー型 粘土 の合 成 可 能 範 囲 を 拡 げ る もの と して 注 目 され る.ま た層 間空 隙 を 制 御 す る 目的 で,ア ル キ ル ア ンモ ニ ウ ム イ オ ンを同 時 に挿 入 し焼 成 す るこ と に よ り新 しい層 間架 橋 多 孔 体 を 合 成 して い る7) 滴定 法 で はMg2=,Zn2=,Ni2+の よ う に 加 水 分 解 に よ って 直 ち に水 酸 化 物 を沈 殿 す るよ うな 場 合 に 用 い ら れ る.こ れ らの塩 溶 液 に粘土 を 分 散 させ て,ア ル カ リ を 徐 々 に加 え て加 水 分 解 を 行 い な が ら水 酸 化物 を層 間 に形 成 させ る事 が で き る. 2.3  粘 土 無 機 層 間 化 合 物 の構 造 と性質 層 間距 離 の 測 定 か ら酸 化 物 微 粒 子 の 大 き さを 大略 求 め る ことが で き るが,酸 化 物 微 粒 子 を 柱 とみ な して, そ の 間隔 を制 御 す る試 み も行 わ れ て い る.ケ イ 酸塩 層 と酸化 物 との 界 面 にお け る問題 も残 され て い る.し か し近 年 の 固 体 高 分 解 能NMRの 発 達 に よ っ て 相 当 細 か い と こ ろ が 理 解 さ れ つ つ あ る.Plee et al8).は ヘ ク トライ ト,ラ ポ ナ イ ト,バ イデ ライ トのアル ミナ ピ ラ ー 化 層 間 化 合 物 を27Alお よ び29Si-MAsNMR に よ って 調 べ て い る.バ イデ ライ トの 場 合 に は ホ ス ト 層 と層 間 の アル ミナが 反 応 す る と結 論 され て お り,鉱 物 の反 応 性 の 差 異 はお の お の の 層電 荷 の 差 に 起因 す る もの と して い る.Pinnavaia et al9).もフ ロ ロヘ ク ト ライ トを 用 い て 類 似 した結 論 が 導 か れ るNMRデ ー タ を示 して い る. 数 百 度 に 加 熱 され た 粘 土 無機 層 間化 合 物 の性 質 は, そ の吸 着 能 や 触 媒 と して の作 用 を 中心 に して研 究 され て い る. 3.  粘 土 有 機 層間 化 合 物 3.1  粘土 有 機 層 間 化 合 物 の分 類 層 状 構 造 を も つ 粘 土 鉱 物 は そ の 結 晶 層 間 に 種 々 の ゲ ス ト種 を イ ン ター カ レー トして 有 機 層 間化 合 物 を つ く る.こ れ らの 粘土 と有 機 化 合 物 か ら生 成 す る複合 体 につ い て は古 くか ら知 られ て き た.と くにX線 分 析 に よって粘土 鉱物 の 構 造 が 明 らか に され て 以 来,Smith10), Hauser2),Hendricks11),Jordan12)な ど に よ っ て 粘 土 か ら生 成 した各 種 の有 機 複 合 体 の 構 造 が 明 らか に され て きた.現 在 有 機 複 合体 を最 もつ く りや す い粘 土 鉱物 は モ ンモ リロ ナ イ トで あ る.モ ンモ リロナ イ トが有 機 複 合 体 を つ く りや す い根 本 的 な理 由 は 結 晶 層 間 の 交換 性 陽 イ オ ンが 有 機 陽 イ オ ンと交 換 しや す い こ とお よ び こ れ らの イ オ ンが 溶 媒 和 を起 こ して 層 間 が 膨 張 す るこ と に あ る.し か し極 性 を もって い る有機 化 合 物 で は イ オ ンで な くて も分 子 の ま まで 層 間 に 入 り粘 土 有 機層 間化 合物 を つ くる.こ れ らを大 き く分 類 す る と次 の よ うに な る. 1.粘 土 有 機 イ オ ン層 間 化 合物 有 機 溶 媒 中 非 膨 潤 型 有 機 溶 媒 中 膨 潤 型 2.粘 土 有 機 分 子 層 間 化 合物 3.粘 土 有 機 ポ リマ ー 層 間 化合 物 4.粘 土 有 機 誘 導 体 1の 粘 土 有 機 イオ ン層 間 化合 物 は粘 土 結 晶 層間 に あ る 交換 性 陽 イオ ンと有 機 陽 イオ ンが交 換 した もの で あ る.脂 肪 族 あ るい は芳 香 族 の第 四 ア ンモ ニ ウム塩 イオ ンを交 換 させ た もの は 疎 水 性 に な る と 共 に各 種 の 有 機 溶 媒 中で 膨 潤 す る よ う にな り,塗 料 ・グ リー スの 分 野 で 利 用 され て い る.ま た メチ ル オ レ ン ジや各 種 ア ミン な どの 塩 基 性 色 素 と反 応 して 呈色 す る もの が あ る. 2の 粘 土 有 機 分 子 層 間 化 合物 と して は モ ンモ リロ ナ

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296 加 藤 忠 蔵 ・黒 田 一 幸

粘土 科学

イ トの 結 晶 層 間 に各 種 の 極 性 有 機 化 合 物 が 分子 の 状 態 で侵 入 して 複 合 体 を つ くる もの で あ る.結 晶 層 間 に イ ンター カ レー トす る有 機 分 子 と して は各 種 の ア ル コー ル な どが 知 られ て い る.非 極 性 の有 機 化 合 物 は ほ とん ど層 間 に イ ンター カ レー トしな い が,入 って も容 易 に 抜 け出 して しま う.3は 粘土 結 晶 層間 に各 種 の 有 機 モ ノマー を イ ンター カ レー トした の ち重 合 せ しめ た 層 間 化合 物 で あ る.4の 粘土 有 機 誘 導 体 は粘 土 鉱 物 の 有 す るOH基 を ハ ロゲ ンな ど で 置 換 し,こ れ を 出 発 物 質 と して 種 々 の有 機 誘 導体 を つ く る もので あ る.こ れ らにつ いて 以 下 にの べ る. 3.2  粘 土 有 機 イオ ン層 間 化 合 物 3.2.1  有 機 溶媒 中 非膨 潤 型 ス メ ク タ イ トの中 で もモ ンモ リロナ イ トは ベ ン ジ ジ ン,フ ェ ニ レ ン ジア ミン,ト ル イ ジ ン,ジ フ ェ ニル ア ミン,ア ニ シ ジ ン,ト リジ ン な どの ア ミン類 に よ っ て 呈 色 す る こ とは 多 くの 研 究 者 に よ り報告 され て い る. この他 サ フ ラ ニ ンYや マ ラ カ イ トグ リー ン の ニ ト ロベ ンゼ ン飽 和 溶液 に よ る着 色 も知 られ て い る13).これ らの 各種 ア ミン とモ ンモ リロ ナ イ トの 呈 色 に つ い て は

Hauser and Leggett14),Hendricks11),Takahashi15),

山本16)予)Hasegawa17)などに よ って ア ミン類 と粘土 の構 造 に関 連 して 研 究 が行 われ た.ま た色 素 との 呈 色 に つ い て は佐 藤18),Fahn et al19).,Cohen et al20).など が 報 告

