第1節 学校教育と職業訓練
スイスの教育システムでは、カントン（州）政府がそれぞれに教 育の質や形式（基礎教育、大学、応用科学系大学）を統轄していま す。ただし、連邦工科大学だけは連邦が運営しています。様々な調整 機関が設置され、各カントンの間で教育指導計画に大きな差が生じ ないように調整を行います。 スイスのように天然資源に乏しい国にとって、十分な教育を受け た人材、着実に発展を続ける先端技術は大変重要な資産です。この 理念を基に、スイスの教育・研究政策は構築されています。公立学校、 総合大学、大学院、インターナショナルスクール、私立学校、寄宿制学 校は、その教育レベルの高さが世界中で高く評価されています。レベ ルの高さはもちろん、スイスの連邦体制は、実業界、研究機関が教育 システムと密接な関係にあるよう構築されているのです。スイスの教 育の特長として挙げられるのは二重教育制度です。学生は高校・大学 という従来の教育か、商業、工業、サービス業の職業訓練学校に進 み、実務に即した教育のいずれかを選択できます。第12章 教育と研究
スイス教育サーバー www.educa.ch 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 スイス州教育委員会長合同会議（EDK） www.edk.ch 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 教育統計 www.bildungssystem.bfs.admin.ch 言語： 独語、 仏語図57： スイスの教育システム 職業学士資格 + 連邦上級資格 連邦基礎資格 第2職業訓練 高等職業教育訓練 試験準備 高等職業訓練 カレッジプログラム 応用科学系大学 連邦工科大学を 含む大学 第 3教 育 継 続 教 育 カレッジ 教育 大学進学学校卒業 資格、または大学進 学資格（4年） 連邦 職業学士資格 高等学校卒業資格 大学進学資格（3年） 修士号（5年） 学士号（3年） 連邦学位 連邦学位連邦資格 博士号 連邦上級資格 基礎職業訓練 私立中等学校 補習の自主的受講（10年生） 高等学校 中 等 教 育 後 期 中 等 教 育 前 期 小 学 校 オプション2* オプション2* 基礎職業訓練（実習） 職業学校 + 企業実習 + 工業コース ¦ 全日制カレッジ 基礎職業訓練の追加教育（職業高等学校への 進学資格） オプション 1：実習期間中（3∼4年） オプション 2*：実習期間終了から1年後 基礎クラス、 進学クラスのある中等学校 継続教育 特別支 援教育 小学校 幼稚園 高等学校への 受験準備 年数 学位 入学許可その1：UAS（実務教育）高等学校進学資格 入学許可その2： 大学進学のための職業教育受講者 受験資格（その他資格） ISCED この表は国際標準教育分類（ISCED：www.uis.unesco.org） とリンクしています。 ISCEDでは、教育水準を国際標準コード（ISCED 0からISCED 6まで）で分類しています。この分類コードから、世界各国の 教育水準を比較することが可能です。 義務教育 この表は、スイスの現在にお ける教育システムを図で表 したものです。州によっては 義務教育構造の調和を図る 試みが行われています。 www.edk.ch > HarmoS
第1項 義務教育と継続教育 就学前教育（幼稚園）は、5～6歳で始まります。7 歳で小学校が始 まり、4～6年間就学した後は中等教育前期に進みますが、カントン によって独自のカリキュラムを採用しています。生徒は各人のレベ ルに応じた中等学校に通います。中等教育前期（3年間）が修了する と、9年間の義務教育が終わります。その後の中等教育後期では、職 業訓練学校に進むか、普通科高等学校に進学し、大学進学の準備や 特殊資格を得るために勉強します。 学生の95%は義務教育を公立学校で学び、私立学校に通う生徒 は全体の5％に過ぎません。スイス国内の公立学校は高く評価され ています。2009年度OECD生徒の学習到達度調査（PISA）では、スイ スの生徒の学習到達度はOECD加盟国の平均を上回り、公立学校が 私立学校を上回るという結果を出しています。 公立学校は教育の場であるのはもちろん、社会的、言語的、文化 的背景の異なる子どもたちが全員同じ学校に通うという、国民の統 合という重要な機能も実現しています。４つの公用語があるスイス では、複数言語を理解する能力が極めて重要です。小学校では母国 語のほか、第二外国語と英語を学びます。 