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北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title 不正なホストの盗み見からモバイルエージェントを保

護するセキュリティ機構の提案と実装

Author(s) 村田, 真一

Citation

Issue Date 2001‑03

Type Thesis or Dissertation Text version author

URL http://hdl.handle.net/10119/1462 Rights

Description Supervisor:渡部 卓雄, 情報科学研究科, 修士

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不正なホストの盗み見からモバイルエージェント を保護するセキュリティ機構の提案と実装

村田 真一

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

2001

2

15

キーワード: モバイルエージェント,セキュリティ,アプリケーションフレームワーク,電 子商取引,セキュリティポリシー,不正なホスト.

1

セキュリティ問題

本研究の目的は,不正なホストの盗み見からモバイルエージェントを守るためのセキュ リティ機構を考案し,それをアプリケーションフレームワークとして実現することにあ る.モバイルエージェントとは,ネットワーク上のホスト間を移動し,移動先のホスト上 でタスクを実行するプログラムである.モバイルエージェントは,プログラムの内部状態 を保持したままホスト間を移動できるため,柔軟なアプリケーションの作成が可能であ る.しかし,モバイルエージェントを実用的なシステムで使用するためには,信頼性とセ キュリティの問題を解決しなければならない.このうちセキュリティの問題は,1)不正な エージェントが移動先のホストを攻撃する問題,2)不正なホストがエージェントを攻撃 する問題に分けることができる.既存のモバイルエージェントシステムでは,1)を考慮 しているものはあるが,2)に対する有効な対処手法は確立されていない.2)のセキュリ ティ脅威としては,盗み見や改竄などの攻撃が想定されるが,本研究では,エージェント の秘密情報が不正なホストにより盗み見される問題を扱う.

モバイルエージェントの適用分野として期待されているものの1つに電子商取引があ る.電子商取引にモバイルエージェントを用いれば,エージェントがユーザの代わりに情 報収集,電子決済,価格交渉などを行うことが可能である.しかし,決済情報や個人情報 などをモバイルエージェントに持たせると,これらの秘密情報が不正なホストにより盗み 見される危険性がある.このため,電子商取引では,不正なホストの盗み見に対処するこ とが重要である.本研究では,モバイルエージェントのアプリケーションとして,ネット

Copyrightc 2001byShinichiMurata

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ワーク上の仮想店舗を巡回してユーザの代わりに電子商取引を行うエージェント(電子商 取引エージェント)を対象とする.

2

本研究のセキュリティ機構

既に,不正なホストのセキュリティ脅威に対するモバイルエージェントのセキュリティ 手法が幾つか提案されているが,盗み見の脅威に対する有効な対処手法は確立されてい ない.これは,モバイルエージェントが移動先のホスト上で実行されるためであり,移動 先のホストは,エージェントのプログラムコードやインスタンス変数の値などを知る必要 がある.ユーザがエージェントの情報を暗号化したとしても,移動先のホストがそれを復 号化できなければならないため,盗み見には対処できない.このため,本研究では,エー ジェントの秘密情報をエージェント本体と分離し,秘密情報へのアクセスを制限すること で盗み見に対処する.ユーザのホスト上で秘密情報を管理するエージェントを秘密情報管 理エージェント,秘密情報を持たずにネットワーク上を巡回するエージェントを巡回エー ジェントと呼ぶ.巡回エージェントは,決済時などの秘密情報が必要になった時点で秘密 情報管理エージェントに要求を送る.秘密情報管理エージェントはその要求を受け取り,

アクセス権を持つ巡回エージェントだけに秘密情報を返す.秘密情報へのアクセス権は,

以下の項目によって判別される.

巡回エージェントが実行されている移動先のホスト

巡回エージェントが通信している仮想店舗の識別子

巡回エージェントの実行フェーズ

アクセスの種類

巡回エージェントの識別子

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アプリケーションフレームワーク

提案するセキュリティ機構では,巡回エージェントが秘密情報を持たずにネットワーク 上を巡回するため,不正なホストは秘密情報を盗み見することができない.しかし,巡 回エージェントは,秘密情報が必要になる度に秘密情報管理エージェントに要求を送る必 要がある.また,秘密情報管理エージェントは,秘密情報へのアクセス権を持つ巡回エー ジェントを見分けなければならない.更に,これらのエージェント間のネットワーク通信 は,暗号化プロトコルなどを用いて安全に行われなければならない.このため,エージェ ントのプログラムコードは煩雑になり易く,セキュリティ機能を正しく実装することは難 しい.本研究では,この問題に対処するために,セキュリティ機構を電子商取引エージェ ントのアプリケーションフレームワークとして実現した.アプリケーションフレームワー

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クを用いることにより,盗み見に対するセキュリティ機能を持った電子商取引エージェン トを容易に作成できる.アプリケーションフレームワークは,電子商取引エージェントの 雛型,セキュリティマネージャ機能,データストア機能,セキュリティ機能のクラスライ ブラリから構成される.エージェントの雛型には,セキュリティ機構やネットワーク上の 巡回パターンが組み込まれている.セキュリティマネージャとは,秘密情報管理エージェ ントに組み込まれ,巡回エージェントからの要求が正しいアクセス権を持っているかどう かを監視する機能である.データストアとは,巡回エージェントに組み込まれ,秘密情報 管理エージェントとのセキュアなエージェント間通信をサポートする機能である.これら のセキュリティ機能は,雛型クラスを継承することで,それぞれの電子商取引エージェン トに組み込まれる.

電子商取引エージェントの秘密情報を守るためには,情報の公開先,情報の保護手法の 2つのセキュリティ要件を考慮する必要がある.この2つのセキュリティ要件の組み合わ せは,秘密情報毎に異なり,また,アプリケーションの処理内容や利用方法にも依存する.

このため,アプリケーションフレームワークでは,秘密情報毎に適用するセキュリティ要 件をセキュリティポリシーとして外部ファイルにXMLを用いて定義する.これにより,

セキュリティ機構の柔軟な設定およびカスタマイズが可能になる.

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実験・考察

実装したアプリケーションフレームワークを用いて,3つの電子商取引エージェントの 例題アプリケーションを作成した.この例題アプリケーションは,それぞれが異なるネッ トワーク上の巡回パターンを実装したものである.保護すべき秘密情報は巡回パターン毎 に異なり,また,秘密情報毎に保護手法が異なるため,3つの例題はそれぞれ異なる秘密 情報を異なる手法で保護している.本アプリケーションフレームワークを用いることで,

異なる巡回パターンを持つ電子商取引エージェントを容易に作成でき,アプリケーション 毎に異なる秘密情報を少ないコード量で不正なホストの盗み見から保護できた.今後の課 題としては,改竄などの盗み見以外のセキュリティ問題への対応や,電子商取引以外の分 野への応用が挙げられる.

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