静岡県立大学 短期大学部
耐卜究糸己要 第19筆ナ 2(〕05年
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2) 27
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2)
一学生への3年間の調査から一
A Research of the Actual Condition of the Leaming Situation of Nursing Skills in Clinical Practice(2)
一By the Investigation following Three Years一
小島 洋子 三輪木君子 KOJIMA Yoko MIWAKI Kimiko
今福 恵子 遠藤 貴子 永谷 実穂
IMAFUKU Keiko ENDO Takako NAGATANI Miho
1 はじめに
今日、看護を取り巻く情勢の変化は、看護基礎教育に対する期待として、看護実践能力育成 の充実を求めている。
先の「臨地実習における 看護技術の習得状況 の実態(1)一学生用技術ノートー」でも述 べられているが、日本看護協会の2002年新卒看護師の「看護基本技術に関する調査1)」で、臨床 で求められている看護実践能力と新卒者の能力との格差が大きいことを指摘している。また、
2003年3月に文部科学省は、「看護教育のあり方に関する検討会」の報告書として「大学におけ る実践能力の育成の充実に向けて2)」を出している。どちらの報告書も、看護基礎教育において、
最低限必要な知識と技術とは何かを明らかにし、卒業時に独力あるいは適切な指導下で看護ケ アが実践できるように、各養成校が努力すべき事を示した内容といえる。医療技術が進歩し、
医療現場が複雑化する中で、基礎・基本となりうる技術とは何かが問われているともいえる。
これを受けて当校看護学科では、2002年4月より「在り方検討委員会」を立ち上げ、教員全 体で、当校における看護技術教育のあり方を検討することになった。そして2年間にわたって 4つのグループに分けて検討を重ねた結果、2・3グループは、看護実践能力の育成への1つ の取り組みとして「学生用技術ノート」を作成した。そして、16年度より試行した。試行に先 立ち、患者の倫理的配慮も含めて、臨地実習施設の臨床指導者にも協力を依頼した。この技術 ノートは、各学生が達成目標についての意識を高め、個々の臨地実習を通して経験を積み重ね、
技術習得に努力することをねらいとしたものである。また、教員にとっても個々の学生が、経 験していない技術は何か、この病棟で実施可能なことは何かなどをを知る資料でもあった。
今回は、16年度に活用した「学生用技術ノート」が、看護実践能力を高めるために、有効な 手段であったかを評価する目的で、学生用技術ノートを使用していない14・15年度学生の看護 技術習得状況アンケートの結果(在り方検討会1グループが実施)と比較したので報告する。
II方法
1)調査方法
当校、看護師養成3年課程の16年度卒業年次学生60名を対象とした。各臨地実習終了時に「学
生用技術ノート」自己評価欄を記入し、最終実習終了後に提出されたものと、在り方検討会1 グループが実施した、平成14・15年度学生看護技術の習得状況の実態アンケート調査3)と比較し た。回収率は92%(55名)である。14(15)年度技術項目数は85項目で、16年度は周産期援助 技術を含め88項目であったが、技術項目が異なる項目は比較の対象から除外し、比較可能な55 項目に絞った(表1参照)。
2)学生への配布
3年次4月に行なわれる実習オリエンテーション時に、目的や記入方法について説明し配付
した。
3)調査期問
平成16年4月〜平成16年12月
4)倫理的配慮
最終実習終了時に、本学学生の技術到達度の傾向をみることと、今後の用紙の改善に使用し たい旨を掲示をし、協力をお願いした。結果は統計処理されて個人のプライバシーは守られる
こと、提出は個人の自由意志であること、実習評価とは関係のないことも説明に加えた。
5)分析方法
到達水準の変化と、自ら体験する機会の変化との両面から優位差を検定した。
①到達水準は、14(15)年度アンケートと16年度では区分が異なるため、「単独でできる」を3、