して い る. 分 子 中 に ア ミノ基 を もつ フ ェ ニ レ ンジア ミン,ピ ペ リジ ン,ベ ン ジジ ンが有 機 陽 イ オ ンと して 粘 土 とイ オ ン複 合 体 を つ くる とき,粘 土 結 晶 の どの 場 所 に い か な る力 で 結 合 して い るか が問 題 とな る.分 子 の 大 き さが 小 さ い とき や 塩 基 性 の 強 い場 合 に は結 晶 層 間 の 陽 イオ ンと交 換 して イ オ ン結合 に よ る と思 われ る.し か し分 子 が大 き い と きや 塩 基性 の 弱 い とき は結 晶 層 間 の 中 ま で イ ンター カ レー トしな い で 入 口で 弱 く結 合 して い る こと も考 え られ る.こ れ らの 有 機 陽 イ オ ンの 交 換 量 は 粘土 の陽 イ オ ン交 換 容 量 と当 量 関 係 に あ る と思 わ れ る が,分 子 の 大 き さ と塩 基 性 の 影 響 を受 け,と くに分 子 の 大 き い も の で は その 値 は 小 さ くな る. バ ー ミキ ュ ライ トもモ ンモ リロナ イ トと 同様 に格 子 内 に 同形 置 換 が あ り層 間 に は 水 和 した 陽 イ オ ンが 存 在 す る の で有 機 イ オ ン層 間 化 合 物 を つ くる.そ の 場 合陽 イオ ンの 種 類 によ りその 生 成 が 影 響 を 受 け るこ とが Walkerに よ って報 告 され て い る.い ず れ の場 合 もイ ンター カ レー トした有 機 陽 イ オ ンが 溶 媒 和 し難 い場 合

Table1. Sweliing property of dodecylam-monium bentonite in nitrobenzene.

は有 機 溶 媒 中 で 膨 潤 現 象 は起 こ らな い. また2価 カ チオ ンで あ る ビオ ロゲ ンを 層 間 に イ ンタ ー カ レー トさせ た モ ンモ リロナ イ ト-ビ オ ロ ゲ ン層 間化 合 物 も合 成 が 可 能 で あ り,こ れ に 電 子供 与 体 と して ポ リ ビニ ル ピロ リ ドンを イ ンタ ー カ レー トさせ た層 間化 合 物 は フ ォ トク ロ ミッ クな 性 質 を 示 し,光 還元 に よ っ て生 ず る ラ ジカル カチ オ ンが 層 間 化 合 物 内 で極 め て 安 定 で あ る と い う特 徴 を も って い る. 3.2.2  有 機 溶 媒 中 膨 潤 型 モ ンモ リ ロナ イ トは 種 々 の ア ミ ン と有 機 イ オ ン層 間化 合 物 を作 り有 機 溶 媒 中 で 膨 潤 す る よ う に な る. Hauserは ベ ン トナ イ ト(モ ンモ リ ロ ナ イ トNa塩) に ドデ シ ル ア ミ ン,C12H25NH2,を 反 応 さ せ て ド デ シル ア ンモ ニ ウ ム ベ ン トナ イ ト層 間 化 合 物 を 合 成 し た.こ の複 合体 は ニ トロベ ンゼ ン中で 膨 潤 し,ベ ン ト ナ イ トの 陽 イ オ ン交換 容 量 に大 体 等 しい量 の ドデ シル ア ミンが交 換 さ れ た と き最 大 の 膨 潤 度 を もつ こ とを 示 した.そ の 例 をTabie1に 示 した.

Erbring and Lehmannは ドデ シル ピ リジニ ウ ム ク ロ ライ ドC12H25C5H5NClを 用 いて モ ン モ リ ロナ イ トNa塩 を 処理 して 調 製 し,X線 分 析 に よ って 2分 子 層 の ドデ シル ピ リ ジニ ウ ム イ オ ンが 結 晶 層 間 に 存 在 す る こ とを 確 認 した.ま た元 の 試 料 は70%吸 水 量 を 示 した が 処 理 物 の 吸水 量 は6.5%に 低 下 し,疎 水 性 の 層 間 化 合 物 に変 わ った こ と を示 した. Jorda差)は 炭 素 数 の 異 な る 脂 肪 族 第1ア ミンと ベ ン トナ イ トを 作 用 させ て各 種 の層 間 化 合 物 を作 り,ベ ン ゼ ン,ニ トロ ベ ンゼ ン,イ ソァ ミル ァ ル コー ル 中 で の 膨潤 性 を 測 定 した.そ の 結 果,誘 電 率 の高 い ニ トロベ ン ゼ ン中 で は炭 素 数12以 上 の ア ミンが 著 し く膨 潤 す る こ とを 認 あ た.さ ら にX線 分 析 を 行 って001面 間 隔 を 測定 しア ミ ンの炭 素 数 と基 本 面 間 隔 の 間 に 階段 状 の 変 化 のあ る こ と を報 告 した.そ の 結 果 をFig.3に 示 し た.こ れ に よ る と炭 素 数 十 個 ま で は ア ミンは 結 晶 層 間 に1分 子 層 で 配列 し,炭 素 数12か ら18で は2分 子 層 で 配列 す る こ とを示 した.こ の1分 子 層 の 厚 さ4Aは メ チル 基1個 の 直径 に相 当 す る.水 渡 ら12,23)はオ ク タ デ

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第26巻 第4号(1986)

粘土層 間化 合物

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Fig.3. Relationship between the basal spacing of montmoriiionite and the number of carbon of intercalated n-alkylamines. Table2. Swelling properties of

