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障害学生支援ピア・サポーター内部の援助関係意識と活動参加意識の関連―障害学生がピア・サポーターとして活動することに着目して― [ PDF

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障害学生支援ピア・サポーター内部の援助関係意識と活動参加意識の関連

―障害学生がピア・サポーターとして活動することに着目して―

キーワード : ピア・サポート,障害学生支援,援助関係,集団効力感 所 属 人間共生システム専攻 氏 名 松石 真理子 Ⅰ.問題と目的 1.障害学生支援としてのPS 活動の普及と今後の展開 ピア・サポート(以下 PS)とは,「仲間という人間関係を利用し た支援活動の総称(西山, 2002)」と定義づけられる支援システ ムである。近年,大学の学生支援領域においても注目を集め, 2000 年代に入り急速に普及が進んだ(西山, 2002)。PS 活動 が国内で認知され始めた頃には教育的役割や,コミュニティ形 成といった支援活動が中心であった。しかし近年,実施領域に 広がりがみられ,障害学生支援も担うようになった(日本学生支 援機構,2015)。背景には,平成 25 年に障害者差別解消法が 制定されたことで,障害学生に対する支援が大学に義務付け られたことが関係していると考えられる。現在,PS 活動として 障害学生支援を実施している大学はまだ多くはない(面高ら, 2018)ものの,今後支援人材の獲得など,現実的な問題に対 応するためにもPS 活動を展開させる大学が増加することが予 測される。しかし現在, PS 活動に関する研究は蓄積が十分 になされていないことが指摘されている(松下, 2015)。今後知 見を蓄積していく必要があると考えられる。 2.これまでのPS 活動に関する研究 これまでの研究としては,主に過去の実践報告を概観してそ の方法をまとめたもの(西本ら,2002 他)や,PS 学生の参加前 後での意識や行動の変容を記述しPS 活動の教育的効果に ついて示そうとしたもの(甲斐ら, 2018 他)等,汎化できるような 方法論の提案やPS 活動の教育的効果の検証を目的としたも のが中心であった。確かに,PS 活動の運営主体は教職員で あり,運営側の視点から効果の検証や方法論の提案を行う事も 必要である。しかし実際に活動を行うのは学生である。PS 集 団そのものに着目し,参加学生の特徴や集団内部の関係性に ついて検討することを通して,学生側の視点から現実のPS 活 動の姿をとらえることが可能となり,学生にとって真に有意義な PS 活動を展開するための一助となると思われる。 3.PS 学生の多様性―障害学生の参加― 数は多くはないが,PS 学生自身の特徴について論じた研 究も見受けられる(西本 2011;小貫,2010)。これら研究では, PS 学生の特徴として学校に適応した「まじめ」な「優等生」であ ることがあげられた。しかし,そのようなパーソナリティーの側面 だけでは,PS 学生の姿を検討しきれないと筆者は考える。 平成27 年度に日本学生支援機構が行った調査では,障害 を持ち,特別な配慮を要する学生(以下,障害学生)がPS 学 生として支援活動に参加していることが報告されている。サポ ーターに障害学生がいる可能性は,過去の研究においては想 定されてこなかった。大学における「ピア」とは,学生という立場 を共有する仲間であることのみを指しているため,サポーター 自身が抱える問題や困難については見逃されやすく,PS 学 生の支援者としての側面が強調されすぎてしまっていたことが 考えらえる。PS 学生の中にも「支援を受ける可能性」という意 味での多様性が存在していることは考慮しなければならない。 4.PS 内部の援助関係 PS 学生同士は,基本的に,互いに助け合う「互恵的な関 係」と想定されている(Carr, 2013)。互恵的な関係における人 間の心理を説明する理論の一つとして,衡平理論(equity theory)がある(Walster et al. 1978)。二者間の相互作用にお ける援助・被援助の比率が等しい場合が衡平であり公正感が 生じるが等しくない場合には,不衡平であり緊張や不満が生じ るとされている。LaGaipa(1990)は,提供した援助が受け取っ た援助よりも多いと知覚した者(過少利得)は,負担感および欲 求不満感を抱くのに対し,受け取った援助の方が提供した援 助よりも多いと知覚した者(過剰利得)は,罪悪感や依存性を抱 くとした。過剰利得者に喚起されるネガティブな心理状態につ いて松井ら(1998)は,「心理的負債」と表現し,自己効力感の 低下に関連があり,精神的不健康につながるとした。 障害学生がPS 学生として PS 活動に参加した場合,その 学生はPS 活動中にも他の学生から支援をうけることになる。こ のような「障害に対する支援」には,全く同じ支援を支援者に提 供し返すことの出来ない返礼の不可能性がある。法律上,「障 害に対する支援」は機会均等のための「権利」であり,返礼の 必要はない。しかし,安田(2011)が障害学生は支援学生に「申 し訳なさ」を感じてしまうことがあることを報告しているように,建 前としては「均衡の保たれた互恵的な関係」であったとしても, 返礼の出来ない「障害に対する支援」が内在していることが,

