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Cystathionine ソ ‑synthase 遺伝子にみられる

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 農 学 ) 千 葉 由 佳 子 学 位 論 文 題 名

Cystathionine ソ ‑synthase 遺伝子にみられる

`メチオニン添加に応答した転写後制御機構の研究 学位論文内容の要旨

  遊離メ チオニン を過剰に 蓄積するシ ロイヌナ ズナ突然 変異株(mtol) の解析から,

メチオニン生合成の鍵酵素と考えられるcystathjonjneア−synthase(CGS)遺伝子が,メ チ オ ニ ン 添 加 に 応 答 し た 転 写 後 制 御 機 構 を 持 つ こ と を 明 ら か に し た .   mめJ変 異 株 で はCGSmRNAの 蓄 積が 野 生型 株 の3〜5倍に な っ てい た . また , 野生 型 株 に 根 か ら メ チ オ ニ ン を 与 え た 場 合 ,CGSmRNAの 蓄 積 が 低 下 す る の に 対 し , mfoJ‐J変異 株では高 いレベル の蓄積を保 ったまま であり, メチオニ ンの影響は見ら れ な か っ た . こ れ ら の 結 果 か ら , 野 生 型 株 に は メ チ オ ニ ン 添 加 に 応 答 し てCGS rnRNAの 蓄 積量 を 抑え る機 構が存在 し,mfoJ‐J変 異株ではこ の機構が 働かない ため に,遊離メチオニンを過剰に蓄積すると考えられる・

  独 立 に 分離 し た5つのmfDJ変 異株 を 調 べた と こ ろ,mfDJ変 異はCGS遺伝 子の第1エ キソン 中の8アミ ノ酸とぃ う極く限ら れた領域 に位置す ることが わかった ,また,す べ ての 変 異は ア ミ ノ酸 置 換 を伴 う1塩 基置 換 で あっ た .こ の 結 果はCGSrnI水Aの 蓄 積量の 抑制機構 にCGS遺伝子 自身の第1エ キソンが関わっていることを示唆している.

  一 方 でCGS遺 伝 子発 現 制 御の メ カニ ズ ム を解 明 する ために, カルスを 用いた研 究 を 行っ た .mRNAレ ベ ル の制 御 には 転 写 調節 お よ び転 写 後調 節 が 考え ら れる . カ ル ス に 転 写 阻 害 剤 で あ る ア ク チ ノ マ イ シ ンDを 加 え る こ と でCGSmRNAの 分 解を 調 ぺ た . そ の 結 果 , 野 生 型 株 に メ チ オ ニ ンを 加 え たと き にCGSmRNAの 分 解が 速 くな る こと, およびm幻J゛J変異株 ではメチオ ニン添加 による効 果が見ら れないこ とがわか っ た . こ の 結 果 はCGSmRNAの 蓄 積 量の 制 御 は転 写 後調 節 に よる も の であ る こと を 示している.

  そ こ で ,カ ル スを 用 いた一過 的発現系 においてCGS遺 伝子第1エ キソンの 機能解析 を行っ た.野生 型株の第1エキソンま たはmfoJ‐J〜mめJ4変異株 の第1エキ ソンのC末 端側に レポータ ー遺伝子としてp―glucuronidase(GUS)の構造遺伝子を読み枠をあわ せ てっ な ぎ, こ れ をカ リ フ ラワ ー モザ イ ク ウイ ル ス35Sプロ モーター の制御下 にお い たプ ラ スミ ド を 構築 した. これらの プラスミド を野生型 株由来の プロトプ ラスト に 電気 穿 孔法 に よ って 導 入 し, メ チオ ニ ン 添加 に よるGUS活 性の変化 を調べた .そ

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の結果,野生型の第1エキソンではメチオニン添加に応答してGUS活性が低下する のに対し,mtol変異型の第1エキソンでは野生型の第1エキソンより高いGUS活性を 示し,かつ,メチオニン添加には応答しなかった.また,mtol変異の生じたコドン に対してアミノ酸置換を伴わない塩基置換を導入した第1エキソンでは,野生型の第 1工キソンと同様の挙動を示した.っまりCGS第1エキソンのアミノ酸配列がメチオ ニン添加に 応答したCGS遺伝子の発現制御に重要な役割を持つことがわかった.

