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IRUCAA@TDC : 東京歯科大学口腔科学研究センターの研究拠点構想

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Academic year: 2021

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(1)Title Author(s) Journal URL. 東京歯科大学口腔科学研究センターの研究拠点構想 金子, 譲 歯科学報, 110(1): 21-27 http://hdl.handle.net/10130/1206. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 21. 平成20年度 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ. 基 調 講 演. 東京歯科大学口腔科学研究センターの研究拠点構想 金 子. 譲. 東京歯科大学 学長. ■ 競争的研究費獲得の現状. 度科学研究費の私立大学配分合計額です。私立大学. こちらのスライド(図1) は一番新しい,平成20年. は全国に約550校ありますが,研究機能を持ってい. 図1 ― 21 ―.

(3) 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ. 22 表1. 科学研究費補助金申請・採択状況(H19年度・H20年度) 【実績】 件数. 研究種目. H19年度. 配分額 H20年度. 申請 採択 申請 採択. H19年度. H20年度. 直接経費. 間接経費. 直接経費. 間接経費. 基盤研究(A). 3. 1. 3. 1. 26, 900. 8, 070. 4, 300. 1, 290. 基盤研究(B). 12. 3. 11. 3. 12, 500. 3, 750. 10, 900. 3, 270. 基盤研究(C). 75. 21. 89. 23. 25, 300. 7, 590. 26, 700. 8, 010. 萌芽研究. 25. 5. 22. 2. 4, 700. 0. 2, 100. 0. 若手研究(A). 1. 0. 2. 0. 0. 0. 0. 0. 若手研究(B). 95. 23. 92. 20. 20, 070. 0. 21, 000. 6, 300. 若手研究(スタートアップ). 42. 2. 12. 0. 2, 420. 0. 0. 0. 年間複数回公募. 2. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 若手研究(S). 3. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 258. 55. 231. 49. 91, 890. 19, 410. 65, 000. 18, 870. 計. 300 111,. 83, 870 ※単位:千円. 表2. る大学はせいぜいこの半分です。それは額を見れば 分かる訳ですが,上位から慶應,早稲田,日大が挙. 東京歯科大学科学研究費補助金配分額・順位 (過去5年間) 順位. 件数. 配分額. 平成16年度. 63位. 60件. 80, 030, 000円. 平成17年度. 61位. 64件. 95, 000, 000円. 平成18年度. 60位. 70件. 94, 100, 000円. 平成19年度. 50位. 61件. 120, 150, 000円. 平成20年度. 73位. 52件. 85, 937, 000円. げられます。今,科学研究費は非常に種類が多く て,取りやすくなっていると言われていますが,昔 に比べるとカテゴリーも違い,一部難しいことがあ ります。文部科学省は研究助成ということで,年々 かなりの額を上げてきています。そこで,このよう な面から,東京歯科大学を見てみようと思います。 最新の平成20年度の科研費配分ですが,東京歯科 大学は73位です。配分額は8600万で,申請件数は52 件です(表1) 。平成20年度科研費獲得額では例年に 比べますと,本学はかなり下位だと言えます(表 2) 。. いの配分額を維持するということになりますと,次. しかし,昨年度は良好で本学は50位です。約1億. の基盤研究 A を獲得しなければならなく,やはり. 2000万円獲得しています。昨年度と今年度と比べて. 100万円とか300万円とかいう額がほとんどですの. みると,申請数が昨年度は258件,今年度は231件. で,3000万円ぐらいの大型を獲得しないと,なかな. で,1割ぐらい減っています。同様に採択件数も1. か研究費は増えないということです。. 割ぐらい減っています。額では今年度,3000万と大. これだけですと,皆さんが「何だ,東京歯科大学. 幅に減っている訳です。これはどこに原因があるの. は駄目だな」と誤解をされても困りますので,HRC. かということを見てみますと,井上孝教授が歯科イ. はどうだったのかをお話したいと思います。これは. ンプラント学という細目で,基盤研究 A が採択さ. 私立大学のための研究助成です。前学長の石川達也. れた昨年度は3300万円でありましたが,今年度はそ. 教授が学長に就任された年の1996年に申請をして採. の継続で約600万円となっております。したがっ. 択された研究助成です。そのとき2億8000万円の補. て,例えば,50位ぐらい,つまり1億2000万円ぐら. 助金を頂戴しています。そして2010年まで継続して. ― 22 ―.

