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(1)

経済数学入門

初歩から一歩ずつ

8.

連鎖律と

2

階微分

1

2

財の選択:1

変数の問題に帰着

所得が与えられてそれを使い切って 2 つの財を消費する消費者を考えま す.消費者の効用最大化問題は次のようになります. 効用最大化問題 max x,y u(x, y) s.t. pxx + pyy = m ここで,u は効用関数,x と y はそれぞれ x 財と y 財の消費量,px と pyそれぞれ x 財価格と y 財価格,最後に m は所得です.条件式を予算制約あ るいは予算といいます. 効用関数が次のようになっているとします. u(x, y) = xy このとき,pxx + pyy = m を y について解いて,効用関数に代入すると下 になります. xy = x µ 1 py (m − pxx) ¶ = m py x −px py x2 ここで,x 財の消費量の範囲を 0 から m/px としたときの新しい効用関数 を U と置きます. U(x) = m py x − px py x2 価格は正ですのでこの 2 次関数は上に凸な関数となります.この関数を x について微分すると, dU(x) dx = m py −2px py x

(2)

になります.これを 0 とおいて解くと最適な消費量が求まります. x∗ = m 2px 問い 1 上の消費者の問題において px = 1/2 ,py = 1,m = 1 の時の問題 を定式化して下さい.その上で最適な消費量を求めて下さい.

2

関数の累乗の微分

次の関数を微分しましょう. d dx(x + 1) 2 展開して (x + 1)2 = x2+ 2x + 1 ですから,累乗,和,定数倍の公式を用いて d dx(x + 1) 2 = 2x + 2 = 2(x + 1) となります. 係数に 2 がついていますね.ここには実は法則が隠されています.例え ば,関数 g(x) に対して,それを 2 乗する関数 f (x) を考えましょう. f (x) = [g(x)]2 = g(x)g(x) です.この f を積の微分を用いて微分すると f0(x) = [g(x)g(x)]0 = g0(x)g(x) + g(x)g0(x) = 2g(x)g0(x) となります.同様に 3 乗 4 乗と続けると次の公式が導けます.

関数の累乗の公式

((f (x))n)0 = n(f (x))n−1f0(x) 問い 2 (3x − 2)2, (1 − 5x)4,(x3+ 2)5の導関数を求めて下さい.

(3)

3

合成関数の微分

関数の累乗の微分を一般化した公式が合成関数の微分です.別名連鎖律 とよばれる計算法則を学びます.

3.1

連鎖律

上の例の関数 y = (x + 1)2 を見るとある変数 x に1を加え x + 1 に写し ています.次にそれを 2 乗しています.つまり, x 7→ x + 1 7→ (x + 1)2 という 2 段階を経ています.つまり関数を 2 回適応しています.新しい変数 を z とすれば, x 7→ y 7→ z ということです.同様に新しい関数を g とすれば, x 7→ f (x) = y 7→ g(y) です.上の例では, f (x) = x + 1 g(y) = y2 です.f (x) = y ですから,結局 z = g(f (x)) となります.このような x から z への関数を f と g の合成関数といいます. 記号では, 関数 f : X → Y 関数 g : Y → Z に対して, g ◦ f : X → Z となります.注意しなければならないのは,関数の積と関数の合成は違う ということです. 違う ( (f g)(x) = f (x)g(x) (g ◦ f )(x) = g(f (x)) 問い 3 最初に示した y = (x + 1)2 を合成関数として分解してください.

(4)

問い 4 f (x) = (x2+ 1)2 と g(y) = y3+ 2 に対して合成関数 h = g ◦ f を 求めてください. では f と g の合成関数 h = g ◦ f の微分を求めてみましょう.ただし,f と g ともに微分可能であると仮定します.つまり,x が少し変化したとき z がどれくらい変化したのかを見るのです.これは微分の記法から次のよう に表すことができます. dz dx このとき,x の変化により y がまた変化しますからその影響 dy dx を考えねばなりません.次に y が変化するわけですから z も微小に変化し ます.つまり dz dy も考えなければなりません.そして,合成関数の微分はこの 2 つの積にな ります.つまり, dz dx = dz dy dy dx (1) です.このライプニッツ記法をもっと正確に書けば dz dx(x) = dz dy(y) · dy dx(x) (y = f (x)) です.カッコで示されているように右辺の x と y は関数 f により関連付け られていることに注意してください.ラグランジュ記法で書き直してみま しょう. (g ◦ f )0 = g0(y) · f0(x) (y = f (x)) つまり (g ◦ f )0 = g0(f (x)) · f0(x) となります.この公式を覚えるには最初の式 (2) がいいでしょう.というの は右辺の分母と分子で dy が消去されている形になっているからです.あく までも dzdx, dzdy, dxdy は関数ですが数として扱って覚えるといいでしょう.この 合成微分の公式は有名で連鎖律という名前がついています.

