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逐次更新型 FFT を利用したタコメータの実現に関する検討

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Academic year: 2021

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(1)

逐次更新型 FFT を利用したタコメータの実現に関する検討

山 本 広 樹 ※ 辻 本 裕 希 ※ ※

E x a m i n a t i o n  o f  a  New D e d u c t i v e  FFT  A l g o r i t h m  i n  t h e  A p p l i c a t i o n   t o  Handy T a c h o m e t e r s  

H i r o k i  YA 恥1AM OTO H i r o k i  TSUJI

10TO

Handy tachometers are utilized to maintain the well workings of elecicmotors in various plants. The major two  systems of企equencycounter句rpeand specumanalyzer type are commonly used for the tachometers. The latter type  has many advantages over the former, but it  needs costly devices to process the complex ca1culations. Therefore, our  new deductive FFT algorithm rises the possibility to make the implementation simple and reduce the computational cost.  However

, 

its  deductive algorithm has a problem that computational errors  grow by time.  This paper describes an  examination using a miniature motor to  verify whether the computational error spreads or not.  As a result

, 

it  was  indicated that the test system keeps stable during 20 seconds. It is enough for the application of handy tachometers. 

Keyword  Fast Fourier Transform

, 

Spectrum Analyzer

, 

FFT algorithm

, 

Tachometer. 

• はじめに

工場には動力源となるモータが数多く使われているOこ れらのモータを故障なく運転することは、生産性向上の要 である。そのため、メンテナンスの基本的検査項目にはモ ータの回転数計測が入っているO一方、企業の利益を考え れば、メンテナンス作業に掛ける時間とコストはできるだ け抑えたい。そこで、生産現場では手軽に使用できるハン デイ型のタコメータ (回転数計)が広く利用されているD

1.  1 振動による回転数計測

タコメータの測定方式には光学式や振動式、磁気式など 各種あるが、本研究では加速度センサを用いる振動式に注 目した。この振動式は、モータが組み込まれている装置を 分解せずに運用状態のまま測定が可能なため、メンテナン スの時間が短く、コストも抑えられるという長所があるO

ところで、モータによる振動を加速度センサにより検出 し、電気信号に変えてその回転数を知るには、周波数カウ ンタを用いる方法と、スペクトラムアナライザを用いて分

近畿大学工業高等専門学校 総 合 シ ス テ ム 工 学 科 機 械 系 料 (掬ダイヘン

析する方法があるO前者の周波数カウンタを用いる方法は 仕組みが簡単で、計測信号が矩形波に近いときは正確な計 測が可能であるO しかし、測定できる周波数が主成分のみ であり、他の振動が重なると正しい回転数を計測すること が困難になるO一方、後者のスペクトラムアナライザは主 要な振動成分以外についても知ることが可能であり、複数 回転数の同時計測、ベアリングのガタに関する情報の取得 が可能であるO しかし、内部処理が複雑となり、製造コス

トや使用時の操作性の面で不利であるO

1.2  FFT処理

スペクトル解析をタコメータへ実装するにはFFT(Fast  F ourier Transform :高速フーリエ変換1).後述)によるデジ

タル処理が有効であるO現在、スベクトル解析を利用した ハンデイ型のタコメータが市販されているが、FFTは計算 処理が主体であるため、 DSP(DigitalSignal Processor :信号 処理向けのマイクロプロセッサ)、もしくは比較的高性能 なマイクロコントローラが使用されるO

一方、我々は処理手順が簡単な逐次更新型 FFTアルゴ リズムを提案している 2)3)。そこで、我々が提案している アルゴリズムをタコメータ用のスペクトル解析に応用で きないかと考えた。何故なら、手順が簡単な FFTアルゴ

. u

nω

(2)

リズムを用いることにより、比較的演算性能の低い汎用マ イクロコントローラをイ吏用して、装置のコストを下げるこ とが出来ると考えられるからであるO

しかしながら、後述するように、逐次更新型 FFTアル ゴリズムは直前に求めたフーリエ係数値を使用し、逐次新 しい係数値を求める計算方式のため、誤差の蓄積と拡大に より途中で正しい測定値が得られなくなる可能性があるo

1.  3 目的

そこで、逐次更新型 FFTアルゴリズムがタコメータ用 のスペクトル解析処理に適するかどうか検討することを 目的として、実験により、計測データ処理における計算誤 差の蓄積と拡大に関する検証を行った。