dodecylam-monium bentonite in various organic solvents(100ml). シル ア ミンをベ ン トナイ トに120meq/100g以 上 添 加 し た ときは001面 間 隔 が8Aか ら22Aに 階 段 的 に 増 加 す る こ とを 報告 した.こ れ は2分 子 層 に並 ん で い た オ ク タ デ シル ア ミン分子 が 縦 に配 列 す る ため と考 え られ て い る.ま た ドデ シル ア ンモニ ウ ム ベ ン トナ イ トの 種 々 の有 機溶 媒中 に お け る膨潤 度 の 例 をTable2に 示 した. Table2に 示 され るよ う にそ の膨 潤 度 は ニ トロベ ン ゼ ン中 で最 大 とな る.ニ トロベ ン ゼ ン中 で の 有 機 陽 イ オ ン交 換容 量 と膨 潤 度 との 関 係 は ベ ン トナ イ トの無 機 陽 イオ ン交 換 容量 の 最 高 に ほぼ 等 しい と こ ろで 最大 で あ る こ とが 明 らか に され て い る. 3.3  粘 土 有 機 分 子 層 間 化 合 物 3.3.1  2:1型 粘 土 鉱 物 の 粘 土 有 機 分 子 層 間 化合 物 粘土 有 機 イ オ ン層 間化 合 物 とは 異 な って 粘 土 結 晶 層 間 に分 子 の状 態 で イ ンター カ レー ト して 粘土 と有 機 分 子 の 複 合体 を作 る もの を 粘土 有 機 分 子 層 間化 合 物 と い う.層 間 に 吸収 され る有 機 分 子 と して は メ タ ノー ル, プ ロパ ノ ー ル,エ チ レ ン グ リコ ール,グ リセ リンな ど の1価 ま た は 多価 ア ル コー ル,二 トロベ ンゼ ンや 高 級 炭 化 水 素 の 幾 つ か が知 られ て い る.吸 収 され る分子 の 特 徴 と して は極 性 を 帯 び て い る こ とで イ オ ン交 換 の機 構 によ る もの と は 異 な って い る.分 子 構 造 で 対称 性 の よ い 非極 性,鎖 状 炭 化 水 素 は ほ とん ど吸 収 され な い. そ の よ い例 は ノ ル マ ル ヘ プ タ ンや ノル マル ヘ キサ ンな どで あ る.極 性 分 子 の吸 収 に際 して は 有 機 イオ ン との 複 合 体 でみ られ た と同様 に結 晶 の 基 本 面 間 隔 の膨 張 が X線 分析 に よ っ て観 察 さ れて い る.吸 収 の 機 構 に 関 し て は モ ンモ リロ ナ イ トの層 間 に 水 が 侵 入 す るの と 同様 に,有 機 分 子 の水 素 と結 晶表 面 の 酸素 あ るい は有 機 分 子 の 酸 素 な どが 結 晶 表 面 のOHの 水 素 と 水 素 結 合 して,あ る程 度 規 則 性 の あ る配 列 を して 存 在 して い る もの と考 え られ る.ま た フ ァ ンデ ル ワー ル スカ に よ る 結 合 も も ち ろん 考 え られ る.Mac Ewan24)は1価 と多 価 ア ル コー ル で は 吸収 され た とき基 本 面 間 隔 に相 異 が あ る こ とを 報 告 した.す なわ ち1価 ア ル コー ルで は分 子 が層 に平 行 に配 列 す る ため 炭 素数 が 変化 して も層 間 隔 に変 化 は な い が,多 価 ア ル コ ー ル で はOHを1 個 以 上 持 ち,ま た側 鎖 を もつ の で こ れ らが 層 面 と水 素 結 合 して 分 子 の 行 動 が 束 縛 さ れ,1価 ア ル コール の 場 合 に比 べ て,大 き い層 間 隔 を示 す よ うに な る.ま た ハ ロ イ サ イ トの 層 間 には1分 子 層 しか 吸収 さ れ な いが , モ ンモ リロ ナ イ ト層 間 に は3分 子 層 を 形成 す る事 実 を 認 め た.こ れ につ いて 次 の よ うな説 明 を して い る.ハ

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298 加 藤 忠 蔵 ・黒 田一 幸

粘土 科学

ロ イ サ イ トで は 層 面 の 上 下 は 酸 素 面 とOH面 で あ るの で極 性 を もっ た有 機 分 子 の 陽 性 側 は 酸 素 面 に,陰 性 側 はOHと 水 素 結 合 を して 安 定 し1分 子 層 以 上 を 形成 しな い.こ れ に対 しモ ンモ リロナ イ トで は 層 面 の 上下 は い ず れ も酸 素 面 で あ るの で 有 機 分子 の 陽性 側 が 引 き寄 せ られ,陰 性 側 は 酸 素 面 と反 発 し合 う.そ こ で 上下 に2分 子 層 の有 機 分 子 が 並 ぶ こ とに な るが,こ の 場合2分 子 の 陰性 側 は 互 い に反 発 し,さ らに も う1 層 が フ ァ ンデ ル ワール ス結 合 に よ って 侵入 し結 局3分 子 層 を 形成 す るこ と にな る ので あ る.こ の 傾 向 は極 性 の 大 き い もの ほど著 しい.以 上 の いず れ の場 合 も有 機 分子 の侵 入 量 の 相異 に よ って 実 測 され て い る.そ の 例 をTable 3に 示 した. 一 方,極 性 の な い有 機 分 子 も極 性 有機 分子 の存 在 下 で は複 合 体 を 形成 す る例 が 知 られ て い る.こ の場 合 は 極 性有 機 分 子 の イ ン ター カ レー トによ り膨 張 した層 間 の 隙 間 に侵 入 吸 収 され る も ので あ ろ う. Grirm 25)はブチ ル ア ミン酢 酸 塩,ド デ シル ア ミ ン酢 酸 塩,エ チ ル ジメ チルオ クタデ シル ア ンモ ニ ウム ブ ロマ イ ドをカオ リナイ トおよび イ ライ トに吸 収 さ せ た.し か し これ らの 吸 収 は 層間 に入 る もの で な く結 晶 表 面 に お け る吸 着に よ る もの が主で あ ろ うか らそ の量 は通常少 な い. Street and White6)は オ ク タ デ シル ト リメ チ ル ア ンモ ニ ウ ム モ ンモ リロナ イ ト層 間 化 合物 に よ る ア ニ リ ン,ベ ン ジル ア ミン,ベ ン ジル アル コー ル,ク レゾ ー ル,ニ トロ フ ェノー ル な どの 吸 収 を 行 わ せ001面 間 隔 が30∼40Aに 増大 し,そ の 吸 収 量 は 溶解 度 と関 係 あ る こと を示 した.ま た モ ンモ リロ ナ イ トの第4ア ンモ ニ ウム誘 導 体 に よ る フ ェノ ー ル の 吸 収 を研 究 し,そ の 吸 収量 と有 機 化合 物 の 炭 素 数 との 間 に 関係 の あ る こ と を示 した. 3.3.2  1:1型 粘 土 鉱 物 の 粘 土 有 機 分子 層 間化 合 物 1:1型 粘 土 鉱 物 で あ る カオ リナ イ トを 酢 酸 カ リ ウ ム と混 合 して 粉砕 す る と層 間 に酢 酸 カ リ ウム分 子 が 侵 27) 入 して 基 本 面 間隔 が14.2Aに 増 大 す る こ とを 和 田 が 報告 した.こ の場 合 試 料 を 酢 酸 カ リウム水 溶液 に浸 漬 して も層 間 化 合 物 は生 成 しな い.層 間 に侵 入 した酢 酸 カ リウ ム は結 晶表 面 の 酸 素 六 角 網 状 構 造 の窪 み にKが 落 ち込 む よ うに 酢酸 カ リウ ム分 子 が 配位 し,上 の層 と の 間 に は水 が存 在 す る もの と した.こ れ は加 熱 した 場 合001面 間隔 が14.2Aか ら11.4Aに 収縮 す る こ と に よ っ て裏 付 け られ た. カ オ リナ イ トへ の 極 性 有 機 分 子 の イ ンタ ー カ レー ト

Table3. Interlayer spacings of montmorillo-nite-organic intercalation compoun-ds and Une number or interca lated organic layers.

Tablo4. Kaoiinite-organic jntercalation

comPounds obしained by しhe direct

intercalation.

Table5. Increase of the basal spacings of halloysite-organic intercalation compounds.