(5)

連鎖律

(g ◦ f )0(x) = g0(y) · f0(x) (ただし y = f(x)) もっと簡略した形で書くと以下のようになります.

連鎖律

(g ◦ f )0 = g0· f0 つまり合成関数の微分は微分の積になります. 問い 5 最初に示した y = (x + 1)2 を連鎖律を用いて微分してください. 問い 6 f (x) = (x2+ 1)2 と g(y) = y3+ 2 の合成関数 h = g ◦ f を連鎖律 を用いて微分してください. 問い 7 f (x) = x3+ 1 と g(y) = y2 の合成関数 h = g ◦ f を連鎖律を用い て微分してください. 問い 8 f (x) = (x2+1)1 3 を微分してください.

3.2

連鎖律の証明

増加分の記号を用いた証明を書いておきましょう.関数 y = f (x) と z = f (y) に対して ∆z ∆x の ∆x → 0 の時の極限を考えよう.このとき ∆z ∆x = ∆z ∆y · ∆y ∆x である.∆x → 0 の時,∆y → 0 であるので lim ∆x→0 ∆z ∆y = dz dy

(6)

となる.よって dz dx = lim∆x→0 ∆z ∆x = lim∆x→0 µ ∆z ∆y · ∆y ∆x ¶ = µ lim ∆x→0 ∆z ∆y· µ lim ∆x→0 ∆y ∆x ¶ = dz dy · dy dx

4

指数関数の微分

4.1

指数関数の微分

微分の定義をもう一度書きます.関数 f : X → Y のある点 x ∈ X に対 して,極限 lim h→0 f (x + h) − f (x) h が存在するとき,f は点 x で微分可能であるといいました.そのとき,その 極限を微分係数といいました. 底 a > 0 の指数関数 f (x) = ax に定義を適応してみよう. lim h→0 ax+h− ax h = limh→0 axah− ax h = a xlim h→0 ah− 1 h = a xlim h→0 ah− a0 h 極限の中身を見るとそれは x = 0 での微分係数に等しい. f0(0) = lim h→0 ah− a0 h (2) ですから結局, f0(x) = axf0(0) となります.(3) の底を e にした時に極限はどうなるでしょうか?この e と はもちろんネイピア数です.(この数は自然対数の底ともよばれます.)

ネイピア数

e = lim n→∞ µ 1 + 1 nn

(7)

実は次のような定理があります.

定理

lim h→0 eh− 1 h = 1 微分係数とはその点での接線の傾きでしたから底を e とする指数関数は x = 0 で傾き 1 を持ちます. x 0 y 1 a b y = ax + b この定理を用いると結局次のことが言えます.

e

x

の微分

(ex)0 = ex つまり微分しても変わらない関数が exです.この数は自然対数の底とも よばれます. 例 1 ertを t で微分してください. 解答 1 合成関数 t 7→ rt 7→ ertとして考えると, (ert)0 = (ey)0· (rt)0 = rert 問い 9 y = e2x+1を微分してください.

(8)

問い 10 y = e−3xを微分してください. 問い 11 y = e1/xを微分してください. 問い 12 y = xexを微分してください. 合成関数の微分の公式を用いますと以下の公式を導くことが出来ます.

e

f (x)

の微分

(ef (x))0 = f0(x)ef (x)

4.2

瞬間的利子率と指数関数の微分

以前連続複利をやりました.利子の付く期間をどんどん短くしていった 極限を指していました.復習でその定義を書いておきます.