実験は小型DCモータを用いて行った。逐次更新型FFT アルゴリズムはプログラムとして実装し、実験で得られた 振動データに対してスペクトル解析を行い、モータの回転 数を推定した。そして、ある程度の時間、正しい計測が可 能かどうか、処理結果を元に考察を行った。

2  .計算方法

振動の計測データをスベクトル解析する場合、フーリエ 変換(FourierTransform)の計算を行うことになるOこれを高 速に行うための計算方法を FFTアルゴリズムというO こ の FFTアルゴリズムと振動の周波数からモータの回転数

を計算する方法について簡単に述べるD

2.  1 スペクトル解析と DFT

スベクトル解析は振動計測データなどの複数の周波数 成分を持つものから、周波数毎の成分の強さ(周波数スペ クトル)を定量的に求める操作をいうD スペクトル解析を 行う際に用いる計算方法がフーリエ変換であるが、フーリ エ変換はアナログの量に対する計算である。一方、デジタ ル機器でスペクトル解析を行う場合には離散化されたデ ータを扱う。そのため、離散フーリエ変換(DFT: Discrete  Fourier Transform)を使用するo DFTは加速度センサで計 測した振動などアナログ値で表される波形を一定時間間 隔でデジタル値に変換して得られる時間軸に対して不連 続な離散値を用いて周波数スペクトルを求める操作であ るoDFTは次の式で計算される 1)4)

色 (21lnk 

α

f(k)cos 

l  ‑ ‑ ; ; . . )   . . .  

(1) 

1 A,',  (21lnk 

bn

f(k)sin 

l  ‑ ‑ ; ; . . )   .    . .

(2) 

~, bnはフーリエ変換されたフーリエ係数値、 f(k)はサ ンプリングしたデー夕、 kは時刻、 nはn番目、 Nはデー タ窓幅を意味する。ここでデータ窓とはフーリエ変換しよ うとする有限長のデータの塊のことをいう。

ところで、この DFTには計算量が非常に多いという問

題点があるo(1),(2)式より、処理するデータ数がNの時、

計算量はO(N2)回となる、データ数が多くなるほど急激に 計算量が多くなることが分かるO 例えば、データ数が 10

の時は 100回と計算量は少ないが、データ数が1000にな ると 1,000,000回にもなるO そのため、計算が速いコンピ ュータといえども、短時間では答えが出せなくなるO

なお、

f o ( ) J

というのは、どの程度の計算量かのオーダ ーを示すランダウの記号であるO

2.  2 従 来 型 の 芹T

計算量が非常に多いというフーリエ変換の問題点だが、

FFTという計算量を削減する技法を用いることで解決さ れるDこのFFTにはPrimeF actorSplitRadixCooley‑Tukey  な ど 色 々 な ア ル ゴ リ ズ ム が 提 案 さ れ て い るO 中でも Cooley‑TukeyFFTアルゴリズム 1)4)が代表的で、一般に よく知られている。以下に Cooley‑TukeyFFTの計算原 理を簡単に説明するO

まず、複素フーリエ係数

2π

C

= : : ‑ I  f ( x ) e ‑

mx 

dx  . . .  ( 3 )   2

Jr 

を離散フーリエ変換の形に書き直すと、mをデータ数とし、

Cn= ょう~F(k)e

( 4 )

k==O 

2

  , .

となる。次にデータ数 8、

ω = e 

と 置 い て よ を 掛 m  ける前のフーリエ係数値を書き下してみると、

C=ωOF(O) +ωOF(1+ωOF(2)+ωo F(3) +ωOF(4) +ωOF(5) +ωOF(6) +ωOF(7) 

C=ωOF(O) +ωlF(1) +ω2F(2) +ω3F(3) m4F(4) +ωlF(5) +ω6F(6) +ω7F(7) 

C2 =ωOF(O)+ω2F(1) +ω4F(2)+ω6F(3+ω8F(4) +ωlOF(5) +ω12F(6)+ω14F(7) 

C=ωOF(O) +ω3F(1) +ω6F(2) +ω9F(3) +ω12F(4)+ωJlF(5)+ω18F(6)+ω21F(7) 

C=ωOF(O) m4F(1) +ω8F(2) +ωJ2F(3)+ωF(4)+ωF(5)+ω24F(6)+ω28F(7)

C=ωOF(O) +ωl F(l)+ωlOF(2) +ωllF(3)+ω20F(4)+ω2lF(5)+ωF(6)+ω3lF(7) 