「指導監督のもとで実施できる」を2とし15年度の単独ではできないが経験したものを含め た。そして「見学した」を1、「見学する機会がなかった」を0として、比較のための点数化 とした。
②体験する機会の変化は、「体験できた」を1とし、「体験なし(見学含む)」を0とした。SPSS ver。10にて記述統計をし、①②の有意差は独立サンプルの丁検定で求めた。
III結果
看護技術の習得状況の詳細は別表の通りであり、4区分のうち一番高いパーセントを塗りつ ぶしをしてあるが、これらをみても16年度に14項目が左に移動しており到達水準があがってい ることがわかる。16年度が、14年度・15年度どちらの年度より到達水準が優位にあがった項目
(「指導監督のもとで実施できる」ものが「単独でできる」というように到達水準の上がった項 目)は、55項目中16項目であった。また、自ら経験の機会が優位に出た項目は、6項目であっ た。これらの項目は到達水準も上がり経験も増えた項目である。14年度のみとの比較では項目 数はさらに増加する。逆に経験の機会が減少したものは、救命救急技術項目や創傷管理技術で あった(表2参照)。
2年続けて到達水準が上がった16項目は、食事援助技術2項目(食事介助、栄養状態・体液 電解質バランス査定)、排泄援助技術2項目(自然排尿・排便援助、失禁ケア)、活動休息援助 技術3項目(歩行・移動の介助・移送、体位交換、入眠・睡眠の援助)、呼吸循環を整える技術 1項目(体温調節)、症状・生体管理技術1項目(身体計測・フィジカルアセスメント)、感染
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2)
表1 14(15)年度・16年度技術項目対比表
15年度B5項目 16年度75項目+周産期13項目 対地可能な共通項目55
29
大項目 項 目 項目内容の違いにより比較不能 大項目 項 目 項目内容の違いにより比較不
環境調整技術
1 療養生活環境調整
与薬の技術
43 薬理作用 16年度追加項目》 ●
2ベッドメーキング 44 藁物療法{16年度追加項目》 ●
3 リネン交換 45 経ロ・外用薬の与薬方法
《15年度項目 と別立て》 ●
食事援助技術
4食事介助 46 皮下・筋肉内注射《15年度は注射法》 ●
5経管栄養法(注入) 47 皮内・静脈内注射の方法《15年度は注射法》 ●
6 栄養状態・体液電解質バランスの査定 48 点滴静脈内注射・中心静脈栄養の管理
《15年度項目一と別立て》 ●
7食生活支援 49 輸血の管理
排泄擾助技術
8 自然排尿・排便橿助
救命救急技術
50 救急法{16年度追加項目》 ●
9便器・尿器の使い方(病状に合わせて) 51 意識レペルの把握
10 摘便 52 気遵確保
11 オムッ交換 53 人工呼吸
12 失禁ケア 54救命救急の技術{16年度追加項目} ●
13 膀胱内留置カテーテル法 55 閉鎖式心マツサージ
14 滉腸 56止血
15 導尿
症状・生体管理技術
5ア パイタルサインの観察
16 排尿困難時の援助 58 身体計測・フィジカルアセスメント
17 ストーマ造設者のケア 59 症状・病態の観察 16年度追加項目》 ●
活動・休息援助技術
18 歩行・移動の介助・移送
(車椅子・ストレッチャー) 60 検体の採取と扱い方(採尿・尿検査)
19 関節可動域訓練・廃用症候群予防
{15年度項目一と別立て》 ● 61 検体の採取と扱い方(採血・血粕検査)
《15年度項目別立て》 ●
20体位変換 62 パルスオキシメーター
21 入眠・睡眠の援助 63 心電図モニター
22 遊び・学習{16年度追加項目} ● 6412誘導心電図く16年度追加項目} ●
23 安静 65スパイロメーター{15年度のみ》 ●
滑潔・衣生活援助技術
24 入浴介助 66 胃カメラ{15年度のみ》 ●
25 部分浴(足浴・陰都ケア・手浴)
{15年度項目一と別立て》 ● 67 気管支鏡《15年度のみ》 ●
26 滑拭・洗髪
15年度項目一と別立て》 ● 68 腰椎穿刺{15年度のみ》 ●
27 ロ腔ケア 69 骨髄穿刺《15年度のみ》 ●
28 整容 70 スタンダードプリコーション
29 寝衣交換など衣生活支橿 71 洗浄・消器15年度項目別立て》 ●
呼吸・循環を整える技術
30 酸素吸入療法 72無菌操作
31 気管内挿管{15年度のみ》 ● 73医療廃棄物管理
