学齢期における知的障害児のコンビュータの操作性に関する研究 ーマウス操作・情報検索と認知発達との関連じ焦点をあててー
特別支援教育専攻 麻 植 稚 奈
目 的
本研究では、知的障害児のマウスの操作スキ ルと認知発達との関連,情報検索スキルと認知 発達との関連を明らかにすることを第一の目的 とし,第二の目的としてコンピュータプログラ ミングによる支援が知的障害児のマウス操作ス キルと情報検索スキルにどのような影響を与え るのかについても検討する。
習院Iマウス併鋸麗購と認知発達との関連 方 法
1.対象児
特別支援学校中学部・高等部の生徒15名。(太 田ステージ;StageJI[‑l : 3名, StageJI[‑2: 6 名, StageN: 6名)
2.課題
カーソルを標的の上に移動させる課題である。
移動課題が困難な場合は、プログラミングによ る支援を用いた移動課題を用意した。
3.手続き 1)調査手順
インタビュー、フロスティッグ視知覚発崩食 査,移動課題の順に行った。
2)評価方法
課題の正答数と所要時間を計測した。 1言明子 の正答を1点,全8点満点とした。正答が6点 以上である場合に移動課題は成功であると判断 した。所要時間はマウスを動かし始めてからボ
指導教員 大 谷 博 俊
タンにカーソルを乗せるまでの時間を計測した。
3)調査者による段階的な支援について
移動課題(プログラミングによる支援を用いた 移動課題惑を行う際,適切な行動が生起しない対象 生徒に対して4種類の段階的な支援を行った。
結果と考察
シンボル表象機能と視知覚能力をそれぞれ低 群と高群に分け,得点と所要時間の結果につい てそれぞれU検定を行った。得点についてはシ ンボル表象機能の高低群間に有意差が認められ、
所要時間については視知覚能力の高低群聞に有 意差が認められた。これらのことから,マウス の移動スキルにはシンボル表象機能の高さが必 要であるといえる。また,カーソルを目的の場 所まで動かすためには,視知覚能力の高低が影 響すると考えられる。
移動課題が困難で、あった対象生徒は,プログ ラミングによる支援を用いた移動課題を行った。
調査者による支援が減じたことから、プログラ ミングによる支援は有効であったと考えられる。
研究Eマウスのクリック課題と語鉦鹿達との関連 方 法
1.対象児
研 究 Iでマウスの移動が可能であった生徒 13名。
t
太田ステージ;StageJI[ ‑1 : 1名, StageJI[‑2 : 6名, StageN: 6名) 2.課題
カーソルを標的の上に移動させ,クリックす る課題である。クリック課題が困難な場合は、
プログラミングによる支援を用いたクリック課 題を用意した。
3.手続き 1)評価方法
得点と成功の判断は研究 Iと同様である。所 要時間はマウスを動かし始めてからクリックす
るまでの時聞を計測した。
2)調査者による段階的な支援について 研究Iと同様である。
結果と考察
研究Iと同様にU検定を行った結果,シンボ ノレ表象機能・視知覚能力それぞれの高低群聞に はともに有意な差は認められなかった。このこ とから、シンボル表象機能・視知覚能力の高低 に関わらず,対象生徒はマウ只操作に必要な一 連のスキノレとしてマウスをクリックするという 動作を身につけていたと考えられる。また、対 象生徒はマウスをすばやく操作できるとは限ら ないと考えられる。
クリック課題が困難で、あった対象生徒は,プ ログラミングによる支援を用いたクリック課題 を行った。調査者による段階的な支援が減じた ことから、プログラミングによる支援は有効で あったと考えられる。
事院E 検索ソフト課題と認知発達との関連 方 法
1.対象児
研究 1. IIでマウス操作が可能であった生徒 12名。(太田ステージ;Stagem‑l : 1名, Stage m‑2: 5名, StageN: 6名)
2.課題
4階層から構成し,階層 1"‑'置はカテゴリー の選択画面,階層Nは情報画面とした。検索ソ
フト課題が困難な場合には聴覚的な支援と視覚 的支援を用いた 2種類の検索ソフト課題(手が かり有りの検索ソフト課題患を用意した。
3.手続き 1)調査手順
絵画語い発達検査,検索ソフト課題のII}関こ行った 2)評価方法
課題の正答数と所要時間を記録した。正答が 4問中 3間以上である場合を成功と判断した。
所要時間は調査者の合図から,最後の問題の印 刷ボタンを押すまでを計測した。手がかり有り の検索ソフト課題においても同様に音刊面した。
3)調査者による段階的な支援について 研究Iと同様である。
結果と考察
シンボル表象機能・語い年齢・音読する力を それぞれ低群と高群に分け,得点と所要時間に ついてそれぞ、れU検定を行った。得点について はシンボル表象機能と音読する力の高低群間に 有意差が認められ、所要時間についてはどの指 標においても有意な差は認められなかった。シ ンボル表象機能の高さと音読する能力がコンヒ。
ュータを使つての情報検索には必要であるとい える。所要時間については,シンボパ表象機能・
語い年齢の高低や音読する力に関係なく,一定 の時間が必要であることが示された。
調査者による段階的な支援と聴覚的な支援・
視覚的な支援を行った結果、聴覚的な支援を行 うことで、支援無しの検索ソフト課題を行う場 合よりも、調査者による段階的な支援が減じた。
このことから、聴覚的な支援は有効であったと いえる。一方、調査者による段階的な支援と聴 覚的支援、視覚的支援を含んだ検索ソフト課題 を行う場合の結果を得ることができなかったた め,有効性の検討については今後の課題とする。