C=ωOF(O) +ω6F(1)+ω12F(2)+ω18 F(3) +ω24F(4) +ωF(5)+ω36F(6) +ω42F(7) 

C=ωOF(O)+ω7F(1) +ω14F(2)+ω21F(3) +ωF(4)+ω3lF(5)+ω42F(6)+ω4F(7) 

(5)

表1.ωのべき乗で表された係数

¥ 

F(O)  F(1)  F(2)  F(3)  F(4)  F(5)  F(6)  F(7) 

cO  ωO  ωO  ωO  ωO  ωO  ωO  ωO  ωO  cl  ωO  ω1  ω2  ω3  ω4  ω5  ω6  ω7  c2  ωO  ω2  ω4  ω6  ωO  ω2  ω4  ω6  c3  ωO  ω3  ω6  ω1  ω4  ω7  ω2  ω5  c4  ωO  ω4  ωO  ω4  ωO  ω4  ωO  ω4  c5  ωO  ω5  ω2  ω7  ω4  ω1  ω6  ω3  c6  ωO  ω6  ω4  ω2  ωO  ω6  ω4  ω2  c7  ωO  ω7  ω6  ω5  ω4  ω3  ω2  ω1 

uqU

(3)

となるO ここでωのべき乗は単位円周上にある 8つの点 で表される周期関数であり、

ω

8p 

=  1 

(p=0, 12, .・・)と なることを考慮し、 ωのべき乗で表された係数を表現すれ

次にnとkを2進数で表して、

ば、表1のようになるO

n  =4p+2q+r  k 

4s+2t+u 

(ここでも p、r、s、tUは1、もしくはOの値をとるも のとする)と置く時、 cnは次のように書き換えられるC

・・(6)

= C

pqr

=  L :   L :   L :

af作 吋)(4s仰 の

F 似 J )

= L :  L :   L :

af

(7)  ここで、

ω

8h

=  l ( h   =  0 , 1 ム ・ ・

.)なので、

=  L :   L :   L :

af4rs+4q2rt+4pu均 叩 )

F ( s t u )  

= L :  L :   L :

af4州 刑

十 … { t

af

(u4rs

F ( s t

(8) 

この式がCooley‑TukeyFFTアルゴリズムの根本となっ ている。この式の最も重要な点は、変換の対象となるデー タF(s旬)に

ω

4rs を掛けた後、その計算された値に次々と ωのべき乗を掛け合わせて行くところであるOつまり、元 となるデータを最初に掛け合わせれば、その後はデータそ のものを使用しなくなるo これがCooley‑TukeyFFTア ルゴリズムの原理であるO また、

ω4

は複素平面の単位

円周上で半周期にあたり、

ωω‑1ω6ω‑2

と書き 換えることが出来る口また、計算手順は積和演算を用いて 2データから2データに変換する演算方法で、図1のよう な手順でデータを変換することが出来る。

この計算手順は、組み合わされた2つの三角形が蝶のよ うに見えることからバタフライ演算と呼ばれているD計算 量 は デ ー タ 数 が N の時 DFTが O(N2)固なのに対し、

O(NlogN)回と非常に少なくなるD例えば、データ数が1000 の時DFT1000000回の計算量であるが、 Cooley‑Tukey FFTだとデータ数が1000の計算量は3000固と、約

A コ ピ川

A C

/ . o A+

B

8

0 /  ̲U)O¥ ¥ o  

A‑w

o

図1.バタフライ演算

1000分の3になり、計算量が激減しているのが分かるO

2.  3  逐次更新型 FFTアルゴリズムとその問題点 逐次更新型 FFTはフーリエ変換の時間シフトの性質と 線形性の性質を利用したアルゴリズムであるo具体的計算 は次式で表すことができる。

QJ  

lllDN O D

111111ab

I

ll

11

11

11

11

1l

ll﹂

¥

l l

M Illl' lj

N

J

1 f

司¥OC

¥1 111 ¥︑ Ill

均 一

N

加 一

N

/f

ll

t¥

/rill¥ 

ω m  

C S  

FI

ll

Il

l1

11

11

ill

‑L 

G'D 

ここでa'n, b'nは求めるフーリエ係数、

a u

bnは直前 に求めたフーリエ係数、 D1はデータ窓に入ってくる新し いデー夕、 D。はデータ窓から外れる古いデータであるD

ここで(9)式の各部について説明するO

│日目白日目白日囚│

測定値などのデータ列

図2.データ列

今、図2の様に、測定値などの値が続いているデータ列を 考えるO これをフーリエ変換するには、図3の様にデータ 窓でデータを切り出して、離散フーリエ変換の式を用いて フーリエ係数~, bnを計算するO

図3.データ切り出し

ι=72/(k)co 伴)

b

︑ . /

υ

'EEA 

/

1

︑ .