に つ い て はWeiss et al.,28)Olejnick et al29).に

よ っ て も 報 告 さ れ,多 く の 有 機 分 子 層 間 化 合 物 の 生 成

す る こ と が 確 認 さ れ た.そ の 例 をTable 4に 示 す.こ

れ ら の 有 機 分 子 はN-H…o-Si, c=O…H-o

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第26巻 第4号(1986)

粘土層間化合物

299 い る もの と思 われ る. ハ ロイ サ イ トで は単 位 結 晶 層 間 に 天 然 に 水 和 した状 態 で産 出す る ので,過 剰 の有 機 液 体 と処 理 す る と有 機 分子 層 間化 合 物 を 生 成 す る.水 和 したハ ロイ サ イ トの 基 本 面 間隔 は10.1Aで あ る が60∼70℃ に 加 熱 す る と 2分 子 層 の 水 が 放 出 して7.2Aと な る .こ の 間 隙 に 有 機 分 子 が 平坦 な 単一 層 と して イ ンター カ レー トす る こ と がCarr et a1.30)によ り報 告 さ れ て い る.そ の 結 果 をTable 5に 示 した. 3.4  粘 土有 機 ポ リマ ー層 間 化 合 物 粘 土 有機 イ オ ン層 間 化 合 物 と粘 土 有機 分 子 層 間 化合 物 の 中 で 重合 あ る い は縮 合 の 可 能 な 有 機 モ ノマ ー を結 晶 層 間 に イ ンター カ レー トした の ち ポ リマ ー 化 す る こ とに よ っ て粘 土 有 機 ポ リマ ー 層 間 化 合物 を 合 成 す る こ とが で き る.こ れ は 有 機 ポ リマ ー と無 機 結 晶体 と の ミ ク ロな複 合 体 で あ る.有 機 イオ ンモ ノ マ ー か らの複 合 体 と,有 機 分 子 モ ノマ ー か ら合 成 した複 合 体 の2つ に 分 け て述 べ る. 3.4.1  粘 土 有機 イ オ ン重 合型 層 間 化 合 物 ビ ニル 基 を も ち 重 合 の 可 能 性 を 持 ち,し か も陽 イ オ ンと な りう る4-ビ ニ ル ピ リジ ン並 び に2-ビ ニ ル ピ リ ジ ンと モ ンモ リロナ イ トとの層 間化 合 物 が 報告 さ れ て い る.そ れ を 調 製 す るに は ビニル ピ リ ジ ンの塩 酸 塩 ま た は酢 酸 塩 の 水 溶 液 に モ ンモ リロ ナ イ トを浸 漬 し て ビニ ル ピ リジ ンモ ノ マ ー が層 間 に イ ンター カ レー ト した イオ ン層 間 化 合 物 を 調 整 す る.こ れ をFig.4に 示 した.次 い で ラ ジカ ル 開始 剤 と して 過 酸 化 ベ ン ゾイ ル を 用 い て 重合 させ,メ タ ノー ル 洗滌 によ り粒 子 表 面 の重 合 物 を除 去 した の ち ,X線 分 析 を 行 う と複 合 体 の 001面 間 隔 は14Aと な り結 晶 層 間 に1∼2分 子 層 の ビ ニル ピ リ ジ ンポ リマ ー の 生 成 した こ とが示 され る. 3.4.2  有 機 分 子 重 合 型 層 間 化 合 物 ス チ レ ンC6H5CH=CH2は ビニ ル 基 を も ち 重 合 して ポ リス チ レ ン とな るが,極 性 基 を もっ て い な い の で ス メ ク タ イ トの 結 晶 層 間へ の イ ンター カ レー シ ョ ンは 困 難 と され て い る.こ れ に関 して はBlumsten 32), Friedlander,筆 者 が 報 告 し て い る が,筆 者 の 実 験 に よ る と 条 件 次 第 で モ ン モ リ ロ ナ イ トの 結 晶 層 間 に ス チ レ ン モ ノ マ ー が イ ン タ ー カ レー トす る.さ ら に ア ゾ ビ ス イ ソ ブ チ ル ニ ト リ ル を ラ ジ カ ル 触 媒 と して 重 合

Fig・4・ Exchange types ・f 4-vinylpyridine int the interlayer

space of montmorillonite.

Fig.5. Infrared spectra of montmorillonite-polystyrene intercalation compounds.