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参加学生に対して何らかの心理的影響を与えている可能性は 否定できない。PS 内部の援助関係の在り方を PS 学生はどの ように認識しているのか,均衡理論の視点を参照しつつ検討 することを通して,PS 学生の参加意識についても検討すること が出来ると思われる。これより以降,返礼不可能性の伴う「障害 に対する支援」と,不可能性のない「日常的なサポート」を包括 し,「援助」として暫定的に定義する。 5.PS 活動中に抱く意識 PS 活動中に PS 学生が抱く意識を考える上で,本研究では 心理的均衡感との関連が示唆(松井,1998)されている自己効 力感に着目する。自己効力感は,特定の場面における特異的 な認知と,人格特性的な認知傾向としての効力感の二つの水 準がある(Bandura, 1977 )。「特定の集団」という場面における 認知としての自己効力感は「集団効力感」(Guzzo, 1993)と呼 ばれており,「集団は何ができるか」という集団全体の評価と, 「集団内で自分は何ができるか」という集団内における自身の 評価によって決定される(加藤,2017)。「集団効力感」は,目的 的な集団の機能を理解するために極めて重要な概念とされて おり(渕上ら,2006),PS 活動の中で PS 学生が抱く意識を理 解する上でも有用な視点であると思われる。 6.目的 健常学生と障害学生が協働するPS 活動において,PS 学 生間の援助関係を学生はどのように認識しているのかというこ とについて,健常学生,障害学生双方の視点からその様相を 明らかにすることを目指す。また,この援助関係の認識が,学 生が活動に参加する際の集団全体の評価や,集団における個 人の評価,そこに対する思いとどのようにかかわっているの か,探索的に検討することを目指す。 Ⅱ.方法 1. 調査対象集団 (1)集団の概要 集団の概要をTable.1 に示す。 (2)調査対象における調査者の位置付け 調査者自身もPS 学生の1 人として活動を行っている。PS 学生とは学内で会え ば挨拶をし,立ち話をするが,活動外の時間では会わない。活 動歴は14 カ月(2018 年 12 月時点)。 2.データ収集方法 (1)予備調査 A)目的 PS 学生が自覚している活動中の援助 経験及び被援助経験を調査すること。B)調査協力者 PS 学生 C)手続き PS 活動中に学生同士で行った援助及び被援助に ついて自由記述で回答を求めた。D)結果 11 名より回答を得 られた。類似した回答をまとめ,23 項目を選定した。 (2)本調査A)目的 PS 内部の援助の認識や,それが活動意 識に対して与える影響を詳細に尋ねること。B)調査協力者 PS 学生に協力を依頼。同意を得られた 11 名に対して調査を 行った。概要をTable.2 に示す。C)手続き 質問紙調査と,そ れをもとにしたインタビュー調査を実施。C-1)質問紙調査 3 項目で構成。① PS 内の援助・被援助経験を問う項目(予備調 査結果を使用),②PS 活動の参加意識を問う項目(「集団効力 感関連尺度」及び「集団への貢献行動尺度」⦅加藤ら,2017⦆を 使用,前者を「集団評価得点」,後者を「自己評価得点」とす る),③PS 活動状況を問う項目 C-2)インタビュー調査 事前の 質問紙調査への回答をもとに半構造化面接D)倫理的配慮 調査実施前に研究目的,調査における協力者の権利(インタビ ュー中止や回答拒否,事後に回答を取り消す権利など),面接 の録音,プライバシーの保護などを説明し,承諾を得た。また, 障害のある学生に対し,拒否できることも保証した上で障害の 開示の承諾を得た。調査は筆者所属の機関にて倫理審査を受 け,承認を得た上で行った。 3.データの分析 (1)数値的分析 質問紙の得点結果に関する数値的分析(2)イ ンタビュー及び質問紙の質的分析 Flick,U(1994)のテーマ 的コード化の手法を参考にして分析を行った。はじめに,各協 力者について事例的に分析し,事例を示す短い描写の作成と 個人のテーマ抽出を行った。その後,障害なし群と障害あり群 それぞれを1つのカテゴリー関連図にまとめ,その特徴につい て比較検討を行った。 Ⅲ.結果・考察 1.援助関係の認識について (1)PS 内の均衡状態 援助・被援助経験の得点について,障害のなし群と障害あり 群の間に差があるのか検討するためにマンホイットニーのU 検定を有意水準5%で行ったが,統計的優位差は認められな 構成 学生29名(障害学生5名を含む)  ※恒常的に活動に参加をしているのは10名程度。 活動目的 学内の障害者支援,アクセシビリティの向上 活動形態 大学の委嘱を受けて活動を行う。 半期に一度の総会にて年度計画を決定 学生は参加したい活動に志願して,班毎に活動を行う。 週に1度ミーティングを実施。活動班ごとの報告や内容共有。 活動内容 運営活動    SNSでの広報活動,活動報告書作成 等 直接支援活動 ノートテイク,移動支援 等 間接支援活動 手話講座実施,バリアフリーマップ作成 等 学外活動    高校訪問,特別支援学校との交流 等 その他     学祭企画,他大交流キャンプへの参加 等 Table1. X大学ピア・サポー ター の概要 性別 在籍期間(カ月) 機能障害 a 女 18 無 b 男 4 無 c 女 4 無 d 女 9 無 e 女 18 無 f 女 24 無 G 男 34 肢体不自由(車椅子) H 女 21 肢体不自由〈車椅子〉 I 男 6 歩行困難(杖,時折車椅子) J 男 21 聴覚障害 K 男 21 聴覚障害 Table .2 調査協力者の概要