F'

E E

‑ ‑

'EEA 

i ‑ ‑

次に、データ窓が1データ分だけ未来方向へ進んだ場合 を考える (図4参照)。 この時のフーリエ係数値は直前の

41

U

(4)

計算で切り出したデータを 1つシフトさせた時のフーリ エ係数値に、データ窓に新しく入ってきたデータ Dlとデ ータ窓から外れたデータ D。の差のインパルスデータを足 し合わせることで求めることが出来るO

1データ分未来方向へ移動 データ窓 図4.データ窓移動

ここで、直前の計算で切り出したデータを 1つシフトさせ ると図5の様になるO

データ窓 図5.データシフト

そして、フーリエ変換の時間シフトの性質より、このフー リエ係数値は直前に求めたフーリエ係数値を利用して式 (12)で求めることが出来るO

次に、データ窓に新しく入ってきたデータ Dlとデータ 窓から外れたデータ D。の差のインパルスデータは離散フ ーリエ変換の式を用いて次のように求めることが出来るO

空 白 (2mzk¥ 

G n =

云 )

f(k)cosl一てァ│

. /

.  k=O ¥./. , ノ

2(D1 ‑Do) 

= 万 ×

(Dl‑Do)

×

cosO= N  ・・・(13)

←̲ 

, ̲ ̲   (2mzk ' ¥

=万主的) s i n l ‑ ‑ ; ; . .  ) 

=

X(DDo) x sin 0 

0

変換の線形性の性質より (9)式の形となるO これが逐次更 新型FFfアルゴリズムの計算原理であるO

このアルゴリズムの特徴は直前に求めたフーリエ係数 を繰り返し次の計算に使用する点であるO計算手順は直前 に求めた係数値に回転行列を掛け(時間シフトの性質)、

データ窓に入ってきたデータと外れたデータの差のイン パルスデータを足し合わせる(線形性の性質)だけであり、

Cooley‑Tukey型FFfアルゴリズムにあるバタフライ演算 (並び替え操作)などは必要とせず、 (1) (2)式と比ベヱ 記号が取れるため、計算量はDFfと比べると、

o

(W)回か

o

(4N)回となり大幅に少なくなる口つまり、データ数 が1000の時DFfは1,000, 000回の計算量であるが、逐次 更新型F打だとデータ数が1000の計算量は4000回と、約 1000分の4になり、計算量が激減しているのが分かるO

しかし、直前の係数を繰り返し使用するため、もし直前 に求めたフーリエ係数値に誤差があった場合、その誤差を 含んだ値で次の計算が行われるので、誤差が蓄積拡大し、

途中から正しい値を算出できなくなる可能性があるO

2.  4  C

ley‑Tukey型と逐次更新型との計算量の比較 FFfはデータ数が多いほど、その効果を発揮するO

Cooley‑Tukey型FFfと逐次更新型FFfの計算量はデータ 数がNのとき、それぞれ

o

(NlogN)と

o

(4N)の計算量に なっているO データ数Nに具体的な値を入れ、計算量を比 較した結果を表2に示す。

表2.フーリエ変換処理の計算量比較 データ数 DFT  Cooley‑Tukey  逐次更新型

100  10000  200  400  1.000  1000000  3.000  4000  10000  100000000  40.000  40.000  100.000  10000000000  500000  400.000 

2.  5 振動からモータの回転数を求める方法

モータを回転させると振動が発生するO これは、質量に アンバランスがあるものを回転させると慣性力が働くか らであるOモータは振動が出ないように注意深く作られて いるが、完全にバランスさせることは難しい。また、軸受 け部品の隙聞や動作中の各部品の衝突、表面の荒れによっ ても回転に関係性のある振動が発生するO そこで、この振 動をスペクトル解析すればこのアンバランスによる周波 数成分を求めることが出来るo

このインパルスデータはフーリエ係数値を求めるたび計 モータから発生する主要な振動成分の周波数f[Hz]と回 算しなければならないが、インパルスデータであるためヱ 転数F[中m]との聞には次のような関係式が成り立つD

