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go.jp/wdcgg_i.html CD-ROM , IPCC, , ppm 32 / / 17 / / IPCC

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2.6 温室効果ガスと関連ガス

気温の上昇をはじめとする気候の変化に影響 を与える要因の一つとして 、人間活動による 温室効果ガスやエーロゾル (化石燃料などの 燃焼で発生する大気中に浮 遊している細かい ちり)の排出が挙げられて いる。人間活動に よる大気中の温室効果ガス 濃度の増加は地球 温暖化を引き起こし、IPCC(2001)において も、過去 50 年間に観測された温暖化の大部分 は、温室効果ガス濃度の増 加によるものであ った可能性が高いとされている。 また、エーロゾル は、太陽 からの 光を遮 っ たり、雲を発生させる核と して働き、気候の 変化に影響を及ぼすと考えられている。 本節では、温室効 果ガスな どの特 性や大 気 中および海洋における状況 、エーロゾルの特 性および状況など、地球温 暖化に影響を及ぼ すとされている物質の状況について述べる。

2.6.1 温室効果ガス

排出量や温室効果の大きさなどから、地球温 暖化への寄与が大きい順に、二酸化炭素(CO2)、 メタン(CH4)、ハロカーボン類などの合計 6 種類の温室効果ガスが、温 暖化防止を目的と した京都議定書において排 出削減が義務付け られている。主な温室効果ガスの CO2を 1 と したときの単位質量あ たりの温室 効果の大き さを表2.6.1 に示す。 なお、温室効果のもっとも大きい気体は水蒸 気であるが、水蒸気の濃度 は主として気温お よび大気循環に大きく左右 されるため、地球 温暖化問題で対象とする温 室効果ガスには含 めない。 図 2.6.1 は、南極およびグリーンランドのい くつかの観測点における氷 床コアおよび万年 雪から得られた過去 1000 年の大気中二酸化炭 素濃度を示したものである。 表 2.6.1 主な温室効果ガスの寿命と温室効果 の大きさ ガスの種類 寿命(年) 温室効果の大きさ CH4 8.4 23 N2O 120 296 CFC-11 45 4600 CFC-12 100 10600 CFC-113 85 6000 HCFC-141b 9.3 700 HCFC-142b 19 2400 SF6 3200 22200 SF5CF3 1000 17500 CO2 を 1 としたときの単位質量あたりの温室 効果をあらわす。ガスの寿命を考慮して、100 年あたりの効果に換算してある。IPCC(2001) より。 図 2.6.1 過去 1000 年の大気中二酸化炭素濃 度の変化 IPCC(2001)より。  過去数百年にわたって 280ppm 程度で推移 してきた濃度が、産業革命の起こった 1700 年 代後半から上昇を始め、特 にここ数十年で著 しい増加をしているのがわかる。 気 象 庁 で は、 世 界 気 象 機 関 (WMO: World Meteorological Organization)の 全球 大気監 視(GAW: Global Atmosphere Watch)計画の もと、日本の南東の海上に ある南鳥島に全球 観測所、岩手県大船渡市綾 里(以下綾里)お よび沖縄県の与那国島に地 域観測所を設置し て温室効果ガスなどの観測 を行うとともに、 温 室 効 果 ガ ス 世 界 資 料 セ ン タ ー (WDCGG: World Data Centre for Greenhouse Gases) を運営し、世界各地の温室 効果ガスなどのデ ータの収集・保管・提供お よび収集データの 解析を行い、ウェブサイト(http://gaw.kishou.

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go.jp/wdcgg_i.html)や CD-ROM などで公開 している(付録1 参照)。 図 2.6.2 は、気象庁が温室効果ガスの観測を 行っている国内 3 地点および地球の気候に影 響を及ぼす直達日射の観測(2.6.2 項参照)を 実施している 14 地点、オゾン層・紫外域日射 観測(3.1 節参照)を実施している 4 地点を示 したものである。 図 2.6.2 温室効果ガス等の観測点(3 地点)、 直達日射観測点(14 地点)およびオゾン層・ 紫外域日射観測点(4地点)の位置 (1)二酸化炭素  1)二酸化炭素の特性 二酸化炭素は、無色無臭、不燃性で、化学的 に安定した気体であり、赤 外線を効率よく吸 収し、大気中にもっとも多 く存在する温室効 果ガスであり、地球温暖化 にもっとも大きな 影響を与える。このため、 世界各国において 人為的排出の削減が強く求 められており、将 来の濃度予測や削減の効果 を監視するために は、地球上における 二酸化 炭素濃度の変動を 正確に把握するとともに、 二酸化炭素の変動 を引き起こす炭素循環の機 構を解明すること が必要である。  2)地球上の炭素循環過程 地球上で二酸化炭素はどのような振る舞いを しているのだろうか。大気 中の二酸化炭素は 化学的に安定しているため 、化学変化によっ て大気中で消失することは なく、その濃度変 動はほとんどが陸上および 海洋での吸収・放 出過程によって決まる。 陸上での吸収・放出過程としては、植物の光 合成による吸収と地中への貯蔵、生物の呼吸、 微生物による土壌有機物の 分解、化石燃料の 燃焼やセメント生 成等によ る人為的排出など がある。海洋では、海洋表 層における吸収・ 放出が大気中の濃度に直接 に影響を及ぼし、 その後海水の深海への移動 、プランクトンな どの生物活動による深海へ の炭素固定などに よって海水中に溶けた二酸 化炭素の濃度が変 動する。 図 2.6.3 は、地球上の炭素循環と収支を模式 的にあらわしたものである。1990 年代の平均 では、大気中には炭素換算量で 7,800 億トン の炭素が二酸化炭素の形で 蓄えられている。 化石燃料の燃焼やセメント製造などによって、 年間約 63 億トンが人為的に放出され、このう ち 32 億トンが毎年大気中に蓄積されているこ とが観測からわかっている。残り 31 億トンの うち 17 億トンの炭素が海洋へ、14 億トンが 土地利用の変化による増減 を含めた正味の量 として陸上生物圏で吸収さ れていると見積も られている(IPCC, 2001)。海洋では二酸化炭 素はイオンの状態で溶け込 んでいるため、大 図2.6.3 地球 上 の 炭 素 循環 と 収 支 (1990年代 の平均) IPCC(2001)をもとに作成。 海   洋 大気 7,800億トン(約360ppm) 32億トン/年 増加 17億トン/年 14億トン/年 陸     化石 燃料 63 億トン/