(4) 歯科学報. Vol.110,No.1(2010). 23. 図2. 表3. います。1つのプロジェクトが3年,4年,長いも ので5年ありますが,これを継続して,1,2,. 東京歯科大学の将来構想 −研究−. 東歯大研究の拠点化−質の追求・コストパフォーマンス 口腔科学センターの実質的活用 研究の戦略部−明日の歯科医療を開く 外部資金獲得(官・民) 大学院生研究の主体部 若手研究者育成 講座研究へのフィードバック. 3,4,5,6,7,そして今出している8と,こ こまで絶え間なく,しかも重複して採択されている 大学は他にありません。他の私立大学はもちろんの こと,医科でもありません。プロジェクト研究力と いうものでは,皆さんが知恵を絞って出している成 果が出ているということです。総額,約10億円獲得 しております(図2). パブリックコメントを参考にして練り上げた後に教 授会で承認をしていただきました。こういうものは. ■ 東京歯科大学将来構想と研究の体制 (表3). これからの東京歯科大学は,研究もやらなきゃい. 時間を限ってどこまでという目標を持ちながらやる. けない,教育もやらなきゃいけない,診療も稼がな. のが,本来の構想です。しかし,これはこれからそ. きゃいけない,質も落としちゃいけない,こういう. れを作っていこうという,その手前の段階で,家に. 『いけない』だらけの訳ですから,戦略的に考えな. 例えれば,柱を作っておこうということで,つまり. いと従前の研究体制では競争的資金獲得は出来ない. 将来構想の骨格であります。ですから今後,目標と. と思うのです。そこで,HRC 構想というものが数. する年度はそれぞれみな違うと思いますが,ここ10. 年前から出てきました。研究を拠点化しようという. 年ぐらいはこのような構想で運営されることが必要. ことです。. となります。. こちらはあと2週間ぐらいで出る大学広報です。. 大学の競争,連携における国内外の戦略に関し. 東京歯科大学将来構想を載せました(大学広報234. て,口腔科学研究センターの有機的な活動,そして. 号) 。これは皆さんご存じの通り,若手の教授を主. 大学の研究拠点という性格をはっきり打ち出しても. 体にして,私の設問に答申をしていただき学内教員. らっています。これを全教授が認めたということで. ― 23 ―.