記号が外れ、簡単な計算で求める事ができるO

これらを基に、求めたいフーリエ係数値は、(12)式で表 される時間シフトのフーリエ係数値と、(13)(14)式で表さ れるインパルスデータのフーリエ係数値の2つのフーリ エ係数値の足し合わせで計算できるOしたがってフーリエ

f  x  60 

= F  . . . (15) 

したがって、スペクトルのピーク位置の周波数が分かれば 回転数を推定することが出来るO 回転部分 (グリスなど)

つ ム

ηU

(5)

に異物が入り込んだ場合も一回転毎に繰り返し、異物によ る振動が発生するため、 (15)式の倍、 2倍、 3倍、といった 周波数に振動成分が現れると考えられるO これは、故障の 発見や部品の余寿命の診断に利用できるD

3 .検討方法

逐次更新型 FFTアルゴリズムをタコメータの計算に利 用した時、計算を進めて行く際の誤差の蓄積拡大を検討す

る方法について以下に述べるO

3.  1 実施内容

偏芯した錘を取り付けたモータを使った振動測定実験 を行い、測定した振動データから逐次更新型 FFTアルゴ リズムを用いてスペクトルを求め、ピークイ直を+食出して、

回転数を推定するO また、推定結果を比較用の市販 FFT アナライザで求めた値と比較して正しい回転数が算出さ れているか確認するO なお、小型モータを使用すると、振 動エネルギーが小さく、計測が難しくなるため、偏芯した 錘をモータ軸に取付けて、測定しやすい状態とした。

3.  2 装置の製作

実験を行うためにモータ及び加速度センサ取り付け台 を製作した。図6の取付け台はアルミ厚板をフライス盤で 加工して製作した。図中の

a x v

はそれぞれ、モータとセン サの固定用孔である7に示すモータ固定治具、偏芯錘、

加速度センサ固定治具はアルミの丸棒を旋盤とフライス 盤により加工して製作した。 実験装置は小型 DCモータ をモータ固定治具に、加速度センサを加速度センサ固定治 具に取り付けることで構成されるO また、アダプターを用 い、台とモータの相対位置関係を任意に設定可能であるO

3.  3 アルゴリズムの実装

2.  3節で説明した逐次更新型FFTアルゴリズムを、HSP 言E苦(HotSoup Processor :フリーウェアonionsoware)を用 いてプログラムとして実装した 5)6)。パソコン上でのプロ グラム編集にはHSPscript editor For Windows version 3.1を 使用したプログラム変数の精度は倍精度実数(64bit)、動 作順序は以下の通りであるD

データ窓、求める係数の周波数設定、初期値などの設 定を行い、動作開始。

データ窓を lデータ分未来方向へ移動させ、データを 読み込むD

読み込んだデータにFFT処理を行うD

(i)  (3)式のsinとcosの係数値を計算

(ii)  (3)式の時間シフト部分のフーリエ係数を計算 (iii)  (3)式のインパルス部分のフーリエ係数を計算

スベクトルを計算するO

第一スペクトルピーク、第二スクトルピーク、第三 スペクトルピークを検出するO

240  10 

① 

② 

図6.モータ友ぴ加速度センサ取り付け台 (単位はnm)

F

ぐ っ

図7.モータ固定治具、偏芯錘、加速度センサ固定治具

それぞれ前回保存されているものより大きければ更新。

保存されているスペクトルの位置 (周波数)を更新。

求める係数の周波数を更新するO

③ ③の周波数を更新できなくなったら⑦で保存している 周波数を(4)式を用いて回転数に変換して出力するO

データ窓から出て行く値を更新するO

⑪ ②へ戻るO ただし、データ窓が未来方向へ進めなくな ったら動作を終了するO

このプログラムのフローチャートを図8に示す。

ηUU

(6)

① デ ー 矢 続 未 来 方 向 ヘ1データ分移動

②データ読み込み

①三角関数

②シフト部分の計算

③インJ~J[.,ス部分の計算

④スペクトルピーク検出(3つ)

@スペクトルピークの周波数

EI f

スペクトルピークの 周波数を回転数{二変換し、出力

│ 

終了

│ 

図8.プログラム フローチャート

4  .実験

前節で示した装置を用いて行った振動計測実験につい て述べるO 実験台上で小型DCモータを回転させ、発生す る振動を加速度センサで測定した。

4.  1 実験装置の構成

実験装置はPC、FFTアナライザ、安定化電源、加速度 センサ、取り付け台から構成されているO ②の FFTアナ ライザは4chの測定が可能であるが本実験では三軸方向 である3ch分を使用したD また、安定化電源から、それぞ れモータに電力を供給した。実験装置の全体図と仕様を図 9と表3に示す。モータの呼称、は、手前からモータA、モ ータB、モータ CとするO