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300 加 藤 忠 蔵 ・黒 田 一 幸

粘土 科学

させ る とモ ンモ リロナイ ト・スチ レンポ リマ ー 層 間化 合 物 が合 成 さ れ る.そ の 赤 外 吸 収 結 果 をFig.5に 示 す. ス チ レ ンポ リマー は 結 晶 層 間 には さみ こ ま れ て 存在 す るの で そ の 耐 熱性 は明 らか に向 上 す る. ま た ア ク リル 酸CH2=CHCOOH,ア ク リ ル 酸 メ チ ルCH2=CHCOOCH3,メ タ ク リ ル 酸 メ チ ルCH2=C(CH3)COOCH3と モ ン モ リ ロ ナ イ トとの 層 間 化 合 物 に つ い て もUskov34),Solomon,35) 314 筆者 に よ り研 究 さ れて い る.筆 者 の 研 究 室 で は 乾 燥 モ ンモ リロ ナ イ トを モ ノ マ ー 中 に浸 漬 した の ち,開 始 剤 と して 過 酸 化 ベ ンゾ イ ル を 添加 す るかr線 照 射 に よ り重 合 を行 っ た.有 機 分 子 が イ ンター カ レー ト した重 合複 合 体 のX線 分 析,赤 外 線分 折,熱 分 析 の 結 果 は 有 機 分 子 重 合 型 層 間 化 合物 の 生 成 した こ と を示 す.ま た これ らの層 間化 合物の 層間 に あ るポ リマー は溶 剤 に よ っ て 洗滌 して も簡単 には 抽 出 され な い.し か しす で に重 合物 であ る ポ リメ タク リル 酸 ポ リマー,ポ リア ク リル 酸 メ チル ポ リマ ーを溶媒 に溶 か して モ ンモ リロ ナ イ ト結 晶 層間へ の侵 入 を試み た が イ ン ター カ レー ト しな か っ た. ア ク リル ニ トリル モ ノマ ー を イ ンタ ー カ レー トし重 合 させた モ ンモ リロナ イ ト・ア ク リロニ ト リル ポ リマ ー 複 合 体 は 耐 熱 性 を増 し,加 熱 して も炭化 す るの み で 燃 焼 しない ので 耐熱性 建 材 と して 利 用 す る こ とが で き る. 3.5  粘 土 有 機誘 導 体 モ ンモ リロナ イ トの 層 間 に有 機 化 合 物 が 共有 結 合 で 固定 さ れ た 有 機 層 間化 合 物 の合 成 につ い て もか な り以 前 よ り研 究 が 行 わ れ て い る.こ の種 の 合 成 の 先 駆 的 な 研 究 はBerger36)に よ っ て行 わ れ,ジ ア ゾ メ タ ン を 利 用 したH型 モ ンモ リ ロナ イ トの メ チル 化 が 可 能 で あ る と して い る. H-Mont+CN2H2→CH3-Mont+N2 37) ま たDeuel et a1.は チ オ ニ ル ク ロ ラ イ ドを 用 い て モ ンモ リロ ナ イ トを 塩 素 化 し, Mont-〇H+SOCl2→Mont-C1+SO2+HC1 これ よ り通 常 の化 学 処 理 に よ って 有機 誘 導 体 が 合 成 で き る と して い る. その 後 も数 多 く研 究 が 行 わ れ,高 反 応 性有 機 試 薬(グ リニ ャー ル 試 薬 な ど)を 使 用 した 研究 例 も知 られ て い る.し か しな が らそれ らの 研 究 の 中 に は,た だ 単 に 層 間 内 で の有 機 分子 の み の 反 応 で あ る場 合 もあ る こ とが 報 告 され るな ど有 機 誘 導 体 の確 実 な 合成 法 に つ い て は 疑 問 な 点 が 多 い. 一 方,活 性 水素(NH基,OH基 な ど)と 反 応 す る こと が 知 られ て い る ト リ メ チ ル シ リ ル化 剤 を ケ イ酸 塩 鉱 物 と反 応 させ る試 み が1964年 に 発 表 さ れ て 以 来, 粘 土 鉱 物 に も応 用 され た 研 究 が 報 告 さ れ て い る.ま ず 粘 土 鉱 物 を 酸 処 理 し,シ ラ ノ ー ル 基(Si-OH)を 生 成 させ,こ れ に ト リメ チ ル シ リル 化 剤 〔(CH3)3 SiClな ど〕 を反 応 させ る もの で あ る. こ の手 法 を用 い て実 際 に黒 雲 母,金 雲 母,ハ ロ イサ イ トを 酸分 解 して生 成 した オ リゴ お よび ポ リケ イ酸 の 有 機 誘 導 体 が合 成 され て お り,そ の確 認 も ク ロマ トグ ラ フ ィー を 始 め とす る種 々の 機 器 分 析 法 に よ って 行 う こ とが で き る38). 4.  粘 土 層 間 化合 物 の新 しい キ ャ ラ ク タ リゼ ー シ ョン 今 後 の 粘土 層 間化 合 物 研 究 に 多用 され る と思 わ れ る 新 しい機 器分 析手 段 の 中 か ら幾 つ か の研 究 例 を 述べ る. 4.1  固体 高 分 解能 核 磁 気 共 鳴法 近 年 の 固 体 高 分 解 能 核 磁 気 共 鳴 法 の 発 達 は 目 を 見 張 る もの が あ る.X線 回 折 法 は 主 と して 広 範 囲 の 秩 序性 に よ るの に対 し,マ ジ ック 角 回転(Magic angle spinning)核 磁 気 共鳴 法 は 短 い 範 囲 の秩 序 性 を 調べ る の に適 して い る.特 に ゼ オ ライ ト中 のSi-Alordering を は じめ と して 様 々 な ケ イ 酸 塩 鉱物 の構 造 解 明へ の 応 用 が 行 わ れ,急 速 に報告 例 が 増 加 して い る.今 後 デ ー タの集 積が 進む につ れて さ らに詳 しい 議論 が可 能 とな っ て くるで あ ろ う39). 層 間 化 合 物 へ の 利 用 も既 に 多 くの 報告 が あ るが,層 間 に存 在 す る有 機 化 合 物 の 状 態 を 調 べ る た め の29Si-MASNMRの 結 果 お よ び13C-MASNMRの 結 果 を 中心 に 述べ る.例 え ば カオ リナ イ トー有 機 層 間 化 合 物 の29Si-NMRス ペ ク トル40)では,Fig.6の よ うに,カ オ リナ イ トと カオ リナ イ ト-ホ ル ム ア ミ ド, ヒ ド ラ ジ ン,DMSO,ピ リ ジ ン-N-オ キ シ ド各 層 間化 合 物 の ス ペ ク トル は異 な り,化 学 シ フ ト値 お よび ピー ク の 幅 か ら様 々の 情 報 を読 み 取 る こ とが で き る. カ オ リナ イ ト有 機 層 間化 合 物 は いず れ も カオ リナ イ ト よ り高磁 場 側 に シフ トした共 鳴 シグ ナル を 示 す.こ れ は カ オ リナ イ トの 層 間拡 大 に よ るSiの 化 学 的 環 境 が 変 化 し た こ と を 意 味 す る も の で あ り,特 にDMSO との 層 間 化 合 物 は ピー ク幅 も狭 く,三 次 元 的 な秩 序 性 の 良 さ も示 唆 して い る.

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第26巻 第4号(1986)

粘土層間化合物

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Fig.

6. 29

Si-MAS NMR spectra

of a) untreated

Georgia kaolinite,

b) kaolinite-formamide

intercalation

compound,

c)

kaolinite-hydrazine

intercalation

compound,

d )

kaolinite-dimethylsulfoxide

intercalation

compound,

and

e) kaolinite-pyridine-N

-oxide intercalation

compound

40).