連続複利

M 円を年利 r × 100% の利息を連続複利で n 年間支払う場合の元利合計は 次の式で表される. lim k→∞M ³ 1 + r k ´kn = Mern 年数 n は一年毎で考えましたがそちらも連続にするつまり一瞬一瞬に預 け入れを行っているケースを考えましょう. f (t) = ert この f (t) が t 年後の瞬間利子率の元利合計です.その微分 f0(t) = rertは預 け入れ期間が一瞬延びたときの元利合計を指します. では次に一瞬預け入れが伸びたとき dt の元利合計の増加率はどうなるで しょうか?時刻 t0における f (t) の増加率は df dt(t0) f (t0)

(9)

ですから結局 df dt(t0) f (t0) = rert0 et0 = r となり ertは増加率 r が一定の増加率でした.つまりどんな預け入れ時点に おいてもその増加率は同じということになります. 問い 13 割引現在価値とは将来の金額を」現在の金額で評価した場合の金 額を言います.年利子率 r × 100% のときの来年の 1 円の割引現在価値は 1 1 + r です.別の見方として一年後の元利合計が 1 円だとしたら今年何円預けな ければならないかを指します.瞬間的な割引を考えたときに t 年後の 1 円の 割引現在価値は e−rt になることを示してください.

5

逆関数定理

5.1

逆関数の微分係数

逆関数を思い出しましょう.関数 f : X → Y の逆関数 f−1 : Y → X と は次の条件を満たす関数です. y = f (x) ⇐⇒ x = f−1(y) 例えば,定義域を制限した 2 次関数 f (x) = x2 (x ≥ 0) の逆関数は,平方根関数 f−1(y) =y でした. この逆関数 f−1の微分を考えましょう.もう一つ例として 1 次関数を考え ましょう. f (x) = 2x + 1

(10)

この直線の傾きは 2 です.この右辺を y とおいて x について解くと x = 1 2y − 1 2 になってその傾きは 1/2 で元の関数の逆数になっています.微分とは傾きを 求めることでしたから,逆関数の微分係数は元の関数の微分係数の逆数に なります.

逆関数定理

(f−1)0(y) = 1 f0(x) ( f 0(x) 6= 0 ) 問い 14 関数 f (x) = 5x − 8 の逆関数を求めて下さい.次に逆関数定理の結 果と一致することを確かめてください. 問い 15 関数 f (x) = √x の逆関数を求めて下さい.次にその逆関数の微分 と逆関数定理の結果とを比べて一致することを確かめてください.

5.2

限界生産力と限界費用

例 2 労働 (L) だけを用いて生産量 Q を産出しているときに以下の限界 費用と限界生産力の関係を証明しなさい.ただし w は賃金率である. MC = w MP L 解答 2 費用は C = wL である.ただしこの L は生産量 Q を効率的に産 出するために用いられる雇用量である1.よって要素市場が完全競争的であ る場合に限界費用は MC = dC dQ = w dL dQ 逆関数定理を用いると dL dQ = 1 dQ dL 1このような関数関係 L = g(Q) があるときこの g は生産量 Q を達成するための制約付 要素需要関数とよばれる.

(11)

になるので M P L = dQdL から MC = w MP L となる. 問い 16 生産関数が F (L) = √L のとき費用関数 C(Q) を求めて下さい.た だし w を賃金率とします. 問い 17 上の問いで M C = 2wQ になることを示しなさい.

5.3

逆関数定理の証明

最初に読むときはこの証明を省略しても構いません. ところで,関数 f とその逆関数 f−1の合成 f−1◦ f を考えてみましょう. (f−1◦ f )(x) = f−1(f (x)) = f−1(y) = x つまり, (f−1◦ f )(x) = x となる写像です.前期の講義ではこのような自分自身を自分自身へ写す写 像を恒等写像といいました.ではこれ f−1(f (x)) = x を微分してみましょう. 左辺 = d dxf −1(f (x)) = (f−1)0(y) · f0(x) (連鎖律& y = f(x)) 右辺 = d dxx = 1 そうすると, (f−1)0(y) · f0(x) = 1 です.ここで f0(x) 6= 0 ならば両辺を f0(x) で割ることができます.よって, (f−1)0(y) = 1 f0(x) がなりたちます.つまり,逆関数の微分は関数の微分の逆数です.これも有 名でしかも有用な公式なので逆関数定理という名前がついています.