表3.実験装置

① パ ソ コ ン DELLLatitude D810 

② FFTアナライザ OROS

4ch  Real‑Time‑Multi‑Analyzer 0R34 

③ DC安定化電源 MASTECHHY1053D

④  加速度センサ PCB PIEZOTRONICS

ICP型二軸加速度センサ 356B21INC

⑤ 小 型DCモータ メーカ不詳 VA207BC 301222・AT

図9. 実験装置

4.  2 実験方法

偏芯した錘を取り付けた小型DCモータを用いて振動を 発生させ、振動測定実験を行った。その振動を三軸加速度 センサ (lch: x方向, 2ch: y方向, 3ch: z方向)、比較用 のFFTアナライザで20秒間測定するD 測定データはFFT アナライザの記録機能により PCに振動データとして保存 するD保存された振動データはテキストファイルに変換し、

3・3節で述べたプログラムを用いてFFT処理を行い、スペ クトルの最大ピーク値とその周波数を求めると共に、その 周波数から回転数を推定した。また、回転数を変化させた 時や複数のモータを同時に回転させた時も正確な回転数 を推定できるか実験を行った。実験時のサンプリング周波 数は512[Hz]、AID変換精度は24bitであるO

4.  3 データ処理例

図10は振動実験で得たモータA印加電圧7V時の振動 データの一部である。加速度が約・3.2[mls2]を中心として変 化しているo この実験では圧電型センサを使用しており、

2[Hz]以 上 の 加 速 度 成 分 に し か 反 応 し な い の で 、 こ の ‑ 3.2[mls2]のDC成分(O[Hz]の成分)自体は特に意味がない。

このデータからスベクトルを求めると図 11のようになる。

軍 最 デ 院

<100  一一一一一一一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 つ

‑1.屯田

∞∞閣

4 2 4  

守主 圃轟

‑!iOO 

e.oo 

1IIIr",民] 自主抱2

図10.振動データの例

スペクトル

甲山ふ﹃

4h mT K

50  H

震波数(Hz.)

150  2Q

図11.振動データから求めたスペクトル

‑34‑

(7)

このスペクトルのピーク値より、(4)式を用いて回転数を 推定することが出来る。

4.  4 実験結果

図12'"図20にモータ A,B, Cを単一で動作させた時 (印加電圧 0[V]~12[V]) の逐次更新型 FFT で推定した回 転数と、市販FFTアナライザで求めた回転数を示す。

回転数推定結果ーモータA‑1ch

zaaq

d n 4 4

[1

9D

0

n+o 。 @a

@ 4  

印加電庄[v]

10  11  12 

図12.回転数推定結果ーモータA‑1ch

回転数推定結果ーモータA‑2ch

' n o e a a a d n 4

4B

[E er oF

X額返回

1 。= 。 +

+

10  11  12  印加電圧[v]

図13.回転数推定結果ーモータA‑2ch

回転数推定結果ーモータA‑3ch

RUE‑va

d n 4

[E E] FX桜ほ回

ii 

。 。

印加電圧[v]

10  11  12 

図14.回転数推定結果ーモータA‑3ch

回転数縫定結果ーモータ81ch

soeaaa

ζ 4

[広島]

O F V

̲̲JIL  ()  ()  () 

. .

 

。 。

"

" 

10  印加電圧[v]

11  12 

図15.回転数推定結果ーモータB‑1ch

推定結果を見ると印加電圧が1[

v J " ' 3  [ V J

では正しい回 転数を推定できておらず、

4 [ V J

以降から正しい回転数を推 定できていることが分かるo

回転数推定結果ーモータB‑2ch

~ ~一一己

E:i 白 ~

血 $

孟~

I

血 $

~: I 血 @

回~

I +  

。 。

印加電圧[v]

10  11  1

図16.回転数推定結果ーモータB‑2ch

回転数錐定結果ーモーヲB‑3ch

li 

1

5 43

2

。 。

印加電圧[v}

10  11  12 

図17.回転数推定結果ーモータB‑3

回転数推定結果ーモ‑lIC‑1ch

' s o r a a a

41

[E rc FX

領 選

E E

E

印加電圧[v]

10  11  12 

図18.回転数推定結果ーモータ Cー1ch

回転数推定結果モ‑lIC‑2ch

r'.

li 

~

2

印加電圧[v]