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かった(n.s.)。次に,協力者個人の均衡状態を検討するために 援助・被援助経験得点の平均点とその差を算出した(Table.3) 全体としてはやや過剰利得の傾向にあった。障害のある協力 者が必ずしも過剰利得の回答をするわけではなく,むしろ,障 害のない協力者の方が,過剰利得と回答したものの割合が高 かった。このことより,PS 集団内の均衡状態の知覚は障害の 有無のみによって規定されるものではないことが窺われた。 (2)均衡感を規定する要因 障害学生のうち,インタビューにて「障害に対する支援」を受 けていることについて触れたものは4 名(G,I,J,K)であったが, 「申し訳なさ」の感覚を語ったものはおらず,むしろ「ありがたい し参加しやすい(J,K)」「前向きにお返ししようと思う(I)」といっ たポジティブな思いが語られた。一方,すべての障害のない協 力者がインタビュー中「障害に対する支援」を提供することにつ いて触れたが,それに対する不満や負担感といった思いは語 られなかった。むしろ,「支援技術の練習になり有難い(c)」と語 るものもいた。以上より,PS 活動中の「障害に対する支援」は, 被援助者の気後れや援助者の負担感として知覚されることは なく,自然に授受される配慮として根付いていると考えられる。 均衡感の群分けによってそれぞれの語りを比較したところ, 過剰利得群に属するPS 学生からは,「色々仕事を任せている (a,f,G,K)」「仕事について教えてもらっている(a,b,c,f)」という 語りがみられた。一方,過少利得群に属する学生からは,「仕 事を思いついたら率先して取り組むようにしている(e,i)」「色々 仕事を担っている (e,J)」という語りがみられた。このことより, PS 集団内の援助関係の均衡感を規定する主な要因は,仕事 に関する助け合いであることが窺われた。 (3)「援助」として共有されうる「障害に対する支援」 援助の内容によって集団内で経験される援助・被援助の生 起頻度に差があるのか確かめるために,各項目の平均点の分 布を示すヒストグラムを作成した。結果,援助経験については 得点の分布に大きなばらつきがみられず,特筆して生起頻度 の高い,又は低い援助経験は確認されなかった。一方,被援 助経験については,得点の分布にばらつきがあり,平均点の 低い項目ほど分布が少なく,特に生起しにくい被援助経験が あることが窺われた。得点の低い項目(平均点 3 点未満)は 5 項目あり,そのうち4 項目が「障害に対する支援」であった。回 答状況を詳しくみてみると,「食べ物を食べる時に手伝ってもら った」「車椅子で移動をする時,後ろを押してもらった」の2 項 目は,実際に車いすを使用していたり,食事介助の必要のある 協力者(G,H,I)のみ高い点をつけており,その他の協力者は 「したことがない」と回答していた。