32 吸引{15年度鼻腔・ロ腔・気管内の
3項目に別立て》 ●
安全管理の技術
74療養生活の安全確保
33 気管内加湿法 75転倒・転落・外傷予防
34 体位ドレナージ 了6 医療事故予防
35体温調整 フフリスクマネージメント{15年度のみ》 ●
36 呼吸理学療法《16年度追加項目》 ● 78 自己の安全を守る技術{16年度追加項目》 ●
創傷管理技術
37 包帯法
安全確保の技術
79体位保持
38 創傷処置 80羅法等身体安楽促進ケア
39 褥瘡予防ケア 81 リラクゼーション(呼吸法)
40 褥瘡アセスメント{15年度のみ》 ● 82 指圧
41 褥瘡処置{15年度のみ》 ● 83 マッサージ
42 ドレナージ 周産期の掻助技術 84解9613項目 ●
保健指導技術(運動療法も含む) 97 ●
表2 平成14・15・16年度共通項目の比較
到達目標レベル点数 単独でできる3 指導監督した2 見 学1 な し 0 体駿点数 体験した1・しない0
大項 目 項 目 到達目標 8096達成
結果
14年度と16年度 15年度と16年度 到達目標レペル
による優位差
自ら体験したか による優位差
到達目標レベル による優位差
自ら体験したか による優位差
環境調整技術
1 療養生活環境調整 1 O ★★
2 ベッドメーキング 1 0
3 リネン交換 1 O ★★
食事援助技術
4 食亭介助 1 O ★★ ★★
5 経管栄養法(注入) 2 X ★★ ☆
6 栄養状態・体液竃解質バランスの査定 1 O ★★ ☆ ★★
7 食生活支援 ※ ★★ ☆☆
排泄援助技術
8 自然排尿・排便援助 1 O ★★ ☆☆ ★★
9 便器・尿器の使い方(病状に合わせて) 2 X
10 摘便 3 O
11 オムッ交換 1 X ★★ ☆☆
12 炎鑛嫌 1 X ★ ☆☆ ★★ ☆
13 膀胱内留置カテーテル法 3 O
14 涜腸 3 X
15 導尿 3 X
16 排尿困難時の援助 ※
17 ストーマ造設者のケァ 3 X
活動・休息援助技術
18 歩行・移期の介助・移送(単携子・ストレッチャー) 2 O ★★ ★★
19 体位変換 冒 O ★★ ★★
20 羨縦・灘鵬⑳撫晦 畢 X ★★ ☆☆ ★★ ☆☆
21 安静 ※ ★
清潔・衣生活援助技術
22 入浴介助 2 0
23 ロ腔ケア 1 0 ★★
24 整容 1 O
25 寝衣交換など衣生活支援 1 0 ★★
呼吸・循環を整える技術
26 酸素吸入療法 1 X ★
2ア 気管内加湿法 1 X 15★★ 15☆☆
28 体位ドレナージ 2 X
29 体温調整 1 0 ★★ ☆ ★★
創傷管理技術
30 包帯法 3 X ★
31 創傷処置 , X ★★ ☆☆
32 褥瘡予防ケア 1 X ★★ ☆☆
33 ドレナージ 3 X 14☆☆ 15★★
与薬の管理 34 輸血の管理 3 X
救命救急の技術
35 意識レベルの把握 3 O
36 気道確保 3 X 14☆☆ 15☆☆
37 人工呼吸 3 X 14☆☆
38 閉鎖式心マッサージ 3 X 14★★ 14☆☆
39 止血 3 X 14☆☆
症状・生体管理技術
40 バイタルサインの観察 1 O
41 身体計測・フィジカルアセスメント 1 O ★★ ★★
42 検体の採取と扱い方(採尿・尿検査) 1 X
43 パルスオキシメーター 1 O ★
44 心電図モニター 3 0 ★★
感染予防の技術
45 鍛藝難灘懸鱗繍藻. 1 O ★★ ☆☆ ★★ ☆☆
46 無菌操作 3 O
47 雛懲簾雛獅饗灘議 1 O ★★ ☆☆ ★★ ☆☆
安全管理の技術
4B 横養生活の安全確保 1 O ★★ ☆ ★★
49 転倒・転落・外傷予防 1 O ★★ ☆☆ ★★
50 医療事故予防 崇 ★
安全確保の技術
51 体位保持 1 0 ★★ ☆ ★★
52 饗き鎌熱搬糞購難, 1 O ★★ ☆☆ ★★ ☆☆
53 リラクゼーション(呼吸法) 1 ×
54 指圧 崇
55 驚難騰i麟『 1 O ★★ ☆ ★★ ☆☆
★★・☆☆P>0.01 ★・☆P〉0,05
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2) 31
予防の技術2項目(スタンダードプリコーション、医療廃棄物管理)、安全管理の技術2項目(療 養生活の安全管理技術、転倒・転落・外傷予防)、安全確保の技術3項目(体位保持、器法等身 体安促進ケア、マッサージ)であった。このうち経験率も上がった項目は、失禁ケア、入眠・