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気中で存在できる量よりは るかに多くの二酸 化炭素が溶け込むことがで きる。実際、現在 の海洋においては、平均し て大気中の二酸化 炭素の約 50 倍もの量を無機炭素の形で蓄えて いる。 図 2.6.4 は、人為起源による二酸化炭素排出 量から推定される濃度増加 率と、観測 から得 られた実際の全球の濃度増 加率を示したもの である。この図から人為的 に排出された二酸 化炭素が、そのまま大気中 の濃度増加には反 映されていないことがわか る。排出量から想 定される濃度増加率と実際 の濃度増加率の差 が、陸上生物圏および海洋 による吸収分とな るが、その量は年によって 大きく変動し、エ ルニーニョ現象や火山の噴 火による気温変化 などの影響がその変動と密 接に関連している ことがわかっている。 図 2.6.4 排出量から想定される二酸化炭素濃 度増加率(緑線)と実際の 観測による大気中 の二酸化炭素濃度増加率(赤棒) 排出量は CDIAC(米国二酸化炭素情報解析セ ンター)が国連エネルギー統計をもとに作成。 観測値はWDCGG の解析による。  3)炭素循環の解明手法 地球全体の炭素循環の過程は大きく三つに分 けられる。人間活動による 放出、陸上生物圏 と海洋による吸収である。 このうち、人間活 動によって放出される二酸化炭素量は、石油・ 石炭などの燃料の消費量か ら推定できる。全 球規模での陸上生物圏およ び海洋での吸収量 は直接観測から得ることは 難しいため、ほか のデータから推定する方法 がいくつか考えら れている。その一つとして 、酸素濃度の 観 測 から推定する方法を紹介する。 図 2.6.5 は、陸域と海洋の吸収量の推定方法 を示したものである。陸域 および海洋におけ る酸素および二酸化炭素の 吸収・放出過程と して 4 種類が考えられている。すなわち、化 石燃料の燃焼による酸素の 消費と二酸化炭素 の放出(図中①)、海洋による二酸化炭素の吸 収(図中②)、陸域の生物活動(呼吸および光 合成)による変動(図中③)と海水温上昇に よる酸素の放出(図中④)である。そのうち、 ①の化石燃料による変化量 は化石燃料の消費 量から、大気中の変動量は 実際の酸素と二酸 化炭素濃度の観測から(図中⑤)、④の海水か らの酸素放出量は海水温の 観測値から推定す ることができる。さらに③の傾き(陸域生物 活動による酸素と二酸化炭 素の増減の割合) と②の傾き(海洋による吸 収時には酸素濃度 に変化がない)はわか って いるの で、②と③ の直線が交差する点から、 二酸化炭素の陸上 生物圏と海洋でのそれぞれ の吸収量を推定す ることができる。 図 2.6.5 さまざまな吸収・放出過程にともなう 二酸化炭素、酸素の濃度変化 酸素濃度変化をもとに陸域/海洋の二酸化炭素 吸収量比を推定。IPCC(2001)より。