(12)

逆関数定理

(f−1)0(y) = 1 f0(x) ( f 0(x) 6= 0 )

5.4

逆関数定理のもう

1

つの見方

最初に読むときはこの証明を省略しても構いません.この覚え方も合成 関数と同じく「分数」として見ることです. f0 = dy dx および (f −1)0 = dx dy ですから,逆関数定理により dx dy = 1 dy dx (dy dx 6= 0) です.もう少し正確に書くと, dx dy(y) = 1 dy dx(x) (f (x) = y) です.どちらでもいいのですが,右辺の分子分母に dx を掛けてたものが左 辺に等しくなっています.

逆関数定理

dx dy = 1 dy dx 問い 18 y = 3 x を累乗関数の公式を使って微分してください.次に逆関数 定理を用いて微分してください.

6

自然対数関数の微分

6.1

自然対数関数の微分法

底を e とする対数関数を自然対数関数 natural logarithm といいます.よ く使われるので底が e のときは底を省略したり ln という記号を用いたりし

(13)

ます. logex = log x = ln x 通称ログともよびます.復習をしておきますと y = exの逆関数が x = log y です.ですから, x = elog x が成り立っています.逆関数定理 (f−1)0(y) = 1 f0(x) ( f 0(x) 6= 0 ) を用いて log x の微分を計算しましょう.log x の定義は y = f (x) = log x ⇐⇒ x = ey に注意すると, f0(x) = (log x)0 = 1 (ey)0 = 1 ey = 1 x となります.

log x

の微分

(log x)0 = 1 x 0 を微分しても 0 ですが1 xになる関数は log x だったのです. 関数 −x−1 log x x 12x2 導関数 x−2 x−1 1 x 例 3 対数関数 f (x) = log(x + 1) の x = 0 における接線を求めて下さい. 解答 3 この対数関数の定義域は x > 0 です.これを微分すると, f0(x) = (log(x + 1))0 = 1 x + 1

(14)

y log(x + 1) y = x x 図 1: f (x) = log(x + 1) の x = 0 における接線 となる.よって,f0(0) = 1/(1 + 0) = 1 となり接線の傾きは 1 となります. このとき関数値は,f (0) = log 1 = 0 となるので,原点を通る傾き 1 の直線 がこの対数関数の接線となります. 問い 19 y = log(2x + 1) を微分してください. 問い 20 y = log(1 − 3x) を微分してください. 問い 21 y = x log x − x を微分してください. 問い 22 y = x2log x を微分してください. 問い 23 (log |x|)0 = 1 x を証明してください. 合成関数の微分法より容易に次の公式を導くことが出来ます.

log f (x)

の微分

(log f (x))0 = f0(x) f (x) これは f (x) の増加率に他なりません.増加率が重要な経済学ではこの性 質を用いて対数微分法が広く用いられています.

(15)

6.2

対数微分法

ある正の値を取る関数 f の対数を取った微分を考えましょう. (log f (x))0 合成関数の微分の公式より (log f (x))0 = f0(x) f (x) となります.対数を取って微分することはその増加率を求めることになり ます. 問い 24 y = ertの対数微分を求めてください. 問い 25 y = 1/x の対数微分を求めてください. 問い 26 f (x) = (x+a)(x+b) の対数微分を用いて f0(x) = f (x)( 1 (x+a)+(x+b)1 ) を証明して下さい.

6.3

弾力性と対数微分法

弾力性を対数微分で表現しましょう.もう一度復習をします.微分を学ん でいない場合は需要の価格弾力性 E とは, E = −需要量の百分比変化率 価格の百分比変化率 = − ∆D D ∆P P = −∆D ∆P P D でした.ただし D は需要量,P は価格です.微分を用いることが出来るケー スでは E = −dD dP P D となります.これを変形しますと E = − dD D dP P = −d log D d log P

(16)

です.これを証明してみましょう. d log D dD = 1 D =⇒ d log D = dD D d log P dP = 1 P =⇒ d log P = dP P ですから −d log D d log P = − dD D dP P = −dD dP P D = E

7

瞬間的な成長率と成長会計

瞬間的な成長率を求める時に対数関数が便利です.ある変数 y が時間 t の 関数であるとします.その関数を f で表すと y = f (t) になります.時間が 連続的に動く時にその成長率は 成長率 = dy dt y = f0(t) f (t) となります.これは底が自然対数の対数の導関数に他なりません.微分し て関数 f (t) で割る代わりに対数を取って微分すれば良いのです.