図58： 教育システムの質（2011年） 1＝社会のニーズを満たしていない 10＝社会のニーズを満たしている 出典：2011年度 オンライン IMD 世界競争力 1 フィンランド 8.39 2 スイス 8.18 3 シンガポール 8.05 4 カナダ 7.64 5 アイスランド 7.60 7 ベルギー 7.55 8 デンマーク 7.44 9 アイルランド 7.22 10 ドイツ 6.97 14 オランダ 6.68 15 ニュージーランド 6.66 16 香港 6.56 18 インド 6.24 24 米国 5.56 25 英国 5.45 26 フランス 5.42 28 日本 5.26 30 ルクセンブルク 5.13 36 イタリア 4.69 47 中国 4.10 51 ロシア 3.43 58 ブラジル 2.22 1 ルクセンブルク 5,788 2 ノルウェー 4,712 3 デンマーク 4,480 4 スウェーデン 3,592 5 スイス 3,554 7 米国 3,050 8 オランダ 2,880 9 ベルギー 2,821 10 アイルランド 2,734 11 英国 2,730 12 フランス 2,684 19 イタリア 1,787 20 ドイツ 1,778 21 日本 1,678 26 シンガポール 1,197 27 香港 1,073 41 ロシア 413 42 ブラジル 412 54 中国 114 56 インド 36 図59： 1人当たりの教育への公共支出（単位：米ドル、2009年） 出典：2011年度 オンライン IMD 世界競争力
第2項 職業訓練 基礎的な職業訓練は、義務教育修了後に開始され、実践的な 「現場」での研修を重視しています。同世代の若者のうち4分の3以 上が学校で職業訓練を受けながら、並行して実習を行います。この 実習期間は3～4年で、会社で職業実習を行い、職業別に設けられた 職業学校に通って学科を学びます。学生は職業学校修了証を授与す る機会も与えられ、応用科学系大学に入学して学士号を取得し、場 合によっては修士課程に進学することができます。応用科学系大学 は高等教育にあたります。学生の80％が義務教育修了後も学業を 継続するスイスは、高等教育の進学率の高さにかけてはOECD加盟 国全体でもトップクラスに位置しています。 こうした二重教育制度により、企業は、該当する産業で実践的な 職業訓練を受けた、適任な人材が確実に採用できるのです。若年層 の失業率は、ドイツ、スウェーデン、米国のおよそ半分です。職業訓練 制度の中では実習を重視していますが、科学分野の教育レベルが 下がることはありません。 専門教育と職業研修は、スイスで大きな役割を担っています。連 邦政府当局と職業団体の承認の下、高レベルの専門家養成研修や 職業研修が実施されています。職業研修を優秀な成績で修了する と、スイス連邦から職業資格証明や卒業証書が授与されます。スイ スには連邦政府が承認する高等職業訓練カレッジが100校以上あ り、その過半数が技術系カレッジです。高等職業訓練カレッジでは技 能を教え、そのほとんどが、他の国では総合大学に通わないと学ぶ ことのできないような高度な内容になっています。スイス-EU諸間協 定に基づき、職業資格証明はEU国内でも相互に認定されています。
第2節 継続教育
スイスにおいて、継続教育は重要な役割を果たしています。大 学や応用科学系大学といった公的教育機関には修士課程の他、様 々な専門的分野に関する講座が開講されており、卒業生に限らずだ れもが受講できます。学生以外の受講者が大学の通常講座に受講 申請することも可能です。成人向け教育講座は国から補助金が支給 され、制限なくだれでも受講することができます。私立学校でも、語 学からヨガ、経営学にいたるまで、様々な講座が開講されています。 連邦専門教育技術局 OPET www.bbt.admin.ch 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 連邦経済省（FDEA）の教育、研究、イノベーションに関する情報 www.evd.admin.ch > トピックス（Topics） > 教育、研究、イノベー ション（Education, Research and Innovation） 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 スイスの教育システム www.swissworld.org > 教育（Education） 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語、 西語、 露語、 中国語、 日本語 職業、学業分野、キャリアの選択 www.berufsberatung.ch 言語： 独語、 仏語、 伊語 学習到達度調査（PISA study） www.pisa.oecd.org 言語： 独語、 英語、 仏語、西語2010/2011年秋半期は、上述の12の大学におよそ13万1,000名 の学生が入学。