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IPCC(2001)ではこの手法を用いて、化石 燃料の燃焼によって 1990 年代に放出された二 酸化炭素のうち、約 27%が海洋、約 22%が陸 域の植生によって吸収され、約 51%が大気中 の増加分であると推定している。このように、 酸素濃度の測定は陸域の吸 収量の算出に有用 であるが、酸素濃度の0.1ppm の変動を測定す るためには、極めて高精度 の観測が必要であ る。日本でもガスクロマト グラフを用いて高 精 度 な 酸 素 濃 度 の 観 測 が 行 わ れ て い る (Tohjima, 2000)。  4)世界における濃度変動  図 2.6.6 は、WDCGG に報告された観測デ ータをもとに、 大 気中の二 酸化炭素濃度につ いて、(a)月別濃度値、(b)季節変動成分を 除去した濃度、(c)濃度増加率のそれぞれを 緯度帯別に平均し、その経 年変化を緯度時間 平面上の高さとして 3 次元的に表現したもの である。これらの図から、 季節変動の振幅は 北半球中高緯度では大きい が、南半球では小 さく不明瞭であること、濃 度の増加は北半球 中高緯度で先行して次第に 南半球に拡がって いくこと、増加率は全球的 なスケールで変動 しているが、北半球中高緯 度で変動幅が大き いことなどがわかる。  季節変動が北半球 中緯度 で大きいのは、 森 林など植物による夏季の吸収のためであるが、 季節変動を除いたときにこ の緯度帯でもっと も濃度が高いのは、人間活 動にともなう化石 燃料の消費による二酸化炭 素の放出がこの緯 度帯で大きいためと推測される。 また、緯度帯により多少の違いはあるものの、 濃度増加率には大きな変動 がみられる。こう した濃度増加率の変動を引 き起こす要因の一 つとして、エルニーニョ南方振動(ENSO)が 広く知られている。特に、1986∼1988 年、1997 ∼1998 年はエルニーニョ現象の影響で増加率 が高くなっている。エルニ ーニョ現象は熱帯 域での高温をはじめとする 全球的な気温 の 上 昇をもたらし、植物の呼吸 活動の活発化や土 壌有機物の分解作用の強化 によって、陸上生 物圏から大気への二酸化炭 素の放出が強めら れるためである(Keeling et al., 1995)。エル ニーニョ現象発生時には、 通常二酸化炭素濃 度の高い海水が海面付近に 湧きあがる湧昇域 のある東部赤道太平洋域に おいて、湧昇が抑 えられ、大気への二酸化炭 素の放出量が減少 するが、陸上生物圏におけ る放出の強化に比 べて局地的な現象であるた め、大気中の二酸 化炭素濃度の変動に与える 影響は、陸上生物 圏 に 比 べ て 小 さ い (Dettinger and Ghil, 1998)。 図2.6.6 WDCGGで収集された世界各地の二酸化 炭素濃度データをもとに解析した緯度帯別の (a)大気中の二酸化炭素濃度と(b)季節変動 を除いた濃度、および(c)濃度増加率の経年変 化 一方、1992∼1993 年は北半球を中心に増加 率が低くなっている。これは、1991 年 6 月の ピナトゥボ火山噴火の影響 によって全球的な

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低温がもたらされ、陸上生 物圏からの放出量 が減少したことによるものである(Rayner et al., 1999)。  5)日本における濃度変動  図 2.6.7 は、綾里、南鳥島、与那国島で観 測され た大気中 の二 酸化炭 素濃度月別値の変 動を示す。いずれの観 測点 でも、 冬季から春 季に濃度が高く、夏季から 秋季には植物 活 動 による光合成が盛んである ため濃度が 低 い と いう季節変動を し ながら、 年々濃度が 増 加し ていることがわかる。 図 2.6.7 綾里、南鳥島および与那国島におけ る(上)大気中の二酸化炭 素濃度と(下)濃 度増加率の経年変化  6)定期航空機による対流圏二酸化炭素の観 測 気象庁気象研究所では温室効果ガス観測の一 環として、(財)日航財団、国土交通省および 日本航空の協力を得 て、成 田とオーストラリ アを結ぶ定期航空便による 南北両半球太平洋 上空の高度 8∼13km の大気を 1993 年 4 月か ら採取し、分析を行ってい る。分析している データは、二酸化炭素、メ タン、一酸化炭素 である。 図2.6.8 に、1993 年 4 月から 2004 年 3 月ま での 11 年間に観測された二酸化炭素濃度の緯 度帯別の時間変化を示す。 地上と同様に、毎 年ほぼ規則的な季節変動を 繰り返しながら増 加しているが、南半球は北 半球より季節変動 が小さくなっている。1997 年から 1998 年に かけて濃度増加率が特に高 いのは、エルニー ニ ョ 現 象 の 影 響 で あ る (Matsueda et al., 2002)。また、南半球上空の季節変化には濃度 のピークが 2 度出現するなど、複雑な濃度変 動をしていることがわかっ た。これは、南半 球の地上付近の季節変化が 小さいのと、北半 球からの二酸化炭素の輸送 が原因であると考 えられる(Matsueda et al., 2002)。 図 2.6.8 高度 8∼13km で観測された緯度帯別 の二酸化炭素濃度(点)、長期変化傾向(青線) と年増加率の経年変化(赤線)  7)海洋の二酸化炭素 海洋は、地球表面の 70%を占め、大気との 熱や水のやりと り をつうじ て、地球の気候に 大きな影響を及ぼしている 。また、二酸化炭 素の巨大な貯蔵庫として、 大気中の二酸化炭 素濃度の変化にも深く関与している。