睡眠の援助、スタンダードプリコーション、医療廃棄物管理、捲法等身体安促進ケア、マッサー ジであった。(図1・2参照)
これらの16項目のうち15項目が、本学の到達目標1「単独でできる」のものであり、到達目 標2「指導監督のもとで実施できる」という項目は歩行・移動の介助・移送の1項目のみであっ
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図1 到達水準が優位に上がった項目
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図2 到達水準および経験機会が上がった項目
IV 考察
到達水準の上がった16項目中15項目は、単独でできると目標が設定されているものである。
無免許の学生が、実施可能な範囲は、日常生活における基本的な生活行動・健康状態の観察・
初歩的な感染防止などであり、今回到達水準が上がった項目もこの範疇にある。看護教育の在 り方に関する検討会報告をうけ、石井は『看護実践能力については、項目毎に、基本的なこと は自立してできるレベルを求めるが、複雑な状況や高度な技術を要求実践、学生時代には十分 にトレーニングが行えない事柄については、看護職者の元で行えるというように、卒業後に習 得することを念頭に達成度が示された。4)』と述べているが、この基本的項目に一致する。また、
日常生活の援助技術の実施は、教員でも学生とともに実施できる技術であり、診療補助技術の ように臨床の看護師の直接指導が必要条件でないことや、患者への身体的侵襲が伴いにくいこ とも要因となっている。経験率の下がったものに、救命救急技術の4項目(気道確保、人工呼 吸、閉鎖式心マッサージ・止血)があるが、これらは前もって見学を組むことができるもので はなく、偶発1生伴うものであるので、経験率比較の対象にはなれない。他の技術項目の気道内 加湿やドレナージに関しては見学などの機会を設定することは可能と考える。
以下「学生用技術ノート」が有用性について振り返ってみたい。
技術の向上は学生が目的意識を持つことから始まる。「学生用技術ノート」という形あるもの を通して、学生と教員の関わりが大切になってくる。学生の達成目標の捉え方は、到達目標に 記載してある水準をクリアーすればよいと考えており、見学できると目標があれば自ら実施し ようとは思わない。それが最低目標であり、患者の状態から実施可能であること、指導者がつ くので安全に実施できることなど説明し、学生個々が目標化を図る。これは、多くは実習初日 の意識づけからはじまり、病棟の協力を得て、技術実施項目や回数の変化につながっていく。
そこからみると、習得状況の調査方法は、14・15年度が臨地実習がすべて終わったときに、今 まで行った看護技術を振り返って質問紙に答えたのに対し、16年度は原則として2週問の実習 の終了都度「学生用技術ノート」に評価したというの大きな違いがある。学生が自ら経験した 内容のため、認識違いは無いと推察するが、16年度の方が技術に対して意識的に強化していた
といえる。
小林の臨地実習での学生の看護技術習得頻度と自信度との調査5)によると、4つの特徴的な パターンが見られたという。(A)実施回数が多く自信レベルが高いパターンで、ベッドメイキン グ、検温で本学の学生も16年度には100%が単独でできるている。(B)は、実施回数は少ないが自 信レベルが高いパターンで、今回有意差がでた項目では、オムツ交換、環境整備、歩行・移動 の介助・移送、体位保持などであり、対象に適した方法要求されるが、1回ごとに工夫してい くことが可能な技術といえる。(C)のパターンは実施回数が多いが自信レベルが低いパターンで、
有意差のでたのは、自然排尿・排便援助、マッサージ、ガウンテクニック(スタンダードプリ コーション)であるが、援助の量・質ともに重視される項目である。(D)の実施回数が少なく自 信レベルも低いパターンの項目は、有意差のでた技術項目はなかった。どちらにしても経験回 数や提供する技術の質が患者の反応により評価を受けることになり、学生の単独でできるとい
う自信につながっていくと考えられる。
看護師養成校には、卒業時までの看護実践能力の到達目標とその到達度に対し責任があり、