ま たJ.M.Thomasら の グ ル ー プ で は ,13 c-N MRの 結 果 か ら層 間 化合 物有 機 分 子 の構 造 に つ い て の 新 しい 知 見 を 得 て い る.例 え ば合 成 ヘ ク トラ イ トに イ ン ター カ レー トした2-メ チ ル プ ロ ペ ン の 水 の 付 加 に よ るt-ブ チ ル ア ル コ ール へ の 変 換 が 容 易 に 検 出 で き る こ とが 示 さ れて い る41).固体 高 分 解 能 核磁 気 共 鳴 装 置 は 高額 で は あ るが,今 後 ケ イ酸 塩 層 と層 間 ゲ ス ト分子 との相 互 作 用 を研 究 す る に あた って は 必 須 の 手 段 とな るで あ ろ う. 4.2  共 鳴 ラマ ン分 光 法 共 鳴 ラマ ン分 光 法 は 赤外 線 吸 収 ス ペ ク トル 法 に比 較 して 取 り残 され て い た 分 野 で あ るが,相 馬 らの最 近 の 研 究42)がそ の 有 効 性 を よ く示 して い る.赤 外 線 吸 収 ス ペ ク トル 法 は 従 来 よ り極 め て 多 くの粘 土 有 機 層 間化 合 物 の研究 に用 い られ て き た が,次 の様 な 限 界 が あ っ た. 赤 外 線 吸 収 スペ ク トル 法 は主 と して 透過 法 で行 わ れ る が,粘 土 自 身 の吸 収 の た め にゲ ス ト種 の 吸収 領 域 の 一 部 が 検 出不 可 能 と な る.ま た 試 料 を細 か く粉 砕 して KBrな ど の分 散 媒 中 に 分 散 させ る必 要 が あ る.も ち ろ ん 配 向 フ ィル ム を用 い た 赤外 二 色 性 の 測 定 も多 く報 告 され て い るが,基 本 的 に は この よ うな制 約 が あ る と い って よ か ろ う.ま た水 溶 液 や水 へ の 懸 濁 液 に対 して も赤 外 線 吸 収 ス ペ ク トル 法 は 大 き く制 約 を受 け る. そ れ に 対 して ラマ ン分 光 法 は試 料 形 態 を 問 わ ず ,ま た水へ の 懸濁 液 にも適 用で き る特徴 を 持 って い る.レ ー ザ ー光 源 が 利 用 可能 とな って 以 来,レ ー ザ ー ラマ ン分 光 法 と して各 方 面 に 利 用 され,酸 化物 固体 表 面 の 吸 着 種 の 研 究 は既 に多 くの 研 究 が あ る.そ の一 連 の流 れ の 中 で 層 間 化 合 物 の 分 野 に も利 用 可 能 とな って き た の は 当 然 で あ る.ラ マ ン分 光 法 は 赤外 線分 光 法 に比 べ て 感 度 が 悪 く,こ の こと が一 つ の 制約 とな って い たが,共 鳴 ラマ ン効 果 を利 用 した 高 感度 測定 も照 射 光 の 波 長 な ど の 測 定 条 件 を選 べ ば 可 能 とな り,有 機 化 合 物 の 存 在 状 態 と構 造 に 関 して は明 確 な情 報 を もた らす よ うに 思 わ れ る. 赤 外 線 吸 収 スペ ク トル 法 と ラマ ン分 光 法 とい う原 理 的 に は異 な る もの の,両 振 動 ス ペ ク トル法 を 相補 的 に 使 う こ と に よ って 層 間 化 合 物 の 構 造 を よ り詳 細 に 調べ る方 向 に 向 か いつ つ あ る よ うに 思 わ れ る.赤 外 線 吸収 ス ペ ク トル 法 と ラマ ン分 光 法 を併 用 した研 究 例 と して 最 近 の カ オ リナ イ ト-DMSO層 間 化 合 物 の 構 造 研 究 の 報 告 もあ る43). 4.3  そ の 他 X線 光 電子 分 光 法(XPS)に よ って 層 間 化 合 物 を 研 究 した例 は あ ま りな いが,層 間 陽 イオ ンな どのXPS ス ペ ク トル を種 々の 化 合 物 と比 較 す る こ とに よ っ て, 層 間 の 陽 イ オ ンの 存 在 状 態 につ い て 調 べ られ て い る44). ま た電 子 ス ピ ン共 鳴(ESR)も 層 間 に お け る有 機 化 合 物 あ る い は有 機 金 属 錯 体 の 構 造 の確 認 な ど の 目 的 で 利 用 さ れ て い る.そ の ほ か,EXAFSやXANES 45) あ る い は 中性 子 散 乱 を 用 い た 研究46)もあ るが 詳 細 は 原 報 を 参 照 され た い. 5.  粘 土 層 間 化合 物 の性 質 ・機 能 と その 利 用 5.1  粘 土 層 間化 合 物 の性 質 と機 能 モ ンモ リロナ イ トの 結 晶層 間 に ナ ト リウム イ オ ンの イ ンタ ー カ レー ト した 層 間 化 合 物 は 親 水 性 で 水 の 中 で

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302 加 藤 忠 蔵 ・黒 田一 幸

粘土科学

著 し く膨潤 し,結合 材,掘 さく用 泥 水 な ど に 使 用 され る. さ らに結 晶 層 間 に ア ル キ ル ア ンモ ニ ウ ム イ オ ンの 入 っ た 粘土 有 機 イオ ン層 間化 合物 は有 機 溶 媒 中 で 膨 潤 し親 油性 と な る.ま た 雲 母 は 約10Aの 厚 さ を もつ ア ル ミノ ケ イ酸 塩 の 単位 結 晶 層 の何 枚 も積 み 重 な っ た もの で,は が す こ とが 可 能 で あ る.こ れ は結 晶 層 同士 の 結 合 が 弱 いか らで あ る.粘 土 で は な いが,グ ラフ ァ イ ト の 場合 も炭 素 原 子 に よ る六 角網 状 の二 次 元 層状 構 造 を もち,そ の結 晶 層 間 は 弱 い フ ァ ンデル ワ ー ル ス カで 結 ば れ て い る.こ の 結 晶 層 間 に他 の 原子,分 子,化 合 物 が イ ンタ ー カ レー ト して 種 々 の 層 間化 合 物 が で き る. 例 え ば グ ラフ ァイ トに カ リウム の蒸 気 を接 す る とカ リ ウ ム原子 が グ ラフ ァ イ トの 結 晶 層 間 に入 り,黒 色の グ ラファイ トが 黄 金 色 に変 る.に れ らの 例 で み て も分 か る よ うに結 晶層 間に他 の成 分を入 れ るこ とに よ り全 く異 な った性 質 を もつ ように なり,種 々 の機 能 性 を も った材 料 と して 使 用 す る こ とが で き るよ うに な る.次 に 粘土 層 間 化 合 物 利 用 の現 状 と将 来 につ い て 述 べ る. 5.2  吸 着 材,イ オ ン交 換 材 と して の利 用 層 状構 造 を もつ粘 土 結 晶 の 層 間 に は様 々 な イ オ ン, 分 子,化 合物 が入 る.分 子 や 化 合 物 が層 間 や 結 晶表 面 で フ ァ ンデ ル ワール ス結 合 や 水 素 結合 で結 合 して い る 時 は一 般 に物 理吸着 といい,表 面積 と大 き い 関 係 を もっ て い る.ま た モ ンモ リロ ナ イ トの 結 晶層 間 に ア ミン類 をあ らか じめ 吸 着 させ て お き,エ ポ キ シモ ノマ ー と混 合 して 硬 化 させ る重 合 反 応 に利 用 す るこ と もで き る. この よ うに 反 応 試薬 の反 応 場 所 と して ま た 長 期 の 倉庫 と して の 利 用 が 可能 で あ る. 粘 土 層 間 化 合 物 で 吸着 剤 と して 最 も利 用 され て い る の は モ ンモ リロナ イ トで,層 間の イオ ンを 柱 と して少 量残 して 脱 水 す る と多 量 の空 隙 が あ くの で,脱 水 剤, 吸 湿剤,固 体 酸 触 媒,酵 素 の 固定 化 剤 と して 従 来 か ら 使用 され て い る.わ が 国 で は 酸性 白土 と して,英 国 で は フラ ー ス アー ス の名 で古 くか ら吸 着 剤 と して 使 用 さ れ て き た が,酸 処 理 して 吸着 力 を 高 め た 活 性 白土 が 1930年 代 よ り市 販 され 現在 に 至 って い る.こ れ は油 脂, 鉱物 油 の 脱 水,脱 酸,脱 色 精製 に多 量 に使 用 され て き て いる.ま た オ レフ ィ ンを オ リゴ マー 化 して トル エ ン, キ シ レ ンな どの 溶 剤 中 の オ レ フ ィ ンの 除 去 に も多 く使 用 されて い る. 分子 や 化 合 物 の イ ンタ ー カ レ― シ ョンで な くゲ ス ト が イ オ ンで あ る時 は 他 の イオ ン とイ オ ン交 換 をす る. この 事 は層 間 の ゲ ス トイ オ ンの交 換 の 可 能 性 と共 に交 換量 の調 節 もで き る こ と を示 し,多 方 面 へ の 利 用 が 考 え られ る.イ オ ン交 換 体 と しての 通 常 の 利 用 の ほ か に 核 分 裂生 成 物 に起 因 す る放 射 性 各 種 イ オ ンの 回 収,海 水 中 に 約3 ppb含 まれ る ウ ラ ンの イ オ ン交 換 に よ る回 収 な ど も今 後 の 課題 で あ る.そ の ほか 層 間 に あ る イオ ンの 交 換 に よ り電 気 的 性 質,触 媒 と して の 性 質,膨 潤 性,光 学 的性質 な どの 機 能 を 変 え る こ とが 可 能 で あ る. 5.3  触 媒 と して の利 用 触 媒 と して 重 要 な層 間化 合物 は現 在 の と こ ろ粘 土 と グ ラフ ァイ トであ る.粘 土 鉱物 の場合 は モ ンモ リロ ナ イ トの 水 素 塩 が 固体 酸触 媒 と し て1930年 代 よ り工 業 的 に利用 されて き た.例 えば 重油,灯 油,油 脂 な ど の接 触 分 解,オ レイ ン酸 の二 量化 な ど の触 媒 と して で あ るが, 1960年 以 降 は ゼ オ ライ トに替 え られ て い る.し か しモ ン モ リロナ イ トの 結 晶 層 間 にAlやZrの 水 酸 化 物 を イ ンターカ レー トして 層間 距 離 を 調節 し,さ らに400℃ 以 上 に焼 成 した の ち,表 面 積 を 増 した もの は 形状 選 択 触 媒 と して 復 活 しつ つ あ る.層 間ヘ イ ンタ ー カ レー ト す る 金 属 はTi,Zn,Cu,Cr,Bi,Ni, Fe,Mg,Nb,Taな ど 種 々 の 金 属 が 可 能 で,こ の領 域 の 研 究 は これ か ら,さ らに広 が る もの と考 え ら れ る.ま たモ ンモ リロナ イ トの 層 間 に有 機 物 や 金属 有 機 錯体 を イ ンター カ レー ト した 層 間化 合 物 もイ ンデ ン, トラ ンス スチル ベ ンの 多量 体化 な どの触 媒 と して,層 間 の立 体 規 制 効 果 が 利 用 され て い る.層 間化 合 物 の触 媒 作 用 の研 究 は 始 ま って 間 も ない と ころ で 興 味 あ る特 性 が明 らか に され つつ あ り,将 来 へ の 発展 が 期 待 され る. 5.4  膨 潤 材,分 散 材,結 合 材 と して の 利 用 モ ンモ リロ ナ イ トのNa塩 で あ るベ ン トナ イ トは結 晶 層 間 にNaイ オ ンを イ ンター カ レー トして い るが, 水 中 で はNaイ オ ンが 水 和 して 著 し く膨 潤 し泥 状 に な る.こ れは石 油 掘 さ く用 泥 水,土 木 用 な どに広 く利 用 さ れ て い る.ま た モ ンモ リロ ナ イ トの 層 間 の 陽 イオ ン と 第 四 ア ンモ ニ ウ ム イオ ンを交 換 させ る と,親 水 性 が 親 油 性 に 変化 し有 機 溶 媒 中で 膨 潤 す るよ う にな る.こ れ は 塗 料,グ リー ス の分 散 材,保 護 コ ロイ ドと して 広 く 利 用 され て い る.ま た合 成 雲 母 の場 合 に も同 形 置 換 の 原 理 を 利 用 して結 晶層 間 にNaイ オ ンやLiイ オ ンを イ ン ター カ レー トす る と,水 分 子 を 取 り込 ん で 同 様 の 膨 潤 を引き起 こす.こ れ らの 膨 潤 性 層 間 化 合 物 は水 や 有 機 溶 媒 中 に 投入 す る と著 し く溶 媒 和 し,適 当 な条 件 下 で は コ ロイ ド粒子 単位 ま で分 散 し安 定 な ゲ ル や ゾル を つ く り,保 護 コ ロイ ドの性 質 を示 す.今 後 も 引 き続 き