log f (x)

の微分

(log f (x))0 = f0(x) f (x) 念のため書いておくと次のようになります. 成長率 = d(log f (t)) dt = f0(t) f (t) マクロ経済がコブ・ダグラス型生産関数で記述されているとしましょう. 生産量 Y は,資本 K,労働 L,技術水準 A から次の関係で表されている. Y = AKαL1−α ただし,この α は 1 未満の正の定数とします.この Y の対数を取ってみま す.対数の性質を用いると次のように表されます.

(17)

かけ算が和に指数部分が係数になり簡単に表現できています.この Y ,K, L,A が時間 t とともに変化したとします.この時間で微分すると次のよう に式になります. Y0 Y = A0 A + α K0 K + (1 − α) L0 L この式を言葉で書き表せば以下のようになります. 経済成長率 = 技術進歩率 + α資本蓄積率 + (1 − α) 労働人口成長率 経済成長率は,単純な技術進歩率,資本蓄積率及び労働人口成長率の加重 和になりました.

8

右微分と左微分

関数が開区間で定義されていればその定義域全体で微分可能性を考える ことができます.しかし,有界な閉区間ではその端点で一方向からの極限 しかとることができません.関数の右極限と左極限で考えたように一方向 からの極限で考えた,右微分と左微分を考えましょう.

右微分係数と左微分係数

関数 f : X → Y のある点 a ∈ X に対して,極限 lim h→0+ f (a + h) − f (a) h が存在するとき,f は点 a で右微分可能であるという.そのとき,その極 限を関数 f の点 a における右微分係数という.それを f+0 (a) と書く.同 様に lim h→0−0 f (a + h) − f (a) h が存在すれば,f は点 a で左微分可能であるといい,その極限を関数 f の 点 a における左微分係数という.それを f0 (a) と書く. この右微分可能を右から微分可能ともいいます.左微分も同様です.これ らを片側微分ともよびます.また,微分と同様に左右の導関数も定義でき ます.この微分によって,ある数 a と b (a < b) が与えられたときの有界閉

(18)

区間 [a, b] 上の微分が定義できます.つまり,この [a, b] 上で定義された関 数 f が微分可能であるとは,

有界閉区間上の微分可能性

有界閉区間 I = [a, b] (a < b) 上で定義されている関数 f が微分可能であ るとは,(a, b) 上で微分可能で a と b においてそれぞれ右と左から微分可 能であることである. 同様に有界ではない閉区間 (−∞, b] や [a, +∞) でも同様に微分可能性を 考えます. 問い 27 関数 f (x) = |x| の x = 0 での右微分係数と左微分係数を求めて下 さい. また,関数の極限の議論と同様に微分可能性を左右の微分可能性で表現 できます.ある区間の内部にある点を内点といいます. 定理 1 (微分と左右の微分) 点 a は,関数 f の定義域の内点とするとき, 以下が成り立つ. f0(a) = α ⇐⇒ f0 +(a) = α かつ f−0 (a) = α

9

平均値の定理

微分の応用として良く用いられる平均値の定理を紹介しましょう.クルマ を自宅からある目的地まで運転しているとしましょう.所要時間と自宅から 目的地までの距離が分かれば,このクルマの平均速度が求まります.スピー ドが遅いときもあれば早いときもありますが,運転の最中に必ず 1 回はこ の平均速度と同じスピードを出していることがこの定理から分かります. 定理 2 (平均値の定理) 関数 f が閉区間 [a, b] (a < b) で連続であり,開 区間 (a, b) で微分可能ならば, f (b) − f (a) b − a = f 0(c) を満たす c が (a, b) の中に存在する.

(19)

これは図で説明すると分かりやすいでしょう.図 2 に表されている関数 y B C x A c 図 2: 平均値の定理 のグラフ上に点 A と点 B を取ります.その 2 点を結ぶ直線の傾きがこの 2 点の「平均」です.この傾きと等しい傾きを持つ接線が点 A と点 B の間の 点 C における接線となります. この定理の証明には最大値の定理を用います.そのため閉区間で関数は 連続という仮定を設けています.また,微分可能関数が極大や極小を取る ときに極値を取る点で微分係数が 0 になる臨界点の性質も用います.この ようにこの定理は関数の最大最小ととても関連が深い命題です. 問い 28 関数 f (x) = x3− 3x2 の区間 [0, 3] における平均値の定理で保証さ れる c の値を求めて下さい.