実施した教育の質を保証しなければならない。看護師国家試験はどちらかというと知識力を測 るものと考えられるが、技術実践を通して、知識と手の技術が如何につながっていくのか体験
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2) 33
してもらいたいと考える。そのためにも、臨地実習に役立つ学内演習でなければならないし、
実習で体験が難しい技術は卒業前までに学内で習得できることが必要となる。技術教育が、教 員全体で全体で取り組む有用性はここにもある。具体的に言い換えるると、「学生用技術ノート」
を通して①共通認識がとれるので、現場との協力体制がとりやすい、②各領域が演習なども含 めて講義内容に反映しやすい、③ノートから評価できるので、教員間で改善点が明確化しやす いなどがある。
まとめ
「学生用技術ノート」に卒業時までの到達目標を示し、基礎看護実習から持たせて実習に臨 ませることは、学生個々に技術習得が自分の努力により達成されることを意識化させ、自己の 実践能力を身につけるために目標を持って積極的に取り組むことができる。さらに、実習終了 時に評価することで、次の実習での目標もできることになる。他方、教員や指導者は各領域で の技術習得状況をふまえて、学生と目標を共有し、学生が技術の習得ができるような状況や環 境を整えることができるなど、「学生用技術ノート」を用いての技術習得への取り組みは効果的 であると評価してよい。
しかし、「単独でできる」は、あくまで学生の認識である。日常の学生の生活行動をみている と、行動価値の違い感じる。清潔・不潔の線をどこで引くのか、ベッド上いる人の視点になっ てどこまで考えられるのか、使用した物品を片付ける人の身になって処理できるのかなど、ま だまだ、気づいてもらいたいことが多いことも事実である。そのためには、ケアを行う基本事 項にもとづいて、学生と共に評価をする必要性を感じている。
最後に、忙しい業務の中で、「学生用技術ノート」への記入チェック、入力、集計などにご協 力していただいた教員の皆様に深く感謝いたします。
引用・参考文献
1) 日本看護協会『2002年度新卒看護師の 看護基本技術 に関する実態調査報告書』2002 2)文部科学省看護教育のあり方に関する検討会『大学における看護実践能力の充実に向けて』
pp3−19 文部科学省高等教育局医学教育課 2002
3)大場みゆき他「看護師養成課程における 看護技術の習得状況 の実態(1)一学生へのア ンケート調査から一」『静岡県立大学短期大学部研究紀要第18号』ppl3−21 2004
4)石井邦子著「看護学教育の在り方に関する検討会(第二次)を終えて」『看護教育』Vol.45 No.6 PP436 2004
5)小林たつ子「臨地実習での学生の技術体験実施頻度と自信度から考える看護技術教育」『看 護教員と実習指導者』Vol.2No.2pp4−132005
別表 業前における看護技術共通項目の習得状況(平成14・15・16年度)
14年度n=55 15年度n二54 16年度n=55.つ 冒た
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度 年
度 年
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5 16 1
4 1
5 1
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年
45 6 11 1
目 項
整 調 境 環 活 生 養 療
グ キン メ一 ド ベツ
換 交 ネン リ
助 介 事 食
) 入
G主 法 養 栄 管 経
質 解 液定電
体査畿栄バ
援 活支 生 食
助 援 便 尿 排 排 然 自
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便
便 摘
交換 ムツ 才
ケア 失禁
法 ノレ
『テ カテ 置 留 内 胱 膀
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援助 時の 困難 排尿
ケア 者の 設 マ造 ト「 ス
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換 変 位 体