1 11  12 

図19.回転数推定結果ーモータC‑2ch

回転数推定結果ーモ‑lIC‑3ch

' e O E 3 a

441

[E er oF XU

10  印加電圧[v]

11  12 

図20.回転数推定結果ーモータC‑3ch

Fh u 

U

(8)

表 45に複数のモータを同時に回転させた時の推定結 果と市販FFfアナライザの値を基準とした誤差を示す。

表4.回転数推定結果

一逐次更新型芹Tと市販

m

アナライザの比較ー

印加電圧 市 販FFTアナライザ

逐次更新型FFT[m]

[V]  [巾m]

1ch  2ch  3ch  1ch  2ch  3ch  5  5  5  7200  2580  2580  2610  2610  2610  5  5  6  3180  3240  3180  3180  3180  2610  5  6  5  2640  2640  3600  2610  2610  2610  6  5  5  7200  2640  3120  3150  2640  3150  5  7  9  4680  4680  4740  4710  4710  3630  5  9  7  4620  4620  4620  3750  3750  4620  7  5  9  4740  2580  4740  3660  4740  3660  7  9  5  3660  4620  4620  3660  2640  4620  9  5  7  4680  2580  4680  4680  3750  4680  9  7  5  2640  2640  4680  4680  3600  4680  5  6  7  3180  3720  7200  3720  3720  2610  5  7  6  3720  3180  3600  3180  3180  3630  6  5  7  3720  2580  2580  3150  3750  3150  6  7  5  2640  2640  3600  3150  3630  3630  7  5  6  3180  2580  2580  3690  3180  3690  7  6  5  7200  2640  3660  3690  3090  3690 

表5.回転数推定結果 一誤差ー

B

‑ 5

565

7

‑ 9 5957

6‑7‑5‑770

6

A

5

‑ 5 56557799556677

表45を見ると市販FFfアナライザで求めた結果を正し

いとして比較すると、逐次更新型FFfで推定した結果は正 しい回転数を示していないものが多い。また、誤差が100

以上になる結果があることがわかるD

次に、図21~28 に回転数推定の時間推移 (20 秒間)の 一部を示す。1st,2nd, 3rdはそれぞれ第一スベクトルピ ーク、第二スペクトルピーク、第三スペクトルピークから 推定した回転数であるO また、 図21~25 はモータ A を単 一で動作させた時の回転数推定の時間推移を示したグラ フであるO これは、第一スペクトルピークから推定した回 転数を示しているO

回車量数推定の時間推移ーモータA印加電圧4[V]1st  2.5 

~

0.5

10  時間[sec]

15  20 

図21.回転数推定の時間変化ーモータA印加電圧4[V]ーpt

回転数准定の時間錐移ーモータA印加電圧7[V]1st 

3.

~

2.5

1.5

1

0.

10  時間[sec]

15  20 

図22.回転数推定の時間変化ーモータA印加電圧7[V]ーpt

回転数推定の時間権移モータA印加電圧10[V]1st 

p h d a d n 4 4 1

[E er DF

X

。 。

10  時間[sec]

15  20 

図23.回転数推定の時間変化ーモータA印加電圧10[V]ー1st

回転数推定の時間錐移モータA印加電圧11[V]1st 

R JV

凋 値

Y

句 ︒

η 4 4 t

[E

E]

"D FX

桜坂田

10  時間[sec]

15  20 

図24.回転数推定の時間変化ーモータ A印加電圧 11[V]ー1st 

pn

u 

U

(9)

E数推定の時間推移ーモータA印加電圧12[V]1st 

~5

~

2

IQI 

。 。

10  15  時間[sec]

ヶ所以上の誤差を

x

(非常に不安定)とするO

表6.推定結果の安定性ー1 モータA

印加電圧[V]

I  x

方 向 成 玄 寸

7

方向成分

z方向成分

20 

2一3一4 O一O一O

O一O一O

回車五数錐定の時間錐移ー印加電圧O[V]

図25.回転数推定の時間変化ーモータA印加電圧12[V]ー1st  5 

16  14 

~ 12  10 x 4

10  15  20  時間[sec]

2 6 .