  CGS遺伝子 のアミノ酸配列がCGS mRNAの転写後制御に関わっているとすると,

CGSは酵素としての機能に加え,その第1エキソンにはmRNAの安定性の制御に関わ る因子としての機能も備わっていると考えられる.そこで,CGS遺伝子の第1工キソ ンが自身のCGS mRNAにのみ働く(cisに働く)か,他のCGSmRNAにも働く(transに 働く)かを検討するために,野生型の第1エキソンとmめJ変異型の第1エキソンをそ れぞれ異なったレポーター遺伝子にっないだプラスミドを構築した.2つのプラスミ ドを野生型株由来のプロトプラストに同時に導入し,両方のレポーター活性を調べ たところ,野生型の第1エキソンとmめJ変異型の第1エキソンはお互いに影響しあわ ないことが示された.すなわち,CGS第1エキソンのポりベプチドはCGS遺伝子に対 してcisに働くことがわかった.また,カルスにおいてCGSmRNAの蓄積を調べたと ころ,メチオニン添加によってCGSmRNAレベルが低下するとともに,5.領域の欠 けたCGSmRNA断 片が生じることがわかった.この断片はメチオニン添加によって おこるCGS尚水Aの分解の中間産物と考えられる.

  CGS遺伝子に見られるメチオニン添加に応答した転写後制御機構には,CGS遺伝 子の第1エキソンのアミノ酸が重要である.また,CGSの第1エキソンは自身のCGS mRNAに対してのみ機能する.ポリペプチドがシスに働くとぃうことから,この制 御がCGSmRNAとCGSの第1エキソ ンが近接す る時,即ち 翻訳の段階 で起きてい る と考えることができる.これらの事からひとつのモデルを提唱した.CGS遺伝子か らCGSmRNAが 転 写さ れ ,そ のCGSmRNAに りボゾーム が結合し, 翻訳が開始 され る.CGSの第1エキソンが翻訳されるとメチオニンかあるいはメチオニンの代謝産物 からの何らかのシグナルを受けて,自身のmRNAの分解がおこるというものである,

  一方,メチオニンはヒトをはじめとするホ乳類にとって自分で合成することので きない必須アミノ酸のひとつである。,このため作物のメチオニン含量は栄養学的に も重要である。しかしながら、豆類、穀類ともに種子のメチオニン含量は低く、メ チオニンを多量に含む作物の開発が様々な方法によって試みられてきている。この ような現状で、植物におけるメチオニン生合成制御の分子機構を解明することは、

作 物 の メ チ オ ニ ン 含 量 を 増 や す 分 子 育 種 の 基 礎 と な る も の で あ る 。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    内藤    哲 副査    教授    千葉誠哉 副査    助教授   石川雅之

学 位 論 文 題 名

  Cystathionine ソ ‑synthase 遺伝子にみられる メチオニン添加に応答した転写後制御機構の研究

  本論 文は ,図20, 表3,引 用 文献62を 含み ,総 頁数79の 和文 論文 である.他に参考論文3 編 が添 付さ れて いる .

  高等 植物 におけるメ チオニンの生合成は厳密に制御されており,栄養条件等 によらず細胞 内 の遊 離メ チオニン濃 度はほぼ一定に保たれる,本論文は,遊離メチオニンを 過剰に蓄積す る シ ロ イヌ ナズ ナのmtol  (methionine overaccumulationl) 変異 の解 析に より ,メ チオ ニ ン生 合成 の鍵 酵素 と考 えら れて いるcystathionineア−synthase (CGS)をコ ードする遺伝 子 の 発 現 が ,mRNAの 安 定 性 の 段 階 で負 のフ イー ドパ ック 制御 を受 けて いる こと を明 らか に した もの であ る. 得ら れた 結果 の概 要は 以下 の通 りで あ る.

1. mtolー ユ 変 異 株 に お け る メ チ オ ニ ン 生 合 成 関 連 酵 素 遺 伝 子 の 発 現 解 析   mtol‑l変 異 株 で はCGS mRNAの 蓄 積 が 野 生 型 株 の3〜5倍 に 増 加 し て い た . ま た , 野 生 型 株に メチ オニ ンを 与え て栽 培す るとCGS mRNAの蓄 積量 が 低下 するのに対し ,mtol一ユ変 異 株で は高 いレベルを 保ったままであった.これらの結果から,野生型株には メチオニン添 加 に応 答し てCGS mRNAの 蓄積 を抑 える 機構 が存 在す るこ と ,お よびmtolーユ 変異株ではこ の 制御 機構 が欠 損し てい るこ とが 明ら かに なっ た.