10

距離,速度,加速度

速さとは,単位時間に進んだ距離です.クルマでは普通時速 km/h,すな わち一時間に何キロメートル進んだかを速度として用いています.関数 f が ある時刻 t の位置 x = f (t) を表すとします. x f (t0) = x0 km f (t1) = x1 km 図 3: 時間と移動距離 そうすると時刻 t0と時刻 t1の時間間隔の平均速度は, f (t1) − f (t0) t1− t0

(20)

になります.そして,この時間間隔を段々縮めていけばそれは瞬間的な速 さになります.つまり,f0(t0) が速度です. lim t1→t0 f (t1) − f (t0) t1− t0 速度は英語で velocity だから速度を v とすると 速度 = (距離)0 v(t) = f0(t) になります. それでは加速度—速度変化の時間に対する割合—はどうでしょうか?次 第に速さが増していくことを「加速度がつく」といいますね.加速度は速 度を時間で微分した値になります. 加速度 = (速度)0 加速度 = v0(t) そうすると,距離に戻って距離を 2 回微分したものが加速度です. 加速度 = f00(t)

距離,速度,加速度

速度 = (距離)0 加速度 = (速度)0

11

2

階導関数

このように 2 回微分して得られた導関数を2 階導関数といいます.なぜ か回ではなくて階を用いるのが慣わしとなっています.今までに習った導 関数を 1 階導関数ともいいます. 記号をもう一度書くと 2 階導関数とは導関数をもう一度微分したものです. d dx µ df dx ¶ これをライプニッツ流の記号では d2f dx2

(21)

と書きます.2 の位置に注意してください.dxdf を 2 乗したものではありま せん.ラグランジュ流の記法では f00(x) と書きます.コーシー流では D2f (x) です. 例をやってみましょう.2 次関数 f (x) = x2 では y = x2 x 0 y とても急 右上がり 平ら グラフ 図 4: y = x2のグラフ f0(x) = 2x, f00(x) = 2 となります.この 1 階微分のグラフは元のグラフの傾きを示していました. f0(x) = 2x のグラフ x 0 y 2 ずつ増加している 図 5: f0のグラフ つまり元のグラフの変化量です.それが右上がりの 1 次関数ですから一定 の割合で増加していることがわかります.

(22)

それでは 2 階微分のグラフの意味は何でしょうか.それは 1 階微分の傾 き,すなわち x が微小に増加したときその増加分を表しています.1 階微分 は直線なので傾きは一定で 2 です.ですから 2 階微分のグラフは水平になり ます. f00(x) = 2 のグラフ x 0 y 2 図 6: f00のグラフ 今回は 2 階の微分の応用として関数のグラフの書き方を学びます.

12

関数のグラフの凹凸

1 階微分係数の符号が生であればそのグラフは右上がりであることを意味 しました.それでは 2 階微分係数の符号が正であることは何を意味するで しょうか? f00(x) > 0 ⇐⇒ x が増えれば傾きがどんどん増加する ことを意味します.それは図的にはどうなるでしょうか.まず,1 階微分が 正の場合を見ましょう. f0(x) > 0 のグラフ f00(x) > 0 はグラフが 急になることを意味する 図 7: f00(x) > 0 のグラフ 次に 1 階微分が負の場合を見ましょう.この形状は 2 次関数 f (x) = x2の x が正の部分と負の部分に対応しています.2 次関数のグラフを見ると下側

(23)

f0(x) < 0 のグラフ f00(x) > 0 はグラフが ゆるやかになることを意味する 図 8: f00(x) < 0 のグラフ y = x2 x 0 y グラフ 下側に出っ張っている 図 9: y = x2のグラフ に出っ張っていますね.このような形状を下に凸なグラフといいます.すな わち.次のことがいえます.

f

00

(x) > 0

のグラフの意味

f00(x) > 0 ⇐⇒ 下に凸なグラフ 次に 2 階微分係数の符号が負であることは何を意味するでしょうか? f00(x) < 0 ⇐⇒ x が増えれば傾きがどんどん減少する ことを意味します.それは図的にはどうなるでしょうか.まず,1 階微分が 正の場合を見ましょう. 次に 1 階微分が負の場合を見ましょう.この形状は 2 次関数 g(x) = −x2 の x が正の部分と負の部分に対応しています.2 次関数のグラフを見ると上 側に出っ張っていますね.このような形状を上に凸なグラフといいます.す なわち.次のことがいえます.