回転数推定の時間変化ー印加電圧

O [ V ]

回転数推定の時間推移ーモータA印加電圧8[

16  14 

~ 12  10 6 4

10 

時間[sec]

15  20 

図27.回転数推定の時間変化ーモータA印加電圧8[V]

回転数錐定の時間推移ーモータA9rV],モータB5[V]モータC7[V]

16  14 

~ 12  τ10 

6 4

10 

時間[sec]

15  20 

図28.回転数推定の時間変化

ーモータA9[V].モ ー タ 郎[V].モータ C7[V]ー 推定結果を見ると、モータを単一で動作させた場合の第 一スペクトルピークから推定した結果は 20秒間安定して 正しい回転数を推定できている。図28を見ると、複数の モータを同時に動作させた場合は第一スペクトルピーク から推定した結果は 20秒間安定しているが、第二、第三 スペクトルピークから推定した結果は安定していない。

表 5~9 に全推定結果の時間変化の安定性を示す 安定 性の評価は 20秒間安定を(Q)(非常に安定)、 20秒間中 1

ケ所の誤差をu (安定)、2 ヶ所の誤差をム(不安定)、 3

8‑9

一 叩 一 円

一 ロ

O

O

O

O

O O

O

O

O

O

0

O

O

モータB

印加電圧[V]

I  x

方向成

F 下

y方向成分

I z

方向成分

2‑3

4

︒ 一

O

O

O

︒ 一

O

O

O

O

O

O

O

O

︒ 一

O

一 O 一 O

︒ 一 ︒ 一

O

O

O

O

O

6一7一8一

9

‑ m

一 円 一 ロ

O

O

O

O

。 Q )

O  Q) 

印加電圧[V]

モータC

X方向PI?t

y方向成分 z方向成分

O  O  O  2一3一4

︒ 一 O 一 O 一 O

︒ 一

O

O

O

7‑8‑9

一 叩

︒ 一

O

O

O

︒ 一

O

O

O

︒ 一 O 一 O 一

O

‑37‑

(10)

11  12 

︒ 一

O

O

O

表7.推定結果の安定性一2

表8.推定結果の安定性一3 モータABCの印加電圧O 印加電圧 x方向 y方向 z方向

[V]  成分 成分 成分

。 。

表 6を見るとモータを単一で動作させた場合の推定結 果は、ほとんどが~(非常に安定)、 O(安定)であるこ

とが分かるO しかし、表7を見ると複数のモータを同時に 動作させた場合、回転数推定の時間推移はム(不安定)、

(非常に不安定)が多かった。

表9.推定結果の安定性4 モータ同時回転時

印加電圧 [V] x方向成分 y方向成分 z方向成分 モータA5[V]

モータB5[V] O  O  O  モータC5[V]

表10.推定結果の安定性ー5 モータ同時回転時

モータC5[VJ

.考察 5.  1 計算時の安定性

図 12~20 を見ると回転数が 3600 [rpm]と7200[rpm]  を示している推定結果があるOこれはモータの回転による 振動成分がノイズの成分より小さいため、ノイズのピーク 値60[Hz]、120[Hz]がモータの回転による振動と誤認して 回転数を推定したものと考えられるOこの60[Hz]、120[Hz] はモータの印加電圧

O [ v ]

時の振動成分と同じであり、

A C

電源の周波数(西日本60[Hz])と一致する。したがって、

電源ノイズの成分を誤認したものと考えられるO

次に、印加電圧4[V]以降では市販FFfアナライザとほ ぼ同じ値を推定しているが、

O [ V ]

~3[V] では正しい回転数 を推定できていないことが分かる。4[V]以降ではモータの 回転数が多くなり、発生するモータの振動成分が大きくな っているoつまり、ノイズの成分より、モータの振動成分 が大きくなったため、正しい回転数が推定できていると考 えられる。また、 4[V]以降について市販FFfにより求めた 値と一致していない推定結果がある。これはモータの振動 面が異なるため、センサによる振動成分の検出強度が弱く なってしまったことが原因であると考えられるO

図 21~25 は第一スペクトルピークから推定した回転数 の時間推移を表示させた結果である。この結果を見ると、

第一スペクトルピークから推定した結果の時間推移は、推 定開始直後から正しい回転数を推定し始め、その後20秒

n o  

η ο

 

表 4 , 5 に複数のモータを同時に回転させた時の推定結 果と市販 F Ffアナライザの値を基準とした誤差を示す 。 表 4 . 回転数推定結果 一逐次更新型芹Tと市販 m アナライザの比較ー 印加電圧 市 販 FFT アナライザ 逐次更新型 FFT[ 巾 m] [ V ]  [巾 m] A  B  C  1 c h  2ch  3ch  1 c h  2ch  3ch  5  5  5  7200  2580  2580  2610  2610  2610  5  5  6  3180  3240  3

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