そのうち50％が女性でした。約27％が海外からの留 学生で、留学生比率の高さは世界でも最高レベルです。外国人教授 の比率も48%（2009年）と比較的高く、2002年以降上昇を続けてお り、スイスの大学が国際的であることが明確に伺えます。 スイスの大学では広範囲におよぶ科目が開講されています。医 学部を除き、入学に特別な条件は設けられていません。学士/修士 課程に入学を希望する留学生には、必修科目として語学要件を満た すことが求められ、入学試験を課す大学もあります。留学生の学費 も大変手頃な金額に設定されています。学費のほか、生活費として 年間1万8,000～2万8,000スイスフランが必要ですが、この額は居住 する都市や個人の生活状況に応じて異なります。欧州高等教育域の 設立を目的とするボローニャ協定の結果、スイスの全大学がコース を学士または修士制度に変更してきました。この編成の範囲内にお いて、一部または全部が英語で教授される履修コースがかなり増加 しています（特に修士課程）。スイスはエラスムス（ERASMUS）など の交換留学生プログラムに参加しており、国外の学生はスイスの大 学へ1学期の間、短期留学が可能です。 様々な学科で豊富なカリキュラムを展開し、専門に特化した研 究活動を行うスイスの大学は、世界中で高く評価されています。チュ ーリヒ（ETHZ）とローザンヌ（EPFL）にある2つの連邦工科大学では、 国際的な研究機関と提携し、最先端の研究への取り組みが行われて います。両校では、世界の著名な科学者の招聘（しょうへい）に力を 入れています。スイスの大学は世界のトップ100大学に常に名を連 ね、欧州内では、さらに高いランクに位置している他、一部の教育機 関は世界のエリートクラスに入っています。スイスのカレッジや大学 は、特にEU研究・技術開発枠組プログラムといった国際的な研究プ ログラムにも参加しており、大学院過程も開講しています（例：国外 の学術機関との提携）。
第3節 大学とカレッジ
第1項 大学と工科大学 図60： スイス高等教育の状況 出典：連邦教育研究局（SER） スイスには10の州立大学があり、講義は主に独語（バーゼル、ベ ルン、チューリヒ、ルツェルン、ザンクトガレン）、仏語（ジュネーブ、ロ ーザンヌ、ヌーシャテル）、伊語（ルガノ）、独語・仏語の2ヶ国語（フリ ブール）で行われています。連邦工科大学はローザンヌ（仏語）とチ ューリヒ（独語）の2カ所にあります。 学校、 講座の概要 www.weiterbildung.ch www.ausbildung-weiterbildung.ch www.seminare.ch 言語： 独語 スイス成人教育センター www.up-vhs.ch 言語： 独語、 仏語 ベルン ルツェルン チューリヒ バーゼル フリブール ヌーシャテル ローザンヌ ジュネーブ ザンクトガレン ルガノ 大学 スイス連邦工科大学 応用科学系大学が 位置する地域 応用科学系大学が位置する地域： 1) 北西スイス応用科学系大学 5) テッシン応用科学系大学 2) チューリヒ応用科学系大学 6) ベルン応用科学系大学 3) 東スイス応用科学系大学 7) 西スイス応用科学系大学 4) 中央スイス応用科学系大学出典：CRUS（スイス高等教育機関学長協議会） 連邦工科 大学ロー ザンヌ校 連邦工科 大学チュ ーリヒ校 バーゼル 大学 ベルン大学 フリブール大学 ジュネーブ大学 ローザンヌ大学 ルツェルン大学 ヌーシャテル大学 ザンクトガレン大学 チューリヒ大学 ルガノ大学 (ルガノ、メン ドリーズィオ) スイスの 学生 1,266 1,288 1,400 1,310 1,310 1,000 1,160 1,570 1,030 2,040 1,378 4,000 海外からの 留学生が支払う 追加費用 – – – – 300 – – – 550 300 200 4,000 留学生 合計 1,266 1,288 1,400 1,310 1,524 1,000 1,160 1,570 1,580 2,340 1,578 8,000 第2項 応用科学系大学 応用科学系大学は、職業系大学への入学資格を取得し、すでに 実社会で実習経験を積んできた人々を対象に、学士/修士レベルの 実務教育を行っています。