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大気中には炭素換算量でおよそ 7,800 億ト ンの二酸化炭素が存在して いるが、海洋中に は、二酸化炭素はイオンの 状態で溶け込んで おり、現在、大気中のおよそ 50 倍の量にあた る二酸化炭素が蓄えられて いる。さらに、大 気中の二酸化炭素濃度の観 測結果などによれ ば、人類が化石燃料の消費 によって毎年排出 している約 63 億トンの二酸化炭素のうち、海 洋はそのおよそ 4 分の 1 の 17 億トンを吸収し て い る と 推 定 さ れ て い る ( 図 2.6.3; IPCC, 2001)。実際に、長期にわたる海洋観測によっ て、北太平洋、南太平洋、 北大西洋、南大洋 などのいくつかの海域では 、表面海水中の二 酸化炭素が増加しているこ とが明らかになっ ており、海洋は二酸化炭素 の大きな吸収源と しての役割を担っている。 ここでは、温室効果ガスの なかでも温暖化 への寄与がもっとも大きい 二酸化炭素に焦点 をあて、海洋における二酸 化炭素の分布や大 気−海洋間の二酸化炭素の 出入りが長期的に どう変化してきたのかにつ いて、近年の観測 結果にもとづいて報告する。 (ア)平均的な全球分布 表面海水中の二酸化炭素については、近年、 世界の多くの海域で観測が 行われ、その全球 分布や季節変化の概容が明 らかになりつつあ る。Takahashi et al.(2002)は、1990 年代 末までに取得された表面海 水中の二酸化炭素 濃度のデータ約 94 万個を統計的に解析し、こ れにもとづいて海洋−大気 間の二酸化炭素交 換量を月ごとに評価した(図 2.6.9)。それを 年間積算した結果から、1995 年時点での全海 洋による年間の二酸化炭素吸収量は 22±4 億 トンと見積もられた。海域 ごとには、赤道域 や北太平洋と南大洋の高緯 度域は二酸化炭素 の放出域、中緯度域や北大 西洋の高緯度域は 吸収域になっている。さら に、このほかの解 析から、各海域における二 酸化炭素の放出・ 吸収の季節変化に、水温や 海水の動きと生物 活動の季節変化が深くかか わっていることも 明らかになってきた(Ishii et al., 2001; Gruber et al., 2002; Keeling et al., 2004)。しかし、 観測データの取得頻度や集 積量は依然として 不十分であり、特に南半球 では信頼性の高い 評価ができる海域は一部に限られている。 図2.6.9 全海洋における大気−海洋間の年間二酸化炭素交換量(モル/m2/年)の分布 大気−海洋間の二酸化炭素分圧差とWanninkhof(1992)による交換係数を用いて算出された 1995 年の平均交換量。正が海洋が大気へ二酸化炭素を放出し、負が海洋が大気から二酸化炭素を吸収 していることを示す。1 モルは炭素換算量で 12g に相当する。Takahashi et al.(2002)より。

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(イ)長期的な増加傾向 長期 に わたる 海 洋観 測 にも と づ いて、 い く つかの海域では表面海水中 の二酸化炭素の長 期 的 な 増 加 傾 向 が 明 ら か に な っ て い る ( 表 2.6.2)。これらの解析から、大気中の二酸化炭 素に対して当該海域が長期 的にどのような役 割を果たしてきたかを正確 に評価することが できる。なお、圧力の単位μatm であらわさ れる数値は二酸化炭素分圧と呼ばれるが、100 万分率 ppm であらわされる二酸化炭素濃度に 乾 燥 空 気 分 圧 ( 気 圧 (atm)−飽和水蒸気圧 (atm))を乗じた値で、二酸化炭素濃度とほ ぼ等しい値である。ここで は両者を区別せず 二酸化炭素濃度と呼ぶこととする。 気象 庁 が海洋 気 象観 測 船に よ り 北西太 平 洋 で実施している定期観測に よると、本州の南 に位置する東経 137 度の北緯 7 度から 34 度の 広い範囲では、1984 年から 2003 年までの 20 年間に、表面海水中の二酸 化炭素濃度は平均 + 1.6 ± 0.2 μ atm/ 年 で 増 加 し て い る (Midorikawa et al., 2005)。二酸化炭素濃度 とその増加率が大気中の二 酸化炭素濃度の年 平 均 増 加 率 ( +1.60±0.03μatm/年)と ほぼ 一致していることなどから 、表面海水中での 増加の主な原因は大気から 二酸化炭素を吸収 したためと推定される。同 様な増加傾向は、 北大西洋亜熱帯域のバミュ ーダ沖でも明確に 捉えられている(Gruber et al., 2002)ほか、 表2.6.2 海洋の二酸化炭素濃度の長期的な変化傾向 年平均増加率 (μatm/年) 海域 期間 大気中 表面海水中 出典 北太平洋 西部亜熱帯域 7∼34°N, 137°E 7∼35°N, 138∼147°E 東部亜熱帯域 23°N, 158°W 29∼51°N, 170°W 1984~2003 a 1968~1996 b 1988~1996 a 1997~2002 a 1970~1988 b 1.60±0.03 1.39±0.05 1.3±0.0 1.8±0.0 1.35±0.16 1.6±0.2 1.4±0.2 1.4 ± 0.2 3.2 ± 0.4 1.4 ± 0.4 Midorikawa et al., 2005 Inoue et al., 1999 Keeling et al., 2004 Keeling et al., 2004 Inoue et al., 1999 太平洋赤道域 137°E 120∼170°W 西部暖水域 中・東部湧昇域 1984~2003 a 1961~1996 b 1990~2000 b 1990~2000 b 1.51±0.05 1.25±0.06 1.5 1.5 2.1±0.2 1.27±0.18 2.0±0.2 1.2±0.1 Midorikawa et al., 2005 Feely et al., 1999 Ishii et al., 2004 Ishii et al., 2004 南太平洋