(24)

f0(x) > 0 のグラフ f00(x) < 0 はグラフが ゆるやかになることを意味する 図 10: f00(x) < 0 のグラフ f0(x) < 0 のグラフ f00(x) < 0 はグラフが 急になることを意味する 図 11: f00(x) > 0 のグラフ

f

00

(x) < 0

のグラフの意味

f00(x) < 0 ⇐⇒ 上に凸なグラフ このようにグラフの凹凸を決める性質を 2 階微分は持っています.グラフ の形状が切り替わるつまり f00(x) = 0 となる点を変曲点といいます. 問い 29 次の関数の凹凸を調べて下さい.変曲点があればそれを指摘して 下さい. y = x3− 3x

(25)

x y 1 −1 y = −x2 図 12: y = −x2のグラフ

12.1

限界効用逓減の法則

通常財が増加するに従って効用は増加しています.しかし,その増加分 である限界効用は段々と減少しています.最初の満足の増加は大きいかも しれませんが,それがドンドンと増えてくると満足はそれほど増えません. このことを限界効用逓減の法則といいます. 限界効用逓減の法則— 財の量を増やせば増やすほど追加購入に よる効用の増加分は段々小さくなる現象を限界効用逓減の法則 といいます つまり,限界効用は財が増えるほど小さくなります.誤解してはならないの は,財の量が増えると効用は増加することです.しかし,その増加分はど んどん小さくなるということです.通常の経済分析では限界効用逓減の法 則を仮定しています. 問い 30 以下の財 x の効用関数は限界効用逓減の法則を示していることを 示してください. u = u(x) =√x 無差別曲線には以下の良く置かれる仮定があります. 1. 無差別曲線の凸性 無差別曲線が原点に向かって凸な場合には限界代替率は小さくなります.こ のことを限界代替率逓減の法則といいます.

(26)

問い 31 以前学んだ以下の財 x と y の限界代替率は逓減することを示して 下さい. MRSxy = − dy dx ¯ ¯ ¯ ¯ u 一定 = y x = u x2

13

増減表を用いたグラフの書き方

1 階微分はグラフの右上がり/下がり,2 階微分は凹凸に関する情報を教 えてくれることが分かりました.この情報を整理してまとめ上げグラフを 旨く書くための表を増減表と言います.試しに次の関数のグラフを書いて みることにしましょう. 例 4 次の関数のグラフを書いてみよう. f (x) = y = x3− 3x2+ 1 解答 4 最初に微分してみます. y0 = 3x2− 6 = 3x(x − 2) となり x = 0, 2 が微分して 0 になる点です.明らかに x < 0 の範囲では f0(x) は正,0 < x < 2 では f0(x) は負,2 < x では f0(x) は正となることが分かり ます.もう一度微分してみます. y00= 6x − x = 6(x − 1) となり x = 1 が f00(x) が 0 になる点です.明らかに x < 1 の範囲では f00(x) は負,1 < x では f00(x) は正となることが分かります.以上の情報を次の増 減表とよばれる表に書き入れて見ます. x −∞ 0 1 2 y0 + 0 0 + y00 0 + + + y −∞ % 1 & −1 & −3 % ∞ 表 1: 増減表 矢印 % はグラフが右上がりであること,および矢印 & はグラフが右下 がりであることを表しています.両端の無限大に x が進んでいったときに y

(27)

y x 1 3 2 −3 図 13: 3 次関数のグラフ がどんな値をとるかについての情報を与えています.ここで計算したり表 に入れた値を基にして次のようなグラフを描くことが出来ます. 問い 32 増減表を作成して次の関数のグラフを書いて下さい. f (x) = y = −x3 + 12x 問い 33 下記のある企業の生産量 Q を生産する時の費用関数 C(Q) のグラ フを書いて下さい. C(Q) = Q3− 4Q2+ 7Q + 64