一般の講義のほか、応用科学系大学では 民間企業、特に中小企業との連携による研究開発活動を実施し、ま た、地元企業を対象とした高度な研修講座を開講しています。 図61： 年間の学費（単位：スイスフラン、2011/2012) 大学の概要 www.ch.ch > 個人向け（Individuals） > 教育と研究（Education and Research） > 大学（University） 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 連邦教育研究局 www.sbf.admin.ch 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 留学生向け情報 www.swissuniversity.ch 言語： 英語 大学ランキング www.universityrankings.ch 言語：独語、英語、仏語 スイス大学継続教育協会 www.swissuni.ch 言語：独語、英語、仏語、伊語 スイスで学ぶ www.crus.ch 言語：独語、英語、仏語、伊語 応用科学大学の概要
www.bbt.admin.ch > 応用科学大学（Universities of Applied Sciences）
その結果、応用科学系大学は地域の科学技術を移転するという 役割の一旦を担い、産業界との提携を維持しています。応用科学系 大学の豊富な講師陣や充実した研究開発およびサービスは、顧客 や市場、実務と密接に連携しています。連邦工科大学やその他の大 学は研究所としても機能し、国家レベルで技術革新委員会（CTI）お よび各連邦工科大学から支援を受けています。 第3項 エグゼクティブMBAプログラム（EMBA） エグゼクティブMBAプログラムは継続教育の中でも特別な存在 で、実務経験豊富なマネジャークラスの受講生を対象としています。 一般に、EMBAコースは業務と講義が連携したプログラムで、モジュー ル単位で構成されています。学位プログラムの大半は、スイスで受講 した単位に海外で取得済み単位が加算できます。ローザンヌにある IMDのEMBAプログラムは常に世界のトップクラスにランクされ、スイ スでも有数の名門校です。ザンクトガレン大学のEMBAプログラムも、 世界のトップ50にランクされています。 図62： エグゼクティブMBA：ランキング上位の学校一覧
第4節 私立インターナショナル
スクールと寄宿制学校
スイスの教育システムには、私立学校も含まれます。スイスの3 つの公用語、独語、仏語、伊語のほか、英語で授業を行う（他の言語 で授業を行う学校もあり）私立学校が260校以上あり、10万人以上 の学生が通学しています。インターナショナルスクールは、スイスに 短期間しか滞在しないことが多い外国企業の被雇用者にとっては とりわけ重要です。スクールでは、子供達が母国語で適した教育や 国際教育を受け、母国でも有効なアビトゥーア（Abitur）、バカロレ ア（Baccalauréat）、または米国大学入学資格証明（US University Admission Certificate）のような、卒業証明書類の授与に向けた準 備をします。全地域、そして全大都市にふさわしい教育機関があり、 授業料は他国と比較しても平均的です。 学校名 所在地 ホームページ IMD ローザンヌ（スイス）、欧州 （アイルランド、ルーマニ ア）、上海（中国）、シリコン ヴァレー（米国） www.imd.ch/programs/ emba 英語 オムニウム・アライアンス （ザンクトガレン大学、 トロント大学、その他提 携大学） ブラジル、中国、インド、カ ナダ、スイス www.omniumgemba. com, www.gemba. unisg.ch 英語 ザンクトガレン大学 ザンクトガレン（スイス）、 ハンガリー、中国、ブラジル www.emba.unisg.ch 独語 チューリヒ大学 チューリヒ（スイス）、イェー ル（米国）、上海（中国）、ハ イデラバード（インド） www.emba.uzh.ch 独語 ローチェスター=ベルン/ ベルン大学、ロチェスタ ー大学 ベルン（スイス）、ローチェ スター（米国）、上海（中国） www.executive-mba.ch 英語 GSBAチューリヒ、メリーラ ンド大学 北米、欧州、アジア www.gsba.ch/mba 独語、英語 ZfUインターナショナル・ ビジネススクール チューリヒ、ボストン（米国） www.zfu.ch/weiterbil-dung/masters 独語 