一方で,「手話をつかって話 しかけてもらった」「身振りや口の形がわかるようにして,話しか けてもらった」の2 項目については,実際に会話中視覚情報を 必要とする協力者(J,K)は高い点をつけているが,聴覚障害 のない協力者の中にも,「してもらったことがある」と回答する学 生が複数名いた(b,c,e,I)。このことについて,インタビュー中の 語りを参照すると, b,c,e,I は,手話を学んでおり,活動中に 学生同士で手話を練習しあっていると語っていた。そのため, 手話をしてもらったことが,手話を学ぶ「学習者」として,「援助 された経験」の一つに含まれたと考えられる。また,聴覚障害 のあるJ は,そのようにみんなで手話をすることが「楽しい」と 語っている。他の場面では「障害に対する支援」として一部の 対象に提供先が限られてしまう「援助」が,「学習者」である健 常学生にも,支援を学ぶための「援助」として受け取られ,障害 のある学生とない学生の間で共有されている点が,支援者集 団として協働で活動するPS に特徴的な援助関係の在り方で あると考えられる。 2.均衡感と参加意識との関連 自己評価得点と集団評価得点を軸とした散布図をFig.1 に 示す。概ねグラフの右上に分布をしており,大きなばらつきは みられなかった。障害の有無によっても大きく分布が異なること はないが,集団から離れたところに位置づく協力者はいずれも 障害のある協力者であった。均衡理論に基づく群分けで分布 を比較したところ,過少利得群は自己評価得点が集団内では 比較的高いことが特徴的であった。一方,過剰利得群は,B 以 外の協力者は自己評価得点が集団の中では低いことが特徴 的であった。 前者についてインタビューの語りを参照すると,特に自己評 価と集団評価が共に高いI,J は PS 集団に対する肯定的な意 識を多く語ってい た。一方集団評価 の低いe は,自分 の仕事に対する仲 間の反応の薄さを 嘆くような語りがみ られた。そのため, 今回の調査では, 過少利得の感覚 平均点 SD 平均点 SD a 2.26 1.00 3.00 1.00 -0.74 過剰利得群 b 3.52 1.00 3.68 1.00 -0.16 過剰利得群 c 2.48 1.00 3.09 1.00 -0.61 過剰利得群 d 3.17 1.00 3.18 2.00 -0.01 均衡群 e 3.65 1.00 2.45 1.00 1.20 過少利得群 f 1.91 1.00 2.73 1.00 -0.81 過剰利得群 G 2.70 1.00 2.95 2.00 -0.26 過剰利得群 H 3.48 1.00 3.50 2.00 -0.02 均衡群 I 4.13 1.00 3.91 2.00 0.22 過少利得群 J 4.48 1.00 4.27 1.00 0.21 過少利得群 K 2.26 1.00 2.82 1.00 -0.56 過剰利得群 3.09 1.42 3.24 1.50 -0.14 障 害 あ り 群 全員 Table.3 PS 内の援助経験の得点 援助経験得点 被援助経験得点 差 分類 障 害 な し 群