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第26巻 第4号(1986)

粘土層間化合物

303 塗料,グ リー スの分 野 で 重 用 さ れ る もの と考 え られ る. 鋳 物 は溶 融 した金 属 を 鋳 型 に 流 し込 み 冷却 して製 造 す る.鋳 型 に は金 型 と砂 型 が あ るが,後 者 の場 合 に砂 の結 合 剤 と して ベ ン トナ イ トが 使 用 され て い る.フ ェ ノー ル 樹 脂,フ ラ ン樹 脂,水 ガ ラス な ど も使 用 され て い るが,混 練 性,造 型 性,バ ラ シ性,回 収 性 な ど に優 れ て い るの で,ベ ン トナ イ ト使 用 の 態 勢 は続 く もの と 思 わ れ る.ま た鉄 鉱 石 の 粉鉱 を ペ レ タイ ジ ングす る の に も使 用 され て い る. モ ンモ リロ ナ イ トの90%以 上 に10%以 下 の フ ェ ノ ー ル 樹 脂,尿 素 樹 脂 な どの プ レポ リマ ー を しみ 込 ませ た の ち 加圧 重 合 させ た もの は,不 燃 材 あ る い は難 燃 材 の 建材 と して 多 量 の 需要 が 見込 ま れ一 部 製 品 化 され て い る.ま た エ ポ キ シ樹 脂 を モ ンモ リ ロナ イ トの 結 晶 層 間 に しみ 込 ま せ た 成 形 品 は単 な る無 機 粉 体 の 混 合 物 と異 な り,機 械 的 強度 が 大 き く,成 形 性,保 存 性,電 気 特 性 に優 れ て い るの で,家 電 用 機 械 部 品,電 子 部 品,事 務機 部 品 な ど ガ ラス,セ ラ ミッ ク,金 属 の 代 替 品 と し て実 用 化 さ れ て い る. 5.5  発 色 材,着 色 顔 料 と して の 利 用 モ ンモ リ ロナ イ トあ る い はハ ロ イサ イ トを 強 く酸 処 理 した 白色 粉 末 は既 に層 間 化 合 物 で はな い が ロ イ コ系 色素 と接 触 して青 色 に発 色 す るの で 感 圧 複 写 紙 い わ ゆ るノー カー ボ ン紙 に使 用 され て き た. モ ンモ リロナイ トの 層 間 の 陽 イ オ ンの 代 わ りに 塩 基 性 の色 素 イ オ ンを イ ンター カ レー トす る と,き れ い に 着 色 し顔 料 とな る.従 来 か らパ イ ロ フ ィ ライ ト,タ ル ク, カオ リナ イ トは体 質 顔 料 あ るい は レー キ 顔 料 の 原 料 と して 増 量 材 や 充 填 材 と して 利 用 され て き た.こ れ らの 場 合 に は粘 土 表面 に染 料 を 単 に 吸 着 させ た もの か コス トを下 げるための 増量 材 と して 使 用 さ れ る に止 ま って お り,顔 料 と しての 性 質 を 向上 させ る 目的 とは 異 な って い た.こ れ に対 して イオ ン交 換 性 を もつ ス メ ク タ イ トの 無 機 陽 イオ ンを発 色 性 有機 陽 イ オ ン と交 換 さ せ て 粘土 その もの を 着 色 顔 料 とす る こ とが 行 わ れ るよ うに な っ 47) た.こ の 場 合 に は着 色 原 因 で あ る染 料有 機 イ オ ンは結 晶 層 間 あ る い は立 体 網 状構 造 内 で イオ ン結 合 で結 合 し て い るた め 染 料 が 水 中 に 溶 出 す る こ とな く,ま た染 料 そ の ま ま で プ ラス チ ッ クに着 色 す る場合 と比較 して 耐 熱性,耐 候 性,色 移 行 性 を 改 善 す る こ とが 期待 さ れ る. 使用 され る塩 基 性 染 料 と して はRhodamine(赤),