10∼45°S, 148∼166°E 1969~1995 b 1.3±0.0 1.6±0.3 Inoue et al., 1999

南大洋 (140∼160°E) 亜南極圏 極前線付近 南極圏 1969~2002 b 1.4±0.1 1.4±0.1 1.4±0.1 1.0±0.5 1.5±0.4 1.8±0.2

Inoue and Ishii, 2005

北大西洋 亜熱帯域32°N, 64°W 亜寒帯域  44∼58°N, 10∼42°W 1983~2001 a 1982~1998 a 1.3 1.5 1.5±0.1 2.3∼3.5 Gruber et al., 2002 Lefèvre et al., 2004 a 長期継続・定期観測; b 不定期観測

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過去の観測結果との比較か ら、太平洋中部の 赤道域から南太平洋にかけての海域(Feely et al., 1999; Inoue et al., 1999)やオーストラリ ア南方の南大洋(Inoue and Ishii, 2005)でも 観測されている。これらの 海域では大気−海 洋間の濃度差に長期的に有 意な変化はみられ ないことから、当該海域の 大気と二酸化炭素 を交換する能力は変わって いないと評価され る。 一方、北太平洋東部亜熱帯 域のハワイ沖で は、1990 年代の中頃までは大気中の二酸化炭 素濃度とほぼ同じ増加率で 表面海水中の二酸 化炭素濃度が増加(+1.4±0.2μatm/年)して いたが、1997 年以降は、表面海水中の増加率 が+3.2±0.4μatm/年に増大して大気と海洋の 濃度差が小さくなり、海洋 の二酸化炭素吸収 が 減 少 し 続 け て い る (Dore et al., 2003; Keeling et al., 2004)。太平洋の赤道域でも、 通常二酸化炭素の放出域となっている東経137 度付近では、過去 20 年間における表面海水中 の 二 酸 化 炭 素 濃 度 増 加 率 が 平 均 +2.1±0.2μ atm/年と大気中より大きく、この海域から大 気に放出される二酸化炭素 量が増える傾向に ある(Midorikawa et al., 2005)。このように 表面海水中の二酸化炭素濃 度の増加速度が大 気中の増加速度を上回って いる原因について は、海水の流れや混合の状 況などの変化にと もなって表面海水中の二酸 化炭素濃度が変化 した可能性が指摘されてい る。しかし、これ らについてはまだ不明な点 が多く、海水の性 質の変化が自然の変動によ るのか、地球温暖 化による海洋変動と関係す るのか、今後調査 を進めるとともに、その推 移を注意深く監視 していく必要がある。 (ウ)年々変動 地球温暖化の進行によって 生じる表面海水 中の二酸化炭素濃度の変化 を推定するために は、その長期的な変化傾向 に加えて年々変動 を引き起こすメカニズムを 理解することが重 要である。  太平洋の赤道域は 、海洋 から大気へ二酸 化 炭素を放出する海域である が、季節やエルニ ーニョ南方振動にともなっ て、その放出量が 時間的・空間的に大きく変 化する。特に、エ ルニーニョ現象が発生する と、中・東部赤道 域の二酸化炭素濃度が高い 海域が大幅に縮小 し、赤道域全体からの二酸 化炭素放出量は著 し く 減 少 す る (Inoue and Sugimura, 1992; Feely et al., 2002)。集積した観測データにも

図 2.6.10 赤道域(東経 135 度∼西経 95 度, 北緯 5 度∼南緯 10 度)における 大気−海洋間 の二酸化炭素交換量の時系列

Wanninkhof(1992)による交換係数を用いて算出。上下の細い青線は,±2σの範囲を示す (σは標準偏差)。1 PgC は 10 億トンに相当する。Ishii et al.(2004)より。