2. mtol変 異の 同定

  独 立 に 分 離 し た5つ のmtol変 異 株 を 調 べ た と こ ろ , す べ て のmtol変 異はCGS遺 伝子 のN 末 端か ら約80ア ミノ 酸離 れた 領域 に局 在し てい た, この 領 域はCGS遺伝子の第1エキソンに 対 応 し て お り , メ チ オ ニ ン 添 加 に 応 答 し たCGS mRNAの 抑 制 機 構 にCGS遺 伝 子 の 第1工 キ ソ ンの 領域 が関 わっ てい るこ とを 示唆 した.また ,いずれの変異もアミノ酸置換を伴った1 塩 基置 換で あっ た.

3. CGSmRNAの安 定性 の解 析

  mRNAレ ベ ル の 制 御 に は 転 写 調 節 およ び転 写後 調節 が考 えら れる .野 生型 およ びmtol‑l 変 異 株 の カ ル ス 培 養 に 転 写 阻 害 剤 を与 えてCGS mRNAの安 定性 を解 析し た. その 結果 ,野 生 型 株 で はmtol‑l変 異 株 に 比 べ てCGS mRNAの分 解が 速く ,メ チオ ニン を与 える こと でさ

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らに分解が速まった.これに対して,mtol‑l変異株での分解はメチオニンに非感受性であ った.一方,転写速度は野生型株とmtol‑l変異株で違いは見られなかった.これらの結果 からCGS mRNAの蓄積量はmRNAの安定性の段階で制御されていることが明らかになった,

4. CGS遺伝子第1エキソンの機能解析

  カルスを用いた一過的発現系においてCGS遺伝子第1エキソンの機能解析を行った.野生 型株またはmめユ変異株の第1工キソンとレポーター遺伝子を読み枠を合わせてっなぎ,これ をカリフラワーモザイクウイルス35Sプ口モーターの制御下においたプラスミドを構築した.

これらのプラスミドを野生型株のプロトプラストに電気穿孔法によって導入し,メチオニン 添加によるレポーター活性の変化を調べた.その結果,野生型の第1エキソンを持つ場合は mめユ変異型の第1工キソンに比べてレポーター活性が低く,メチオニン添加によりさらに低 くなった.一方,mtol変異型の第1エキソンはメチオニン添加に応答しなかった,これらの 結果から,CGS遺伝子第1工キソンはメチオニン添加に応答して遺伝子発現を制御するのに 必要かつ十分な機能を持つことが明らかになった.

  さらに,mtol変異の生じたコドンに対してアミノ酸置換を伴わない塩基置換を導入した 第1エキソンでは,野生型の第1工キソンと同様の挙動を示した.従って,この制御には CGS第1エキソンのアミノ酸配列が重要な役割を持つことが明らかになった.また,野生型 とmめユ変異型の第1エキソンをそれぞれ異なったレポーター遺伝子にっないだプラスミドを 構築し,2つのプラスミドを同時に野生型株のプロトプラストに導入した結果,それぞれの 第1工キソンは他方のレポーター活性に影響しないことが示された,従って,CGS第1エキ ソンのポリベプチドは自身を合成したCGS遺伝子に対してのみ働く(シスに働く)ことが明 らかになった.

5.  CGS mRNA断片の検出

  カルス培養にメチオニンを添加してCGS mRNAの蓄積量の経時変化を調べた結果,メチ オニン添加によってCGS mRNAレベルが低下すると同時に,ポリAを持っが,5 領域を欠い たCGS mRNA断 片が生じることがわかった.この断片はCGS mRNAの分解の中間産物と考 えられた.

  以上の結果より,CGS遺伝子はメチオニン添加に応答した転写後制御機構を持ち,この制 御にはCGS遺伝子の第1工キソンのアミノ酸配列が重要であること,およびCGSの第1工キ ソンは自身のmRNAに対してのみ機能することが明らかになった.ポリベプチドがシスに 働くということから,この制御がCGSのmRNAと第1工キソンポルベプチドが互いに近接す る時,即ち翻訳の段階で起きていると考察した.これらを総合して,CGS遺伝子の翻訳中に 新生第1エキソンポリベプチドは,メチオニンもしくはその代謝産物からのシグナルを受け て 自 身 のmRNAを5側 か ら 分 解 す る の に 関 与 す る と い う モ デ ル を 提 唱 し た .

  メチオニンはヒトにとって必須アミノ酸のひとつである,しかしながら,豆類,穀類とも に種子のメチオニン含量は十分ではない,本論文で明らかにされたCGS遺伝子の発現制御機 構は,新規性の高い発現制御機構の存在を明らかにしたのみならず,作物のメチオニン含量 を増やす分子育種の基礎としても重要である.よって,審査員一同は千葉由佳子が博士(農 学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認めた.

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参照

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