(5) 24. 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ. すので,これからそのようなシステムづくりをし. 点からいいだろうと考えています。. て,実際に目標に向かっていくという,今はこのよ. この辺は各大学いろいろ考え方があります。医学. うな時です。この手前で既にそういう準備が始まっ. 教育の充実のための協力者会議や私学教育の同じよ. ており,ある程度流れています。. うな委員会でも色々な議論が出ていますが,医学部 も最初から,あまり臨床と基礎に分けない方がいい のではないかということになったようです。私もそ. ■ 大学院生研究. もう1つは,大学院の研究です。奥田研究科長当. ういう考え方です。ただ,研究のやり方や果実,つ. 時から,基礎専攻と臨床専攻の2専攻を統合して1. まり研究成果の質向上のために,口腔科学センター. 専攻にすることが懸案の事項でしたから,今年,柳. を大学院の研究拠点とするのが適切であると「将来. 澤研究科長の下で1専攻にしました。要は,各講座. 構想」で述べられています。ただし,講座研究をな. 間の壁をなるべくなくそうという訳です。そして,. いがしろにしろということでは決してないのです。. それぞれの力を出し合って独創的な上質の研究成果. 講座でしかできない研究がありますから,講座研究. を得るという体制を作るということです。この壁を. として保持する必要があります。. なくすということが専攻をなくした目的です。 現在,160名の院生が在籍しております。85%が. ■ 口腔科学センターの拠点化. 臨床系です。大学院には学部学生の1学年より多い. 研究に関する将来構想ということで,この口腔科. 人数がいるのです。これは本学の大学院の大きな1. 学センターの拠点化というのは,要はこのように考. つの特徴です。これだけの人数を抱えている大学院. えたからだということです。まず質なのです。それ. は,国立でも東京医科歯科大学,大阪大学以外ない. から,講座単位のような縦割りの組織だと,各講座. でしょう。大学院生の多い大学は,社会人大学院生. が同じような機器を備えることによりかなり無駄な. の割合が非常に高いのですが,本学は原則基礎だけ. 話も当然出てくるのです。同様に,それは機器の話. です。しかもその割合を増やさないようにしようと. だけではなくて,知的な面でもそうだと思います。. いうことです。それは社会人大学生が増えると自ず. そこでミキシングがなくてはならないと思うので. と質が落ちてしまうということを懸念した訳です。. す。. 従って,160名は確実に研究力のパワーになってい. 大事なことは,研究の戦略です。私はテーマ選び. ます。ですから大学院を大事にし,これを口腔科学. が極めて重要だと思います。いったん決めたテーマ. センターとドッキングするのです。大学院生は専門. が,つまらないテーマと言っては語弊があります. 医取得も視野に入れて臨床講座に入る。これから専. が,役に立たないようなテーマでも,研究を始めれ. 門医制度がだんだん整備されてきますから,これを. ば面白いのです。何をフォーカスに絞るのかが重要. 目指して大学院過程の中でカリキュラムを組まれる. です。歯科医療は研究が基盤ですから,その歯科医. ことが必要でしょう。. 療を発展させていくという考えの下でフォーカスす. それと初期からの大学院目的である研究者育成に. るものを決めていくことが重要です。そこで研究セ. 関してですが,最初から基礎に行った方だけが基礎. ンターの先生方だけでなくて,外部の方々ともディ. 研究者になるわけではないと,私は思っています. スカッションをする場が必要ではないかと考えま. す。85%が臨床なのですから,そういう方にもき. す。例えば名誉教授,業者の方,工業,生産業の. ちっとした研究体制を敷いた中で,研究の面白さを. 方々,さらには患者さんと次の時代に何を開拓して. 知ってもらえば,臨床医としても立派な研究者にな. いくかを色々な意味で幅広くディスカッションする. れるし,あるいは研究が本当に好きになれば,基礎. のが良いと思います。閉塞しているこの時を打開す. に移籍すればよい。大学院のときに,臨床行にきた. るのは研究だと思います。このような意味でテーマ. い人はもちろん専門職ということも大事にしてやり. 選びが非常に重要です。同時に有用なテーマは外部. ますが,いろんな過程を踏ませながら,基礎研究者. 資金を獲得するチャンスにもなります。先ほど述べ. としても将来の幅を広く持っていた方が人材育成の. た科研費や,調査基金への応募や,民間の企業との. ― 24 ―.

(6) 歯科学報. Vol.110,No.1(2010). 25. 図3. タイアップによる研究費の獲得など,皆さんのお考. ませんが今後は知的財産部が重要になってくると思. えを集約して企画する事も,口腔科学センターの役. います。また HRC が口腔科学センターの英語標記. 割です。大学院研究の主体部と若手研究者の育成も. になっていますが,一つの案として英語標記は TDC. 重要な役割です。研究とは学位を取るためだけでは. Research Institute に変えたほうが良いのではない. なく継続しなければ意味がありません。従って,大. かとの意見も出ています。. 学院を終えた方々が中堅となり,教育育成としての. また現在,文科省へは教授,准教授,講師,助教. 研究体制を大事にしておかないと,研究力は付かな. が研究指導教員として届け出をしてあると思います. いと思います。口腔科学センターだけが研究をすれ. が,研究指導教員になるには,例えばインパクト. ば良いということでは決してありません。. ファクターの数値や論文の数などのある種の条件を. 孝副センター長が皆さんと討議して作成し. 設けてその立場を明確にすることが研究指導教員の. た研究拠点の構成図によると幾つかのコア研究,す. 形骸化を防ぐ上でも必要だと考えます(表4) 。その. なわち口腔組織再生コア研究,唾液コア研究,口腔. 条件にインパクトファクターとサイテーションの両. インプラントコア等などが構成されています(図. 面で評価できる H インデックスというもので評価. 3) 。これらのコア研究を未来永劫続けなければい. するという案もあります。. 井上. けないのではなく,ある目標を定めて,ある程度達. 来年度から口腔科学センターが名実共に大学の研. 成できたときに,継続するか,また次に変えていく かを決めればよいのです。このようにコア研究が計 画に基づいて遂行されるためには一流の研究者が必 要になります。また一方では,競争的資金を考える 上でここを戦略的な場所にするという考えです。今 までの文科省の HRC 事業は,今年から私立大学の 戦略的研究基盤事業という名称に変わります。そこ で口腔科学研究センターの研究支援組織の中に事務 部門を新しく設けました。まだあまり整備されてい ― 25 ―. 表4 教. 研究指導教員の条件(案). 授:英文60編以上(内筆頭20編以上) 、あるいは IF 合計80以上、あるいは h−index15以上. 准教授:英文40編以上(内筆頭15編以上) 、あるいは IF 合計50以上、あるいは、h−index6以上 講. 師:英文20編以上(内筆頭10編以上) 、あるいは IF 合計30以上. 助. 教:英文10編以上(内筆頭5編以上) 、あるいは IF 合計10以上.