助 の援 眠 睡 眠 入
静 安 目
術
術
術
術 技
技
技
技 項
整
助
助
助 大
調 境 環
援 事 食
援 泄 排
動息活休 ■援
臨地実習における「看護技術の習得状況」の実態(2) 35
清潔・衣生活 援助技術
入浴介助
14 13 23.5 40欝72マ 1 1.8 1 1.8
15 8 14.8 44 8緬 餐 0 0.0 2 3.7
16 16十2田
39 1702 。1α。 。1α。
卜
口腔ケア
14 29 1527 21 38.7 1 1 1.8 4 :7.3 1
15 →37 168、5
14漢9 2十37
111.9 『16 52i9妬 2 3.6 1 1.8 0 0.0
整容
14 45詳8総 7 12.7 1羊」・8
213石
卜15 45 i8鵠 6111」
1 !1.9 2 i3・7 E 16 54 i g8濃 0 0,0 1 1.8 0 0.0
寝衣交換など衣生活支援
14 43 !薇2 10 18.2 0 0。0 2 3,6
15 28 i5総 25 46.3
1ヰ19
0 0.016 54■9麗
11
8 1,8 0 1 0,0 o i O.0呼吸・循環を 整える技術
酸素吸入療法
14 0 0、0 13 23.5 34 161.3 8 14.5 15 2 3,7 21 38.9 24 144講 7 13.0
16
9十a4
12121£33騰o 111£
卜気管内加湿法
14 7 i12.7 17i3α9 18 32、マ 13 123.5
15 19「3醸2 16 29.6 1112α4
8 書4.8 16 7菖1乞7 10118.2 頼29 52」
9罷4
}体位ドレナージ
14 2 3.6 24 i4舗 16i2σ1
13123・5 ト
15 4ヰス4
22購7
15†『27,8 131241 ;16 9 16.4 13 23.5 23r41潟 10 18.2 体温調整
14 15 27.3 25 匪4簸5 そ 8 14.5 6 10.9 1 1.8 15 24→444
28 蜜5綿
2十37
。1α。 }16 50 騒0£
2謄6 1†侶
2 3.6創傷管理技術 包帯法
14 5 9.1 15 27,3 12 21.8 23 i418
15 1 1.9 10 18、5 7 13 35 1麟.8 1 1.9 16 4 7.3 10 18.2 27 49鏑 14 25.5
創傷処置
14 0 0.0 9 16,4 39 7{k9 7 12.7
で5 1 1,9 も
25 146怨 24 144,4
4i74
16 6十α9 ←
30 i5義5 19†r34,5 o l oo ト
褥瘡予防ケア
14 6 i10.9 23 23讐稲 3 5.5
15 15づ27β
、、臨
13 i24.1 2 13,7
}
16 30ヰ駄5 16129.1 9‡16,4 0 100 ㌻
ドレナージ
14 1 :1.8 16 29.1 21灘窟 17 30.9
15 2一†3.7 2113ag
』 18 i33i3 1112α4
2137
16 ・ヰ・・ 1 11,8
37離
17130.9 『与薬の管理 輸血の管理
14 0 0.0 2 3.6 20 36,4 33 16α0
15 〇一10D
1119
18†r33.3 穂35 16姦&編
卜
16 2 3.6 0 0,0 25 45.5 28 1甑9
救命救急技術
意識レベルの把握
14 6 10.9 19 !34,5 7 12.フ 23 4葉,8 15 6 11.1
26縷
3 5.6 19 35.216 18 32,7 8 14.5 23繍潟 6 10.9
気道確保
14 7」12・7 10 18,2 30 15慮5 麟
15 3 i5.6
7113D
I 亀構:1 31 116 o †oρ 111.8 30i鱗5 頼 24鷹:1 レ
人工呼吸
14 7 12.7 9 16,4 7 12.7 32 158濃
15 4 7.4 9 16.7 41
16
器器 1118 四1燭 3。騰
卜閉鎖式心マッサージ
14 5 9.1 9 16.4 2 3.6
38愚1 1118
15 。→α。 3 15.6 1†一1,9 50192渇
16 0 0,0 1 1.8 1 1.8 53 96盗 止血
14 3 5.5 12 21.8 9 16.4 31 S6轟 ! 15
2→37
811峨8 17†r315刀離 r