Auramine(黄),Malachite Green(緑), Crys-tal Violet(紫)な どが あ る. 5.6  電 気 絶 縁 剤 と して の 利 用 層 状 構 造 を もつ 天 然 雲 母 は 古 くか ら電 気 絶縁 材 料 と して使 用 されて きた.天 然 雲母 は スメ ク タイ トの1種 で あ るが,水 酸 基 を も って い るの で600℃ 以上 で 水 を放 出 し耐 熱 性 が そ れ ほ ど高 くな い.こ れ に 対 して水 酸基 の 代 わ りに フッ素 を 用 いた合成 雲母 が つ くられ た.合 成 雲 母 と して は フ ッ素 金 雲 母,KMg3(AlSi3)O10F2 , が 初 め て 合 成 さ れ た が,そ の 後 各 種 の 同 形 置 換 体 が つ く られ,種 々 の 用 途 に 使 用 さ れ るよ うに な った.電 気 絶 縁 材 料 と して は 金 雲母,K(Mg,Fe2+)3 (Si3Al)O10(OH,F2),と 白 雲 母,KAl2 (AISi3)O10F2 ,が お も に 用 い られ て い る が, そ の 固有 抵 抗 は 表 面 が1016,垂直方 向1016,平行 方 向1014 Ω ・cmを示 す.そ の ほ か 耐熱 ワ ッ シ ャー,窯 炉 の ぞ き 窓,プ リン ト配線 基 板,放 射 線 用 窓 な どに使 用 され る. 5.7  ニ ュー セ ラ ミ ッ クス 合 成原 料 と して の 利 用 粘土 の 結 晶層 間 に プ ラス チ ッ ク原 料 の有 機 モ ノマ ー あ るい は プ レポ リマ ー を イ ンター カ レー ト したの ち, 重 合 させ て粘 土 有 機 ポ リマー 層 間 化 合 物 を つ く る こ と は3.4節 に 述べ た が,こ の ポ リマ ー 複 合 体 を 還 元 雰 囲 気 あ る い は 窒 素 雰 囲 気 下 で1100∼1500℃ に 焼 成 す る と炭 化 物,窒 化物(含 サ イ ア ロ ン)な どの い わ ゆ るニ ューセ ラ ミッ クス を 合 成 す る こ とが で き る.そ の合 成 方法 の1例 を あ げ る と48),モン モ リロ ナ イ トをn-ア ル キル トをn-ア ンモ ニ ウ ム水 溶 液 で 処 理 してn-トをn-ア ル キ ル ァ ンモ ニ ウ ム 型 モ ンモ リロ ナ イ トを調 製 した の ち, ア ク リ ロニ トリル モ ノ マ ー中 に浸 漬 して ア ク リロニ ト リル モ ノマー を イ ンター カ レー トさせ る.つ いで50℃, 24時 間 重 合 を 行 いn-ア ル キ ル ア ン モ ニ ウ ム-ポ リ ア ク リ ロニ トリル-モ ンモ リロ ナ イ ト複 合 体 の 層 間 化 合物 を合 成 す る.こ の 複 合 体 を220℃ で48時 間 耐 炎 化 処 理 して ポ リア ク リロニ ト リル を環 化 した の ち, 窒 素 雰 囲 気 下1100∼1500℃ で 焼 成 す る と β-サ イ ア ロン,炭 化 ケ イ 素,窒 化 ア ル ミニ ウ ムが 生 成 す る. この方 法 は シ リカゲ ルや カオ リナ イ トと カー ボ ン ブ ラ ッ ク を単 に混 合 して焼 成 す る場 合 に比 べ,反 応 が ミク ロ な接触 を通 して 行 わ れ る と い う点 に特 徴 を も って い る. 5.8  粘 土 層 間 化 合 物 の フ ォ トク ロ ミ ズム と エ レク トロ ク ロ ミズ ム モ ンモ リロ ナ イ トの結 晶 層 間 に,フ ォ トク ロ ミズ ム の性 質 を も つ ア ル キル ビオ ロゲ ンを ポ リ ビニ ル ピ ロ リ ドンと共 に モ ンモ リロ ナ イ ト層 間 に イ ンター カ レー ト させ て 層 間 化 合 物 を合 成 す る.ビ オ ロゲ ンは 電子 供 与

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304 加 藤忠 蔵 ・黒 田 一 幸

粘土 科学

体の 存 在 下 で 可 逆 的 に光 還 元 され て ラ ジカ ル カ チ オ ン を生 成 し発 色 す る.合 成 した 層 間 化 合 物 は 板上 に 塗 布 して薄 膜 に し,水 銀 灯 によ る光 照 射 を 行 う と濃青 色 に 発 色 す る.こ の 発色 は暗 所 で 数 時 間 で 消 失 し,可 逆 的 に着色,消 色 を く り返 す. ま た モ ンモ リロナ イ ト中 に ビオ ロゲ ンと共 にポ リ ビ ニー ル ァ ル コー ル を イ ンタ ー カ レー トさせ て 層 間 化 合 物 を合成 し,ネ サ ガ ラス上 に塗布 した の ち,ポ テ ン シ ォ ス タ ッ トを 用 いて サ イ ク リ ック ボ ル タ グ ラム を測 定 す ると,電 気 化 学 的 に 酸化 還 元 反 応 を す る こ とが 明 らか に され て い る49).以上 の フ ォ トク ロ ミズ ム や エ レク トロ ク ロ ミズ ム は こ れか らの 問 題 で あ る. 5.9  そ の 他 今 まで 述 べ て こ なか った もの の 中 に 次 の よ うな利 用 が 期待 され る.層 状 構 造 を 利 用 して の 固 体 潤 滑剤 と し て の利 用,水 の 光分 解 に有 効 な ト リス ル テニ ウム錯 体 の 固定 化,酵 素 の固 定 化,腎 臓 透 析 な どバ イ オ テ ク ノ ロ ジーへ の応 用 が考 え られ る. 層 間化 合 物 を ホ ス ト種 とゲ ス ト種 の 両 方 の ミク ロな 組 合 せ と考 え る と,ホ ス ト結 晶 層 に は同 形 置 換 に よ っ て新 しい組 成 と機 能 を与 え,ゲ ス ト種 に は イオ ン,原 子,分 子,化 合 物 を イ ンタ ー カ レー トして 新 しい層 間 化 合 物 を 次 々 と合 成 して ゆ くこ と が で き る.こ の よ う に ホ ス ト種 とゲ ス ト種 の 両 者 に種 々 の工 夫 をす る と, われ わ れ に と って 新 しい機 能 を も った 未知 の層 間 化 合 物 を合 成 す る こ とが で き,こ の 分 野 の 将 来 は さ ら に大 き くな る も の と考 え られ る. 文 献

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