スイスのMBA/EMBAプログラム www.find-mba.com/switzerland 言語： 英語 スイスの教育についてのポータル www.ausbildung-weiterbildung.ch 言語： 独語 スイスの大学で行われているプログラム www.swissuniversity.ch 言語： 英語 エコノミスト誌ランキング www.economist.com/whichmba 言語： 英語 フィナンシャル・タイムズ誌ランキング www.rankings.ft.com > MBA/EMBA 言語： 英語イングリッシュ・スクール フレンチ・スクール ジャーマン・スクール 都市 年間授業料 − 初等教育 年間授業料 − 中等教育 年間授業料 − 初等教育 年間授業料 − 中等教育 年間授業料 − 初等教育 年間授業料 − 中等教育 リュブリャナ 8,483* 9,068* 6,455 9,898 n.a. n.a. ダブリン 17,256* 20,677* 4,901 7,298 6,340 5,960 バルセロナ 13,568 14,765 5,852 6,291 6,276 6,419 シンガポール 21,981 27,009 14,225 15,961 12,153 14,026 ブダペスト 20,923 21,939 6,921 8,189 4,662 4,662 ミラノ 17,120 19,386 5,510 6,920 7,531 7,531 ジュネーブ 26,292 35,384* 17,897 21,707 15,176 15,176 ウィーン 17,190* 21,826* 6,039 6,039 n.a. n.a. フランクフルト 20,548* 22,312* 4,891 5,967 n.a. n.a. アムステルダム 19,847 21,103 7,007 11,028 9,467 9,467 パリ 27,162 31,665 6,562 6,606 10,027 10,027 ニューヨーク 34,500 36,750 21,470 24,450 17,000 17,000 ロンドン 20,936 22,134 7,701 7,701 8,873 8,873 ブリュッセル 32,346 39,375 6,380 7,805 12,580 14,258 スイスの寄宿制学校は教育水準の高さはもちろん、規律の厳しさ、 国際的な教育機関としても定評があります。生徒の選考にあたっては非 常に厳しい条件があり、世界中のエリートが集まる学校として有名です。
第5節 研究・開発
第1項 スイスの研究産業 技術革新が急速に進めば進むほど、国家経済における研究開発 活動の意義が高まります。スイスは研究活動に積極的な国です。スイ スでは、2008年GDPの3％以上を研究開発に投じました。1996年以 降、実際の革新率は年間4.1％で、同時期の年間経済成長率（2.1％） よりも高い数字となっています。研究開発の度合いを他国と比較す ると、スイスはすべての関連指標でトップにランクされています。 2008年度にスイスが投じた研究開発費163億スイスフランの73％ （約120億スイスフラン）が、民間部門からの資金提供です。最も高 額の資金提供を行ったのは製薬業界（約46億スイスフラン）と機械 産業（14億スイスフラン）でした。2008年における大学と研究機関を 合わせた研究開発支出額は90億スイスフランに上り、この額は、ス イス全体の研究開発費の4分の1近くに相当します。研究活動に携わ る人は2008年時点で6万2,000人、そのうちの4万人が民間企業に勤 務する人でした。 図63： 私立インターナショナルスクールの学費一覧 * イングリッシュ・スクールに関する情報なし。データはインターナショナルスクールによる。 出典：マーサー調査、生活費に関するレポート、2011年9月、www.mercer.com スイスの私立学校への入学 www.swissprivateschoolregister.com 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 スイス私立学校連盟 (VSP) www.swiss-schools.com 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語、 西語 スイスのインターナショナルスクール一覧 www.sgischools.com政府の資金は主に基礎研究に投じられています。民間部門と科 学系研究機関は密接に連携しており、研究所、大学、カレッジはそれ ぞれ、民間部門と提携した共同オフィスを構えています。