16 0 10.0 3 5.5
31騰4
21 38.7症状・生体 管理技術
バイタルサインの観察
14 2 3.6 0 10D i
t5 13→96霧
51軌3
1←1:1 0 10.0r
16 ,1耀◎
0 0ρ 0 0.0 0 0,0 身体計測・フィジカルアセスメ
ント
14 39 i臓9 16 29,1 0 0.0 0 0.0
15
2芋a7 Olαo
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講 礁
0 0,0 0 0.0 『検体・検尿
14 6 10.9 13 23,5
24i㈱
12も21£15 4 17.4 毛31240 16 29,6 21 1銘澄 ト 16
↓13
23,5 15 27.3 雪
16臨
11 20.0 寸 1パルスオキシメーター
14 394簗鉱s 4 7,3 10 i18.2 2 3.6
15 48 i8織9
3誉6
1†一1.92137
}16 52 1鮭5 0 0,0 2 3.6 1 i1.8 心電図モニター
14
2136
8 31 14 125.515 1 1.9
・7羅
25一騰1 1112α4}
16 5 9.1 14 125.5 35 16鵠 1 1.8 き
感染予防の技
スタンダードプリコーション
14 12 21.8 15 127,3 9 16.4 19 13盗5
15 20i3■0
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1。i1豊5
3 5.6
16 55 瞬σ◎海 0 10.0 0す一〇,0 。1α。 卜
無菌操作
14 6 10,9 25 轍欝 13 23.5 11峯2α0
15 8 看4,8 26 1羅聞 鎚 16 29.6 4 7.4
16 1。ila2
18 132.7
26離
1 1.8医療廃棄物管理
14 8 14.5 16 29.1 12 21,8 19 1$4灘 15 17→315
19騰2 14庫9
4 i■4 ft
16 48 i簾3 6 i10.9 1 1,8 0 0.0
安全管理の技
療養生活の安全確保
14 14 i25。5 24 1導欝
8i145
9 16.415 25 146.3 26 1 勝 1,9
1113
1 11916 55 韮繕蔭滋 。誉 魏鍛
0.0 o r曹α0 0 100 1
転倒・転落・外傷予防
14 18 132.7 31 i謹磯 6 10.9 0 0ρ
15 254構46β 28騰騒 0 10.0
1119
16 55 麟G@灘 0 ,0.0 o†『αo 0 0,0 卜
医療事故予防
14 4 7.3 20 S醗 14 25。5 17 30.9
15 10 書8,5 23麗欝 10 118.5 11 20.4
i6 27一騰
8 114、5 7頻2.7 1312$5 }
安全確保の技 体位保持
14 13 i23.5 34 1趨欝 6 110.9 213・6 i
1516 17■315 452 1縢5 32騰朧3 15.5 1
2t37
0 10.0315β
0 0.0ζ
畢法等身体安楽促進ケア
14 21 3薮漂 19 134.5
4 4 7.3 10 18.2 1 1.8
15 22一儲朧
20 137.0
2憶7
1。争1&5 卜16 44 9駄泊 1011&2 1†一18 o†αo
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リラクゼーション(呼吸法)
14 15 27.3 16 L29.1 4 7.3
19曝5
1 1.815 13i24.1 24購凄 3 i5.6 14 25.9
16 22 遜繊癖 10 18.2 9 16.4 14 25.5 §
指圧
14 14 25.5 9 16.4 3 5.5 29 雛蒙
15. 9→1色7→ 11 120.3 2 :3.7 32 臓S
16 23 嫁雛 3 1丘5 6†rα9
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}マツサージ
14 21 1i辮 19 034.5 … 3 i5.5 12 21.8
15 16 欝懸1 2013■0 4† ■4 14†259
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