(7) 26. 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ. 究拠点になります。現在の東京歯科大学はいわば学. ステーションのみ延長利用する。4.期間限定で液. 生重点化大学ですので,大学で研究を行うのは難し. 体ヘリウムを充填し MEG 装置を短期間集中利用す. く,大学院が研究の機能を担っています。大学院歯. ることが可能であるが,液体ヘリウムの再充填・再. 学研究科の課程では,幅広い研究者,幅広い高度な. 起動には多額にコストが必要となり,このように今. 臨床医の育成ができるようなカリキュラムが必要と. 後脳磁計の MEG 装置の稼働については多くの問題. なります。このように大学院が研究の機能を受け. を含んでいます。. 持っているため,現在の大学院と口腔科学センター の位置づけは一部融合型となっています。既に多く. ■ 今後の課題 (表5). の大学院生が口腔インプラント学部門での研究を. 今後の課題としては,まず戦略会議メンバーに. 行っています。研究環境や指導体制を整えることに. よって研究の焦点を決めることが非常に重要です。. よって,大学院生からも多数の研究希望者を募るこ. 次の課題は講座研究のあり方と研究費の使用方法に. とができます。. ついてで,講座主任は充分に考慮し,学会発表だけ. 口腔科学研究センターの運用資金は,昨年は1億. ではなく,発表後の論文に重点を置くことも講座主. 3400万円で,本年は1億1700万円となっています. 任の講座運営能力の一つと考えます。次に研究者の. が,実質的には増加しています。脳磁計のプロジェ. 育成として海外留学が考えられますが,海外留学さ. クト研究はここ数年非常に優れた論文が出ました が,その支援が今年度で終了となりました。この運. 表5. 用経費並びに保守点検には合わせて約2500万円必要. 課題. 戦略会議メンバー:研究フォーカス 講座研究と研究費:無駄な研究休むに似たり 研究者育成策:国内留学から国外留学へ 研究者・指導者のセンターにおける位置づけ 大学院と口腔科学研究センターの関係整備 センター運営経費. となります。そこで平成21年4月に停止させた場 合,1.現在の MEG 設備を口腔科学研究センター の共用機器として引き継ぎ,液体ヘリウムを抜いた 状態で保管する。2.追加実験が必要な場合は国内 の MEG 施設を利用する。3.データ解析用ワーク. 図4 ― 26 ―.

(8) 歯科学報. Vol.110,No.1(2010). 27. せる以前に,まず良い研究環境の所に国内留学さ. 次の課題は大学院と口腔科学センターの関係を整. せ,研究の力を積み上げてから海外に留学する方法. 備することです。今後大学院が口腔科学センターで. もあると思います。もちろん既に力のある講座は海. の研究を視野に入れて規程の改正を始めると考えま. 外留学させることに異存はありませんが,それぞれ. す。最後にセンターの運営経費をどのようにするか. の講座が研究力をどのように付けていくかと考える. ということです。. ことが結果的に口腔科学センターの研究力の向上に. 過重負荷と思われるかもしれませんが,基礎の講. つながると考えます。現在口腔科学センター専属の. 座は研究と教育,臨床の講座は研究,教育,臨床の. 研究者はおりませんが,将来最先端の研究を始めた. それぞれに力を注ぎ,課題に取り組んで頂きたいと. 場合には専属の研究者が必要になるかもしれませ. 思います。. ん。. ― 27 ―.

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