連邦技術 革新委員会（CTI）は、研究開発プロジェクトに多大な財政援助を行 っており、企業は非営利研究機関として提携しています。 図65： 人口100万人当たりのノーベル賞受賞者数（2010年） 1 スイス 1.53 2 ノルウェー 1.23 3 スウェーデン 0.97 4 英国 0.92 5 米国 0.84 6 デンマーク 0.72 8 オランダ 0.48 9 ドイツ 0.37 13 ベルギー 0.28 14 フランス 0.27 15 アイルランド 0.22 17 香港 0.14 19 日本 0.09 21 イタリア 0.08 22 ロシア 0.07 25 中国 0.00 26 インド 0.00 27 ブラジル 0.00 27 ルクセンブルク 0.00 27 シンガポール 0.00 出典：2011年度 オンライン IMD 世界競争力 図64： 国民1人当たりの研究開発費支出額（単位：米ドル、2009年） 出典：2011年度 オンライン IMD 世界競争力 1 スイス 1,953 2 ルクセンブルク 1,801 3 フィンランド 1,766 4 デンマーク 1,694 5 スウェーデン 1,586 8 日本 1,316 9 米国 1,307 11 ドイツ 1,149 14 フランス 936 15 オランダ 886 16 アイルランド 878 17 ベルギー 860 18 シンガポール 833 20 英国 658 23 イタリア 448 30 香港 236 36 ロシア 108 37 ブラジル 102 42 中国 64 54 インド 9 研究機関名 所在地 ホームページ CERN 欧州原子核研究機構 ジュネーブ www.cern.ch 英語、仏語 EAWAG スイス連邦環境科学技術研究所 デューベンドルフ （チューリヒ州）、カスターニエンバウム （ルツェルン州） www.eawag.ch 独語、英語、仏語 EMPA 材料科学技術研究所 トゥーン（ベルン州）、デューベンドルフ （チューリヒ州）、ザンクトガレン www.empa.ch 独語、英語、仏語 PSI パウル・シェラー研究所 ヴィリゲン（アールガウ州） www.psi.ch 独語、英語、仏語 SLF スイス連邦雪・雪崩研究所 ダボス （グラウビュンデン州） www.slf.ch 独語、英語、仏語、伊語 高等研究所 国際開発高等研究所 ジュネーブ www.graduateinstitute.ch 英語、仏語 WSL スイス連邦森林・雪・景観研究所 ビルメンスドルフ（チューリヒ州）、 ベッリンツォーナ（ティチーノ州） www.wsl.ch 独語、英語、仏語 図66： スイスの研究機関 出典： スイス国立科学財団
第2項 国際的な研究 ・ 開発提携 スイスの民間部門は、海外のパートナー、特にEU諸国との研究 提携に強い関心を持っています。先端技術を有する海外のパートナ ーとの研究開発活動での提携は、小規模な企業にとって提携先のノ ウハウが利用できるというメリットがあります。スイス-EU二国間協 定で共同研究開発に有利な条件が生まれ、EU諸国の研究・技術開 発枠組計画と活動へのスイスの全面的な参加が実現しています。 連邦教育研究局 SER
www.sbf.admin.ch > トピックス（Topics） > 研究（Research） 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 技術革新委員会 www.kti-cti.ch 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 スイス国立科学財団 www.snf.ch 言語： 独語、 英語、 仏語 科学振興 www.ch.ch > 個人向け（Individuals） > 教育と研究（Education and Research） > 科学振興（Promotion of science）
言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語 スイスの研究活動と最先端技術に関するポータル www.myscience.ch 言語： 独語、 英語、 仏語 国際的な研究 ・ 開発提携 www.snf.ch > 国際（International） 言語： 独語、 英語、 仏語、伊語 教育、研究、技術におけるスイスの国際提携 www.sbf.admin.ch > トピックス（Topics） > 国際協力（Interna-tional cooperation） 言語： 独語、 英語、 仏語、 伊語