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とづいて推定された太平洋 赤道域から大気に 放出される二酸化炭素量は、1990 年から 2000 年の 11 年間に 1 億トン/年から 8 億トン/年の 範 囲 で 大 き く 年 々 変 化 し て い る ( 図 2.6.10; Ishii et al., 2004)。赤道域におけるこのよう に大きな変化は、大気中の二酸 化 炭素 濃度の 増加速度の年々変化に対し て、大きな影響を 及ぼしていると考えられる。 北大西洋亜熱帯域のバミュ ーダ沖では、冬 季の海面の冷却に よって海 洋表層の混合層が 深くなる年ほど、水 温の低 下により表面海水 中の二酸化炭素濃度が減少 し、また大気から 吸収された二酸化炭素が深 い混合層内に希釈 されるため、二 酸 化炭素の 吸収量が大きくな る特徴が顕著であり、北大 西洋振動が表面海 水中の二酸化炭素濃度の年 々変動に関連する と指摘されている(Gruber et al., 2002)。北 太平洋西部亜熱帯域でも表 面海水中の二酸化 炭素濃度の年々変動が大き く、この海域の年 間の二酸化炭素吸収量はエ ルニーニョ現象発 生時に減少している(図 2.6.11; 緑川と石井, 2004; 気象庁, 2005)。これに対し、北太平洋 東部亜熱帯域では、混合層 深度が浅くかつそ の年々変動が小さいために 表面海水中の二酸 化炭素濃度の変動も小さく 、太平洋十年規模 振動やエルニーニョ南方振 動との関連が指摘 されているものの明瞭でない(Keeling et al., 2004; Brix et al., 2004)。 北太平洋北部の亜寒帯域や南大 洋 などの高 緯度域では、表層の混合層 深度の変化などの 物理的条件に加えて、生物 活動の活発化する 時期や活動の規模が大きく 変化するため、表 面海水中の二酸化炭素濃度 が亜熱帯域に比べ て大きな年々変動を示す(Midorikawa et al., 2003; Ishii et al., 2002)。このことは、地球温 暖化に起因した高 緯度域に おける海洋の変化 が、大気−海洋間の二酸化 炭素交換量 や 海 洋 内部における二 酸 化炭素の蓄 積量を長 期的に 大きく変化させる可能性を示唆している。

-0.02

-0.01

0.00

0.01

(P

g

C)

(a)

二酸

化炭

素交

換量

-0.08

-0.06

-0.04

-0.02

0.00

(b)

'96

'97

'98

'99

'00

'01

'02

'03

図 2.6.11 北太平洋西部亜熱帯域(北緯 11∼30 度, 東経 130∼165 度)における大気−海洋間の 二酸化炭素交換量の時系列 (a)月ごとの値、(b)年間積算値。1 PgC は 10 億トンに相当する。水温との相関を利用して村 田ほか(1996)の方法により推定した表面海水中二酸化炭素濃度と Wanninkhof(1992)による 交換係数を用いて算出。交換量の負値は大気から海洋への吸収量を示す。この海域では冬季の吸 収量が夏季の放出量を上回るため、年間で積算すると海洋は二酸化炭素の吸収域となっている。 この海域の面積は全海洋の2.6%に相当し、二酸化炭素吸収量は全海洋での見積り値(IPCC, 2001) の1.5∼4.4%を占める。緑川と石井(2004)より。

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(エ)海洋内部の二酸化炭素の増加 18 世紀に起きた産業革命以後、石炭や石油 などの消費によって排出さ れ続けている二酸 化炭素は、その大気中の濃 度を増加させると ともに、海洋にも多く吸収 され、海洋の内部 に蓄積されている。Sabine et al.(2004)は、 1990 年代に世界の海洋で取得された炭素や酸 素、栄養塩、フロン類など の高精度な海洋観 測データにもとづいて、産 業革命以降に海洋 に吸収・蓄積された二酸化 炭素(人為起源の 二酸化炭素)の量を評価し、1994 年までに海 洋全体で1,180 億トンに上ると見積もった(図 2.6.12)。この吸収量は産業革命以降に化石燃 料 の 消 費 に よ っ て 排 出 さ れ た 二 酸 化 炭 素 の 48%にあたり、もしこの二酸化炭素が海洋に 吸収されていなければ、大 気中の濃度は現在 より約55 ppm 高くなる。産業革命以降の約 200 年間、海洋は吸収源であっ たのに対して、陸 全体は陸上生物圏による吸 収量を森林破壊等 の土地利用の変化による放 出量が上回り正味 の放出源であったと推定されている。 表面海水中の二酸化炭素濃度の変化を正確 に把握し、二酸化炭素排出 量や気候変化との 関連について理解を深める ことは、大気中の 二酸化炭素濃度の変 化の予測 、 ひいて は地球 温暖化の予測の精度向上に 不可欠である。こ のためには、今後とも、世 界の各海域で海洋 の観測を定期的に実施し、 海洋における二酸 化炭素の分布がどう変化し ているのか、注意 深く監視を続けるとともに 、モデル化を含む 解析手法を発展させていかなければならない。 (2)メタン  1)メタンの特性 メタン(CH4)の大気中濃度は二酸化炭素 の約 200 分の 1 であるが、単位重量あたりの 温室効果は 23 倍と大きく(IPCC, 2001)、二 酸化炭素についで地球温暖 化に及ぼす影響が 大きい温室効果ガスである 。メタンは、湿地 や水田での細菌による有機 物分解、あるいは 家畜の腸内発酵および天然 ガスの生産 や バ イ オマス燃焼時の不完全燃焼 による発生など、 その放出源は多岐にわたるが、その 60∼80% は人間活動にともなうもの と見積もられてい る。アジアの都市域からも 、人口増やエネル ギー使用の増加によって、 ゴミの埋め立て、 汚水処理、燃料消費によっ て高濃度のメタン が放出されていると考えられている(Bartlett et al., 2004)。メタンは主に大気中の OH ラジ カル(非常に反応性が高い 分子で、オゾンの 光解離により生ずる励起酸 素分子と水蒸気が 反応して生成される)と反 応し消失する。大 気中におけるメタンの寿命は、約 12 年である (IPCC, 2001)。 図 2.6.12 人為起源の二酸化炭素の蓄積量の分布(単位:モル/m2 1 モルは炭素換算量で 12 g に相当する。1800∼1994 年に全海洋で吸収・蓄積された人為起源の二 酸化炭素の総量は1,180 億トンと見積もられる。Sabine et al.(2004)より。