14

極大と極小

前の例に書いたグラフを見ると二つの山があることが分かります.点 x = 0 では大きな山になっています.この近辺では最大になっていますが,x 座標 をもっと大きくすれば 1 よりも大きくなりますから真の最大値ではありま せん.このような局所的な最大になる点を極大点といいその値を極大値と いいます.正確な定義を書きますとある点 x = a が関数 f の極大点である とは f0(a) = 0 であり,a を含むある区間がありその中では f0(x) > 0 (x < a) f0(x) < 0 (x > a)

(28)

となる点のことを指します. 同様に局所的な最小になる点を極小点といいその値を極小値といいます. 正確な定義を書きますとある点 x = a が関数 f の極小点であるとは f0(a) = 0 であり,a を含むある区間がありその中では f0(x) < 0 (x < a) f0(x) > 0 (x > a) となる点のことを指します. 極大値は必ずしも最大になる点で達成されるとは限りません.しかし,最 大値を求めるための有益な情報をもたらしてくれます. 問い 34 次の関数の極大・極小を求めて下さい. y = x3− 3x y = −x3+ 12x

15

2

階の条件

y = x2 x 0 y グラフ y = −x2 x 0 y グラフ 図 14: y = x2 と y = −x2 のグラフ 極値は極大値や極小値の候補になりますが,上の関数の x = 0 の微分係 数は 0 です.しかし,一方は極小値であり他方は極大値です.明らかにそれ は最小値と最大値になっています.ある点 x∗において f0(x∗) = 0 が極大値 を達成する条件は何でしょうか?それはグラフが上に凸な時に突起部分が最 大点になります.それは微分で言い換えると f00(x∗) < 0 が成り立っている ことです.反対に極小になる条件は f00(x∗) > 0 が成り立っていることです. これらの条件を2 階の条件と呼びます.一方,f0(x∗) = 0 は1 階の条件とい います.

(29)

極大・極小

1 階の条件 f0(x) = 0 は極大あるいは極小であるための必要条件である. 一方,十分条件は 1. f00(x) < 0 は極大であるための十分条件 2. f00(x) > 0 は極小であるための十分条件 最大点 x∗を求める手順をまとめましょう. 1. f0(x) = 0 である点を探す. 2. f00(x) < 0 であるかどうかをチェックする. 3. 定義域の端点を調べて,上の f (x∗) と比較する. 最後の条件は定義域の端—これを端点といいます—で最大値や最小値に なっているケースを考慮することを意味します.例えば,以下の関数の最 大値と最小値を探しましょう. y = f (x) = x2− 4x + 4 (0 ≤ x ≤ 3) 極値 f (2) = 0 は極小値を与えこれは最小値でもあります. f0(x) = 2x − 4, f0(2) = 0 f00(x) = 2 > 0 2 階の条件は成り立っています.それでは最小値は存在しないでしょうか? 実は定義域の端点 x = 0 で最大になっています. 問い 35 次の関数のグラフを描いてください.最大値を求め 2 階の条件が 満たされているか確かめてください. f (x) =√x − x (x ≥ 0) 問い 36 一種類の生産要素である労働 L を用いる生産関数 Y = F (L) =√L を持っている企業の利潤のグラフを描いてください.ただし財市場と労働 市場は完全競争的で生産物価格を p および賃金率を w とします.さらにそ の最大値と最大点を求めて下さい.

(30)

y = x2− 4x + 4 (0 ≤ x ≤ 3) の x 0 y グラフ 図 15: y = x2− 4x + 4 (0 ≤ x ≤ 3) のグラフ

16

e

−x2

のグラフ

ここで y = e−x2 のグラフを描いてみましょう.明らかに y 軸に対して対 称なグラフになります.合成関数の微分や積の微分を用いると y0 = −2xe−x2

y00= −2e−x2 − 2x(−2x)e−x2 = 2(2x2− 1)e−x2

となります.これらの情報から下記のようなグラフになることが分かりま す.このグラフに似たグラフは統計学や計量経済学で良く出てきますので 覚えておくと良いでしょう. x x e−x2 のグラフ 0 図 16: e−x2のグラフ

参照

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