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は,先行研究にあるような「たくさんしているのにお返しがな い」という感覚を一部示したものの,I,J については,「集団が 好きで出来るだけ色々なことをしたい」という感覚に合致するも のであったことが窺われる。一方,後者についてインタビュー の語りを参照すると,特に低い回答をしたものはf,G,K であっ た。三名はインタビューにおいて集団に対する消極的態度を 表明し,そのことについて「楽(G,K)」「やりやすい(f,K)」と表現 した。このことより,今回の調査では,過剰利得の傾向につい ては,先行研究にあるような「色々してもらって申し訳ない」とい う感覚よりも,むしろ,「なにもしていない」という感覚が合致す る結果になったことが窺われる。また,先行研究に見られるよう な精神的不健康に関連のある様子は見られず,むしろ参加の しやすさにつながっていた。 3.障害あり群と障害なし群の参加の在り方の違い 障害のある協力者と,障害のない協力者それぞれの参加の 在り方を,語りで得られたカテゴリーの関係を示した図にして表 した(Fig2,Fig3)。障害のない協力者(Fig2)は,上部が概ね仲 間との関係の築き方について,また,左下部は仲間に対する 引け目といった感覚について,右下部は自分がしたことに対す る集団の無反応に対する反応について説明する結果となっ た。一方,障害のある協力者(Fig.3)は,左側が PS 内の援助 について,右側が教員に対する考え方について説明する結果 となった。 二つの大きな違いは,仲間に対する言及の仕方であると考 えらえる。障害のない協力者は仲間との関係の築き方につい て葛藤を抱いている様子がみられるのに対し,障害のある協力 者は,仲間に対する感謝や好意は述べているものの,不安や 葛藤については語られていない。このことについて,PS に参 加した動機が関係していると筆者は考える。PS 集団を「支援 するための集団」と捉え,支援者になるための仕事や訓練とし て活動に参加したのならば,仕事の達成のため各メンバーの 仕事取り組み方に色々な思いを抱く可能性は高くなると考えら える。しかし,「集団に所属して仲間と関わること」が集団にいる 一番の動機のとしてとらえられているのならば,多少仕事の遂 行が上手くいかなくても仲間に対して寛容になれると思われ る。障害のある学生は入学式の機会にPS 学生から支援を受 けたり,合理的配慮について相談室に相談する中で,「誘われ てなんとなく」参加する可能性は高いと考えらえる。実際,障害 のある協力者のうち半数以上は「誘われて何となく参加した (G,H,K)」と答えている一方,障害のない協力者は明確な支援 への興味を示したものがほとんどであった(a,b,c,d,e)。障害学 生は相談室に関わる機会の少ない学生に比べ,PS にアクセ スしやすい傾向があり,その場合,関係性の築き方や,仲間に 対する態度が障害のない学生とやや異なる可能性があると思 われる。 次に,やりがいの感じ方にも違いがみられた。障害 のない協力者は,支援に携わること自体にやりがいを 感じているのに対して,障害のある協力者は,自分の 働きかけが具体的な形となって生活が便利になること をやりがいであると捉えている。障害のある学生にとっ て,PS が行っているような支援技術に接することは日 常の一部であり,集団として特別なやりがいには直接 つながらないことが窺われた。 Ⅳ.主要参考文献 安部有紀子 (2018). 課外活動,学生表彰,ピアサポ ート,ボランティア活動. 日本学生支援機構(監修) 大学教育の継続的変動と学生支援-大学などに おける学生支援の取り組み状況に関する調査(平成 27 年度)より-,55-74

Carr, R. A. (2013). The Theory and practice of peer mentoring in schools, British Columbia, Canada: Peer Resources

Flick, U., (2002), Qualitative Forschung, Rowohlt TB-V., Rnb.

(小田博志, 山本則子, 春日常, & 宮地尚 子.(2011). 質的研究入門  「人間の科学」のための 方法論. 春秋社)

参照

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