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図 2.6.13 は、南極およびグリーンランドの いくつかの観測点における 氷床コアおよび万 年雪から得られた過去 1000 年の大気中メタン 濃度を示したものである。 大気中のメタン濃 度 は 19 世 紀 初 頭 か ら 増 加 を 続 け て お り 、 WDCGG の解析では 2003 年の全球平均濃度 は 1,787ppb である。この値は 18 世紀以前の 平均的な値である700ppb に比べて 2.5 倍に達 している。 図 2.6.13 過去 1000 年の大気中メタン濃度の 変化 シ ン ボ ル の 名 前 は サ ン プ ル の 採 取 地 点 名 。 IPCC(2001)より。  2)世界における濃度変動 図 2.6.14 は、緯度帯別に平均した大気中の メタン濃度の月別値、季節 変動成分を除いた 濃度および濃度増加率の経年変化を 3 次元的 に表現したものである。季 節変動の振幅は二 酸化炭素と同様に、南半球 より北半球で大 き いこと、濃度の増加は北半 球高緯度で先行し て次第に南半球に拡がって いるが、メタンを 破壊する OH ラジカルが豊富な赤道域で大き く濃度が減少していること 、増加率は全球的 なスケールで変動している ことなどの特徴が みられる。 近 年 の 濃 度 増 加 率 で は 、1991 年の 上昇 と 1992 年の低下、1996 年の低下、1998 年の上 昇、1999 年の北半球高緯度および 2000 年か ら2001 年にかけての南半球低緯度での低下が 特徴的である。1991 年の上昇は、6 月のピナ トゥボ火山噴火によって、 成層圏で急増した 硫酸エーロゾルによる散乱 で対流圏に は い る 紫外域日射量が減少し、メ タンの消失を支配 図 2.6.14 WDCGG で収集された世界各地のメタ ン 濃 度 デ ー タ を も と に 解 析 し た 緯 度 帯 別 の (a)大気中のメタン濃度と(b)季節 変動を 除いた濃度および(c)濃度増加率の経年変化 する OH ラジカルの濃度が減少したためと考 えられている(Dlugokencky et al., 1996)。 1992 年の下降について Bekki et al.(1994) は、成層圏オゾンの減少で 紫外域日射量が増 加し、OH ラジカルの濃度が増加したことが原 因であるとしたが、Lelieveld et al.(1998) は、火山噴火にともなう低 温による湿地や水 田地帯からの発生量の減少 や、モンスーン活 動低下にともなう乾燥化に よるメタンの酸化 分解の促進が主たる原因と している。一方、 Lowe et al.(1997)はメタンの炭素同位体観 測から、低緯度帯でのバイ オマス燃焼の減少 が原因としている。 1998 年の濃度増加率の上昇は、エルニーニ ョ現象にともなう全球的な 高温によるもので ある。Dlugokencky et al.(2001)は、高温と

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降水量の増加により北半球 高緯度および熱帯 域の湿地からの放 出量が増 加したこと、また 小さな寄与ではあるがシベ リアを主とした北 方でのバイオマス燃焼の増 加の影響を指摘し た。1999 年以降、全球のメタン濃度増加率は 非常に低く、増加はほとん ど止まっているよ うにみえる。現時点でこの 原因は特定できて いない。しかし、Dlugokencky et al.(2003) は、北半球高緯度での天然 ガス掘削にともな うメタン放出が減少したた め、放出量と消滅 量がほぼつり合っている結 果であると推定し ている。また、米国海洋大 気庁気候監視診断 研究所(NOAA/CMDL)も、旧ソビエト連邦 か ら の 放 出 が 減 少 し た た め と 推 定 し て い る (CMDL, 2004)。  3)日本における濃度変化  図 2.6.15 は、国内 3 地点におけるメタン濃 度の経年変化および濃度増 加率を示す。季節 変動成分を除いた濃度は、 綾里がもっとも高 く、南鳥島がもっとも低い。綾里が高いのは2) で示した北半球高緯度に位 置していることを 反映している。南鳥島と与 那国島はほぼ同じ 緯度に位置しているが、与 那国島はアジア大 陸のメタン放出源に近いた め南鳥島より濃度 が高いと考えられる。季節 的には、いずれ の 観測点でも冬季に濃度が高 く、夏季に濃度が 低いという変動が みられる 。与那国島 では、 夏季は南鳥島の濃度に近い が、秋季から翌年 の春季にかけては南鳥島よ り高い。これは、 夏季以外は、放出源が多く 分布する大陸から の移流の影響を強く受けるためと考えられる。 各観測点とも、増加率には大きな年々変動が ある。綾里と与那国島では 1998 年に、また、 2002∼2003 年にかけては 3 地点で増加率が大 きくなった。この上昇は全 球的なもので、エ ルニーニョ現象にともなう 高温と関係してい るとみられる。全体として は、二酸化炭素ほ ど顕著ではないが、微増の傾向を示している。 図 2.6.15 綾里、南鳥島および与那国島におけ る(上)大気中のメタン濃 度と(下)濃度増 加率の経年変化  4)航空機による対流圏メタン濃度の観測 図2.6.16 は、定期航空機による高度 8∼13km の大気中メタン濃度の経年 変化を示したもの である。北半球上空ではば らつきが大きく、 地上付近とは異なる季節変 化をしている。こ れは、上空では成層圏下部 からメタン濃度の 低い空気が流入する影響で 、地上の季節変化 よ り 複 雑 な 変 化 が 生 ず る た め で あ る (Matsueda and Inoue, 1996)。南半球では北 半球に比べて、濃度の変動 は小さくなってい るが、季節変化は北半球同 様複雑である。ま た、長期変化傾向(青線)をみると、1999∼2000 年を境に、濃度増加率が下 がっているように みえる。今後の傾向を把握 するため、引き続 き監視が必要である。 (3)一酸化二窒素 一酸化二窒素(N2O)は単位重量あたりの温 室効果は二酸化炭素の 296 倍で非常に大きな 温室効果をもつ気体であり 、消失過程のほと んどが成層圏での光解離で あるため、大気中 の寿命が114 年と長い(IPCC, 2001)。また、 地上で放出された一酸化二 窒素が成層圏に到 達すると、オゾンの光解離 により生成された

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図 2.6.16 高度 8∼13km で観測された緯度帯別 のメタン濃度(点)、長期変化傾向(青線)と 年増加率(赤線)の経年変化 励起酸素分子と反応して一 酸化窒素を生成、 これがさらにオゾンと反応 するため、オゾン 層破壊物質の一つにも挙げられている。 一酸化二窒素の放出源は、土壌や海洋からの 自然起源によるものと、窒 素肥料の使用によ る農地や牧場などからの放 出、化石燃料やバ イオマスの燃焼など、人為起源のものがある。 それぞれの放出量の定量化 は難しいが、現在 のところ自然起源が 55%、人為起源が 45%と 見積もられている(IPCC, 2001)。 図 2.6.17 は南極およびグリーンランドのい くつかの観測点における氷 床コアおよび万年 雪から得られた過去 1000 年の大気中一酸化二 窒素濃度を示したものであ る。産業革命以前 の全球平均濃度は約 270ppb であったが、その 後増加を続けており、1998 年には 314ppb ま で上昇した(IPCC, 2001)。 図 2.6.18 に WDCGG に報告されたデータ をもとに作成した 1988 年からの全球と半球 別の濃度の経年変化を示す。濃度の増加傾向 が続いており、WDCGG に報告されたデータ か ら 算 出 し た 全 球 平 均 濃 度 は 、2003 年には 318ppb となっている。 図 2.6.17 過去 1000 年の大気中一酸化二窒素 濃度の変化 IPCC(2001)より。 図 2.6.18 一酸化二窒素の大気中月平均濃度の 経年変化 WMO(2004)より。 図 2.6.19 綾里における大気中の一酸化二窒 素月平均濃度の経年変化 図 2.6.19 は、日本の綾里における一酸化二 窒素濃度の経年変化を示したものである。2003 年の平均濃度は 319ppb で、全球平均濃度と同 様増加傾向にあり、1 年間に約 1ppb ずつ上昇 を続けている。

図 2.6.10 赤道域(東経 135 度〜西経 95 度,  北緯 5 度〜南緯 10 度)における 大気−海洋間 の二酸化炭素交換量の時系列
図 2.6.13 は、南極およびグリーンランドの いくつかの観測点における 氷床コアおよび万 年雪から得られた過去 1000 年の大気中メタン 濃度を示したものである。 大気中のメタン濃 度 は 19 世 紀 初 頭 か ら 増 加 を 続 け て お り 、 WDCGG の解析では 2003 年の全球平均濃度 は 1,787ppb である。この値は 18 世紀以前の 平均的な値である 700ppb に比べて 2.5 倍に達 している。 図 2.6.13  過去 1000 年の大気中メタン濃度の 変化 シ
図 2.6.16  高度 8〜13km で観測された緯度帯別 のメタン濃度(点)、長期変化傾向(青線)と 年増加率(赤線)の経年変化 励起酸素分子と反応して一 酸化窒素を生成、 これがさらにオゾンと反応 するため、オゾン 層破壊物質の一つにも挙げられている。 一酸化二窒素の放出源は、土壌や海洋からの 自然起源によるものと、窒 素肥料の使用によ る農地や牧場などからの放 出、化石燃料やバ イオマスの燃焼など、人為起源のものがある。 それぞれの放出量の定量化 は難しいが、現在 のところ自然起源が 55%、人為起

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